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ポルノグラフィ


ポルノグラフィ


ポルノグラフィ(英: Pornography、仏: Pornographie)とは、ウェブスターの『国際辞典』の定義によれば、「性的興奮を起こさせることを目的としたエロチックな行為を(文章または絵・写真などで)表現したもの」である。略称として、ポルノ(英: porn, porno)とも言われる。

概要

ポルノグラフィの語源は、1800年代のフランス語「Pornographie」が1840年代から50年代に英語化されたものである。元々は娼婦に関する小説や著作を表す言葉だったが、すぐに猥褻な文学や芸術を指すようになった。その後、意味が大幅に拡大して、「性的な興奮を起こさせること」を目的に表現した物なら、写真、映画、ビデオなど媒体を問わず、『ポルノ』と総称されるように成った。日本においては性具やポルノグラフィを売る店をポルノショップと呼ぶ。

ポルノの歴史

性は本来人間の根源にかかわる問題で、哲学や芸術(文学、絵画、彫刻等)的探求の対象になり得るものであり、性的表現の歴史は人間が芸術表現を始めた洞窟壁画や土偶の時代まで遡ることも可能である(多産・豊穣の女神像や生殖器崇拝など)。その表現形態の中には性的興奮を起こさせるポルノも含まれる。歴史的にポルノ表現は社会秩序を保つことを口実に、権力者により政治的・宗教的に規制がかけられてきたが、それでもポルノは存在し続け、新しい表現媒体が発明されるごとに、新しいポルノ表現が開拓されてきた。版画では春画やイ・モーディなどが知られ、写真ではポルノ写真やポルノ雑誌、映画ではポルノ映画、ビデオではアダルトビデオ、インターネットではアダルトサイトと、登場後ほどなくポルノに応用された。

明治時代以降の日本においては、わいせつ物頒布罪(刑法175条)により、性的興奮を起こさせる表現のうち、更に、通常人の羞恥心を害し、かつ、善良な性的道義観念に反するものは、わいせつ表現として法的規制がかけられている(性器描写に対するモザイク処理など)。しかしながら、わいせつな表現であっても、思想性や芸術性の高い文書については規制の対象から除外されるという議論が沸き起こることが少なくない(わいせつ#概説参照)。また、刑法175条自体が現状にそぐわない不合理な規制であり廃止すべきとの批判もある。日本では、わいせつな小説として伊藤整翻訳のD・H・ロレンス『チャタレイ夫人の恋人』や澁澤龍彦翻訳のマルキ・ド・サド『悪徳の栄え』が、映画としては、日活ロマンポルノ事件、武智鉄二監督の『黒い雪』(1965)、大島渚監督の『愛のコリーダ』が猥褻性をめぐり裁判にまで発展した。大島渚は有名な知識人を多数動員して、裁判に勝訴した。寺山修司はハードコアの映画『上海異人娼館 チャイナ・ドール』(英語タイトル・Fruits of Passion、1981年)を監督した。

ポルノグラフィの語源は、1800年代のフランス語「Pornographie」が1840年代から50年代に英語化されたものである。元々は売春婦に関する著作を表す言葉だったが、すぐに猥褻な文学や芸術を指すようになった。日本では、1960年代後半から70年代にかけて、性の自由化の喧伝と共に、スウェーデンのポルノグラフィ写真がノーカットで話題になったときに、ポルノグラフィという語が一部に知られるようになった。この後しばらく、ポルノとはエロ的なものを即物的に描写したものという、エロとポルノの使い分けが為されていた(エロティカを参照)。

近代社会においてポルノが公権力によって解禁されるのは、1960年代の世界的なカウンターカルチャームーブメントの一環としであった。1968年、アメリカ民主党のジョンソン大統領は「猥褻とポルノに関する諮問委員会」を設置して、それにポルノ解禁問題をはかった。1969年、デンマークは検閲を廃止した最初の国となり、ポルノを合法化し、生産されたポルノは「店頭で」販売され爆発的な人気をもたらした。そして1969年のアンディ・ウォーホルによる『ブルー・ムービー』は、アメリカで広く劇場公開された明快なセックスを描いたアダルト映画となった。ウォーホルは、映画はポルノの黄金時代の独創的な映画であると語った。日本では日活が71年からロマンポルノを制作し始め、東映も東映ポルノを発表した。ウォーホルの映画は、マーロン・ブランド、マリア・シュナイダー出演の映画である『ラスト・タンゴ・イン・パリ』の製作に大きな影響を与え、この作品はブルー・フィルムが発表されてから数年後にリリースされた。フランスの映画界は、ソフトコア・ポルノ『エマニエル夫人』と『O嬢の物語』を制作した。特に『エマニエル夫人』はフランスにおいても、日本においても女性客がつめかけるヒット作となった。

データは、過去数十年でポルノの視聴が増加していることを示唆しており、これは1990年代後半にWorld Wide Webに広く一般にアクセスして以来、インターネットポルノの成長に起因している。 2010年代を通じて、多くのポルノ制作会社とポルノのトップWebサイト(PornHub、RedTubeなど)が大手に買収されていった。

ポルノの定義

ある人に対しては性的興奮を喚起させる図像でも、異なる性的嗜好を持った別の人に対してはまったくそのような効果はない、というようにポルノとそうでないものの境界は非常に曖昧であるが、おおむね「性的興奮・刺激を誘発する」「性描写を含む」「自慰行為に利用される」といった特徴を持ったものをポルノと考えるのが一般的である。

女性がポルノを楽しむことも自由であり、グラビアアイドルの真島なおみは、「ゴッドタン」でAV(アダルトビデオ)を娯楽で鑑賞していることを告白し、「女性がAVを見るようになったのは、いい時代だと思います」と述べている。一方で、保守的な反ポルノ運動のキャサリン・マッキノンは日本でレディースコミックが女性に読まれていることについて、(自分は日本文化には詳しくないと前置きした上で)それは「幼少期に性的虐待を受けたケースなど極僅かではないか」と発言をしている。

日本国内では結合部を見せることは違法となっているため、性器にはモザイクをかけている。これは日本のポルノやセックスのあり方が、イスラム圏や途上国と欧米先進国の中間にあるためと見られる。日本とは異なり、世界のポルノグラフィは結合部を見せるものであり、この点からもかなりの相違点がある。日本フォーマットの洋モノ作品、ジャポルノも小さい市場だが存在する。

男性向けポルノと女性向けポルノ

異性愛者の男性向けのポルノには、実写のエロ本・他に漫画の形態をとることも多い。これを守如子は、「流通形態」「読者の安心」の観点から次のように説明している。例えばレンタルビデオ店のアダルトコーナーは多くの場合カーテンなどの向こう側に設置されており女性が入りにくい雰囲気となっているが、マンガの場合は売り場が男性向け・女性向けと分かれていることが多いため、女性がポルノを買う抵抗感が少なくて済むと考えられる。

異性愛者の女性向けのポルノとしては、レディースコミック・ティーンズラブ・ボーイズラブ(やおい)といったジャンルがある。ボーイズラブは男性同士の同性愛(ゲイ)を、レディースコミックやティーンズラブでは男女間の異性愛がメインとして描かれているが、経緯としてはボーイズラブ系の作家に「男同士の恋愛関係を男女の関係に置き換えて作品を執筆してほしい」と依頼する形でレディースコミックやティーンズラブというジャンルが誕生している。

描写の内容として、異性愛者の男性向けポルノでは基本的には女性身体をエロティックに表現することに重点が置かれているが、異性愛者の女性向けのレディースコミックでは男性身体の描写に力点が置かれているかというとそうではなく、性行為のシーンでは女性身体の描写がメインとなっていることも多い。また、男性向けの成人漫画の性交シーンは性的快感に関する描写が多いが、それとは違いレディースコミックの性交中のシーンでは、愛があるかどうかなど、そのセックスに関する不安や不満といった俯瞰的で細やかな心理描写が多用される特徴がある。

また、性的少数者(LGBT・クィア)である同性愛者・両性愛者(レズビアン・ゲイ)向けのポルノは、異性愛者向けのポルノよりもかなり市場規模が小さい。

ポルノへの否定的意見

1980年代には保守化・右傾化の波に乗った右派のアメリカ合衆国大統領ロナルド・レーガンやモラル・マジョリティ、キリスト教原理主義者らによるポルノ批判が激しくなり、レーガンは反ポルノ法を成立させた。日本では1970年代に、日本共産党の宮本顕治委員長が「11PMはポルノ番組だ」と批判したことがある。また1980年代には、山田洋次が「ポルノを見る人は、働くのが嫌いな人」とFMラジオで発言した。これをたまたま聴いていた若松孝二は、強い怒りを感じたという。

グロリア・スタイネムは、性描写を含む表現物の中でも男尊女卑、女性差別的な価値観に基づくポルノと、男女平等で友好的な性愛を追求するエロティカを区別した。そして前者を批判しつつ、エロティカという形で女性が性差別的な価値観を押し付けられることなく、「ポルノを楽しむことができる」可能性を提示した。

ポルノと現実での事象の関係として、性犯罪・性被害を誘発するという批判もある。また、現実の性被害を喚起するだけではなく、ポルノの製作現場において被写体となる女性が性被害を受けることがしばしばあることや、不快感のある人に対してポルノを強制的に見せることが批判の対象となる。保守的な反ポルノ派のキャサリン・マッキノン、アンドレア・ドウォーキンはポルノに強硬に反対した。アンドレア・ドウォーキンは、ポルノ取り締まりのためにはアメリカ右翼とも面談し、性行為自体が「男性が女性を支配する」という男性優位的な構造を持っているとしている。

ポルノ擁護論

リベラリズムや中道左派は、ポルノ規制は表現の自由に対する侵害であると主張をしている。一方でマッキノンは、ポルノは単なる「表現」ではなく女性が男性に隷属する構造を構築する「行為」であるため、表現の自由による擁護の対象にはならないと主張をしている。

マッキノンは実際にミネアポリス・インディアナポリスでポルノ規制の条例を議会で通過させており、その過程で保守的・道徳主義的な立場からポルノ規制を目指すグループと手を結んだ。しかし、ミネアポリスの条例は市長が署名を拒否したため「廃案」となり、インディアナポリスの条例は市長の署名を経て一旦成立したものの、「違憲訴訟」が行われ、アメリカ書籍業協会対ハドナット裁判で合衆国連邦裁判所によって「違憲判決」が出され、無効となった。

日本の女性団体であった「行動する女たちの会」は、女性が傷つくポルノには反対しながらも、「道徳的な観点からポルノを問題視するわけではない」こと、また『国家による法的規制を求めているわけでもない』ことを強調した。1990年代に有害コミック(青少年向けの露骨な性描写を含む漫画)の規制運動がおこったとき、「母親運動」側は規制を推進すべきとの立場であったが、「行動する女たちの会」はこれに対して『異議を申し立てた』。

フェミニストの中にも既存の性秩序への破壊力をポルノに認め、ポルノ一般に寛容な立場もある。特にその根拠となるのは、ポルノの規制は公権力の介入によって表現の自由が制限されることが問題であるというものである。猥褻表現と芸術表現の境界をどう判断するかという論点に関しては、大島渚監督は「猥褻で何が悪い」と、芸術と猥褻を区別することは誤りだと主張した。このほか、ポルノからエロティカを区別して排除する考え方は、「女性の性的嗜好の多様性を否定するものである」という批判もある。

「現実(の性犯罪・性被害)とポルノの関係」については、ポルノが現実の性犯罪を誘発しているという実証的な根拠に乏しいという批判や、ジュディス・バトラーや赤川学のようにポルノは現実とは異なる「別種の現実」あるいは「代償的幻想」であるという批判がある。また、代償としてポルノが利用されればカタルシスによって現実での性犯罪が抑制されるという見方もあり、実証的な研究論文などでは、ポルノグラフィと性犯罪に直接の関係がないとの主張も存在する(メディア効果論も参照のこと)。

「ポルノは男性優位的な社会構造の反映である」というテーゼについては、アンソニー・ギデンズらはむしろ男性社会の権威が低下しているからこそそれを補強するためにポルノが必要とされているのであると論じている。

VCR、ホームビデオ、および手頃な価格の家庭用ビデオカメラの登場により、フェミニストポルノの可能性が生まれたという主張もある。消費者ビデオにより、ビデオポルノの配布と消費が、女性をポルノの正当な消費者として位置付けることが可能になった。トリスタン・タオルミーノは、フェミニストポルノは「公正な労働環境を作り、関係者全員に力を与えることすべてに貢献する」と述べている。フェミニスト・ポルノ・ディレクター(監督)は、男性と女性の挑戦的な表現に関心を持っているだけでなく、多くの種類の身体を特徴とする性的に力を与える画像を提供している。

ライターのスーザン・ファルディは、1995年のニューヨーカーのエッセイで、「ポルノは女性が職場で力の利点を享受する数少ない業界の1つである」と主張した。『女優は力を持っている』と男性の批評者アレック・メトロは、業界のX格付けについて指摘した。メトロはそのポルノ業界で「逆差別」が進行していると語った。女性パフォーマーは多くの場合、男性俳優を決定したり拒否したりすることができるという。

日本では、堀あきこや守如子は、従来のポルノ批判は男性向けのポルノばかりを想定して、「女性向けのポルノの存在」を黙殺しているのだとして、レディースコミック・ティーンズラブ・ボーイズラブ(やおい)といった形で女性向けのポルノ表現が定着しておりそれらには(保守的な道徳観によって抑圧されてきた)「女性が性的な欲望を持つこと」が肯定されるのだと、人間の自由から論じている。ただし、堀あきこは男性向けのポルノと女性向けのポルノは異なる価値観に沿っているとしており、この点については守如子と立場が異なる。

ポルノの分類

映画・ビデオ

  • ポルノ映画
  • 東映ポルノ
  • 日活ロマンポルノ
  • ピンク映画
  • アダルトビデオ

SM

  • SM

LGBT

  • 異人種間ポルノ
  • ゲイビデオ
  • ゲイ・ポルノ
  • ゲイ雑誌
  • レズビアン
  • 百合
  • やおい/ボーイズラブ

インターネット

  • アダルトサイト

出版

  • 性愛文学
  • 官能小説
  • ジュブナイルポルノ
  • ティーンズラブ
  • ヌード写真
  • 春画

漫画/アニメ

  • アダルトゲーム
  • 成人向け漫画
  • お色気漫画
  • レディースコミック
  • アダルトアニメ
  • 深夜アニメ

ゲーム

  • アダルトゲーム
  • 美少女ゲーム
  • 乙女ゲーム
  • ボーイズラブゲーム

アジアにおける日本のポルノ人気

2013年11月に経済産業省主導でクールジャパン機構が発足し、マンガ、和食、ファッションなど、日本のカルチャーを海外に売り込もうという動きが活発化しているが、日本政府の助けなど借りなくとも易々と海外市場を制覇している産業があり、それが日本のポルノだという。

東アジア・東南アジア各国において検索されているポルノに関するワードでは、日本関連のキーワードで検索している人が圧倒的に多く、日本・中国・韓国を除く国では、ほとんど自国の人しかその国のポルノを検索しておらず、東アジア・東南アジア人は、圧倒的な日本フェチである。

東アジア・東南アジア人が日本のポルノに夢中になる理由として、日本のポルノ産業が巨大で影響力が強く、世界的人気となっている「ヘンタイ」や「アニメ」といったジャンルは日本発祥だからである。もう1つの理由は、この地域の大国である中国でポルノが生産されていないことである。香港中文大学准教授のカトリーン・ジェイコブスは、「中国と日本の文化には、性的快感に対する『偏狭な父権的態度』という共通点がある。おそらくこれが、中国人男性が日本のポルノを好む理由だ。無邪気で純粋といった女性像は、欧米のポルノにはあまり見られない」と考察している。

脚注

注釈

出典

参考文献

  • 堀あきこ 『欲望のコード マンガにみるセクシュアリティの男女差』 臨川書店、2009年。ISBN 978-4653040187。
  • 守如子 『女はポルノを読む 女性の性欲とフェミニズム』 青弓社、2010年。ISBN 978-4787233103。

関連項目

  • ヌード
  • ヘアヌード
  • ヌードモデル
  • ピンク映画
  • 日活ロマンポルノ
  • アダルトビデオ
  • わいせつ物頒布等の罪(刑法175条)
  • 地域別のポルノグラフィ法
  • 児童ポルノ関連法(児童買春・児童ポルノ禁止法)
  • 官能小説家一覧
  • 伊藤和子 (弁護士)

Text submitted to CC-BY-SA license. Source: ポルノグラフィ by Wikipedia (Historical)



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