京成上野駅(けいせいうえのえき)は、東京都台東区上野公園にある、京成電鉄本線の駅である。駅番号はKS01。
京成本線の起点の駅であり、日暮里駅とともに京成の東京側のターミナル駅である。ただし利用者数は山手線や常磐線、京浜東北線と乗り換えがしやすい日暮里駅の方がかなり多い。付近に東日本旅客鉄道(JR東日本)や東京地下鉄(東京メトロ)の上野駅があり、徒歩での乗り換えが可能である。
都心への乗り入れをめざしていた京成は、都心側ターミナルを上野とする鉄道敷設免許を持っていた筑波高速度電気鉄道を買収し、その免許を利用して当駅へ延伸を行うこととなった。
上野公園地下線建設時の条件として、もともと上野恩賜公園が御料地から1924年、当時東京市に払い下げられたものであり、「公園の樹木、特に桜の根を損傷してはならない。寛永寺などの建造物に影響を及ぼしてはならない」などの厳しい条件を付けられた。後年行われた大規模改良工事の時も公園の環境保全には特に注意が払われていた。
太平洋戦争末期に陸運統制令による強制収用で当駅 - 日暮里駅間の営業を休止し、下り線を三線軌条化した上で地下線内に国鉄車両を搬入して指令設備などが置かれたが、実際にはあまり使用されなかったと言われている。また、上野駅構内を軍需工場に転用するための検討が行われ、機材の配置図面作成や条件交渉が行われているうちに終戦を迎えたという。営業再開時点では下り線の軌道復元および車両撤去が遅れており、上り線を使用しての単線運転としたという。なお、文献によっては、省電の避難場所や学童疎開列車の発着場所として使われたなどといった記述 もあるが、真偽ははっきりと分かっていない。
2019年ダイヤ改正前は京成を省いて「上野」と駅名表記、案内されることがあった一方、従来から正式駅名で表記される標識類も多くみられた京成の駅の一つである。
島式ホーム2面4線を有する地下駅で京成本線のターミナル駅である。上野恩賜公園の真下に立地する。地下2階建の構造となっており、地下1階がコンコース、地下2階がプラットホームである。駅改装工事に際して、各階段にエスカレーターが設置されたほか、バリアフリー対応のため、正面口の階段横および、コンコースとホームと連絡するエレベーターも設置されている。またコンコース改札内にバリアフリー対応のトイレが設置されている。
コンコース上の発車標は、他の駅と同じLED式(それ以前は幕式)を使用していたが、成田空港線(成田スカイアクセス)開業を迎えた2010年からはフルカラーLCD式が使用されている。
初代の自動改札機は1976年に設置された。1990年代に更新・増設された時は、中央の有人通路がAE100形の先頭車をモチーフにした「スカイライナー」専用改札口とされた。その後は、専用改札は無くなり、通常の自動改札機に変更された。現在では幅広型の自動改札機を、中央右側に2台設置している。(写真参照)
NTTBPの公衆無線LAN設備が設置されており、docomo Wi-Fiが利用できる。またUQコミュニケーションズの公衆無線LAN設備が設置されており、Wi2の公衆無線LANサービスが利用できる。
開業時の駅本屋は、現在の当駅正面口から中央通りを隔てて対面になる位置に建設され、「京成聚楽ビル」「上野京成ビル」等の名称があった。設計は久野節である。同ビルは全階に大日本食堂(現:聚楽)の運営する飲食店が入居していた(戦前の古絵葉書には「京成聚楽」とともに「食堂・デパート」の看板がある)が、戦後は京成電鉄本社として機能し、その後1969年から1977年まで「上野京成ホテル」として使用された。末期にはヨドバシカメラ上野駅前店や飲食店等のテナントが入居し、ビル内の駅出入口も「アメ横口」として残されていたが、老朽化に伴い2006年に解体された。跡地にはヨドバシカメラのビルが建設され、ヨドバシカメラ マルチメディア上野となっている。
京成電鉄は2017年4月に駅のリニューアルに着手し、2019年3月に完成した。「スカイライナー」に乗り降りする訪日外国人が多いことから、改札外コンコースに観光案内所を設け、大きなスーツケースを持った旅行客が通りやすい幅広自動改札機を増設。駅内は「上野の杜(もり)」をイメージして木や石を多用したデザインにし、トイレの改修、飲食・物販店の増設などにより利便性を高めた。
ホーム上の発車標はフルカラーLED式のものが設置されており、日暮里駅や空港第2ビル駅・成田空港駅同様に英語放送も実施されている。
駅長配置駅で当駅のみの単駅管理。
地上出口と外部への連絡通路は合わせて6か所ある。
過去には、旧本屋にアメ横口、朝日生命ビル前に広小路口、上野公園内の駅直上に公園口が設置されていたが、いずれも現在はない(公園口のみ非常口として現存)。
上野中央通り地下歩道の建設前まで、かつて当駅コンコースとアメ横口を結んだ地下通路には「京成上野ステーションギャラリー」が存在し、通路の壁をガラス空間にして写真や絵画などの展示スペースとしていた。
正面口の右側の壁一面には、こいのぼりと風車をモチーフにした陶板壁画「風月延年」(メキシコの著名な日系人壁画家、ルイス・ニシサワの作)が設置されている。1981年9月26日に駅構内で設置され始め、後年現在地へ移設されている。
当駅と上野駅を一つの接続駅とした連絡運輸が実施されており、JR東日本線連絡定期乗車券が購入できる。駅構内の乗り換え案内表示ではJR線・銀座線・日比谷線に加えて都営大江戸線(上野御徒町駅接続)が表記されているが、こちらとの連絡運輸は行っていない。
全て改札外に設置されている。
2023年度の1日平均乗降人員は45,083人で、京成線全69駅中8位。隣駅である日暮里駅(94,963人)の半分以下である。
近年の1日平均乗降・乗車人員の推移は下表の通りである。
北東にJR東日本、東に東京メトロの上野駅があり、当駅は上野公園と繁華街の間にある。
(公園内施設である文化施設等については、上野恩賜公園を参照)
正面口付近に「京成上野駅」と「上野公園山下」の2つの停留所が立地する。このほか上野駅・御徒町周辺にバス停が散在する。詳細は上野駅#バス路線を参照。
Owlapps.net - since 2012 - Les chouettes applications du hibou