場外勝馬投票券発売所(じょうがい かちうま とうひょうけん はつばいじょ)とは、競馬が開催されている競馬場以外で勝馬投票券を発売する場所のことをいう。短縮して場外馬券発売所、場外馬券売場、場外馬券場、また単に場外とも呼ぶ。
複数の主催者の馬券を発売している施設もあり一部では同じ施設で名称が変わる場合もあるほか、他の主催者が所有する施設の一部を利用して発売する場合もある。
日本では(新)競馬法を衆議院で調査審議の際、当初原案にあった「入場者に対し勝馬投票券を発売することができる」旨の条文から下線部が削除され、競馬場以外でも勝馬投票券を発売することが可能になった。(新)競馬法を根拠とする場外馬券発売は、1948年12月に開設された「国営競馬銀座場外勝馬投票券発売所」で東京競馬を場外発売したのが始まりである。
日本中央競馬会(JRA)の発売システムを利用する発売所(一部の地方競馬場に併設されたものを含む)は「WINS(ウインズ)」「エクセル(有料定員制、一部の事業所は会員制)」、「ライトウインズ(小規模場外発売施設)」、JRAの各競馬場が非開催日に中央競馬の場外発売を行う場合は「パークウインズ(2001年9月より)」と呼称している。
一方、2013年3月23日から地方競馬共同トータリゼータシステムを利用した、地方競馬施設での中央競馬の場外発売が開始され、こちらは「J-PLACE」(ジェイ・プレイス)の呼称で区別される。なお、本項ではパークウインズを記載しない。
2023年1月時点で、JRAのシステム(開催日の中央競馬場、「ウインズ・パークウインズ・ライトウインズ」、「エクセル」)で発売された投票券と「J-PLACE」で発売された投票券には互換性がなく、JRAのシステムで発券・購入した勝馬投票券を「J-PLACE」で払戻したり、返還(買戻)を受けることはできない(逆も同様だが、一部例外あり。後述)。
一部のウインズでは2021年まで皐月賞、東京優駿、菊花賞、天皇賞(春・秋)、ジャパンカップ、有馬記念の各GIレースが開催される節の重賞競走において金曜日14時 - 19時に前日発売、前々日発売を行っていたが、2022年よりすべての発売所で金曜日発売は終了、金曜日発売は電話・インターネット投票のみとなった。
札幌市中央区には3か所、旭川市と釧路町には各2か所、販売主体の異なる発売所が存在する。
エクセル田無を除き、当日入場料を支払って入場できる有料定員制。順次インターネット予約制の事前販売に移行し、移行後の施設では原則として当日の現金販売が行われない。
投票券の発券施設表示はウインズとして扱われる。
池袋を除き、いずれも発売最終日を基準としている。
2020年に感染拡大した新型コロナウイルス(COVID-19)の影響により、当面の間営業終了時刻は14時まで(開催競馬場は17時まで)とされた。最新の情報は、JRAが都度更新する「営業最新情報」を参照。
主に地方競馬の施設を使用するウインズでは、発売する競走が限られている場合がある。
現在は大半の発売所で中央競馬の全競走を発売しているが、かつては以下の通り発売するレースが地域ごとに異なっていた。
※上記は標準例であり、一部では更に発売レースが限られていた。
発売日や発売する競走は施設ごとに異なるほか、発売締切時刻はすべての発売所において発走予定時刻の2分前となる。
なお、開催中止に伴う代替(続行)競馬開催時はJ-PLACEでの発売を行わないほか、地方競馬共同トータリゼータシステムのメンテナンス日と中央競馬開催日が重複した場合は発売・払戻業務とも行わない。
以下の内容は、2018年(平成30年)度の予定事項も一部含む。ここにない各発売所については、原則として平日の代替開催日を除くすべての中央競馬開催日・全レースで発売する。
J-PLACEで発売した勝馬投票券の払戻・返還は、原則としてJ-PLACEでのみ行う。券売機には日本トーター製、富士通フロンテック製、日本ベンダーネット製の3種類のものがあり、異なる機種で購入されたものには投票券の照らし合わせに時間がかかる場合がある。
ただし、以下の施設ではJ-PLACEで発売した勝馬投票券の払戻・返還のみ取り扱う。
JRAは2009年10月に宮城県塩竈市で検討していたウインズ塩竃(仮称)の設置を断念した。JRAは断念理由として「売り上げが低迷している上、ウインズよりもインターネットなどで馬券を買う電話投票の割合が多くなり、開設しても赤字になる」と採算上の問題を挙げている。
2022年には、宮城県仙台市青葉区中央2丁目に馬券の販売を行わず、競馬の中継観戦に特化とした「競馬観戦施設」の設置を検討していると報じられた。これは売り上げの中核が場外馬券場からネット投票にシフトするなか、競馬未経験でインターネットに親和性の高い若者世代へのPRが必要とされていることから、このような広報施設が計画された。なお馬券の販売を行わない「映像提供施設」であるため、開設に必要な特別な行政手続きはない。
JRAは2022年10月6日に、新しい形での競馬の魅力を発信し、競馬の認知度を高めていくことを目的として、馬券の発売を伴わない映像提供施設「VIESTA(ヴィエスタ)」を11月26日に開設することを発表した。
開催競馬場の外向場外馬券発売所(開催中の競馬場で入場料を払わずに勝馬投票券が購入できる窓口)は除く。原則として施設は単一の主催者が管理しているが、一部は複数の主催者が共同で管理する施設もある。また、管理を行っていた競馬場の廃止により、他の主催者に移管された施設もある。
地方競馬共同トータリゼータシステムのメンテナンス日は全国の地方競馬が一斉に休催となり、払戻業務も行わない。
2020年に感染拡大した新型コロナウイルスの影響により、当面の間一部の施設で入場者数が制限される場合がある。最新の情報は、地方競馬全国協会(NAR)が都度更新する「入場再開情報」、および「地方競馬場外発売施設 再開状況 (PDF) 」を参照。
複数の主催者が発売する馬券を広域場外発売する。発売する競馬場は主に南関東が中心であるが、ある程度地域性を考慮した発売スケジュールを組んでいる。その他の競馬場についても、一部の競走を同時発売やリレー発売している。「BAOO」(バオー)を冠する施設は、すべて株式会社日本レーシングサービス(NRS)が発売業務を受託し運営している。
ホッカイドウ競馬が門別競馬場で、ばんえい競馬が帯広競馬場でそれぞれ開催を行っている場合は本場(開催競馬場)扱いとなる。
ホッカイドウ競馬とばんえい競馬は相互に場外発売を行うほか、ホッカイドウ競馬は南関東、ばんえい競馬は南関東や岩手を中心とした他地区の競走を広域場外発売している。
ホッカイドウ競馬・ばんえい競馬ともに相互・広域場外発売を行う場合は、発売主体となる主催者に準じて全ての賭式を発売する。
ホッカイドウ競馬が主管する発売所は、門別・岩見沢を除き「Aiba(アイバ)」の呼称でほぼ統一されている。ばんえい競馬が主管する発売所には「ハロンズ」という愛称が一部あるものの、近年新設された発売所では使用しておらず、すべての発売所に対する統一呼称とはなっていない。
ホッカイドウ競馬が主管する発売所のうち☆印は、一部の日程でばんえい競馬の発売を行わない(2015年11月 - 12月現在)。
下記の競馬場のうち1箇所で開催、もう一方では場外発売を行う。南関東など他地区の広域場外発売も行っている。
下記の4競馬場のうち原則として1箇所で開催、その他の競馬場では場外発売を行っている。特に記載のない発売所では、南関東公営競馬の全競走を発売している。
名古屋競馬場と笠松競馬場は交互に開催し、開催を行わない競馬場では場外発売を行っている。金沢競馬場は名古屋・笠松と日程調整などで連携し、場外発売も行う(詳細は各競馬場の記事を参照)。中京競馬場では2002年以降地方競馬の開催が行われておらず、名古屋競馬・笠松競馬を中心とした場外発売のみを行っている。
園田競馬場・姫路競馬場の場外発売を中心に、他地区の競走も広域場外発売している。
高知競馬場の場外発売を行っているほか、非開催日には主に南関東を広域場外発売している。
佐賀競馬場の場外発売を中心に、他地区の広域場外発売も行っている。
フランスでは、フランス場外馬券発売公社(Pari Mutuel Urbain、PMU)が1930年より馬券の発売を行っている。PMUの場合、単独の場外馬券売り場を持つことは少なく、街中にあるカフェに販売を委託しているケースが多い。PMUはフランスにおける馬券のプロモーションを目的に他のスポーツのスポンサーも務めており、1991年から2014年にかけてツール・ド・フランスのスプリント賞ジャージであるマイヨ・ヴェールのスポンサーとなっていたほか、2014年からはパリ・サンジェルマンFCのスポンサーにもなっている。
また2010年にフランス国内法の改正で、PMU以外の組織も(国からの認可を得た上で)馬券を発売することが可能になったため、同年にフランスの競馬新聞「Paris Turf」系列の「Le Turf」が場外馬券の発売業務に参入している。
オーストラリアでは「TAB」と呼ばれる店舗が場外馬券発売所となっており当日開催されている国内各地の競馬の馬券を購入、的中馬券の換金が可能である。TABでは競馬だけではなくサッカーのロトくじ等も発売されているほか、パブ(オーストラリアでは「ホテル」と呼ばれる)が併設されている店舗も多く軽食を取りながら競馬を楽しむ事が出来る。
アメリカでは、カジノが認められている州において、カジノに併設された「レースブック」(レース以外のスポーツベッティングを扱う場合は「スポーツブック」)内でアメリカ国内競馬開催の馬券を購入することができるケースが多い。これは隣国カナダも同様である。
カジノ内のレースブックでは入場料を取られることは基本的にないが、カリフォルニア州ロサンゼルス市には入場料を必要とする場外売場が存在する(ただしここはハリウッドパーク競馬場跡地にあるカジノ施設でもある)。
なお、アメリカ競馬ではブックメーカー方式での発売は違法であることから、レースブックでも場外売場でも、必ず主催者の集計機に接続される形で発売される。多くのレース場において、発売締切はレースの発走と同時となっている。
シンガポールでは、競馬の主催団体であるシンガポール・ターフ・クラブが馬券の発売に関する業務をスポーツベッティング運営のSINGAPORE POOLSに受託され、現在ではスポーツベッティング窓口の一部と、数か所の場外売場において場外馬券が発売されている。場外売場は2種類あり、中継がリアルタイムに行われる場外と、ディレイド・ライブでレースの模様を伝える場外となっている。スポーツベッティング窓口で馬券を購入する場合は入場料は課されないが、単独の場外施設である場合は入場料が必要となる。2022年7月現在の入場料はリアルタイム場外型では6シンガポールドル、ディレイド・ライブ型場外では3シンガポールドルとなっている。また、袖なしシャツ・帽子・サングラス不可といったドレスコードも単独の場外施設においては適用される。
香港では繁華街を中心に多数の場外馬券売り場が設置されており、競馬開催日には多くの競馬ファンが入れ替わり立ち代りに訪れ混雑している。また、郊外には日本で言うエクセルのような指定席型場外売り場も存在する。
施設の大きさはまちまちで、馬券発売窓口の数に違いがある。また、運営元である香港ジョッキークラブが取り扱っている日本を含めた世界各国のサッカーを対象にしたサッカーくじやロトくじ(六合彩/MARK SIX)も発売しており、これらを含めて自動発売機で購入することもできる。このため、郊外の施設でなければ、競馬開催日であるか否かに関わらず、夜遅くまでほぼ年中無休で開いている。
発売締切については、単独レースで決着する馬券については当該レースの、複数レースにまたがり決着する馬券についてはその中で最も早く発走するレースの発走した瞬間となっている。
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