『若さま侍捕物帳』(わかさまざむらいとりものちょう)は、1978年(昭和53年)5月18日から10月19日までテレビ朝日系列にて毎週木曜日20時から20時54分に放映されたテレビ時代劇。田村正和主演。全18回。
概要
城昌幸の小説『若さま侍捕物手帖』を原作としている。ただし、主役の「若さま」は曲独楽の使い手で、居候先では船頭も務めるなど、登場人物の設定に本作独自のアレンジが見られる。
主演の田村正和は『眠狂四郎』(フジテレビ)や後年の『乾いて候』(フジテレビ)など、時代劇作品でもニヒルで虚無的なイメージが強いが、この作品では「べらんめぇ口調」で“粋でいなせな江戸っ子”を演じ、新境地を開いた。テンションの高い演技で画面狭しと走り回り、最後の殺陣でも派手な立ち回りを見せている。
あらすじ
世は腐敗した天保時代。実は「さる大名の御落胤」だが、普段は船宿・喜仙の居候で船頭の“若さま”は、その持ち前の正義感から、髪結いの櫛巻きお紺、目明しの小吉と共に、江戸の街にはびこる悪を斬る。
キャスト
- 若さま - 田村正和
- 船宿「喜仙」の船頭をしているが、実はさる大名の御落胤。人情に厚く、おせっかい焼き。何か事件が起こると仕事そっちのけで江戸の町を縦横無尽に走り回り、悪事の証拠をつかむ。そして最後は着流し姿で乗り込んで行き、圧倒的な強さで悪人どもを一人残らず討ち果たす。
- なお、母方の祖父は曲独楽使いの名人で、若さまもその技を会得しており、悪人の元に乗り込む際、祖父仕込みの独楽を悪党に投げつけ、倒れた相手の額で独楽を回す秘技「命独楽夢幻」を披露する。
- 櫛巻きお紺 - ジャネット八田
- 第1話である事件を追っていた元同心、原田(伊吹吾郎)に惚れて手を貸していたことでたまたま同じ事件を追うことになった若さまと知り合う。
- 原田は悪人の手によって殺害されてしまうが、若さまがその仇を討ったことから仲間となる。
- 神田左京 - 嵐圭史(第2話、第3話を除く)
- 江戸北町奉行所同心。真面目生一本の性格のため、時折若さまの行動に頭を痛めたりする。
- 佐々木俊蔵 - 瀬川新蔵
- 江戸北町奉行所吟味方与力。女癖・酒癖が悪いのが難点で、そのせいで第9話で失態をしでかし、風烈廻り同心に格下げになる。
- お糸 - 佐藤万理
- 茂吉 - 村田吉次郎
- 鶴吉 - 時任やまと
- お里 - 大山貴子
- 遠州屋小吉 - 松山省二
- 左京の配下の目明しだが、実質的には若さまの子分的存在である。
- おふじ - 市原悦子(第3話を除く)
- 絵草紙・錦絵「一文字屋」の女主人。若さまの母親的存在の女性。
- 喜平 - 伊藤雄之助(第2話、第3話を除く)
- 船宿「喜仙」の主。見た目は好々爺だが、実は裏社会において一目も二目も置かれる存在。腕に花札の「芒に満月」(一般的には「二十坊主」と呼ばれる)の彫り物をしているところから、「二十坊主の親方」の二つ名を持つ。
- なお、彼の腹心の子分には「芒に満月」の札を割符にした物を渡してあり、若さまも持っている。
- 矢部駿河守 - 中村梅之助
- 江戸北町奉行。若さまの後見的存在。若さまのことは「わの字」と呼んでいる。人情味があり役職を鼻にかけることもなく、悪には厳しく下々には優しい。そのため部下だけでなく、江戸八百八町の人々から慕われている。
- 剣術の腕前も相当なもので、第18話では圧倒的多数の旗本(くずれ)を相手に一人で立ち回り、次々に斬り捨てていく。最終的には生き残りを戦意喪失させて逃げ出させた上、自分はまるで無傷であった。
スタッフ
- 原作:城昌幸
- 脚本:和久田正明、東條正年、石森史郎、高橋二三、土橋成男
- 監督:松尾正武、河野寿一、山崎大助
- 音楽:加納光記
- 主題歌:市川光興「夕陽のまつり」
- ナレーター(予告):鈴木瑞穂
- 江戸独楽:やなぎ女楽、広井正昭
- 殺陣:山口博義
- 現像:東洋現像所
- プロデューサー:鈴木潔、福富哲
- 制作プロデューサー:駒井憲二、戸井公平
- 制作:前進座、国際放映、テレビ朝日
放映リスト(サブタイトルリスト)
脚注
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