一般社団法人バスケットボール女子日本リーグ(英: Women's Japan Basketball League)は、日本の女子実業団トップリーグである「Wリーグ(W LEAGUE)」を管轄する組織。バスケットボールの普及と振興を目的としている。
1967年に日本バスケットボール協会が主催した「バスケットボール日本リーグ」の女子の部として設立されたのが前身で、1996年にはバスケットボール日本リーグ機構(JBL)に主催を移行。更に1998年から男女共同運営から独立して女子のリーグを専門に扱う主催団体「バスケットボール女子日本リーグ機構」として設立された。翌1999年より1部リーグを「Wリーグ」、2部リーグを「W1リーグ(「WIリーグ」とも称する)」に改称した。
1980年代以降、日本の女子バスケットボールリーグはシャンソン化粧品とJOMO(ジャパンエナジー、旧:共同石油、現:ENEOS)の2強時代が長らく続き、リーグ戦、並びに全日本選手権ともに必ずこの2チームがタイトル争いを繰り広げいた。中でも1990年代はシャンソンの独擅場でリーグ戦、全日本との2冠を10年連続で続ける快挙を成し遂げた。ところが2000年代に入りJOMOが盛り返し、2000年度~2003年度にかけて4年連続で2冠を達成している。その間、富士通や日本航空も力をつけていたが順位的には上位2チームはJOMOかシャンソンであり2チームの間で順位が入れ替わった以外の違いはなかった。しかし、2004年になると順位においても2強体勢は崩れ、2007-08シーズンは富士通の初優勝により18年間に及んだ2強時代は終焉を告げた。
チームの休部・廃部が相次いでいることを踏まえ、2部に当たるW1リーグは2011-12年度のシーズンを最後に廃止とし、2012-13シーズンからは1部のWリーグ(12チーム)のみで行われているが、戦力差の拡大により、上位と下位の戦績の差はより広がっており、この改編から数年経ってもこの問題は解消されていない。なお2017年に「日本社会人バスケットボール連盟」が創設された際、将来的な下部リーグの復活や入れ替え制度の導入を検討している。
2015年、実業家の斎藤聖美が新会長就任。
2016年6月、組織名から「機構」が外れ「バスケットボール女子日本リーグ」に改称。W1リーグが廃止されてから、「WJBL」と「Wリーグ」の言葉の使い分けが不明瞭であったが、2017-18シーズンあたりから、運営する機構がWJBLで、チームが戦う場はWリーグということが明確になり、「Wリーグプレイオフ」「Wリーグオールスター」「Wリーグサマーリーグ」などに統一された。
2008-09シーズンから2018-19シーズンまでJX-ENEOS(JOMO)が11連覇を達成。2019-20シーズンの新型コロナウイルスによるシーズン途中終了(優勝チームなし)を経て、2020-21シーズンにトヨタ自動車がその連覇を止め、新時代に突入。
2021年6月、映画監督の河瀨直美が新会長に就任。
2023年6月、元ジャパンエナジー選手の原田裕花が会長に就任。
2024-25シーズンより13シーズンぶりに2部制を復活させ、1部「プレミア」(仮称)に8チーム、2部「フューチャー」に新規参入を加えた7チームを予定。
リーグ戦日程は国際大会のスケジュール次第で若干変更あり
2023-24シーズン
2022ー23年シーズンは14チーム参加によるリーグ戦を、2019ー20年シーズン以来3年ぶりに、Wリーグが指定した各都道府県で行う。開幕節の代々木第2体育館、並びにプレーオフの各試合はWリーグの直接主管、そのほかの試合は原則として参加各クラブか、開催する市区町村や都道府県バスケットボール協会の主管/主催で行われる。
2023-24年シーズンの成績により、2024-25シーズンの配属先が決まり、上位8クラブが「Wリーグプレミア(1部)」、下位6クラブは「Wリーグフューチャー(2部)」となる。
移行後は各4回総当りとなり、プレミアは上位4チームがプレーオフ(決勝トーナメント)に進み、プレミアの8位とフューチャーの1位は次シーズン自動昇降格。プレミアの7位とフューチャーの2位は入れ替え戦を行い、次シーズンの配属先を決める。
2021-22シーズンは全チーム総当たり制に戻されるが、新型コロナウイルス感染対策として東京羽田、山梨、新潟、プレステージの4チームは各クラブ、他チームはリーグそれぞれの主管となり会場数を最小した。
2020-21シーズンは新型コロナウィルス感染拡大の影響により当初予定していたレギュレーションが変更された。移動を減らすため東西カンファレンズ制が導入され、レギュラーシーズンはすべてリーグ主管の中立試合(1会場集中開催)でカンファレンス内対戦のみとした。
2018-19シーズンから2019-20シーズンまで
2017-18シーズン
2015-16シーズンと2016-17シーズン
2013-14シーズンはアジア選手権のため例年より遅い11月開幕。よってプレーオフはファーストラウンドが廃止され、Wリーグ史上初の4月開催となる。
優勝チームはアジアWチャンピオンシップに進出。
2012-13シーズン。
2011-12シーズンまでは2部制であったため、以下の方式が採用された。
日本協会主催時代の1988年からの4シーズンはカシオペア・アンドロメダの2ディビジョン制を採用していた(男子も同年から2ディビジョン制を敷いたが、そちらはJBLプレスーパーリーグ移行まで続いた)。1992年以後は12チームの2回総当りの予選の後、上位6チームが更に2回総当りのセミファイナル(準決勝リーグ)を行い、そこで更に2チームに絞って決勝を争うという方式があった。
また、2002年まではオールスターゲームも開催され、日本リーグ機構主催時代までは男女併催、WJBL発足後はリーグ戦終了後にファン感謝デーのプログラムとして行われていた。
2016年に14年振りにオールスターが開催された。
Wリーグ発足からでW1リーグを含む。WJBL 2022-23終了時点
三菱電機コアラーズのみ第1回日本リーグからずっと在籍している (2部を含む)
チーム名は現在加盟しているチームを、赤数字はプロチームをそれぞれ表す
最後に出場したチーム名を記した
WJBLではホームゲーム制度を導入し、レギュラーシーズンの一部の試合を一方のホームゲームとして開催している。 各チーム3~10試合程度ホームゲームが組まれ、本拠地が置かれる市町村での試合をホームタウンゲームとして行う。
WJBLでは「サマーキャンプ」と題したイベントを7月下旬頃に実施している。 このサマーキャンプではWJBL所属チームに加え、実業団連盟の強豪チームなどを招待し、5日間に渡り強化試合を組むとともに、バスケットボールクリニックなども開催し、選手・審判員の育成に加え地域振興も目的としている。 開催地は2年ごとに変わる。
2004年より「WJBLトライアウト」と題して、新人選手の発掘を行っている。 国立代々木競技場第二体育館(2006年は東京体育館、2007年は日本航空体育館)にて9月(2005年は8月、2006年は12月)に開催され、高卒以上を対象としている。 定員は30名でおおよそ10~20名が参加。2004・05年は各2名がWJBL入りを果たしたが、2006年以降はWJBL加入に至った選手はいない。それもあってか2008年の参加はわずか8名であり、2009年は参加者が集まらず中止になった。2010年は12月20日に味の素ナショナルトレーニングセンターで開催された。
現在のバスケットボール女子日本リーグにおいて複数の課題が浮き彫りにされており、日本バスケットボール協会改革を主導するべく2015年に結成された国際バスケットボール連盟のタスクフォースにおいても提示されている。
バスケットボールのプロ化は国際的な流れであり、女子もまた例外ではない。しかしながらプロ化した男子に比べ、WJBLはプロリーグ化への動きが鈍い。プロ契約は男子同様1997年に解禁されたが、第1号は2007年の大神雄子(当時JOMO)まで待たなければならなかった。それでも、40年以上予選を突破してのオリンピック出場から遠ざかっている男子と違い、女子は1996年アトランタ大会と2004年アテネ大会、2016年リオデジャネイロ大会と、予選を突破して出場権を獲得し、ワールドカップ(旧世界選手権)にも出場を重ねている。そのため、女子バスケットボールのプロ化を求める声は男子ほどは出ていなかった。
一方で、韓国では既に韓国女子バスケットボールリーグ(WKBL)をプロ化するなどアジアでもプロリーグが次々と発足している。国内リーグがアマチュアのままである日本は強化で出遅れ、2006年世界選手権及び2008年北京オリンピック、2012年ロンドンオリンピックの出場を逃していた時期もあったが、アジア選手権で2013年大会から4連覇を達成し、2016年リオデジャネイロ、2021年東京と2大会連続で決勝トーナメント進出に成功している。
しかし、クラブレベルではかつて2002年から2008年まで行われていた日韓Wリーグチャンピオンシップでは日本の全敗に終わり、2013年のアジアWチャンピオンシップ、2017年の日韓クラブチャンピオンシップでも韓国が優勝していた。
元Bリーグチェアマンで現ジャパンバレーボールリーグの大河正明は女子スポーツのプロ化に対する意見として「女子のほうがプロになりやすい。社員でも終わったら辞める人がほとんどだから、現役時代に給料を出せる選手にはもっと出してあげればいい」と語っている。
日本国内のバスケットボールトップリーグは1999年より男女別組織となってはいるものの、WJBLと旧JBLは協会主催の元同一会場で試合を組むなど連携を図ってきた。しかし、その後プロリーグ化が進んだ男子がホーム・アンド・アウェー基本の日程を組むのと違い、Wリーグは実業団チームが中心であり、ほとんどの試合はリーグの主幹試合であるため連携が困難になった。一方で東京羽田や山梨QBなどクラブチームを中心に自主的なホームゲーム興業を行うチームも増えている。
所属チームについては、過去には大阪から三洋電機など西日本からもWリーグに参戦するチームがあったが、それらのチームの撤退後、一時期のWリーグはチームが関東から東海地方にまでしかなく、昇格も2004年のトヨタ紡織からしばらくなかった。2011年6月には、W1リーグ(2部)の所属チーム数が4チームにまで減少したことに伴い、Wリーグ(1部)と合体・統合した1部リーグ制に2012-13年シーズンから移行することが決まるなど、この頃の女子トップリーグは縮小傾向にあった。
近年は2021年のプレステージ・インターナショナルや2022年の姫路イーグレッツといった地方から新たにリーグに参入するチームが現れている。また、紀陽銀行のように将来のWリーグ入りを目指すと公言するチームも存在している。
ゲームのクオリティについて、上位チームと下位チームの対戦では実力差の大きさがスコアに現れている。これらを踏まえて2024-25シーズンより2部制を復活させることになった。
旧日本リーグ女子時代には米国代表のアン・ドノバンなど外国人選手がプレーしていたが、前述の通り1992年シーズンを最後に外国人選手登録(日本帰化選手は除く)を廃止。その後、センターなど長身を要するポジションを中心に日本代表強化面で効果は現れている。
ところが、日本で教育を受けた河恩珠が2002年よりシャンソン化粧品でプレーするに当たり日本国籍取得を余儀なくされ、大韓協会とトラブルになるなど弊害も見られるようになった。
これを受けて2003年に日本帰化選手に加え、国内で教育を受けた選手に限り日本国籍を取得せず出場登録が可能になった。さらに2009年からは日本国籍取得申請中の選手に限り採用が認められ、2010-11シーズンから出場が認められるようになった。2017-18シーズンからは在留5年の条件付きで1チーム2人まで登録可となった。しかし、外国人排除の上でのナショナルチーム強化では身体能力の非常に高い欧米などの選手とのマッチアップの機会が大幅に限られている。身長制限などを設けた上で下位チームが外国人選手を獲得してリーグ内の戦力格差の解消などを促すために見直しを求める声も出ている。
WJBLでは所属選手が籍を残したまま他のリーグでプレーすること、すなわち「二重登録」を原則禁止している。
この二重登録についてはWJBLとシーズンが異なる米国・WNBAも例外ではない。
2006年に前述の河恩珠がロサンゼルス・スパークスでのプレーを希望した際、シャンソン化粧品と10年契約中であり、二重登録の解消が争点となっていた。しかしながら双方の主張が食い違い河はWNBAでのプレーはかなわずシャンソンも退団し帰国を余儀なくされた。
過去に萩原美樹子がWNBAでプレーした際は特例により認められた。大神雄子については国内プロ契約のため、WJBL・WNBAそれぞれのシーズンで契約を交互に行うことで二重登録にならないよう配慮されている。
他の競技ではバレーボールやアイスホッケーで所属チームに籍を置いたまま日本国外でプレーできる(いわゆるレンタル移籍)ようになっている。
Wリーグでは、海外リーグに挑戦する選手がWJBL登録規定に基づく特例選手に認定された場合、海外チームとの契約に至らなかったり、Wリーグ開催期間中に契約解除された場合は、Wリーグ選手登録期限後も元の所属チームにエントリーすることが可能になっている。
2015年11月29日のシャンソン化粧品VSデンソー戦において、シャンソンが「審判が意図的にシャンソンに不利益な判定を行った」として損害賠償を求める訴訟を静岡地裁に起こしたことが明らかになった。
提訴自体は取り下げられたものの、原因究明のための機構による第三者委員会設立に至り、2016年5月16日に調査の結果を受けて機構はシャンソンに対して厳重注意処分を下した。
この問題は男子にも波紋を広げ、同年発足されるB.LEAGUEが「審判への提訴禁止」を盛り込むことを決めた。
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