『いっき』は、サン電子が開発し1985年7月より稼働開始したアーケード用アクションシューティングゲームである。同年11月28日にファミリーコンピュータ(以下ファミコン)版が発売され、以降も様々なプラットフォームに移植されている。
農民の「ごんべ(権べ)」を操作し、悪代官の屋敷まで殴りこみにいくという内容。2人協力プレイも可能で、プレイヤー2は「たご(田吾)」を操作する。生活苦にあえぐ農民たちが蜂起するという設定は百姓一揆を元にしているが、味方サイドのキャラクターはプレイヤーキャラクターの1-2人のみで他の仲間は一人もおらず、「一人でも一揆ができる」「一揆なのに、なぜか敵が忍者である」など荒唐無稽でコメディチックな内容となっている。ジャンルは多方向スクロールのアクションゲームとされることが多いが、内容的にはシューティングゲームの要素を多く含むゲームである。当時としては珍しく縦書きの日本語を多用したメッセージ表示が特徴でプレイデモやオープニングデモ、ステージの合間など色々な場面で表示される日本語メッセージは独特の雰囲気を醸し出している。
元はアーケードゲームだが、サン電子が開発した作品をナムコが販売するかたちで設置されていた。
ファミコン版は70万本を売り上げるヒットとなっている。本作発売後、『かんしゃく玉なげカン太郎の東海道五十三次』(1986年)、『水戸黄門』(1987年)といった時代劇シリーズが展開された。
2006年7月よりリニューアル版『いっき萌バイル』が携帯電話アプリゲームとして配信された。また、2010年6月29日にはPlayStation 3のオンライン配信専用ソフト『いっき おんらいん』を発売、2011年3月8日にはスパイシーソフトと共同開発したソーシャルゲーム『いっき〜みんなで米騒動の巻〜』をSNSサイト「モバゲータウン」で配信、2023年2月15日には最大16人での同時プレイが可能な『いっき団結』が発売された。
イラストレーターのみうらじゅんが初めてクソゲーという言葉を使用したソフトとして知られ、サン電子(サンソフト)自身も自虐的にクソゲーと称することがある。
サンソフトのタイトルとしては著名であるため、サンソフト関連作品ではごんべなどがゲスト出演をすることが多い。
8方向レバーでプレイヤーの移動を行い、1個のボタンで攻撃を行う。プレイヤーが使用する武器は鎌であり、ボタンを押すことでキャラクターが鎌を投げる。投げる方向はプレイヤーには決定できず、一番近い敵キャラクターに向かって鎌を投げる。
画面右側は得点表示とマップ表示のためのスペースがある。マップには小判の位置が表示される。実際のマップ上では壁などに遮られ、遠回りしないと小判を取れないことがある。ファミコン版ではマップ表示はない。
敵キャラクターは黒装束の忍者、赤装束の忍者、爆弾忍者、イノシシなどが出現する。赤装束の忍者は黒装束の忍者よりも素早く移動するため倒しにくいが、倒すと倍の得点が手に入る。ファミコン版ではいくつかの敵キャラクターは登場しない。
忍者の体当り、あるいは忍者や鉄砲隊の飛び道具に接触するとミスとなり残り人数が減る。残り0の状態でミスするとゲームオーバー。
たまに出現する幽霊(妖怪)に憑依されると、しばらく鎌を投げられない状態になる。幽霊は高速で近付くので厄介だが、この状態で地蔵もしくは狛犬に触れると即座に祓うことが出来る。同様に出現するたらこ唇が特徴の腰元に抱き付かれると、しばらく移動できない状態になる。忍者の手裏剣や体当たりを避けられなくなるので、幽霊よりも厄介な存在である(iアプリ版では出現しない)。
マップに落ちている小判8枚を全て拾うか、ランダムで出現する代官を捕まえればステージクリア。全8面構成。ファミコン版では、4つのマップと小判の配置が異なる裏マップを合わせた合計8ステージ構成。ステージをクリアするとまた最初のマップに戻り、ゲームが終了することなく無限にループする。iアプリ版では表・裏の各2回=16ステージをクリアするとゲーム終了。
アーケード版 / ファミコン版_共通アイテム
おにぎりを取得しているとステージクリア後にボーナスステージに進める。ファミコン版では地蔵が持っている煙を取るとステージクリアのあとボーナスステージに進める。
仙人がおにぎりを計10個投げ、それをプレーヤーがキャッチすると得点が入る。おにぎりが投げられる距離はランダムである。全てキャッチできればボーナスとして残り人数が1人増える。プレーヤーの移動速度の関係で全てのおにぎりをキャッチできることは少ない。仙人の近く(画面左側)に投げられた直後、遠く(画面右側)に投げられたりするとどちらかをあきらめねばならない。確実にボーナスを狙うには2人同時プレイを行い、遠・近位置で分担する必要がある。
なおiアプリ版では画面そのものが狭いため、1人でキャッチ不可能となることはなくなった。ただし、ファミコン版に比べおにぎりの落下速度が速くなっている。
この「おにぎり投げ」のボーナスステージは本作以後サンソフト作品の名物となり、『デッドゾーン』(1986年)や『水戸黄門』(1987年)にも登場する。
ゲーム誌『CONTINUE Vol.13』においてライターの島村祐助は、「ファミコンの代表的クソゲーの1作として扱われることも多いが、意外と現代に通じるゲーム性とも言える」と肯定的に評価した。
イラストレーターのみうらじゅんは本作のファミコン版を遊び、「一揆は一人や二人でするものではない」と茶化し、「クソゲー」という言葉を定義したとされる。ゲーム本『仰天 B級ゲームの逆襲』においてみうらは、グラフィックやオープニング画面、パッケージに関して否定的に評価しており、「友達とか来たときに笑い取るのに利用してた」と述べた他、「一揆なのに、農民が一人で戦ってる」と、ゲームで表現されている一揆のおかしさについて述べている。後にみうらはあまりに本作を酷評し続けた事でサンソフトから苦情が寄せられた事を明かし、後年サンソフト社員と会った際も気まずい空気が流れたという。しかし、みうらがネタにした事で売り上げ本数が増加した側面もあったとも述べている。後年発表された『いっき おんらいん』のトレイラーでは、製作元でも伏字でネタにしている。
『いっき萌バイル』(いっきもバイル)は、サンソフト(サン電子)より配信された携帯電話アプリ用アクションシューティングゲーム。Vアプリ版が2006年7月13日に、EZアプリ版が同年7月20日に、iアプリ版が2008年4月21日に発売された。
ゲーム内容は『いっき』と同じだがクリア後にミニゲーム集がプレイ可能で、ゲーム中やミニゲームで集めた小判を使って萌え系のトレーディングカード収集が可能になっている。
EZアプリ版とiアプリ版の配信開始時にはゲームサイト「美少女パズル 上海☆娘。」の開設を記念した「いっきTシャツプレゼントキャンペーン」が実施された。
本編は第一幕から第七幕までの全7面で構成。旧アプリ版では登場しなかった腰元が復活した他、竹槍に忍者が投げる手裏剣を弾く効果が付加されている。また、これまで倒すことが不可能だった妖怪が倒せるように変更された。
ゲームを進めていくうちに敵のグラフィックを変更(忍者→くノ一、腰元→姫)できるようになる。
ゲーム中で拾った小判はミニゲームの掛金や「とれぇでぃんぐかぁど」の購入に使える(代官を捕まえた場合は小判10枚のボーナス)。
1周クリア後に街で以下のミニゲームが遊べるようになる。
街の「とれぇでぃんぐかぁど屋」で売っている。1袋につきかぁど3枚がランダムで入っており1シリーズにつき3人のイラストがそれぞれ16枚1組で完成するが、ダブリが出る場合もある。イラストが完成するごとに様々な特典があるが、48枚をコンプリートするたびに本編の難易度が上昇する。第2弾までコンプリートするとタイトルから特設サイトに行けるようになり、簡単なアンケート後壁紙をダウンロードできる。
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