国道352号(こくどう352ごう)は、新潟県柏崎市から栃木県河内郡上三川町に至る一般国道である。
新潟県中部から福島県南会津地方を横断し、栃木県へと抜けるルートを採るが、新潟・福島県境を除くと相当部分が他の国道との重複区間となっている。新潟県長岡市内には未開通区間が残る。また新潟・福島県境前後は豪雪地帯であるため、冬期交通不能区間である。
新潟県魚沼市から福島県南会津郡檜枝岐村までは枝折峠や奥只見湖沿い、そして県境付近で急カーブの連続した1 - 1.5車線程度の断崖絶壁に沿った狭隘な道が続き、俗に言う「酷道」の1つに挙げられている。
一般国道の路線を指定する政令に基づく起終点および重要な経過地は次のとおり。
現行の道路法(昭和27年法律第180号)に基づく一般国道の路線として、1974年(昭和49年)11月12日政令第364号の公布によって第3次追加指定され、翌1975年(昭和50年)4月1日施行によって国道になった路線である。最初の国道指定では、栃木県今市市(現:日光市) - 新潟県長岡市を結ぶ路線であったが、今市市以南 - 石橋町(現:下野市)・国道4号交点間と長岡市以北(以西) - 柏崎市・国道8号交点間は、1992年(平成4年)4月3日政令第104号の一般国道の路線指定公布、翌1993年(平成5年)4月施行で延伸された区間である。
奥只見湖前後の区間は、中世から徒歩通行可能な峠道は存在したものの、自動車が通行可能な水準の道路整備進展は遅く、大湯温泉から銀山平までの車道開通は太平洋戦争中、さらに県境を越えて檜枝岐までの自動車道路が全通したのは、国道昇格直前の1972年(昭和47年)であった。
1990年代まで、福島・新潟県境から枝折峠周辺にかけて未舗装(ダート)区間が残されていて、奥只見湖から新潟県小出方面へ出るためには奥只見シルバーラインを使えば済んだため、特に枝折峠 - 銀山平間の整備が遅れていた。残されていたダート区間は、1980年代から1990年代前半にかけて舗装化工事は進められており、現在はすべてが舗装路となった。
栃木県から福島県南会津地方にかけて、なだらかな道が続く。尾瀬を過ぎて新潟県に入ると奥只見湖畔の屈曲区間は、道幅が狭いうえに沢の水が橋もなく道路上を流れる洗い越しが多数存在し、雨量が多くなると通行止めになる。極端に狭くなるところはないが、谷を挟んで湖の対岸に続く同じ国道が見えていながらそこにたどり着くためには、谷に架かる橋もないため、同じような風景が延々続く単調な道を大回りしてゆく他にない。奥只見湖周辺は豪雪地帯で、冬期は積雪で道幅はさらに狭さが増す。
新潟県魚沼市の枝折峠付近は、急勾配・急カーブが連続する狭隘道路で、対向車とのすれ違いは困難である。枝折峠の酷道区間に並行して、山を長大なトンネルで貫通する奥只見シルバーライン(新潟県道50号)があり、奥只見湖・銀山平 - 魚沼市上折立間の通行で使われるのは奥只見シルバーラインのほうであるのが一般的である。また、新潟県長岡市の萱峠に不通区間を残している。
かつては未舗装のダート国道として知られ、難攻不落と言わせしめるほどの難路であった時期もあった。枝折峠 - 魚沼市(旧湯之谷村)区間の峠道は、狭隘路対策と路線バスの通行を目的に、午前中は新潟県→福島県の東行き、午後は福島県→新潟県の西行きの一方通行という時間帯変動型の交通規制が敷かれていたうえ、新潟県側から福島県境までの区間において、二輪車は全面通行止めとする二重の交通規制も取られていた。これらの規制は2006年(平成18年)に解除された。
長岡市は政令指定都市ではないが、特例によって国道352号の一部区間(追廻橋 - 大手通)の道路管理者となっている。
新潟県長岡市の中心市街地から同市山古志地域を結ぶ区間は鋸山によって阻まれ、豪雪地帯の通行不能区間を抱えた開かずの国道となっている。この区間のうち、萱峠を越える萱峠バイパス萱峠工区が建設中であり、通行不能区間のうち一部が解消される見込み。
この他、新潟県道50号小出奥只見線奥只見シルバーラインは国道ではないが、実質的に枝折峠区間のバイパス機能を果たしている。
他の国道路線との重複区間は約90 kmほどあり、路線全長の約4分の1を占める。福島県と栃木県の県境をまたぐ区間は、国道121号・352号・400号の3連重複区間で、この区間の道路わきには国内でも珍しく、3路線分だけ縦に3つ連なる国道標識が立ち並ぶ。同様に、鹿沼市内においても国道121号・293号・352号の3重複区間があり、同市中心市街でも3つ連なる国道標識が設置されている。
樹海ライン(魚沼 - 桧枝岐間)は、只見川最上流部に建設された奥只見ダムで堰き止められて出来た日本一の貯水量を誇る人造湖・奥只見湖の脇を通る山岳道路。沿道には、国立公園の尾瀬や、日本百名山のひとつでもある越後駒ヶ岳など観光名所が多く点在する。
新潟県側の大湯温泉から檜枝岐村の国道401号分岐点との間は、枝折峠越えと複雑に入り組む奥只見湖岸線をなぞるよう走っており、湖の谷を越えるために道路は屈曲し、著しい迂回を重ねている。ゆえにこの区間のみで道路延長は70 kmを超えるが、銀山平付近の観光施設以外、途中に集落の類は存在しない。
奥只見湖沿いでは湖畔を走るのではでなく、断崖を高度を上げながら難所とされる枝折峠に向かうため、高い位置から奥只見湖を見下ろすこともできる。この一帯の地域は、山と深い森の中に閉ざされているため秘境とも評され、春は新緑と残雪、秋は紅葉が特にいいと言われている。新潟県側の銀山平付近で、長大なトンネルを抜け奥只見ダムへ向かう奥只見シルバーラインに、市道を介して行くことができる。
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