オリンピックのロシア選手団は、1900年パリオリンピックから初参加した。1917年のロシア革命によりソビエト連邦が建国され、第二次世界大戦以降はソビエト連邦代表としてオリンピック出場を続けた。このソビエト連邦時代にはアメリカと肩を並べるほどの強豪国となったが、1991年のソビエト連邦の崩壊に伴い、翌年のオリンピックのEUN選手団を経て、1994年リレハンメルオリンピックから再びロシアとしてのオリンピック復帰を果たした。
1991年のソ連崩壊後、ロシアの成績は下落を続け、2010年のバンクーバー冬季オリンピックでは崩壊後最低の11位(金3)にまで落ち込んだが、プーチン大統領が再登板以降の2011-15年に冬季・夏季種目にかかわらず自国の選手1000人以上に薬物を服用させて、成績を上向きにさせた。2014年の自国開催のソチ冬季オリンピックでは情報機関の要員らがRUSADAに潜入し、ドーピング隠蔽をしたことで、合計23個のメダル(金13)獲得で総合1位となった(2022年時点でドーピング発覚で11の金メダル剥奪)。2014年12月にドイツのドキュメンタリー番組が「ロシアのオリンピック・チームでは99%が禁止薬物を服用し、国が尿のサンプルを捏造している」と暴露以降から、過去の数々のドーピングが発覚した。女子フィギュア・スケートにおける未成年選手への体重増加阻止目的の水分制限や思春期を遅らせるルプロンなどの薬物強制も発覚している。2022年2月19日時点でオリンピックにおけるドーピング最多摘発国(47人)だが、朝鮮日報は実際のドーピング数ははるかに多いはずと指摘している。
2018年平昌オリンピック以降は、国家的ドーピングが発覚したため、「ロシア選手団」として出場許可されていない。平昌冬季では個人参加としてのみ許可された。2020年東京オリンピック以降、ロシアの選手達は「ロシアオリンピック委員会(ROC)」名義のOAR(ロシアからの五輪選手)として参加している。本稿ではこれらについても扱う。
これまで最も多くメダルを獲得した夏季オリンピックは、2004年アテネオリンピックの90個。冬季オリンピックは2014年ソチオリンピックの30個である。また、最も多くのメダルを獲得した夏季オリンピック競技は体操競技(新体操、トランポリンを含む)の64個、冬季オリンピック競技はクロスカントリースキーの33個となっている。
しかし、国ぐるみのドーピング問題でロシアの国内オリンピック委員会(NOC)が国際オリンピック委員会(IOC)制裁下に置かれ、2018年平昌オリンピックでは「ロシア選手団」として出場できず、代わりに国家を代表しない「ロシアからのオリンピック選手(Olympic Athletes from Russia)」として出場した。IOCコードも通常のロシア選手団と区別するために「RUS」ではなく「OAR」(Olympic Athletes from Russia)が用いられる。
2020年東京オリンピック(2020年東京オリンピックのロシアオリンピック委員会選手団)および2022年北京オリンピック(2022年北京オリンピックのロシアオリンピック委員会選手団)でも平昌オリンピック同様に国家としての参加が認められず、「ROC」名義での参加となった。「ROC」はロシアオリンピック委員会(Russian Olympic Committee)の英語表記の略称である。
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