清風中学校・高等学校(せいふうちゅうがっこう・こうとうがっこう、英語: Seifu Junior/Senior High School)は、大阪府大阪市天王寺区石ヶ辻町に所在する私立男子中学校・高等学校。
清風学園グループの姉妹校として、学校法人清風南海学園が運営する清風南海中学校・高等学校(大阪府高石市)、学校法人清風明育社が運営する清風情報工科学院がある。
前身の大阪電気学校時代を含めると創立から約90年の歴史を有する名門進学校である。
高野山真言宗大僧正である平岡宕峯により1932年(昭和7年)創立された、大阪電気学校の堺分校を前身とする。高校の電気科に加え、1948年(昭和23年)に高校普通科を設置、中学校を併設する。
1949年、当時の大阪府知事赤間文三により、幕末の長州藩の藩政改革者村田清風に因んで「清風」と名づけられた。創設者の平岡宕峯は当時名だたる企業改革の仕掛け人であったため、村田清風の名前を頂いた。
1954年には商業科を設置しているが、その後電気科・商業科の募集を中止している。
仏教を中心とした宗教教育を実践している。
教育方針にも高野山真言宗の教えをベースに、「仏教を中心とした宗教による教育を行う」ことや「仏教の戒律を守る精神に基づき、ルールを守る大切さを体得させる」ことを掲げている。
最近、報道メディアなどで取り上げられた校則のこと。一部の生徒が、大阪弁護士会に対し人権救済を申し立てている。訴えを起こした生徒は、この校則を「普通の高校生がしている髪形。それすらできないのがうちの学校なんです」と批判している。清風中学校・高等学校に通っている生徒の一部は、この校則のことを「ブラック校則」と呼んでいる。だがその一方で、「自分で選んで入学しているのでとやかく言うのは違う」や「慣れれば不自由はない」などの意見もある。
なお、池谷幸雄は「同期の友人の中には40年以上一貫して清風カットの愛用者が居る」とスッキリでコメントしている。
大阪弁護士会は2023年3月に、髪が伸びている生徒に対して教員が無理矢理刈り上げたりすることなどが人権侵害に相当するとして、清風学園に対し改善勧告を出した。一方で、清風カットに関する校則については、「違憲・無効と断じることはできない」とした。
毎朝8時35分より実施される。内容は黙想、般若心経の読経、学校長・学園長・副校長の訓話、(毎週水曜日は学園長による腹式呼吸、暗示)、クラブ活動等の連絡するための収集である。雨天時は、放送にて教室で行われるが、小雨では運動場で行うこともある。その後、担任によるホームルーム約5分(内容は晴天時と同じ)。また、石井慧やダライ・ラマ14世など、オリンピック出場者や著名人などが訪れ、訓話をすることもある。但し、2020年6月以降、新型コロナウイルス感染症対策として、原則各教室にて朝礼が執り行われるよう変更された。般若心経は依然同様に執り行われている。
2023年9月以降、新型コロナウイルスが5類に変更になったことに伴い、高校3年生→高校2年生→高校1年生→中学生の順で日替わりで運動場での朝礼を再開した。
清風高校には生徒会は存在せず、学友会という名の組織が存在する。役職には、会長(1名)、副会長(2名)、書記(3名)がある。全校生徒による選挙は行わず、前期後期各初めの代議員会で推薦または立候補した者の中から各クラスの代議員により投票で選出される。
制服は、2013年入学者からは高校はブレザー、中学は6つボタン詰襟(立折襟)の独自デザインに変更された。ともに安藤彰彦デザイン。高校生のブレザーの上着胸元には校章に「SEIFU 1945」と書かれたエンブレムが縫い付けられており、ネクタイの色で学年を判別する。中学生は襟につける校章バッジの色で学年が判別できる。
2012年までの入学者の制服は高校・中学とも統一デザインのブレザーである。上着の胸元にはSと書かれたエンブレムが縫いつけてある。また、ネクタイは、紺、エンジ、グリーンの各色が用意され、学年が識別できるようになっている。このため、学年章は着用しない。かつてはあらかじめノット(ネクタイの結び)の部分が作られたワンタッチタイプのネクタイをホックでカッターシャツに固定する方式が採用されており、いわゆる通常のネクタイは希望購入制であったが、1990年代後半の校則改正により通常のネクタイに変更された。
1989年(平成元年)までは学ラン(紺色・黒ボタン)が制服であった。
体操服は、冬用、夏用ともに胸に大きく「SEIFU」のロゴが入り、冬用長袖上着は丸首トレーナー(スウェット)タイプ、夏用半袖上着は首周りと袖口がゴムの縁取りで絞られたタイプとなる。学年の識別は、冬用がトレーナーの色、夏用が首周りと袖口のゴム、ロゴの色で判別される。
2023年(令和五年)度入学者からは制ボストンバッグが廃止され、リュックサックに変更される。尚ボストンバッグにはあった徳健財の英語表記が削除されている。
英語・数学・理科に関して、教育研究所が設置されている。課外学習としてNIE(教育に新聞を)活動がある。これは記事を題材にフィールドワークや討論を行い高度な思考能力の獲得や社会問題の理解を目指すものであると説明されている。清風高校・中学はNIE実践校として活動しており、2003年には第10回の発表会(日本新聞協会・朝日新聞社・大阪府教育委員会・大阪市教育委員会主催)が「自然と人間の共生」をテーマに南校舎7階で開かれた。この学習の一環として北朝鮮による拉致被害者家族連絡会の蓮池透の講演会も催された。著名人を招いて講演会を催すこともある。1997年、2003年に日欧4人のノーベル賞受賞者を迎え「フォーラム21世紀の創造」が開催された。超伝導の理論の研究でノーベル賞を受賞したアンソニー・レゲット、同じくノーベル賞学者の江崎玲於奈らが講演を行っている。
2006年11月、2014年4月、2016年11月にはダライ・ラマ法王による法話会が開かれた。
また、学習面において、自習用教室を開放したり進路指導や長期休暇中は前・後期の補習講座や勉強合宿等で学力の向上を図っている。クラスのコース変更は一年に一回行われ、3か年の場合、文理コースの成績優秀者は理数コースへの転科が認められている。理数コースへ転科した場合は、原則全員が国公立大学進学を目指すことになっている。その分、学習環境は予備校を必要としない、問題演習が豊富なカリキュラムである。
そして、特に力を入れている活動について、読書論文指導部があり、その特別講師の先生方による読書感想文、小論文の添削を定期的におこない、推薦入試や、自己推薦型入試(AO入試)等の対策をしている。
その他、保護者との連携について、原則年3回保護者会・個人懇談会を開催し各家庭とは連絡を密にとって生徒の指導に役立てている。
コースは実力テストや定期試験などの成績により学年進級時に入れ替えがある。
施設は、北館(旧北校舎)(5階一部7階建て・1962年および1968年落成・2003年改築)・総合体育館(地下1階地上3階建て・1983年落成)・中央館(7階建て・2016年秋完成)と、片側2車線の道路を挟んで真向かいにある南館(旧南校舎)(地下1階地上7階建て・1982年落成)で構成されている。南館は、その他の施設がある北側の敷地と陸橋(大阪市に寄贈)でつながれている。
総合体育館は、地下1階には柔道場と剣道場が、1階には体育系クラブの部室が、2階と3階(一部を除く)には体育ホールが、屋上にはテニスコート(20m × 45m)がある。3階の一部にはトレーニングルーム(現在はフェンシング部の部室)と呼ばれるスペースがある。
校内の集会で、中学・高校の全生徒が集められる運動場は、コンクリートに人工芝の全天候型である。毎朝の朝礼は運動場で行われている。
運動部の部活動は、運動場や体育館のスペースを分け合う形で行われている。ちなみにグラウンドが狭いため、運動部の中には、清風南海学園のグラウンドや大阪城公園を使用する部もある。また、水泳部やヨット部は、プールがないため、運動場でトレーニングをしている。
2016年に新校舎中央館が完成した。まず、事務所棟を取り壊し新校舎の東側を作り、円形校舎および西校舎から中学校が移転された。その後円形校舎等を撤去し、校舎の西側を作って全体を完成させた。ここには食堂(従来は学校食堂がなかった)や大教室が作られたほか、円形校舎から器械体操室が移転した。屋上にはテニスコートが作られている。
北校舎7階には、総大理石造の「清風神社」がある。清風神社の祭神は天照大神であり、伊勢神宮の分社である。
かつて逢坂小学校にあったものを大阪に移して、校祖は偶然現在校舎がある土地を明け渡され、そこにこの神社があった。
2017年に完成。中央館一階に食堂、2階にフードコートがある。
2017年に完成。中央館3階から5階にかけてある。体育館として使用したり、卒業式などいろいろな時に使用される。
2017年に完成。説明会、保護者会などに使われる。
1月1日に行われる。参加は自由。
3月下旬(終業式・中学卒業式後)に、清風学園から高野山までの100kmを歩く。しかし、中学1年生は途中の泉ケ丘駅の30km地点で終了となる。2018年より中学2年生は55㎞になった。希望者による有料参加だが、ハイキングや富士登山等に参加することによって得られるポイントが基準を超えている必要がある。最後は高野山奥の院にある清風供養塔に参拝する。天候によっては途中で打ち切りになるが、その場合バスで清風供養塔に行く。
年4回、主に大阪府南東部や和歌山県北部・中央の山間部で行われる。希望者による有料参加。ルートは主に「100km歩行」のルートの一部であり、「100km歩行」の予行を兼ねている。
昼間歩行第1回(4月)および第2回(6月)が行われる。距離は10-15km程度で、和歌山県の山間部。区間は、「100km歩行」の和歌山県高野山手前付近および「第4回」の蔵王峠付近である。
第3回(9月・32 km)および第4回(11月・35 km)は、夜間歩行が行われる。
夏休み(約20日間)中の7月下旬に富士登山を行う。8合目か元祖7合目の山小屋に仮眠し、深夜に山小屋を出発して山頂でのご来光を目指す。各ルートの「山頂」でなく、最高峰の剣ヶ峰 (富士山)の横の山まで登る。しかし、2016年度は天候悪化のため、剣ヶ峰まで行けずだった。中学2年生から高校3年生までが参加できるが、高校3年生の参加は担任の許可が必要である。希望者のみの有料参加であるが、参加は抽選となる場合が多い。高校2年生のうち、参加経験のない希望者は抽選が免除され全員が参加できる。ただし、少なくとも1回はそれまでに開催されたハイキングに参加している必要がある。
8月20日頃から3泊ほどの日程で、学年により異なるが、中学生は観光目的で高校生はホテルに缶詰になって1日中勉強を行う。中学生1年生は7月に林間勉強合宿を行う。
2学期の始業式は9月1日ではなく9月3日としている。これは1950年9月3日に関西地方を襲ったジェーン台風により旧校舎が全壊し、学園存亡の危機が訪れたが、その後無事鉄筋コンクリートの校舎で学園が再建されたため、学園の新生記念日として9月3日を2学期の始業式としている。
9月初旬に2日間(金、土曜日)、行われる。文化部・運動部・クラスが、様々な展示や模擬店を出す。「体育館へ行こう」では、多数のバンドや漫才が披露される。
10月初旬頃に、中学校は京セラドーム大阪にて、高校は金岡公園陸上競技場(Osaka Metro御堂筋線新金岡駅から徒歩約10分)にて行われる。
11月頃に、大阪府立国際会議場(グランキューブ大阪)で行われる。中学生の全生徒を対象に催されているもので、各クラスがそれぞれ1曲唄い、学年毎にその巧拙を競う。
12月の冬休み中に希望者のみ有料で長野県方面横手山のスキー場(定員200名)で合宿を行う。中学1年生は全員参加する必要がある。(2月中旬頃に)
毎年、1月1日から14日間、大阪市天王寺区の四天王寺・六時堂で修正会(しゅしょうえ)が修せられ、14日の結願(けちがん)の日にどやどやが行われる。高校生は紅白ふんどし姿で参加する。
毎年5月に中学1年生および高校1年生を対象に行われる行事。修養行事ではオリエンテーションをしたり、高野山の高僧から講話を聞き、写経等を行う。また奥の院や清風供養塔にも参拝する。写経が終わると全員の写経を納め、全員が菩薩戒の受戒を受ける。修養行事には必ず参加しなければならず、参加しなかった場合原則進級できないとしている。
中学2年生は法隆寺・高校2年生では、法隆寺・薬師寺に日帰りで参拝する。
中学3年生・高校3年生では、伊勢神宮に日帰りで参拝する。近畿日本鉄道の団体専用臨時特急を使用するが、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、現在は全行事に於いてバスでの移動となっている。
附属の清風中学でのクラブ加入率は約8割である。尚、清風高校のクラブ加入率は6割である。土地の関係上、サッカー部は高校から加入可能であり清風南海高校の敷地などを利用している。なお野球部は創設者の思想により存在しない。
運動部では例年インターハイに出場する部が存在している。その中で特に体操部の実績は顕著であり、オリンピックをはじめとする国際大会にもOBが多数出場している。
テニス部も全国有数の強豪校として知られ、全国選抜高校テニス大会では3度の優勝と5度の準優勝を記録し、2010年現在男子部門で唯一第一回大会から連続出場を続けている高校でもある。2020東京オリンピックにも卒業生の北園丈瑠が出場した。文化系では電気部の高校生ITキング決定戦(平成13年-15年NHK放送)での3連覇、ロボコンも近畿上位校で好成績を残しており、皇居での歌会始の儀で4回の入選などが挙げられる。またM-1甲子園(全国高等学校お笑い選手権)(吉本興業主催)での優勝などの活動もみられる。
陸上部は、1978年から2008年まで全国高校駅伝に31年連続で出場した名門であり、2009年に倉敷高校に抜かれるまでは最長出場記録を保持していた。
毎年300人ほどの国公立大学合格者を輩出している。例年東京大学は数名、京都大学、大阪大学、神戸大学はそれぞれ10,30,15人強が合格している。早稲田大学、慶應義塾大学はそれぞれ5名。いわゆる関関同立は350人前後が合格する。また医歯薬系合格者は例年国公立に40人程、私立に85人程が毎年存在する。
なお、周辺に学校等教育施設が多数存在しており文教地区の一角を成す。
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