九段下駅(くだんしたえき)は、東京都千代田区にある、東京地下鉄(東京メトロ)・東京都交通局(都営地下鉄)の駅である。
東京メトロの東西線・半蔵門線と、都営地下鉄の新宿線の合計3路線が乗り入れている。駅番号は東西線がT 07、半蔵門線がZ 06、新宿線がS 05である。
所在地は東京メトロが九段南一丁目、東京都交通局が九段北一丁目となっている。東京メトロ九段下駅は、「飯田橋駅務管区九段下地域」として近隣の駅を管理している。
東西線は相対式ホーム2面2線を有し、半蔵門線・新宿線は2面2線の相対式ホームが1面2線の島式ホームを挟む形の合計3面4線を有する地下駅である。東京メトロと都営地下鉄の のりば表示は連番になっている。半蔵門線・新宿線の駅構築は、地形が渋谷・新宿方面に向かって7 %の勾配上(九段坂・上り坂)にあり、渋谷・新宿寄り80 mは地下4層構造、それ以外は地下3層構造である(最大掘削幅42.5 m・最大掘削深さ 33.1 m)。
現在、2つの社局にまたがる3つの路線はすべて改札内区域を共用しており、中間改札なしで乗り換えが可能となっている。白金高輪駅 - 目黒駅間の東京メトロ南北線・都営地下鉄三田線共用区間を除けば、2014年現在、この両社局の接続駅で改札内乗り換えが可能な唯一の例である。
半蔵門線で相対式ホームの構造の駅は当駅のみである。ただし後述する改札の統合後、押上方面は新宿線の新宿方面と対面の島式ホームになり、厳密には相対式ホームと言えなくなった。東西線のホームは中柱がある。半蔵門線ホームは半蔵門側のみ中柱がなく、それ以外の部分には中柱がある。
2013年から2020年にかけて行われた、3路線の改札の統合については、次節「#改札の統合」を参照。
半蔵門線ホームの駅名標の周りには、皇居のお堀の水面をイメージした「波紋」のデザインパネルが配置されていたが、2015年に千鳥ヶ淵の四季をイメージしたデザインパネルに取り替えられた。各デザインパネルには九段下という地名から、9つの花冠、葉、波紋、雪の結晶が配置されており、表面は釉薬の手法が採用されている。また、1・2番出入口階段付近の壁面には、半蔵門線開業時に「九段下周辺の風景」の鏡面レリーフが設置されている。
当初は東西線単独の駅であったが、後に都営新宿線と半蔵門線が当駅を通ることが決定したため、建設は東西線横断部約30 mの駅構築を支持しながら下部を掘削する大規模な工事となった。2路線の建設工事に合わせて、既設の東西線靖国通り側の出入口4か所は、6か所に作り替えられた。
当駅から神保町駅にかけては都営新宿線と半蔵門線が並行することから、建設工事は東京都交通局が帝都高速度交通営団(営団地下鉄)から受託して施工した。同時に東京都建設局から共同溝の建設も重なり、こちらも東京都交通局が受託施工した。1980年(昭和55年)2月末までに建設工事は竣工したが、半蔵門線は開業が大幅に遅れたため、同線の駅施設は約9年間未使用であった。
当駅部は地上の都道第302号道路(靖国通り)の幅が約44 mと広いことから都営新宿線と半蔵門線を同一階に施工できたが、隣の神保町駅付近は約33 mと狭くなることから上下2段構成となった。このため、当駅から神保町駅に向かっては、都営新宿線は上り35‰の勾配で地下1階に、半蔵門線は下り30‰の勾配で地下3階の神保町駅に至る(地下2階は三田線)。
共同溝は都道第302号(放射第15号道路・靖国通り)下に建設される「靖国共同溝」で、千代田区九段北1丁目 - 神田淡路町1丁目(都営新宿線九段下駅 - 小川町駅間で並行する)に至るもので、総延長は1750.0 m。共同溝は東京都水道局、東京電力、日本電信電話公社(現・NTTグループ)が使用する。ただし、建設区間では東西線、三田線、千代田線、丸ノ内線と4路線の地下鉄と直角に交差しており、地下鉄を避けるため左右に分かれたり、地下鉄構築を挟むように上下に施工するなどその構造は大変複雑となっている。
当駅部では都営新宿線・半蔵門線構築の上部に位置するが、東西線構築の上部と構築上には並行して電力と電話の洞道があることから、さらにその上で交差している。建設費用は地下鉄工事と負担割合を制定しており、1kmあたり約56億円となっている。
建設の際には、近くを流れる日本橋川下を開削工法で施工する関係から、河底の地盤は人工的に凍結させ、日本橋川からの水の流入を防ぐ「凍結工法」が採用された。凍土とした地盤を掘削するものである。凍結による地盤の変状対策として、直下に位置する俎橋は鉄筋コンクリートアーチ橋から鋼床版桁橋へ架け替えられた。
凍結工法自体は、過去に同じ都営地下鉄(浅草線・三田線)をはじめとして、日本国内の地下鉄において当時9件の実績があったが、その中でも当工区の凍結工法は地下鉄工事では最大規模のものとなる。凍結範囲(最大)は南北方向に49.5 m(川の上流 - 下流方向)、東西方向に(地下鉄横断方向)46.0 m、凍土量は3万7,700 m3と膨大なものとなる。また、俎橋両岸の橋台外側に南北方向に44.5 m、東西方向に10.5 m、深さ23.5 mの立坑を構築し、ここを作業基地とした。
ただし、想定を超える凍結膨張(水が凍結すると体積が膨張する)が発生し、再用する予定であった俎橋の橋台が傾斜してしまう事象が発生した。
元々は、東西線・半蔵門線・都営新宿線は互いに別改札であった。そのうち半蔵門線と都営新宿線は、開業当時から当駅の半蔵門線押上方面(4番線)と都営新宿線新宿方面(5番線)のホームを厚さ約40 cmの壁で仕切った造りとなっていた、(非常口が両ホームを結んでいた)。これは建設当時、東京都交通局(都営地下鉄)と帝都高速度交通営団(営団地下鉄)では事業者、運賃体系とも大きく異なるためで、将来の「東京の地下鉄一元化」時には撤去されることとされていた。
この壁があることにより、乗客は乗り換えの際に階段の上り下りや改札の通過を伴う遠回りをしなければならないという不便を強いられた。また、ホーム自体の幅も壁によって半分ずつに分けられてしまう上、階段部分では一方のホームの階段が他方のホームに張り出す格好となることから、最も狭い箇所では幅がおよそ1.5 mにまで狭められるという安全上の問題も存在した。
2011年12月、東京都交通局および東京メトロの両者が、ホームとコンコースの壁を撤去して乗り換えの利便性を向上させる工事を行うと発表した。工事開始は同年12月15日終電後で、全長210 mのホームのうち約90 m分の壁が撤去されることになった。2012年6月21日、東京地下鉄・都営地下鉄の一元化に向けた議論を主導していた当時の猪瀬直樹東京都副知事(後の東京都知事)が当駅を視察し、この壁のことを養老孟司の著書になぞらえて「バカの壁」と表現した。
壁撤去後の2013年3月16日、半蔵門線と都営新宿線の改札が統合され、改札外乗り換えが解消。両路線合わせて3面4線配置となった。これと合わせ、券売機スペースに新たに他方の運営体の券売機を設置する、改札機でも互いの切符を処理できるようにするなどのサービス向上が行われ、乗り換え客以外にも利便性の向上が図られた。なお神田神保町方面改札は東京メトロの管理である。
上記壁撤去後も東西線は、他路線と同一改札内で乗り換えられない状況が続いていたが、既存の改札口の移設・撤去工事を行い、2020年3月14日に半蔵門線・都営新宿線と東西線の改札が統合され、3線共通改札口の利用が開始された。この結果、改札口の数はかつての7か所から3か所にまで削減され、また全ての改札口からいずれの路線も利用可能となった。
(出典:東京メトロ:構内図・都営地下鉄:駅構内図)
全ホームで発車メロディ(発車サイン音)を使用している。
東西線ホームでは、2015年(平成27年)5月21日から爆風スランプの「大きな玉ねぎの下で 〜はるかなる想い」をアレンジしたメロディを使用している。編曲は向谷実が手掛けた(東西線の発車メロディについては、東京メトロ東西線#発車メロディも参照)。
半蔵門線ホームでは、2018年(平成30年)9月13日からスイッチ制作のメロディを使用している。
都営新宿線ホームでは、ホームドアの稼働を開始した2019年(令和元年)6月8日から都営地下鉄共通のメロディを使用している。
各年度の1日平均乗降人員数は下表の通り。
各年度の1日平均乗車人員数は下表の通り。
最寄りのバス停留所は九段下バス停および千代田保健所(九段下駅)バス停である。都営バスと、日立自動車交通が運行する風ぐるまの以下の路線バスが運行されている。
課長)
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