日本選手権シリーズ(にほんせんしゅけんシリーズ、にっぽんせんしゅけんシリーズ、通称:日本シリーズ(Nippon Series))は、日本プロ野球のペナントレース終了後、クライマックスシリーズ優勝チームによって行われる、その年のプロ野球チーム日本一を決める試合である。正式名称はプロ野球日本選手権シリーズ。
かつては、アジアシリーズ(日韓クラブチャンピオンシップ)の開催年に日本選手権シリーズを優勝したチームには、その出場権が与えられていた。
1949年のプロ野球のリーグ分裂を受けて、翌1950年にセントラル・リーグとパシフィック・リーグのそれぞれの当年の優勝者が野球界の日本一の座をかけて対戦するシリーズとして創設された。1953年までは日本ワールドシリーズと呼称されていたが、翌1954年から現在の日本シリーズに改めた。2007年にクライマックスシリーズ制度が導入され、リーグ戦の結果とは無関係に同シリーズの優勝チーム同士によって行われるようになった。戦後に始まったこともあり、初年度以降中止になった年はない。
2005年 - 2013年の間は、本シリーズの優勝者がさらに『アジアシリーズ』『日韓クラブチャンピオンシップ』に日本代表として参加した。
なお、1リーグ時代に春季優勝チームと秋季優勝チームが対戦して年間チャンピオンを決める試合もあったが、一般にはこの1950年に始まる日本シリーズが一般的であるため、本項においても1950年以降の試合について述べる。
2007年以降は、両リーグともに、ペナントレース後に行われるクライマックスシリーズの優勝チームが出場している(2020年のみ、セ・リーグはクライマックスシリーズがなかったため、当年のペナントレースの優勝チームが出場)。
賞金・賞品は2020年のもの。
出典:
第1回(1950年)から第4回(1953年)については、メジャーリーグベースボールを参考にした『日本ワールドシリーズ』という名称だった。
「日本シリーズ」の”日本”の読み方について、以前は「にほん-」と読ませるのが主流だったが、2000年代からは「にっぽん-」と読ませるように変更され、2003年に「Nippon Series」の公式ロゴが選手ヘルメットに貼り付けられた。日本一に輝いたチームに授与するチャンピオンフラッグの旗面に「NIPPON」が縫い込まれているためとされている。なお、このチャンピオンフラッグは縦1.4メートル、横3メートルの三角形のペナントとなっており、製作に100万円近くを費やしているといわれている。
従来、興行に於ける協賛スポンサーとなる企業・団体は存在しなかったが、2011年から2013年まで、ゲームソフト大手のコナミ株式会社(後のコナミホールディングス株式会社)が特別協賛となり、大会名も『KONAMI日本シリーズ』として開催された。なお、コナミは過去に2005年から2007年に開催されていた『アジアシリーズ』に特別協賛しており、冠スポンサーとして「KONAMI CUP」の名称が付けられていた。
2014年からは三井住友銀行が冠スポンサーとなり、「SMBC日本シリーズ」として開催されている。なお、同社は日本シリーズの特別協賛を機に、2014年10月1日、日本野球機構の協賛スポンサー「NPBパートナー」契約を締結した。
例年日本シリーズが開催される10月下旬から11月は、特に夜間は秋が深まるに連れて気候的に寒くなることから、かつては平日であってもデーゲームで試合が行われていた。
日本シリーズが史上初めてナイトゲームで開かれたのは1964年(第15回)の阪神タイガース対南海ホークスだった。これは東京オリンピックの開催の妨げにならないようにとの配慮で、開会式が予定された10月10日までに全ての日程を消化させることにしていた。本来は第1戦が9月29日、第7戦は10月7日であったが、セントラル・リーグの優勝決定がずれ込んだ上に雨天順延が入り、10月10日に最終戦を開催せざるを得なかった。これが影響してか、シリーズの平均観客動員は歴代最低を記録したため、翌1965年からは元のデーゲーム開催に戻した。
平日のデーゲーム開催では会社や学校を休まない限り試合の観戦が困難となったり、テレビの視聴率やNPBの収益の問題にも関わることから、1994年(第45回、読売ジャイアンツ対西武ライオンズ)では試験的に平日開催の第3・4・5戦(西武ライオンズ球場)に限りナイトゲームで実施。以降、1995年(第46回、オリックス・ブルーウェーブ対ヤクルトスワローズ)より全試合に拡大した。
2011年の第1戦は17年ぶりにデーゲームで行われた。これは中継権を獲得したフジテレビが、同日のゴールデンタイムに『ワールドカップバレー2011』を放送したためである。
2005年(第56回/千葉ロッテマリーンズ対阪神タイガース第1戦・10月22日 千葉マリンスタジアム)では、7回裏1アウト時点で濃霧のため試合が中断。その後天気が回復しなかったため、そのままコールドゲームとなった。天候起因でのコールドゲームは1953年(第4回/読売ジャイアンツ対南海ホークス)第3戦に於いて、8回終了時点で降雨コールドゲームになって以来52年ぶりであるが、濃霧による中断からそのまま試合打ち切りとなったのは初のことであった。
なお、コールドゲームで優勝決定となった試合はこれまで一度もない。
サヨナラゲームで日本一が決まったケースは4例ある(2023年シーズン終了時点)。
開催日程および開催会場が変則的な形となった例は以下の通り。
1970年の開催は両リーグの出場チームが、文京区の後楽園球場が本拠地の巨人と、荒川区の東京スタジアムが本拠地のロッテであり、全試合が東京都での開催となったため、史上初めて同一都道府県内のみでの開催となった(東京シリーズまたはGOシリーズ)。同一都道府県での日本シリーズはこの1970年と上述の1981年(後楽園シリーズ)の2例のみ。
2019年現在は、2008年にオリックスが大阪府をフランチャイズとし、セ・パ両リーグの球団がともに本拠地を置く都道府県がないため、通常のフランチャイズ制度下では同一都道府県で開催されることはない。
2004年に1度も日本一になれないまま合併消滅した近鉄に代わって、2005年に新規加入した楽天が2013年のシリーズで日本一になったことにより、NPB設立以来史上初となるNPBに加盟している全12球団が全て日本一を経験ということになった。なお、パ・リーグに関しては、元号が令和になる前年の2018年時点でNPB設立以来史上初となる同一年号中にパ・リーグに加盟する全6球団が日本一を経験したことにもなった(セ・リーグは、阪神と広島が平成30年間で一度も日本一になれなかった)。
日本以外では、2021年時点で、台湾の中華職業棒球大聯盟が現存する全5球団に台湾シリーズの優勝経験があり、ドミニカ共和国のウィンターリーグであるリーガ・デ・ベイスボル・プロフェシオナル・デ・ラ・レプブリカ・ドミニカーナが全6球団に優勝経験があるが、メジャーリーグでは、全30球団中5球団(ミルウォーキー・ブルワーズ、サンディエゴ・パドレス、シアトル・マリナーズ、コロラド・ロッキーズ、タンパベイ・レイズ)がワールドシリーズ優勝を経験しておらず、その中でもマリナーズはシリーズ自体への出場経験がない。
2010年までは基本的にホームゲームの球団が推薦した放送局と直接交渉し、その放送局の属するネットワークにより試合開始から終了まで全国生中継された。しかし2010年の日本シリーズで地上波全国中継が実施されない試合が3試合あったことを受けて、2011年からは進出球団が放送局を推薦したうえで、テレビ中継協賛スポンサーの広告代理店にその放送局への中継交渉を行う方式を採用した(それでも、通常レギュラーシーズンの放送を頻繁に行う局が優先的に推薦されることに変わりはない)。これ以降は番組編成の都合から、試合開始時間が繰り上がる事例が発生している(2011年の第1戦、2016年の第5戦)。
中継には通常の野球解説者のほか、出場しないチームの現役選手や監督(引退あるいは退任が決まった者も含む)がゲスト解説として登場する。
視聴率(関東地区)は1990年代までは平均30%前後を獲得するなど高い人気を得ていたが、2000年代以降は徐々に低下し、2010年代以降カードによっては一桁を取ることも珍しくなくなっており、2019年以降は視聴率二桁を獲得した試合は年数試合のみという状態が続いている。その一方、レギュラーシーズン同様、関東地区以外の出場チームの本拠地がある地域では高視聴率を獲得することが多い。
系列局ごとによって対応が異なる。プロ野球中継放送実績の無い放送局は原則として省略する。
その他 BS11・TwellV・FOXスポーツ&エンターテイメント・J SPORTSなど、2007年以降に開局した放送局での放送実績なし。
その他 2010年は地上波全国放送が行われない試合があったため、J SPORTSで第1・2・5戦を自主制作(うち、第1戦はテレビ愛知の映像提供を受けて)で放送した。なお、FOX SPORTS ジャパン・スポーツライブ+は放送実績なし。
日本シリーズはNPB主催のため、レギュラーシーズンの放送権の有無に関わらず平等に中継することができる。レギュラーシーズン及びクライマックスシリーズは放送不可のJRN系列における東京ヤクルトスワローズのホームゲームも日本シリーズでは中継できる。放送権は原則としてシリーズ全試合が対象となる。
2023年現在、カードに関わらず毎年生中継する放送局は、NHKラジオ第1放送と文化放送、ニッポン放送、MBSラジオ(2020年度までは毎日放送のラジオ部門)の4局となった。又、東海ラジオは以前は中日が出場時のみ放送していたが、中日が日本シリーズ不出場となった2012年以降も2020年以外カードに関係なくNRNネットで中継している。ABCラジオは2019年以降「阪神が出場しない日本シリーズは中継しない」という局の方針により中継を見送っていたが、2023年は阪神の日本シリーズ出場が決定し、2018年以来の日本シリーズ中継が行われる。
なお、シリーズ期間中はナイターオフ編成のため、レギュラーシーズンとネットワーク編成が異なる上、ネット受けの放送を行わない局も出てくる。また、地元球団がある局では当該球団が出場した場合のみ放送する局もある。
ラジオ大阪は2006年以降、TBSラジオとCBCラジオは2018年以降放送は行っていない。ラジオ日本は2013年以降、読売ジャイアンツホームゲームのみ放送している。
FMについては、埼玉西武ライオンズが進出した場合のみ、NACK5で放送する。
日本シリーズのインターネット配信の導入は、2016年に開局したAbemaTV(現:ABEMA)が最初となる。この年は出資元のテレビ朝日が中継する試合において独自の実況・解説を付ける形で同時配信を行った。そのほかのキー局が出資元となっているインターネット配信業者においても2018年から、Hulu(日本テレビ)、Paravi(TBS・テレビ東京)、フジテレビONEsmart(フジテレビ)にて同時配信を行うようになり、2018年は全試合インターネット配信される初の事例となった。TVer(在京民放テレビ局5社共同出資)では2022年開催から本シリーズを同時配信している。なお、レギュラーシーズン、クライマックスシリーズとは主催が違うため、DAZN、パ・リーグTVなどでの中継は行われない。
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