山本 圭子(やまもと けいこ、1943年〈昭和18年〉8月7日 - )は、日本の女性声優、ナレーター。大阪府出身。青二プロダクション所属で、創立メンバーのひとりである。
代表作は『サザエさん』(花沢さん)、『天才バカボン』シリーズ(バカボン)、『がんばれ!!ロボコン』(ロボコン)、『ちびまる子ちゃん』(山田、はまじの母)、『ひみつのアッコちゃん』(チカ子)など。
子供の頃から歌手が憧れの仕事であったという。相愛女子短期大学家政科卒業。学生時代に「芝居のムシにとりつかれた」といい、大学卒業と共に当時劇団泉座でマネージャーをしていた兄を頼って上京し、泉座に入団。そこで芝居の基礎を学んだ。
当初は女優志望だったが、「(女優だと)美人の役が絶対できない」「声だと顔と関係ないし、二枚目の男の子の声も出せる」と声優業に専念するようになる。
アニメでのデビューは1963年、『狼少年ケン』のウォーリー役。1965年、アニメ『戦え!オスパー』にて初主演。その後も『もーれつア太郎』や『赤胴鈴之助』、『がんばれ!!ロボコン』などで主演を務めた。
1969年、青二プロダクションの創立に参加し、以降は同プロダクションに所属。
1972年以降、アニメ『サザエさん』では2代目として花沢花子役を長期にわたり担当。
2020年9月10日、下肢骨折の治療のため一時休養を発表。出演中だった『サザエさん』の花沢花子役は、伊倉一恵が代役を務めた。なお、伊倉が担当したのは10月4日、11日放送回の約2週間のみで、山本は10月18日放送回より復帰した。
2023年10月、長期にわたり演じた『サザエさん』の花沢花子役を降板。翌々月の12月には、『ちびまる子ちゃん』で約30年担当した山田笑太役も同月17日放送回をもって降板し、継続して演じる持ち役を同年内にすべて降板することになった。
声種は天衣無縫で活発なアルト(音域はG- E)。方言は大阪弁。
子供向け作品において男の子や少年の役を担当することが多い。
『サザエさん』の花沢花子(花沢さん)役や『天才バカボン』のバカボン役、『ちびまる子ちゃん』の山田笑太役で演じる特徴的な“ダミ声”でしられる。『もーれつア太郎』のア太郎役などの江戸っ子役なども多かった。また、役によってはハスキーボイスで演技をすることもあった。
最初は『魔法使いサリー』のケンちゃん役のようなハンサムな役を演じていたが、『天才バカボン』のバカボン役以降、粘った喋りで演じるキャラクターが増えたという。
近年は、高齢により声質が変化しているといわれることがある。
役者間での愛称は「ドドコ」(名前の圭の字が「ど(土)」を2つ重ねたように見えることから)。身近な人には「圭子姉さん」と呼ばれている。
仕事好きな性格で、1970年には「仕事しているときが一番楽しいもの」「とにかく何でもやりたいの。そのために結婚が遅れてもいいわ」と語っていた。また、この時に「『この役なら、ゼッタイに山本圭子』といわれるような存在になりたい」とも述べている。
少々うっかり者であることが知られており、駅のホームのベンチに台本を忘れたりするなどの失敗をしたことがある。特技は「どこでもいつでも眠れること」。
デビュー当時から“いい役”ばかり付いていたが、キャリア初期の頃にある作品で“すごい美人役”を演じたところ、出来ずにめちゃめちゃだったという。収録後の帰宅中、荷物を忘れたことに気づきスタジオに戻ったところ「誰、あんな人連れてきたの」と声が聞こえたといい、それがショックでその後は少しアテレコが苦手だったというエピソードがある。
関西出身であるため、関西弁が得意。ただし、キャリア初期はその矯正に苦労したという。また『ひみつのアッコちゃん(第3作目)』では、共演したこおろぎさとみに関西弁を教えたこともあった(こおろぎ自身が自身のラジオ番組『ひので街探偵事務所』で過去に話題にしていた)。
上京直後は標準語が話せなかったものの、買い物では周囲の会話を参考に話していたため、その時は周りに大阪出身の人物だとは気づかれなかった。だが、次第にイントネーションを大阪弁の反対にすればいいと考えるようになり、ある会話で「上野」が話題になった際、大阪弁は「うえの⤴」と言うため「うえの⤵がね」と言っていたところ、「どこ出身?」など尋ねられたいう。
テレビでの顔出し出演に関して、『大胆MAP』(テレビ朝日)ではNGだったものの、『アフタヌーンショー』(テレビ朝日)では『もーれつア太郎』で共演した加藤みどりと共に出演したことがあり、1993年に生放送された『笑っていいとも! ザックリいきまショー』(フジテレビ)、2002年1月に放送された『あの人は今!?』(日本テレビ)、2004年10月に放送された『オオカミ少年』(TBS)などで顔出し出演したことがある。
『サザエさん』では、“花沢さん”こと花沢花子役を2代目として、放送初期から2023年10月までの長期間にわたり担当した。演じた期間について、放送局のフジテレビは「詳細な資料がなく記録が残っておりませんでした」と説明しているが、スポーツニッポンは1972年からと報道しており、この報道通りなら同役を約51年間担当していたことになる。
同作では花沢花子役のほか、花沢の母役、アナゴ夫人役、マスオの母役なども兼任していた。ただし、これらの役は2022年5月までに降板しており後任に譲っていた。
2代目磯野カツオ役の高橋和枝が危篤状態の際に見舞いに行った際、「高橋さん」と言っても反応しなかったが、花沢さんがカツオに話しかけるような口調で「磯野くん」と呼びかけたところ「はい」と返事をしたというエピソードがある。
2015年、一度だけ体調不良のため一龍斎貞友が代役を務めた。また、2020年9月に下肢骨折の治療のため一時休養した際は2回分の放送のみ伊倉一恵が代役を務め、翌月10月18日の放送回より復帰した。
2023年10月に降板した際は、山本が高齢のため寂しさと共に理解の声もあがった。また「サザエさん名物声優」と評され、最後の出演にはSNS上で惜しむ声やねぎらいの声が多く上がった。
1966年の『おそ松くん』ではチョロ松やカラ松など複数の六つ子役を担当。開始当初から出演したが、しばらくは『戦え!オスパー』で主役を演じる関係から名前が出せず、途中までは「鈴木恵美子」名義で出演していた。
『ゲゲゲの鬼太郎』では、第2作・第4作・第5作でレギュラーキャラクターの砂かけ婆を演じており、実質持ち役となっていた。また、第1作(1968年)の第1話「おばけナイター」では妖怪バットを拾う少年を演じたが、1985年に放送された第3作の「おばけナイター」でも同じ役柄の少年を演じるなど、数十年間隔で同じ役を演じた。第3作では砂かけ婆ではなく、シーサー役でレギュラー入りしており、このシーサー役は第5作でも準レギュラーとしてメインの砂かけ婆と二役で演じた。
『がんばれ!!ロボコン』のロボコンを演じたときにはロボコンの人気が高く、NET(現:テレビ朝日)の番組はニュース以外全部出演し、丸一日ロボコンの仕事という日もあったという。1999年制作の『燃えろ!!ロボコンVSがんばれ!!ロボコン』で22年ぶりにロボコンの声を担当した。
『チキン・リトル』の声の担当は当初ゲームだけという話であったが、山本の声を聞いたディズニー社のスタッフが気に入ったことから、映画でも声を入れることになった。マネージャーはその報告を聞いて喜びの電話を送ったが、本人は「チキン・リトル」のことを忘れていたという。
2017年頃から持ち役を複数降板している。持ち役を引き継いだ人物は以下の通り。
太字はメインキャラクター。
Owlapps.net - since 2012 - Les chouettes applications du hibou