ドクター・エッグマン(Doctor Eggman)またはドクター・イーヴォ・ロボトニック (Doctor Ivo Robotnik) は、セガグループ(セガゲームス、セガ・インタラクティブ)のコンピュータゲーム、『ソニックシリーズ』に登場する架空のキャラクター。単にエッグマンと言われることが多い。
姓は「ロボトニック (Robotnik)」で、本名は「イーヴォ・ロボトニック (Ivo Robotnik)」。オーボットによると「エッグマン」はソニックが彼を馬鹿にするために作った名前であったが、馬鹿にされる前に自らエッグマンを名乗るようになり、それが定着したという。年齢は不詳で老人と呼ばれる作品もあるが、中年とも言われている。『ソニック・ザ・ムービー』では丁年。一人称は「ワシ」、若い頃は「わたし」。
ソニックシリーズを通して敵役として登場する人物で、世界を自らの理想郷である『エッグマンランド』に変えようと、ソニック達の住む世界を統括する『連邦政府』と対立する。世界最高の頭脳と謳われた科学者であるが、性格は自分勝手で子供のようにワガママな自信家である。ジェラルド・ロボトニックを祖父に持つ。
その名のとおりタマゴのようにふっくらとした体格と、飛び出たようなヒゲが特徴。常にサングラスをかけ、頭にはゴーグルもかけている。「ホーッホッホッホ」という高飛車な笑いが口癖。普段は傲慢な老人口調で話すが、『ソニック ライダーズ』ではバビロン族の宝を手に入れるためにジェットを利用しようと馴れ馴れしい丁寧語を使い、『ソニック カラーズ』のエッグプラネットパークのアナウンスにおいては敬語とタメ口を使い分けていた。
なお『ソニック・ザ・ヘッジホッグ (2006年のゲーム)』ではモデリングやデザインが一新され、従来よりもかなりスリムな体型になった他、コミカルさがほとんど消失して完全にシリアス然とした性格になった。さらに王女エリスだけでなくシャドウに対して極めて丁寧で紳士的な口調で接するなどこれまでとは異なる言動も見られる。このモデリングや設定の変更は上記の作品のみで、後の作品ではデザインが『ソニック アドベンチャー』以降のものに戻り、以前にも増してコミカルな性格が強調されるようになった。
呼称に関しては、ソニック達には「エッグマン」と呼ばれているが一部の者からは「ヒゲオヤジ」と呼ばれており、シャドウやルージュの他、(たまにではあるが)ソニックには「ドクター」が使われることもある。『ソニック カラーズ』ではウィスプ達にその外見の印象から「ヒゲタマゴ」と呼ばれ、悪乗りしたソニックには「ヒゲゆでタマゴ」とまで言われている。なお、リゾからは「メガネジジイ」と言われる。アメラは「ロボちゃん」であり、アメラがエッグマンと初めて会ったときはエッグマンはまだ5歳である。
シリーズ皆勤賞であったが『ソニックと暗黒の騎士』には登場しない。
自称「悪の天才科学者」で、自身を「世紀の頭脳を持つ大悪党」や「この世に自分と並ぶ者はいない」など自信に満ちた発言をするだけに、ジェラルド譲りのIQ300という優れた頭脳を持っている。ただ、その優れた頭脳を過信し過ぎるところがあり、詰めの甘さから出た失態により計画そのものが破綻することがよく見られる。実際、エッグマンを知る者からの評価は概ね高いとは言えない。
マシン工学の権威と言われるほどメカに詳しく、実際、小型のメカから巨大な空中艦隊まで(少なくとも劇中で確認出来る限りでは)たった一人で作り出すほどの技術力を持っている。
とぼけた外見・子供のような性格とは裏腹にIQに見合った知略派でもあり、その知能を生かしてシリーズでは地球規模や宇宙を舞台にしたスケールの大きい悪事を働いているが、部下の憎まれ口で苛立ったり、子供っぽい発言が目立つため威厳に欠ける。いつも世界征服活動をソニックに阻止されたり、自身の詰めの甘さが災いして自滅したりなど最終的に成功した試しはない。第三者を利用するなど策を弄する一方で、他者からはその科学力や頭脳を利用されやすく、エッグマンネガや当時人類への復讐を企んでいたシャドウなどに唆されて共同で悪事をすることもある。
目的のためには手段を選ばないこともあり、ソニックを誘き寄せるためにエミーやクリームを人質にしたり、『ソニック アドベンチャー2』や『ソニック・ザ・ヘッジホッグ (2006年のゲーム)』では、国を人質にして大胆な脅しをかけたこともある。人命を奪いかねない非道な行動に出ることもあるが、実際に人命を奪った描写はゲーム中では皆無である。ただし目的の為に行動しているだけで、積極的に人命を奪うことを好んではいない。なお、『シャドウ・ザ・ヘッジホッグ』においてはソニックがブラックアームズの非道な侵略、破壊行為を見て「エッグマンでもここまでしない」と語ったことがある。
世界征服のための計画をことごとくソニックに潰されているが、決して諦めることはなく、シリーズにおいてはほぼ例外なく世界征服をした後で己の理想郷である「エッグマンランドを建設する」という目的のために悪事の限りを尽くす。むしろ世界を破壊する自分以外の悪者に対しては「地球がなくなったらエッグマンランドが作れなくなる」という理由で、その侵攻に対抗するために戦力を出したり積極的に協力することがある。
一方でしばしば強大な力(カオス、ダークガイアなど)を狙い、「世紀の頭脳を持つ自分なら制御できる」と後先考えず行動したあげく結局制御できず、世界が破滅しかねない事態を招き起こす。これらのエッグマンの悪巧みによって暴走した者の多くは各シリーズの最後の敵としてソニックを初めとしたプレイヤーキャラクターの前に立ちはだかる者も少なくない。
このように周囲の迷惑を考えず、世界を何度も危機的状況に陥れており、世間にとっては人騒がせな人物であるが、上記の通り、当事者である本人が悪気を感じている場面はほとんど描かれない。自分の研究で世界を危機に陥れても自身をマッドサイエンティストという自覚を見せることはなく、むしろ『ソニックアドベンチャー2』や『シャドウ・ザ・ヘッジホッグ』などで利己的な研究や復讐のためなら世界を滅ぼしても構わないと考える(とエッグマンは思っていた)祖父であるジェラルドに、自分の事を棚に上げて「あのマッドサイエンティストめ!」と激怒している場面さえある。
しかし上記のように自分の帝国を作るための地盤を揺るがすことは望んでいないため、『シャドウ・ザ・ヘッジホッグ』でブラックアームズに利用されているシャドウを助けたり、『ソニックライバルズ』シリーズでは一切悪事を働かず、世界滅亡を企むエッグマンネガの野望を阻止するためにシャドウやシルバーと協力して終始正義のために行動した。また、かつては自分の祖父のような立派な科学者になりたいと語っていたがなぜ世界征服を狙うようになったかは不明。
『ソニック カラーズ』では今までエッグマンランドを作る目的とは異なり、表向きは今までの悪行を償いたいという名目で宇宙にテーマパーク「エッグプラネットパーク」を建造し、裏でウィスプの改造、ウィスプ達のエネルギーを抽出することで世界の人間を洗脳する計画を進めていた。これにはソニックですら「エッグマンがやった中でも特に酷い」と言われている。
これをきっかけにその続編にあたる『ソニック ジェネレーションズ』では、偶然タイムイーターの誕生に遭遇して時空を消す能力を解析し、これを利用して「自分の敗北の歴史を塗り変える」という計画を立案した。計画の全貌を聞いたテイルスから「このままでは世界が消える」と主張されたが、「世界など自分が作り変える」などと自信満々に豪語しており、上記のソニック同様過去の自分であるクラシックエッグマンですら自分の行く末を嘆かれている。
『ソニック ロストワールド』では打倒ソニックのため幻の大陸ロストヘックスで六鬼衆を復活させ、さらに動物達をさらいメカの原動力として利用する一方で、惑星のエネルギーを吸収する際に惑星を破壊しないよう細心の注意を払うなど、『ソニック カラーズ』や『ソニック ジェネレーションズ』のような冷徹さは見られない。物語中盤からはソニック達と行動を共にし、敵として付き合いの長いソニックからはある種の信頼はされているも、テイルスはメカニックとしての考え方が対照的なためにお互い憎まれ口を叩いているが、ソニックやテイルスを体を張って助けるなどの一面を見せる。
逆に『ソニックフォース』では作中冒頭にソニックを捕まえデスエッグに幽閉。半年間拷問した挙句宇宙に放り出そうとしたり、自分に逆らう者をソニック同様幽閉したりある兵器によって根絶やしにしようとするなど、非道な行動を見せる。
エッグマンの仲間は当人以外、全て自律型のマシンであり、ベクターからは「友達が少ないんじゃないか」と言われた事がある。
実際、交友関係はゲーム本編においてほとんど描写されていない。強いて挙げるのであればシャドウと長らく行動をともにした期間があるぐらいであり、彼が初登場した『ソニック アドベンチャー2』以降は、ほとんどのシリーズにおいてエッグマンの指揮下で長期間行動しているシリーズはなく、基本的には中立的な立場である。他にルージュも条件によっては彼と手を組むこともある。部下のメタルソニックは基本的にエッグマンの命令には忠実で、『マリオ&ソニック』シリーズでは彼を信頼している描写がある。
逆にビジネス的な人脈はあるのか、『ソニックフォース』では腕利きの傭兵団を雇って研究所の防衛をさせていた。
『ソニック ワールドアドベンチャー』以降は明確な意識を持った側近的なメカが登場するようになった。初登場した球体型の部下は皮肉屋で、言動がとても反抗的だった。『ソニック カラーズ』でオーボット・キューボットの二種類の側近メカが登場するが、こちらもエッグマンの期待通りの部下とは言えず、計画が達成に近づいていた際に「もうすぐ馬鹿どもともおさらば」という思いを抱いていたが、『マリオ&ソニック AT ロンドンオリンピック』、『ソニック ロストワールド』などでも引き続き部下として登場し、憎まれ口を叩き合いながらも一緒に行動している。
また、いつも敵対しているソニックのことを「永遠の宿敵」、「終生のライバル」などと言っているが、当のソニックは退屈しのぎの遊び相手程度にしか思っていない。ソニックのことは作中でも敵視し、「あの世に送ってやる」、「ここが貴様の墓場だ」などと発言しており、『ソニック フリーライダーズ』の説明でもソニック達を亡き者にしようとしていると説明されているが、『ソニックアドベンチャー2』ではソニックを宇宙空間へ放り込み、爆死させたつもりだったが実際には生きており、その後本人の前で「やはり生きておったか」と発言するなど、ソニックの力を認めているという妙な信頼を抱いている面も見られ、『ソニック・ザ・ヘッジホッグ (2006年のゲーム)』でソニックがメフィレスに殺害された際には、横たわる彼をみて悲痛な表情を浮かべていた。
シリーズを重ねるごとに彼のことを憎からずも思っているとされる場面も見られ、ソニックと戦うことが楽しみになったのか、わざわざ挑戦状をたたきつける行動を取るようになった。共通の敵に遭遇した時は裏切ることなく手を組み、共闘することもある。『ソニック カラーズ』ではその事を部下のキューボットに指摘され、一度は「好きでかまっていると思っているのか!?」と否定したが、「違うの?」と聞き返されて真剣に考えこむ姿も見られた。
ソニック自身も周囲の仲間とは違い、嫌ってはおらず彼に対しては一定の信頼に近い感情を抱く描写がアニメや一部の作品で見られる。こうした関係から時には共通の敵を前に裏切ることなく共闘することもある。ただし、大きな事件にエッグマンの姿を見つけるとさすがの彼もすぐにエッグマンを疑い、『ソニックと秘密のリング』ではよく似た人物をエッグマンと勘違いして危害を加えそうになった。また『ソニックカラーズ』以降からは他の仲間同様、快く思わない態度を見せており、アニメ版『ソニックトゥーン』では悪意を込めて「エッグヘッド」というニックネームで呼んでいる。一方で後年に登場した『チームソニックレーシング』では悪巧みを止めようとしつつも彼の無茶苦茶な屁理屈を聞きながらも付き合ってあげたり、『マリオ&ソニック AT 東京オリンピック2020』で意地を張るエッグマン達に「今は争っている場合じゃない」と彼らを説得し、共同するなど一部の作品では以前のように敵である彼に優しく接している。
テイルスも『ソニックワールドアドベンチャー』では多少だが彼を信頼している節を見せているも、『ソニック ロストワールド』では「仲良くなるなんて絶対無理」と言われているシーンがあるなどより不仲に描かれているが『マリオ&ソニック AT ソチオリンピック』のオールスターチャレンジロードを制覇するとテイルスと手を取りながら優勝した喜びを分ち合う描写があり、お互い自覚はないが気が合う部分がある様子。
『マリオ&ソニック』シリーズではクッパと手を組み、自分達のオリンピックを作ろうと企む姿が見られ、Wii版マリオ&ソニック AT バンクーバーオリンピックのショッピングではクッパと仲良く会話する場面も見られる。オープニングでもワリオと共同でマリオとソニックの邪魔をしようとするなど他の悪役に協力する場面が見られた。さらにDS版のアドベンチャーツアーズでもクッパとともに行動し、悪事の限りを尽くす。同作の最後では「その赤い帽子、見ているだけでムカムカするわい」とマリオのことも敵視するようになった描写がある。その後悔しさのあまり、クッパやメタルソニック達とともにマリオとソニック達の後をこっそりついていくも、ソニック達は案の定気づいていた。
3DS版『マリオ&ソニック AT ロンドンオリンピック』のエピソードモードでも再びクッパと手を組み、正式な選手にもかかわらず招待状が届いておらず(原因は手違いで発送されなかったため)、このことに「ソニック達が実力者の自分達を除け者にして楽しむ気だな」と激怒し、ワリオから戦利品でもらった霧の壷でオリンピックを中止にしようと企む。その後お互い真相を知り、招待状が届かなかった件も二人に同情したマリオとソニックの説得で和解し、クッパと共にオリンピックを楽しむ。この作品でソニックもエッグマンを手のかかる悪友として大事に思っていることが分かる。前日談の外伝ではメタルソニックの改造に奮闘していた。この作品ではエッグマンとクッパが名前を呼び合う場面もあり、このことからクッパとは近年友好関係にあるとされ、短気な彼を宥める冷静さを見ており、『マリオ&ソニック AT 東京オリンピック2020』では珍しく揉める場面もあるもお互いフォローしあったり、励まし合っている。
彼の開発するメカ達は人間と同等程度のサイズから、時折艦隊クラスのものにまで膨れ上がり、デスエッグやテーマパークなどの大規模な建造物を建設することすらあるが、それらの資金源や建造方法などは明確になっていない。
金銭を稼ぐ描写としては、『ソニックバトル』で小遣い稼ぎのためにE-102ガンマの廉価版であるガードロボを警備用として一般市民に売っていること、また『ソニックライダーズ シューティングスターストーリー』で『メテオテック社』というセキュリティーマシンやエクストリームギアを製造する会社を密かに経営していることなどが挙げられる。
その一方で『シャドウ・ザ・ヘッジホッグ』ではテイルス曰くあらゆる場所から奪ったリングで巨大なテーマパークを作ったと話しており、『マリオ&ソニック AT ロンドンオリンピック』のロンドンフェスタのイベントでも大英博物館からコインを盗み、手土産にしようとするなど各地で盗みを働いている描写もあった。
『ソニック カラーズ』でのエッグプラネットパークのアナウンスには金儲けを優先しているような発言が節々に見られ、加えてテーマパークとして運営もずさんであり、内容は自他共に認める粗末さを誇っていた。その中で「ロボットを壊されると修理が大変なうえに値段がとても高い」というアナウンスがあり、その高い技術力の背景には相応のコストがかかることが示唆されている。
いずれにしてもその技術力をなんらかの方法で売り込んでいることだけは明かされている。
連邦政府軍「GUN」に対抗するためにエッグマンが形成した帝国だが、誰も認めていない。世界各地に大小数え切れないほどの基地があり、それらを拠点にマシン達をばらまいている。ソニックワールドアドベンチャーでは念願のエッグマンランド建設を果たしている。「愛と野望の空間」と呼称するそのエッグマンランドは、外見は観覧車などがある遊園地だが、中身は溶鉱炉や工作機械などで埋め尽くされている。
また、シリーズの舞台として彼の建設した施設は遊園地がモチーフにされることが多く、実際に経営することもある。
以下は全てエッグマン一人で製作したものであり、他人の手が加えられているもの(『ソニックラッシュ』にてエッグマンネガと共同で制作したエッグサラマンダーなど)は含まない。
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