![飯島栄治 飯島栄治](/modules/owlapps_apps/img/nopic.jpg)
飯島 栄治(いいじま えいじ、1979年9月16日 - )は、将棋棋士。桜井昇九段門下。棋士番号は236。「飯島流引き角戦法」で知られる。東京都江東区出身。
1991年、江東区立平久小学校6年生(出場時は5年生)のとき、第16回小学生将棋名人戦で準優勝。決勝戦の相手は、後に多数のアマチュア棋戦で実績を上げ、プロ公式戦でも棋士を相手に互角の勝負を演じた清水上徹であった(戦形は相矢倉)。同年、奨励会の入会試験に合格。入会から6年半をかけて三段昇段し、三段リーグ4期目の1999年度・第26回三段リーグを2位の成績で通過して2000年4月に20歳でプロ入り。(同回三段リーグの1位は当時15歳の渡辺明)
初参加から3期目の第16期(2003年度)竜王戦6組で準優勝。決勝で高野秀行に敗れ本戦進出はならなかったが、5組昇級。
第62期(2003年度)C級2組順位戦は最終局までライバル上位4名との昇級争いとなった。その最終局で飯島は勝って8勝2敗としたものの、4名中3名が勝ったため次点(4位)で一歩届かなかった。しかし、次の第63期(2004年度)では近藤正和とともに開幕8連勝。最終成績を9勝1敗・1位として、C級1組へ昇級した。
第32期(2006年度)棋王戦で予選を突破し、本戦の挑戦者決定トーナメントで渡辺明を破って3回戦進出(深浦康市に敗れる)。
第18期(2005年度)、第19期(2006年度)の竜王戦5組では、2期連続で残留決定戦に回ってから降級を免れるという苦戦であったが、第20期(2007年度)では5組準優勝で4組へ昇級。さらに第21期(2008年度)竜王戦4組の3位決定戦で勝って3組に昇級し、竜王戦連続2回昇級により六段に昇段。
第15期(2007年度)銀河戦の本戦(ブロック戦)で、鈴木大介、行方尚史らを破るなどして4連勝で決勝トーナメント進出。さらに、決勝トーナメントでは藤井猛、羽生善治を破ってベスト4入り(準決勝で渡辺明に敗れる)。
第58回(2008年度)NHK杯戦で本戦出場し、三浦弘行らを破って3回戦(ベスト16)に進出(羽生善治に敗れる)。
順位戦ではC級1組に上がってから4期連続で7勝3敗であったが、5期目の第68期(2009年度)は、1戦目で広瀬章人に負けた後に全て勝ち、9勝1敗・2位でB級2組へ昇級した。
第22期(2009年度)竜王戦3組では準決勝で負け、3位決定戦(敗者復活)でも敗退した。しかし、1組の中原誠の引退による次期の2組の欠員補充のため、3度目のチャンスとなる追加の昇級者決定戦(5位決定戦)が組まれ、この一局で野月浩貴に勝ち2組へ昇級。さらに、第23期(2010年度)竜王戦2組では、3位決定戦(2010年10月22日)で島朗に勝ち、4期連続昇級で1組に初昇級(七段昇段)。6組から参加した棋士で、一度も本戦に出場していない状況での1組昇級は、中川大輔・橋本崇載に次いで史上3人目である。
第25期(2012年度)竜王戦1組でも準決勝で深浦康市に敗れたが、一局勝負の1組3位本戦出場者決定戦で橋本崇載に勝ち、自身初の本戦出場を決めた。決勝トーナメントで2組優勝の佐藤天彦に勝ち、準決勝進出の大健闘を見せた(山崎隆之に敗れた)。
第62期王将戦(2012年度)では、定員僅か7名(予選を勝ち抜く枠は3名)の難関とされる王将リーグ入りを果たしたが、1回戦から順に郷田真隆・渡辺明・豊島将之・深浦康市・羽生善治・久保利明に敗れ、6戦全敗に終わった。
第74期(2015年度)B級2組順位戦では、7回戦を終えた時点で6勝1敗、同星で順位上位の糸谷哲郎及び野月浩貴を追う展開で迎えた8回戦は糸谷との直接対決であったが、これに敗れて2敗で4番手に後退した。しかし飯島は残り2局を連勝し、1番手の糸谷・2番手の阿部隆・3番手の野月はいずれも残り2局を1勝1敗としたため、飯島の最終順位が2位に繰り上がり、B級1組昇級を決定させた。初のB級1組順位戦となった第75期(2016年度)は、3勝9敗という結果で1期でB級2組へ降級となった。以降も順位戦における成績が振るわず、B級2組に出戻っていた第77期(2018年度)において降級点を喫し、第78期(2019年度)でも4勝6敗であるにもかかわらず不運にも降級点を喫してしまいC級1組に陥落してしまった。
2021年2月2日の第79期順位戦C級1組で高橋道雄九段に勝ち、七段昇段後190勝の規定により八段へ昇段した。七段への昇段が2010年であったため、「長かった。長かったです。10年かかりましたよ。長かったです…」と語った。翌期の第80期順位戦C級1組では7勝3敗でB級2組への復帰を決めたが、2023年度の第82期順位戦では再びC級1組へ陥落が決まった。
2021年度の第69期王座戦では、久保利明、深浦康市を破り、ベスト4進出を果たした。2024年度の第65期王位戦では予選で郷田真隆、池永天志らを破り、棋士になって24年目に初めて王位リーグ入りを果たした。結果は王位リーグ最終日に羽生善治に勝ったものの、1勝4敗で陥落した。
居飛車党で、相居飛車戦では、相矢倉・横歩取り・角換わり・相掛かりといった主要戦法を一通り指す。特に、先手番での相掛かり6八玉型を得意とする。振り飛車相手の場合は、穴熊や後述の引き角戦法といった手堅い駒組みをすることが多い。
攻めの棋風で、いわゆる‘足を止めてのパンチの応酬’や、自分の大駒を早めに見切るなどの華々しい指し手が、しばしば見られる。
四間飛車対策(特に藤井システム対策)の一つとして飯島が編み出した戦法を、「飯島流引き角戦法」と呼ぶ。
右図は、その実戦譜の一つである(上述した銀河戦)。オーソドックスに△3四歩と突いて角道を開けるのではなく、3一の銀を真っ直ぐ3二銀に上がり、2二の角を3一(右図)→5三と移動させ、その後、玉を2二に持っていき美濃囲い(左美濃)を完成させる。
飯島はこの戦法で、第37回将棋大賞の升田幸三賞を受賞した。
なお、受賞から間もなくテレビ出演した際、「今回の受賞を機に、新しく、自分らしく、ファンに注目され、かつ、勝てる将棋を探したい」との旨を語り、なおも新戦法の開発を目指す意気込みを表明した。
昇段規定は、将棋の段級 を参照。
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