eK(イーケイ)は、三菱自動車工業が製造・販売している軽トールワゴン(2代目までは軽セミトールワゴン)のシリーズ商標である。水島製作所(別名・水島工場、岡山県倉敷市水島)で製造されている。
「excellent K-car」の頭文字であると同時に「いい軽」の語呂合わせ。その名の通り、「いい軽」を造ろうというプロジェクトに由来する。
本項では、eKワゴン(イーケイ・ワゴン、初代・2代目: eK・WAGON、3代目・4代目: eK wagon)を中心としたシリーズについて主に記述し、シリーズのバリエーションと変遷については便宜上、派生車種や日産自動車から発売されている関連車種についても述べる。
初代モデルは単純かつ素朴なデザインが評価され、デビュー年次の2001年度グッドデザイン賞(商品デザイン部門)では軽自動車で唯一受賞を果たした。生産台数は50万511台。
eKシリーズで初めに販売された車種。基本機構をミニカおよびトッポBJから流用し、当初はコラム式3速ATのみの設定で、4WDは選べるものの、当初はターボは用意されていなかった。ルームライトやミラーについて、ダイハツ・ムーヴの部品を流用する等、実用的な軽乗用車全体的に見ても極めて異例なほどの割り切った仕様により安価を実現。インパネは、最初から2DINオーディオスペースが採用されていた(のちに三菱製軽自動車は全車2DINとなる)。ベーシックで性別や年齢を問わないデザインや、同時期に発売されたSUVのエアトレック同様機械式駐車場に入る1,550mmに抑えた全高が特徴。また、三菱の販売チャネル統合前はカープラザ店で取り扱っていた唯一の軽自動車でもあった。センターメーターが採用されており、MT車も設定されていた。
2002年9月追加、販売開始。eKシリーズのスポーツモデル。スポーティーな外観に仕立てている。アナログスピードメーターのみのワゴンと違ってデジタルスピードメーターとアナログタコメーターを装備する。自然吸気エンジンのほかeKシリーズで初となるターボエンジン、レカロシートがラインナップされた。トランスミッションはすべてコラム式ATを採用しており、MTは開発段階から未採用となっている。
14インチアルミホイールはENKEI製で、中心部は三菱マークの入ったプラキャップでナットが覆われていた。
2003年5月追加、販売開始。2005年11月生産終了。同年12月販売終了。eKシリーズの上質系クラシックモデル。外装をクラシック調にした他、各種装備を上質化しeKワゴンと差別化をしている。遮音性の向上、サスペンションチューニングで快適性の向上も盛り込まれた。エンジンは自然吸気エンジンのみ。
2004年5月追加、販売開始。eKシリーズのクロスオーバーSUVモデル。当時の軽自動車市場では珍しかった正式なクロスオーバーSUVとして発売された。メーター周りはeK・SPORTと同じ。最低地上高のアップやいわゆる「ブーレイ顔」の流れを汲む大型のバンパー、大径タイヤ、ビルトインタイプのルーフレールなどが特徴。エンジンは自然吸気エンジン(V)とターボエンジン(VT)を設定。最低地上高アップにより、機械式駐車場に入らない可能性がある。eKワゴン/eKスポーツのフルモデルチェンジと同時に販売終了。その後、eKワゴンの4代目へのフルモデルチェンジと同時に設定されたeKクロスが実質的な後継車となる。
eKワゴンのスポーツモデル。デザインが異なるボリカーボネイト製フロントグリル、ディスチャージヘッドランプ、フロント/サイド/リアエアダム、ルーフスポイラー、アルミホイール、ハイブリッドメーター(アナログ&デジタル)を標準装備とする。また、先代と同様にレカロシートをメーカーオプションで用意する。なお、14インチタイヤを標準装備とするグレード(R)は、全高が1,570mmとなるため機械式駐車場に入庫できない場合もある。当初eKワゴンで採用された電動スライドドアモデルは用意されていなかったが、後に追加された。eKワゴンのフルモデルチェンジにより販売終了。後継車はeKカスタム(後述)。
2代目まで販売されていた「eKスポーツ」の後継車として設定されたスポーティモデル。eKシリーズ全体では3代目のスポーツモデルとなるが、「eKカスタム」としては当代が初代となる。フロントデザインは大型のクロムメッキグリルとディスチャージランプを組み込んだヘッドランプで精悍な印象としたほか、バンパーを大型化し、サイドエアダムやリアスポイラーを装備したことで力強さと安定感のあるデザインとしている。内装色はブラックをベースとし、シート生地には縦柄のスウェード調ファブリックを採用している。
2015年10月改良型はクロスオーバーSUVであるアウトランダーの2代目・2015年6月改良型モデルで採用したフロントデザインコンセプト「ダイナミックシールド」を導入し、バンパーセンターをグロスブラックに変え、バンパー下部にはLEDイルミネーションを配してクロームメッキで縁取り、「T Safety Package」は15インチアルミホイールにダークグレー塗装と切削光輝処理を施した。
ボディカラーはeKワゴンとの共通カラー4色(ホワイトパール(オプションカラー)、スターリングシルバーメタリック、ブラックマイカ、レッドメタリック)と、eKカスタム専用色2色(パープリッシュネイビーパール(オプションカラー)、ライトニングブルーマイカ)の6色を設定する。
eKワゴンのフルモデルチェンジに伴い販売終了。前身のeKスポーツから続いたeKワゴン派生のスポーティモデルはこの代で途絶えた。
日産自動車が販売するデイズとはグレード体系・外観・装備内容などが大きく異なる。
グレード体系においてはeKカスタムにおいて、デイズのスポーティモデルであるデイズハイウェイスターの「ハイウェイスターJ」に相当するAS&G(アイドリングストップシステム)非装備の廉価グレードが設定されなかった(なお、「ハイウェイスターJ」は2015年10月のマイナーチェンジに伴い廃止)。
外装はフロントデザインが異なり、eKワゴンは2本のクロムメッキラインを配した光沢ブラックのフロントグリルを採用、eKカスタムは太い2本のクロムメッキで配したフロントグリルを採用。フォグランプ廻りを含めたフロントバンパーも異なり、ekワゴンにおいてはヘッドライトも専用品となる。また、フルホイールキャップやアルミホイールのデザインも異なる。Aピラーより後部はリヤコンビネーションレンズも含め、デイズと共通である。
装備内容に関しては以下の違いがある(以下の内容は2018年5月改良モデル時点でのもの)。
ボディカラーは、eKワゴンとデイズで白系の設定色が異なり、eKワゴンは全グレードで「ホワイトソリッド」と「ホワイトパール(オプションカラー)」が設定されているため、販売開始当初はデイズよりも1色多い8色展開だった(eKカスタムとデイズハイウェイスターは同じ4色展開)。また、カラーバリエーションは販売開始当初、「ホワイトソリッド」、「ホワイトパール」、「クールシルバーメタリック」を除いてカラー名称が置き換わるものの、バリエーションはデイズと共通となっていた。
2014年の一部改良でデイズと異なるカラーバリエーションとなり、eKではデイズ共通カラーの「アゼリアピンクメタリック」と「ピンクゴールドメタリック(eKスペースでの「アンティークゴールドメタリック」に相当)」は設定されず、替わりに「レッドメタリック」が設定された。さらに、オプションカラーの茶系色はeKワゴンは3代目へのフルモデルチェンジ当初からある「チェリーブラウンパール」、eKカスタムは2014年6月の一部改良時に追加した「ショコラブラウンパール」と異なる色設定となっている(デイズではデイズ専用色の「レディッシュマルーンパールメタリック(eKでの「チェリーブラウンパール」に相当)」と入れ替えで、デイズ/デイズハイウェイスターの共通カラーとして「モカブラウンパール(eKでの「ショコラブラウンパール」に相当)」が設定されている。これにより、eKワゴンとデイズは同じ9色展開となり、eKカスタムはデイズハイウェイスターよりも1色少ない6色展開となった。
2015年10月のマイナーチェンジにより、eKワゴンにてボディカラーの一部入れ替え(eKカスタム専用色化への移行を含む)が行われたが、デイズがカラーラインナップを拡大したことで、eKワゴンはデイズよりも2色、eKカスタムはデイズハイウェイスターよりも4色少ない展開となった。
2017年1月の一部改良でeKワゴン/eKカスタム・デイズ双方でボディカラーの入れ替えが行われ、eKでは未設定だった「オーシャンブルーパール」が、三菱での名称である「ライトニングブルーマイカ」に名称を戻しeKカスタム専用色として追加された。なお、デイズ/デイズハイウェイスターに追加された「プレミアムサンシャインオレンジ4コートメタリック」はeKワゴン/eKカスタムでは未設定となる。
2018年5月の一部改良でもeKワゴン/eKカスタム・デイズ双方でボディカラーの一部入れ替えが行われたが、「オークブラウンメタリック」はeKワゴン専用色でデイズでは未設定、デイズの「X」およびハイウェイスター専用色として追加された「プレミアムオリーブメタリック」はeKワゴン/eKカスタムでは未設定となる。
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