全仏オープン(ぜんふつオープン、フランス語: Les Internationaux de France de Tennis, Roland-Garros, 英語: The French Open)は、テニスの4大国際大会であるグランドスラムの一つである。5月末から6月初めにかけて、フランスの首都パリにあるブローニュの森に隣接するスタッド・ローラン・ギャロス(Stade Roland Garros)で開催される。大会の運営はフランステニス連盟(FFT)が行う。
飛行家ローラン・ギャロス(1888年 - 1918年)の功績を称えて、会場にはギャロスの名前が冠されている。そのため、本大会は「ローラン・ギャロス・トーナメント」(Le Tournoi de Roland Garros)とも呼ばれる。
全仏オープンはグランドスラム大会(4大大会)で唯一、クレー(赤土=レンガの粉)コートを用いることで知られており、他の大会とは違った展開が楽しめる。また、他のグランドスラム大会とは異なり、全仏オープンのみ開催が日曜日から始まり15日間の開催日程となっている。
毎年の大会は展開が波乱に富み、上位シード選手の早期敗退も多い。たとえば、ピート・サンプラスは男子歴代4位(達成当時は歴代1位)の「14度」他のグランドスラム大会を制しながらも、全仏オープンだけは最後まで制覇できなかった。2000年代以降の最強テニスプレーヤーの系譜であるロジャー・フェデラーですら優勝経験は1度のみである(2022年現在)。歴代の男子シングルス優勝者には、同大会14度の優勝を誇るラファエル・ナダルのような「クレーコート・スペシャリスト」が優勝の大半を占める傾向があり、キャリア・グランドスラムを目指す最大の障壁となっている。
フランス人の観客の中で多くの選手はいわゆる「アウェイ」での戦いを強いられ、技術だけではなく強い精神力が勝敗を左右する。たとえば、地元フランスの選手との対戦では相手のアンフォーストエラーによる得点でも観客によるブーイングが起きることがある。最も過酷なトーナメントとも言われるグランドスラム大会である。
この大会は、場内アナウンス、審判のコールその他は全てフランス語で行われる。また、選手が優勝スピーチの一部をフランス語で行うことでも知られている。
この大会の結果を受けて更新される世界ランキングに基づいて出場選手が決められるため、オリンピックでテニスが復活して以降、オリンピックイヤーの大会はその最終選考会となっている。ランキングだけでは特定の国に選手が偏るため、1か国の出場枠が最大4人と決められており、強豪国の選手にとってはこの大会で勝ち抜くことがオリンピック出場権獲得のための絶対条件である。
全仏オープンの優勝カップは、男子はムスクテール・カップ (en) (ムスクテールとは四銃士に由来)(1981年制作)、女子はスザンヌ・ランラン・カップ (fr) (1925年制作)と呼ばれる。オリジナルはFFT本部に保管され、通常は優勝者の表彰式の時にだけ外に出される。優勝者はオリジナルのカップに触れることはできるが、記念として渡されるのは一回り小さく作られたレプリカである。
フランス国内ではフランス・tv(2027年まで)とPrime Video(ネット放送(コート・シモーヌ・マチューとナイトセッション))で、アメリカ国内ではNBCやテニス・チャンネルなどで放映されている。
日本では2024年現在、衛星波でWOWOWが放映権を持っている。また、WOWOWオンデマンド(ネット放送)も同時に行われている。地上波の各系列のスポーツニュースで同大会の映像素材を提供する際は、衛星波のWOWOWから協力したものを使用している。
2021年までは地上波としてはテレビ東京も放映されていた。なお、民放局ではテニスの四大大会を中継していたのはテレビ東京が唯一でもあった。
テレビ東京では1983年から2021年まで日本勢の一部試合などを中心に放送。放送再開した2014年-2019年までは一部の試合は生中継で放映されていた。しかし、試合開始等の時間が読めない状況の中、雨天中断などを理由に長時間放送されることが度々発生したり、更には対戦する相手の選手がアクシデントで棄権し不戦勝試合で放送取りやめになったケースがあった。そのためか通常の番組編成に大きな障害が生じた。テニス中継の放送時間延長の影響で夜から明け方にかけての一部の番組が時間繰り下げ・番組休止(翌週に延期)されることがあった。2017年については、『世界卓球』と同じ時期に開催だったため、『テレ東スポーツ祭』として放送された。2020年・2021年は、コロナ禍の影響で放送規模を縮小し、日本勢の試合については録画「撮って出し」もしくはハイライトで対応された。
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