Ы, ы は、キリル文字のひとつ。2部分に分かれているが、全体で1字である。歴史的には Ъ と І を合わせた合字に由来する。
呼称
音価
- ロシア語では非円唇中舌狭母音 [ɨ] を表す。この音は、[i] のように口を横に開き、舌を奥に引っ込めて発音する音である。И と音声は異なるが、完全に相補的であって、同一の音素をなす。
- ルシン語では非円唇後舌半狭母音 [ɤ] を表す。
アルファベット上の位置
ロシア語の第29字母、ベラルーシ語の第28字母である。
Ыに関わる諸事項
- ロシア語では、語頭に立たないため元来大文字はない。また、正書法の制約上、г, к, х, ж, ч, ш, щの後ろにこの文字が来る場合、иに書き換えなければならない。
- ウクライナ語、ブルガリア語では用いられない。
- モンゴル語では、男性母音の語で /iː/(и の長母音)を表す。
- 大文字「Ы」はShift_JISにおいてコンピュータプログラムの動作不良の原因となる文字(通称「ダメ文字」)の一つ。
- 朝鮮語のキリル文字表記では、ㅡ(/ɯ/)に使われる。
符号位置
脚注
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