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谷口ジロー


谷口ジロー


谷口 ジロー(たにぐち ジロー、男性、1947年〈昭和22年〉8月14日 - 2017年〈平成29年〉2月11日)は、鳥取県鳥取市出身の漫画家である。

来歴

鳥取商業高校を卒業後に京都の繊維会社に就職したが、漫画家を目指して1966年に上京し、石川球太のアシスタントとなり漫画の技術を学ぶ。1971年に『嗄れた部屋』が『週刊ヤングコミック』に掲載されたのちに、上村一夫のアシスタントを経て独立した。以後、関川夏央ら漫画原作者と組み、青年向け漫画でハードボイルドや動物もの、冒険、格闘、文芸、SFと多彩な分野の作品を手がける。

描く絵は、ジャン・ジロー(メビウス)やフランソワ・シュイッテンなどバンド・デシネの作家から影響を強く受け、インタビューでは「日本で一番影響を受けているんじゃないか」と語っている。1991年の『犬を飼う』で中流家庭の日常を題材にして新境地を開き、以降は人と動物、人と人とのつながりをテーマにした日常的なドラマも多く手がけた。

『歩くひと』や『遥かな町へ』などの翻訳版刊行を期に2000年代からヨーロッパで評価が高まり、フランス語圏を中心に芸術系統で多数受賞した。2007年から2008年にかけてカルティエの広告を複数の画家とともに担当し、フランスのブティックでカルティエに関する漫画が描かれた小冊子が配布された。2014年にルイ・ヴィトンが刊行するトラベルブックのヴェニス編を担当した。

2010年に『遙かな町へ』を原作として舞台をリヨン近郊に設定したフランス映画『Quartier Lointain』が制作・公開された。日本では2013年2月に小学館集英社プロダクションとメディアファクトリーがビデオスルーでDVDソフトを発売した。原作の舞台となった鳥取県倉吉市で撮影を予定する邦画オリジナル版が、東映や小学館らの製作委員会方式で2012年の公開を目標に製作を計画されていたが、資金不足を理由として2012年夏に事実上断念した。

2012年に『孤独のグルメ』がテレビ東京でドラマ化され、海外でも放映され、中国版も製作された。2014年にフランス人のNicolas FinetとNicolas Albertによるドキュメンタリー『谷口ジローの足跡 歩く人』が制作され、2015年に第46回アングレーム国際バンド・デシネ・フェスティバルで公開された。

2017年2月11日に多臓器不全のため死去。69歳没。

歿後

2017年11月18日に、イラストレーターの寺田克也、バンド・デシネ研究家で翻訳家の原正人らをゲストに招き、鳥取市で「ふるさと鳥取で谷口ジローさんを偲ぶ会」が開かれた。

2017年11月29日から『孤独のグルメ』のアニメ作品がスマートフォン向け配信アプリ「タテアニメ」で配信された。

2017年12月8日に、闘病中に執筆した遺稿をまとめた単行本の『光年の森』と『いざなうもの』を小学館が刊行した。

2020年4月から2021年3月にかけて『歩くひと』がNHKにて全12回の紀行ドラマ化された。

2023年1月から3月にかけて、東京都清瀬市の清瀬市郷土博物館にて「歩く、描く 谷口ジローと清瀬」展が開催された。谷口が1976年から2000年まで清瀬市に住んでいた縁による。

人物

  • 「静かな感じで。谷口さんが声を荒らげたところなんて見たことないし、いつもニコニコしていて」と久住昌之は述べている。
  • アシスタントには指示や指導など手ほどきせず、アシスタントらは谷口の作画品質に合わせて仕上げるべく努力した。
  • 新作を描くたびに毎回新しい作画手法を取り入れた。
  • 通販生活で連載した『散歩もの』は、特注品の大版原稿用紙を用いてスクリーントーンを3重に貼って背景を描いた。

作品一覧

1970年代

1980年代

1990年代

2000年代

2010年代

発表年不明作品

随筆

  • 季節のない風 - 『西風は白い』、双葉社、1984年2月19日。
  • サスケとジロー - 『Wan』第12巻第11号(1994年11月号)、ペットライフ社、『東京幻視行 単行本未収録傑作短編集』所収。
  • 夢のつづき - 『自由時間』1995年1月1日•19日合併号、マガジンハウス、『東京幻視行 単行本未収録傑作短編集』に所収。
  • もうひとつの山嶺 - 書き下ろし、『神々の山嶺』各巻に分載。
  • 夢心地の昼下がり - 『カフェ・リラクゼーション〜ジャズ50's〜ジャズ・イン・カフェ(10)』、徳間ジャパンコミュニケーションズ(ジャズ・シティ・スピリット)、2002年2月、TKCB-72319、『描くひと 谷口ジロー』所収。
  • 私とフランス - 『ふらんす』第86巻第11号(2011年11月1日号)、白水社、『いざなうもの』所収。

その他の作品

  • 矢作俊彦の小説『マンハッタン・オブ』シリーズの挿画を担当した。
  • 平松洋子の随筆『サンドウィッチは銀座で』の挿画を担当した。
  • 平松洋子の随筆『ステーキを下町で』の挿画を担当した。
  • 尾崎放哉生誕130周年記念作品展ポスター(2015年、鳥取市) - 尾崎放哉の肖像画を担当。
  • 中川酒造株式会社、日本酒「いなば鶴 放哉」のラベル - 尾崎放哉の肖像画を担当。中川酒造は『父の暦』に登場する「大石酒蔵」のモデルであり縁がある。

選集

Collection James Bond 007

画集

日本語
  • 『谷口ジロー 風景のストーリーテラー』鳥取市文化芸術推進課、2011年6月。 
  • 『谷口ジロー / 谷口ジロー原画展3 ESSAY FOR JIRO RANIGUVHU ORIGINAL EXHIBITION 情景のマエストロ』鳥取市文化芸術推進課、2012年11月。 
  • 『谷口ジロー画集 jiro taniguchi』小学館、2016年2月29日。ISBN 978-4-09-199042-6。 
  • 『描くひと 谷口ジローの世界』ふらり、2021年1月。 
  • 『谷口ジロー原画集 描線に込めるひと』玄光社、2021年12月。ISBN 978-4-7683-1557-6。 
  • 『特別展カタログ「歩く、描く 谷口ジローと清瀬」』清瀬市郷土博物館、2023年。 
フランス語
  • L'Art de Jirô Taniguchi. Editions Casterman. 2016年6月1日. ISBN 978-2-203-11111-0
イタリア語
  • Artbook. Rizzoli Libri. 2018年3月27日. ISBN 978-88-1709967-7

出演

  • "「夢を追い続けて」漫画家 谷口ジロー". マイライフ. 1996年11月15日. 日本放送協会. NHK教育テレビジョン。
  • "もっと細かくもっとリアルに 〜漫画家谷口ジロー〜". 発見ちゅうごく’97. 1997年. 日本放送協会. NHK総合テレビジョン。
  • Benoît Peeters (2004年). Profession Mangaka (フランス語). France: ARTE France, INA. 2023年12月26日閲覧
  • サム・ガルバルスキ (2010年). 遥かな町へ (映画) (フランス語). ベルギー、フランス、ドイツ. 2023年12月26日閲覧
  • "Tout sur Taniguchi Jiro, le mangaka de génie.". ESPRIT JAPON. 2015年. BSフジ。

展覧会

日本
  • 谷口ジロー原画展 故郷に帰る,2010年10月31日 - 2010年11月14日,ギャラリーそら
  • 谷口ジロー原画展II 感動、再び!,2011年11月6日 - 2011年11月20日,ギャラリーそら
  • 遥かな町へ 谷口ジロー原画展,2011年12月17日 - 2012年1月15日,倉吉博物館
  • 『孤独のグルメ』谷口ジロー原画展,2012年6月1日 - 2012年9月30日,米沢嘉博記念図書館
  • 展覧会「描くひと 谷口ジローの世界」、2017年12月9日 - 2017年12月22日、日仏会館。
  • 原画展「描くひと 谷口ジローの世界」、2018年4月14日 - 2018年5月13日、鳥取県立博物館。
  • 原画展「谷口ジローの世界1 〜狩撫麻礼との80年代〜」,2019年10月1日 - 2019年10月20日,ギャラリー鳥たちのいえ。
  • 谷口ジロー漫画家デビュー50年記念原画展
    • 描くひと 谷口ジローの世界,2021年1月23日 - 2021年2月21日,米子市美術館。
    • 原画展「谷口ジローの世界2 描かれた鳥取」,2021年1月25日 - 2021年2月21日,ギャラリー鳥たちのいえ。
  • 描くひと 谷口ジロー展
    • 2021年10月16日 - 2022年2月27日,世田谷文学館。
    • 2022年6月2日 - 2022年8月29日,京都国際マンガミュージアム。
    • 2023年3月18日 - 2023年5月14日,北九州市漫画ミュージアム。
  • 原画展「彩り、描く 谷口ジローの世界3」,2021年11月27日 - 2021年12月26日,ギャラリー鳥たちのいえ。
  • 原画展「谷口ジローの世界4 もうひとつの山嶺」,2022年7月30日 - 2022年8月28日,ギャラリー鳥たちのいえ。
  • 特別展「歩く、描く 谷口ジローと清瀬」,2023年1月21日 - 2023年3月19日,清瀬市郷土博物館。
フランス
  • TANIGUCHI Exposition de dessins et planches originaux,2005年10月21日 - 2005年11月18日,Galerie Arludik.
  • Exposition Quartier Lointain,2010年10月28日 - 2010年12月31日,Galerie Arludik.
  • l'exposition Taniguchi “L'Homme qui rêve”,2015年1月29日 - 2015年2月1日,Musée de la bande dessinée d’Angoulême.
  • l'exposition Taniguchi “L'Homme qui rêve”,2016年3月12日 - 2016年5月15日,Espace Richaud.

受賞・栄典

1975年
  • 第14回ビッグコミック賞、佳作、『遠い声』。
1992年
  • 第37回小学館漫画賞、審査員特別賞、『犬を飼う』。
1993年
  • 第22回日本漫画家協会賞、優秀賞、『「坊っちゃん」の時代』。
1998年
  • 第2回手塚治虫文化賞、マンガ大賞、『「坊っちゃん」の時代』。
1999年
  • 第3回文化庁メディア芸術祭、マンガ部門優秀賞、『遥かな町へ』。
2000年
  • 第27回アングレーム国際バンド・デシネ・フェスティバル、教会一致運動協会バンド・デシネ審査員特別賞、『父の暦』、フランス。
2001年
  • 第5回文化庁メディア芸術祭、マンガ部門優秀賞、『神々の山嶺』。
  • 第28回アングレーム国際バンド・デシネ・フェスティバル、教会一致運動協会バンド・デシネ審査員賞、『父の暦』、フランス。
  • 第3回ナポリ・コミコン、アッティリオ・ミケルッツィ賞最優秀作品賞、『父の暦』、イタリア。
2002年
  • 第20回バルセロナ国際コミック・サロン,最優秀マンガ賞、『父の暦』、スペイン。
  • 第28回アストゥリアス公国国際コミック・サロン、ハクストゥル賞最優秀長編作品賞、『父の暦』、スペイン。
  • 第5回マドリード国際コミック博覧会、最優秀外国漫画賞、『父の暦』、スペイン。
2003年
  • 第30回アングレーム国際バンド・デシネ・フェスティバル、アルファアート最優秀脚本賞及びバンド・デシネ書店員賞、『遥かな町へ』、フランス。
  • 第37回ルッカコミックス&ゲームズ、グラン・グイニージ賞最優秀長編作品賞、『遥かな町へ』、イタリア。
  • 第3回ロミックス、最優秀日本語作品賞、『遥かな町へ』、イタリア。
  • ペデリス賞、『遥かな町へ』。
2004年
  • 第6回ナポリ・コミコン、アッティリオ・ミケルッツィ賞外国作品賞、『「坊っちゃん」の時代』、イタリア。
  • 第5回べデリ賞、金賞及び審査員特別賞、『遥かな町へ』、カナダ。
  • 第3回映画と文学に関するフォーラム、バンド・デシネ部門大賞、『遥かな町へ』、モナコ。
  • 第22回バルセロナ国際コミック・サロン、最優秀外国作品賞、『遥かな町へ』、スペイン。
2005年
  • 第32回アングレーム国際バンド・デシネ・フェスティバル、最優秀美術賞、『神々の山嶺』、フランス。
  • 第31回アストゥリアス公国国際コミック・サロン、ハクストゥル賞最優秀短編作品賞、『欅の木』、スペイン。
2008年
  • 第13回エアランゲン国際コミック・サロン、2007年度年間賞及びマックス&モーリッツ賞最優秀マンガ賞、『遥かな町へ』、ドイツ。
  • 第8回ロミックス、大賞、『晴れゆく空』、イタリア。
  • 第34回アストゥリアス公国国際コミック・サロン、ハクストゥル賞最優秀作品賞、『シートン 旅するナチュラリスト 第3章 サンドヒル・スタッグ』、スペイン。
2010年
  • 第13回富川国際漫画おまつり、海外作家賞、韓国。
  • 第44回ルッカコミックス&ゲームズ、漫画界の巨匠賞、イタリア。
2011年
  • 芸術文化勲章シュヴァリエ章、フランス。
2013年
  • 第38回鳥取市文化賞、特別功績賞。
2015年
  • 第5回コミックフェスティバル・ミュンヘン、ミュンヘン・コミック賞最優秀アジア漫画賞、『孤独のグルメ』、ドイツ。
  • 第38回スプローイン賞最優秀翻訳作品賞、『父の暦』、ノルウェー。
  • 第26回アマドーラ国際バンダ・デゼニャーダ・フェスティバル、第九芸術古典賞、『父の暦』、ポルトガル。

関連書誌

  • 「山陰人国記--漫画家 谷口ジロー氏」『山陰の経済』第154号、松江: 山陰経済経営研究所、1–2頁、1998年7月1日。doi:10.11501/2864753。ISSN 0911-6869。全国書誌番号:00043575。
  • Timothy Lehmann (2005年11月1日). "Taniguchi Jiro". Manga: Masters of the Art. New York: HarperCollins Publishers. ISBN 0-06083331-9. OCLC 61176404。
  • 谷口 ジロー、寺田 克也「われら、メビウスの徒--その線、色、世界に酔う」『ユリイカ』第41巻第8号、東京: 青土社、2009年7月1日、176–189頁。ISBN 978-4-7917-0195-7。ISSN 1342-5641。全国書誌番号:00023823。

脚註

注釈

出典

参考文献

  • 『谷口ジロー 描くよろこび』〈コロナ・ブックス〉、東京: 平凡社、2018年10月24日。ISBN 978-4-582-63514-0。NCID BB27731733。OCLC 1059471619。全国書誌番号:23127035。
  • ブノワ・ペータース(著)染谷誠(編)『描くひと 谷口ジロー』東京: 双葉社、2019年9月29日。ISBN 978-4-575-31492-2。NCID BB29080545。OCLC 1126777928。全国書誌番号:23284053。

関連項目

  • アフタヌーン四季賞 - 1994年から2012年まで毎年夏のコンテストの審査員長を務めた。
  • 玄太郎 - 漫画家。鳥取商業高等学校の同級生。卒業後、漫画家デビュー後も交友があった。

外部リンク

  • "谷口ジロー". 東文研アーカイブデータベース. 国立文化財機構東京文化財研究所. 2023年9月13日. 2023年12月25日閲覧
  • "「谷口ジロー」の街". 2022年5月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年12月14日閲覧
  • "直撃インタビュー完全版". ジャンプスクエア. 集英社. 2008年. 2008年8月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年12月24日閲覧
  • Dans les pas de Jirô Taniguchi, L'homme qui marche - Festival International de la Bande Dessinée - YouTube(「谷口ジローの足跡 『歩く人』」)
    • アングレーム国際漫画祭公式YouTubeチャンネル、2015年、33分、カラー。谷口は日本語で受け答えしている、全体は埋め込み字幕も含めフランス語

Text submitted to CC-BY-SA license. Source: 谷口ジロー by Wikipedia (Historical)