有胎盤類(Placentalia、ゆうたいばんるい)は、現生哺乳類の大半を占める系統群。他の2つの現生哺乳類の系統群は有袋類と単孔類である。仔が母親の子宮で比較的後期の発達段階まで育つという点で他の哺乳類と区別される。「有胎盤類」とは言うものの、実際には有袋類にも胎盤はあるが、しかし有袋類は未発達の仔が生まれ、育児嚢で大きく育てるという点で、有胎盤類とは異なる。
解剖学的特徴
以下の点で他の哺乳類と区別される。
- 骨盤 の底の開口部が広い。仔を相対的に大きなサイズで産むことが可能。
- 上恥骨の欠如(有胎盤類以外では存在。機能としては、移動中に体を引き締めることである が、有胎盤類では妊娠中の腹部の拡張を阻害するため、消失した。)
- 後脚の最縁位部の骨は、脛骨と腓骨の端によって形成されたソケットに収まり、完全な ほぞ継ぎ状の上部足首関節を形成。
- 腓骨の底に踝がある。
下位分類
レトロポゾンの存在/不在パターンの分析により、有胎盤類の分類が改訂された。現在、有胎盤類には、Boreoeutheria(北方真獣類)、Xenarthra(異節類)、Afrotheria(アフリカ獣類)の3つの系統が存在すると考えられている。
以下の巨目、上目および現生する目の分類は、Burgin et al. (2020) に従う。
- Atlantogenata 大西洋類(巨目)
- Xenarthra 異節類(上目)
- Cingulata 被甲目(アルマジロ)
- Pilosa 有毛目(アリクイ、ナマケモノ)
- Afrotheria アフリカ獣類
- Tubulidentata 管歯目(ツチブタ)
- Afrosoricida アフリカトガリネズミ目(テンレック、キンモグラ)
- Macroscelidea 長脚目(ハネジネズミ)
- Hyracoidea 岩狸目(ハイラックス)
- Proboscidea 長鼻目(ゾウ)
- Sirenia 海牛目(ジュゴン、マナティー)
- Boreoeutheria 北方真獣類(巨目)
- Euarchontoglires 真主齧類(上目)
- Lagomorpha 兎形目(ウサギ、ナキウサギ)
- Rodentia 齧歯目(ネズミ、リス、ビーバー、ヤマアラシなど)
- Scandentia 登木目(ツパイ)
- Dermoptera 皮翼目(ヒヨケザル)
- Primates 霊長目(キツネザル、メガネザル、新世界ザル、旧世界ザル、類人猿、ヒト)
- Laurasiatheria ローラシア獣類(上目)
- Eulipotyphla 真無盲腸目(モグラ、ヒミズ、トガリネズミ、ハリネズミなど)
- Chiroptera 翼手目(コウモリ)
- Cetartiodactyla 鯨偶蹄目(偶蹄類:ラクダ、イノシシ、キリン、シカ、ウシ、カバなどと、鯨類:ヒゲクジラ、ハクジラ)
- Perissodactyla 奇蹄目(ウマ、サイ、バク)
- Pholidota 鱗甲目(センザンコウ)
- Carnivora 食肉目(イヌ、ネコ、クマ、イタチ、アシカ、アザラシ、ハイエナ、ジャコウネコ、マングース、アライグマなど)
系統
Tarver et al. (2016) による
脚注
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