新快速(しんかいそく)は、日本国有鉄道(国鉄)が近畿圏の東海道本線・山陽本線などと阪和線で運転を開始し、現在は西日本旅客鉄道(JR西日本)の京阪神地区と、東海旅客鉄道(JR東海)の名古屋地区で運行されている快速列車で、普通列車の種別の一つである。
一般的な快速より停車駅が少ない列車種別であり、車両が新しいことを意味するものではない。私鉄における特別料金不要の特急や快速急行・急行に相当する。また京阪神地区と名古屋地区では性格がかなり異なる。
JR西日本の新快速は、英語表記が"Special Rapid Service"、JR東海の新快速は、英語表記が"New Rapid Train"である。また、JR西日本の新快速を中心に、特別な料金が不要なのにもかかわらずその停車駅の少なさと最高速度の高さから無料の特急とも呼ばれている。
1970年10月1日に国鉄が京阪神地区(関西エリア)の東海道本線・山陽本線(琵琶湖線・JR京都線・JR神戸線)系統で運行を開始した。特別料金不要の快速列車の種別の一つで、京都 - 大阪 - 神戸などの都市間輸送(インターアーバン)の基軸を担う最速達列車である。一部の区間では特急列車に匹敵、またはそれを上回る速達性を誇り、同区間の一般的な快速とはスピード面で大きな開きがある一方、運用車両に大きな差はない。
運行開始当初は京都駅 - 西明石駅間の運行で、途中停車駅は大阪駅、三ノ宮駅、明石駅の3駅のみで、新幹線停車駅である新大阪駅は通過しており、京阪神間の最速輸送を重視していた。また運転本数も1日に6往復と少なかった。その後、運行区間、運行本数、停車駅、編成車両数などが拡大していき、次第に利便性が向上していった。現在はJR西日本のアーバンネットワーク(京阪神エリア)の区間を超えて、北陸本線敦賀駅 - 米原駅間、東海道本線米原駅 - 神戸駅間、山陽本線神戸駅 - 上郡駅間、赤穂線相生駅 - 播州赤穂駅間、および湖西線全線で運行される。敦賀駅 - 播州赤穂駅(275.5km)を米原駅(琵琶湖線)経由で走る新快速は在来線の普通列車で国内最長の運行距離を誇る。
JR神戸線・JR京都線は阪急電鉄や阪神電気鉄道・京阪電気鉄道・山陽電気鉄道など競合する関西私鉄が複数並行して走行しており、それら強力な並行私鉄路線に対抗するためにスピードや快適性、利便性を向上させていった。草津駅 - 西明石駅間の日本最長距離(120.9km)の複々線を生かした相互接続や京阪神圏外への直通運転、早朝から深夜までのフリークエントサービスなどのダイヤ面での工夫、特急列車に匹敵する最高速度130km/hによる高速運転、そして通勤型列車でありながら転換クロスシートを配した落ち着いたデザインの内装などが利用客に支持された。複々線区間においては快速列車の一種であるものの、特急列車や貨物列車が使用する外側線(急行線)を走行する(一般的な快速列車や普通列車は内側線(緩行線)を走行する)。所要時間に関しては大阪駅 - 三ノ宮駅間(30.6km)は21分、大阪駅 - 京都駅間は28分(42.8km)であり、大阪駅 - 京都駅間の表定速度は91.7km/hに達し、JRの特急列車に匹敵するほどの速さを誇る。ライバルの私鉄各社に対してスピード競争で完全に優位に立っており、「私鉄王国」と呼ばれる関西においてJR西日本が並行する私鉄路線に乗客を逃さない大きな原動力となった。また当初は最低限の停車駅で都市間の速達性を保っていた競合私鉄の優等列車も、新快速に対して都市間輸送における速達性でもはや対抗できなくなったため、次第にベッドタウンの主要駅の停車駅を増やして地域需要の利便性の確保に軸足を移していった。また、名神ハイウェイバスも新快速の滋賀県内への拡充に伴って滋賀県 - 京阪神間の輸送で鉄道に対する競争力が低下したことから、2000年代以降は滋賀県内の停留所を大幅に減らして名古屋 - 京阪神間の都市間輸送に特化していった。
さらには、新快速の高速運転、及び運転区間・停車駅の拡大により大阪に通勤・通学する郊外エリアの拡大に繋がった。兵庫県南部の神戸市以西(播磨地域)や滋賀県湖南・湖東のエリアでは、新快速停車により大阪市への通勤・通学圏に組み込まれ、大阪のベッドタウンとしてこの地域の人口増加に寄与した。特に京阪神への実質的な並行私鉄が存在しない滋賀県では、従来から大阪への通勤圏である大津市や草津市といった県南部だけではなく、湖南エリアの野洲駅、湖東エリアに位置する近江八幡駅、能登川駅の駅周辺の発展も促し、高層マンションなどの建設が現在も進んでいる。また、新快速の運行本数が運転開始初期から京阪神と同様の草津駅以南では、南草津駅が1994年開業の比較的新しい駅であるが、2011年の新快速停車以降、滋賀県内で乗降客数1位になるまで利用者数は増加し、駅周辺には新興マンションが数多く立ち並ぶまでに発展した。このように新快速は関西において街の様相や地域の人口動態にも大きな影響を与えた。上記のような速達性と利便性、またその与えた影響の大きさから関西では「新快速」という名称は単なる列車種別の枠を超えた「ブランド」として認識されており、新快速が走行する路線を指すこともある。また、不動産会社では新快速停車駅であることを積極的にアピールしている。
同様の性格の列車は、既に首都圏の中央線でも「特別快速」として運転されていた。当初、大阪鉄道管理局はこれに倣って「特別快速」という名称で国鉄本社の許可も得て運転をしようとしたが運転開始の直前に「フレッシュさを出したい」という理由で「新快速」という呼称に改めた。英語案内表記については、1990年代途中までは「新快速」を直訳した "New Rapid Service" であったが、「特別快速」と同様の "Special Rapid Service" に変更されている。なお、車内に設置しているLCD案内表示器では中国語表記はそのまま、”新快速”(拼音: xīnkuàisù)と表記される。また、韓国語の表記は車両によって異なる。223系電車では、「新」の表記を「新しい」を意味する固有語、”새”が用いられ、”새쾌속"(漢字: 새快速 2000年式: Saekwaesok MR式: Saek'waesok)と表記され、225系電車では、漢字表記をそのままハングルに直した”신쾌속”(漢字: 新快速 2000年式: Sinkwaesok MR式: Sin K'waesok)と表記されている。しかし、”새쾌속"は誤訳なので令和6年1月から223系も”신쾌속”と表記がだんだん改正されて3月16日から全ての車両が”신쾌속”と表記された。
2017年3月4日のダイヤ改正からは、路線記号の導入に伴い、湖西線経由の列車は上り(近江今津・敦賀方面行き)のみ水色のラインカラーに湖西線の路線記号 "B" を表示した種別幕が、それ以外の列車(湖西線経由の下り(姫路方面行き)も含む)は青色のラインカラーに北陸本線・東海道本線・山陽本線・赤穂線の路線記号 "A" を表示した種別幕が使用されている。2019年より、有料座席サービスの「Aシート」が一部編成に導入された(後述)。
2020年10月1日に運行50周年を迎えた際は、それを記念した各種イベントも実施された。
定期ダイヤにおける停車駅は以下の通り。なお = で示した駅間は互いに隣接しており、通過駅はない。
上記のほか、通常停車しない駅へ臨時停車する場合や、逆に臨時列車が一部の駅を通過する場合などがある。
当初、京都駅 - 西明石駅間で運転を開始した新快速は、その後徐々に運転区間を延ばしてきた。2022年3月12日現在の運転区間は、敦賀駅 - 北陸本線・琵琶湖線経由または湖西線経由 - 播州赤穂駅・上郡駅間である。
大阪駅を日中に発着する時間帯における1時間あたりの運転本数は、神戸・姫路方面が大阪駅 - 姫路駅間で4本である。京都・米原・敦賀方面は大阪駅 - 山科駅間で4本、山科駅 - 草津駅間で3本、草津駅-野洲駅間で2本、野洲駅 - 米原駅間で1本、米原駅 - 近江塩津駅間で1本、敦賀駅発着(湖西線経由)が1本である。平日の朝ラッシュ時は姫路・神戸方面と京都方面の双方から大阪駅に向けて8分間隔で運行されている。夕方ラッシュ時は大阪発で18時台において、神戸・姫路方面が8本、京都方面が7本(7分30秒間隔)となる。朝夕ラッシュ時点の運転間隔が短くなっているのは、JR京都線・神戸線を直通する列車に加え、大阪駅が始発駅・終着駅となる列車が入るからである。
敦賀駅に乗り入れる新快速は、朝晩は米原駅経由、日中は湖西線経由で運転されている。近江塩津駅で折り返す列車は米原駅を経由する。しかしながらその反面、一例として2006年10月21日の敦賀駅までの直流化開業と同時に設定された敦賀発米原経由播州赤穂行きなど、主要区間を12両編成で運転している列車を中心に、後述の通りホーム有効長の関係で分割併結作業を必要とするため、列車によっては始発駅から終着駅までの全区間を直通運転できないものが最低でも1日1本は発生するようになった。また2011年3月12日のダイヤ改正で日中の一部に敦賀駅 - 播州赤穂駅間の系統(湖西線経由)が設定された。
2008年3月15日改正時点での日中の平均所要時間は、長浜駅 - 大阪駅間が91分、近江今津駅 - 大阪駅間が78分、京都駅 - 大阪駅間が28分、大阪駅 - 三ノ宮駅間が20分、大阪駅 - 姫路駅間が61分となっている。通過運転を行う米原駅 - 姫路駅間198.4 kmの表定速度は約83 km/hである。同区間はJR各社の在来線の中でも特に線形や設備が良いこともあり、この数字は、東日本旅客鉄道(JR東日本)首都圏の特急列車の表定速度(おおむね65 - 90km/h)とほぼ同程度である。
全列車が223系1000・2000番台、225系0・100番台で、最長12両で運転されている。ただし、ホーム有効長の関係から12両で運転可能なのは近江今津駅・米原駅 - 上郡駅間のみで、北陸本線長浜駅 - 敦賀駅間と湖西線永原駅 - 近江塩津駅間は4両、それ以外の区間は8両に制限される。そのため、近江今津駅・米原駅・京都駅・姫路駅・網干駅(併結のみ)で12両編成や8両編成の分割併結作業がある。
2011年3月12日のダイヤ改正から、土休日ダイヤでは米原駅・近江今津駅 - 姫路駅間のすべての新快速が12両編成に増強され、平日ダイヤも12両編成で運転される列車が大幅に増加した(このため新旭駅のホーム有効長の延長工事が行われ、湖西線内も12両運転が可能となった)。これは5月4日の大阪ステーションシティのグランドオープンにより、大阪駅の利用増が予想されるための更なる需要喚起および混雑緩和策である。更に2017年3月4日のダイヤ改正から米原駅- 姫路駅間で終日12両運転を実現している。
12両編成での最長運転列車は、琵琶湖線系統(A)が米原駅 - 上郡駅間の233.7 km、湖西線系統(B)が近江今津駅 - 網干駅間の194.2 kmである。これはJR東日本上野東京ライン(東海道線 - 宇都宮線系統)の熱海駅 - 宇都宮駅間15両運転(214.3 km)に匹敵する。
平日の朝に1本のみ、湖西線経由敦賀行き(前4両)と琵琶湖線米原行き(後ろ8両)を京都駅で切り離す列車が設定されている。この列車は分岐点である次の山科駅にて敦賀行きの編成が米原行きの編成と接続を取って米原行きの編成が先に発車するため、新快速同士で追い越しする唯一の例となっている。かつてはそれ以外にもラッシュ時に米原駅で近江塩津・長浜発を併結する運用(これは長浜駅で分割併結の作業ができないことと、長浜・田村・坂田の各駅が12両編成に対応していないため)もあった。また、毎朝に米原発で下り1本のみ野洲駅まで各駅に停車し野洲駅から新快速に変わる列車や夜に姫路駅で播州赤穂行き・網干行きを分割して運転する列車(赤穂線直通は「普通」として運転) 、さらに昔(平成21年3月14日改正時点)は平日朝に上り1本のみ草津から各駅に停車する列車、同じく平日の朝に1本のみ野洲行きと近江今津行きを京都で切り離し、野洲行きは京都から各駅に停車する列車、近江今津始発で京都で併結する列車が存在した。さらにそれ以前には播州赤穂・上郡行きという列車も存在した。
新快速には特に愛称を付与していないが、ハイキングやスキー客の利便を図るため、定期列車にレジャー号の愛称を付与したものとして次の列車がある。
また、毎年8月に開催されるびわ湖大花火大会の開催日に限り膳所駅にも停車する。
沿線のイベントや行楽期においては、臨時列車の運転を行っていた。なお2020年度には実施されなかった。
山陰本線(嵯峨野線)嵯峨嵐山駅への観光客輸送のため、臨時列車(一部列車の嵯峨野線内は定期列車の代行運転)として、京都駅で折り返して嵯峨野線内に乗り入れる「嵐山さくら号」「嵐山わかば号」「嵐山もみじ号」が春・夏・秋の行楽シーズンに運転され、高槻駅 - 大阪駅・神戸駅間では新快速と案内されていたが、現在は運転されていない。
湖西線マキノ駅すぐ近くの海津大崎で桜の見ごろを迎える毎年4月第2土・日曜日とゴールデンウィークには、事前に通常の連結順序を入れ替え、京都駅での切り離しの際、本来なら京都駅止まりとなる8両編成を先に発車させた上で臨時列車として近江今津駅または永原駅まで運転し、残った4両が定期列車の敦賀行きとして続行運転することもある。
多客期に東海道・山陽本線内を大阪駅まで回送運転される列車が大阪行きの新快速として運転することがある。
毎年8月に行われるみなとこうべ海上花火大会当日や、12月に行われる神戸ルミナリエ期間中には三ノ宮駅発着の臨時新快速が設定されている。
過去には、1997年9月の京都駅ビル開業記念で土曜・休日に山陽本線を姫路駅以西はノンストップで、また、青春18きっぷの利用期間中の土曜・休日を中心に、赤穂線経由「赤穂備前ホリデー号」として 岡山駅発着で延長運転したこともあるが、1998年(平成10年)までに運転を終了しており、現在は運転されていない。このホリデー号には指定席車が連結されていた。
このほか、207系が神戸ルミナリエ開催中、もしくは御崎公園球技場(神戸ウイングスタジアム)での2002 FIFAワールドカップ開催時に、321系が2013年8月18日に神戸総合運動公園ユニバー記念競技場で行われたサザンオールスターズのコンサート公演時に大阪 - 三ノ宮間でそれぞれ臨時列車として使用された。ただし通常時には使われない。
2019年3月16日より、223系1000番台(4両V編成)のうち2編成のクハ222形を中央の扉を埋め込んだ2扉車に改造し(埋め込まれた扉周りの意匠は125系電車に類似する)、有料座席サービス「Aシート」車両を導入した。12両編成の9号車(京都・野洲側先頭車両から数えて4両目)に連結される。「A」はAmenity(快適性)、JR神戸/京都/琵琶湖線の路線記号「A」、関西弁の「ええ(良い)」に由来する。
運行開始当初は1日4本で、平日は野洲駅 - 姫路駅と網干駅間で1往復ずつ、土休日は野洲駅 - 姫路駅間で2往復であった。下り(野洲発)を1号・3号、上り(野洲行き)を2号・4号とした。列車番号の末尾は、一般的な電車列車の「M」に対し、Aシート連結列車は「A」となる。
このAシートは普通車指定席であり、指定席料金は一律840円である(2022年10月時点)。特急列車ではないため、青春18きっぷなどの企画乗車券でも指定席券を購入することで利用が可能であるが、それら企画乗車券ではe5489利用のチケットレスサービス(全列車600円。2023年3月18日~同年4月28日乗車分については390円となっていた。)との併用はできないことになっている。なお、ダイヤが大きく乱れた場合は、「Aシート」車両は無料開放されたり、無料開放のままAシートの設定のない湖西線への直通や、快速、Aシート車が先頭になっての運用に就くこともある。
外観は、ドア横に“A-SEAT”のロゴマークをあしらい、特急サンダーバードと共通するブラックの窓回りに、521系(JR西日本所属車)にも似たブルーの帯を配したデザインとなった。車内には新たにパーティションが設けられ、そのパーティション内は有料座席エリアとされており、テーブルとコンセントを備えた、特急列車普通車と同等のリクライニングシートが2+2列で設けられている。シートピッチは首都圏の快速・普通列車グリーン車と同等の約970mm(現行910mm)とし、電球色に交換された照明、ブラウン木目調となった内装とあわせ、快適性を高めた落ち着きある空間となっている。ラック式の荷物スペースを備えるほか、無料Wi-Fiサービスが提供されている。トイレは洋式化され、車いす対応の多機能タイプとなっている。着席定員は46名。なお、有料座席エリア内では車内広告は一切排除されており、天井に広告吊りの留め金具はあるものの広告の掲出は行われていないほか、立席はできず必ず指定席券を購入の上着席する必要がある。一方、パーティションの外側であるドアおよびトイレ周辺は立席エリア(フリースペース)となっており、ここにいる限りは指定料金は発生しない。
2020年12月1日より2021年2月28日まで、試験的に1 - 3番の各席(12席分)を指定席として販売した。後に指定席の販売は拡大・延長され、2021年7月1日からは1 - 5番の各席(20席分)が指定席となった。その後、2022年3月12日のダイヤ改正より全席指定席となった。
2023年3月18日のダイヤ改正で、Aシート連結列車を6往復に増発した。増発分に対応するAシート車両については、既存車両の改造ではなく225系4次車2編成(クモハ224-701、702含む4両✕2編成)を新造し投入した。新造したAシート専用車両は、出入口は片開き2扉とした。既存車両との車内の細かい変更点については、立ち席エリアに介護者用座席(優先座席)を1席を設置や、大形つり手の採用。フリーストップカーテンの採用客室出入台の識別化がある。
国鉄時代の1972年(昭和47年)から1978年(昭和53年)まで、阪和線でも新快速が運行されていた。
1972年3月15日のダイヤ改正で天王寺駅 - 和歌山駅間に設定された。途中停車駅は鳳駅のみで、所要時間45 - 51分で阪和間を結んだ。最速列車の所要時間は前身の阪和電気鉄道が設定していた超特急以来のものである。日中の9時台から15時台に1時間間隔で運行していた。
車両は、それまで東海道・山陽本線の快速・新快速に使用していた113系が、このダイヤ改正で東海道・山陽本線に登場した153系「ブルーライナー」と同じ塗装(灰色9号地に青22号特帯)に変更して投入された。新造車両ではなかったものの阪和線では初めての冷房付きの車両で、いわゆる旧形国電中心だった阪和線の中では一際目立つ存在だった。円形に羽根を付けたデザインの専用ヘッドマークも新調の上装着された。そして1973年(昭和48年)9月20日に関西本線の湊町駅(現在のJR難波駅) - 奈良駅間が電化されると、関西本線快速用車両が当時の阪和線の車両配置区所であった鳳電車区所属となり、一部は阪和線と共通運用になったため、上記塗装とは帯色だけが異なるカラーリング(灰色9号地色に朱色3号帯色)の「春日塗り」の通称がある「関西快速色(春日色)」の113系も充当されるようになった。「ブルーライナー」に採用された塗装はその後も「阪和色」の通称で呼ばれ、2012年4月1日の団臨運転まで(定期運転は2011年12月上旬まで)使用された。
阪和電鉄以来の速達運転を実現した新快速だったが、元々阪和間の直通需要は京阪神間に比べると規模が小さく、利用は限られていた。このため、1977年(昭和52年)には和泉砂川駅と熊取駅を停車駅に追加し、所要時間は48 - 51分になった。しかし、大きく利用状況は改善せず、紀勢本線が電化された1978年10月2日のダイヤ改正で快速に統合される形で廃止された。
JR東海が東海道本線浜松駅 - 米原駅間に設定した快速列車の一種である。英語表記は "New Rapid (Train)"。同区間では他に「特別快速」と「快速」、そして「区間快速」という列車種別が存在しており、かつそれぞれに微妙な停車駅の違いがあるため、JR東海における「新快速」は単にそれらとを区分するための種別の一つとして存在している。なお、新快速と比較して、他の種別には以下の違いがある。
これらの違いは、すべて金山以東の停車駅の違いによるものであり、金山以西での違いはない。ただし、1999年12月のダイヤ改正までは、穂積駅には快速は停車し新快速は通過するという違いがあった。また、2017年3月現在でも一部の快速は平日のみ稲沢駅に停車するものもある。
2020年8月現在、全運行区間(浜松 - 米原駅間)を走破する新快速は下り列車のみであり、平日に浜松6:01発と9:43発の大垣行き、土休日に浜松17:01発の米原行き、合わせて3本が運行されている。かつては上り列車の設定もあり、2020年3月14日のダイヤ改正以前までは米原7:07発(8両編成、豊橋で後部4両切り離し)の浜松行きが1本運行されていた。
基本的な停車駅は以下のとおり。
浜松駅 - (この間各駅停車) - 豊橋駅 - 〔三河大塚駅*〕 - 〔三河三谷駅〕 - 蒲郡駅 - 〔幸田駅〕 - 岡崎駅 - 安城駅 - 刈谷駅 - 大府駅 - (笠寺駅) - (熱田駅) - 金山駅 - (尾頭橋駅) - 名古屋駅 - 尾張一宮駅 - 岐阜駅 - (この間各駅停車) - 米原駅
車両は313系と311系が用いられ、2006年(平成18年)10月1日のダイヤ改正からは同5000番台が中心となっている。過去には、313系と311系との併結運転、311系や117系、211系を使用した列車設定もあった。117系は2008年(平成20年)3月15日の改正より平日朝の岡崎発着列車に限り復活した。
名古屋駅からの標準所要時間は、豊橋駅まで50分、大垣駅まで31分となっている。
国鉄末期までの東海道本線(豊橋駅 - 名古屋駅 - 大垣駅間)は日中1時間あたり快速1本・普通1本という貧弱な路線であった。1971年(昭和46年)に運転を開始した快速に使用していた153系(155系・159系含む)の取替にあたって、117系を1982年(昭和57年)に投入し「東海ライナー」と命名した。だが、当時の普通列車は本数が少なく、米原・大垣と静岡・熱海・東京との直通運転が多かったために運転間隔も統一されていないなど、「使いやすいダイヤ」には程遠い状態であった。対する当時の名古屋鉄道名古屋本線では、特急・高速・急行を合わせて毎時約7本が設定されており、国鉄の輸送実績はこれに遠く及ばないものであった。
JR化直前の1986年(昭和61年)11月に行われたダイヤ改正で、名古屋鉄道管理局は名古屋都市圏の普通列車の輸送改善を目玉とし、6両編成9本の117系を新製先頭車を加えて4両編成18本にするなど、豊橋 - 大垣間で快速列車と普通列車の大幅な増発の実施でフリークエンシーを向上させた。さらに翌春誕生したJR東海は、この区間を経営上東海道新幹線に次ぐ在来線の重要区間として位置付け、新型車両の投入と増発を重ねていくことになる。
1989年(平成元年)3月11日に新快速がはじめて設定された。運転区間は蒲郡駅 - 大垣駅間に限定され、また当時は岐阜駅 - 大垣駅間はノンストップであった。車両は当初117系が用いられ、最高速度は110 km/hであったが、同年7月に311系を新造、新快速に集中的に投入することにより、最高速度が120 km/hに引き上げられた。その後1年を経て、311系は増備が続けられ新快速の全列車に投入されるとともに、運転区間も豊橋 - 大垣間に拡大している。これにより「新快速=311系」「快速=117系」という棲み分けがなされ、120 km/h運転を行う新快速は快速に比べて特別なフラッグシップ的存在となっていた。一方、快速の運転区間は浜松駅 - 米原駅間となり、比較的長距離を走る列車も増えていった。
並行する名鉄もJR同様に長距離利用の増加に対応する形で1990年(平成2年)に特急券不要の高速を特急に格上げし、名古屋本線では一部特別車(指定席)の特急が登場した。さらに翌年には専用車両(一部特別車の1000・1200系「パノラマSuper」)を登場させ、知立駅、新安城駅通過の列車が増えていった。
1999年(平成11年)に313系が登場し、311系を置き換える形で新快速に投入され、同年12月4日の改正で日中の列車はすべて313系となった。最高速度は120km/hのままであるが、加速性能の向上により所要時間の短縮を実現している。また、朝方はこの改正時に同時に新設した特別快速にほとんどが変更された。この改正で日中の普通列車を大垣折り返しから岐阜折り返しに短縮したことに伴い、岐阜 - 大垣間の快速・新快速は各駅に停車するようになった。同時に幸田、三河三谷に停車する列車も夕方以降に新設された。この列車は夕方以降の快速を格上げした列車であり、ラッシュ時には米原や浜松方面へ直通する列車も増発された。
ここでの大きな変化は、快速にも313系が投入されたことにより、新快速と快速の性能統一がなされたことが挙げられる。全体の底上げを行うことで、旧来の「停車駅が少なく、スピードが速い」という新快速のフラッグシップ的な要素は消え、「停車駅が1駅少ない快速」の位置付けに変化した。同時に登場した特別快速も同様である。
313系の大量投入により、それまでの新快速運用に充当されていた311系は普通列車に用いられることとなった。ただし、ラッシュ時間帯には311系も用いられたほか、117系の新快速も再設定され、313系の新快速より所要時間に余裕を持ったダイヤで運行された。
そのほか、313系の投入により、朝夕に豊橋で2両を分割した飯田線への直通運転が行われ、豊川・新城方面からの通勤サービスが図られていた。飯田線直通の大半は特別快速であったが、一部は新快速の列車もあった。
2006年(平成18年)10月1日のダイヤ改正において、終日混雑が激しい東海道本線の快速列車増強が実施された。新たに6両貫通編成の313系5000番台72両を投入し、昼間時においてはそれまでの4両編成から6両編成に編成を増強するとともに、朝夕のラッシュ時の増発および編成増強も行われている。一方で、飯田線への乗り入れは全廃されたほか、浜松駅発着の列車は大幅に削減された。
また、三河三谷および幸田駅については、これまで一部の快速・新快速で千鳥停車が行われてきたが、この改正で両駅に停車する新快速も設定された。一方で、両駅ともに停車する「快速」は設定されていないことから、「新快速」の位置付けはさらに曖昧なものとなり、「共和駅を通過する快速」との意味合いのみが残ったと言える。このほか、土休日においては、ラグーナテンボスへのアクセス改善として三河大塚停車の新快速(上りのみ)も設定された。
2008年(平成20年)3月15日の改正では、平日朝に岡崎発着の新快速が3本増発された。313系では車両運用に余裕がなく、117系での運転となっている。また、深夜にも増発が行われ、豊橋発下りの最終が22時56分となり名鉄特急の最終(22時45分発)より遅くなったほか、岡崎発の列車なども増発された。
JR東海で運行された車両を以下に記す。2012年現在は原則として大半が313系電車による運行である。
岐阜乗合自動車(岐阜バス)では、路線バスの優等種別として「新快速」を設定しており、大洞団地線、大野忠節線、黒野線、岐阜高富線などの各方面で、平日通勤時間帯に運行されている。
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