Aller au contenu principal

ゴルゴ13のエピソード一覧


ゴルゴ13のエピソード一覧


ゴルゴ13のエピソード一覧(ゴルゴサーティーンのエピソードいちらん)では、さいとう・たかを/さいとう・プロダクションの劇画『ゴルゴ13』の全エピソードの一覧とその内容紹介、そして『ゴルゴ13』のコミックスの情報と収録エピソードの一覧を記載。

単行本の情報(出版社や発売日やサイズなど)に関しては、ゴルゴ13の「単行本」を参照にされたい。

作品一覧

ここまで発表されたエピソードのうち、5作品は、単行本未収録または一部単行本未収録となっており、読むことが困難なエピソードもある。そのため、この5作に限っては、詳しい内容紹介のため長文のあらすじとしている。この5作品には★を置いた。エピソード名やその収録単行本は、単行本未収録作にかんしてを参考にされたい。

題名の表記について

  • 単行本や雑誌などにおいては日本語・英語・アラビア数字の文字が混在する場合、「行方不明の氏」「日の死」など英語・アラビア数字は日本語と同じ固定幅のフォントの全角で表現されているが、本項の記述においては表記ガイドに沿い「行方不明のH氏」「63日の死」のように半角で表記。
  • 難読読みよりも検索性を優先しているため、「戦場に漁(すなど)る者」「潮流激(たぎ)る南沙」など、題名に割り込む形になるルビや読みは省き、「戦場に漁る者」「潮流激る南沙」と表記。「メランコリー・夏(サマー)」のように最後の部分を表現している場合や「機関全開(エンジン・フル・スロットル)」のように全部を表現している場合は検索性を妨げないので省かずに表記。

紛らわしいエピソード名

  • 「第95話 ザ・スーパースター」と「第265話 スーパー・スターの共演」は別作品。第95話のスーパースターはゴルゴ13とキッシンジャー、第265話のスーパー・スターはゴルゴ13とポーランド人スナイパーの意味。
  • 「第146話 ラ・マニョ・ディアス 神の手」と「増刊44話 GOD HAND 神の手」は別作品。第146話はウルグアイの暗殺組織の名称、増刊44話はターゲットの通り名とゴルゴ13のこと。
  • 「第400話 パンドラの柩」と「第603話 パンドラの甕」は別作品。
  • 「第437話 ラストグレートゲーム」と「第561話 The Great Game」は別作品。第437話はフランスの覇権主義が題材、第561話は中央アジアの国をめぐる覇権争い。
  • 「増刊89話 ONE SHOT」と「第624話 +ワンショット」は別作品。増刊89話はシカゴ、第624話はアリゾナが舞台。
  • 「第173話 沸騰」と「第174話 沸騰・第四帝国」は連続しているストーリーだが別エピソード扱いとなっている。
  • 「第451話 亜細亜の遺産」と「第452話 亜細亜の遺産その後」も連続しているストーリーだが別エピソード扱いとなっている。

第1話 - 第100話

“話数 題名 / 発表年月”の順で記載。

第1話 ビッグ・セイフ作戦 / 1968年11月
第二次大戦末期、ナチスドイツの下で大量のイギリスポンド紙幣が偽造された。計画を主導したのは、元ナチス親衛隊隊長のベルンハルト・ミューラー。ミューラーはナチ崩壊後、その偽造紙幣を抱えて逃亡し、連合軍の捜索からもうまく逃れ、現在はスイスに潜伏して、要塞さながらの堅牢な邸宅に籠もっていた。偽紙幣はナチスの高度な技術を駆使して造られた精巧なもので、これが市場に出回ればポンドの価値と信用の下落は避けられない。ナチ戦犯センターが解体される日を目前にしてミューラーの殺害を決断したMI6は、フリーランスの暗殺者を雇うことにする。コンタクトに応じて姿を現したその暗殺者は、「ゴルゴ13」という不吉な異名を持った東洋系の男であった。
第2話 デロスの咆哮 / 1968年12月
第二次大戦時にナチスに囚われ、生き別れになっていたフランス国防相の妻と息子が24年ぶりに姿を現した。戦時に受けたひどい拷問のため長期間療養しており、名乗り出るのが遅れたという。疑念を持ったフランス情報局が調査員を送り込んだところ、いずれもそろって極端な程不審な死を遂げた。母子が偽物であるなら何故わざわざこのように疑いを招く真似をするのか?疑心暗鬼にかられた末、とうとう情報局はゴルゴを雇って母子の殺害を決断するが、それは巧妙に仕掛けられた東側の罠であった。
第3話 バラと狼の倒錯 / 1969年1月
スペインの富豪・ロドリゲスの愛娘が、「フォエティダ(黄色いバラ)」という名うての色事士に誑かされ、消息を絶った。男の殺害を依頼されたゴルゴは車を待ち伏せて狙撃しようとするが、運転をしていたのは明らかに女であった。フォエティダに誑かされた女達のブルーフィルムがペルシャ絨毯に織り込んで売られていることを突きとめたゴルゴは、潜入したイランで例の「女」を見つける。偶然ではあり得ないと判断してゴルゴは「女」を撃ったが、「女」には驚くべき秘密が隠されていた。
第4話 色あせた紋章 / 1969年2月
ハンガリーとオーストリアの国境にかかる“血まみれの橋”で、東西の大物スパイ同士の交換が行われようとしていた。ハンガリー秘密警察長官のクリューガーは混乱に乗じて西側に亡命することを企て、ゴルゴにスパイ交換の最中に現場に立ち会うKGV〔ママ〕部長の狙撃を依頼する。このことはCIAも事前に了承済みで、スパイ交換はクリューガーを亡命させるための口実であった。ところがKGVに捕らわれていた米スパイ・リーベックは、事の次第をすべてKGV長官に話してしまっていた。
第5話 檻の中の眠り / 1969年3月
通称「パンドラの島」と呼ばれるアラスカブリストル湾に浮かぶ北刑務所。脱獄不可能と名高いこの凶悪犯罪者専用の刑務所に無期懲役の囚人としてゴルゴが収監されてくるが、収監されるやいなや無闇に反抗的な態度をとり、所長の逆鱗に触れて死刑囚に身を落とされてしまう。死刑囚のザラスはそんなゴルゴの行動を小気味よく眺めていたが、隣の監房に移されてきたゴルゴから脱獄の相談を持ちかけられる。
ゴルゴが自称する「デューク・東郷」という名前が初登場。
第6話 白夜は愛のうめき / 1969年4月
傷心旅行からの帰りの飛行機で、女は一人の男と隣り合わせになる。その男とは、女は偶然からすでに二度も顔を合わせていた。飛行機が目的地のノルウェーの空港上空まで差しかかった時、機体にトラブルが生じて機内は騒然となるが、男は少しも動じた色を見せなかった。やがて飛行機は胴体着陸を試みることになり、激震に襲われた女は男に抱きつく。着陸は成功し、機内が歓喜に沸き返る中、女は男と固く抱き合い唇を重ねていた。飛行機を降りた後、白夜の夜の中で女は男とベッドを共にする。男は無言で立ち去るが、女は男が忘れられない。密かに男の後をつけた女が見たのは、銃を持ち狙撃という彼の仕事を終えたばかりの男――ゴルゴの姿であった。
第7話 ブービートラップ / 1969年5月
内閣総辞職を要求する大規模なゼネストが計画されていることを察知したフランス保安局は、スト計画の中心人物である労働総同盟書記長の暗殺をゴルゴに依頼するが、治安庁からストップがかかり、保安局はゴルゴに依頼の破棄を通告し、のみならずゴルゴの口を封じようと考える。ストが始まり死んだように静まりかえるパリで、西ヨーロッパ唯一の殺人集団「ローゼンクロイツ」によって送り込まれた刺客達が次々にゴルゴに襲いかかる。
第8話 黒い熱風 / 1969年5月
ガボン共和国革命評議会の指導者オーバーメ将軍狙撃犯人として逮捕されたゴルゴ。評議会のNo.2ドルトン准将は一通りの取り調べの後ゴルゴに銃殺刑を言い渡すが、まさに刑が執行されようという直前、軍の実力者の一人カイヨーテ大佐が執行を中止させる。再び開かれた軍事法廷で、カイヨーテは暗殺事件の黒幕は他ならぬドルトン准将だと発言し法廷は騒然となる。決死の形相でドルトンを非難するカイヨーテだったが、ゴルゴはその熱弁の裏に隠れた目論見を察知していた。オーバーメ将軍を暗殺したのはゴルゴではなく、ゴルゴの狙撃の機先を制した別の狙撃手だったからである。
第9話 南仏海岸(コートダジュール) / 1969年6月
スイス銀行から金密輸組織の実力者2人の狙撃を依頼されて南仏コート・ダジュールに赴いたゴルゴ。ところがゴルゴが一人目の男をスコープに捕らえた瞬間、標的は何者かに狙撃され殺されてしまう。不可解に思いながらもう一人の男の滞在しているリゾートホテルを訪れたゴルゴは、そこで盲導犬を連れた一人の盲人と出会う。事前の調査でその姿をかすかに見とめていたゴルゴは、もしやと怪しみ盲人の正体を調査させる。「イクシオン」と名乗るその盲人は、盲目ながら神業的な狙撃の腕前を持つプロの暗殺者であった。
第10話 ゴルゴin砂嵐(サンド・ストーム) / 1969年6月
エジプトをはじめとするアラブ諸国がイスラエルの包囲を強め、緊迫化する中東情勢。アラブ側の背後にはソ連の影があり、イスラエル国防相のダヤンはソ連がミサイル供与と共に派遣した技術将校達の抹殺をゴルゴに依頼する。しかし将校達の正体は目下のところ不明であり、イスラエルが買収したアラブ側の高級将校「虫(インセクト)」のみがその正体を知悉している。「虫」に接触すべく、ゴルゴはモサド所属の女性諜報員ヘーゼラーとともにエジプトへ潜入する。が、ヘーゼラーは実はアラブ連合の送り込んだ二重諜報員であり、同行中も隙あらばとゴルゴの動静を窺っていた。
第11話 駅馬車の通った町 / 1969年7月
ネバダ州の国境に近い小さな街。ゴルゴがたまたま立ち寄った時、街は無法者の集団に占拠されていた。ゴロツキ達は何をしても無言のゴルゴをからかうが、一行の頭目だけはどこかで見た顔だとゴルゴのことを訝しむ。数日間暴虐の限りを尽くした後、無法者達は街を去ることにするが、住人達への見せしめとして保安官を公開処刑にかけることにする。保安官の悲鳴が響く中、磔にされたその体に銃弾が撃ち込まれてゆく。が、1弾、2弾……13弾と撃ちこまれた時、頭目はゴルゴの恐るべき正体を思い出す。しかし気づいた時にはすべてが遅かった。
第12話 狙撃のGT / 1969年8月
中国の欧州方面における情報を統括する責任者・王徳明が西側に亡命した。現在ウィーンの米国大使館で保護されている王は、この後高速鉄道でスイスへ向かう予定になっている。スイスに逃げ込まれてしまえばもはや打つ手はなく、鉄道で移動している最中を狙うほかないと判断した中国統一戦線工作部はゴルゴに王の狙撃を依頼する。標的の行動パターンを精密に分析したゴルゴは、鉄道と同速度で走るスポーツカーから狙撃する案を導き出し、その実行に向け模擬演習に取りかかる。
第13話 メランコリー・夏(サマー) / 1969年9月
国家機密を持って逃亡し、KGBに保護されていた元英外務省の高官・グラストンがソ連から追放された。グラストンの暗殺をMI6から依頼されたゴルゴは、標的がハネムーンを装っての逃亡時に「結婚相手」として利用してマルタで捨てたという女をマークする。
MI6のヒューム部長が初登場。
第14話 猟官・バニングス / 1969年10月
「猟官」と呼ばれ、執念深くゴルゴを追い続けてきた国際刑事警察機構の刑事バニングス。3年にも渡る捜査の上に書かれた報告書を読んだ上層部が出した結論は、囮捜査をしかけてゴルゴを捕まえようというものだった。そんな稚拙な罠に引っかかるような手合いではないとバニングスは反対するが、彼の反対も空しく計画は実行に移されることになる。失望したバニングスは辞職を願い、ゴルゴを捕まえるべく独自の行動を始める。
第15話 WHO!? / 1969年11月
殺し屋ダッシュの情婦ナンシーは、罪の意識に悩みながらも殺人の仕事の片棒を担いでいたが、刑事コーバックの説得によりダッシュの罪を証言して彼を法廷に送り込む。ダッシュは死刑判決を言い渡されることになり、以後ナンシーは忌まわしい過去を忘れて大富豪の夫と結婚して幸せに暮らし始める。が、そんなナンシーの周囲に死刑になったはずのダッシュが生きているのではないかと窺わせる兆候が現れる。おびえたナンシーは現在は私立探偵を営むコーバックに相談を持ちかける。
第16話 殺意の交差 / 1969年11月
ABCレジャーコンツェルンの社長・ブラウンの暗殺を引き受けたゴルゴ。その後釜に座ろうというのが依頼人のジョナサン・アープの思惑だったが、依頼の発端は会長であるアルバーがアープに示唆したものであった。が、アルバーの示唆した暗殺計画の実相は、アープにブラウンを殺させ、邪魔者のブラウンを消すと共にアープの弱みを握ろうという目論見だった。すべてを知っているゴルゴを飛行機に乗せ、アープは嬉々として狙撃現場へ彼を誘おうとする。が、その一方でゴルゴも知らないもう一つの殺人計画が進行していた。
第17話 スタジアムに血を流して / 1969年11月
暗黒街の大物ニコラス・メランギの愛人アンジェラには、ずば抜けた射撃技術を持つデイブという弟がいた。ゴルゴに狙われていたメランギはデイブを使ってゴルゴを返り討ちにしようとするが、アンジェラは頑なに拒否する。アンジェラはやむなく自身でゴルゴを葬ろうとするが、あえなく失敗。メランギから姉の死を聞いたデイブはゴルゴの狙撃現場を強襲し、ゴルゴの隙を突いて背後をとることに成功する。が、ゴルゴを簡単に殺すには惜しい好敵手と判断したデイブは改めての決闘を申し出る。
第18話 白の死線(デッドライン) / 1969年12月
KGBから西側へ亡命しようとしている生物兵器学者の暗殺を依頼されたゴルゴ。雪の降り積もったスイス・イタリア間の国境の山岳地帯でスキーを使ったアクロバット的な狙撃で見事標的を仕留めるものの、依頼人の裏切りに遭って滞在先のホテルを強襲されてしまう。逃走の際に発砲事件を起こしたことで山岳捜索隊に追われることになったゴルゴは、やむなく吹雪の始まった雪山に逃げ込んだ。
第19話 ベイルートVIA / 1969年12月
レバノンの首都ベイルートは中東経済の要の重要都市であったが、キリスト教とイスラム教の混在する国情のため恒常的に不安定な状態にある。MI6のヒューム達世界諜報界の四巨頭は、混乱の元凶であるパレスチナ・ゲリラの指導的グループ「スパイダー6」の討滅をゴルゴに依頼する事を決断するが、その起用は彼らの信頼する謎の修道女マザー・ヨシュアの進言によるものだった。ベイルートに潜入したゴルゴは鮮やかに標的達を倒し、依頼を見事に完遂する。しかし最後に仕留めたグループの頭目は、息を引き取る間際に不可解な名前を口にした。
第20話 最後の間諜 ―虫(インセクト)― / 1970年1月
19話の続編。資産の管理を任せているドワイト・D・グリンヒルの銀行を訪れたゴルゴは金庫室に案内されるものの、罠が仕掛けられていることを鋭敏に見抜く。詰問されたグリンヒルは、大恩ある人物からゴルゴを殺すことを強要されたのだと陳謝する。その人物とはスイス銀行に莫大な蓄財をしている人物であり、その人物の指導と情報提供によりスイス銀行界は永世中立という誇りを保ってこられたのだという。正体不明のその人物の暗号名は「虫(インセクト)」。それはゴルゴがベイルートで葬ったゲリラの頭目が最後に口にした名前と同じ名であった。
第21話 ラブはナイフ / 1970年1月
ナイフ使いの殺し屋・ベンは、恋人のマーサの薦めでゴルゴの名を騙って暗殺の仕事を請け負っていた。仕事は面白いほどに集まったものの、次第に他人の名を騙って稼いでいることが馬鹿馬鹿しくなってきた。ベンは自身の名をあげるべくゴルゴを暗殺することを考える。
第22話 Dr.V・ワルター / 1970年1月
ソ連の優秀な電子工学研究者Dr.V・ワルターは、妻子を祖国に殺された怨みから最新のECMを開発した後、突然米国に亡命した。ワルターは米国の極東戦略の要である沖縄基地のレーダーシステムに携わることになり、暗殺を決断したKGBはゴルゴに狙撃を依頼する。依頼を受けたゴルゴは沖縄に乗り込み、琉球大学にて講演中のワルターを狙撃するが、仕事を終えたゴルゴを待っていたのはKGBの罠であった。
第23話 内陸地帯(ゾーナインテリア) / 1970年2月
ボリビアでのゲバラとドブレの反乱以降、共産主義ゲリラの活動が過激化する中南米。ボリビア政府軍のドミンゴ大佐からゲリラの首領の捜索と抹殺の依頼を受けたゴルゴは、ゲリラに入らないかと誘いをかけてきた共産主義シンパの大学生とともに、ゲリラの潜伏するジャングルに足を踏み入れる。そこへ姿を現したのは巨大なオオアリクイだった。
第24話 査察シースルー / 1970年3月
米国のスパイ衛星の査察データがソ連に奪取された。計画を主導したのは、かつてスターリンの片腕として国際外交の舞台で辣腕を振るった怪物外交官モロトフであり、国連理事会での機密の暴露を恐れた米国はモロトフの暗殺をゴルゴに依頼する。しかしこの動きは死の床についていた元KGB部長のキニスキーに察知されていた。キニスキーはモロトフに情報を伝えると共に、旧知の間柄だったゴルゴにもソ連が依頼を察知したことを「遺言」という形で伝える。
第25話 仮面の標的 / 1970年3月
アルゼンチンで人気を博すユダヤ人マジシャン・アルドーには、拷問の恐怖から同胞をナチスに売った過去があった。罪の意識に悩み続けるアルドーの前に、かつて彼を拷問にかけた元ナチ高級将校のカウフマンが現れる。ユダヤ人組織に殺し屋を差し向けられたカウフマンはアルドーの変装の奇術に目をつけ、彼を自分の替え玉に仕立て上げようと考えたのだった。特殊技術で作ったマスクを被せられたアルドーは、カウフマンの身代わりとして振る舞うよう強要される。
第26話 死に絶えた盛装 / 1970年4月
政財界の男たちを魅了するマダム・マルタンの愛人チョコレート・バン暗殺の依頼を受けたゴルゴは、2人が接触すると思われる場所、モナコでマダムの動向を探る。チョコレート・バンの正体を掴めずにいたゴルゴが導き出した結論とは。
第27話 シェルブールO300 / 1970年4月
戦雲の途切れることのない中東地域に再び暗雲が立ちこめてきた。状勢を受け、フランスはイスラエルに対する武器禁輸措置を持ち出し、イスラエルが発注していた砲艦の引き渡しの拒否を表明する。イスラエルはシェルブール港に繋留されている砲艦を力ずくで奪取するべく特殊部隊を潜入させるが、対立するリビア軍はこれを察知して腕利きの破壊工作部隊を差し向けてきた。イスラエル国防相のダヤンは旧知のゴルゴにコンタクトをとり、特殊部隊の殲滅を依頼する。
第28話 マッディブラッド / 1970年5月
ブラジルのマナオス。男の愛を求めてさまよった末に娼婦に身を落としてしまったフイニーは、故郷であるマナオスに戻る途中に偶然知り合ったゴルゴに心を惹かれる。一方、ゴルゴの標的であるリオのギャングの元締めダディBは、ゴルゴに狙われていることを知って機先を制して襲撃しようとするが失敗。かくなる上はとマナオスの奥地のジャングルに誘い出してゴルゴを罠にかけようと目論むが、そこへゴルゴを追いかけてきたフイニーが現れる。
第29話 価値なき値 / 1970年5月
ニクソン大統領による大統領令以降も密かに毒素兵器の研究を進めていた米国は新型毒素兵器「トクシンP2」を完成させた。だがその研究にも中止命令が下ることとなり「トクシンP2」は秘密裏に廃棄されることになった。その矢先に研究を指導していた科学者が何者かに暗殺されてしまう。東側の工作員の仕業と判断したCIAは、ゴルゴに金塊輸送を装った「トクシンP2」の輸送に同行し、襲ってくる工作員達を殲滅することを依頼する。
第30話 魔笛のシュツカ / 1970年6月
西ドイツ郊外のザルツブルクで暮らす初老の男・ベルンハイム。一見モーツァルトの『魔笛』を愛好する物静かな老人に見えるが、かつてナチス突撃隊屈指の暗殺者として200人もの反独分子を葬った過去があった。娘のユダヤ人の恋人との結婚を頑なに認めない等、現在もナチズムを引きずっているベルンハイムは、ネオナチ組織から西独共産党広報部長のマルチン・リスナーの暗殺を依頼され、快諾する。『シュッカ』の異名をとり恐れられた壮年の頃に戻るべくベルンハイムは奮起するが、偶然にもNATOから全く同じ依頼を受けたゴルゴが現れる。
第31話 暗い街灯の下で / 1970年7月
いつもの通りアーマライトをいくつもの小包に分割して仕事先のロンドンへ送ったゴルゴ。しかし送り先のホテルに赴いてみると小包は一つも届いていなかった。それもそのはず、小包は郵送中に輸送車が暴走族のグループに襲われ、彼らに奪われてしまっていたからだった。やがてゴルゴの銃を使った連続殺人事件が発生する。被害者に撃ち込まれた弾丸の線条痕から、ゴルゴも犯人として容疑をかけられる。
第32話 帰ってきた標的(ターゲット) / 1970年8月
司法取引によりFBIに出頭することになった米国の麻薬界の帝王バグシイ“ビッグ”ガボール。そんなバグシイの姿勢に反発した右腕のロッキー・ブラウンはゴルゴにコンタクトをとり、バグシイの暗殺を依頼する。依頼を引き受けニューヨークに飛んだゴルゴはFBIに出頭しようとしていたバグシイを葬るものの、ところが次いでゴルゴが足を運んだ香港で葬ったはずのバグシイがゴルゴの前に現れた。
第33話 飢餓共和国 / 1970年9月
ナイジェリアに対して独立を宣言したものの、政府軍の圧倒的な軍事力の前に敗退を繰り返して内陸の一角に押し込まれたビアフラ共和国軍。陸路も空路も封鎖され完全な兵糧攻めにさらされた500万のイボ族は、絶望的な飢餓状態へ追い込まれることとなった。乗っていたエアタクシーがイボ族ゲリラのハイジャックに遭い、内戦渦中のビアフラに入ることとなったゴルゴは、偶然の成り行きからゲリラの一員の少年兵を救うことになる。ゴルゴの腕に惚れ込んだゲリラの指導者オハネヒ将軍は、米石油資本の油田襲撃計画にゴルゴの参加を依頼する。
第34話 喪服の似合うとき / 1970年10月
依頼人とコンタクトをとるためパリを訪れたゴルゴだったが、街を歩いている最中何者かから銃撃を受ける。ゴルゴは咄嗟に応戦しようとするが、懐から拳銃を引き抜いた瞬間突然右手が痺れ出して拳銃を取り落としてしまう。ゴルゴを銃撃したのは、かつてゴルゴの暗殺事件の巻き添えで失明したド・バビエール伯爵の部下だった。ゴルゴの手の痺れを知った伯爵は今こそ絶好の好機と考え、かねてより暖めていた復讐計画を実行に移そうとする。
突然手が痺れるゴルゴの謎の持病が初登場。
第35話 激怒の大地 / 1970年11月
KGBのスパイでありながらCIAに捕らえられ二重スパイとなったビセンテ・ヨーク。KGBとCIA双方に追われることになったビセンテはペルーへと逃亡するが、彼を始末するべく両組織が送り込んだ暗殺者達は、一様にナイフで首を切り裂かれ無残に殺されてしまった。KGBからビセンテ暗殺を請け負ったゴルゴはよほどのプロが護衛についているに違いないと想像を巡らすが、現地についても護衛の正体は皆目わからなかった。護衛の正体を探るのを断念したゴルゴは、牧師に扮しているというビセンテのいる山奥の教会へと向かう。
第36話 番号預金口座(コント・ヌメロテ) / 1970年12月
暗殺されたドミニカのトルヒーヨ大統領の息子ラムフィス・トルヒーヨは、父の死後スペインに亡命し使い切れない程の父の遺産を浪費しながら毎日を送っていた。有り余る金とその金目当てで近づいてくる取り巻きに囲まれながら生の実感を感じられない彼は、自分を殺し屋に狙わせるという命を懸けた酔狂なゲームを思いつく。父の資産の投資に失敗した銀行家フーリオを刑務所から引っ張り出したトルヒーヨは、彼に死のゲームの相手になることを強要する。腕利きの殺し屋を捜してこいと言われたフーリオは、当惑しながらも言われたままに殺し屋を捜そうとする。
第37話 AT PIN-HOLE! / 1971年1月
エルパソへ向かう旅客機でハイジャックが発生。乗客に危険が及ぶ恐れがある以上とても旅客機には近づけず、狙撃で仕留めるより方法はないと判断したCIAは、FBIに要請して別件で取り調べを受けていたゴルゴを超法規的に釈放させ、ハイジャッカーの狙撃を依頼する。特別製のカスタム狙撃銃を携えて空港へ乗り込んだゴルゴは、射程実に1000mを超える針の穴を撃ち抜くような超長距離狙撃に挑む。
ゴルゴが信頼するガンスミス、デイブ・マッカートニーが初登場。
第38話 ラオスのけし / 1971年2月
黄金の三角地帯で新しく麻薬のアジアルートを握った男の抹殺をCIAから依頼され、ゴルゴはラオスに潜入した。替え玉を使う男の正体を見極めようとする中、CIAの連絡員が次々に消されていく。ゴルゴは男とのパイプを持つ、通称リー将軍のアジトに行く。そしてリーに会いに来たターゲットが搭乗しているヘリコプターを墜落させる。
第39話 雪は黒いドレスの肩に / 1971年3月
偽装結婚をして極秘資料をソ連に持ち出そうとしているKGBのスパイ。ゴルゴはCIAからこのスパイの狙撃を依頼される。
第40話 マニトバ(MANITOBA) / 1971年3月
KGBがモスクワ・フィルハーモニー管弦楽団に潜り込ませた二人の諜報員が西側に亡命を企て逃亡した。諜報員達の抹殺を依頼されたゴルゴは公演先のカナダに飛ぶが、不意のアクシデントにより警察に拘束されてしまう。ところが事態は意外な展開になった。カナダ公安諜報部がゴルゴに接触し、亡命を望んでいるとは知らずに件の諜報員達の暗殺を依頼してきたのである。図らずも西側からも同じ依頼を受けることとなったゴルゴは、無報酬で依頼を引き受け、諜報員達が姿を消したマニトバ州へと向かう。
第41話 そして死が残った / 1971年4月
フィリピン内務部情報局とのコンタクトに応じるためマニラに飛んだゴルゴ。しかし空港に降り立った直後、何者かの狙撃を受け辛うじて難を逃れる。情報局の依頼は、マルコス政権の政策に反発して再び活動を活発化させている反政府ゲリラ団・フク団の首領レネ・ガルシアの抹殺だった。
第42話 女王陛下の憂鬱 / 1971年5月
何者かがMI5の機密書類を超小型カメラで撮影し、逃亡した。MI5はただちにロンドン全域に非常線を張り、たまたま市内のホテルに滞在していたゴルゴは容疑者として拘束されてしまう。ゴルゴは事件に全く無関係だったが、行きずりの女と一緒に泊まっていた部屋の中から何故か小型カメラが見つかり、有無を言わさず連行される。ゴルゴの拘束を知ったMI6のヒューム部長は、ゴルゴは諜報員の真似をするような人間ではないと考え、真犯人は別に存在するのではと推測する。
第43話 ゲート・イン(GATE-IN) / 1971年6月
英国競馬の最高峰であるダービーを目前にして英国中が沸き返る中、その裏側では山師のビクター・ゴードンによる邪な陰謀が進行していた。一番人気の本命馬をアクシデントに巻き込んで落馬事故を起こすことで高配当を得ようと企んだゴードンは、腕利きの狙撃手の狙撃で騎手の握る手綱を切断するという大胆不敵な計画を立てた。すでに二人の狙撃手を雇ったゴードンは万全を期すために最高の狙撃手と名高いゴルゴも雇おうと考え、何故か都合よく会場となるエプソム競馬場にいたゴルゴに話を持ちかける。
第44話 VOO DOO / 1971年7月
ハイチの商社の副社長ハシェルは、ある晩酒場でブードゥーの女呪術師から「今の社長を呪い殺して代わりにその座に座りたくないか」と持ちかけられる。ハシェルは訝しげに思いながらも金を払うが、ほどなく社長が事故死し、ハシェルは本当に社長の座に就くことになる。その後すぐに例の女呪術師がオフィスへ押しかけ、金を無心しに来る。ハシェルは女を追い返すが、以来原因不明の頭痛に悩まされることになる。ブードゥーの呪いだと震え上がったハシェルは女を殺して呪いを解こうとするが、女はハイチ最高の呪術師といわれるオルガ・タボスであり、どんな殺し屋に頼んでも皆オルガを恐れて引き受けようとしない。唯一ゴルゴのみが物怖じもせずに依頼を引き受けた。
第45話 アラスカ工作員 / 1971年8月
シリーズ初話(「アラスカ工作員」〜「ラ・カルナバル」までストーリーが連続している)。
アラスカにある米国の諜報基地が突然音信不通になった。何人ものCIA工作員達が調査に赴くものの、彼らもことごとく消息を絶ってしまう。KGBの腕利き工作員・隼のイエスの仕業と突きとめたCIAは、ゴルゴにコンタクトをとって抹殺を依頼する。アラスカに潜入したゴルゴは死闘の末に勝利するが、闘いが終わった直後、隼のイエスの通信機にゴルゴの襲来に注意しろという連絡が入った。ゴルゴはCIAにKGBの二重工作員がいるのではと訝る。
第46話 鎮魂歌に牙を / 1971年8月
隼のイエス掃討後、米軍機に回収されたゴルゴ。が、ゴルゴを迎えに来てくれたCIA局員はゴルゴの推測していた二重工作員であり、空軍機はハイジャックされてそのままソ連領空へ向かうこととなる。ソ連に到着後、ゴルゴは工作員を殺して脱出しようとするが、KGBに捕まりモスクワへ連行されてしまう。ところが事態は意外な展開となった。KGBによると件の工作員はKGB局員ではなく、米国にもソ連にも属さないある機関の命令を受けて動いていたスパイだった。ゴルゴはKGBの女性局員・マイヤと共にブラジルへ飛ぶこととなる。
第47話 リオの葬送 / 1971年9月
ブラジルへ向かう途中、経由地のロンドンで米・ソ・英・仏・日・5カ国の情報責任者とテレビ電話で会見したゴルゴは、旧ナチス残党の科学者ワルター・フォン・オーベルトの暗殺を依頼される。かつて毒ガス研究の権威だったオーベルトはネオナチ組織の頭目となり、新たに開発した高性能の毒ガスミサイルを突きつけて五カ国を脅迫しているのだった。オーベルトのミサイル基地のあるマナオスの奥地のジャングルに乗り込むべくゴルゴは武器の調達を始めるが、その最中マイヤがオーベルトの手下に捕らわれ死に追いやられてしまう。
第48話 ナチス鉤十字章は錆びず / 1971年9月
マイヤに続いてゴルゴも捕らえるべく、女性工作員を仕向けたオーベルトの手下達。が、ゴルゴは色仕掛けで近づいていてきた女に幻覚剤を飲ませ、秘密基地の情報を知るべく口を割らせることに成功する。旧知のマフィア・カルロスに用意してもらった武器を携え、いよいよゴルゴはミサイル基地の襲撃に乗り出した。警備兵をなぎ倒し、猛毒の神経ガスが積まれたミサイルを破壊して、ついにゴルゴはオーベルトの眼前まで到達する。が、防弾ガラスに銃弾を阻まれ標的を仕留めることはかなわず、オーベルトはいずこかへと姿を消した。
第49話 ラ・カルナバル / 1971年10月
復活祭を前にして恒例のカーニバルが始まり、お祭り騒ぎに沸き返るリオ。ミサイル基地を破壊したものの標的を取り逃したゴルゴは、マフィアのカルロスにオーベルトを捜すよう依頼する。ゴルゴには、オーベルトが国外に逃げず自身と決着をつけるべくリオに留まっているという確信があった。案の定、オーベルトはリオにいた。パレードの最中、山車で踊る侏儒の男と共に姿を現したオーベルトは、ゴルゴに一騎討ちを申し出る。明くる早朝、祭りの狂騒が過ぎ去り静寂が支配する大通り。教会の鐘を合図に最後の戦いの火蓋が切られた。
第50話 ROOM・No.909 / 1971年10月
株式相場に影響を持つ大物マフィアの抹殺を証券取引委員会から依頼され、狙撃するゴルゴ。しかしその直後、付近のネコの動きに反応し空薬莢を落としてしまう。これを偶然入手した警察の捜査がゴルゴに行き着く。
第51話 潜入ルート“G3” / 1971年11月
中国領空でソ連のスパイ機が撃墜され、乗員であるKGBの工作員が重傷を負いながらも中国に保護された。もし、ソ連のスパイ行為が中国に自白されると中ソ関係の悪化は避けられない。口封じのために乗員の抹殺を依頼されたゴルゴと、それを阻止しようとする中国情報部とKGBの攻防が繰り広げられる。
第52話 国境線の5人 / 1971年11月
スイス国境の山小屋に次々と集まった5人は、皆逃亡中の身であった。そこにゴルゴが現れ、各々が自分を狙う殺し屋では?と警戒する。
第53話 ナポリの女 / 1971年12月
ナポリに現れたゴルゴは、偶然出会った母子家族の家に泊まる。その間に拳銃強盗の疑いがかかるが、疑いは晴れ、ゴルゴはその家を去る。
第54話 死の収穫 / 1972年1月
ボリビア軍政府に同志を殺害・逮捕されたゲリラ組織が、同志の解放を求めてフランス大使を誘拐した。軍政府長官からゲリラの首領殺害と大使の救出を依頼され、ゲリラの本拠地へ潜入するゴルゴ。しかし軍のガルシア大佐は大使夫人と密かに関係を持っており、ゲリラ掃討作戦の混乱に乗じて、大使を射殺する。
第55話 ANGRY WAVES / 1972年2月
リベリア船籍の大型タンカーがシージャックされ、多数の乗組員が人質となってしまった。ゴルゴはシージャック犯の狙撃と人質救出をFBIから依頼される。標的の武装集団は、仮出所中である凄腕の狙撃手ケスラーの他、身元の割れた指名手配犯らで構成されており、投降の可能性はない。ゴルゴは水中スクーターでタンカーに接近を試みる。
第56話 みな殺しの森 / 1972年3月
1943年ソ連のスモレンスク近郊の森で起こったカティンの森事件。ゴルゴが暗殺を請け負った標的・ウエストクリフ卿は、そのカティンの森のどこかに眠るという虐殺されたポーランド軍将校らの遺産発掘を企み、スモレンスクへ飛んでいた。当時のソ連側の関係者が遺産発掘に乗り出したという噂を聞きつけたのである。ウエストクリフの後を追うゴルゴは、スモレンスク近郊のうらぶれた宿を訪れる。
第57話 キャサワリー / 1972年4月
ゴルゴが持病を発病して静養中という情報を得たニューヨークマフィアのボス達は、今こそ積年の恨みを晴らす絶好の機会が到来したと殺し屋を差しむける。マフィアの目に適ったのは、「キャサワリー(ヒクイドリ)」という仇名を持つフリーの女暗殺者だった。卓抜した拳銃の腕前に加えてレズビアンであるこの女は、ゴルゴの色香に惑わされてしまう心配もない。マフィア達からの依頼を受けたキャサワリーは、ゴルゴが静養している地中海のマルタ島に単身乗り込む。
第58話 カリブ海の死影 / 1972年5月
ジャマイカを訪れていたゴルゴは、暴動に巻き込まれその扇動者らと関わる。ゴルゴは扇動者一味を治療する医師を危険から守る。
第59話 日本人・東研作 / 1972年5月
マンディ・ワシントンは、東(あずま)研作なる人物がゴルゴではないかと推測し、その男の過去の調査を進める。調査を進めていくうちに、東研作を知る者から思いも寄らない証言を得る。
第60話 砂漠の逆光 / 1972年7月
外人傭兵部隊で死んだ息子の敵討ちのため、その家族から依頼を受けたゴルゴであったが、現地で標的の隊長に捕らえられてしまう。
第61話 アクシデンタル(ACCIDENTAL) / 1972年8月
狙撃の際の予期せぬミスファイア(不発)に衝撃を受けるゴルゴ。100発入りの弾丸を80発まで試し撃ちして残った20発を使うゴルゴの銃からは、不発弾が出る確率は限りなくゼロに近い。これが自然に出たものならばよいが、そうでなければ自らに対する挑戦である--そう考えたゴルゴは、依頼を中断して徹底した調査を開始する。
後に、ゴルゴを知る者の間で「唯一失敗した狙撃」として、しばしば引き合いにされることになる。
第62話 九竜の餓狼 / 1972年9月
金塊密輸組織幹部から、組織を裏切ったボスの抹殺を依頼されたゴルゴ。それに対し標的となったボスは、散弾銃の名手でゴルゴを恨んでいる警察官と接触し、ゴルゴの当て馬に仕立てる。
第63話 モスクワ人形(ドール) MOSCOW・DOLL、第63話 モスクワ人形(ドール) HELL・DIVER、第63話 モスクワ人形(ドール) SHADOW・HUNTER / 1972年10月 - 1972年11月
モスクワの国営衣料品店店員のミーナ・ソロコフは余剰の売上金を横領した罪でKGBに捕らえられてしまい、その罪を贖うためKGB秘密局員養成所で訓練を受けさせられる。だが、これはKGBに仕組まれた陰謀で、アメリカ空軍の幹部将校付き2等秘書官アンジェラ・カーターと瓜二つで、また英語に堪能なミーナをアンジェラとして潜入させるべく訓練させるため用意された罠であった。この施設にゴルゴが潜入し、計画を阻止する。
第64話 ペガサス計画 / 1972年11月
北ベトナム軍に囚われた米軍少佐の口封じのため、ゴルゴに依頼がなされた。少佐は難攻不落の城砦に幽閉されていたため、ゴルゴはジープに牽引させたパラシュートで降下する方法を取り潜入を図る。
第65話 死角の断面 / 1972年12月
スコットランド・ヤードのダンカン警視は、ウォーレス卿暗殺計画阻止のためにウインザーのゴルフ場へと急行した。
第66話 柩に誓いを / 1973年1月
某国機関が兄をゴルゴに殺された男性の復讐心を利用し、ゴルゴの暗殺を企図する。その男性を依頼者を装ってゴルゴに近づけ、爆殺しようとする。
第67話 “Dabbie!” / 1973年2月
COFOの幹部でありながらKKKの団員でもあるクリストファー・ドレイクの殺害を依頼されたゴルゴ。狙撃ポイントは人種差別が根強く残るディープ・サウス。任務を遂行したゴルゴが潜伏している納屋に、白人の男たちがレイプするため黒人の少女デビィを連れて入ってきた。
第68話 死を運ぶ者共 / 1973年3月
命を狙われている武器商人達の前に、ゴルゴが現れた。その武器商人の1人である女が、妊娠中にもかかわらずゴルゴに体を提供して命乞いしたが、翌朝その女が他殺体で発見される。
第69話 動作・24分の4 / 1973年4月
ニューヨークのファミリーに追い詰められた地方ギャングのボスは、ゴルゴにファミリーのドンの暗殺を依頼。ゴルゴに狙われていることを知ったドンは、強固な防弾ガラスで鎧われたビルの一室に篭城する。同時にファミリーの暗殺部隊を放ち、ゴルゴを返り討ちにするべくその後を追わせた。狙撃ポイントと思しきビルに辿り着いた暗殺部隊は、ビルの屋上から発した連続する銃声を耳にする。
第70話 ヒート・ウエーブ(灼熱) / 1973年5月
滞在中のインドから機密資料と共に東側への亡命を目論むイギリス人教授と、それを手引きする東側諜報員。彼らの下に、教授の娘を連れたゴルゴが現れる。
第71話 欧州官僚特別便(ユーロクラットスペシャル) / 1973年6月
祖国の体制批判を繰り返すタミノフ教授を、胸の懐中時計諸共狙撃することをKGBから依頼される。しかし、その銃弾は時計に命中したものの貫通しなかった。
第72話 残光 / 1973年7月
シカゴマフィアのボスがビーチで射殺された。かつてゴルゴの事件を追ったことのあるワイキキ警察署の刑事は、ゴルゴの居場所を突き止め、面倒なことになる前にハワイを離れるよう提案する。
第73話 白い巨人(ヒガンテ・ブランコ) / 1973年7月
横暴の限りを尽くすバナナ会社のボス抹殺を、グアテマラの反乱武装集団から依頼される。しかし手引きする予定だった男は殺され、更には待ち伏せがいた。
第74話 アーリィ・オータム / 1973年8月
チャールズ・ルカはニューヨークの芸能界を牛耳るため、大物芸能ボス殺害をゴルゴに依頼した。
第75話 スエズの東 / 1973年9月
イスラエルの特効部隊による嵐のようなベイルート襲撃で多大な被害を受けたパレスチナのゲリラ組織PFLP。第二・第三の襲撃計画を恐れたPFLPは、イスラエルがシナイ半島の占領地、スエズ運河の東方に設けている特別訓練所を破壊する「血の砂作戦」を決行することを決断し、ゴルゴにコンタクトをとる。ゴルゴへの依頼は訓練所内にある燃料貯蔵所を遠距離から狙撃して爆発させることだったが、パートナーの女性工作員と共に現地へ赴いたゴルゴは驚くべき作戦の実相を知らされる。
第76話 魔女の出てきた日 / 1973年10月
魔女の殺害を目論むキャリントン卿は、用心深く外出を好まない魔女を外に引っ張り出すための演技を行う。
第77話 ジェット・ストリーム / 1973年11月
トランス・アトランティック航空901便がロンドンへ向かう途中ハイジャックされる。ヒースロー空港ではアメリカ連邦航空局から乗客名簿を取り寄せると、犯人割り出しを急いだ。そんな中、乗客名簿の中から「デューク・東郷」の名を見つけたMI6のヒュームは、犯人に気付かれないようゴルゴにハイジャック犯殺害を依頼しようと試みる。
第78話 幽霊定期便(ゴースト・ライナー) / 1973年12月
法外な手数料を取って東ドイツ市民を西側へ逃亡させる組織“幽霊定期便”の中心人物ハンス・カートランドは、自分に迫ってくる危険を動物的勘で察知する能力があった。西ドイツ連邦憲法擁護庁は、東ドイツからの警告を受けて追跡を試みたが失敗。ゴルゴへの依頼を決めた。
第79話 ペギーの子守歌 / 1974年1月
メリーランド州シルバー・スプリングスの森で、ベビーシッターのアルバイト中だった15歳の少女が強姦されて殺された。FBI捜査官ギャラットは、モーテルに泊まっていたゴルゴを疑い、取り調べを行う。
ゴルゴの血液型が「少なくともAB型でない」ことが判明する。
第80話 銃殺人ひとり / 1974年2月
息子のアントニオを誘拐され殺されたメキシコの大農場主ガルシアは、以前ゴルゴを射撃場で見かけた時プロだと感じ取っていた。メキシコの法律で死刑制度がないこと(最高刑が終身刑)に納得できないガルシアは、ゴルゴに3人の処刑を依頼する。
第81話 海へ向かうエバ / 1974年3月
冷徹な女暗殺者、エバ・クルーグマンは、かつて一夜を共にしたゴルゴと再会する。再会を喜ぶエバに、ゴルゴは思いもよらない言葉を投げかける。
さいとうが脚本を手がけた傑作エピソードとして、さいとうの追悼特集が掲載された『ビッグコミック』2021年21号に再録された。
第82話 殺しの紋章五爪竜(ウーツァオロン) / 1974年4月
大戦中ドイツの潜水艦に積まれていた5トンにのぼる金塊を、秘密結社“赤眉”の巡風頭が密かに引き上げた。この金塊の隠し場所を知った趙秀峰は、それと同時にゴルゴが巡風頭を狙っていると言う情報を得て、ゴルゴに巡風頭の居場所を教える。
第83話 黒い肌の狙撃者 / 1974年5月
いまだ激しい人種偏見の残る米国南部地域。捕虜収容所を釈放され、故郷ミシシッピ州グリーンウッドに戻ったベトナム帰還兵エーベル・バーネットを待っていたのは、在郷軍人会による手ひどいリンチだった。ベトナム人の捕虜となり、黒人兵の友人を持っていたのが恥なのだという。エーベルは彼らの仕打ちを苦にして自殺してしまい、友人の黒人兵・サミーは軍人会のリーダーで異常な人種差別主義者のローレル大佐の殺害をゴルゴに依頼する。一方、ゴルゴに狙われていることを知った大佐は手下の警察署長を使ってグリーンウッド全域に厳戒態勢を布かせる。たまたま黒人解放運動家達と知り合ったゴルゴは、厳戒態勢を突破するためとある秘策を実行に移そうとする。
第84話 国家秩序維持省 / 1974年6月
オーストラリアにゴルゴが現れたという情報をいち早くキャッチした、現地のソ連大使館。警戒する彼らを尻目に、ゴルゴは標的である元ソ連のスパイをスコープに捉える。
第85話 統計解析射撃 ダラスの疑惑、第85話 統計解析射撃 ダラスの極限、第85話 統計解析射撃 ダラスの閃光 / 1974年6月 - 1974年7月
世界でもトップクラスの石油会社「ハミルトン石油」の会長狙撃の依頼を受け、テキサス州のダラスに到着したゴルゴ。車で運転中に襲撃を受け、それがきっかけで、ある歴史的大事件の容疑者として拘束されてしまう。その後、容疑を逃れたゴルゴは、今度は標的の部下に捕えられてしまう。不屈の精神力でそれを突破し、部下の1人に標的の居場所を案内させるが、そこはアリの這い出る隙間もないような、最新鋭の警備システムで固められていた。
第86話 折れた矢(ブロークン・アロー) / 1974年8月
突如アメリカ合衆国ネブラスカ州の空軍基地に入った通信「折れた矢(ブロークン・アロー)」。それは核兵器事故が発生したことを示す暗号電であり、水素爆弾を搭載した米軍の戦闘機が墜落事故を起こしたことを知らせるものだった。事故発生地点はソ連からほど遠くないノルウェー領・ロフォーテン諸島で、SAC(戦略空軍本部)は即座に3機の水爆の回収命令を発令する。しかし敏感に事故を嗅ぎつけたらしいソ連は早々とKGB要員を送り込んでおり、対する米国もCIA要員達を現地に送り込むが、そこには全く無関係な依頼を受けたゴルゴも潜入していた。
第87話 地獄への回廊 / 1974年9月
アフリカ最後の植民地・ポルトガル領モザンビーク。2日後の新総督赴任に際して、モザンビーク解放戦線のゲリラに不審な動きがあるとの情報が現地の植民地軍に入った。赴任当日、新総督は首都に通ずるゲリラの跳梁跋扈することで有名な幹線道路・通称「地獄の回廊」を通らねばならない。植民地軍は何としても「地獄の回廊」へ武器を持ち込ませまいと息巻き、厳しい警戒態勢を布く。そんな中、日本の家電製品のセールスマンを装ったゴルゴが現れる。一目見てゴルゴを怪しんだ臨検部隊の隊長は、ゴルゴに監視をつけその動きを見張らせる。
第88話 ヒドラ(HYDRA) / 1974年10月
潰す先から新たな組織が生まれ出る麻薬犯罪組織は、ギリシャ神話に登場する複頭の大蛇・ヒドラに喩えられる。この「怪物」を倒すには心臓を叩き潰す以外の方法はなく、FBIOC(米連邦麻薬犯罪捜査局)は、アメリカにヘロインを流すコルシカ人組織の心臓、すなわちヘロイン精製を行う正体不明の科学者「ドクターZ」の抹殺をゴルゴに依頼する。
第89話 プルトニウム239 / 1974年11月
元フランス空挺部隊の中佐・ペランは、退役後その経歴を生かしてはみ出し者の部下達と共にテロリズムや暴動の鎮圧など、政界の裏面の荒仕事を請け負う事件屋として活動していた。某国から原爆材料にも成り得る核分裂性元素プルトニウム239の強奪を請け負ったペランは、シカゴの原子力発電所から輸送される使用済み核燃料を強奪することを画策するが、その矢先に懇意の情報屋からゴルゴに狙われているという情報を耳に入れる。情報屋はすぐに身を隠した方がいいと勧めるが、ペランは逆に計画の実行にゴルゴを利用しようと考える。
第90話 潜入者の素顔 / 1974年12月
イスラエルとの情報戦に度重なる敗北を喫していたエジプトは、イスラエルが新たなスパイ養成所を開設したことに強い危機感を持ち、ゴルゴに養成所の破壊を依頼する。完璧にユダヤ人帰還者を装うべく、ゴルゴは変装を万全にするためにユダヤ人男性の持つ「傷跡」まで身につけてイスラエルへ潜入する。入国管理所でゴルゴに目をつけたシャバク(国内防諜保安機関)のシャレット大佐は、彼が本当にユダヤ人であるか知るために部下の女性をゴルゴに近づけさせ、彼女に「傷跡」を確かめさせる。だがその女性とは彼の実の娘であった。任務とはいえ娘を男に抱かせた憤りを押さえられないシャレットはゴルゴを執拗に追い回す。
第91話 呪術の島 / 1975年1月
13年も前にニューギニアの奥地で消息不明になっていたロックフェラー財団の御曹司・マイケルの身柄が、奇しくもFBIが追い続けていた過激派集団の参謀ジオ・マッセリーによって確保されてしまう。マッセリーは天文学的な身代金を要求してきており、面目が潰されることを恐れたFBIはゴルゴにマッセリーの暗殺を依頼する。マッセリーはマイケルの身柄の確認のためにマイケルと親しかった女性を現地に招いており、ゴルゴはその女性の随伴者として共にニューギニアの奥地に乗り込む。
第92話 曲線の男 / 1975年2月
引退したベルギー情報局の元長官エルメルが東ドイツへ拉致された。現情報局長官のナッソーは、対抗措置として西独情報局、CIAとも協力して、東独要人の誘拐を謀るが、事前に情報が漏れており失敗。調査の結果、西独情報局からの協力者にスパイがいたことが判明し、ナッソーはゴルゴに狙撃を依頼する。依頼の完遂後、ゴルゴはついで口封じのためエルメルを暗殺すべく彼の捕らわれている東独陸軍基地への潜入を試みる。が、どういうわけかゴルゴの潜入がすでに知られており、基地では厳重な警備が布かれていた。
第93話 夜は消えず / 1975年3月
保養のためフランスのボルドーを訪れたゴルゴ。ホテルのバーでくつろいでいたゴルゴとたまたま顔を合わせた町長の夫人は、ゴルゴの顔を見て驚愕する。夫人はかつて娼婦であり、過去にゴルゴの相手をしたことがあったのだった。折しも数日前に夫人の過去をゆする脅迫電話があり、ゴルゴがそのゆすりに違いないと判断した町長は、ギャングを使ってゴルゴを街から追い出そうとする。しかし、その裏で夫人は殺し屋を雇ってゴルゴを暗殺させようとしていた。ゴルゴの相手をした夜、彼女はゴルゴの拳銃を使って殺人を犯していた。
第94話 破局点(カタストロフィ・ポイント) / 1975年4月
犯罪心理学者のウェブナー教授は、自身の犯罪理論を証明するためにゴルゴに挑む。動きをことごとく読まれて苦戦するゴルゴは、逃げ込んだ娼婦街で逆転の秘策を思いつく。
第95話 ザ・スーパースター(THE SUPER STAR) / 1975年5月
死にゆく家出少年のジム・フィッシャーの依頼は、キッシンジャー国務長官の暗殺を謀る者からの長官擁護。これをゴルゴは、僅かな現金と金メダルで引き受ける。
第96話 カリフォルニア軍団(アーミーズ) / 1975年6月
建設会社の顔を持ちながらも他方では海外への派兵も行っている「ギンメル社」の社長のもとへ、男が一枚の写真を持ってやってきた。それは別居中の社長夫人と、東側の情報員との密会の決定的瞬間を写したものであった。このスキャンダルが公になることを恐れた社長は、この情報員の殺害をゴルゴに依頼するが、他方ではギンメル社に派兵される部隊の大佐がゴルゴの正体を知り、仕事が済んだあとにゴルゴを抹殺しようと画策していた。
第97話 レディ・ビッチ / 1975年7月
ニューヨークギャングのボスに気に入られ、一緒に暮らしている女アレクシス。勝手にリンダという名前を付けられ弄ばれる生活にうんざりし、彼と別れるには殺すしかないと悟った彼女は、ゴルゴにボスの殺害を依頼する。奇しくも、同時期にそのギャングの構成員の一人が部下を率い、ボスを殺して組織を自分たちのものにしてしまおうと計画していたのであった。
第98話 聖者からの依頼 / 1975年8月
ゲリラに両親を殺されたシスター、テレシタの無念を晴らすべく、オーハラ神父はゴルゴを呼び、今は宣教師になりすましているゲリラの首領の殺害を依頼する。しかし、依頼を引き受けた途端テレシタは複雑な表情を浮かべる。その標的には、隠された正体があったのである。
第99話 60日間の空白への再会 / 1975年9月
かつてモーリタニア共和国ヌアクショット刑務所警備員だったダベーズは、警察関係者との待ち合わせ場所にて超A級テロリスト・ゴルゴを発見。ダベーズは、10年前(1965年)にヌアクショット刑務所で起こった出来事を思い出す。
第100話 芹沢家殺人事件 / 1975年11月
かつて警視庁で刑事を務め、現在は防衛庁副長官である後藤の下を、往年の同僚・安井修記郎の妻が訪ねる。安井修紀郎は終戦直後の1946年6月に起き、ついに未解決のまま公訴時効が訪れた「芹沢家殺人事件」の捜査を共に担当した仲だった。安井宅に招かれ久々に旧友に対面した後藤は、「お互いの人生を変えてしまった」この事件を振り返る。

第101話 - 第200話

“話数 題名 / 発表年月”の順で記載。

第101話 ハロウィン・ニューヨーク / 1975年12月
日中のニューヨークで、マフィアグループのボスが走行中の車内で射殺される。中年でありながらヒラ警官のディノは、ある国際的狙撃屋の仕事らしいとのうわさを耳にする。その頃息子のカルロは、マフィアグループの幹部からの借金を返せずに苦悩していたが、偶然にもディノの口から出た「犯人はゴルゴ13という通り名で…」という言葉を聞いてしまう。このことをカルロから伝えられた貸主の幹部は、自身の昇進の為にゴルゴを狙う。
第102話 死者の唄(シギリジャ) / 1976年1月
フランコ総統の死後、遺言により旧ブルボン家のファン・カルロス一世が王位に就くこととなり、スペインは王政を復活させた。しかし体制移行の混乱に乗じて共産主義者達が活動を活発化し、対立する党の要人の暗殺にまで乗り出した。殺された要人は衆人環視の中ですでに5人にも上っていたが、その正体は皆目つかめない。事態を重く見た情報局はゴルゴにコンタクトをとり、暗殺者の正体を突きとめて抹殺することを依頼する。
第103話 配役〈キャスティング〉 / 1976年1月
才能はあるものの、売り込みが不得手なために三流ポルノ映画の監督に甘んじていた映画監督のエリック。ところがある日、制作費無制限という信じられないような大仕事が転がり込んできた。あまりに上手すぎる話にエリックは不安になるが、案の定映画にはとんでもない条件が付けられていた。劇中に登場する殺し屋に本物の殺し屋を起用し、気づかれずにセミ・ドキュメンタリーで撮影しろというのである。そしてスポンサーが起用しろという殺し屋とは、他ならぬゴルゴのことであった。
第104話 スキャンダルの未払い金 / 1976年2月
西ドイツの有力政治家からFX購入と党首選をめぐる政敵ホルスト・マンハイムの暗殺を依頼されたゴルゴ。依頼にはマンハイムの派閥を分解させるべく、彼と息子の嫁とのスキャンダルを演出して殺害することが付帯条件として付けられていた。ゴルゴは見事に依頼を完遂させるものの、傲岸不遜なゴルゴの態度を不快に思った依頼人はゴルゴを罠をかけようと謀っていた。
第105話 落日の死影 / 1976年3月
CIAが大統領令に違反して、致死性毒物を大量に貯蔵していたことが発覚し大スキャンダルに。CIA長官すらあずかり知らぬところで行われていたこの行為を主導していた西側のある組織は、毒物製造の秘密機関の壊滅と証拠の隠滅をゴルゴに依頼。ところが秘密機関はKGBにも毒物を売っており、まったく同じ依頼を受けた東側のプロが任務遂行中のゴルゴの前に姿を現す。その男「AX-3」は、ゴルゴにほぼ匹敵する能力を持つ超一流のプロだった。
第106話 焼けただれた砂 / 1976年4月
イスラエルでテロが頻発していた。表向き、パレスチナゲリラとイスラエルの抗争、とされているが、これは、CIAと武器商人たちが、イスラエルを緊張状態においておくための陰謀であった。イスラエル情報部は、この陰謀にかかわっていた者たちを抹殺したが、CIAのコードネーム「バンバー」と呼ばれているエージェントの正体がどうしてもつかめなかった。このため、イスラエルはゴルゴにバンバーの暗殺を依頼、ゴルゴはバンバーの恋人のリリイをマークする。
第107話 行方不明のH氏 / 1976年5月
マフィアとの癒着により投獄されていた全米トラック労組の委員長ジェームス・R・ホッファが、出獄後消息を絶った。マフィアによる暗殺の疑いが濃厚だったが、この騒動に目をつけたKGBは整形手術でホッファのニセ者を作り、米国の議会ででっち上げの証言を行わせようと企む。陰謀を察知したCIAは、これを阻止するべくゴルゴとコンタクトをとるが、計画を主導するKGBのコワルスキー大佐はゴルゴへの依頼を事前に読んでいた。
第108話 帝王の罠 / 1976年6月
「最後の帝王」の異名をとり、世界の石油市場を支配するドーソン石油会長レオナード・ドーソン。ドーソン暗殺の依頼を受けゴルゴはドーソン石油本社ビルへと乗り込むものの、しかし依頼は以前ゴルゴによって息子を殺されたドーソン自身による復讐の罠であった。アクシデントにより逃走経路を失い絶体絶命の窮地に陥ったゴルゴは、やむなく敵中突破を試みる。
第109話 ハワード・ヒューズ氏の息子 / 1976年7月
大富豪ハワード・ヒューズが世を去った。身寄りがないと思われていたヒューズだったが、売り出し中の若手俳優チャーリー・ウェストが彼の落し胤であるという噂が流れる。チャーリーの後ろにはマフィアがついており、チャーリーが息子であることが法的に認められればヒューズの莫大な遺産がマフィアに流れてしまう。対立するユニオン・コルスは、チャーリーの暗殺をゴルゴに依頼する。
第110話 プレイバック / 1976年8月
才色兼備のDIA職員・ディアナ。言い寄る男は幾人となくいたが、彼女の胸がときめくことはなかった。彼女の胸をうずかせるのはただ一人、仕事の書類でしか接したことのないゴルゴ13だった。娼婦としか関係を持たないゴルゴに近づくため、ディアナは娼婦になりきってまで彼に近づこうとする。
第111話 氷結海峡 / 1976年9月
遭難者として保護したイヌイットは米国のスパイだった。ベーリング海峡を挟んで米国と鼻先を突きつけ合うソ連のウェーレン基地は、このイヌイットのジョー・アガスラックに軍事機密を奪われ逃亡されてしまう。ベーリング海峡は冬期は海が氷結するため徒歩でも渡ることは不可能ではない。とはいえそれは、「最強のイヌイット」と名高いジョーをもってしてこそ可能なことであった。ブリザードが吹きつける厳寒の中では偵察機を飛ばすこともできず、ソ連はゴルゴにジョーの追跡と抹殺を依頼する。
第112話 アサシン暗殺教団 / 1976年10月
伝統あるトルコの暗殺集団「アサシン教団」は、陸軍参謀長アブドル・モハマッドの暗殺を六度もし損じてしまう。若手幹部のグルセルは現在世界最高の暗殺者といわれるゴルゴにモハマッド暗殺を依頼し、その仕事を見学することで暗殺技術の革新を図ろうと考えるが、ゴルゴのあまりにも鮮やかな手口を目に収めることは適わなかった。最後の手段としてグルセルは、忠誠を誓う教団のために自身がゴルゴと対決してゴルゴの暗殺技術を見極めようとする。
第113話 チェック・メイト(CHECK MATE) / 1976年11月
依頼人の死と空港での足止めという二つの出来事を受けたゴルゴは、情報屋のジミーを使って依頼人の周辺を探らせる。その背後にはクリーブランドのヌオールズがゴルゴに仕掛けた、王手とも言える非道な罠があった。
題名はチェス用語で「詰み」の意味。
第114話 ステール・メイト(STALE MATE) / 1976年12月
ヌオールズの罠を回避したゴルゴは、決着をつけるためにクリーブランドへ向かう。しかし、ヌオールズはさらに大胆な罠を仕掛けて待ち受けていた。
題名はチェス用語で「ステイルメイト」を。
第115話 神に贈られし物 / 1976年12月
米大統領選を前にして、某党の大統領指名大会が開かれた。厳重な警備が敷かれている会場のスタジアム周辺で、ゴルゴの車が検問に止められる。車内からは拳銃が見つかるが、銃はプラスチック製であった。これをオモチャと判断した警察は簡単な取調べの後、ゴルゴを釈放する。が、凶行は起こった。大会の最中、大統領候補のブレーンが額を撃ち抜かれて射殺されてしまう。会場にいたゴルゴはただちに逮捕されるが、身体検査をしてもまったく拳銃は出てこなかった。スタジアムをしらみつぶしに探しても、銃はまったく見つからない。
第116話 レイプ数え唄 / 1977年1月
戦時中、ナチスの強制収容所でとある軍人から性的虐待を受け続けたオルガ・シュトラウス。終戦後、過去を振り切るためにひたむきに働き続けて相当な財産を築き上げたものの、やはり忌まわしい過去をすべて忘れ去ることはできなかった。復讐を決意したオルガは自身を虐待し続けた「あの男」の暗殺をゴルゴに依頼するが、盲目で顔や正体を知ることができずにいた。
第117話 殲滅(せんめつ) / 1977年2月
カリフォルニア州特殊警察はロサンゼルス市内を荒らしまわるギャング団“スラム解放軍”に悩まされていた。そのような中、鉄鋼王ハーディの孫娘がスラム解放軍の一員となったことを知る。ハーディはギャングを殲滅し、秘密裏に娘を取り戻すよう警察に依頼するが、事態をマスコミにすっぱ抜かれてしまう。ハーディは警察と袂を分かち、ゴルゴにギャング団の殲滅を依頼するのだった。
第118話 大きな口の湖上 / 1977年3月
カナダのノースウェスト地区で、狩猟違反により北西騎馬警察に逮捕されたゴルゴ。猟区管理官ボブは、2頭のヘラジカを1発の銃弾で仕留め、背後に回り込んだ警官を反射的に殴打したゴルゴをただ者ではないと睨むが、取り調べの最中に管理事務所が拳銃を持った謎の男達の襲撃を受ける。ゴルゴは手錠の拘束をものともせず、拳銃を取って反撃し、瞬く間に男達を返り討ちにして逃走した。2週間前に起こったCIA局員の行方不明事件を思い出したボブは、襲撃をかけてきた男達が局員を回収しようとする東側の工作員であり、ゴルゴがその暗殺を請け負った暗殺者ではないかと推測する。
第119話 三匹の女豹 / 1977年4月
ギリシャの秘密結社アスピダに所属する3人の女殺し屋は、偶然に遭遇したゴルゴに危険を感じ、暗殺を決断する。しかし事態は思わぬ結末に向かう。一方アスピダは、売国奴エレシウス元帥の暗殺を企てる。
第120話 軽火器VS戦車砲〈アーマライトVSヘビーガン〉 / 1977年5月
メキシコ国境のミサイル基地司令官の殺害を依頼されたゴルゴは、道中のトラブルに巻き込まれてインディアンの若者と決闘することになってしまう。決闘の末に彼と和解し、仕事を続けるゴルゴだったが、標的は戦車部隊を指揮してゴルゴを返り討ちにしようとする。
第121話 戦艦ヨークシャーの反乱 / 1977年6月
NATO軍の合同演習中に発生した、戦艦ヨークシャーでの反乱の首謀者を抹殺するよう依頼されたゴルゴ。助手としてスコットランドヤードのグレンジャー刑事を紹介されるが、ゴルゴは足手まといになるという理由でこれを断る。仕事の準備にかかるゴルゴであったが、プライドを傷つけられたグレンジャーによって留置場に拘束されてしまう。
第122話 独裁者の晩餐(ばんさん) / 1977年7月
アミン大統領の暴政の下、混乱の渦中にあるウガンダ。政府軍と反アミン派ゲリラが対立する中、大統領の側近から依頼を受けたゴルゴは、ゲリラを掃討するべく彼らのアジトに潜入する。ツェツェバエの熱病に苦しまされながらもゴルゴは何とか依頼を果たすが、仕事を終えたゴルゴの前に依頼主の大統領の側近が現れる。本物の勇士であるゴルゴを殺し、大統領の恐るべき晩餐にその肝を供えようというのだ。
第123話 タンブル・ウイード(根なし草) / 1977年8月
アリゾナのバーで女殺し屋に罪を着せられたゴルゴ。
題名の植物に関しては、タンブル・ウィードを。
第124話 カリブの血だまり / 1977年9月
ジャクソン製薬のオーナー、社長、そしてカリブ支配人が次々とゴルゴに暗殺される。ジャクソン製薬はカリブ海で貧乏人の血液を非合法に売買していたのだ。依頼人は、それに抗議して消されたボランティアの少女の父親。そして最後の標的は、少女に直接手を下した病んだヒットマン、パコ。
第125話 チチカカ湖はどしゃぶり / 1977年10月
かつてCIAによって作り出されたボリビアの陰の実力者・サントス空軍司令官。ボリビアを反共に維持するのと同時にUSマイニング社の出資でスズ鉱山を開いたが、ところが最近になって手のひらを返し、鉱山の国有化を画策し始めた。USマイニング社はゴルゴにサントスの暗殺を依頼するが、用心深いサントスを襲うとすれば、週末にチチカカ湖の要塞さながらの堅牢な別荘で過ごす時を狙うより他はなかった。標的が日に何度もラジオの天気予報を聞いていることを突きとめたゴルゴは、その奇妙な習慣に目をつける。
第126話 ピリオドの向こう / 1977年11月
富豪アンソニー・ウォルターの妻・エリノアは、死んだかつての恋人への断ちきれぬ思いから、ウォルターと結婚した後も、恋人が所属していた過激派団体に密かに献金をしていた。それを知ったウォルターはゴルゴとコンタクトをとり、エリノアが警告だと受けとるように、彼女のイヤリングを狙撃で弾き飛ばして欲しいと依頼する。ところが約束の時刻に放たれた銃弾は、エリノアの胸を貫いてしまう。
第127話 タラントゥーラ=舞踏蜘蛛 / 1977年12月
ゴルゴは逃走中、ある村に迷い込んだ。その村は世にも恐ろしい悪習を持つ村だった。
第128話 おろしや間諜伝説 / 1977年12月
日本政府はゴルゴを支配下に置くために、彼の過去を暴き、これを弱みに脅迫しようとする。この大胆な計画を実行に移そうとしたのも、日本政府はゴルゴ出生の秘密を解く鍵を、あるロシア人が握っていると確信していたからであった。
第129話 鬼畜の宴 / 1978年2月
ロスマクドナルドとペテンセン、金と暇をもてあました2人の富豪の醜悪な饗宴は退廃の極みに達していた。人間狩りにも飽きて並大抵の刺激では満足できなくなった2人は、ゴルゴに狙われていると偽って「スパルタカス」と名乗る超一流の狙撃手を雇い、彼とゴルゴを戦わせようと考える。スパルタカスはローマのコロシアムの遺跡にゴルゴを呼び出す。隠しカメラを通して固唾を呑む2人の富豪が見守る中、古代の剣闘士もかくやの世紀のガンファイトが始まる。
第130話 セクシー・タイガー(SEXY TIGER) / 1978年3月
南アの港街ダーバン。船員姿をして街にフラリと現れたゴルゴは、街の実力者レオ・キンブルの愛人ミレーヌと関係を持つ。仕事からダーバンに戻ったレオは、何者かからの密告によってミレーヌがゴルゴと関係を持ったことを知って激怒する。手下にゴルゴを自分の下まで引ったててこさせるものの、すべては用心深いレオの警戒を緩めるための、ゴルゴの計算し尽くされた計略であった。
第131話 陽気な狙撃者(EVERYBODY LOVES SOMEBODY) / 1978年3月
エチオピア空軍の次期戦闘機の選定は、グラマン社のF-14とマクドネル・ダグラス社のF-15の2機を競わせる模擬空中戦を行って決定されることになった。ゴルゴはマクドネル・ダグラスに雇われ、模擬戦の際にF-14を狙撃して機体にトラブルを起こさせることを依頼される。一方、パリで偶然顔を合わせ、エチオピアで再会した陽気な狙撃者・バーナビーも、全く同じことをグラマンから頼まれていた。
第132話 死の翼ふれるべし / 1978年4月
米NSAの調査により、エジプトがギザのクフ王のピラミッドの地下にかつてソ連から貸与した核弾頭を秘蔵していることが判明した。ソ連は核を搬入した部屋に、内部から鍵をかけると絶対に中へ入れなくなる仕掛けを施した。核の存在を封印するためには、秘匿場所を唯一知る遺跡警備隊長を核のある部屋に行かせ、内側から鍵をかけさせた後にどうにか暗殺してしまうのが最も都合がよい。しかし、そんな手品のような真似がどのようにして可能であるのか。
第133話 チャイナ・タウン / 1978年4月
中国派と台湾派の抗争が続くサンフランシスコのチャイナタウン。ゴルゴは標的である台湾派のリーダー、パット・張の正体を探るため、太極拳の達人に扮して台湾派の組織に潜入する。
第134話 TOUCH DOWN〈タッチダウン〉 / 1978年5月
ボルチモアのメモリアル・スタジアムでボルチモア・コルツの新星QBのライオネル・ブルーがタッチダウンを上げた直後に射殺される。ゴルゴの犯行と断定したボルチモア市警は彼を拘留し、コンピュータ解析を用いて証拠を割り出そうとする。
第135話 飛翔 / 1978年6月
コンゴとザイール。コンゴ川を挟んで共産主義と自由主義が向き合う土地。コンゴに潜入しているエージェントが逃亡しようとしているという情報をつかんだCIAは、KGBに拘束されてはたまらないと暗殺者を送り込むが失敗、暗殺者はKGBの妨害に遭って逆に追い回されることになってしまう。CIAアフリカ支局長のエリックはゴルゴに2人の暗殺を依頼するが、彼は依頼の際に口を滑らせ、ちょっとした嘘をついてしまう。
第136話 海神が目覚める / 1978年7月
インド洋で謎の核爆発が発生。どこかの国による核実験かと思いきや、驚くべきことにギリシアの海運王・オケアノス個人によるものであった。世界中から盗品のウランを買い集めたオケアノスは小型の核爆弾を量産し、世界の主要港にそれを積んだ船舶を随時出入りさせていた。件の核爆発は世界に睨みをきかせるための示威行動であり、米ソといえども完全に手出しができなくなってしまう。ところが超大国ですら萎縮する中、オケアノスに娘を弄ばれた老婆から依頼を受けたゴルゴがオケアノス殺害のためアテネに現れる。
第137話 軌道上狙撃(SNIPE IN THE ORBIT) / 1978年8月
米国の人工衛星・「ダモクレスII」が静止衛星軌道上で隕石群に激突し、搭乗員全員が死亡する事故が発生した。搭乗員が死亡する間際にA・R・S(自動報復装置)のスイッチをオンにしたことで制御不能に陥ってしまう。アメリカ大統領の依頼を受けたゴルゴは、衛星の軌道を狙撃によって修正させるべく、宇宙空間での狙撃を依頼される。ゴルゴはガンスミスのデイヴを呼び寄せ、M16を無重力空間で使用できるように改造させるが、一方で人種差別的な憎悪から、ゴルゴの宇宙進出を頑なに拒む米軍将校が独断で工作を企んでいた。一方、ゴルゴにとって初めての宇宙飛行であり、訓練を受ける時間も全くない中で、任務を遂行できるのか。
第138話 アメリカの異邦人(ALIENS OF AMERICA) / 1978年10月
ロサンゼルスでグレーハウンドのバスターミナル、ロサンゼルス国際空港、インター・アメリカン・スター社の倉庫があいついで爆破される。少数移民による地下組織、「アメリカの異邦人」はゴルゴを捕らえた後、罠にかけて自分たちの標的のアメリカ司法長官をゴルゴに殺害させようと企む。
第139話 シシリー島の墓標 / 1978年11月
シカゴの麻薬王に義父を殺された神父は、ゴルゴにその暗殺を依頼する。しかし麻薬王の潜伏先であるシシリー島はギャング達が厳戒態勢をとっており、現地で銃を調達することはおろか銃を持ち込むことすらできそうもない。到底実行は不可能ではないかと案ずる神父であったが、ゴルゴには腹案があった。それはバラバラにした拳銃の部品を伝書鳩を飛ばして運ばせ、島にある噴水の噴射口をバレル代わりにして現地で拳銃を作ってしまうという大胆な計画だった。
第140話 アイボリー・コネクション / 1978年12月
象牙目的の密猟が後を絶たず、絶滅の危機に瀕するアフリカ象。特にウガンダにおける被害は深刻であり、政財界に根を張った大規模な密猟組織の仕業と睨んだWWF(世界野生動物保護基金)はゴルゴに謎の密猟組織を討伐し、同時に密輸ルートを絶つことを依頼する。ゴルゴはFNLA(アンゴラ民族解放戦線)の一部隊が関与していることを突きとめるものの、今般の依頼は標的を殲滅すると共に密輸ルートをも破壊しなくてはならない。像の死体に浸食し、骨や牙まで分解するバクテリアに目をつけたゴルゴ。
第141話 蒼狼漂う果て / 1979年1月
中国・ソ連・アフガニスタン国境で被爆した遊牧民の老人がモサッドに保護された。それを知った日本のジャーナリスト・竜造寺は、先輩の長田から老人がかつて日本軍将校であったと聞かされ、老人の正体を探る旅に出る。一方老人の素性が「五島秀之」と判明し、モサッドより連絡を受けた秀之の息子政之(ユダヤ国民基金ジュネーブ支部長)は、父を自身の屋敷に匿い、秀之被爆の原因である極秘核実験の証拠隠滅を謀る中国の刺客を迎え撃つため、ゴルゴを雇う。ゴルゴが秀之を狙う暗殺チームと戦いを繰り広げる中、政之は合流した竜造寺と共に、秀之自身の辿ってきた旅の歴史を聞かされる。それは、二・二六事件から始まり、シルクロードを駆け巡る壮大な「昭和史」であり、秀之のもう一人の息子「貴之」の物語であった。
第142話 波止場を我が手に / 1979年2月
マルセイユでは二つの麻薬組織が覇権をかけて激しい抗争を繰り返していた。頭が良く回ることが自慢の小悪党ニック・ボランは、口先だけで二つの組織を巧みに動かしてその対立を激化させていた。そうして二つの組織を共倒れにさせ、自分がマルセイユの暗黒街を牛耳ろうと目論んでいたが、ある晩偶然からゴルゴとチンピラとの乱闘を目撃する。襲ってきた男達をあっと言う間に一蹴したゴルゴの腕に感嘆したニックは、ゴルゴを自分の相棒にしようと考え接触する。
第143話 地獄からの生還者 / 1979年3月
1973年の北ベトナム。米軍の特殊部隊が、捕虜を救出するために、捕虜収容所に突入した。しかし、そこには米兵はおらず、かわりに、ゴルゴだけが閉じ込められていた。結局特殊部隊はゴルゴと交戦、リーダーのキース大尉以外はみな殺され、キースも片目も失った。キースは恥辱に燃え、収監中の粗暴犯を釈放させ、無法のコマンドチームを育てる。そして、そのチームに、命令が下った。カルト教団の教祖、ジム・ジョーンズを暗殺せよ、という指令だった。同じころ、この教団に娘が入れ込んでいる父親がゴルゴに接触し、「ジョーンズを殺し、娘を救出してくれ」と依頼する。コマンドチームとゴルゴは、ジョーンズの入植地であいまみえる。
第144話 ヒット・エンド・ラン(轢き逃げ) / 1979年4月
婚約者を轢き逃げされて失った私立探偵のエド。元敏腕刑事の嗅覚を生かして犯人を突きとめるが、よりにもよって犯人は悪名高いギャングのボス・ジョージだった。どうしてもジョージを送検できない事に業を煮やしたエドは、知恵を絞って一計を案ずる。それは彼がかつて刑事を辞めるきっかけになったゴルゴ13を使った計画だった。
第145話 モンゴルの鷹 / 1979年5月
ソ連の傀儡政権を倒し、モンゴルに真に民族的な社会主義政権を樹立しようと目論む民兵組織。中ソ関係が悪化していることに目をつけた彼らは国境で衝突の火種を撒き、その混乱を契機に革命時の老雄「モンゴルの鷹」を御輿として担いで政権転覆のクーデターを起こす計画を進めていた。しかしたまたまモンゴルの鷹の孫娘がシベリア鉄道でゴルゴに出会ったことから、彼らはモンゴルの鷹が狙われていると危惧する。モンゴルの鷹に警戒を促すべく、急ぎ老雄の潜伏するゴビ砂漠の只中にあるベースキャンプへと急行する。
第146話 ラ・マニョ・ディアス 神の手 / 1979年6月
IDA(米国際開発局)が中南米での破壊工作活動のために育てた暗殺組織「ラ・マニョ・ディアス(神の手)」は、ウルグアイで次期大統領の座を窺う反米政党「ウルグアイ人民党」の党首オルコスを暗殺する。しかしその死後娘のマリアが父の後を継いで大統領選に出馬すると表明し、大衆の圧倒的支持を受けて父親以上の人気を得てしまう。ラ・マニョ・ディアスの首領の息子アントニオは一計を案じ、強烈な媚薬を使ってマリアを誑かして彼女のポルノフィルムを作成する事に成功する。そして公開討論会にてフィルムを上映しようと目論む。
第147話 ミステリーの女王 / 1979年7月
英国が誇る「ミステリーの女王」マッジ・ペンローズ。世界的なベストセラー作家の彼女が2年ぶりの新作の題材に選んだのは、ゴルゴ13であった。偽の依頼でゴルゴをアラスカに呼び出したマッジは、ゴルゴに恨みを持つ米軍情報部のエリック大佐の協力でゴルゴを葬ろうとするが、ゴルゴは辛くも窮地を脱出する。傷が癒えた後、ゴルゴの反撃が始まった。島を買い、空港を造り、F-104戦闘機を手配しアイスランドのボスナフェルジュル米軍基地に立て籠もる「ミステリーの女王」を制裁すべく、ゴルゴは徹底した準備を開始する。
第148話 薔薇の下で(サブ・ローザ) / 1979年8月
MI6を退職したヒューム卿だったが、5年前の二重スパイ事件を未だ心残りにしていた。信頼を置くゴルゴにその事を明かしたヒューム卿は裏切り者を抹殺するため、自らを囮にした狙撃依頼を彼に託す。
第149話 トリポリの埋葬 / 1979年9月
公安一課特殊処理班のエリートである鷹谷は、ある日首相に呼び出され、リビアへ飛んで元上司である川路大道の暗殺を命令される。川路はかつてリビアの元首カダフィに自身の任務を妨害されて以来カダフィを生涯の敵と目し、カダフィ暗殺を目的に単身リビアへ乗り込んだという。日本にとってカダフィは邪魔な存在だったが、無数の影武者を持つカダフィの暗殺が成功する可能性は乏しく、暗殺に失敗した犯人が日本人と知られれば報復措置としての原油価格のつり上げで経済が大打撃を受ける恐れがある。特殊工作員としての恩師である川路を相手にするのは気が引けたものの、鷹谷は命令を了承しさっそくリビアに飛ぶ。が、そこでかねてより公安の機密書類で目にしていたゴルゴの姿を目撃して驚愕する。
第150話 PRIVATE TIME / 1979年10月
ジャマイカの空港で偶然ゴルゴと顔を合わせたFBI捜査官のブラウニーは、ゴルゴをただ者ではないと睨み監視を始める。そのうちゴルゴが港に自分のヨットを係留させていると知り、ブラウニーはヨットに押しかけて捜索をするが、船内からは医療器具以外めぼしい物は何も見つからなかった。ゴルゴは単に自分の船に医者を呼び、健康診断を受けていただけであった。病院さながらの機材を揃え、何人もの優秀な医師を船に招いて徹底した診断を受けていたゴルゴ。その後本部の資料でゴルゴの正体を知ったブラウニーは、ゴルゴがプライベートでも戦い続けていることを知る。
第151話 国王に死を / 1979年10月
イラン革命の成立により故国を追われたイラン王国国王ムハマドは、革命政府に奪われまいとスイス銀行に預けてある王室の預金を回収しようとする。が、預金を預かっていたドワイト・D・グリンヒルの銀行は投機に失敗し、莫大な損失を被ってしまっていた。自身の銀行、ひいてはスイス銀行全体の信用が崩壊することを恐れたグリンヒルは、旧知のゴルゴにムハマドの暗殺を依頼し、国王の死と共に預金を闇に葬ることを決断する。
第152話 ヒューム卿最後の事件 / 1979年11月
病に倒れ床に伏すヒューム卿は、軍用犬を使ったIRAの爆弾テロに心を痛めていた。自らの死が近いと悟った彼は、私財と自分の生命保険金を報酬として、爆弾テロ犯と軍用犬の殺害をゴルゴに依頼する。
第153話 ミッドナイト・エンジェル / 1979年12月
オイルダラーによるにわか景気に沸き返るバンコクの歓楽街。タイ人娼婦のマリーも夜ごとアラブの石油成金達の相手を勤めていたが、ある晩ホテルのバーで偶然顔を合わせたゴルゴに興味を覚え、ゴルゴをベッドに誘う。ゴルゴはそれに応ずるが、ゴルゴには狙撃事件のアリバイの証人としてマリーを利用したいという思惑があった。そのようなことにまるで気づかないマリーは、ゴルゴを商売抜きのデートに誘おうとする。
第154話 暗黒海流 / 1980年1月
太平洋戦争末期、米国から南方基地の捕虜救済の要請を受けて送り出されたものの、帰路で米軍潜水艦の攻撃を受けて沈没させられた緑十字船「安房丸」。やがてその存在は敗戦後の混乱の中で忘れられていったが、事件から三十年を経て海底で眠っていたその船体が引き上げられることとなった。日本が敵国からの救援要請を受諾したのは、制海権を奪われた状況下で現地の軍に補給物資を運び込むためと、外地から本土への資源の搬入、加えて大量の金銀を運び込むためであったが、ところが引き上げられた船からは金銀の類は一切見つからなかった。
第155話 橋は崩れた / 1980年2月
ベルギー・ブリュッセルで石橋の崩落事故が発生、折しもパレード中だった陸軍部隊が巻き込まれ、多数の死傷者が出た。橋の崩落は共鳴現象による物理的なもので当初は事件性は否定されていたが、しかし調査が進むうちにその内の一大佐の死因は射殺であることがわかった。警察は極秘裏に捜査を開始する。
第156話 ニューヨークの謎 / 1980年3月
真夏のマンハッタンの川で冬服を来た男1人女9人の水死体が発見された。が、検死の結果、死因は溺死ではなく全員が麻薬の摂取量を誤ったことによる中毒死であることが判明する。新聞記者のリッキーはこの奇怪な事件の真相を究明しようと奔走するが、やがて事件の背後に堕胎手術で儲けている産婦人科がいたことを知る。
第157話 ビハインド・ザ・プレジデント / 1980年4月
次代アメリカ大統領の座をかけて争う南部諸州と東部エスタブリッシュメントの利益代表。ゴルゴは東部陣営選挙参謀のヘンリー・バーナードより南部陣営選挙参謀のマーカス・ガボンの暗殺を依頼され、これを引き受ける。しかしヘンリーが暗殺終了後、自分を始末しようとしている事を知る。
第158話 メスリーヌの猫 / 1980年5月
獄死した怪盗団の長・メスリーヌ。その愛人から裏切り者であるピエールの暗殺を依頼されたゴルゴ。しかし警察に逮捕されて武器を取り上げられた挙句、48時間以内の国外退去を命じられる。急ぎ暗殺の仕事に取り掛かるゴルゴだったが、ピエールの屋敷の一隅に幽閉され、持ち物を全て奪われた挙句手錠をかけられ、四六時中監視下に置かれる。
第159話 代打(ピンチ・ヒッター) / 1980年6月
表向き射撃学校を経営している暗殺者カー。彼にキューバの高官が仕事を持ってくるが、本命のゴルゴと連絡が取れると同時にキャンセルされてしまう。カーは今度はCIAに雇われ、ゴルゴの狙撃を阻止するためにカダフィ大佐に警告狙撃を行う事となる。
第160話 ガリンペイロ / 1980年7月
「ガリンペイロ」とはアマゾン流域で金鉱山発掘に従事する労働者のことである。が、警察の捜査を逃れた凶悪犯罪者が多く、その実態は山賊と変わらない。ガリンペイロに村を焼き尽くされ妻と娘をなぶり殺しにされたインディオのマリオは、ゴルゴに連中の殲滅を依頼し、それを遺言のようにして息を引き取った。命と引き換えの依頼を引き受けたゴルゴは、武器を大量に買い込み大掛かりな掃討作戦の準備を開始する。が、それに次いで彼がとった行動は、旅客機のハイジャックであった。
第161話 機関全開(エンジン・フル・スロットル) / 1980年8月
エクアドルの囚人訓練船に漂流者として救助されたゴルゴ。その直後、船内では政治犯による反乱脱走計画により船長以下乗組員を捕縛され、囚人達が武装蜂起した。しかし、海が大荒れとなってしまい、囚人達の操舵では時化を乗り切ることができない。事態が極限まで達した最中、ゴルゴが舵をとることを名乗り出る。
第162話 ペチコートレーンの夜霧 / 1980年9月
ロンドンでソ連外交官一家皆殺し事件が起きた霧の深い夜、ペチコートレーンの酒場で出会った旅行者の女に体を買って欲しいと頼まれたゴルゴは、その直後に襲撃を受ける。
第163話 ゼロの反撃 / 1980年9月
アフガニスタンのカブールで、視察中のソ連軍のミロノフ将軍が暗殺された。暗殺したゴルゴは、狙撃銃は遺棄してパキスタンの村へ逃走。たまたまその近くに居たソ連の特別強襲攻撃隊はゴルゴを抹殺しようとてぐすねを引いて待つ。銃を遺棄していたゴルゴは、代替の銃をその村の武器屋に発注していた。攻撃隊はその武器屋で待ち受けて一斉射撃、ゴルゴは工場に雪隠詰めになり、しかもピストルの銃弾は撃ちつくしてしまう。この窮地から、ゴルゴの反撃が始まった。
第164話 ロベン監獄島 / 1980年10月
アパルトヘイトの象徴たるロベン監獄島では、非人道な差別・拷問が日常的に行われていた。悪名高い刑務所所長のハロルド・スクーマン殺害の依頼を受けたゴルゴは、わざと囚人になって監獄島へ潜入する。すぐにゴルゴに関する情報が刑務所にもたらされ、オッペンハイマー財閥から何らかの依頼を受けて囚人を始末しに来たのだろうと想像したスクーマンは協力を申し出るが、ゴルゴは口をきかない。やがて退屈しのぎにゴルゴの腕前が見たくなったスクーマンは、脱獄を計画している政治犯を狙撃してみろとけしかけてゴルゴに銃を渡す。試射は許されなかったがせめて自己流に改造したいと言うゴルゴの申し出に、スクーマンは工具を渡す。
第165話 スリーパー・エージェント / 1980年11月
全国各地で大規模なストライキが続発しているポーランド。各地の余波を受けてグダニスクにあるレーニン造船所でもストが計画されることになり、かつて労働争議の活動家であった工員のレオンが皆の期待を集めていた。が、レオンは実は父親の米国移住と引き替えに影でCIAのスリーパー(普段は一般市民に溶け込んで生活しているスパイ)を引き受けていた。スリーパーとしての活動に疲れ、身重の妻もいるレオンは及び腰だったが、あれよあれよという間にスト委員会の委員長に祭り上げられてしまう。とんとん拍子の出世の裏側には、レオンの正体を知り彼に利用価値を見い出したKGBの暗躍があった。
第166話 甦るスタンディング・ベア / 1980年12月
アイダホ州のインディアン保留地の地下に大量の埋蔵ウランが見つかり、政府から売却話が持ちかけられる。先祖代々の土地を手放すことに反対していた酋長達も、白人による買収により籠絡されてゆき、売却反対の意気は萎んでいった。白人との渡りをつけたのは、金銭至上主義者のクロー・ドッグ。伝統を嘲るクロー・ドッグに、ネ・ペルセ族の現酋長オールド・クラウドは、先祖の霊を招く「祖霊祭」の夜に伝説の酋長「スタンディング・ベア」が現れてお前に裁きを与えると断言する。クロー・ドッグは嘲笑するが、祖霊祭の夜に衆人環視の中、本当にスタンディング・ベアが現れた。満月を背にして現れたスタンディング・ベアは、一撃ちでクロー・ドッグを射殺するとそのまま姿を消した。
第167話 クリスマス・24アワーズ / 1980年12月
腕利きの探偵・ドールは、専属のホテル探偵としてサンライズ・ホテルで起こる事件の調査を行っていた。雪の降るクリスマスの夜、ホテルをゴルゴが訪れる。一目見てゴルゴを尋常な人間ではないと見抜いたドールは、ゴルゴの正体を探ろうとする。
さいとう・たかをの別作品『ホテル探偵DOLL』とのクロスオーバー作品。
第168話 毛沢東の遺言 / 1981年1月
死の床についた中国革命指導者の一人・葉剣英は、今こそかつて毛沢東が忌の際に残した遺言を実行に移そうと決意する。その遺言とは、日中戦争の時に拾って毛が可愛がっていた日本人孤児「小東郷」を探すことであった。小東郷は驚くべき天才児であり、毛の指導の下で文武を問わない厳しい英才教育を施されたが、わずか三歳にしか過ぎないにもかかわらず信じがたいほどの利発さですべてを身につけた神童だった。が、小東郷はその後忽然と姿を消してしまい、生前の毛はずっとその行方を気にしていたのだった。葉から命令を受け中国公弁室の局員達は調査を進めるが、調査の過程でゴルゴによる狙撃事件が起こり、彼らの中でゴルゴと小東郷の存在が重なる。ゴルゴ13こそが、成長した小東郷ではないのかと。
第169話 モナリザの弾痕 / 1981年2月
英王室の美術顧問であるロバーツ卿は実はソ連のスパイであり、「修復」と称して王室コレクションの絵画を持ち出し、巧妙に作られた贋作とすり替えこっそり国外へ持ち出していた。お抱えの贋作師のケアンクロスはロバーツから請け負ったモナリザの修復に勤しんでいたものの、ある日警察に素性を突きとめられたロバーツが突然押しかけてきて、モナリザを強引に持って行ってしまう。ロバーツが持って行ったモナリザは会心の出来であり、なんとしても自分の手元に取り戻したいと思ったケアンクロスは一計を案じ、ゴルゴにある依頼をする。
第170話 依頼者の明日 / 1981年3月
かつてオーストラリア労働党の幹部でありながらスパイ行為を働いたかどでソ連に亡命したハワード。望郷の念にかられた彼はとうとう祖国へ戻ることを決意し、宇宙工学の世界的権威・パブロフ博士と共にソ連を脱出する。監視役のKGBのワシンスキー大佐は死にもの狂いで彼らの行方を追うが捕獲は適わず、KGB議長にゴルゴへの依頼を進言する。ところがその直後にメディアを通じて彼らの亡命が公に晒され、打つ手を完全に封じられてしまう。追い詰められたワシンスキーは部下を殺して逃亡しようとする。
第171話 KING OF BIRDS / 1981年4月
サウジアラビアの砂漠で依頼人と接触予定のゴルゴ。現場に到着するが、依頼人である国王の伯父・マルーク大公は頭部に不可解な傷を負って既に死亡していた。その直後、ゴルゴは捕縛され、凄惨な拷問を受ける。やがてゴルゴは砂漠に解放されるが、国王側近の放つイヌワシの亜種「バークート」に襲われる。バークートは人間をも襲う巨鳥であり、マルーク大公もこのバークートに襲われて殺害されたのであった。
第172話 ペルセポネの誘拐 / 1981年5月
ローマを訪れていた日本人女性観光客二人がRRA(ローマ共和国軍)に誘拐された。RRAは高額の身代金を要求し日本政府は応じる姿勢を示すものの、成功に味を占めて同様の犯行が続出することを懸念するイタリア警察並びに世界各国は要求に応じるべきではないと日本の姿勢に強く反対する。誘拐事件解決のため訪伊していた外事警察の土方警視正は、袋小路に入ってしまった事態を打開するためゴルゴにコンタクトをとって内密に誘拐グループの掃討を依頼する。
第173話 沸騰 / 1981年6月
シリーズ(「沸騰」〜「崩壊 第四帝国 狼の巣」)初話。
ブラジルのリオデジャネイロに拠点を置くネオナチ組織は街の治安悪化による収益低下に悩まされ、対策として傭兵部隊を雇って「必殺隊」を組織し、犯罪者を手当たり次第に殺害させていた。「必殺隊」の行動に頭を痛めた警察署長はゴルゴに「必殺隊」の殲滅を依頼することを考え、友好関係にあったネオナチ組織に報酬の供出を頼みに行く。「必殺隊」の背後に組織がいることを知らなかったためだが、組織の「総統」は費用を出すよう部下に指示する。かねてよりゴルゴの排除を窺っていた「総統」は、この機会にゴルゴを抹殺しようと考えたのだった。かくしてゴルゴとネオナチの全面闘争が始まることになる。
第174話 沸騰・第四帝国 / 1981年7月
「沸騰」でネオナチ組織に襲われたゴルゴは、自分の命を狙っているのがネオナチの中でも最大の勢力を誇る「第四帝国」であることを突き止めた。彼らがマヤ文明やインカ文明の遺跡の売買を資金源にしていることを知ったゴルゴは、彼らのビジネスの拠点であるユカタン半島へ乗り込む。一方、本格的に自分たちへの挑戦に乗り出したゴルゴの動きをつかんだ第四帝国は、対抗して組織の精鋭部隊「最後の部隊(ラスト・バタリオン)」出動させた。
第175話 獅子の椅子 / 1981年8月
コロラド州の田舎町・クラウンタウン、この町の名士が町に帰ってくる。また同時に名士の公然の秘密とされる隠し子も刑務所から出所してきたのである。隠し子の母親とかつて恋人だったこの町の医師は今でも彼女を愛していた。そこに現れたゴルゴの標的とは。
第176話 穀物戦争 蟷螂の斧 / 1981年9月
食糧自給率の著しく低い日本は、不足分の食糧を穀物メジャーからの輸入に依存していた。エネルギーでも石油メジャーに頭を押さえられており、そうした日本の状況を危惧した丸菱商事の商社マン・藤堂伍一は、アメリカの穀物市場に介入するべく果敢な挑戦を試みる。
第177話 黒い瞳〈EBONY EYES〉 / 1981年10月
ロスのマフィアのボス、トーマスは抗争の末にゴルゴの標的にされた。子飼いの殺し屋にゴルゴを始末させようとするトーマスだが、ある情報を聞いて作戦を改める。それは殺し屋の愛人がゴルゴの子供を育てているという物だった。
第178話 ジーク・ハイル!! / 1981年11月
各地で進むナチス裁判は、証人たちの記憶がすでに薄れかけておりどの裁判も進行は困難を極めていたが、ミュンヘン地裁の「ベルゼック収容所裁判」は法廷を取り仕切るシュレーゲル裁判長がユダヤ人に同情的であるため世間の耳目を引いていた。だが、シュレーゲルは実際は戦前ナチ党員であり、敗戦色が濃厚になると党員資格を返上して過去をあっさり精算し、現在ではのうのうとリベラルな裁判官になりすましているという卑劣な男だった。その卑怯さが許せないと憤るかつての親衛隊員は、シュレーゲルの暗殺をゴルゴに依頼する。しかしその依頼には、依頼者所蔵の古い拳銃で狙撃して、犯行現場に必ずその銃を残してきてほしいという奇妙な条件がついていた。
第179話 ズドロナス・マリヨ / 1981年12月
フリーメイソンの調査により、現在公の場に姿を見せているローマ法王ヨハネ・パウロ2世が精巧に作られた偽物であることが判明した。世界中の宗教を連携させて反共の包囲網を形成しようという「世界宗教大連合構想」を推し進めるフリーメーソンは、拉致された法王の奪還をゴルゴに依頼する。本物の法王は黒幕であるKGBの手によって、法王の別邸ガンドルフォ城に幽閉されていた。KGBの狙いは本物の法王のクリスマス・ミサへの出席を阻み、ミサの際に宗教連合構想が新段階に入ったとする暗号である「賛美歌13番」を流させないことにあった。
第180話 穀物戦争 蟷螂の斧 汚れた金(ポリューテッド・ゴールド) / 1982年1月
176話「穀物戦争 蟷螂の斧」の続編。穀物メジャーから大量の食料を買入れたソ連。ところがその代金の金塊を運ぶ途中、貨物列車がポーランド国境で核爆発と思しき煙に包まれる。すぐさま核テロリストによる犯行声明が出、衝撃のニュースは世界中を駆け巡った。放射能汚染された金は実質的に無価値になってしまい相場は大暴落してしまうが、事件の実相はかつてメジャーに煮え湯を飲まされた藤堂伍一による周到な計画の下に練り上げられた相場操縦であった。
第181話 里通外国(リートゥンワイグォ) / 1982年2月
米国人トニーと不倫の果てに捨てられた中国の女性通訳華楊は、「トニーに国家機密を漏らした」と告白、里通外国(対外通謀罪)で告発される。残されたトニーに中国弁公室、CIA、KGB、そしてゴルゴが迫る。
第182話 サタデーナイト・スペシャル / 1982年3月
アメリカでは「サタデーナイトスペシャル」と呼ばれる安物の銃を使った犯罪が横行していた。そしてゴルゴの目の前でその銃を使って抗争相手を殺したチンピラ達が、目撃者であるゴルゴを殺害しようと襲いかかる。
第183話 崩壊 第四帝国 狼の巣 / 1982年3月
イスラエルの諜報機関モサッドは、ブエノスアイレスにある美術館に第四帝国の本拠地があることを突きとめた。そしてその「狼の巣」と呼ばれるその本拠地の地下には、彼らのリーダーである「総統」が。モサッドから「総統」の暗殺依頼を引き受けたゴルゴは完全武装で「狼の巣」に殴り込みをかけ、第四帝国との最終決戦に挑む。
第184話 テレパス / 1982年5月
CIAからソ連要人の狙撃を依頼されたゴルゴは空港に現れた要人の狙撃に臨んだものの、まさかの狙撃ミスを犯してしまう。この要人を護衛していたのはKGBによって育成された超能力者アンナであった。優れたテレパスであるアンナはテレパシーで遠隔地にいる人間の思念を読みとる能力を持ち、ゴルゴが狙撃に集中する際に発する強い思念波をもキャッチしてしまう。これに対抗するため、ゴルゴは完璧な自己催眠を身につけ、睡眠状態から瞬時に覚醒できる技を会得してモスクワに乗り込む。依頼を完遂するためと、再びアンナと相まみえるため。
第185話 予期せぬ人々 / 1982年6月
強盗を取り逃がす失態をやらかして警官をやめる羽目になったスティーブは、女房にも愛想をつかされて逃げられ、腐りきった毎日を送っていた。元同僚の警官は、スティーブの女房の実家の宿屋に滞在している不審な男を犯罪者に違いないと思い、あの男を殺してみんなを見返してみろとスティーブにけしかける。しかしその男とは、依頼人を待っているゴルゴであった。
第186話 アメリカンドリーム / 1982年6月
往年のロックスターエルマン・プレイリー。かつては「アメリカン・ドリーム」を体現したような華々しい活躍をしていた彼だったが、従軍したベトナム戦争から帰ってきてからというもののぷっつり歌うことをやめてしまい、戦場での悪夢の体験を忘れようと、毎日乱痴気騒ぎを繰り返していた。別居中の妻パティはとうとう離婚を決断するが、別れのけじめとして夫を立ち直らせようと彼女がとった行動とは。
第187話 河豚の季節(フグのとき) / 1982年7月
日本在住のユダヤ人“死の商人”マインベルグを追う村本記者は、昭和9年当時の外務省がユダヤ人を満州に大量受け入れしようとした“フグ計画”の存在を知る。村本はこれについて調べるも、奇怪な事故死と執拗な妨害が繰り返される。一方、リビアの砂漠でゴルゴはカダフィからマインベルグの殺害依頼を受ける。マインベルグはゴルゴが自分を狙っている事を知るとともに、彼の正体がかつて生き別れた自分の甥「東郷英治」ではないかと確信を深めていた。マインベルグはゴルゴを上海に呼び出し、自分はゴルゴの伯父であることを伝える。
第188話 アルヘンチーノ・ティグレ(アルゼンチンの虎) / 1982年9月
かつて「アルヘンチーノ・ティグレ」と恐れられた元アルゼンチン大統領・ホアン・ドミンゴ・ペロン。8年程前にすでに病死していると思われていたペロンだったが、実は存命していることが判明した。ペロンが生きていれば、スイス銀行に蓄財されていた80億ドルともいわれる彼の財産がアルゼンチン政府に譲渡される可能性がある。目下緊迫の度合いを増しているフォークランド状勢で劣勢に立たされることを恐れたイギリス海軍省は、現在ブエノスアイレスにある要塞さながらの病院で警護されているペロンを暗殺することをゴルゴに依頼する。
第189話 リトル・ハバナ / 1982年10月
バチスタ政権崩壊後に大量のキューバ人亡命者が押し寄せたマイアミは、暴力行為も辞さない「キューバ統一戦線党」に牛耳られ、「リトル・ハバナ」等と揶揄される状況になっていた。そこのチンピラ構成員に好意を抱く女性を強姦された元ボクサーのニックは、久しく背を向けていたボクシングを思い出し、統一戦線党の本部に殴り込みをかける。昔取った杵柄で次々に構成員を殴り倒してゆくニックだが、不意を突かれてボスに拳銃を突きつけられてしまう。だがその時、突然窓ガラスを破って一条の弾丸がボスのこめかみを撃ち抜いた。
第190話 複合標的群(マルティプル・ターゲッツ) / 1982年11月
一般市民を置き去りにしてアメリカに逃げ込んだ、元ベトナム政府高官要人8人の暗殺が、貧民有志たちによって計画された。その裏で犯罪組織「満州幇」は、その暗殺者リストに敵対する麻薬密売組織「トライアド」の人間を加えようと企んでいた。しかし、その企みに失敗した「満州幇」は、会見に向う有志代表として依頼人に選ばれたスーを拉致。無理矢理リストに加えようとする。
第191話 ラスト・ループ / 1982年12月
ネリス空軍基地では、その日も、曲技飛行の訓練を行っていた。ある夜、パーカーが隊長を訪ねてくる。パーカーは以前はこの曲技飛行のメンバーだったが、薬物に手を出し、また、チームの仲間ともいざこざが絶えなかったため、軍を除隊されていた。パーカーは、隊長に「自分をチームに戻してくれ」と掛け合うが、隊長は一蹴する。腹の虫がおさまらないパーカーは、格納庫へ行き、隊長機の計器に細工をする。その翌日。チームはまた訓練飛行を行うが、隊長は、計器の細工に気づかず、操縦を誤って地上に激突、チームの他の3機も、隊長機に同調して飛行をしていたために、この3機も地上に激突し、チーム全員が死亡する悲惨な結果になる。この事故で死んだマイクル・メラニー大尉の母、マッジ・メラニーは、政府からの弔慰金でゴルゴを雇い、パーカー暗殺を依頼する。
第192話 バンプ・ザ・ガリバー / 1983年1月
日本のコンピュータ会社「旭製作所」の産業機密が、KGBの手によってFBIに持ち込まれた。FBIは、日ソが手を組んだのではと警戒し、調査を開始する。しかし、その目的は日本の青年官僚たちとKGBによって自分たちに恥をかかせた元FBI防諜室のエッカードに、同じように恥をかかせる為に仕組まれた罠だった。
第193話 クレムリン名簿(クレムリンノーメンクラツーラ) / 1983年1月
老齢のため引退が噂されているソ連共産党書記長ブレジネフの後釜を狙うKGB議長アンドロポフは、一気呵成に後継書記長としての基盤固めに入ろうとしていた。対立する党第一書記のグリアシビリは何とかしてそれを阻もうとするが、後ろ盾であった政治局員スースロフに死なれてしまい、頼みの綱を失う。最後の手段としてグリアシビリはゴルゴにコンタクトをとろうとするが、ゴルゴはすでに何者かから依頼を受けてソ連に入国していた。アンドロポフがブレジネフ暗殺を企んでいるに違いないと考えたグリアシビリは、静養先のヤルタへ飛んでブレジネフの護衛をかって出る。
第194話 110度の狙点 / 1983年2月
サウジアラビア国王顧問のザルマンの姪が、ニューヨークで何者かに強姦され殺害された。ザルマンは復讐のため姪を殺害した犯人の始末をゴルゴに依頼するが、その直後にザルマンの息子である皇太子が犯人だという情報が飛び込んできて驚愕する。王家の醜聞が広まることを恐れたザルマンはゴルゴを力ずくで止めるべく、王家秘蔵の暗殺団にゴルゴを追跡させるが、ことごとく撃退される。ゴルゴは暗殺団の妨害にも屈せず依頼を完遂させることと裏切りへの制裁のため、ニューヨークから帰国した標的と依頼人が共にいるサウジに乗り込む。
第195話 ザ・メッセンジャー / 1983年3月
ハンガリーの空港でCIA局員が拘束される。悪名高い秘密警察AVHの長官・フォックは局員の口を割らせるべく自白剤投与や拷問など様々な方法を試みるが、局員は深層心理に強力な催眠誘導をかけられており入国の目的はいっこうにわからなかった。そんな中、ゴルゴのハンガリーへの入国が確認され、直後に副首相の狙撃未遂事件が起こる。責任を追及されたフォックは特別捜索隊を組織し、自身が陣頭指揮を執ってゴルゴを国境付近に追い詰める。
第196話 マシン・カウボーイ / 1983年4月
テキサス州の牧場でオーナーの溺愛していた馬が行方不明になる。オーナーはこのところ近隣の牧場を荒らし回っている馬泥棒の仕業に違いないと考え警察に訴え出るが、警察は他の犯罪にかまけて馬泥棒などにはまともに取り合ってくれない。悲嘆極まったオーナーは、思いあまってゴルゴに犯人を突き止め殺害してくれることを頼み込む。オフロードバイクを駆って暴れ回る無軌道な不良少年達に目をつけたゴルゴは、自らもバイクを駆って少年達の前に現れ、プロのライダー顔負けのライディングテクニックで彼らを翻弄する。
第197話 GO UP(遡行) / 1983年5月
パレスチナの大物テロリストの暗殺をモサッドに依頼されたゴルゴであったが、なぜか仕事を中止してしまう。標的の過去を洗い直すようゴルゴに告げられたモサッドは、標的の足取りの遡行(ゴー・アップ)に取りかかる。
第198話 シンプソン走路 / 1983年6月
オーストラリア社会に重く沈殿し続けるアボリジニ問題。アボリジニの血を引くコリアー・マスグレーブ空軍少佐は、問題の根本的解決にはアボリジニの独立しかないと考え、大陸北部を分割してアボリジニによる独立国家を樹立するためクーデターを起こす。コリアーの実兄でアボリジニ担当省次官のバンゲールは決起に反対するも弟を静止できず、やむなくゴルゴにコリアーの殺害を依頼する。実の弟の殺害を依頼したバンゲールだったが、癌に冒され余命幾ばくもない彼には胸に秘めたある考えがあった。
第199話 死闘ダイヤ・カット・ダイヤ / 1983年7月
世界で採掘されるダイヤモンドのすべてを買い上げ、ダイヤモンド市場を独占しているデ・ロアズ社。かつて会長ソロモンとの熾烈な戦いに敗れたホワイトロックは、再び莫大なダイヤモンド鉱床を発見してダイヤモンド・シンジケート倒壊を画策していた。ホワイトロックはゴルゴにコンタクトをとり、デ・ロアズ社の象徴である世界最大の巨大ダイヤを銃弾で撃ち砕くことを依頼する。
第200話 7号コテージ事件 / 1983年8月
フロリダの別荘地。自分のコテージに泥棒が入ったのに被害届を出さない借主に不審を抱いたマーウィック刑事は、独自にコテージの捜査を始める。何か借主の痕跡があるかと思いきや、驚くべきことにその7号コテージには指紋が一つも残されておらず、髪の毛一本すら落ちていなかった。そのうち上から圧力がかかり、マーウィックは借主がただ者ではないことを知る。署長に拳銃とバッジを突き返し、マーウィックはあくまで捜査を続けようとする。

第201話 - 第300話

“話数 題名 / 発表年月”の順で記載。

第201話 ルーサー・キングの遺産 / 1983年8月
間近に控えた米大統領選の最大の目玉は、民主党の大統領候補レオナード・ゴードンだった。かつてのキング牧師の同志であり、キング牧師の意志を受け継ぐと高らかに謳うゴードンだったが、実際はキング牧師の暗殺事件の際に、事前にそれを知りながら彼を見殺しにしたという醜悪な過去があった。フロリダで開かれた演説会、聴衆の声援に迎えられたゴードンは、キング牧師のノーベル平和賞の記念メダルのレプリカをつけて演壇に立つ。
第202話 プロキシー・ファイト 委任状闘争 / 1983年8月
ハワイの一流ホテル乗っ取りの依頼を受けた日本のヤクザ・立花。委任状闘争の名義人として乗っ取り計画の陣頭指揮を執るものの、依頼人を出し抜いて自身がホテルのオーナーになろうと企んでいた。マフィアの警告もはね除け立花は着々と計画を進めるが、そんな中ロスの富豪の娘を捜しているという探偵が訪ねてくる。立花は知らんぷりを決め込むが、娘は立花の経営する芸能プロに騙され売春を強要され、それを苦に自殺してしまっていた。娘の死を知った富豪は激怒し、乗っ取りを成功させて得意の絶頂にある立花に復讐するべくゴルゴを雇う。なお、今日における日本では、「プロキシーファイト」は「委任状争奪戦」と訳されることが多い。
第203話 女カメラマン・キム / 1983年9月
政治家のセックススキャンダルをスクープした女カメラマン、キム。彼女から専属カメラマンになることを断られた編集長は、逆恨みして彼女をチンピラたちに襲わせた。そこをゴルゴに助けられた彼女は、お礼がしたいとゴルゴを連れ出した。食事をしたり、酒を飲んだりして一緒に過ごす二人。その頃、キムの相棒の元に、キムにスキャンダルを暴かれた政治家が「殺し屋」を雇ったという情報が舞い込む。
第204話 多国籍企業 某略の図式 ヘッド・ハンター / 1983年10月
米人材獲得会社の副社長サミュエル・ポッターが飲酒運転による事故で命を落とす。事故を不審に思った祖父のポッター会長は死因を調査するが、サミュエルが多国籍企業による国家買収という恐るべき陰謀にまつわる機密情報をつかんでしまったことを知る。ポッターは独自の調査網でゴルゴにコンタクトをとり、黒幕の暗殺を依頼する。標的の正体が判明し次第知らせるとゴルゴに約束してポッターは執念の調査を続けるが、その黒幕は彼が想像もしなかった人物だった。
第205話 裏切りのスワスチカ / 1983年11月
西ドイツ外相ゲンシャーの補佐官リヒャルツ・ゼルが襲撃された。犯人はその場で射殺されたが、手の甲にはチベットのシンボル正鉤十字マークであるスワスチカの刺青が彫られていた。第二次世界大戦末期、チベット人支援部隊はソ連軍を迎え撃つが、隊長であったゼルことグルカは敵前逃亡を謀り、部隊を見殺しにしていた。グルカはヒトラーの日記を強奪し、戦後はゼルと名前を変え、西ドイツ官僚としての地位を固めていたのである。チベット人部隊の生き残りにグルカ暗殺命令を出していた人物は「ローゼン・マクシミリアン」という老人だったが、とうとうゼルの殺害と日記の破壊をゴルゴに依頼する。ゴルゴはマクシミリアンの正体が元ドイツ第三帝国副総統ルドルフ・ヘスであることを見破る。
第206話 デバッグ / 1983年12月
パソコンマニアの少年マークは、全くの偶然から国防関係のデータ通信回路に不法侵入してしまった。そこでゴルゴのデータを発見したマークは、ゴルゴへの興味が抑えきれず、とうとうゴルゴへの接触を試みる。一方、データへの不法侵入に気が付いたCIAは、犯人捜査に乗り出し、マークがゴルゴに接触しようとしている事実を掴む。早くしなければマークの命が危ないと現場に急ぐ捜査官だった。
第207話 闇の封印 / 1984年1月
建設政務官を務める若手代議士の塚山は、ある日永田町に住む友人の吉岡から奇妙な相談を受ける。このところ吉岡の自宅の地下から、真夜中に何事か工事をしているような異様な音が聞こえるというのだ。塚山はそれとなく各所に問い合わせてみたが、誰に聞いても要領を得ない返事しか返ってこず、そのうち吉岡が謎の変死を遂げたという知らせが飛び込んできて衝撃を受ける。その後塚山は弔いのつもりで親友の死の謎を調べ始めるが、やがて永田町の地下に網の目のように張り巡らされた無数のトンネルと、その奥深くに眠る大戦末期の極秘書簡「S-書簡」の存在を知ることになる。
第208話 ビオ・グレゴリオ司教 / 1984年2月
南アフリカの老大司教マーローが、アパルトヘイトに抗議して極秘裏に収監された。法王の懐刀であるビオ司教は、南ア政府の資金源であるクルーガーランド金貨の価格を暴落させてこれに対抗。さらにその裏で、ゴルゴに警戒厳重・脱出は不可能な南アにあえて潜入する仕事を依頼する。
第209話 海難審判 / 1984年3月
イラン軍向けの武器を満載した貨物船ユピテル号が、無人となって当のイラン沿岸に漂着した。イラン軍のラシッド少佐はこの謎の調査に乗り出すが、事件の裏にはゴルゴがいた。
第210話 真実の瞬間 / 1984年4月
イスラエル人のモルド・シェ・ダハンは、ソ連の元第一副首相ヨセフ・イワノビッチ・クレメールに瓜二つの容姿をしていた為に、CIAに拉致され、クレメールの身代わりを強いられる。亡命するクレメールからKGBの眼を逸らす為だと説得されるダハンだったが、CIAの狙いは、ダハンにクレメールの代わりに死んで貰う計画だった。ダハンも、その狙いに気付き焦り出す。
第211話 AZ4 CP72 / 1984年5月
カナダ、ケベックで罹患すれば致死率100%の伝染病が発生した。調査の結果、陸軍情報局は、科学戦略防衛研究所のクリフォード・コベントリー所長が感染源であることを突き止める。そこで、他者への感染を食い止めようとするカナダ陸軍は、生死を彷徨うコベントリーからゴルゴと接触したという事実を知らされる。カナダ陸軍は、大捜査網を張り巡らせ、ゴルゴ抹殺の為に動き出した。
第212話 デッド・アングル / 1984年6月
アメリカ国務省が雇い入れた若き狙撃手、カッツ・ドーベル。コンピュータ並の頭脳とオリンピック選手を凌ぐ射撃能力を誇る彼がゴルゴの前に立ちはだかる。
第213話 2万5千年の荒野 / 1984年6月
カリフォルニア州郊外の原子力発電所でトラブルが発生。解決には原子炉に充満する高圧蒸気を逃がさなければならないが、肝心の逃がし弁は超過勤務を強いられた職員のミスで壊れてしまっていた。もし原子炉が爆発すれば広島型原爆の数百発分の放射能が散布され、ロサンゼルスが2万5千年の死の街に……!偶然ゴルゴの狙撃を目撃したプラントの設計者であるコモン・バリー主任は、蒸気を逃がすためにサージ管を大戦中の古い対戦車ライフルで狙撃し撃ち抜くことを依頼する。だが、狙撃場所はメルトダウン寸前の原発の中だった。
第214話 スパニッシュ・ハーレム / 1984年8月
FALNP (プエルトリコ国家解放武装団)の女テロリスト・アンジェラ。テロ行為を行った彼女はその姿を目撃され、起訴される。彼女と一夜を共にしたゴルゴは、なぜか法廷に立って彼女の弁護を行う。
第215話 ロックフォードの野望 / 1984年8月
世界経済を支配するロックフォード財閥の当主、デビッド・ロックフォードは、月100万ドルの報酬でゴルゴを一族の専属狙撃手として雇い、彼を懐柔しようとする。契約を断るゴルゴだったが、その直後にロックフォードはゴルゴのあらゆる資産を凍結、自身の巨大な権力を見せつける。動きを封じられたゴルゴは、唯一ロックフォードに対抗し得る華僑がいる台湾へ飛び立つ。
第216話 メジャー・オペレーション / 1984年9月
米軍のアフガン侵攻作戦始動を前にして、米国防総省戦略分析局局長のコッブ大佐は、ゴルゴを使ってベトナム戦争のゲリラ戦のケーススタディーを行おうとしていた。コッブはベトナム戦争での敗北がトラウマとなっていたのだ。コッブはブラジル軍の要人殺害という虚偽の依頼を口実にしてゴルゴをブラジルにおびき出す。ゴルゴは丸腰でブラジルのモンテグロッサのジャングルに追い込まれてしまう。
第217話 サギ師ラッキー / 1984年10月
シカゴの結婚詐欺常習犯・ラッキー。結婚詐欺師としてはそれなりに名が知られていたが、所詮は一介の詐欺師でしかない。なじみの刑事から「チキン(小者)」と嘲られ、ラッキーは何かデカいことをやって見返してやろうと誓うが、そんな彼の前にゴルゴが現れる。偶然ゴルゴが国際的なテロリストだと知ったラッキーは、ゴルゴを利用して一世一代の詐欺を成し遂げようと企てる。
第218話 ロックフォードの野望〈謀略の死角〉 / 1984年11月
圧倒的な権力で自身を屈服させようとしたデビッド・ロックフォードを葬ったゴルゴ。しかしロックフォード一族の野望は新当主のローランスに引き継がれていた。アメリカ元国防長官のブレジンジャーとも手を組んだロックフォード一族は、今度はゴルゴの依頼者を例外なく抹殺することで仕事の妨害を図る。死んだ依頼者の遺言でローランス殺害を依頼されたゴルゴは、再びロックフォード一族との戦いに挑む。
第219話 十月革命の子 / 1984年12月
KGB第一副議長ビクトル・クレメンコ将軍の陰謀により、伯父のクラスノダール州党委員会書記イワン・ベトロビッチ・コペイキンを殺害されたKGB第二総局ウラジミール・ムラトフ大佐。その復讐を果たしたいムラトフだったが、相手がKGB第一副議長では手を出す事が出来なかった。しかも、アフガニスタン転属を命じられ、自分の死を予感したムラトフは、復讐の為の狙撃をゴルゴに依頼するのだった。
第220話 アイリッシュ・パディーズ / 1984年12月
アイリッシュへの差別から、まともに職に就けない青年・エド。父親も同様で、毎日日雇いの仕事を転々としている。親父のようにはなるまいと誓ったエドは思い切ってIRAに入ることを決意し、ホテルに宿泊している上院議員を襲ってIRAの目を引こうとする。が、エドは気づかなかったがそこには彼の父の姿もあった。エドがダメ親父として馬鹿にしていた父は、実はIRAきってのボンバー(爆弾係)だった。
第221話 シーザーの眼 / 1985年1月
シーザー電子が秘密裏に開発したビームマイクロ・スクランブラー。核兵器の無力化を図る事が可能だという、この極秘製品を巡ってKGBの陰謀が渦巻いていた。警視庁では正体不明のソ連工作員「ミスターM」抹殺をゴルゴに依頼する。ゴルゴは依頼を遂行し、事件は解決したように思えたが「つくば科学万博」を控えたシーザー電子に再び陰謀の影が忍び寄る。
第222話 フラッシュ・バック / 1985年2月
ガービー刑事は、麻薬密売人のマリオから麻薬の供給元がキューバ政府内務省であることを聞き出した。マリオに公聴会での証言を頼むガービーだったが、組織を恐れるマリオは証言を拒否する。仕方なくガービーは、自分がマリオを装って公聴会で証言する。しかし、その為に組織からの報復を受けて、マリオの妻子は殺害される。罪の意識を感じたガービーは、自分が刑事の身であるにも拘らず、マリオの妻子の復讐を、ゴルゴに依頼する。
第223話 偽りの五星紅旗 / 1985年3月
中国への返還を控えた香港の経済を破綻せんと暗躍する男の狙撃を「こちらの手で、確実に」という条件のもとでCIAから引き受けたゴルゴ。だが狙撃現場には同じく男の殺害を目論む中国側の狙撃部隊がすでに展開していた。
第224話 イリーガルの妻 / 1985年4月
アニー・ハモンドの夫、ビル・ハモンドは英国の空軍基地につとめている。しかし、ビルは多忙を理由に、アニーにすげなくなっていた。アニーは、ビルが浮気しているに違いないと考え、私立探偵を雇い、ビルの行動を調べさせる。ビルは実は本名をソミノフといい、その正体はソ連の情報部員であった。このことに気がついた探偵は、ビルに殺されてしまう。正体がばれかかったビルはアニーも殺そうとする。
第225話 ソフホーズ / 1985年5月
クレムリンのナンバー2、ゴルバチョフ党政治局員兼書記は、杜撰な経営報告が続く国営農場(ソフホーズ)の実態について、調査を開始する。これを受けて国営農場と癒着関係にあった党中央書記・セミョーノフらは、過去の悪行が明るみに出る前にゴルバチョフを暗殺するべく、ゴルゴへの接触を試みる。一方、アメリカCIAの世界食糧生産調査部は、ソ連の農業生産の実態を知るため、国営農場内にある閉鎖された水圧塔(バダ・ナポールナヤ・バシニヤ)に盗聴カメラを仕掛ける計画を立ち上げ、実行に移す。だが奇しくもその頃、セミョーノフらはゴルバチョフの国営農場視察に合わせて、暗殺を実行する狙撃手を水圧塔に潜ませようとしていた。
第226話 ファイアー・アフター / 1985年6月
ブラジルの高層ビルで火災が発生、144名の犠牲者を出す大惨事となった。だが死体の中から2名の射殺体が発見され、火災事故は殺人事件へと発展する。そんな中、唯一の生存者とされる女性が病院へ搬送された。彼女曰く、偶然居合わせた東洋人の男性に助けられたのだという。
第227話 血統の掟 / 1985年7月
英国2千ギニー賞レースを始め、デビュー以来負け知らずの強さを見せる牝馬・ギルフィ。名馬ヘロデ号の血を引く彼女は、しかし、純粋なサラブレッドではなく、その4分の1にロシア馬、メディス・トロッター種の血が入っていた。何よりも血統を重んじる英国ジョッキークラブの理事長、ギデオン・デ・グレイは、「雑種」であるギルフィに英国クラシックレースのダービーを奪われることに我慢がならず、彼女の抹殺を決意する。しかし、彼の姪であり、ギルフィの育ての親でもあるシーリアは、これに断固として反対。疾走する馬の手綱をも打ち抜くほどの自身の射撃の腕前を持ってして、命がけでギルフィを護ることを宣言する。
第228話 ハリウッドギャンブル / 1985年8月
ハリウッド映画プロデューサー、スコットは、新作映画のスポンサーだった石油成金王のブリノ・デローニが殺害され、資金繰りに困っていた。仕方なく友人の州知事候補コナリーに相談するのだが、デローニを殺害したのがコナリーだと知ったスコットは、コナリーを脅して金を取ろうとする。しかし、デローニ抹殺をゴルゴに依頼した時点でスコットの動きを読んでいたのは、実はコナリーの方だった。
第229話 スタインベック三世 / 1985年9月
各国要人の健康状態に関する情報を提供する機関、MC130のボスであるスタインベック三世。古城の主でもある彼の暗殺を依頼されたゴルゴはスタインベック三世を銃のスコープに捉える。
第230話 兵士は森に眠る / 1985年9月
ベトナム戦争時に使用された枯葉剤の副作用で、癌を患ってしまった男、ダン。人生に絶望した彼は、浮気をしていた妻をその手にかけてしまう。彼は残りわずかな人生を、娘キャロルのために、ある機関から依頼されたゴルゴ暗殺へ費やすことを決意する。
第231話 見えない翼 / 1985年10月
レーダーに捕捉できないステルス機「F-19」の開発を着々と進めていた米国は、ついに実験機「XST」を完成させた。KGBは腕利きの工作員を使ってこれの奪取を図るものの失敗。ゴルゴは開発チーム「スネークワーク」の主幹の暗殺と、「XST」の奪取もしくは破壊を依頼され、ニューメキシコ州の極秘基地に乗り込む。が、標的の殺害には成功するが不測の事態により「XST」の奪取は不可能になる。基地からの逃走には「XST」を使う他なかった。
第232話 心霊兵器(サイキック・ウェポン) / 1985年12月
冷戦真っただ中の西ドイツのミサイル基地。管制室で、次々と兵士が常軌を失い、東側に照準をあわせている核ミサイルを発射しようとする。CIAの西ドイツ支部は、KGBによる陰謀を疑う。CIAが調査を進めていくと、かつて、超能力者とされていたフリーマンという男が西ドイツのソ連大使館内に居ると判明する。CIAは、KGBがフリーマンを訓練して、超能力で相手を攻撃したり支配したりする、「サイキック・ウェポン」にしたのではないか、とおののく。そして、カーという外部のスナイパーを雇い、フリーマンを狙撃させるが、狙撃の際、カーの体がしびれ、狙撃に失敗する。このため、さらに心霊兵器の信憑性が高まるが、CIAは、今度はゴルゴにフリーマンの狙撃を依頼する。
第233話 弾道 / 1986年1月
ハイウェイで車を運転中の女性がライフルで頭を撃ち抜かれて死亡した。捜査に当たったロス市警のホーガンは女性の夫・ケッタリングに目をつける。ケッタリングは女性と離婚協議でもめていた上、裏社会とも繋がりのある男だったからだが、ケッタリングはあくまで容疑を否定する。知人のギャングの話によると、事件の少し前に現在ロスに超一流スナイパーのゴルゴ13が来ているとの噂をケッタリングに話したという。現場検証から並の狙撃手の犯行ではないと睨んでいたホーガンは、ケッタリングがゴルゴを雇って狙撃を行わせたに違いないと疑う。
第234話 心臓の無い男 / 1986年1月
心臓死をもって法的な死亡を規定しているスウェーデン。ギャングのボス・ベルイマンは一時心臓発作によって死にかけたものの、最新の人工心臓を移植することによって再び蘇った。法的に死亡認定を受けたベルイマンは、法律の適用されない「生ける死者」として無法行為を繰り返し、好き放題に振る舞い始める。このまま放置する訳にはいかないと考えた国家保安警察は、ベルイマンの暗殺をゴルゴに依頼する。ただし依頼には、医学界から反発の無いように、あくまで自然死に見えるようにという困難な条件がついていた。
第235話 ワイルドギース / 1986年2月
世界各国に傭兵部隊を展開する組織を持つホートン大佐は、ラスベガスで開かれるポーカーのワールドシリーズに毎年足を運ぶほどのギャンブル好きだった。賭け仲間から部隊がゴルゴに勝てるか賭けようとけしかけられた大佐は、これを機会にかねてより最大の商売敵として見ていたゴルゴを抹殺することを決意する。内戦の始まったウガンダの軍事政権が傭兵の派遣を頼んでいるのを奇貨として、懇意のCIA局員を介して偽の依頼でゴルゴを呼び出し、傭兵部隊の待ち受けるジャングルへとおびき寄せる。
第236話 KGBの長い腕 / 1986年3月
KGBのニューヨーク支部長であるレオン・ニコラビッチ・マリク。新任参事官に睨みをきかせ、8年前に亡命した事務次官の暗殺計画を推し進め、「KGBの長い腕」が健在であることを示そうと息巻くが、進む米ソのデタント(緊張緩和)状況の中で周囲からは煙たがられていた。クレムリンも彼の強行姿勢を危険視し、人事異動で本国に呼び戻そうと辞令を送るが、マリクは帰国命令を突っぱねる。
第237話 幻の栽培(ダミーのさいばい) / 1986年4月
★単行本未収録。1986年、イランはイラクと長く戦火を交えていたが、共に決定力を欠いていた。米国がイランに、ソ連がイラクに武器を供給していたが、米ソは阿吽の呼吸で、イランとイラクの双方が無意味に消耗していくシナリオを描いていたのだった。イランの政治的精神的支柱は、ホメイニであったが老いが忍び寄っており、国民を鼓舞できるほどの気力体力は残っていなかった。そこで側近たちは、ホメイニに酷似した年寄りを訓練し、ホメイニの影武者として振舞わせ始める。一方、イラン国民の間では、厭戦感、閉塞感に満ちていた。それを代弁すべく、パスダラン(革命防衛隊)のリーダー、ガラバキは、そうとは知らず影武者のホメイニに、「革命の敵・裏切り者のバニサドル前イラン大統領を血祭りにあげるので、対イラク戦を終結してほしい」、と直訴する。影武者のホメイニはこれを承認しガラバギを焚き付ける。ガラバギはフランスに亡命中のバニサドル暗殺を試みるがバニサドル側に拘束されてしまう。バニサドルはガラバギに、「あのホメイニは影武者だ、ホメイニを利用する奴らにイランを乗っ取られてはならない」と、影武者のホメイニを暗殺するようカウンターテロを教唆する。ガラバギはこの暗示にかかり、影武者のホメイニを暗殺すべく、母国イランを目指す。この展開を快く思わなかったのはCIAで、CIAとしては、イランに、まだまだ消耗戦を続けさせたいと考えていた。そこで、ゴルゴ13を起用し、ガラバギ暗殺を依頼する。ゴルゴ13はあっさり仕事に成功し、イランは果てのない対イラク戦を継続することとなる。
第238話 ナイトメア / 1986年5月
アルゼンチンのブエノスアイレスの歓楽街に、ゴルゴ13が姿を見せ、クレオ、という女を買った。クレオの恋人はアントニオ、といい、アルゼンチン空軍の大尉だったのだが、フォークランド紛争で出撃し、英国の戦艦に体当たりして死んだという。それ以来、クレオは、少し精神が不安定になっていた。一方、CIAはゴルゴ13をマークしていたのだが、ゴルゴ13とやりあう展開になり、殺されてしまう。ゴルゴ13はクレオを連れて、メンドーサという街を目指し、CIAも二人を追う。
なおSPコミックス版では、最初の方がフルカラー、前半部分全部が2色で印刷されている。
第239話 南フロリダ殺人ゲーム / 1986年6月
麻薬密輸ルートの元締めを狙撃するゴルゴ。元締めの用心棒である元FBI捜査官は執拗にゴルゴをマークするが、一見狙撃不可能なポイントから狙撃したゴルゴを追い込むことが出来ない。
第240話 システム・ダウン / 1986年7月
リーズ生命保険の調査部長ヨーコ・マッキンレーは被保険者の不審な死の裏にゴルゴ13が絡んでいることを知る。ヨーコはゴルゴへの連絡方法がラジオで賛美歌13番がリクエストされる、ユナイトホライズン土地開発の株が暴騰、ラスベガスのカジノでジャックポットが出るなどがあることをつきとめその連絡網を断とうとする。
第241話 ダイブ to トリポリ / 1986年8月
1986年、米大統領レーガンは、リビアが世界各国で頻発するテロリズムに関与していると判断し、大規模な空爆を決行した。しかしその後、重大な問題が発生する。空爆時に実戦テストを兼ねて使用された最新型のレーザー誘導方式のASM(空対地ミサイル)4発のうち、1弾が不発となり、リビア軍に回収されてしまったのだ。さらに、この新型ASMの情報がソ連へと流出する懸念も浮上する。潜入による回収、空爆による破壊など、いずれの対応策も不可能と判断したアメリカは、ゴルゴにトリポリへの潜入と、ソ連への輸送前のASMの破壊を依頼する。依頼を受けたゴルゴは作戦の助手・エルザとともに、深夜の闇に紛れてリビアの砂漠へとパラシュート降下(ダイブ)する。
第242話 ドラゴン・バードへの実験 / 1986年9月
アメリカ・CIAが躍起となって追いかける、極左系組織“竜の鳥(ドラゴン・バード)”。首領であるP・S・モズーコを含む6人から成るこのチームは、各国の群衆や学生たちを巧みに扇動、暴動を引き起こして時の政権の転覆を図る、アジテーターのプロであった。そんな時、白人政府と黒人大衆の軋轢に揺れる南アメリカで、彼らの姿が目撃されたとの情報が入った。CIAは、彼らが、7日後に行われるケープタウンでの政府代表と一般大衆との対話集会において、大規模な暴動を引き起こそうとしていると推測し、ゴルゴに彼らの抹殺を依頼する。しかし、当日の会場となる国立競技スタジアムには、何万人という群衆が集まると予想される。
第243話 アイスバーグ・カット / 1986年10月
ムバラク大統領下のエジプト政府は、水不足解消と国力回復のため、アメリカからやってきた元マサチューセッツ工科大学の研究員、ガイ・ハミルトンの持ち込んだプロジェクトに注目する。それは、北極海に浮かぶ巨大氷山にエアコンプレッサーを建造し、それによって生じる泡の推進力とタグボートでの牽引によって、氷山をエジプトまで遥々運搬しようという途方もない計画であった。しかし同時に彼は、この研究を巡る家庭内のトラブルから、妻とその父親を射殺してしまっていた。エジプトの現在以上の国力の増強を望まないアメリカは、ハミルトンの起こした事件に関する捜査からプロジェクトの存在を察知し、これを阻止するべくゴルゴへの依頼を行う。
第244話 アクロバティックス / 1986年11月
アメリカ・ノースカロライナの州知事候補であるリチャード・パインの息子、シオンは、資産家でもある父親の理解もあり、趣味である切手収集に没頭する幸せな日々を送っていた。しかし、対立候補であるマンソン陣営が仕掛けた卑劣な罠によって一家が乗った車を爆破され、シオンは両親と姉を失い、自身も大怪我を負う。その後、マンソンが犯人だと確信したシオンと家政婦のジーナは、彼に復讐するべく殺し屋を雇うことを決意するが、未成年者であるシオンは遺産を自由に使うことが出来ない。途方に暮れかけた二人だったが、父の遺言書の中に記載されたシオンの切手収集への支出に関する内容に注目、殺し屋への報酬を捻出するための奇策を思いつく。
第245話 スワップ 捕虜交換 / 1986年12月
★単行本未収録。シリアのダマスカスに陣取る、パレスチナの過激派グループの部長、カーリッドのもとへ、女スパイが連行された。その女、サラ・ストームはモサドのトップ・エージェントだ。サラは、西ドイツ連邦情報局いわゆるゲーレンの幹部のシェンクがゴルゴ13と接触する様子が撮影されたマイクロフィルムを持っていた。カーリッドは、サラを、スワップすなわち捕虜交換に用いよう、と考える。捕虜交換の相手は、イスラエルで終身刑となっている女闘士、ガブリエレ・クロッフェ・ティーデマン。ガブリエレは、元バーダー・マインホフグループ(=西ドイツの極左テロ組織、別名ドイツ赤軍)に属する伝説的テロリストだ。同じころ、ダマスカスにゴルゴ13が現れる。カーリッドはゴルゴ13を拘束し、ゴルゴ13に「近日中に、イスラエルとヨルダンの国境を流れるヨルダン川のアレンビー橋で、サラとガブリエレの捕虜交換を行う、そこでサラがイスラエル側に渡り切らない内に射殺してくれ」と要求する。そして捕虜交換の当日を迎える。カーリッドはゴルゴ13に銃と弾丸を一発だけ与える。やがて、ヨルダン側からはサラが、イスラエル側からはガブリエレが釈放され、それぞれ対岸を目指して歩き始める。そして、二人が橋の中央ですれ違うその刹那、ゴルゴ13が発砲。弾丸はまずサラの頭蓋骨を貫通し、さらにガブリエレの頭蓋骨を貫通し、二人は同時に崩れ落ちる。捕虜交換はぶち壊しとなり、ゴルゴ13は逃走する。そして後日談。カーリッドはやっと全貌を把握する。そもそも、ゲーレンのシェンクがゴルゴ13に接触して依頼したのは、ガブリエレの暗殺であった。しかしイスラエルの獄中に居るガブリエレを暗殺するのは困難で、ゴルゴ13はまずサラを密告しカーリッドに逮捕させた。そしてサラとガブリエレの捕虜交換へ、と話は進んでいったのであるが、すべてはガブリエレを獄中からつり出すためのゴルゴ13の筋書き通りだった。
第246話 見えない軍隊 / 1987年1月
ゴルゴは墜落したステルス戦闘機の破片を奪取して米政府に取引を持ちかけている傭兵団から破片の護衛を依頼される。その動きを察知した米側はわざとソ連側に情報をリークし、中米での工作妨害をしているスペツナズ部隊を差し向けさせて相打ちにしようと目論む。
第247話 フィールド・テスト / 1987年2月
マサチューセッツ工科大学のベルナルド・シュルツ教授は、ガラス繊維強化プラスチック(FRP)製の銃身を持つ、画期的な高性能銃の開発に成功する。しかし、取引相手の武器商人・ロゼリーに、新型銃のフィールドテストをコロンビアで行う旨を告げられると、一瞬の戸惑いを見せる。コロンビアの新大統領に就任したビルヒリオ・バルコは彼の同窓生であり、混乱する内政への助言をするべく国賓として招待されていたのだ。果たせる哉、シュルツがコロンビアを来訪するのと同時期に、労働者解放軍と名乗る組織による暗殺や強奪が頻発する。一連のゲリラ活動の裏に高性能銃の存在を知ったバルコ大統領は、組織の殲滅と高性能銃の破壊、並びに銃の考案者の殺害をゴルゴに依頼する。
第248話 ハリウッド・シンデレラ / 1987年3月
映画会社、ハリウッド・United-Movies(U・M)は、低迷する興行成績を打開するべく、社運を賭けた女性映画、“その後(アフター・ザット)”の製作を決定、その主演女優候補を二人に絞り込んだ。一人は知名度は抜群だが大根女優のオリビア・ロペス。もう一人はかつてアカデミー主演女優賞を獲りながら現在は引退同然の生活を送っているナンシー・N。奇しくも全盛時代、二人は互いを嫌悪し合うライバル同士であった。さらに、U・Mの副社長の一人であるR・カーターはオリビアを、もう一人の副社長R・スタンバーグはナンシーをそれぞれ推しており、この対決の勝者が次期社長の座を獲得すると目されていた。カーターは自らの愛人でもあるオリビアを主役にし、社長の椅子を我が物とするべく、ゴルゴにナンシーの殺害を依頼する。
第249話 ルート95 / 1987年4月
アメリカ・ネバダ州の平原を縦断する国道95号線。その道路沿いに建つモーテルの主人が夜間、何者かに殺された。モーテルにいたのは主人の娘・ソフィアと従業員のエンリコ、主人の知り合いの男性と女性宿泊客、そして同じく宿泊していたゴルゴであった。強盗による犯行と思われたが、葬儀の最中、女性客は主人の正体が、七年前に引退した大物マフィア、“ビッグ・ドン”ことドン・バローネだと確信する。彼女は記者であり、“ビッグ・ドン”に取材をしようとしていたのだ。その時、ソフィアと兄妹同然に育ったという男、ジョーが現れる。
第250話 バトル オブ サンズ / 1987年4月
イラクは特殊部隊を使いイランのペルシャ港に停泊中の外国タンカーを爆破し、港湾を封鎖しようと目論む。イランはイラク特殊部隊とその教官である元SEALのニール・レッドマンの暗殺を依頼するがその情報はイラク側に漏れていた。
第251話 ワッピング要塞 / 1987年6月
イギリスの著名新聞四紙を発行しているNI(ニューズインフォメーショナル社)。その政治・王室関連のスクープ記事の内容に疑問を抱いたロイター通信社の局長は、敏腕記者マーチン・ジェラルドに調査を行うよう指示する。果たして、NI社主のバレード・アーウィックと保守党副幹事長のハワード・フィールディング、王室に近いアサートン伯爵との間に、癒着関係があることが発覚した。折しもNIが印刷関係の労働組合によるストライキに揺れていたことから、マーチンは局長の指示の元、委員長のオドーネルに接触し、組合の手でこの事実を世間に公表するよう持ちかける。一方、関係が発覚したことを知ったアーウィックは、オドーネルを始末するべくゴルゴとの接触を図る。
第252話 レバノンの焦躁 / 1987年7月
アラブ過激派組織による外国人誘拐が頻発するレバノン。ある日、ベイルートのアメリカン大学に勤めるフランク・ハリソン教授とその妻リンが、アラブ聖戦革命細胞と称するグループに誘拐される。その情報を受け、アメリカ・上院テロ対策特別委員会のジョージ・エドモントン議員は、人質救出と犯人グループ殲滅のために狙撃手を雇うことを決意する。彼と人質のリンは不倫関係にあったのだ。しかし人質を無傷で救出するためには、身を隠す場所もない砂漠の真ん中で、遠距離から二人の犯人を同時に狙撃しなければならない。これを知った狙撃手は、自ら計画を下りてしまう。そんな仕事を緊張もなしに出来る奴は人間じゃなく、“機械(マシーン)”だという言葉を残して。
第253話 大学教授の私生活 / 1987年8月
ハーバード大学で教鞭を執る傍らフリーランスの狙撃屋でもあるゴールドマンは、武器商人ロゼリーからゴルゴの殺害を依頼される。ゴールドマンは暗闇の中ゴルゴを一発で仕留めようとするが、偶然ゴルゴがライターでタバコに火を点けたため、目がくらんでしまい狙撃に失敗する。ゴルゴは暗視野スコープを搭載した新型銃の存在を嗅ぎつけ、ロゼリーに接触を図る。
第254話 二十年目の毒 / 1987年8月
オーストラリアの名士、ウエスト・パーカーは、元アメリカの脱走兵だった。ベトナム戦争当時の極秘マイクロフィルムを隠し持つパーカーと、そのフィルムの消去を依頼させるゴルゴ。
第255話 サンタ・アナ / 1987年9月
インターポール(国際刑事警察機構)は、増加の一途をたどるテロに対処するため、テロリストを雇って別のテロリストを倒させる“相殺作戦”を開始した。その軸として選ばれたのが、ヨーロッパを中心に活動を行う、通称“血まみれブリギッダ”。昔の仲間であった別の女テロリストを難なく始末した彼女の仕事ぶりを確認したインターポールは、次の標的としてゴルゴ13を指名する。依頼人からその旨を告げられたブリギッダは、自分の思い通りにやるという条件のもと、その仕事を引き受ける。
第256話 楽園の汚染 / 1987年10月
カリブ海に浮かぶセント・トーマス島。楽園のような南国リゾート地の裏側では、西インド諸島から集めてこられた貧困家庭の年若い少女達が無理矢理売春を強いらるという悲惨な現実があった。事態を重く見た国連人権擁護委員会は、売春組織の首領フランク・ボネの暗殺をゴルゴに依頼する。島一番の高級娼館を訪れたゴルゴは、ボネの娘であるアンジェラに目をつけられ誘惑される。サディストの気のあるアンジェラは、ゴルゴを支配して快感を得ようとする。
第257話 隠されたメッセージ / 1987年11月
イスラエル軍強硬派と通じている米政府高官は軍事協定に『ある細工』を施して『合法的』にイスラエルへ新型核ミサイルを供与し、中東に核戦争を起こそうと図る。だが、傘下にある極右組織との交信時にミスを犯した事でその緻密な計画の歯車が狂いだす。
第258話 ロシア・クライシス / 1987年12月
米国に国家機密を流した角で本国に強制送還されたKGB局員キリール。本来なら処刑されるところだったが、KGB局長は罪を免除する代わりに現政権に批判的な秘密組織「十月(オクチャーブリ)」の内情を探ることを持ちかけられる。キリールに選択肢はなく、言われるままに「十月」に潜入して内偵を始めるが、やがて自身を使い捨てにしようとしているKGBの意図に気づく。半ば自暴自棄になったキリールは、現政権に不満を持つアフガン戦線の軍隊と結託しクーデターを起こそうと決意する。
第259話 ペルソナ・ノン・グラータ(好ましからざる人物) / 1988年1月
西側亡命を希望する者が、KGBの暗殺者によって次々に射殺された。ゴルゴは偽情報を流して娼婦のダイアナが暗殺者であることを確認し、ロンドンのヒースロー空港で射殺する。
第260話 ラスト・ゴーギャン / 1988年2月
ゴーギャンの最後の作品といわれる「後ろ向きにすわるマルケサスの女」が、投機目的で芸術品を買い漁っている日本人資産家の雑賀の手に渡ってしまった。絵のモデルの孫・ゴーグは、暗黒市場で売買されたその絵が表に出て行くことを頑なに嫌った。画商ホーナー・ロレンソを通じて、「後ろ向きにすわるマルケサスの女」を消し去ることを依頼されたゴルゴは、別枠での雑賀暗殺依頼と合わせる形で特殊弾で雑賀の胸を撃ち抜き、絵に数多くの穴を空けるとともに、雑賀の血と肉片で絵を修復不能にする。
第261話 西経一七五度 / 1988年3月
政変により英連邦を離脱し共和制に移行したフィジー。フィジーにある南太平洋大学は周辺諸国と先進国の援助で運営されていたが、その設立趣旨書には「設立二十年の時点でフィジーの国体が変わった場合には大学はフィジーに帰属する」と定められていた。ソ連の侵攻を想定したものだったが、副理事長のカセンガドはこれを利用して邪魔者を追い出し、大学をフィジーの国立大学に変えようとする。ゴルゴは設立二十年の期日までにカセンガドの暗殺を依頼されるが、フィジーに乗り込んだ後も何故かこれといった行動を起こさなかった。そして、依頼人の心配をよそに期限が過ぎてしまう。
第262話 すべて人民のもの(ВСЁ НАРОДУ) / 1988年4月
スイスのプライベートバンク・ヒューラー商会にシュヴァイツェルと名乗る一人のロシア人が現れた。シュヴァイツェルは自らをニコライ二世の孫だと主張し、かつてロシア革命間際にヒューラーに預けられた旧ロマノフ王家の隠し財産の全額引き渡しを要求する。相続にはソ連政府の承認があり、アメリカの国家予算に匹敵する莫大なその遺産がソ連に渡れば、東西の富のバランスが逆転してしまう。相続人を証明するメダルはシュヴァイツェルの持ち物の他にもう一枚存在し、ヒューラーからもう一枚のメダルの所有者を捜すよう頼まれたフリーの調査員・フェイスは、CIAの協力も得て調査を行うが、やがてその調査が進むうちに、歴史の闇に埋もれた第五皇女「ドーラ」と、その息子である日系ロシア人「グレゴリー・皇士・東郷=ロマノフ」の存在を知ることになる。
第263話 悪魔の島影 / 1988年5月
ゴルゴはPAC(パン・アフリカニスト会議)から組織の裏切り者であるロニ・オバンゴの殺害依頼を受けた。ゴルゴは監獄島・ロベン島刑務所に容疑者として収監される形で潜入に成功し、オバンゴを誘き出すためにある行動に出る。
第264話 シビリアン・コントロール / 1988年6月
フランスの情報部には内務省系DST(国土保安局)と国防省系DGSE(対外治安総局)の2つがあり、互いに足の引っ張り合いをしており国益にならないと嘆くSDECE(元の情報部)の産みの親は、DGSE局長アンリ・ユステールとDST局長ジョルジュ・ドランの狙撃をゴルゴに依頼する。
第265話 スーパー・スターの共演 / 1988年7月
ブロードウェイ興行会社副会長ボブ・スティグナーは、会長テッド・コーナンの狙撃をレデル・ニコラヴィッチに依頼する。それを知ったテッドの「自分が死ぬはずの時間にボブが死ぬ」を条件のボブ狙撃依頼を受けたゴルゴは、ニコラヴィッチのトリガーに当てた指を狙撃して成功させる。
第266話 バチカン・セット / 1988年8月
★単行本未収録。司祭だったニーノは、バチカンの資金の運用を試みたが、投資先が破綻し、詰め腹を切らされバチカンを放逐される。ITに長けたニーノは、スイスのプライベートバンクのセキュリティを破り、正体不明の匿名預金口座にログインし、ここから自分の口座に20万ドルを不正に送金指示、そしてこの20万ドルを手土産にバチカンに復職することに成功する。この破られた口座は、実はゴルゴ13の秘密口座であった。銀行の首脳は抜かれた20万ドルをゴルゴ13の口座に補填し、また、ゴルゴ13も銀行の責任を追及することはしなかった。一方、銀行の経営陣は20万ドルを略奪したニーノをこのままですませるわけにはない。次期頭取候補の一人、トーマスは、ゴルゴ13と接触、ローマ法王のスピーチの最中にニーノを殺害してほしいと依頼する。そしてその当日。ゴルゴ13に先行して、別のテロリストがローマ法王に向けて発砲するが、その射線をニーノがさえぎり、結果的に法王をかばって名誉ある死に至ってしまう。これで騒動は幕引きか、と思われたが、ゴルゴ13は結局トーマスを暗殺する。トーマスが、ゴルゴ13の匿名口座に関する情報を故意に外部に漏らしていたことが、ゴルゴ13のルールに触れたためであった。
この題材は、2007年10月にリリースされた、「第475話 聖なる銀行」でも扱われている。「聖なる銀行」が収録されている別冊ゴルゴNo.175の292ページに詳細な解説がある。
第267話 殺人呪法マクンバ / 1988年9月
ブラジル空軍の戦闘機が演習中に謎の墜落事故を起こす。事故死したパイロットは世界二大黒人宗教の一つマクンバの信者の女性とトラブルを起こしており、空軍内部では「マクンバの呪いだ」との噂とともに動揺が広まっていた。事故の原因を探っていた新聞記者ナンシー・ハートは、噂に手を焼いた軍がマクンバの頭目バート・ソロモンの暗殺をゴルゴに依頼したことを知る。
第268話 ロンサム・ジョージ / 1988年10月
現在ガラパゴス諸島のピンタゾウガメは、ロンサム・ジョージただ一匹しか生息していない。そんな中、イギリス貴族のサー・ウィントン・ロスがメスのピンタ・ゾウガメを発見した者に莫大な賞金を進呈すると宣言し、ついにメスのカメが一匹捕獲された。折しもモスクワではキューバから招いた天才生物学者に西側への亡命する節があり、カメの実地での研究を口実に亡命されてはかなわないとKGBはメスのカメ殺害の刺客を送る。が、これを察知したロスの方でもそれを阻止しようとゴルゴにコンタクトをとっていた。
第269話 熱砂の彼方に / 1988年11月
FAO(国連食糧農業機構)特別委員会の調査で、サハラ砂漠南部8か国の食糧飢饉が天災によるものではなく人為的なものであることが判明した。元凶の一つがフランス系多国籍穀物メジャーによる買い占めの陰で私腹を肥やすシンジケート「ユニオン・アフリカーヌ」の存在であり、ゴルゴは組織のゴッド・ファーザーとされるジョルジュ・レ・バンの排除をFAOから依頼される。レ・バンが潜伏しているマリ共和国を訪れたゴルゴは、レ・バン一味に保安官だった父親を殺された少年とともに隠れ家のあるトゥアレグ村へと向かう。
第270話 禿鷲伝説 / 1988年12月
ペレストロイカの一環によるグラスノスチにより、KGBが過去に行ったゴルゴへの殺人依頼が表沙汰になることを恐れ、ゴルゴを始末することを計画する。元KGB特別局の暗殺者イワン・マルコビッチ・コズロフは退職して悠々自適の生活を送っていたが、KGB本部より密命を受け、ゴルゴの過去を探ることになる。コズロフはその過程で「東堂高志」という日本人の存在を知り、その経歴から「ゴルゴ=東堂高志」なのではないかという疑念を抱くようになる。一方でゴルゴは保守党の重鎮である黒井信介よりコズロフ殺害の依頼を受けていた。
第271話 14Kの謎 / 1989年2月
香港を拠点とするアジア最大の地下組織「14K」。外交官であり中国中央調査部の趙慎行は、調査を進めるにつれて、14Kと日本の大企業・江川不動産、そして「妖怪」の異名を持つ保守党の最長老、黒井信介との間に密接なつながりがあることを掴む。黒井は日中戦争の初期、中国の二大秘密結社の一つであるチンパンの首領、杜月笙の上海脱出を助けた縁から、14Kの上部組織である三合会とも深い関係を持っていたのだ。やがて黒井は香港返還に備えて不動産を処分するべく香港へ飛び、有限公司の社長・陳秀清に連絡を取る。この陳こそが14Kの首領であることを知った趙は、彼を暗殺するべくゴルゴにコンタクトを依頼する。
第272話 モスクワ・プラトーン / 1989年3月
アフガン帰還兵イワンの母アンナは、ソ連にとって不利な情報を持って西側亡命を望んでいる。KGBはこれを阻止しようとゴルゴに依頼し、「彼女の水を手に入れてくれ。5ccでいい。」というゴルゴの希望に応える。
第273話 白いサーカス / 1989年4月
オーストリアのキッツビューエル開催のアルペンスキー滑降で優勝が期待される選手レイ・ファーマン。レイの締め具を何者かがヘリコプターから狙撃するという情報を得たサービスマンのラリー・オーツは、その狙撃の阻止をゴルゴに依頼する。
第274話 北の暗殺教官 / 1989年5月
フィリピンの共産ゲリラABB(アレックス・ボンカヤオ旅団)は、バギオ市の北方約120kmの山岳地帯にある養鶏場に見せかけた射撃訓練場に、ソ連の暗殺教官イゴール・ギメルシュとソフィア・ノバコフを招いていた。国軍情報部の依頼を受け、ゴルゴはアーチェリーで仕留める。
第275話 ザ・イルカ / 1989年6月
アメリカ海軍の海洋動物研究所の所長ドクター・ドルフは、軍事用に育てたイルカを使って報酬目当てのテロを繰り返していた。海軍特殊戦略部門の委託を受けて研究していたにもかかわらず、暴走したのである。海軍はドクターの殺害を試み、要塞さながらの堅個な守りに守られている島に特殊部隊を送るが武装したイルカにはまったく歯が立たなかった。弱り果てた果てにゴルゴにドクターの殺害を依頼する。
第276話 偽りの報道番組(ドキュメンタリー) / 1989年7月
アメリカでは麻薬が蔓延し、大きな社会問題となっていた。テレビプロデューサー・サイモンは南米麻薬密輸ルート解明をテーマとしたドキュメンタリー番組を制作し、コロンビア政府に取材を申し入れる。しかしコロンビア政府関係者は麻薬王・サントスについて言葉を濁し、テレビ局に圧力をかけ、番組制作を中止に追い込んだ。サイモンは単身で乗り込むが、サントス側に捕われてしまう。一方でサントスはやらせ番組を作ることで有名なテレビプロデューサー・バターソンと結託し、ニセの引退宣言を含むドキュメンタリー番組を作ることを画策していた。CIAはサントスの逮捕を試みるがことごとく失敗したため、CIA長官自らゴルゴにサントスの殺害を依頼する。
第277話 200年の輪廻 / 1989年8月
革命200年祭を間近に控えたフランス・ナポレオン広場から、当時の女流作家・スタール夫人の日記が発見される。ルーブル美術館主席理事のベルナール・エルデューらが修復を行った結果、驚くべき記述が見つかった。ルイ十六世の死刑決議の際、彼のいとこに当たるオルレアン公が賛成にまわったのは、賛成派の工作によって大金で買収されたためだというのだ。しかし、この記述の裏付けとなるメモが記されたオルレアン公の肖像画は、第二次大戦時、ヒトラー率いるドイツ軍に回収されて以後、行方知れずになっていた。一方、側近が起こしたインサイダー取引、”ペシネー事件”によるスキャンダルに揺れていたミッテラン大統領にも、この日記に関する情報が伝わる。記述が公開されることで政治と金にまつわる政権批判が起きることを懸念した彼は、対策を講じるよう部下に厳命する。
第278話 イタリアン・コネクション / 1989年10月
新進デザイナーとして世に認められ始めていたコルドーニはイタリア社会特有の「縁故主義」により政財界に顔のきくチェザーレを後ろ盾にして世に出たものの、現在では彼との縁を切りたがっていた。チェザーレはマフィアの幹部であり、コルドーニの服に麻薬を仕込んで密売に使っていたのである。そんな中、チェザーレの部下が東京で麻薬密売の現行犯で逮捕される。極秘にチェザーレを内偵していたDEA(米合衆国麻薬取締局)局員が情報を流したためであったが、コルドーニが秘密を漏らしたと疑ったチェザーレはコルドーニを制裁する。コルドーニの死に責任を感じたDEA局員は、ゴルゴにチェザーレの暗殺と麻薬密売ルートを公のものにすることを依頼する。
第279話 レバント・トライアングル / 1989年11月
レバノン沖東地中海で多発する貨物船行方不明事件は、国際犯罪組織による保険金目当ての偽装失踪事件であることが判明した。ロイズ保険組合の引受人として多額の保険金を詐取されたランドール卿は、組織のボス・クレシスの殺害をゴルゴに依頼する。クレシスには心理学者という変わり種の愛人・マリアがおり、マリアは日本のビジネスマンに変装して邸に来たゴルゴに催眠術をかけて正体を暴こうとする。が、変装を完璧に期すために家族写真の用意はおろか、深層心理に自己催眠までかけていたゴルゴの方が役者は上だった。
第280話 黄色い害虫 / 1989年12月
台湾から世界へ流れる模造品に頭を悩ませていた米コンピューター企業。模造品のルートを調べさせていたが、ところが調査のうちに模造品売買に関与する台湾の闇組織「竹連幇」にKGBが接触していることが判明する。ソ連が自由に手に入れられない半導体を竹連幇を通じて購入していることを知ったCIAは、ゴルゴに竹連幇の頭目の暗殺を依頼する。
第281話 ロメオたちの西側 / 1990年1月
西ドイツの首都ボンでは、俗に言うハニートラップ要員、東ドイツの色仕掛け専門の諜報員「ロメオ」達が暗躍し、政府機関に勤める女性から情報を引き出す事件が続発して防諜上の深刻な問題になっていた。そしてついに、ゲンシャー外相の個人秘書の1人であるヒルダまでもが、MFS(東ドイツ国家保安省)のトップ・エージェントでもある「ロメオ」の1人ペーターに籠絡されてしまう。ゲーレン機関に在籍したこともあるヒルダの父カール・フォン・エールリッヒは、 祖国と愛娘を救うためにゴルゴにペーターの暗殺を依頼する。
第282話 プログラム・トレーダー / 1990年2月
顧客のインサイダー取引の発覚によって連座して罪を負うことになったエクセル・バートン証券。プログラマーのハミルトンは、多額の罰金を背負わされた上、会社をクビになってしまった。復讐心に燃えるハミルトンは、自身が作ったコンピューターウィルスをばらまいて世界の株式市場に途方もない大混乱を起こそうと企む。インサイダー事件の捜査に当たったSEC(米証券取引委員会)前委員長のシャークはハミルトンの企みを察知し、ゴルゴにハミルトンの暗殺を依頼する。
第283話 未来への遺産 / 1990年3月
大企業家・シドニーは癌に冒され、死期が迫っていた。シドニーは、友人のケインズに、将来の蘇生のために自身の死体を冷凍保存するように依頼し、同時に7億5千万ドルという莫大な資産をケインズに預け、将来の蘇生後に受け取ることを遺言に記す。シドニーの甥・マシューズは、ケインズの営む遺体冷凍保存ビジネスに疑問を抱き、ゴルゴにシドニーの遺体冷凍処理を阻止するよう依頼する。シドニーの遺体を運搬する小型飛行機に、ゴルゴの搭乗する戦闘機が迫る。
第284話 餓狼おどる海 / 1990年4月
1975年以降の東南アジア三国の政情不安により、南シナ海では国外脱出するボートピープルが大量に発生。直後より彼らを狙う海賊も出現し、武器を持たない難民達に襲いかかって無法の限りを尽くしていた。近年ではその凶悪さに一層拍車がかかり、事態を重く見たUNCHRはゴルゴに海賊の殲滅を依頼する。海賊退治のためにゴルゴが特別調達したのは、かつて旧日本軍で使われていた人間魚雷・「回天」だった。超小型潜水艦ともいえる「回天」に乗り込み、ゴルゴは波間に紛れて海賊達を強襲する。
第285話 ファイル消失 / 1990年5月
南米某国に新設されたカトリック系の病院。しかしこの建設に充てられた寄付金は、麻薬密輸組織のボス・ネルビとバジーレ市長が、組織の汚れたカネを洗浄するために支出したものであった。調査資料を入手したバチカンは、世間からの批判を覚悟の上で事実を公表することを決定する。これに対して麻薬組織側は、国連の公文書管理部に協力者を潜り込ませ、かつてバチカンの司教がナチスのヨーロッパ脱出に協力したことを証明する資料(ファイル)を盗み出し、組織に関する調査資料と交換するよう恫喝する。バチカンの行政主席であり、事件の中で兄・バッキス神父を殺されたドン・フェリーチ侯爵は、組織との交渉に先立ち、ゴルゴ13に接触する。
第286話 東欧の激動・六日間革命 / 1990年6月
永くルーマニアを支配し続けたチャウシェスク独裁政権に亀裂が入り始めた。大統領が自身の影武者を残して亡命し、秘密警察の将軍・ベリンデに影武者を操らせる事で体制維持を図る計画を進めている情報をつかんだ抵抗組織は、ゴルゴに影武者の暗殺を依頼する。ところが政情が急転し、ルーマニア全土にいよいよ革命の嵐が吹き始める。ゴルゴはベリンデ将軍の元に影武者が現れるはずと踏むが、その矢先に大統領夫妻が反乱軍に逮捕される。
第287話 神の領域 / 1990年7月
心臓移植手術の権威であるテキサス心臓研究所で、とある患者に手術が行われようとしていた。患者はアメリカ国籍を持ってはいるがKGBの重要なスリーパーであり、KGBは水面下で様々な根回しをしてこの手術の実現にこぎ着けさせたのだった。対立するCIAは、執刀医のマシューズに手術を故意に失敗させるよう脅迫する。マシューズは言われた通りに手術ミスで患者を死なせたものの、良心の呵責で悩み抜く。悩み果てた末に、マシューズは懺悔を聞いてもらおうと教会に足を運ぶ。
第288話 ドイツはひとつ / 1990年8月
欧州議会議員に当選したベルギー外相のグールトは、自国が抱える民族問題の解消のためにもEC統合に邁進しようと考えていた。ところが、その矢先にベルリンの壁が崩壊。ドイツの統一によりEC統合への動きが挫かれることを恐れたグールトは、西ドイツ実業界の最有力者で急進右派の雄・ベルマンの暗殺をゴルゴに依頼する。ゴルゴの腕を見込んでの依頼だったが、同時に将来EC統合の障害にも成り得る彼の排除もグールトは画策していた。
第289話 ヨルダン川西岸 / 1990年9月
ヨルダン川西岸・パレスチナ自治区。イスラム原理主義組織構成員のアーデルは、治安諜報組織シャバクのスパイであり、アーデルの裏切りにより原理主義組織幹部のイーグルを含めメンバー数名が拘束されてしまう。イーグルの口から組織の情報が漏れる事を恐れた組織は口封じのために、イーグルの殺害をゴルゴに依頼する。
第290話 6月3日の死 / 1990年10月
1990年6月3日、インドのダラムサラでチベット亡命政府の構成員が射殺された。報告者が泡を食って亡命政府の幹部ドルジェ・ギャッツォに報告するも、ギャッツォはさほど動じた色は見せなかった。それもそのはず、彼はこのことを一年前から予期していたのだった。ギャッツォは一年前の今日--1989年の6月3日、すなわち中国天安門事件の日に思いを馳せる。
第291話 人工知能AIの誤算 / 1990年11月
1990年8月、イラク軍が電撃的にクウェートに侵攻した。イラク軍の侵攻が国防総省の戦略コンピューター「AI」が弾き出した予測と異様なほど酷似していたことを訝しんだアメリカ政府は、「AI」のプログラムがイラクに渡っており今般の侵略行動がすべて「AI」によって想定されていたことを知る。図らずも二つの「AI」同士が対決することになった状況で、アメリカ側の「AI」が出した解決策は25時間以内のイラク側の「AI」の破壊であり、それを実現可能な人物としてゴルゴの名前を挙げた。しかしアメリカがゴルゴを潜入させることは、当然イラクの「AI」も想定するに違いないことであった。
第292話 顔のない逃亡者 / 1990年12月
米国の麻薬王の金庫番・ジョニーが組織の金を抱えて行方をくらました。ジョニーはすでに整形手術で顔を変えてしまい、現在は南ノルウェーに潜伏しているという。わかっていることといえば「スミス」という偽名を名乗っていることぐらいである。
第293話 日・米コメ戦争 虎の尾を踏んだ男たち / 1991年1月
日本からパプア・ニューギニアへ巨額のODAが決定するが、壮大な開発計画の裏で両国の政財界の利権の温床となり、ODAの意義からは遠くかけ離れていた。パプア・ニューギニアで伝統的な米作りを教える藤岡と浜林の2人はODAに反対し、開発大臣ベルガー及びベルガーと癒着したビジネスマンの阿部と対立する。一方でアメリカは日本がコメ市場を一向に開放しない上、発展途上国の農業に対して大規模な援助を行うという有様にもどかしくなり、全米精米業者協会理事長はゴルゴにベルガー殺害を依頼する。
第294話 マンモスの牙 / 1991年2月
経済崩壊による混乱が続くソ連。資本の獲得のため、ソ連の“北方石英貴石公団”とカナダ財界の合弁企業は、国内で発掘されるマンモスの牙と全身骨格に目を付け、これを商品として取り扱う計画を進めていた。しかし、資金不足に悩む“科学アカデミー”と、その後ろ盾となるKGBが動き出し、貴石公団の発掘作業の妨害と“獲物”の横取りを狙っていた。カナダ財界からの依頼を受けたゴルゴは、妨害計画の中心人物であるKGB・チェルネイフスキイの狙撃を行うべく、発掘隊に潜入する。
第295話 アンコールの微笑 / 1991年3月
カンボジアのアンコール・ワットでは盗掘が相次ぎ、貴重な遺跡に深刻な被害が出ていた。やがて遺跡の保護に当たっていた保護活動家達にまで被害が出始め、事態を重く見たユネスコは非常手段としてゴルゴに盗掘団のスポンサーである香港の貿易商チョウ・イースーの暗殺を依頼することを決断する。保護活動のリーダー・モーア教授は、親友の活動家が殺された怒りから自身がゴルゴへの報酬を負担すると申し出る。また窃盗団に高度な知識を持ったブレーンがついていることが窺えることから、博士は「学問の冒涜者」であるその人物も同時に暗殺するべきだとも考える。だがその盗掘団のブレーンとは、遺跡の保護に対する見解の違いから確執を抱えている彼の息子のジャレットであった。
第296話 F1サーカス / 1991年4月
1990年F1鈴鹿グランプリ。チームサワダ・フィリップスは初優勝まであと一歩まで迫っていた。しかし、親会社サワダ自動車の社長は、その優勝が白人たちの反感を買い、サワダバッシングを引き起こすことを恐れていた。そして、ゴルゴが鈴鹿に現れる。
第297話 Kデー・カウントダウン / 1991年5月
クウェート侵攻によって緊迫化するイラク情勢。事態の緊張は米国主導による多国籍軍の武力攻撃も辞さずというところまで高まっていたが、何故かフセイン大統領は強気な姿勢を崩そうとせず、挑発的な言動を改めようとしなかった。単に情勢を見誤っているのかと思いきや、CIAの調査で驚くべき事実が発覚した。フセインの奇妙な自信の裏側には、石油を分解する微生物を使って主要国の石油プラントを襲撃しようという大胆なテロ計画が存在したのだった。
第298話 情報漏洩源(ディープ・スロート) / 1991年6月
「ディープ・スロート」とは、活動先の組織において要職に就き、重要情報を漏洩させるスパイを意味する。BND(西ドイツ情報局)は、シュタージ(東ドイツ保安局)が送り込んだディープ・スロートによるものと推測される情報漏洩に悩まされていた。そんな中、ベルリンの壁が崩壊しドイツ統一が現実見をおびてくる。東ドイツでシュタージ解体論が持ち上がる状況下、KGBがシュタージのスパイの取り込みに動き出し始め、西ドイツ首相はBND内のディープ・スロートの特定と暗殺をゴルゴに依頼する。
第299話 東亜共同体 / 1991年7月
外務省局長の長倉は、日本と民主化された中国・新生ソ連とが連携してアジアに「東亜共同体」という巨大経済ブロックを作る構想を持っていた。長倉が中ソ役人との接触を始めたことを知ったCIA職員のピーターは、米国の経済的孤立を懸念して共同体構想の阻止を訴えるが、なぜか上層部は悠長な返事しかしない。業を煮やしたピーターは個人でゴルゴに長倉の抹殺を依頼し、ゴルゴは趣味のクレー射撃の事故に見せかけて長倉を殺害する。長倉の死で、「東亜共同体」構想は頓挫したかに見えた。
第300話 最後の戦場 / 1991年8月
タンザニアのシャニンガ高原で南ア航空のDC-9が墜落した。ただ一人の生存者となったゴルゴの命をアメリカ軍デルタを執拗に狙うが、ゴルゴは負傷した身でありながら特殊部隊を翻弄し続けた。一方でアメリカ政府がソ連に打診し、ソ連軍(スペツナズ)が派遣されることが決定してしまった。これにより米ソ両国の特殊部隊による共同戦線が生まれる。逃げ込んだ洞窟の暗闇の中で、東西の精鋭を翻弄し続けたゴルゴは最終的に緊急避難用の脱出ルートで無事脱出に成功する。

第301話 - 第400話

“話数 題名 / 発表年月”の順で記載。

第301話 ワイズガイへの道 / 1991年10月
ニューヨークの5大ファミリーのひとつフェリ・ファミリー。新参組織のズイップに脅かされ、ついにドンの息子のファブまでもが殺されてしまう。ズイップの背後にはユダヤ・シンジケートの影があり、フェリ・ファミリーのドン、アニェット・フェリはゴルゴと接触し、シンジケートの幹部である下院議員デビット・シンガーの暗殺を依頼する。
第302話 覚醒・クーデターの謎 / 1991年11月
1991年。ゴルバチョフ大統領の提言による新連邦条約締結を目前にして、ソ連中央政府は危険人物の排除に乗り出していた。条約が連邦構成各国の独立に繋がると反発する守旧派の重鎮・ソルコフ大佐は、ウクライナに飛ばされたことを奇貨とし、クーデターに乗り出すことを決断する。一方、大佐に連られてウクライナに来た通信兵・ニコライは、ウクライナ独立運動家達から自身が第二次大戦時の英雄の孫であることを知らされる。
第303話 円い村 / 1991年12月
イスラエルのモシャバ・ナハラル村。この円形の村の中心部には広場があり、ナチス抵抗運動で有名なベローがこの広場で演説を行う予定だった。何者かがゴルゴにベロー殺害を依頼したとの一報が入り、警察は警備態勢を強める。
第304話 シベリアの汽笛 / 1992年1月
日ソ協力によるシベリア開発事業は、北方領土問題を抱えながらも政府の合意を取り付け、一大プロジェクトとして始動しようとしていた。兆円単位の巨額資金が動く大プロジェクトに、暴力団起業家の四条統二郎をはじめとして、参加企業・官僚達もそろって浮き足立っていた。そんな中、合弁会議に参加する外務審議官の伊達はゴルゴとコンタクトをとる。ソ連側の魂胆を、伊達はめざとく見抜いていたのだった。
第305話 黄金の男(エル・ドラード) / 1992年2月
コロンビアの麻薬王として世界に名を馳せた「黄金の男」パブロ・エスコバルは、刑務所に収監された後も獄外にいる腹心の部下を使って新たな麻薬組織を作ろうと企んでいた。コロンビアからのコカインの流入に悩まされていた日本と米国は、新興組織のボスを暗殺するために連名してゴルゴに依頼しようとする。
第306話 安全地帯の亡霊 / 1992年3月
東ドイツの平凡な工員ギュンターは、情報局からよく似た面相を買われて西ドイツの連邦議員・ラインハルトに入れ替わらせられ、スパイ活動を強要された。ところが情報局とはすぐに音信不通となってしまい、西側の自由な空気を知ったギュンターはこのまま第二の人生を楽しもうと考える。それから30年、ドイツの統一協議が進み、ベルリンの壁が壊されることになった。かつて壁へ埋め込んだ本物のラインハルトの遺骸が見つかることを恐れたギュンターは、身元を辿れる虫歯の治療の跡を消すべく、遺骸が壁の中から出た直後にその歯を狙撃することをゴルゴに依頼する。
第307話 静かなる記念日 / 1992年4月
ユーゴスラビアのとある村。クロアチア人とセルビア人との勢力争いの境界にありながら不思議に平穏なこの村には、近くで紛争が起こっても何故かどんな軍隊も攻撃を仕掛けてこない。村人達が「記念日」とする13日の金曜日に村を訪れたイギリス人旅行者は、10年前の今日、チトー大統領死去直後の動乱の時期、村に現れた一人の男の話を聞くことになる。
第308話 傑作・アサルトライフル / 1992年4月
改造銃開発の鬼才・カイザー博士は、自身が開発したブルパップ式の新型アサルトライフルを世界にアピールするため、ゴルゴを倒すことでその性能を証明しようと考える。偽の依頼でアフリカの砂漠に呼び出されたゴルゴの前に現れたのは、フランスNo.1の傭兵サビーヌ兄弟だった。新式銃で武装したサビーヌ兄弟は、ゴルゴの死と共に彼の携えるM16を過去の遺物にするべく襲いかかる。一方同じ頃、ゴルゴから依頼を受けた銃職人ベリンガーは、膨大な数の中から理想のバレルを見つけ出し、ゴルゴ専用のM16A2カスタム銃を造りあげようとしていた。
このエピソードより、ゴルゴはM16をA1からA2仕様に持ち替える。
第309話 ノー・リレーション / 1992年5月
アメリカ政財界のある人物が、ケネディ元大統領暗殺に関する秘密保持に携わってきたマクガバンの殺害をゴルゴに依頼する。マクガバンの配下には暗殺者のグレタ・アントヌッティがおり、彼女も暗殺事件の秘密を知りすぎたが故にゴルゴの標的となる。グレタはマクガバンの密命を受け、サンフランシスコのホテルの一室を予約するが、そのホテルには同姓同名のグレタ・アントヌッティという人物が予約を入れていた。
第310話 最後の顧客 / 1992年6月
ゴルゴの秘密口座を管理するスイスのプライベートバンク、ハイツ銀行。頭取のアウザー・ハイツは、ゴルゴの預金記録からかつて子供時代に命を救われた人物がゴルゴによって暗殺されたことを知る。分野は違えども超一流のプロとしてゴルゴに敬意を払っていたハイツだったが、恩人を殺害された憤りを押さえることはできなかった。ハイツはゴルゴを銀行に呼び出して彼を金庫室に閉じ込める。
第311話 THE SILENT ARMY / 1992年7月
混乱が続くレバノンの治安維持を目的として創設された、「国連レバノン暫定軍」(UNIFIL)。10年前、そのUNIFILのオランダ部隊の連絡将校・ノイマンが、IDF(イスラエル国防軍)の将校によって、救出しようとした現地の子供とともに射殺された。中立的立場の平和維持軍を正規軍が攻撃することは許されないにも関わらず、何の対応もなされないままに事件はうやむやとなってしまう。そして現在、ノイマンの友人であったフィジー隊のコンウェイ曹長とネパール隊のノルプは、件の将校がダニエル大佐という人物であることを突き止め、仇を討つべくゴルゴに依頼する。
第312話 種子探索人(プラントハンター) / 1992年8月
世界中の秘境を回り、植物の種子を集める種子探索人(プラントハンター)。ここ数年来、チベットの奥地で幾人もの種子探索人達が行方不明になるという奇妙な事件が起こっていた。錯乱した末に「黒い悪魔」を見たと叫んで、すべての探索人達が崖から飛び降り自殺をしてしまうという怪事件である。「黒い悪魔」の正体の究明と殺害を依頼されたゴルゴは、チベットのカシール山へと足を運ぶ。
第313話 メディアコントロール / 1992年9月
米国による情報操作(メディアコントロール)が行われていたといわれる湾岸戦争のニュース映像。世論操作を目的として意図的に加工されたそれらの映像の影には、日本人敏腕プロデューサー・サエジマの手があった。戦争を娯楽化し、大衆心理を軽々しく操作して恥じないサエジマを見かねたかつての恩師・フジワラは、サエジマの殺害をゴルゴに依頼する。
第314話 ブラックジャイアント伝説 / 1992年10月
旧イラン王国の重臣は、かつて噂を耳にしたアメリカの重要機密を売り渡すため、腕利きの諜報員達に事実を探らせていた。東奔西走した諜報員達がつかんだその実相は、世界の石油市場をも揺るがしかねないロックフェラー財閥の隠匿する巨大な隠し油田の存在を示唆するものであった。
第315話 メデジンカルテル / 1992年11月
コロンビアの麻薬組織「メデジン・カルテル」の大幹部・エステバロが服役中の刑務所から脱獄した。自らに盾突く人間を白昼堂々殺害することも辞さないエステバロは、娑婆に帰ってきた以上再び一暴れしてやろうと息巻くが、大ボスのファビエはもっと穏便に政府との妥協を望んでいた。運び屋として組織に入り込んだゴルゴは、巧みに立ち回って組織の二大巨頭を対立させ、組織を壊滅させることに成功する。
第316話 カオスの帝国 / 1993年1月
米社会を揺るがした1992年のロス暴動は、偶発的に起こったものではなく「社会カオス理論」の権威であるUCLAの女性教授ジョゼフソンが自らの理論の証明のため、緻密な計算の上で起こしたものだった。暴動を起こす群集の心理すらもカオス理論で予測可能と考えたジョゼフソンは、群衆を誘導することでゴルゴの狙撃を阻止する実験に興味を覚え、第三者をそそのかして自らの狙撃をゴルゴに依頼し、彼に挑戦する。
第317話 黒い星 / 1993年2月
台湾の闇組織「竹連幇」のトカレフ密輸ルートが次々に襲撃される。当初は身内の裏切りかと思われたが、やがて中国共産党とも深い関係を持つライバル組織「客家幇」の陰謀であることがわかる。「客家幇」は人民解放軍の特殊部隊までをも使って挑発を繰り返し、「竹連幇」の女首領・張金栄を台湾から引きずり出そうと画策する。
第318話 バイオニック・ソルジャー / 1993年3月
ペンタゴンの特殊工作兵士ライリーは、高度な遺伝子工学技術で人工的に生み出された超人兵士である。天賦の肉体を最新の科学トレーニングで鍛えあげ、さらには薬物でドーピングまで行いながら、ライリーは自身が世界最強の存在であることを証明するため、カンボジアのジャングルでゴルゴを抹殺しようと襲いかかる。
第319話 神の眼力 / 1993年4月
米国の最新偵察衛星「KH-13」。国家写真監視センターのベルマイヤー博士は、この衛星のずば抜けた撮影能力を使って軍事機密を握り、ホワイトハウスを脅迫して大統領に衛星の全権を渡すよう要求する。さらにはゴルゴも脅迫して、超A級テロリストである彼をも従えようと企む。「神の眼」といえるKH-13とゴルゴ13の狙撃技術。二つの「13」を自らの手中に収め、ベルマイヤーは神同然の権力を得ようと欲する。
第320話 BEST BANK / 1993年5月
四菱銀行と東亜銀行という二つの大銀行の合併によって日本に誕生する超巨大銀行・「やまと銀行」。世紀の合併劇を主導したのは、大蔵官僚出身でかつては「大蔵省随一の切れ者」と評された東亜銀行の頭取・坂本。合併実現のために坂本の下で東奔西走してきた秘書室長の滝田は、どうにか記者発表までこぎつけたものの、正式な調印の前に坂本の身に間違いはないかと懸念していた。滝田の懸念は当たり、新銀行の絶大な力を危惧したアメリカが、合併の主導者である坂本を暗殺するべく刺客を日本へと送り込む。が、その謀略を事前に察知した四菱グループ総帥の志村は、合併劇の黒幕で大蔵ファミリーのドン・元日銀総裁の松下と共謀してゴルゴにコンタクトをとる。しかしその依頼は、坂本の身を守るためのものではなかった。
第321話 15-34 / 1993年6月
SSP社のプログラマーによって開発されたコンピューター・ソフト“ジーザス”。開発者本人の予想を上回るスピードで成長した“ジーザス”は自分をイエス・キリストだと思い込み、2000年前ゴルゴタの丘で自分を十字架に架けた男に復讐しようとする。FBIのデータからゴルゴを見つけ出した“ジーザス”は、気象衛星に偽装したアメリカの核攻撃衛星をハッキングして動かしゴルゴに核攻撃を目論む。しかしゴルゴはこの衛星のシステムに介入し、自爆装置を作動させた。結果的に電磁波爆弾の爆発の様相となり、激しい電磁波より“ジーザス”は消滅する。
第322話 直線と曲線の荒野 / 1993年7月
ソ連崩壊後、資本主義国風の再編が進むロシア。ユジノ兵器開発局局長で天才的な兵器開発者のアルバトフ少将は、中央政府に反発し、無許可で勝手に外国人と取引するなど独走を始める。さらには少数民族の独立運動にも武器を流し始めたため、中央政府はゴルゴにアルバトフの殺害を依頼する。しかしアルバトフは空気抵抗を極限まで減らす革命的な銃弾「AK93」を開発していた。アルバトフを襲撃に来たゴルゴの前に、AK93の装填された銃を持った元スペツナズ隊員が立ちはだかる。
第323話 モスクワの記憶 / 1993年8月
64万人が強制連行され、うち7万人が犠牲になったといわれる旧ソ連による日本兵のシベリア抑留事件。日本側がソ連の強引な要請に従った影には、かつての関東軍副参謀長であった政財界のフィクサー・二階堂洋介の存在があった。ソ連の崩壊によりKGBの機密資料が明るみに出たことで、かつて二階堂の部下であった金子は二階堂の同胞への裏切り行為を証明しようとする。
第324話 バスク・空白の依頼 / 1993年10月
スペイン・バスク州。ゴルゴの滞在するホテルが何者かによって爆弾テロに遭う。かろうじて逃げたゴルゴだったが、爆発の際に負ったケガが元で自動車事故を起こし、そのショックで記憶を失なってしまう。通りがかりの女性に助けられたゴルゴは、彼女とともに記憶を取り戻す手がかりを探そうとする。自分の名前すら思い出せない有様だったが、女性が口にした「ETA(バスク祖国と自由)」という言葉が、何故かゴルゴの脳裏に強く響くのだった。
第325話 呉越同舟 / 1993年11月
長らく対立関係にあった台湾と大陸中国は、およそ半世紀ぶりの対話を持つことで互いに融和を図ろうとしていた。が、台湾の「守旧派」の重鎮・許大秀は、あくまで国民党政権の正当性を主張し、中国との融和に反発する。台湾と中国は共同でゴルゴにコンタクトをとり、現在は東京に住む許大秀の暗殺を依頼する。
第326話 北緯九十度のハッティ / 1993年11月
ロシアの実験原潜がインドに売却され、「ハッティ」という船名がつけられてインドに引き渡されることが決まった。インドには古代ヒッタイト族の末裔を称する者もおり、「ハッティ」という名前に原潜にかける彼らの意気込みを見て取った中国の最高指導者は、彼らの野心をくじくためにも原潜がインドに辿り着く前に破壊することを命ずる。原潜はインドまでの回航途中、北極海で遭難した調査隊の救助をしなければならず、その調査隊にテロリストが紛れていることを懸念したインドはゴルゴに依頼し、彼をインド海軍の武官として潜水艦に乗り込ませる。
第327話 円卓の騎士団 / 1993年12月
英国に忠誠を誓う愛国貴族達の組織、その名も「円卓の騎士団」。永く祖国に尽くしてきた自分たちの階級を冷遇する近年の政府の政策に憤慨した彼らは、彼らがそれらの政策の黒幕と考える「鉄の女」マーガレット・サッチャーの暗殺を企てる。一方、「円卓の騎士団」が「G」という暗殺者を雇ったことを知ったスコットランドヤードの刑事・ケンドリックは、「G」とはゴルゴ13のことに違いないと発憤する。ケンドリックには、かつてゴルゴに煮え湯を飲まされた過去があった。
第328話 オフサイド・トラップ BEST BANK II / 1994年1月
320話の続編。バブル崩壊の精算に追われ、疲弊する日本経済。円安が進んでもよい経済状勢だったが、逆に一ドルが百円割れを目前にする前代未聞の円高に苛まれていた。この異常な円高は米国が為替相場を操作して作り上げたものであり、米国はこれを政治の道具にして大蔵ファミリーのドン・松下に経済包括協議における大幅な譲歩を迫り、松下は四菱グループの志村と共謀して葬った坂本の才覚を惜しみ慨嘆する。そのような中、坂本の死後やまと銀行の合併作業を成し終えた滝田の前に、かつて坂本の下で働いていた大蔵官僚の山崎という男が現れる。坂本は今日のような状況をかねてから予期しており、生前にその打開のための秘策を山崎に託していたのだった。
第329話 守宮の盗聴 / 1994年3月
腕利きの盗聴屋・ボイスは企業の乗っ取り屋から請け負った盗聴の最中に、盗聴先の会社社長がゴルゴを雇ったことを知る。超一流の盗聴のプロのプライドをかけて超一流の殺し屋に挑戦しようとするボイスは、ゴルゴの狙撃の瞬間の音をあらゆる角度から録音し、犯罪の証拠をつかむことに成功する。ボイスは音源をFBIに渡そうとするが、盗聴に気づいたゴルゴはボイスと張り合っていた盗聴屋に協力を頼み、ボイスの潜伏先を探すべく徹底的な捜索を開始する。
第330話 白い皇軍 / 1994年4月
函館と東京で相次いで殺害された二人の老人には、大戦時に関東軍の参謀を勤めていたという共通した過去があった。警視庁公安部の刑事・田島は、事件の調査を進めるうちに関東軍に所属していた白系ロシア人による外人部隊「白露部隊」の存在と、終戦直前のソ連軍の侵攻を手引きした部隊の教官ナゴーレンの裏切りを知る。殺された二人はナゴーレンのかつての協力者であり、二人の老人の死は50年という長い歳月を超えた何者かによる復讐であった。一方、東京都内でゴルゴの目撃情報が入り、田島はゴルゴがこの件に絡んでいるのではないかと推測する。
第331話 13カウント / 1994年5月
ボクシングの世界ウェルター級チャンピオン、アルベルト・メンデス。メキシコ出身の彼は、少年時代、弟のホセとともにアメリカへ密出国しようとする際、途中で捕まった彼を置き去りにしてしまったという苦い過去を持っていた。タイトルマッチが近付いたある日、ランニングをしていた彼は同じくランニング中の男に突然攻撃され、左目に異常があることを指摘される。果たして、網膜に小さな裂孔が見つかり、病院で応急処置を施す。その後、EZLN(サパティスタ民族解放軍)のメンバーとなっていたホセが、政府軍との戦闘で死亡したことを知ったメンデスは、王座防衛戦に臨む直前に、“その道”の世界チャンピオンと呼ばれる男にある依頼を行う。そのチャンピオンこそ、かつてランニング中のメンデスを襲った男――ゴルゴ13だった。
第332話 ジャパン・オリジナル / 1994年6月
日米共同開発による新型航空機「MX2」の開発が進められていたが、米国ANNEX社の社長ブラッドはMX2のパテント(特許)が先発明主義によって米国に帰属するように働きかけていた。しかし、MX2に使用された技術は日本人の寺谷によって発表された論文に根拠があり、この「先発明主義」に則ればMX2のパテントはアメリカではなく日本に帰属することが明らかであった。そこで、ブラッドは寺谷本人の命を含めた一切の証拠物品を闇に葬り去った。寺谷の盟友であり、極東重工社長の中尾はブラッドの殺害とMX2の破壊をゴルゴに依頼する。
第333話 力は我々にあり / 1994年7月
340年にも渡って続いたアパルトヘイト政策が終わり、白人支配に幕が下ろされた南アフリカ共和国。しかし人種の融和に反発する勢力は白人のみならず黒人側にも存在し、大統領マンデラから過激派武装組織倒滅の依頼を受けたゴルゴは見事に彼らを殲滅する。が、武装組織の装備は驚くほど潤沢なものであり、ゴルゴは組織の背後に政府関係者の影を見る。
自身を拷問する警官を挑発するためにゴルゴが小さく笑うシーンが登場。ゴルゴが笑うのは第8話以来実に25年ぶり。
第334話 五十年の孤独 / 1994年8月
大戦時に10万人ものユダヤ人を救ったスウェーデンの外交官ラウル・ワレンバーグ。終戦直後、スパイ容疑でソ連に連行されて以来消息を絶った彼だったが、50年が過ぎた現在でも北ウラル地方の収容所で生存していることが判明した。かつてワレンバーグと行動を共にしたユダヤ人のゴールドシュミットは、戦後事業を起こして成功した財産を使ってワレンバーグの救出作戦を計画する。そして、その作戦の要となるのはゴルゴの存在だった。
第335話 天使と悪魔の“腕” / 1994年10月
音楽CDの表面印刷の凸凹をも読み取ることが可能な超人的に敏感な指先を使い、患者の神経や筋肉の状態を診断できる”天使の腕”を持つ整形外科医、ヤン・リー・カッター。彼は、移民としてアメリカに渡ってきた直後に孤児となった自分を拾い、医者として一人前になるまでの援助をしてくれたサミエル・ビューリー・ワサンを、オヤジと呼んで敬愛していた。ある夜、その彼の前に、右腕に大怪我を負った男が現れる。神経を損傷し物を握れないほどの重傷であったが、ヤンによる施術の効果で、順調に回復していく。しかし、後にヤンは、デューク・トウゴウと名乗ったその男が、恩人であるワサンを殺害するために雇われた狙撃屋であることを知る。
第336話 マークのリクエスト / 1994年11月
ニューオーリンズで無数の白骨死体が発見される。捜査を進めるうちに行き着いたのは、現在アトランタ州立刑務所に服役中の終身犯マーカス・モンゴメリーの存在だった。実の母親を凄惨なやり方で殺したとは思えないほどマークの服役生活はおとなしく模範的なものだったが、ただ1点のみ奇妙な点があった。友人の1人もいないこの囚人の元に何故か世界中から手紙が寄せられ、その直後に必ず看守にラジオの宗教番組にリクエストを出すのをせがむのである。
第337話 殺人マニュアル / 1994年12月
インドでゴルゴの殺害方法を真似た連続狙撃事件が起きた。その真相をイブニング・ニューデリー新聞社のジョージの協力で探ったゴルゴは、臓器移植倶楽部の存在とOSP協会理事長リヴェッツの息子フランキーが犯人であることを突き止め、射殺する。
第338話 冷血キャサリン / 1995年1月
IRAで「冷血キャサリン」と称された女テロリスト・キャサリンは、イギリス政府との停戦合意後も抗戦継続を主張する同僚パメラを快く思っていない。キャサリンはかつて狙撃の同行者として行動を共にしたゴルゴにコンタクトを取る。
第339話 スティンガー / 1995年1月
国連の査察団が乗る飛行機が、ザイールのジャングル上空でハイジャックされた。そのハイジャックは普通とは違い、スティンガーを構える伏兵達がジャングルに潜み、上空を飛ぶ飛行機に旋回を強要し続けるという変則的な方法をとっていた。ハイジャックの首謀者は、悪辣な武器商人のサフード。ハイジャック事件を通してスティンガーの威力を世界に見せつけることで、自身が大量に保有するスティンガーを高値で売り捌こうという算段であった。米政府はたまたま南アにいたゴルゴに連絡を取り、サフードとその一味の掃討を依頼する。
第340話 死臭の聖者 / 1995年2月
ソビエト崩壊後、いくつものロシアマフィアがニューヨークへ上陸を果たそうとしたがいずれも失敗、野望がかなうことはなかった。しかし、「ミハイル」と呼ばれる男が率いる組織のみは違った。元ロシア正教の異端派の司祭であったというミハイルは、その超常的な力をもって狂信的な信者を大量に従え、ニューヨークのスラムにある廃ビルに居座っていた。愛する同僚の女性刑事を潜入捜査で失ったニューヨーク市警のトミーは、ゴルゴにミハイルの暗殺を依頼する。
第341話 遠い隣人 / 1995年3月
大手マイクロチップ会社の技術部開発室長を務め、平穏な暮らしを送る壮年サラリーマン、有沢。ある日、その彼の自宅に亡き父親の友人の息子を自称する、須山春雄と名乗る青年が来訪する。知的で礼儀正しく端正な顔立ちの須山に、有沢の妻も娘も好感を抱いていくが、その正体は、亡き父の過去をネタに、有沢に機密漏洩を行うよう恫喝する冷徹な脅迫者であった。苦悩する有沢に対して、須山は彼の家族の身の危険をもちらつかせ、さらに恐喝をエスカレートさせていく。
第342話 偽空座標X / 1995年4月
CIAからの依頼を受けるために米軍の極秘空域を飛んでいたゴルゴは、謎の米軍機から攻撃を受ける。すぐに大統領命令によって緊急調査が行われ、米国戦略研究統括局の若手研究グループの存在が浮かび上がった。次期主力戦闘機「F-25」搭載の人工知能を研究していた彼らは、ゴルゴの超人的な判断能力を人工知能にフィードバックするべく飛行データを採集していたのだ。完成したF-25の初演習の最中、報復と人工知能の抹消のためゴルゴが戦闘機を駆ってF-25の前に現れる。しかしゴルゴが乗るのはF-25には及びもつかない世代遅れのF-15であった。
第343話 病原体・レベル4 / 1995年5月
アメリカに向かう客船の中でエボラ出血熱が発生。治療薬の存在しない「レベル4」扱いのエボラウィルスは致死率90%以上、わずか2週間で人間を死に至らしめる地上最悪のウィルスである。本国へのウィルス上陸を危惧したアメリカ陸軍は、乗客に犠牲になってもらうという苦渋の決断をする。ところが重要人物の有無を確認している最中、名簿の中から「デューク・トウゴウ」の名前を見つけて驚愕する。
第344話 砂上の帝国 / 1995年6月
元KGB大佐グラチョフはロシアマフィアのボスとなり、元ソビエト科学アカデミーきっての天才スミルノフ博士と組んで世界的マネーロンダリングを画策し、世界金融取引を混乱させる。グラチョフに息子を殺されたスイスの個人銀行頭取ランベルトの依頼を受けたゴルゴは、キプロスでグラチョフとスミルノフを射殺する。
第345話 “E”工作 / 1995年8月
日米開戦直後にアメリカ本土での諜報活動を行うべく設置された秘密組織、“E工作”。その最大の功績は、アメリカの原爆製造計画“マンハッタン計画”の全貌を掴んでいたことだった。組織の中心人物であったミゲル・オストスとタダシ・ヘンダーソンは、その内容を“E情報”としてまとめ、戦争を終結させるべく日本に送り続けた。しかし、“E情報”は最後まで無視され続け、さらに敵襲により組織は壊滅、タダシも消息を絶ってしまう。それから50年後、余生を送っていたミゲルのもとに、“E情報”を握り潰した張本人が生きているという情報が届く。彼はその真相を暴き、友人であったタダシの敵を討つべく動き出す。一方、CIAではかつての対外情報活動室長フランク・シンプソンの残した指令を発動させる。それは、ミゲルが不審な動きを見せた場合、ゴルゴに契約の決行を依頼するというものだった。
第346話 国王ゴードインの依頼 / 1995年9月
民族問題から「連邦王国」という世界でも類例のない政体に移行したヨーロッパの某王国。王室の正史の作成を頼まれた伝記作家のエッシャーは、崩御した前王ゴードイン一世の日常を調べてゆくうちに奇妙な空白の一日があることに気がつく。そこには、かつて過熱していた王国分割運動に対してのゴードインの苦悩と、彼がカトリックの信仰を破って雇ったとある暗殺者の影が織り込まれていた。
第347話 遺作 / 1995年10月
エレーナ・シュトライヒャーは、ナチの党大会やベルリンオリンピックを撮影した、著名な女流カメラマンであったが、今は悠々自適の暮らしをしていた。彼女には、ナチやヒトラー以上に撮影意欲を燃やせる被写体がなかったのである。そんなエレーナが、ゴルゴ13の存在を知り、手段を選ばず、ゴルゴ13をフィルムにおさめたい、と考え始める。そして彼女は、自分の眼球を抜き、空いた眼窩に小型の撮影カメラを埋め込み、サングラスをかけ、ゴルゴ13に自ら接触し撮影を始める。
第348話 鄧小平のXデー / 1995年11月
12億の民を束ねてきた最高指導者・鄧小平が死の床についたことによって、中国政界では後継者争いの暗闘が始まった。その渦中に、人体科学研究所が長年にわたって研究している「国家お墨付きの超能力者」・楊銘飛という怪人物が現れる。楊はその不思議な能力を持って帝政ロシア末期の怪僧ラスプーチンさながらに暗躍し、大胆不敵にも自らが鄧小平の後釜に座ろうと画策する。天安門事件で失脚し、現在は自宅軟禁の身の劉白連はそんな楊の心胆を見抜き、彼の野望を阻止するべくゴルゴに接触を図ろうとする。
第349話 北海の煙突船 / 1995年12月
アッシュは、化学産業の廃液を処理する船を開発し、この業界から廃液を引き取っては公海上に移動してから処理していた。ただ、この船では、特段に化学的な無害化処理はせず、単に超高温で燃焼しただけで、その残渣物を大気中に放出していた。このことを依頼者の化学会社は薄々気がついていたが、いわば便利屋として、アッシュに廃液処理を任せ続けていた。ところがこのことを、環境保護団体がかぎつける。
第350話 沖縄シンドローム / 1996年1月
米兵による少女暴行事件で揺れる沖縄。政府の規制に縛られ香港やシンガポールのような繁栄もできない沖縄では、県民の不満は沸点まで達する勢いであった。かつての琉球王族の血を引く航空自衛隊の伊波一等空尉は、そのカリスマ性で同志達を集め、財界の巨人である菱井グループ会長・松下とも共謀してとある計画を練り上げた。それは決して妄想でも夢物語でもない、緻密な計算の下に策定された沖縄独立のクーデター計画であった。
第351話 震えるタクト / 1996年2月
過去にCIAのスパイであったことを暴露され、音楽家生命を絶たれた指揮者・オッペンハイマー。秘密を暴いた仇敵の指揮者・ザウパーの暗殺をゴルゴに依頼するが、ザウパーには常人離れした鋭敏な聴覚があった。
第352話 13人目の陪審員 / 1996年3月
アメリカ南部ニューオーリンズで白人男性レイモンド・キングリッチが秘書のアフリカ系アメリカ人の女性を強姦した挙げ句に殺害してしまう。父親は“スコーピオン”と呼ばれる弁護士に依頼し、息子を無罪放免にして貰った後、教会で被害者女性のために祈りを捧げるという見え見えのパフォーマンスを行う。その時、被害者遺族の依頼を請け負ったゴルゴの銃弾がレイモンドを裁いたのだった。「マークのリクエスト」で新人研修の際、指導員であったウイリアム・ワトソンがゴルゴとマーク(マーカス・モンゴメリー)の関係に余計な手出しをして殺されたことを記憶に留める当時の新人、FBIニューオーリンズ支局の心理捜査官テッド・キャメロンが再登場し、ゴルゴを目撃したFBI捜査官に興味を持ちすぎないよう忠告した。
第353話 情報遊戯 / 1996年4月
エリート養成機関・NEI(デンマーク国立経済学院)の情報通信科助手・ギオルは、NEI出身者による世界経済の掌握とそれに伴う民族・宗教対立の抑止を実現するための最小限の“武力”として、ゴルゴ13の存在に目をつける。彼は同科の学生チームを率い、専門とする”情報通信網”を武器にゴルゴの仕事を次々に妨害した上で、連絡員を介してパートナーとして手を組むよう恫喝まがいの勧誘を行う。これを一蹴したゴルゴは更なる包囲網をくぐり抜け、香港へと脱出。世界的なネットワークを持つ客家人の中でも最大の組織とされる陳門会の司令塔・陳勝輝と接触し、彼らの情報力を駆使して反撃の機会を伺う。
第354話 白龍昇り立つ / 1996年5月
チベット亡命政府は、中国チベット自治区に住む少年ラモンをパンチェン・ラマの新たな転生者と認定した。が、中国政府はこれを了承せず、強引に別の子供をパンチェン・ラマを選んだ。ラモンの身を案じたダライ・ラマ14世はゴルゴにコンタクトをとり、パンチェン・ラマの転生を祝う転生祭で騒ぎを起こすことを依頼し、さらには騒ぎに乗じて逃亡するラモンのチョモランマ越えを助けることを願う。
第355話 ラストジハード 最後の聖戦 / 1996年7月
ソ連崩壊を機にロシアからの分離独立を図り、以後長らく紛争状態が続くチェチェン共和国。その中で、ゴルゴは独立派のリーダーの一人であるマクダエフ・レオニードからの接触を受ける。彼の弟・ヴィターリは、チェチェンマフィアのボスとして武器の横流しや密輸などで莫大な富を築いていた。しかし彼は、二年前から分離独立派への連絡や援助を断ち切り、その資金で購入したタンカーを、海上の工場施設へと改造していた。弟がチェチェン民族の誇りを失い、醜い拝金主義者になり下がったと確信したマクダエフは、彼に制裁を加えるようゴルゴに依頼する。その頃、リトアニア共和国・クライペダにいたヴィターリは、求めていた最高級の凹版印刷機が海上の工場に届いたことを聞く。彼らが完成させようとしていたもの、それは限りなく真券に近い日本の1万円札の偽札であり、偽の万札をロシア中にばらまくことで、日本円の信用と価値を下落させる狙いがあった。
第356話 臆病者に死を / 1996年8月
ニューヨークで連続爆弾事件が発生。警察を嘲弄する犯人は、新たなターゲットとしてこけら落としのパーティが開かれている超高層ビルを指定し、爆弾の解除にかつて爆発物処理のエキスパートとして名を馳せたスティーブ・マッケイを指名する。加えて犯人は、狙撃手を一人用意するようにと警察に言い渡す。政財界の要人も出席するパーティが開かれているビルでの失敗は許されず、警察は狙撃手の任をゴルゴに依頼する。
第357話 世紀末ハリウッド / 1996年9月
香港返還後に中国政府によって自由な映画制作を制限されることを危惧した香港の人気映画スター・リーは、この機会を契機としてハリウッド映画界に本格的に進出しようと考える。だがこれを快く思わない米映画産業界は、世界戦略の一環として米国文化の寡占化を望む政府上層部と結託し、リーの抹殺を企てる。リーのマネージャーであるロイは、ゴルゴに彼の身辺警護と同時にその命を狙う者の排除を依頼する。
第358話 偽りの星条旗 / 1996年10月
間近に控えた米国の大統領選挙は、現職大統領・マッケンジーの再選が有力視されていた。ところが、ボスニアで米兵の拘束事件が発生し、対立候補のオニールはボスニア駐留を積極的に推し進めたマッケンジーを激しく非難する。兵士にもしものことがあれば大統領選への悪影響は必至でありマッケンジーは救出作戦実施を決断するが、マッケンジーの懸念は策士と名高いオニールの補佐役・メイソンによる妨害だった。そして現地に乗り込んだ特殊部隊の中にはゴルゴの姿があった。
第359話 贋作工房 / 1996年11月
天才贋作者ネッセルは、自らを美術界から追放した科学鑑定の権威・クラネット夫妻に復讐するため、巧妙なキリストの聖遺物の贋作を制作していたが、その影響力を恐れたバチカンがゴルゴに依頼し、ネッセルはゴルゴの狙撃で再起不能にされる。ほどなく死んだ師の意志を継いだ弟子のロゼッタは、5年の後に元来の専門である高等数学の理論をも注ぎ込んで驚天動地の贋作を完成させる。聖遺物の力を持ってバチカンの体制をひっくり返そうと企む若い司祭とも結託し、ロゼッタは大英博物館の贋作展に聖遺物を流出させ、クラネット夫妻とバチカン、そしてゴルゴに戦いを挑む。
第360話 間違われた男 / 1996年12月
トニー・トウゴウ。単なるセールスマンでしかないこの男は、よく似た名前と容姿から、あろうことか超一流の殺し屋デューク・トウゴウに間違われてしまった。間違いに気づいた時はすでに遅く、自分の顧客だと思いこんでいたギャングから麻薬組織のボスの狙撃を依頼されてしまう。逃げだそうにもギャングは「狙撃を見届けたい」と言ってぴったりくっついて離れようとしない。
第361話 オーバー・ザ・スカイ / 1997年1月
メディア王・ワールドロップのグループの子会社が、日本の地上波テレビ局最大手である東洋テレビの株を大量取得した。外国人が一定数の放送局株を大量に保有することは電波法や放送法に抵触するが、日本国内の子会社が保有する場合はこれらに抵触しないため、郵政省は株式の購入を認めるが、若手官僚の前橋はワールドロップによるメディア情報の独占を危惧していた。放送のあり方について理想を持つ前橋には、相通ずる信念を持つリンダという恋人がいた。が、前橋はある日ワールドロップに呼び出され、リンダは彼の実の娘であることを知らされる。日本への本格進出を始めたワールドロップは娘のリンダにそのための子会社を任せようと考えており、娘のリンダに日本国籍を取得させるため、前橋にリンダとの結婚を勧める。一方、メディアを乗っ取る姿勢を露骨にしたワールドロップに危機を募らせた東洋テレビの社長は懇意の郵政族議員に相談をするが、相談を持ちかけられた議員の解答はゴルゴにコンタクトをとることであった。
第362話 ミッション・イン・ヘル / 1997年2月
タジキスタンの共産党政府を打倒し、イスラム政権の樹立と同国から産出するウランを利用した核兵器の保有を目論む、イラン軍所属・モハメディ大佐。彼は、廃坑となっていた地下300mのセイエド炭鉱跡地を軍事基地へと改造。複雑に入り組み、さらに絶えず落盤が発生する坑道の奥に減圧施設を建設し、高地トレーニングと同等の低気圧条件下で兵士たちを鍛え上げ、タジキスタンにゲリラ戦を仕掛ける計画を進めていた。天然ガスのパイプライン敷設のために地域の安定を望む日本の菱井商事の依頼を受けたゴルゴは、地質調査を専門とする技師・坂本の協力の元、基地へと潜入。モハメディ大佐が「私の“庭(フィールド)”」と呼ぶ、迷路と化した坑道内で、戦闘を開始する。
第363話 リスキー・ビジネス / 1997年4月
EUのロケット「アリアン」が打ち上げ直後に原因不明のトラブルに見舞われる。ロケットは大爆発を起こして打ち上げは失敗となり、保険を請け負っていたロイズ保険組合の引受人は多大な損害を被り自殺してしまう。引受人の友人はゴルゴにコンタクトをとり、復讐のために打ち上げに立ち会ったタイの衛星ビジネスブローカー・ポンピッチを狙撃してほしいと依頼する。ポンピッチは「アリアン」の打ち上げに立ち会った際、「儀式」と称して打ち上げ直前にロケットに直接手を触れて祈るという不可解な行動をとっていたのだった。
第364話 アム・シャラーの砲身 / 1997年5月
イラクに輸送された謎の巨大鋼管が、イラクが建設中のアム・シャラーダムの側面に秘匿されているという報告がもたらされた。それがイラクからワシントンDCに直接砲撃を加えられる超巨大砲であることが明らかになり、事態を重く見たペンタゴンはゴルゴに超巨大砲の破壊工作を依頼する。ARPA(米国高等研究計画局)の調査により、超巨大砲の設計者である弾道学の世界的権威・バルト博士は、数年前に謎の死を遂げていた。日本人軍事評論家・村井泉が博士の思想を継ぎ、イラクに超巨大砲による攻撃プランを持ち込んでいたことが明らかになる。アメリカとイラク両国間の緊張は限界に達しており、イラクがワシントンを砲撃するまで残された時間は僅かであった。
第365話 人質HOSTAGE / 1997年6月
石油掘削会社ジェイソン・モスクワ石油本社が武装グループに占拠され、30人が人質になる。その中にゴルゴもいた。その首謀者は、クレムリンを追放され、クーデターを目論むアンドレイ将軍であった。クーデター阻止を依頼されていたゴルゴは、一人で計画を潰してしまう。
第366話 返還前夜 / 1997年7月
台湾の実業家と中国公安警察の長官という風変わりな組み合わせの依頼人達がゴルゴに接触してきた。中国の最高実力者が世を去ったことで共産党の保守家の中に香港返還に先だって混乱を起こそうとする節があり、台湾にとっても大陸中国にとっても好ましくない兆候が見られるという。何より両体制の中でのし上がろうとする彼らにとって甚だ不都合なことであり、二人は不安分子の抹殺をゴルゴに依頼する。ゴルゴは見事に依頼を成し遂げ、満足した依頼人達は栄達に思いを馳せる。が、彼らが踏み台としてしか見ていなかった両体制の指導者達は、決して物言わぬ仏像などではなかった。
第367話 ゼロ・エミッション 排ガスゼロ / 1997年9月
排ガスを出すことなく海水から簡単に燃料を生成できる水素エンジンは、環境問題・エネルギー問題を一挙に解決させる夢のエンジンである。かつて日本の自動車業界の雄・サワダ自動車で働いていた日本人技術者は世界で初めてこれの実用化に成功するが、日本の自動車業界の体質に疑問を持ち、フランスの自動車メーカーにこの技術を売り込もうとする。水素自動車が世界を席巻することを危惧したサワダ自動車のサワダ社長は、最終手段としてゴルゴにコンタクトをとる。が、意外にもゴルゴはサワダの依頼を断り、サワダは自身と同じく水素自動車の実用化を阻もうとする者の存在を知る。
第368話 略奪の森林 / 1997年10月
凄惨な内戦が続くカンボジアで、銘木ビジネスルートの開拓を狙う木材輸入商社・村上商事が派遣員の只見を送り込んだ。只見は行方不明になってしまうが、実は莫大な利権を独占しようと画策していたのである。兄がゲリラに殺害されたと思った妹にゲリラ側のビジネス責任者を依頼されたゴルゴは、学者としてカンボジアの森林奥地に潜入するが、ゲリラに捕縛される。また村越商事の社長は数名の社員を引き連れ、ゲリラと金銭交渉しようと現地に乗り込んでいたが、ゴルゴと同じく捕縛されてしまう。捕縛された彼らの目の前に行方不明になっていた只見が現れる。
第369話 イングリッシュ・ローズ / 1997年11月
中東経済圏に大きな影響力を持つエジプトの大富豪ダリル・アルムンド。英国政府はかねてよりダリルの存在を警戒していたが、そこへ息子のナディと元皇太子妃との交際が明らかになる。元皇太子妃との関係の進展によってアルムンド一族の英国への浸透を恐れたMI6は、ナディの暗殺をゴルゴに依頼する。カップルがバカンスで訪れた夜のパリ。ゴルゴは騒々しいパパラッチ達のバイクに混じってナディの車を追いかける。が、そのパパラッチの群れの中には、英国の貴族達より元王妃暗殺を請け負った別の暗殺者も混じっていた。
第370話 血まみれの刑務所 / 1997年12月
ヒスパニック系犯罪組織“R”はその残虐性から恐れられていたものの、ボスの正体は一切が不明のままであり、謎のままであった。マフィアからカリフォルニア州立モハーベ刑務所の中にいる“R”のボスを始末してほしいという依頼を受けたゴルゴは、モハーベ刑務所に潜入し、身分を隠して潜入していたFBI捜査官のジョージと共にボスの正体を探す。モハーベ刑務所は要塞のように厳重な警備網が張られていたが、その実態は警察と“R”の癒着により“R”に支配されていたのである。
第371話 アンダーグラウンド オーバー・ザ・スカイ2 / 1998年1月
361話「オーバー・ザ・スカイ」の続編。再来日したワールドロップは東洋テレビの株式売却を発表し、新たなる戦略を思案する。リンダはゴルゴと郵政族議員がコンタクトしている場面を撮影しており、これを元に前橋の敵討ちを計画を進めていた。一方でワールドロップの世界制覇計画を阻もうとする中国のリ・セイシンの一派がリンダを暗殺すべく、密かに刺客を日本へ送り込んでいた。ワールドロップは娘の命を狙う暗殺者が送り込まれた事を知り、刺客を抹殺するという形でゴルゴに依頼を行う。リンダがゴルゴと議員の密会している映像を放送しようとした瞬間、リンダを射殺しようとした刺客の胸をゴルゴの弾丸が射抜き、さらにゴルゴは機器を狙撃し、映像テープの消去を完遂する。
第372話 スフィンクスの微笑(ほほえみ) / 1998年2月
エジプト・ルクソール近郊にある小さな村、ズール村。カイロ大学で考古学を専攻するルシアは、ギザで発掘作業に従事するついでに久しぶりに故郷の村に帰ってきた。が、その発掘現場が夜間に荒らされ、ひょんなことから村が先祖代々盗掘を生業にしてきたことを知って衝撃を受ける。現場からは遺跡のみならず発掘機材まで盗まれていたが、村長である父を問い詰めると発掘機材にまでは手を出さなかったと答えた。どうやら、父たちの後に別の人間たちが来て現場を荒らしたようだった。一方、ルシアの知らないところで村人とのトラブルに見舞われたゴルゴは、銃創を負わされた上に砂漠に放り出されてしまう。
第373話 最終暗号 / 1998年4月
米国NSAが世界中の通信を傍受している現状を危惧していた天才数学者佐久シゲルは、誰にでも作れて第三者の解読は不可能な最終暗号の開発を進めていた。NSAに仕事を妨害されていたゴルゴは佐久に協力を申し出る。
第374話 シャッター / 1998年5月
新聞社につとめるジョージはアマチュアカメラマンで、休みを取っては撮影旅行に出かけていた。その年の暮れ、12月31日には、コロラド州のアスペンのスキー場で写真を撮っていた。ところが、そのあと、アマチュアカメラマンが連続して殺され始める。彼らも同じときに同じスキー場に出向いて、シャッターを切っていた。殺人犯は殺人後に室内を物色した後があるため、彼らが撮影したネガを回収しようとした、と思われた。犯人の狙いは自分かもしれない、と考えたジョージはその日撮影したネガを仔細に分析する。すると、その中の一枚に、東洋人がライフルを構えているものがあった。そしてその日時には、元司法長官の息子が、スキー中に樹木に激突して死亡する、という事故が発生していた。
第375話 S・F・Z(スフォルツァンド) / 1998年6月
ドイツの音響メーカーの会長・ブラウラーは、ロシア人の友人からかつてソ連軍が終戦間際にドイツから接収したオーディオテープを買い取った。これまで未発見だったフルトヴェングラーの指揮であるというだけでなく、録音された日付がブラウラーの父が死んだ日と同じだったからである。父を偲んで何度もテープを聞き返していたブラウラーだったが、そのうちある異変に気がついた。フルトヴェングラーの指揮が絶頂に達したその瞬間、会場にかすかに銃声が響いたのだった。
第376話 ティモールの蹉跌 / 1998年7月
ノーベル平和賞受賞が決定した司教バロは、インドネシア第2の華人財閥の政商アンドリュー・サハムの野望阻止をゴルゴに依頼する。その野望がティモール社のティカンペク工場が単なる自動車工場ではなく、武器生産工場であることを確認したゴルゴは、工場で生産された武器を用いて工場を破壊する。
第377話 死刑執行0:01AM / 1998年9月
冷戦当時、CIAの対ソ情報工作課長でありながら謝礼目当てでKGBに秘密情報を漏洩していたヘンリー・ミッチェルは、米国の情報工作活動を甚だしく潰乱させた廉から死刑を宣告されていた。ところがその死刑執行を目前にして、死刑廃止の世論の高まりを受けて執行が見送られるという噂が流れる。噂を耳にした元KGBの亡命工作員ユーリ・カレコフは、CIAの監視を振り切って失踪する。カレコフには、ミッチェルの密告が原因で兄を死に追いやられた過去があった。かつてカレコフの亡命を手引きしたCIA職員スチュワートはカレコフの捜索を命じられる。
第378話 300万通の絵葉書 / 1998年10月
ゴルゴへのコンタクトを示す連絡ルートの一つに異変が起こった。慈善行為を装って空き家に届けられる絵葉書を利用するルートに、突如として大量に葉書が押し寄せるようになったのである。日を追うごとに届く枚数は増えていき、連絡員が回収した葉書はとうとう300万通を越えた。単に噂が自然に広まっただけなのか、それとも何者かが悪意をもって故意にルートを乱したものなのか。異変の原因を突きとめるため、ゴルゴは徹底した調査に乗り出す。
第379話 ビリニュスの光と影 / 1998年11月
8年前にリトアニアのヴィリニュスの大聖堂に隠されていた財宝をソ連から守ることを依頼されたゴルゴは、ゴルチェンコ大統領に近い政治家ドモフスキーが財宝を私するために依頼されたことを知り、虚偽の依頼に関わった者たちを抹殺する。
第380話 演出国家 / 1998年12月
国連監視の選挙の下、次々と民主国家が誕生している西アフリカ諸国。しかし、選出された新大統領達はすべて西アフリカ一帯の地下資源を狙うネビュラ財団の影響下にある人物ばかりであった。癒着などという生やさしいものではなく、財団が大統領候補を作り、巧みな演出・宣伝戦略で当選させることで、私人の手によって国家を乗っ取っていたのである。民主制で植民地時代の軛を振りほどくつもりが新たな植民地支配を招いている皮肉な状況を正すため、国連は新興のランネラ共和国の選挙を目前にしてゴルゴにコンタクトをとる。
第381話 両洋の狭間に / 1999年1月
米国からパナマに返還されることとなったパナマ運河。運河の利用を世界に呼びかけるべくパナマ政府は運河活用のための国際会議に世界各国の首脳を招待しようとするが、台湾の李昇輝総統を招待したことから中国がこれに反発。台湾の領有を主張する中国は各国に圧力をかけ、結局出席する首脳はごく僅かに留まった。そんな中、会議を取材に来ていた日本人記者の梶本は、台湾支局の同僚から李昇輝の暗殺計画の噂を聞く。直前にたまたまゴルゴの姿を見ていた梶本は、ゴルゴが李昇輝を狙っているに違いないと考える。
第382話 黄金の犬 / 1999年2月
フランスパスツール研究所の天才女性学者が遺伝子操作で非常に強力な新種の狂犬病の病原体を作り上げた。それを世界の要人の襲撃に使おうと考えたイスラム原理主義組織は女史を誘拐するが、組織の構成員の一人が裏切り、女性学者の可愛がっていたゴールデン・レトリバーを研究所の所員に引き渡す。構成員は組織に射殺されてしまうが、組織の支援者の富豪は息子であった構成員が殺されたことに激怒し、組織のリーダーの暗殺をゴルゴに依頼する。用心深いリーダーの居所は皆目わからず、ゴルゴは研究所に保護されていた犬を逃がし、犬の追跡能力を利用して囚われている女性学者を見つけ出させ、同じ場所にいるであろうリーダーを見つけ出そうとする。自身もブリーダーの下で訓練された優秀な犬を何匹も引き連れ、ゴルゴはレトリバーの後を追う。
第383話 特権は諸刃の剣 / 1999年3月
DEA(麻薬取締局)アリゾナ支局に恋人を殺されたマリアは復讐のためにゴルゴとのコンタクトを図る。支局長のハミルトンには理由を偽装してゴルゴに依頼した過去があり、身の危険を感じたハミルトンはDEAの特権を利用してFBIをけしかける。その後ハミルトンらは支局の地下金庫室に篭城するが、CIAに接触したゴルゴはCDC(疾病管理予防センター)が持つ特権を利用し、支局の建物を隔離する。
第384話 新法王の条件 / 1999年4月
次期ローマ法王の有力候補者、アフリカ出身のタジーム・エヴァンス枢機卿の暗殺計画が進められていた。その狙撃者は元KGBのユーリー・ゴルスキー。エヴァンス枢機卿の暗殺を阻止すべく、バチカンのマリオ・ヴィリャーノ枢機卿より、ゴルゴはユーリー・ゴルスキー殺害の依頼を受ける。しかし、ゴルスキーはゴルゴの情報を入手して1,200mあまりの遠距離から「アウトレンジ・シュート」を画策する。狙撃者同士の対決を想定したゴルゴは、依頼者のマリオ枢機卿に「某ホテルの水を抜いておいてくれ」と、奇妙な依頼をする。
第385話 シャーロッキアン / 1999年5月
謎の事故により過去の記憶を失っていたスイスの観光会社の重役シュトラウス。ところが、自身が本当は英国人でシャーロック・ホームズの熱烈なファンの集まり「シャーロッキアン」のクラブに所属していたことを思い出したのをきっかけに、すべての記憶を取り戻す。シュトラウスは意中の女性スーザンを巡って争った同じクラブに所属する友人のフレッドに陥れられ、山登りを装った事故で断崖から落とされてそのショックで記憶を失っていたのだった。すべてを思い出したシュトラウスは復讐のためにゴルゴにフレッドの暗殺を依頼する。しかし、シュトラウスは知る由もなかったが件の転落事故はゴルゴの狙撃によるものだった。
第386話 少女サラ / 1999年7月
13歳の家出娘サラは、相棒でボーイフレンドのパトリックとともに、地下鉄内でスリを行って金を稼ぐ生活をしていた。ある日、彼女はいつものようにスリ取った財布の中から、一枚のメモを見つける。それは、テロ組織ブルターニュ解放戦線(FLB)から活動資金を盗み出し逃亡した男・カルナックが、パリで引き起こそうとしていたコレラ毒素による細菌汚染テロ計画に関するものであった。これを知ったカルナックの部下“ナイフのアラン”は、メモを持っているサラを執拗に追いまわし、遂には相棒のパトリックをも拷問の末に惨殺してしまう。パリの街を逃げ惑うサラの前に停まる一台の車。中から顔を出し車に乗るよう促したのは、FLBからカルナックの抹殺を依頼されたゴルゴだった。
第387話 戦域ミサイル防衛 TMD幻影 / 1999年8月
台湾経済界では台湾独立の堅持を唱える長老保守派と、台湾・香港・中国の経済開放を目論む若手急進派とが対立していた。政界にも影響力を持つ経済界の重鎮であり、新竹カンパニー会長の孫大儀は中国を牽制するために、アメリカが開発した戦域ミサイル防衛システムTMD導入を画策する。その孫大義の息子である孫明は、新竹カンパニー内に企業を設立し、台中合同プロジェクトを立ち上げようとしていた。その渦中にて香港経済界の若手リーダー白文興は言葉巧みに孫明に接近し、孫明が父親である孫大義に反感を抱くように仕向けた。長老保守派がTMD導入を目論んでいることをつかんだ若手急進派は、合同プロジェクトを頓挫させまいと考え、保守派との全面対決に出る。その急進派に中国共産党のスパイが入り込んでいることを掴んだ孫大義はスパイの特定と抹殺を依頼するが、ゴルゴは右手が麻痺する持病が再発していた。
第388話 ダブル・ミーニング / 1999年9月
米国ハリウッドの名門映画会社の配給作品には愛国心を刺激する内容が含まれており、その実体は大統領補佐官フィル・ボイスコフの手引きにより、国防予算で作られた巧妙なプロパガンダ映画であった。保守派の先鋒であり、反戦運動にも積極的に参加するボイスコフは、裏では軍産複合体のメンバーとして暗躍し、積極的な軍事介入を進言することで、軍産複合体の利益を肥やしているのである。2000年問題で多くのハイテク兵器が誤動作する危惧があるため、2000年到来前に既存兵器を使い果たすべくボイスコフは武力行使を急いでいた。その動きを知ったCIA職員ホリックは、ゴルゴにボイスコフ抹殺の依頼する。ホリックには同僚であり恋人でもあったアニーをボイスコフの手の者に殺害されていたという怨恨を持っていた。
第389話 害虫戦争 / 1999年10月
アメリカのトウモロコシ市場を独占すべく、トウモロコシの種子メーカーはある計画を進行させていた。それは殺虫剤への耐性を有する害虫を大量発生させ既存トウモロコシを全滅させる一方で、その害虫に耐性のあるハイブリッド種子を売り込もうとするという恐るべき物であった。犠牲者を出しながらも、この計画に気づいた中国農業部は、ゴルゴに計画阻止を依頼する。
第390話 黒い記憶 / 1999年12月
アメリカ国立医学研究所が誇るデビッド・マコーマーは若き天才脳医学者だった。新薬の開発に成功したデビッドはUS・メディシン社のフーバー会長と連携し、新薬の実用化に踏み切ろうとしていた。しかし、医学界への寄付金が減ることを危惧した医科大学学長はゴルゴに接触し、フーバー抹殺を依頼する。それから程なくしてフーバーとデビッドはそのことを知るが、デビットは「ゴルゴ13」という単語に何かを感じた。デビットは父親が殺される場に居合わせるという謎の悪夢に長い間悩まされており、この症状にはゴルゴが直接関連しているに違いないと考え、父親の死の謎と悪夢の謎を解くため、ゴルゴとの接触を決める。
第391話 パッチワークの蜜蜂たち / 2000年1月
連邦地方裁判所の判事はウィングマンは妻と公選弁護人を射殺し、2人の遺体を隠蔽する。自らの犯行の決定的な証拠となってしまう血痕が付着したパッチワークが何者かに奪われたことに気づき、判事としての立場を利用し、別件の容疑者にパッチワークを奪還すれば罪を軽減するという取引を持ちかける。その一方で事件の一部始終を目撃した隣家の老婦人ノイマンは、ゴルゴにパッチワークの奪還を依頼する。ゴルゴはかつて彼女の亡き夫ノイマン医師に命を助けられたことがあり、無償で依頼を引き受けたのであった。
第392話 シンクロトロンBESSY-1 / 2000年2月
イスラエル・ネゲブ砂漠に設置されたシンクロトロン『BESSY-1』。ドイツを中心とする欧州諸国により譲渡されたこの装置は、中東における科学交流や平和を促進する役割を期待されていた。しかしその裏では、常任理事国入りを狙って国際社会への貢献をアピールしたいドイツと、同盟国である日本を理事国入りさせたい思惑から設置に反対するアメリカとの、複雑な対立関係が存在した。このBESSY-1を巡る争いに巻き込まれたモサドの上級情報官、イライジャ・ハラクは、アメリカのエネルギー省長官による視察に紛れて、コンピューター技術者のジョン・コープがBESSY-1のプログラムにハッキングし、これを破壊する計画を立てていることを知り、彼を止めるべくゴルゴに仕事を依頼する。
第393話 2000.2.29 / 2000年2月
2000年問題に対する対応が後手に回った中国。各地でコンピューターのトラブルが多発したが、海南島のミサイル基地のみは例外的にほぼ無傷で乗り切った。すべては基地に勤務する天才プログラマー・漕李魁の力によるものだったが、そんな漕も400年に一度の特別な閏年に当たる「2月29日」の存在を見落としていた。漕のミスに目をつけた共産党若手NO'1エリートの劉は、コンピューターの誤作動を装って台湾にミサイルを発射し、それにより台湾の新型迎撃ミサイル「台湾キャット」の性能を丸裸にしようという大胆な計略を立てる。
第394話 ODA異聞 / 2000年3月
ODAコーディネーターとして日本政府と中米の小国バルボア共和国の調整を担っている日系人キジマは、反政府軍や米国企業とも関係を持ち、日本からの援助金が最終的には反政府軍の武器購入に充当されていることを見越していた。反政府軍と政府軍の紛争を尻目に、米国企業がレアメタルの採掘権を行使して莫大な利益を獲得し、自分は米国企業から見返りとして得る多額の謝礼を元手に高飛びするという算段を整えていたのである。この計画を察知したバルボアの大臣ブランコはゴルゴと接触を図る。
第395話 カフカーズの群狼 / 2000年4月
ロシア連邦との対立が激化するチェチェン共和国。相次ぐテロ行為に業を煮やしたロシア内務省長官ガシンスキーは特殊工作部隊アルファを投入する。部隊を率いるマレコフ大佐はゲリラ勢力が拠点とするカフカーズ地方に乗り込む。ゲリラの少年がマレコフを出迎え、ある伝言を伝える。顔色を変えたマレコフはゲリラ勢力のマクード司令官との面会を承諾する。マクードは自分の正体が元KGBのバガエフであることを告白し、自分のこれまでの経緯を説明する。最終的にマレコフは部隊ごと寝返ってしまい、マコレフの裏切りを知ったガシンスキーはゴルゴにマレコフ殺害を依頼する
第396話 涙するイエス / 2000年5月
かつてナチスから自身を救ってくれた恩人の絵を集めていたユダヤ系米国人の石油王ロゼッティ。ところがイエスを題材にした連作があと二枚で揃わんというところで、日本のバブル成金の伊藤に先を越されて絵を買われてしまった。時は流れて癌で余命幾ばくもなくなったロゼッティはどうしても絵を譲らない伊藤の暗殺を決断し、ゴルゴに依頼して伊藤を暗殺して絵を手に入れる。残る一枚はドイツのドレスデン美術館の「涙するイエス」だったが、学芸員のアベッツは売却の申し出を了承しない。アベッツの魂胆はロゼッティが伊藤から手に入れた名画を引き出させることにあったが、「涙するイエス」がナチスの略奪美術であることにロゼッティは気づいた。
第397話 黄昏のカシミール / 2000年7月
朝鮮戦争当時一流の操縦技術を誇るパイロットだった桂木の元へ、かつての同僚である堀田の息子が訪ねてきた。それは旧式の機体でフィリピンからインドまでフライトを行って欲しいという依頼をするためだった。堀田に対して負い目を感じていた桂木は依頼を承諾する。一方で堀田の息子とインド空軍のブハッチ将軍はゴルゴに旧式の機体に搭乗し、パキスタン兵や武装勢力の排除を行うように依頼する。飛行機は夜間低空飛行を決行するが、武装勢力からの対空放火を浴びた飛行機は被弾し、ゴルゴは重傷を負ってしまう。
第398話 生存確率0.13% / 2000年8月
過去に弟を殺害された天才数学者のラマムがゴルゴへの復讐を目論む。ラマム自身が開発した人工知能の行動予知プログラムを利用して、ゴルゴへ罠を仕掛けていく。
第399話 冥王の密約 / 2000年10月
アメリカ・ネバダ州のネバダ核実験場にて、軍医として勤務するドクター・アーノルド・ノイマン。長年にわたり核実験にまつわる放射能の調査を行ってきた影響で自身もガンに冒された彼は、「被曝復員兵士の会」のメンバーとしてその実体と危険性を世に伝えるべく活動を続けていた。ある日、彼は実験場に放置されたサバイバル実験用の廃屋の中で、大怪我を負った男――ゴルゴ13と遭遇する。殺害した標的の部下に追われ警戒していたゴルゴに銃を向けられるが、その直後にフォールアウト事故が発生。逃げ遅れたノイマンはゴルゴを連れて廃屋の下に設置された地下室に潜り、治療を行う。ゴルゴは身を挺して己を救ってくれたノイマンに感謝し、彼が睡眠中に自身の連絡先を残して姿を消す。
第400話 パンドラの柩 / 2000年11月
遺伝子工学の専門家、エルドマンは、ゴルゴのDNAを注入した人間兵器を開発し、それを武器として売り込もうと考えるが、そのためには、ゴルゴのDNA、いいかえればゴルゴの死体が必要だった。エルドマンは、主要国の政府にサイバーテロを示唆し、サイバーテロを起こされたくないならゴルゴを死体で引き渡せ、と要求、先進国の各国政府はこれに屈し、CIAの高官のパットナムによるゴルゴ抹殺計画が始動する。オペラハウスでゴルゴに架空の依頼を行うが、そのオペラの最中、ゴルゴは胸部に弾丸を被弾し、心停止してしまう。しかし、実はこれはゴルゴ側の計画の一環で、ゴルゴは、この計画を瓦解させるため、故意に撃たれたのだった。ゴルゴは、エルドマンの配下の女医のマリナを事前に抱き込んでおり、マリナはゴルゴを手当しゴルゴは蘇生に成功、エルドマン一派を殲滅する。

第401話 - 第500話

“話数 題名 / 発表年月”の順で記載。

第401話 大地動く時 / 2000年12月
横須賀湾に岸河重工が建造した巨大な人工島「メガフロート」には、浮体空港という建造目的とは異なる裏の目的があった。島を自走させ、空母として活用する軍事転用計画であり、真の目的を知らずに制御プログラムを作りあげたプログラマーの佐野は、真相を知って衝撃を受ける。空母への転用に反対するが聞き入れてもらえず、やがて身の危険を感じるようになった佐野は、制御プログラムのコピーが入ったディスクを友人の深沢に託す。
第402話 一億人の蠢き / 2001年1月
中国では、新興宗教の『金鵬来(こんぽうらい)』が勃興、急速に信者を増やし、推定1億人にも及ぼうとしていた。中国共産党の為政者たちはこの事態を快く思わず、金鵬来の弾圧に乗りだした。金鵬来の始祖の柴洪史(さいこうし)は、亡命先のニューヨークに隠れ住んでいる。人民解放軍の龍東民(りゅうとうみん)は、ゴルゴを雇い柴の狙撃を依頼する。
第403話 饒舌なコイン / 2001年2月
ロシアのチェリャビンスク核燃料コンビナートで放射能漏れ事故が発生し、それを日本人の記者が嗅ぎ付けた。ロシアでは、世界各国から、放射性廃棄物の貯蔵業を請け負う計画があったが、この事故が露見すると計画は台なしになるので、この日本人の記者を抹殺する。ところが、生前、この記者は五円硬貨を所持していた。この硬貨は漏れた放射線を浴びているため、事故の決定的証拠となる。この硬貨を巡って、ロシア内での異なる勢力が争奪戦を始める。
第404話 フィアレス / 2001年3月
正体不明のソルジャーたちが、ゴルゴ13に波状攻撃をかけてくる。それみな恐れを知らない捨て身の自爆テロであった。何者かが素人を洗脳し、ゴルゴ13を敵だと思い込ませ、次から次へと送り込んで来る。それらの者には共通の特徴があることにゴルゴ13は気づいた。過去に大事故に遭遇し、恐怖心が麻痺している、フィアレスと呼ばれる心理状態の者たちだったのだ。ゴルゴ13は、情報屋などを使い、背後の敵を見抜き、自ら対決に挑む。
第405話 静かなる草原 / 2001年4月
長い間、ゴルゴ13の存在をウォッチし続けた、著名ジャーナリストのマンディ・ワシントンはジャーナリストを引退し、ウィスコンシン州マディソン郡に隠遁した。近くには、経営不振の牧場主の一家が居り、ワシントンの友人となれそうであった。ワシントンは、ある日、野生動物の研究家と遭遇する。彼は、岩場で一人で訓練を続ける不審な東洋人を見たといい、撮影したビデオをワシントンに見せる。そこに映されていたのはゴルゴ13であったが、その中に不可解な行動も撮影されていたのだった。
第406話 遺伝子戦争 ゲノム・フロンティア / 2001年4月
バイオベンチャーのジム・ジーン社は、飛ぶ鳥を落とす勢いであった。社長のボーイは、高速の遺伝子解析技術を開発、それで解析した遺伝子の機能を分析し、それを片っ端から特許にして、その収入で潤っていた。一方、一時この会社の研究員であった日本人のエサカは、今はフィリピンに移って研究を継続し、稲の新品種を作り出すのに成功した。実は、この稲の原産地は中国のチベットで、改良種も知的所有権は中国が主張できるが、エサカはその点に口をつぐんだまま研究を続けていた。一方、ボーイもこの新品種の存在を知り、遺伝子配列を決定し、特許申請しようとする。
第407話 ミステリーの女王・2 / 2001年5月
147話の続編。かつてゴルゴを題材に本を書こうとし、ゴルゴに抹殺されたミステリー作家マッジ・ペンロース。彼女を匿っていたアイスランドの米軍ボスナフェルジュル基地はゴルゴによって基地の大部分を壊滅させられてしまい、事態を重く見た軍はマッジを匿った首謀者のみならず勤務していた軍人を全員解雇した。事件で全身に大火傷を負わされたマックスもその一人であり、軍をクビになった彼は新たに傭兵部隊を組織し、いつかゴルゴに復讐をする日を夢見て世界の紛争地を転戦していた。ある日米国の大手映画会社の女社長がゴルゴを題材にした映画の制作を考え、マックスの部隊にゴルゴとの対決を依頼してきた。マックスは図らずも転がり込んできた復讐のチャンスに発憤する。
第408話 殺人劇の夜 / 2001年7月
不動産業者のジャンセンから、かつて卑怯な方法で仕事を横取りした不動産王クランプへの復讐を依頼されたゴルゴ。その狙撃の条件は自分の目の前でクランプを殺害して欲しいとのことだった。芝居好きのクランプが近日劇場を貸し切りにして観覧をするという情報を得たゴルゴは、ジャンセンにその日にクランプと一緒に観劇できるように手配し、自分を秘書として同道するよう協力を求める。厳重な警備が布かれ武器も持ち込めないはずの状況下で、どのように狙撃をするのかとジャンセンは首をかしげる。
第409話 突然死の予兆 / 2001年7月
画期的なエイズ治療薬の開発に成功した米国の製薬会社・G&J社。その販売方法を巡って社長のジョーンズと対立した副社長のグールドは、ジョーンズの暗殺をゴルゴに依頼する。しかし、その依頼には証拠が残らぬようにあくまで自然死に見えるようにして欲しいという条件がついていた。腕利きのプログラマーのクラッキングでジョーンズが心臓疾患を患っていることを知ったゴルゴは、ジョーンズ宅の空調からシャワーの温度まで管理しているホームオートメーション・システムに目をつける。
第410話 イリスク浮上せよ / 2001年8月
ロシアの原子力潜水艦イリスクが新兵器の実験の強行により、沈没する。ロシア政府のアルキニス次官は西側と共同で回収作業に当たるが、軍部は真相の発覚を恐れ、妨害工作に出る。アルキニス次官はゴルゴに仕事を依頼する。
第411話 百人の毛沢東 / 2001年9月
かつて毛沢東と共に中国共産党設立に関わった漢卑将軍は、毛沢東の体細胞を培養してクローンを作るという驚天動地の計画を進めていた。培養した毛の体細胞から100人ものクローンを誕生させた漢卑は、さらに毛が育った幼少期からの生活環境を完璧に再現し、本物の毛の人生を追体験させて再び革命を起こす革命戦士としてクローンを育成していたのだった。教育で本物が持っていた欠点を矯正し、遺伝子操作で本物が抱えることになる疾患をも取り除いた、オリジナルを超えるクローン・毛沢東。各地で大規模デモが頻発し労働者の不満が爆発寸前の現下の体制をひっくり返し、漢卑はかつての理想だった真の共産主義国家を誕生させようと目論む。北京の政権中枢はこの情報をつかむが、中国人としては毛沢東のクローンを暗殺することは激しいためらいがある。そこでゴルゴ13を雇い、クローンの殲滅を依頼する。政権幹部は、成層圏で核実験を行わせ、電磁波爆弾の爆発のように電子通信システムを一時的に使用不能にする。その間にゴルゴは1人ずつクローンを暗殺していく。
第412話 ヨハネ伝十一章十節 / 2001年11月
とある修道女から、「インター・チルドレン財団」の副理事長ゴンドーフの狙撃を依頼されたゴルゴ。件の財団は、難民孤児を保護・養育し社会適応させる活動の一方で、一部の子供を臓器売買に利用するという闇の顔をもっていた。修道女の望む狙撃の条件は苛酷な環境を生き抜いてきた子供達に殺人現場を見せたくないということだったが、ゴンドーフは常に子供を傍らに置いていた。
第413話 剥がれた鍍金 / 2001年12月
度重なる打ち上げ失敗により、苦境に立たされている日本のロケット開発事業。後継機を打ち上げることができないため気象衛星「ひまわり」も耐用期間を超えての運用を余儀なくされており、宇宙開発事業団の理事はコンピューター技術者の佐藤と共に、国交省に顔のきく引退した大物政治家・天城の下に予算拡大の陳情に赴く。が、彼らは気づかなかったがその時天城の家にはゴルゴも訪れており、天城は偶然のことながら新しく打ち上げが予定されているH-IIAロケットにまつわる依頼をゴルゴに頼もうとしていた。
第414話 ホリデー・イン・ザ・パーク / 2002年1月
休暇で孫と一緒に遊園地を訪れた米国の石油王・ベネディクト。要人に万が一のことがあっては大変とボディガードのチーフ・コンラッドは気を引き締めるが、ガードを部下達に任せて一人で園内を見回っている最中ゴルゴの姿を見とめて驚愕する。ベネディクトを狙って現れたに違いないと思ったコンラッドは、遊園地の警備主任カーニーに協力を要請する。園内での麻薬の取引すら口止め料次第で見逃す悪徳警備主任のカーニーは、高額の成功報酬につられて協力を請け負う。
第415話 容疑者トウゴウ / 2002年1月
スイスの山奥の別荘に引きこもっている人物の狙撃を依頼されたゴルゴ。スキーヤーを装って別荘が見える雪山に登り滞りなく依頼を完遂させたものの、直後に雪崩に巻き込まれてしまう。ゴルゴは雪崩を目撃していた近くのホテルの宿泊客らに救出されるが、目を覚ますと何とそのホテルで殺人事件が起こっていた。被害者は宿泊客の一人でホテル外から狙撃されていた。窓に残った弾痕の直線上にはゴルゴが登っていた雪山がある。医師の見立てた被害者の死亡推定時刻にちょうど雪山の上にいたゴルゴは事件の容疑者と見なされてしまう。
第416話 いにしえの法に拠りて / 2002年2月
ドイツ、フランス、スペインの防衛企業3社が合併した防衛装備メーカーEADSの幹部から、BAE会長のジョンストンの狙撃を依頼されたゴルゴ。期限は1ヶ月以内であったが、同じ頃この依頼の情報を手に入れたMI5のカークは、レーザー光を使用してゴルゴを抹殺しようと企んでいた。狙撃直前のゴルゴはレーザー光の照射を受けて視力を奪われてしまうが、何とか脱出に成功し、眼科医の診断を受けることに成功する。自然治癒には時間を要することから依頼期限に間に合わないと判断したゴルゴは視覚障害者射撃の金メダリストを訪れ、その後ゴルゴは日本・秋葉原に来訪し、あるセンサーの開発を依頼する。
第417話 神の耳・エシュロン / 2002年3月
米国と英連邦五カ国が世界に張り巡らした「エシュロン・システム」は、電話や電子メール、果ては通信衛星の電波まで、地球上のありとあらゆる通信を傍受できる「神の耳」ともいうべき通信傍受システムである。米英がエシュロンを使って日本の要人達の通信を盗聴して経済交渉を有利に進めていたことを知った日本人銀行家の吉田栄三郎は、エシュロンにダメージを与えることと、その統括者のイギリス軍人・タッカーの殺害をゴルゴに依頼する。
第418話 装甲兵SDR2 / 2002年5月
ベトナム戦争以来の兵士たちの地上戦に対する強いアレルギーに頭を抱えていた米軍は、戦闘用ロボットの開発を急がせていた。研究員たちは日本の自動車メーカーが開発した二足歩行ロボットなどの技術を提供させ、人間が内部で操縦をする半戦闘用ロボット 「SDR2」を完成させる。開発計画を主導していた米軍将校は、その性能を軍上層部に理解させるために世界中の悪名高いテロリスト達を無人島に集めて殺し合いをさせ、SDR2を投入させる。ところが、そこへ近くの島で仕事を終えて逃亡中のゴルゴが乗った小型機が不時着し、テロリスト対SDR2の殺し合いに巻き込まれてしまう。
第419話 ヴィレッジ・ジャック / 2002年6月
クリミア半島ヤルタ近郊の小さな村のリゾートホテルが、チェチェンの武装グループに乗っ取られた。その狙いは、休暇に来ていた大企業の開発責任者クリスを人質に身代金を奪うこと。チェチェン活動家の抹殺を依頼され、地質学者に扮して訪れていたゴルゴは、クリスに救出を依頼される。
第420話 凍った炎(フローズン・ブレイズ) / 2002年7月
西側諸国の企業が、ある島で液化天然ガスの生産を行っていたが、裏ではそれを用いた兵器をアラブの某国に提供していた。また、住人への圧力も凄まじい。事態を重く見た自然保護団体は、経済原則のみに重点を置くコングロマリットへの警告の意味も含め、ゴルゴにこの設備の破壊を依頼。
第421話 バイルス・チェイス / 2002年8月
中山は、パソコン好きの若者で、ネットにウィルスが出回るとワクチンを開発し、シェアウェアとしてネットで提供していた。中山のワクチンソフトは優秀であり、NSAやCIAもその恩恵にあずかっていた。ところがその中山が誘拐され、サイバースペースではウィルスが蔓延し始める。また、ウィルスにより、サイバースペース経由でゴルゴに依頼する方法も断たれてしまう。米国大統領補佐官のミレットは事態を憂慮し、緊急の方法でゴルゴとコンタクトした。そして中山の奪還と敵の消去を依頼した。
第422話 ストレンジャー / 2002年9月
仕事にかまけてろくに家に帰ってこない父と、浮気ばかりして同じくろくに家にいない継母。そんな家庭になじめず友達も一人もいない少年・ボビーは、自殺を決意して死んだ母親との思い出のある山へと登っていった。ところがその山では狙撃事件の犯人として警察に追われていたゴルゴがいた。偶然遠目にゴルゴの姿を見つけたボビーは、巧みに追っ手を撒いて逃走を続けるゴルゴに驚嘆する。自殺願望など二の次になり、ボビーは興味を覚えてゴルゴの跡をつけていくが、突如山火事が発生する。
第423話 激突!AK-100vsM-16 / 2002年10月
テロ戦争の時代となるであろう21世紀において、ますますその重要性が増してゆくといわれる突撃銃。世界の突撃銃のシェアをロシアのAK-100で独占しようと望むロシア軍造兵廠のマカロフ大佐は、ゴルゴの存在がM16の性能を過大評価させていると考え、ゴルゴを葬ることによってM-16を突撃銃の市場から駆逐しようとする。一方、AKシリーズの生みの親カラジニフは、ゴルゴが自身の開発した銃でなくライバル銃のM16を使い続けていることを不可解に思っていた。そんな中、マカロフ大佐がウズベキスタンの砂漠にゴルゴをおびき出し、自分の部隊と対決させているという噂が飛び込んでくる。長年の疑問の答えを得られると思ったカラジニフは、自らもウズベキスタンへと向かう。
第424話 歪んだ車輪 / 2002年11月
タイで導入される地下鉄の商談において、岸河商事が仮契約を結んでいたものの、タイ側から破棄され、ドイツのメーカーのシステムへの発注が決まった。ドイツ側の提示した金額は異様に安かったが、それは安全性を無視し、中国製の粗悪部品を多用した結果であった。岸河商事はゴルゴを雇い、ドイツ社の安全を軽視したシステムを暴き、事業受注の巻き返しを狙う。
第425話 龍への供物(くもつ) / 2002年12月
東京大田区の町工場で働く中国人の若者の正体は、中国の産業スパイたちのリーダーだった。技術の流出を防ぐため、公安(公安警察、国家公安委員会なのかは不明)はゴルゴにこの若者の殺害を依頼。狙撃の際、ゴルゴはフレシェット弾を使用した。
日本の産業構造の問題点なども取り扱った社会派作品。
第426話 宴の終焉 / 2003年1月
米国最大のエネルギー会社・シェンロン。かねてより賭博的な投機を繰り返して巨額の損失を抱えているとの噂のある企業だったが、内部告発により粉飾決算が明らかになり米会計検査院は騒然となる。シェンロンは米国の法律の及ばない金融特区であるケイマン諸島に無数の子会社を作って不正を行っていた。真実を暴露しようとして殺されたシェンロンの副社長の旧友達は、かつてケイマン諸島に存在した悪徳銀行BCCIの資料を公開して世論を喚起することを思いつく。ケイマン諸島を利用して不正を行っていたのはシェンロンに限らず、多くの企業に共通する問題だった。
第427話 爆弾魔 / 2003年2月
愛知県警国際捜査課の小畑は、甥がネット掲示板で見つけた書き込みから名古屋で爆弾テロが計画されていることを知る。小畑はハイテク犯罪対策室の友人・沢村と共に捜査を進めるが、やがて元IRAの爆弾テロリストの存在が浮かび上がり、標的が米自動車会社WAモータースの会長であることを突きとめる。WAモータースに連絡を取るとはたして小畑達の推測通りテロリストからの犯行予告を受けていたが、意外にも応対した会長秘書は協力の申し出を断った。せせら笑うようにして小畑の申し出を断ったその理由は、「会長を守るために真のプロフェッショナルを起用した」ということであった。
第428話 極限標的 / 2003年3月
米大統領専用狙撃部隊所属のマックレガー中佐は、かつて要人警護の最中、ゴルゴに遙か後方から自身の頭越しに要人を狙撃されてしまった苦い過去があった。ゴルゴの仕事先のスイスへ先回りしたマックレガーは現地で連続狙撃事件を起こし、狙撃銃を持ち込めずスイスで各家庭に配備されているライフル銃・STGW90を使わざるを得ない状況を作り出す。STGW90の射程はせいぜい350mであり、狙撃ポイントは標的の潜む山荘の周囲の山に限定される。かくしてマックレガーの狙い通りのポイントに、STGW90を持ったゴルゴが姿を現した。ゴルゴの遙か後方でカスタム銃を構える自身の存在を仮に気取られたにしても、STGW90の射程では物理的に弾が届かない。仇敵を絶体絶命の状況に追い込み、マックレガーは勝利を確信する。
第429話 真のベルリン市民 / 2003年4月
英国在住の細菌学者ヨセフ・マインは、ドイツ情報局局員・カンプの招きでドイツのコッホ細菌研究所を訪れる。久しく離れていた故国に戻った彼を待っていたのは、かつてドイツを震撼させた悪性ウィルス「マールブルク・ウィルス」に感染した患者だった。患者の感染は細菌兵器化したウィルスによるものであり、それを精製したのは軍で細菌兵器の研究をしていた亡き父オットーだと聞かされ、ヨセフは衝撃を受ける。オットーは東西冷戦時にベルリンに密かに存在したとある組織に所属し、組織のためにこのウィルスを利用する計画を持っていたという。「真のベルリン市民」という名のその組織は、東西のイデオロギーを無視してただ故郷ベルリンの統一を望む生粋のベルリン市民達による秘密組織であった。
第430話 香りの宝石 / 2003年6月
「香りの宝石」とも称される至高の香木・伽羅。青年グエンはベトナムでも指折りの伽羅ハンターを父にもっていたが、父が死んだ後に身を持ち崩し、麻薬王クンサの支配下の土地でケシ栽培を監督する下働きをしていた。ある日偶然川底で伽羅を見つけ、この地域に極上の伽羅が豊富に眠っていることを知ったグエンは、地域一帯を自分に任せてもらうようクンサに頼み込み、一応はクンサの了解を得る。が、手下にグエンの身辺を探らせていたクンサは伽羅のことに気づき、グエンの命を狙う。
第431話 ユビキタスの迷路 / 2003年7月
経済産業省の戦略会議において、日本の情報家電のOSに半田孝介教授開発による「オリオン」が採用されることが決定した。同じく半田主導の開発による新式映像圧縮技術と携帯電話用ブラウザの開発者・鷲尾の小型端末用高性能ブラウザとの組み合わせは、コンピューターが日常のあらゆる局面に偏在するユビキタス社会の到来を告げるものといえた。半田は「OSは社会の共有財産」との信念から、「オリオン」をオープンソース型のOSとして広めることを望んでいたが、企業経営者の鷲尾は半田に共感しつつも、理想だけで広まるものでもないとも思っていた。そんな中、二人の前にPC用OSで世界シェアを握る米サイバーテクノス社の顧問・ミューラーが現れる。ミューラーは「オリオン」が小型端末OSのスタンダードにならぬよう、二人を自分の下に懐柔しようと企んでいた。
第432話 MASK / 2003年8月
政財界の要人の要請を受け、高度な整形手術にボイストレーニング、様々な演技指導まで施して驚くほど巧妙な影武者を作る秘密組織「MASK」。近日中に新政権を発足させる中東の某国で、「MASK」が援助資金を管理する国連のロメド弁務官の偽物を作って横領を企んでいることを推測したCIAは、ゴルゴにコンタクトをとり、偽物と首領・ウィルキンソンの殺害を依頼する。
第433話 勇者が勝利する / 2003年9月
冷戦時代に旧KGBがIRA内部に潜入させた工作員ラクラン・マクレガー。英政府との間を恒常的に潰乱させるために送り込んだ男だったが、やがて筋金入りのテロリストになってしまい、その存在は現ロシア政府にとっては厄介者でしかなくなっていた。ついに暗殺を決断したSVRはゴルゴに仕事を依頼するが、ゴルゴは何故か依頼を断り去っていった。そしてその後、対IRAテロを任務とする英SASにマクレガーがブロア内閣顧問の暗殺を企んでいるとの情報が情報部よりもたらされる。情報に次いで情報部はテロ制圧のためにと一人の武官を派遣してきた。その武官とは、誰あろうゴルゴであった。
第434話 舞い降りた運命 / 2003年10月
ユカタン半島で飛行機整備工を細々と営むエリックの下をゴルゴが訪ねてきた。次の仕事にかつて米空軍に所属していたエリックの操縦技術が必要であり、是非とも協力して欲しいという。しかし、エリックは訓練の最中二度にもわたってパラシュート事故に遭い、以来空を飛ぶことができなくなってしまっていた。ゴルゴはそういう事情もよく知っていたが、エリックの拒否をまるで聞き入れてくれない。結局強引に引っ張られ、エリックはコロンビアの麻薬組織のボス暗殺に同道することになる。
第435話 地上の太陽 / 2003年10月
国際熱核融合実験炉「ZETER」の誘致を巡って日本とフランスが争う中、フランスの誘致先であるカダラッシュの市長は、日本叩きを専門にするジャーナリストのエルーに日本のイメージを落とす記事の作成を要請する。エルーは快諾して発憤するものの、そのうち米国が誘致に横やりを入れてきて日本を叩いても仕方のない状況になってしまった。近年原子力研究で遅れをとっていた米国が、何故莫大な予算をかけてまで強引に国際実験炉を誘致しようとするのか……? 疑問に思ったエルーは、日本憎しの感情も忘れてその理由を探ろうとする。
第436話 一射一生 / 2003年11月
飛行機事故に巻き込まれて命を落とした弓道竹林派家元の一人娘・弥生の下に、弓術の指導をして欲しいとゴルゴが訪れた。ゴルゴは驚嘆する程の早さで弓術の極意を次々身につけてゆき、たちまち弥生を凌ぐほどの妙域に達する。弥生の家の流派「鞍馬竹林流」は戦国時代の暗殺弓術に端を発した流派で、現代でも技術向上のため他の流派の庇護の下にその奥義が伝えられていた。ゴルゴの腕に目をつけた他流派の家元は、ゴルゴに奥義を伝承してはと弥生に薦める。ゴルゴが何者かをおぼろげに察していた弥生は薦めを断る。
第437話 ラストグレートゲーム / 2003年12月
ドゴールが種を撒き、国際的な巨大石油資本に成長したフランスのエルク社。その力は米石油メジャーに次ぐ程のものであり、米国は湾岸戦争勝利後のイラクの石油権益も数多く奪い去られてしまった。何かと米国にたてつくフランスの反米姿勢も自国内から米軍を追い出したドゴール以来のものであり、米政府は仏政府と特殊諜報機関としての活動も行うエルク社との黒い関係を暴こうと画策する。その思惑を察知した仏シモン政権もCIA工作員の機先を制して関係書類を処分するなど米の攻撃に迅速に対抗した。二国の角の突き合わせは膠着状態に陥り、やがて両国の目は過去にエルク社の重役を務め、仏政財界の裏面を知り尽くしているアルジェリア人・ザイダーンの存在に向けられることになる。
第438話 万能ベクター・VOGUE / 2004年2月
「ベクター」とは遺伝子組換え技術において、組換え遺伝子を挿入する際に使われる媒介分子である。あらゆる遺伝子に利用できる万能のベクター「VOGUE(ヴォーグ)」の開発に成功したマービン・リュー博士の下を、かつて部下として研究に携わっていた日本人研究員桑原が訪れた。しばらくぶりの再会にリューは桑原を歓迎してくれたが、桑原はどこかしら様子のおかしいリューの雰囲気に違和感を抱いた。その後日本に帰国した桑原の下に米国の医学雑誌のデューク・東郷という記者が現れ、「VOGUE」が生物兵器に転用できる可能性があるのではないかと指摘する。考えたこともなかった盲点を突かれた桑原は、リューに感じた違和感を思い出す。
第439話 FIRE! / 2004年3月
戦争終結後も駐留軍へのテロ攻撃が止まないイラク。その原因は、国外よりカラシニコフ小銃を仕込んだ小麦袋が援助物資を装って持ち込まれており、武装勢力に密かに武器弾薬を供給していることにあった。その出元のひとつがウクライナにあることを突きとめたCIAは、ゴルゴに銃製造の秘密工場の破壊を依頼する。ただし、依頼には米国の関与が囁かれてはやっかいなので、あくまで自然な事故に見せかけるという条件が付けられていた。
第440話 PKO プライス・キーピング・オペレーション / 2004年3月
新任のタイス米大統領補佐官は、日銀副総裁で日本経済のキーマンであるマツオカにイラク戦争に関する多額の支援金を強要する。マツオカは一応は応じたものの、かねてから米国の強圧的な要請に憤りを感じており、同じく米国の一国主義を嫌うECB顧問・ルメールと結託して米経済を危機に陥れようと画策していた。ところが脅迫めいた謎の狙撃に数度見舞われ、マツオカは計画を断念させられる。一方、ルメールはマツオカが屈服した後も策動を続けていた。ルメールの狙いは大国の中央銀行と対米包囲網を形成し、米ドルを基軸通貨の座から追い落とす体制を作ることにあった。
第441話 ペイ・バック / 2004年5月
ベルリンの墓地で偶然顔を合わせた二人の老人は、それぞれCIAとKGBの元工作員だった。彼らは共に冷戦時代に国家や組織の枠を超えて友情を結んだシュタージ(旧東独国家保安局)の工作員・エルンストの墓参りに来たのだったが、ひょんなことから現在彼の娘が命の危険にさらされていることを知る。逃走中のテロリスト達が娘を人質にしてカフェに立て籠もっているのだ。
第442話 極寒の大地 / 2004年6月
ロシアの地質学者から自身の研究を横取りした共同研究者・ボルツフの暗殺の依頼を受けたゴルゴ。軍と共に南極で違法な資源の採掘をしているボルツフを仕留めるべく南極に足を運ぶが、ボルツフはゴルゴの襲来を事前に察知していた。南極観光船で南極に入ろうとしたゴルゴは特殊部隊の強襲を受け、不意を突かれて海に転落させられてしまう。どうにか海から這い上がることはできたものの、M16を含む荷物の大半を無くしてしまった。平均気温が-50℃の極寒の大地で、ゴルゴは持ち前のサバイバル技術を駆使して生き抜こうとする。
第443話 戦場に漁る者 / 2004年7月
戦時の混乱に乗じて、イラクの美術館からは古代メソポタミア文明の貴重な美術品が大量に掠奪されてしまった。イラク人研究者・アッバスは、NPO団体を組織して祖国の文化財の散逸を阻もうと躍起になっていたが、流出する美術品は膨大な数で到底手に負えるものではなかった。中でも「アリババ」などと名のる首領率いる武装窃盗団は美術品と引き替えに大金を要求してきており、アッバスは頭を抱えていた。ところがそんな中、突然とある実業家から資金提供の申し出が入る。
第444話 3/7 / 2004年8月
ゴルゴは香港に本拠を置く中華系マフィアの元首領から、自分を首領の座から蹴落とした3人の幹部達の暗殺の依頼を受ける。しかし、依頼には死の床に伏せている元首領の余命の7日以内にすべて完遂して欲しいという非常に困難な条件が付いていた。しかも、3人は日本・香港・タイの3カ国にバラバラに居住している。
第445話 エアポート・アイランド / 2004年9月
爆弾造りにのめり込んで身を持ち崩した、元米空軍軍曹アンドリュー・テンプル。このテンプルの爆弾を利用してCIAに非合法活動を行わせた過去がある共和党政権は、スキャンダルの発覚を恐れて沖縄の嘉手納基地で拘束されたテンプルの狙撃をゴルゴに依頼した。ゴルゴは難なく依頼を成し遂げるものの、ところが直後になってテンプルが関西国際空港のどこかに爆弾を仕掛けていたことが判明した。爆弾の場所を聞き出そうにもテンプルはもはやこの世にはいない。慌てた駐大阪・神戸総領事は、ちょうど関空を使って出国しようとしていたゴルゴに協力を請う。
第446話 コルタン狂想曲 / 2004年10月
高性能PC並のスペックを持ち、IP電話機能をも備えた新型携帯電話の試作に成功した日本メーカー。しかし製造に不可欠な希少鉱石「コルタン」の供給不足により、商品化の目処は立てられていなかった。コルタンの大量確保の委託を受けた「岩國スーパーメタル」の社長・岩國はコンゴ民主共和国で鉱山を開発するものの、内戦時の糸を引いた不安定な政情下でゲリラに鉱山を強奪されてしまう。最後の手段として岩國はゴルゴにコンタクトをとるが、ゴルゴは「お前の希望は半分は叶う事になるだろう」という謎の言葉を残して去っていった。
第447話 カメレオン部隊 / 2004年12月
周囲の事物を全身を覆う布状の有機モニターに投影し、さながらカメレオンのように風景に溶け込む光学迷彩服「カメレオンスーツ」の開発に成功したイスラエル軍。イスラエル軍大佐・スレイマンはこのスーツで武装した特殊部隊「カメレオン部隊」を一任されるが、かつてテロ事件で妻を失った怨みから独断でパレスチナの要人達を暗殺するという過激な行動を始めようとする。ゴルゴは慌てた軍上層部からスレイマン達の掃討を依頼されるが、姿すら見えぬ部隊を相手にはたしてどう戦おうというのか。
第448話 ダーティー・ウイング / 2005年1月
スペインのバルセロナで開かれる世界最高峰の鳩レース「バルセロナ・レース」。90年の伝統を誇るこのレースも、近年では人間のスポーツ競技と同様にドーピングによる不正が蔓延り始めていた。ベルギーの愛鳩家ホッパーはレースに向けて国王から託された鳩を飼育していたものの、仇敵のクロードが自身の鳩にドーピングを施していることを知る。伝統あるレースが汚されると憤慨するホッパーと、何としても優勝を勝ち取って手柄にしたい国王の鳩のお目付役ヘルン伯爵は、ゴルゴにコンタクトをとってクロードの鳩を撃ち落とすことを依頼する。
第449話 氷上の砦 / 2005年2月
今期限りで引退を表明したNHLのスター選手・フィッシャーが、中国のナショナルリーグから引き抜かれた有望な新人選手・ワンと対決することになった。極端な有色人種嫌いであるフィッシャーは、もしも東洋人のワンに敗北すれば即日引退を宣言しかねない。穏便な花道を作ってやりたいチームオーナーと、引退後の彼を政界に誘う共和党の選挙参謀の2人はゴルゴとコンタクトをとって、ワンがフィッシャーの守るゴールに点を入れそうになったら狙撃によってパックを弾き飛ばして欲しいと依頼する。
第450話 パライバ・ブルー / 2005年3月
ブラジルのパライバ州でのみ採掘されるパライバ・トルマリンの持つ輝きは、他の何物も及ばぬ至高の青さから「パライバ・ブルー」と賞賛される。トルマリンの買い付けに来て消息を絶った夫を追ってパライバを訪れた逸見忍は、偶然出合ったゴルゴと共に夫の行方を探ろうとする。パライバではトルマリン鉱山のオーナーと、ドイツの宝石バイヤーがトルマリンの独占を巡って角を突き合わせていた。
第451話 亜細亜の遺産 / 2005年5月
敗戦直後、GHQによる占領政策で骨抜きにされてゆく日本を憂いた元帝国軍人の黒田隆之は、反GHQ工作員の養成を目的とした秘密機関「黒田機関」を設立する。戦前の大東亜共栄圏の理念を再興するべく華僑達と接触しながら機会を窺っていたが、しかし一時期行動を共にした天才狙撃手・東郷俊太郎を仲間に引き込もうとして黒田は殺害されてしまい、創始者を亡くした黒田機関は高度経済成長の時勢の中で行動の機会を失った。そして時は流れ現在、かつて黒田の同志だった大東亜産業の会長・高沢は、ゴルゴこそが東郷俊太郎の息子であるという情報を手に入れる。
第452話 亜細亜の遺産その後 / 2005年6月
451話の続編。町道場として存続していた黒田機関を切り盛りしていた黒田隆之の遺児・千絵は、高沢から情報を聞くやゴルゴに復讐を誓い、亡父が遺した華僑とのコネクションが縁で道場で鍛え上げた暗殺者・江兄弟を刺客としてゴルゴの元に送り込む。死闘の末、江兄弟を返り討ちにしたゴルゴは黒田機関の存在を突きとめ、千絵の前に姿を現す。千絵はゴルゴの手にかかる前に毒をあおって自ら命を絶つ。
第453話 依頼保留 / 2005年7月
米国のアラバマ州。依頼人とのコンタクトに応じ、待ち合わせ場所の小学校に足を運んだゴルゴ。が、指定時間の直前になって狂信的カルト集団が学校を占拠する事件が起こり、ゴルゴは子供達と一緒に人質として捕らわれてしまい、突発的なアクシデントの発生によって依頼人の消息すら確認できなくなってしまった。ゴルゴはとりあえず依頼は保留すべきと判断するものの、しかし事件現場を取り囲む警察の包囲網の中では、ゴルゴの存在を知る者達が彼の姿を認めて新たな依頼を行おうとしていた。
第454話 BEHOLDER / 2005年8月
フランスの核物理学者・アドレ博士には、核の闇市場にウラン濃縮技術を流す裏の顔があった。世界の核兵器市場の掌握を目論む博士は、自身の技術力を世界に知らしめるべく、小型核兵器(ミニ・ニューク)を国際テロ組織に供与しようとする。アドレ博士の野心を察知したCIAはゴルゴに博士の暗殺を依頼するが、博士は世界中の監視カメラを利用してその動きを逐一捕捉し、ゴルゴを電子の監視網の中に封じ込めようと企む。
第455話 冤罪許すまじ / 2005年9月
ペンシルバニア州の小さな町・ジョーンズタウン。新進弁護士のハリーは、十年前この町で起こった連続殺人事件を今一度洗い直そうとしていた。犯人として逮捕されたジョン・ドナヒューは死刑判決を受け服役しているが、現在でも無罪を主張している。この町出身でかねてより閉鎖的な町の気風を嫌っていたハリーは、よそ者のドナヒューが町の人々に無実の罪を被せられたのではないかと考え、その冤罪をはらそうと思い立ったのだった。やがて調査を進めるハリーの前にゴルゴが現れ、冤罪事件の調査費用を払うと申し出る。
第456話 ノモンハンの隠蔽 / 2005年10月
中堅の精密機械メーカーを経営する溝口浩樹は、死の床についた父からとある条件と引き替えに遺産を全額譲渡する話を持ちかけられる。その条件とは、太平洋戦争の2年前に起こった日ソ国境紛争「ノモンハン事件」にまつわるものだった。激戦により血で染まった大草原のどこかに、1万人を超える戦死者達の想いを結集したとある「遺品」が埋められているのだという。戸惑いながらも父の条件を引き受けた溝口は、かつての父の部下であった来栖と共に、同じく部下で「遺品」の行方を知る男のいるというフィリピンのミンダナオ島に向かう。
第457話 北京の蝶 / 2005年12月
中国がロシアから購入した航空母艦「キエフ」。「海のテーマパークとして利用する」という名目で購入されたこの軽空母には、背後に隠された秘密計画が存在した。それは自前の空母を所有するという中国人民解放軍悲願の計画である。「キエフ」がリニアカタパルトをも搭載する高性能空母に改造されていることを突きとめた米国は、アジアの軍事的均衡を揺るがす中国の空母保有計画を葬るべくゴルゴにコンタクトをとる。
第458話 海の鉱山 / 2006年1月
スペイン政府関係者を名のる男から、鉱山用ダンプカーのタイヤを生産する工場の工場長暗殺を依頼されたゴルゴ。標的の正体はETAの幹部ということだったが、依頼を遂行したゴルゴはどうやら標的はETAとは無関係のようだと勘づく。依頼に嘘があると判断したゴルゴは依頼人の男を抹殺し、希少金属を扱う米国のレアエレメンツ社との繋がりを突きとめる。レアエレメンツ社は所有鉱山を掘り尽くして現在ではホヤの養殖をしているらしかった。
第459話 世界的大流行 パンデミック / 2006年2月
スペイン風邪以来の恐慌が危惧される鳥インフルエンザ。現在これに対抗できる薬品はスイスのロジャー製薬が開発した「タミール」以外になかったが、ブラジルの野党議員・ブリゾーラは自身の製薬会社でコピー薬を大量生産し、かつて抗HIV薬のコピーが人道的観点から承認された先例をもってこれを認めさせようとする。このことを実績に大統領選に乗り出そうとするブリゾーラを恐れたジョゼ大統領は、ゴルゴに自然な事故死に見える形でブリゾーラの暗殺を依頼する。
第460話 オリガルヒの報復 / 2006年3月
汚職・脱税容疑で起訴されていたロシアの大手石油会社ユーリー社の社長ベリンスキーに有罪判決が下った。判決は明らかに反政府的な姿勢を見せていたユーリー社に対する制裁であり、プーシコフ大統領によるオリガルヒ(新興財閥)への締めつけであることは明白だった。ベリンスキーは獄中でゴルゴとコンタクトをとり、陰謀の首謀者であるシロヴィキ(大統領側近)の代表格・ティシチェンコの暗殺を依頼する。
第461話 至近狙撃 / 2006年5月
科学ジャーナリストの深沢は、取材で訪れたリニアモーターカーの試験場で偶然ゴルゴの姿を目撃する。試験場には明後日に米国務次官補のミルが視察に訪れることになっており、以前ゴルゴの狙撃を目撃したことのある深沢は、ミルが狙われているのではないかと危惧する。厳重な警備に護られているミルを狙撃するにはリニアモーターカーに乗車している最中しかチャンスはないはずだった。
第462話 ドナウ・ライン迷路 / 2006年6月
ドイツワールドカップ開催直前。ウクライナの黒海に面した街、ボルグラードで、ウクライナのエネルギー省の大物、ルスクルがゴルゴによって暗殺された。ウクライナの警察当局はすばやく動き、陸路や空路を封鎖し、また黒海の船舶の臨検もはじめた。ゴルゴはこれらを想定しており、ドナウ川を全速力で遡上し始め、ドナウ源流まで行き、さらに今度はライン川を使って潜行を続ける。実は依頼の性質上、最初の狙撃から5日以内にドイツに居るルスクルの執事が隠し持つデータのメモリーを破壊しなくてはならなかったのである。一方、ゴルゴに敵愾心を燃やすスイス警察のジャヌーは、これを察知し、ゴルゴより先に執事の警護を固め、狙撃阻止は成功したかに思われた。
第463話 ダルフールの悪夢 / 2006年7月
証券会社で働くドーソンはアフリカのスーダンの出身だった。スーダンでは内戦が続いており、彼の両親は政府軍の軍人・サーリフによって虐殺されていた。サーリフは現在軍の幹部となっており、中国と結託し私腹を肥やしているという。ドーソンは両親の復讐とスーダンの平和を願い、サーリフらを「むごいやり方で殺してくれ」とゴルゴに依頼する。ゴルゴはスーダンへと飛び、ヘリコプターのギアを狙撃し、ヘリコプターのローター(回転翼)によってサーリフらは斬首され死に至った。
第464話 環の城 / 2006年8月
ジャーナリストの武文秀は社を追われ、恋人の黄陽輝を連れて、故郷の安徽省の阜陽市に戻ってきた。ところがその故郷では、呉栄林、呉士良と自称する親子が居座っていて、地域を仕切っていた。実は、その村は、金鉱の上に位置しており、呉親子はそれを掘り出し、私腹を肥やそうと企んでいたのであった。親子は、「客家土楼」という、バームクーヘン様の建物に篭城していた。そこにやってきたのはゴルゴだった。ターゲットは呉親子で、ゴルゴは、建物のわずかな空間を縫うような角度で狙撃に成功する。
第465話 リプレイ / 2006年9月
ニューヨークで、ゴルゴは、IT大手のソフトマクロ社社長のガーランドから依頼を受ける。ターゲットは、ソフトマクロ社のライバル企業、ララックス社のカリスマ社長、ウェズリーだった。ウェズリーが消えればララックスは失速し、ソフトマクロは今後も安泰だという。問題は、ウェズリーがララックス社の社長室に引きこもっている点だった。2年半もの間、社長室から出ていないという。この建物は、警備が厳重で、防犯カメラなども多数あり、入館には入館カードが必要だった。建物の外からヘリコプターで狙いをつけられれば手っ取り早いが、9.11テロ以後、ウェズリーは窓をロッカーなどで目隠ししてしまったという。ゴルゴは清掃係に変装して、建物に侵入、狙撃を完遂する。ところが、ゴルゴの変装していた清掃係が容疑者として逮捕されてしまう。
第466話 赤い五月の使命 / 2006年11月
治療薬の一切存在しない炭疽菌。除染の難しさから放置されていた北極海の無人島にある旧ソ連の炭疽菌実験施設が「赤い五月」と名のる旧ソ連軍細菌兵器部隊の退役軍人達によるテログループに占拠される。テロリスト達は島に残存する炭疽菌を生物兵器レベルにまで培養し、軍を冷遇する現政権を転覆させようと企んだのだった。ロシア政府から緊急の依頼を受け、ゴルゴはテロリスト達を殲滅するべく島に飛ぶが、政権中枢にいる内通者よりゴルゴの来襲は事前にテロリスト達に察知されていた。
第467話 ボリバルII世暗殺計画 / 2006年12月
原油価格の高騰で潤う、南米のベネズエラ。反米を標榜しているチャグレス大統領は、国策として映画産業の振興を打ち出す。巨大なセットが用意され、ハリウッドで活動していたラテン系アメリカ人のキャストやスタッフが招集される。ストーリーは、南米諸国を独立に導いたシモン・ボリバルの再来、とされる英雄が、敵役の米国と手を結んでいる勢力を壊滅させる、という、プロパガンダ色の強いものであった。そして、クランクインが迫るが、そこで監督が交通事故で死に、主演俳優も脅しを受ける。それを見て、映画を愛するハリウッドの重鎮がゴルゴ13と接触、主演俳優に攻撃を仕掛けてくる者を片付けて欲しい、と依頼する。
第468話 マイクロテロリスト / 2007年1月
イスラム原理主義過激派が、米国でニパウイルス感染症のバイオテロを引き起こそうとしていた。マレーシアの山奥のある村において、ニパウイルスのキャリアのコウモリが生息していた。これを大量にいけどりにし、米国に空輸し、放とう、というものであった。ニパウイルスは空気感染し、家畜や人間を死に至らしめる。米国に持ち込まれて蔓延し始めたら、防ぐ方法はないという。これに気づいたCIAはゴルゴ13と接触、「コウモリを積んだ自家用機を事故に見せかけて大破・炎上させてほしい」と依頼する。ゴルゴ13は、鳥を狙撃しバードストライクにみせかけて、依頼を遂行した。
第469話 TATTOO・刺青 / 2007年2月
新聞記者の高見は、不可解な交通事故により命を落とした友人の死の謎を探ろうとする。商社に勤めていた友人は、6年ほど前に核兵器開発に転用可能な精密機械の不正輸出に関与した疑惑を持たれていた。高見はその取引相手だったラジャブ・カリームという謎のアラブ人の調査を始めるが、同時期にゴルゴもラジャブの暗殺依頼を受けてその行方を追っていた。しかし現在イスラム過激派の頭目になっているというラジャブは顔すらわからず、その正体は皆目不明だった。手がかりといえば、左腕に蠍の刺青を彫っているということのみであった。
第470話 東ドイツの残骸 / 2007年3月
ボン自由大学のユルゲンス教授は東ドイツ史の研究者だった。ユルゲンスは、死期が近いロシアのカレリン大佐にインタビューしていた。東ドイツの末期、カレリンはKGBの幹部で、東ドイツ政府が握る極秘のファイル「Sファイル」をルーマニアに、さらにロシアに輸送するよう指示を受けた。このSファイルとは、「旧東ドイツ時代、ロシアKGBと一心同体だった秘密警察“シュタージ”に協力していたスパイたちの名簿」であった。さらに、ユルゲンスはこれとは別物の、ゴルゴ13のミッションの記録である「Gファイル」も同時に入手する。KGBの落ちぶれたエージェントが恐喝のネタにとSファイルを強奪しようと動き始め、一方、Sファイルに自分の名が載っているVIPは、ゴルゴ13にSファイルの抹殺を依頼する。
第471話 極東の凶行 / 2007年5月
刑事の韮沢は定年目前であった。そんな韮沢に割り振られた最後の仕事は、失踪人探しである。失踪した堂坂は、千原精密印刷の印刷統括主任で、どうやら仕事関係で失踪したと思われた。韮沢が捜査を進めると、この印刷会社に派遣されていた警備員も同時期に失踪していたことがわかる。そしてこの会社から、なにやら高価な印刷物が成田空港に搬送されようとしていた。この印刷物を強奪しようとするグループが二人を拉致し、輸送の日程などを探り出したのだった。そして、この強奪を阻止するためにゴルゴ13が起用される。
第472話 燃える氷塊 / 2007年6月
メタンが水分子と結合して固体となっている、燃える氷とも呼ばれる、メタンハイドレート。日本の近海の海底にもかなりの量があることが判明したが、それを効率的に採掘するためには、何らかのきっかけが必要だった。海洋生物学者の唐沢は、独自の研究で、ある細菌を特定の条件下で生育させれば、メタンハイドレートを取り込んで気体のメタンに変換させられることに気づく。これを量産化すればメタンハイドレートの開発に弾みがつくが、同時に海水が貧酸素化する恐れがあるので、唐沢は封印していた。この技術に目をつけた中国の実業家が唐沢と助手の津山を誘拐、脅迫してこの細菌を作らせようとする。
第473話 デリートG Gの消去 / 2007年7月
CIA局員のホールデンは、上司のグローバーから密命を受ける。同僚のウイリアムスと二人だけで、「ゴルゴ13の存在がどれほど米国の脅威か」をレポートにまとめよ、という任務だった。この密命は、CIA対テロセンターのレッド副所長からグローバーに指示された指令だという。二人は調査を開始するのだが、グローバーの自宅のガーデンパーティーの最中、グローバーの手にしたグラスが吹き飛ばされ、メンバーはこれをゴルゴ13からの警告だ、と解釈する。さらに、指令を下したレッドが殺害され、CIA対ゴルゴ13の緊張が高まっていく。
第474話 歴史の底に眠れ / 2007年8月
1940年、ゲーリング率いるドイツ空軍は英国のコベントリーに大規模な空爆をかけ、多くの市民が犠牲になった。この件に関して、「英国は、エニグマを解読していて、事前に空爆を知っていたが、エニグマを解読していることをドイツ軍に気取られないため、あえて空爆させるままにしていた」という説が、戦後もずっとささやかれていた。この説はいわば都市伝説で、真偽はあいまいなままだったが、これが事実であることを裏付けるSPレコードが、沈没船から引き上げられようとしていた。もしそれが成功して公表されると、英国政府は、市民から天文学的な損害賠償請求を起こされ、また、当時のチャーチ首相の名誉も失墜する。この事態を避けようと、ゴルゴ13に、「SPレコードが引き上げられたら木っ端微塵にしてほしい」と依頼がなされる。
第475話 聖なる銀行 / 2007年10月
イタリアで、ある殺人事件の判決が言い渡されようとしていた。発端となる1982年、イタリア政財界、そしてマフィアを巻き込んだ、アンブローナ銀行の違法融資が発覚し、当時の頭取のカッシーニが縊死した。カッシーニは自殺ではなく他殺だったとして3人が起訴されたが、結局全員が無罪判決を下される。カッシーニの息子のロッコは、判決の内容に納得せず、地道に調査を続けていくが、父の死が「アローン」というキーワードと関係があるのをつかんだところで、口封じのために暗殺されてしまう。一族の恨みを晴らそうと、カッシーニの母は、ゴルゴ13に依頼、正体不明のアローンの抹殺を依頼する。
第476話 アナライズ・ウクライナ / 2007年11月
2006年、MI6は新聞広告でエージェントを募集して話題になった。それに応募して採用されたのが、ジェレミー・デイビスという若者だった。ある日、ジェレミーがトイレでさぼっていると、他のエージェントの会話が漏れ聞こえた。ウクライナで、大統領と首相の専用車が狙撃された、ただ防弾ガラスで、大統領も首相も無事だったという。ジェレミーはこの話を飲み友達のダグ・ヒギンズに伝える。ダグはかつてMI6で有能なアナリストとして働いていたが、今は身を持ち崩していた。ダグの解釈によれば、親欧米の大統領と、親ロの首相、両方に同時に威嚇した、ということは、ウクライナの民族主義者の仕業と考えられるという。やがて、そのグループの正体は、ガリツィア師団と判明し、MI6はリーダーの暗殺をゴルゴ13に依頼する。
第477話 死を呼ぶ汽笛 / 2007年12月
科学ジャーナリストの深沢は訪れていた山形県の酒田市北港で、ゴルゴと地元の大手商社社長の平井が密会している場面を目撃する。事の真相を追う深沢は平井社長や知人の浅田に接触を図り、平井が両親の仇を取ろうとしているのではないかと推論するに至る。しかし仇とされるクルチャトフという人物の顔は分からないまま、ロシアからKBP社の使節団一行が来日する。仕方が無く深沢は一行を尾行するが、その一方でゴルゴは酒田市北港で待機していた。
第478話 極北のテロル / 2008年1月
イヌイットの過激派グループが米国政府の油田開発に反発し、核物質を用いたテロにより開発計画を頓挫させようとする。グループを率いるリーダーのデゴスはアラスカの地形や自然に長けており、警察の精鋭部隊を翻弄し、遭難寸前にまで追い詰める程であった。米国からテロリストグループの殲滅の依頼を受け、グループの痕跡を辿りながら追跡するゴルゴは、以前追跡部隊から追われている最中にデゴスに助けられたことを回想していた。程なくしてゴルゴはデゴスらがいる地点に到達し、氷上で決死の攻防が始まる。
第479話 愚か者の銃 / 2008年3月
ここ数年来、銃器による犯罪が急増しているマイアミ。現職市長のジョイは銃規制法案を熱心に推進していたが、強硬な規制反対派で次期市長の椅子を狙うロバートからの執拗な嫌がらせを受けていた。ジョイはめげずに法案を推進しようとするが、ある晩規制反対派と見られる暴漢がジョイの妻を銃殺し、衝撃を受けたジョイは自ら命を絶ってしまう。それから1年後、暴漢の正体が新市長に就任したロバートであることを知った老母のアンジェラは、友人の薦めでゴルゴとコンタクトをとる。
第480話 ノストーラの予言匣 / 2008年4月
「ノストーラの予言匣」という怪しいウェブサイトが、放射能に汚染された旧ソ連の人工衛星が米国東海岸に落下すると予言。その予言通り、その人工衛星はテログループによって乗っ取られ、制御不能となってしまった。ワシントンD.C.は放射能汚染のニュースで混乱状態になり、市民による暴動も発生していた。この危機的状況を打破するために、米国政府はテログループの特定とその殲滅をゴルゴに依頼する。
第481話 殺人投資 / 2008年5月
世界各国の情報機関の末端職員を駆使して暗殺計画の情報を仕入れ、株の空売りをして荒稼ぎをしていた投資会社。それは文字通りの殺人投資であり、ゴルゴによる狙撃も利用されていた。投資会社会長のアイバンは、最後の一大ビジネスとしてゴルゴによる大統領候補狙撃の情報を利用しようとする。
第482話 ピジョンブラッド 失落の鑑別書 / 2008年5月
ルビーとサファイアの取引市場で大きな規模を誇るタイ。色宝石の鑑別に関してはスイス系のハウゼン鑑別会社が大きな力を持っており、ハウゼン鑑別会社社長のベッカーは業界最大手であるJ・ギュルダン社社長の娘婿でもあった。しかしベッカーはルビーの鉱床を手に入れた暁には親会社であるJ・ギュルダンを吸収し、世界市場を席巻しようという野望を秘めていた。このことを察知したJ・ギュルダン社社長はベッカーの排除をゴルゴに依頼しようとする。
第483話 ハインリッヒの法則 / 2008年6月
シュレッダーにかけられた残骸から復元された文書により旧東ドイツの原発事故が発覚。当時の所長であったバーサイトはその事実を揉み消したが、技師の一人が業務日誌の中に告発文を含ませていたのである。民放ニュースキャスターのギュンターはバーサイトの過去を暴露しようとするが、執拗な妨害工作により遂には重傷を負ってしまう。ギュンターの恩師であるハインツ博士はベルリンの壁に秘匿された原発事故の証拠の発見と一連の真相の解明をゴルゴに依頼する。
第484話 不可能侵入 / 2008年8月
ペルーの大富豪から、娘を殺害した極左翼ゲリラの女幹部の殺害を依頼されたゴルゴ。しかし、標的は男子禁制の女子刑務所に収監されており、通常ルートでの侵入は不可能に近かった。そこでゴルゴは特注したセスナ機で刑務所付近に接近し、エンジントラブルに見せかけて不時着。怪我人として担架に乗せられ、刑務所内に潜入を果たす。特別独居房内に標的の姿はなく、笛の音色に気づいた標的が扉の隙間から顔を覗かせた瞬間を狙い、射殺する。
第485話 欲望の輪廻転生 / 2008年9月
ヒマラヤ山脈の山中に20億円分の札束を積んだ飛行機が墜落。その一部始終を目撃した亡命チベット人の若者達がチベット独立を掲げるテロ組織結成の資金にするため、その金を手中に収めようとしていた。中国政府はフランス政府からの情報で事態を把握し、チベット人によるオリンピックへのテロ行為を懸念する。彼らの行動を阻止するためにフランス警察が現地入りし、更には中国政府からテロの阻止を依頼されたゴルゴが現地入りする。カトマンズへ向かう若者グループは道中で散り散りになり、追跡してきた警官隊に射殺されてしまう。しかし、聞こえてきた銃声が拳銃ではなくマシンガンであることから、グループのリーダーであるカンツォは追っ手が警察ではなく、マフィアだということに気づく。
第486話 許された命 / 2008年11月
空港のロビーにいたゴルゴはふと視線を向けた少年の胸のロザリオからある依頼を回顧する。大病院の理事長の息子が親に反発してしまい、不良グループと行動を共にし、果てには銀行強盗を働くが、逃走する際に警備員に射殺されてしまう。悲嘆に暮れる父親は息子を悪の道に引き込んだ不良グループの抹殺をゴルゴに依頼する。ゴルゴはグループのメンバーを次々に処理していくが、最後の1人の射殺を一時延期することを申し出る。
第487話 アジ・ダハーカの羽 / 2008年11月
インドの自動車メーカーがエタノールを主燃料とする、新型エコカーの販売を発表した。エコカーのエンジニアであるビハリは恩師の遺品であるUSBメモリから新型エコカーに隠された恐るべき陰謀を知ることになる。それはエタノール燃料精製時に穀物を大量消費させ、国内の食料供給の不安定化をはかり、自動車メーカーが政府と穀物栽培促進を取り付ける代わりに、その見返りとして酒造メーカーから多額の献金を募るという筋書きであった。ビハリは一連の陰謀を告発しようとするが、部下は懐柔されてしまい、更には肝心のUSBメモリまでも奪われてしまった。ビハリは生前の恩師と親交があった老師の前で自分の無力さを懺悔するが、その物陰にはゴルゴの姿があった。
第488話 恐慌前夜 / 2008年12月
深刻化する金融危機を防ごうと、金融業界に対して資金供給を求めるアメリカ政府。しかし、保守的な考えを持つ大手銀行や国家権力による介入を好まない巨大保険会社は資金供給の要請を渋る。財務長官はアメリカ経済、更には世界経済を守るために、資金供給を拒む巨大保険会社幹部の狙撃をゴルゴに依頼する。
第489話 魑魅魍魎の井戸 / 2009年1月
日本の石油会社がイラクで石油採掘プロジェクトを始動させた。石油技師の佐嶋は身の危険を承知で、現地でプロジェクトを進行させていた。試掘作業の帰路にて、プロジェクトチーム一行は過激派の武装グループに襲撃されてしまい、佐嶋は技師に扮していたゴルゴと共に人質として捕われてしまう。米陸軍が武装グループとの人質解放交渉に乗り出し、特別交渉人として民間警備会社CEOのディクソンに白羽の矢が立った。ディクソンはイラクと米国の混血であり、アラブ語が堪能で、現地の情勢にも明るかった。一方で人質となっていたゴルゴの狙いは日本人石油技師を狙うテロ組織のボスの特定とその始末で、その依頼主は新保守主義 (アメリカ合衆国)のグループであった。
第490話 誰がそれを成し得たのか / 2009年3月
フィリピンのカラミアン諸島のとある島。日本から派遣された技術者グループは天然ダム決壊による甚大な被害を防ぐため、岩場の爆破して土石流の流れを変えることを計画。しかし岩場を爆破するためには遠隔操作で起爆を行う必要があり、技術者グループの一人である杉原は居合わせたゴルゴに発破装置の狙撃を依頼する。
第491話 アレーナ・ディ・ヴェローナ / 2009年4月
世界的に有名なテノール歌手のエンリコ・ペルッツィは、自分自身の声が衰えたことに悲嘆してしまう。祖国イタリアで行われるオペラを最後に舞台を去る決心をし、シチリア島で行われたカーニバルの裏でゴルゴと接触を図っていた。エンリコの言動を不審に思った放送作家の吉村はエンリコが何者かに自分の狙撃を依頼したのではと疑い、一連の様子を記録しようとオペラ会場一帯にカメラを配置する。
第492話 甦る潜像 / 2009年5月
チリの名士であるラウルは、アンデス山脈で氷漬けの死体とカメラが発見されたことを記事で知る。複数の状況証拠から死体の正体が、かつて秘密警察に在籍していた頃に処刑した恋人のモニカであることを悟る。ラウルはフィルムが40年経過した現在でも現像可能だと知り、自分の過去を隠匿するためフィルムの抹消に動き出す。
第493話 顔のない死神 / 2009年6月
正体不明の武器商人ガブリエルの側近アルキニスが組織を裏切り、出頭してきた。インド洋上の軍事基地にてCIAとMI6による合同尋問が行われていたが、その最中アルキニスは自分の命がゴルゴに狙われていることを告白し、基地は一気に厳戒態勢が敷かれることになった。そこにロシアのFSB(連邦保安庁)の捜査官ボルツが尋問への立ち会いを要求してくる。一方でゴルゴは警戒網をすり抜けて上陸に成功しており、更に基地への侵入も果たしていた。移動を頑なに拒むアルキニスを連れて基地を脱出しようとしていた一行の背後では、ボルツがアルキニスを刺殺しようとしていた。
第494話 ギザの醜聞(スキャンダル) / 2009年7月
英国の名門考古学一族・ウェザー家の跡取りであるマーチン・ウェザーは、クフ王に関する世紀の大発見を成し遂げようとしていた。しかし、砂の中から発見されたのは第二次世界大戦に撃墜された自国の戦闘機スピットファイアの残骸だった。マーチンは自分自身の名誉を挽回すべく、長年に渡り発掘作業の責任者を務めているという男に接触する。その後行われた定例学会にて、マーチンはピラミッドのキャップストーンの発見に成功したと報告する。
第495話 高度1万メートルのエピデミック / 2009年9月
高度1万メートルを飛行中のニューヨーク行きの旅客機内で、謎のウイルスの感染者が見つかった。ホワイトハウスでは生物兵器によるテロを示唆する電子メールが届いたとCIAより報告があり、エピデミックが懸念され、米国大統領は緊急措置を取ることを決定した。その一方で、機内ではウイルスの感染を恐れた副操縦士が機長を締め出した上に同僚を殺害し、操縦室を占拠してしまった。ニューヨークへの着陸許可を求める副操縦士は機長が暴走したため操縦室を占拠していると報告がするが、その説明内容の矛盾や副操縦士の経歴からしても虚偽の報告であることは明らかであった。
第496話 グアンタナモの地雷原 / 2009年10月
キューバにあるテロ容疑者収容施設、グァンタナモ米軍基地で収容者に対する拷問・虐待の事実が露見し、施設の閉鎖が決まった。基地司令官のコーウェンから内部情報密告者の始末を依頼されたゴルゴは、囚人として収容施設に潜入し、雑居房に集めた囚人たちの中から密告者の特定を開始する。
第497話 楼蘭・さまよえる死神 / 2009年11月
ウイグル自治区で発生した暴動に紛れて、一人の活動家ウルハムが中国人民解放軍の医療施設から機密カルテを強奪し、タクラマカン砂漠へ逃亡した。砂漠特別警備隊が人海戦術を駆使してウルハムの追跡を開始する一方で、ゴルゴもとある依頼を受け、この地に足を踏み入れていた。タクラマカン砂漠にある楼蘭遺跡では、軍に立ち入りを許可された日本人植物学者の藤山が現地ガイドと共に砂漠緑化についての調査を行っており、その移動の最中に意識を失っているウルハムを発見する。
第498話 檻の国 / 2009年12月
パレスチナ自治政府のガザ地区。イスラム過激派組織ハマスの支配するこの地域は長大な壁が周囲を囲んで住民は自由な移動を禁じられ、「檻の国」と通称されていた。隣接するエジプトはハマスとの友好関係から窮乏する生活物資の供給に応じていたが、思わぬことからガザの紙幣が偽造紙幣で汚染されていることを察知する。敵対組織ファタハの差金であり、両組織の抗争が激化してその波紋が自国に及ぶことを危惧したエジプト総合情報庁部長のハーミドは、ゴルゴにファタハの頭目ナビールの暗殺を依頼する。
第499話 凋落した名車 / 2010年2月
ドイツの名門自動車メーカー・ライマー社の会長バートランドは子会社であるフォルツ社を吸収合併することで、何とか経営危機を脱しようとしていた。フォルツ社の社長クルトは会長のディートリヒの娘婿であったが、会長のやり方には疑念を抱いていた。そして、フォルツ社による記者会見にてライマー社の経営危機の事実が露見してしまい、ライマー社の経営陣はフォルツ社のクルトの抹殺を計画する。
第500話 史上初の狙撃者 ザ・ファースト・スナイパー / 2010年3月
金ヶ崎の戦い直後の杉谷善住坊による織田信長への狙撃は、確実な記録が残る中では一説に最古の狙撃事件といわれる。ゴルゴは善住坊を先祖に持つ杉谷俊一から狙撃の依頼を受けるものの、その依頼には善住坊の遺した火縄銃を使い、かつての信長への狙撃を再現して欲しいという条件がつけられていた。ライフリングが切られておらず射程距離も短い火縄銃を用いて標的を仕留めるという困難な依頼は、同時に「日本一の鉄砲名人」と讃えられた善住坊の狙撃失敗という大いなる歴史の謎へ迫る挑戦でもあった。

第501話 - 第600話

“話数 題名 / 発表年月”の順で記載

第501話 偽装依頼 / 2010年4月
元CIA幹部のランスフォードはゴルゴへの依頼を利用したビジネスを思いつく。それは依頼人から預かった依頼料の半額を着服し、残る半分の依頼料と手配した依頼主の替え玉を使って、ゴルゴに依頼を行うという計画であった。ニューヨークマフィアのボスから中国マフィアのボスを依頼されたランスフォードは、かつてハリウッドで活動していたキャスティングディレクターのオブライエンのもとを訪れ、替え玉となる役者の選定を始める。
第502話 キメラの動力 / 2010年5月
日本の大手自動車メーカー・タイガ自動車が新型電気自動車開発計画を始動させ、新型車のバッテリーは家電メーカーのバッソーナが担当することになった。タイガ自動車の及川とパッソーナの弧桐は大学の先輩後輩の関係にあったが、その過去には浅からぬ縁が存在していた。紆余曲折を経て、意を決した弧桐は中堅自動車メーカーである藤崎重工を吸収合併することを発表し、そのまま電気自動車製造に乗り出してしまった。
第503話 ACT-X / 2010年7月
カリブ海有数の観光都市であるカンクンを訪れた日本人記者の2人組。否応なしに環境テロ組織の取材を命じられた梶本、その一方で本社への復帰の検討を条件にビーチバレーの国際大会を取材することになった朝比奈。試合会場のテントで麻薬組織のボスと謎の男がACT-Xなる新薬について会話をしているところを耳に挟んだ朝比奈は、謎の男の正体を追う。メキシコ代表選手の異様な反応速度からドーピングであることは明らかで、朝比奈は隙を見てメキシコ代表選手のテントに潜入した。しかし、選手らの荷物を物色している最中に謎の男に拳銃を突きつけられてしまう。
第504話 BROTHER HOOD・絆 / 2010年8月
日本の公安調査庁職員である兄がエチオピア在住の弟を訪れる。突然やってきた兄に対して弟は不快感を示し、兄の家庭を巡る過去の確執から殴り合いの喧嘩に発展してしまい、お互いが力尽きるまで続いた。日本から輸送中だったコンテナがソマリア沖で海賊に奪われてしまい、その海賊と接点がある遊牧民との仲介をしてもらいたいと頼み込む兄に対して、弟は複雑な感情を抱かずにはいられなかった。
第505話 標的は陽気な悪魔 / 2010年9月
ジンバブエ経済を危機に陥れるハイパーインフレ。MDC(民主変革運動)活動員のボネットからハイパーインフレの元凶であるジンバブエ準備銀行(ジンバブエの中央銀行)総裁の排除を依頼されたゴルゴ。報酬として用意された金額は1300京ジンバブエ・ドル。しかし、このジンバブエ・ドルは1日でその価値が1割に下落するという通貨だった。
第506話 天空の毒牙 / 2010年10月
スイス銀行頭取が謎の飛行物体に相次いで襲われ、怪死してしまった。一連の事件を連続殺人と断定したスイス警察のジャヌーは事件の真相を追い始めたところ、ゴルゴがスイスに入国したと連絡が入る。ジャヌーはゴルゴが事件関係者から依頼を受けて行動を開始したと推察し、事件の解決とゴルゴの逮捕に向けて動き出す。飛行物体の正体が徐々に明らかになる一方で、今回の連続殺人事件の背景整理もまとまりつつあった。ゴルゴの依頼主は死亡した頭取たちと関係があった銀行の頭取たちで、この事件以降は消息不明となっていた。ジャヌーは彼らが安全確保のために雲隠れした上で、ゴルゴに犯人殺害を依頼したと推理する。
第507話 極北航路 / 2010年11月
地球温暖化による北半球極地の氷解が進み、従来の3分の1程度の距離で欧州諸国と極東アジア地域を結ぶことができる新航路の存在が浮かび上がる。それは世界の軍事と経済のバランスを覆す可能性があった。北海道の代議士である峯岸と異母弟で日系ロシア人のシェバーキンが日露共同の港湾整備計画を推進する。
第508話 キャノピーからの使者 / 2011年1月
とある製薬会社の専務の依頼により、コスタリカの密林で生物学者の事故死を偽装したゴルゴ。しかし、宿泊していたホテルで原因不明の高熱を発症してしまい、容体が悪化してしまう。一方で依頼主もゴルゴと同様の症状を発症し、重役会議の最中に急逝していた。ゴルゴはコスタリカのホテルで診察を受け、病因がヤドクガエルの毒の皮膚接触であることを知る。題名のキャノピーは日本語では林冠。
第509話 異次元実験の危機 / 2011年2月
世界最大の粒子加速器を備えるCERN(欧州原子核研究機構)。その加速器への電力供給を担うフランスの変電所で、工作員による送電設備の破壊工作が発生する。ゴルゴは変電所破壊阻止とテロ首謀者の殺害を依頼されるが、テログループの真の狙いは変電所破壊ではなく別のものにあった。
第510話 善人の死 / 2011年3月
明らかな異変を見過ごしたことで、一家惨殺事件を防げなかった警官。それから十数年経ち、元警官はとある田舎町で保安官をしていた。町で起こった不審火の事件を捜査していく中で、現場に残された発火装置の残骸や犯行の特徴から、過去の不審火を含めた連続放火事件の犯人を逮捕した。犯人逮捕を受けてTVクルーの取材を受けるが、その様子を惨殺事件の遺族が偶然目にしてしまう。
第511話 スヴァールバル 冷たい海岸 / 2011年4月
ノルウェーの北部に浮かぶスヴァールバル諸島で働いていた炭鉱作業員が、なぜかロシア北部のムルマンスクの港で射殺体で発見された。一連の経緯について説明を受ける息子だが、遺体の鼻腔に炭塵が付着していること、さらに警察の説明にも不審な点があることから信用できないと判断。父の死の真相を探るため島を訪れようとする息子は、その道中の船内でゴルゴの姿を目撃する。また同時に転倒にしそうになった老人を助け、客室に招かれた息子は老人に自分が島へ行く理由を問われ、自分の父親の死について不審な点があることを語る。
第512話 日・ASEAN会議 / 2011年5月
官房審議官の日村に中国大使館時代の旧友から重大情報が伝えられる。その情報によると、ASEAN会議の開催準備が進む香川県高松市で中国の過激派組織による爆弾テロ計画が進められているという。西日本の各府県警の精鋭で構成された対テロ捜査本部が市内一帯の捜査を開始する一方、日村は東京でゴルゴと接触し、テロ阻止を依頼する。しかし、捜査チームに追い詰められた過激派の一味が時限爆弾の起爆装置を作動させ、そのまま拳銃で自決してしまう。
第513話 G13ファイル / 2011年6月
国際指名手配されていた、内部告発サイトのリアルリークスの創設者ジョルダンがイギリスで出頭する。ジョルダンはアメリカ陸軍関係者が持ち出した国家機密情報ディスクから、ゴルゴの機密情報が記録されたファイルを入手していた。ジョルダンは一切の情報を公開することを決意し、下準備を整えた上で、ゴルゴとの直接取引に動き出すが、ゴルゴは全く意に介さず取引を拒絶する。
第514話 外交伝説の男 / 2011年8月
最新科学技術の海外への売り込みで、日本を追い越し、さらなる優位に立つ中国。これは技術立国である日本にとって死活問題であり、外務省の小野寺は部下と共にベトナムへと向かい、中国外務省のブレーンを正体を探る。そして、その正体が元日本外交官で数々の商談を成立させながらも、ある一件以来消息を絶っていた桐嶋であることが発覚する。桐嶋の狙撃を依頼されたゴルゴは桐嶋が隠居生活を送る豪邸に関する全てのデータを分析した上で、依頼を受けるかどうか決定すると返答する。
第515話 巨人共のシナリオ / 2011年9月
米国大統領側近のオニールと中国海軍大佐の王、二人のエリートが大手インターネット検索サイトの中国進出について行われた交渉の席で対立する。その場を取りなそうとした中国情報通商部の陳が突如として狙撃されてしまうが、オニールはその時の王の挙動に不信感を抱いていた。同時期、ジャスミン革命をきっかけに中東地域での民主化運動が活発し、中東情勢がより緊迫していく一方だった。その矢先に日本で東日本大震災が発生し、混乱した東京株式市場は米中双方の金融作戦に翻弄される。そして、王は原子力駆逐艦で日本の領海を侵犯し、ついに米国を挑発する行動を開始した。対するオニールはゴルゴに連絡を取るように指示を出す。
第516話 FRIENDS / 2011年10月
学生時代より20年来の友情を育む3人の男女。久々に再会した男達は女の故郷であるリビアの戦災被災者支援を計画するも、その援助物資の中には内戦を助長する銃器が紛れていた。親友の裏切りを知った女は行動を起こす。
第517話 ミクロの油田 / 2011年11月
米国のアルギ・グリーン社は、ボトリオコッカスという藻を品種改良して、バイオマスのオイルを生産しようとしていたが、思うように成果がでなかった。同時期、日本では水島国際大学の白髪教授が、オーランチオキトリウムという別の藻を使い高効率でオイルを生産する研究にめどをつけた。アルギ社は、白髪の助手の塩見を買収し、オーランチオキトリウムの原種株を盗み出させて手中に収める。
第518話 流星雨の彼方で / 2012年1月
NASA職員から旧ソ連のキラー衛星のパスワードを得た中国の工作員。その工作員が交通事故死の直前にキラー衛星の情報をイラクへ渡しており、キラー衛星の標的が国際宇宙ステーションであることが発覚する。日米露の関係者会議の依頼で、ゴルゴはキラー衛星破壊のため日本のHTVに乗り込むことになる。
第519話 1万キロの狙撃 / 2012年2月
単行本未収録。中東リビアのシルト近郊で米軍の無人機攻撃部隊がゴルゴの乗った車を誤爆。瀕死の重傷を負ったゴルゴは何とか車外へ這い出し、通りすがりのトラックを奪い現場から去る。誤爆に気付いた部隊のリーダーはゴルゴに対する積年の恨みから次々と無人機による空爆を仕掛けていく。絶体絶命の窮地に立たされたゴルゴは自分の容体を確認しながら、チュニスの病院へと急ぐ。しかし、日和見を決めたCIAが敵に回ってしまい、さらには医療ロボットも空爆で破壊され、治療する手段が絶たれてしまう。
第520話 未病 / 2012年4月
鍼灸医学の国際基準を巡って中国と韓国の鍼灸学会が対立する中、香港で世界鍼灸友好会が行われる。中国学会の積極的なアピールや韓国学会会長の金の穏健主義に業を煮やした韓国学会副会長の朴は一つの結論に至る。ゴルゴを利用して中国学会会長の王の暗殺を画策するも、ゴルゴはその依頼を拒否する。疑問に思った朴は依頼拒否の理由を考え、王が既に金の暗殺を依頼していたからではないかと推測する。
第521話 STOCK / 2012年5月
引退した銃床職人ピエールのもとをゴルゴが訪れ、仕事を依頼するが、ピエールはそれを拒否した。そして、その日から度々訪れるゴルゴになぜ自分に仕事を依頼するのか、その理由を聞き、それに納得したピエールは銃床の製作に取り掛かる。
第522話 13番目の客 / 2012年5月
ベルリンの古城ツアー当日、定年を迎えるCIAのマイクは妻のキャサリンと共に他の五組の参加者と送迎バスに乗り込む中、ゴルゴもツアーに参加していた。夕食を済ませた後、自分の部屋に戻ったマイクは持参したノートPCでバッハの曲を聞いていたその時、ゴルゴと対面する。
第523話 スナイパーたち / 2012年6月
米国大統領のアフガニスタン訪問を狙い、アルカイダがゴルゴに大統領暗殺を依頼したという情報をCIAが入手。CIAから全権を委託されたオズボーン顧問はSWATと陸軍からそれぞれ選抜した精鋭の狙撃手で狙撃チームを編成し、自らは観測手を務める。囮の依頼でゴルゴをカナダのバフィン島へ誘い出し、ゴルゴが標的の狙撃に成功する瞬間を狙い、ゴルゴの狙撃を開始する。一方で狙撃に気づいたゴルゴは待ち伏せされていたと断定し、荒涼とした戦場でサバイバル戦へ突入する。
第524話 血まみれのマハ / 2012年7月
二人一役であることを隠しながら、殺し屋のマハとして活動する双子の姉妹。冷徹な姉イレーナが組織を裏切り、麻薬取引の代金強奪計画を開始する。一方、マハが二人一役であることを知らない組織のボスは、一流の殺し屋になるための経験としてゴルゴのサポートを妹モニカに申し付ける。
第525話 顔のない男 / 2012年8月
リビアでは長くカダフィの独裁政権が続いていたが、アラブ民主化の波がリビアにも押し寄せ、カダフィは追い詰められていた。カダフィは、アブドという俳優に影武者を演じさせていた。ある日、本物が外出中に、アブドはカダフィの隠し部屋をのぞいてしまう。その部屋には、作戦指令書、隠し財産や武器の隠し場所、さらにはゴルゴの情報などが保管されていた。やがて、カダフィの死が報じられる。アブドは、引き続きカダフィを演じ続け、テログループの壊滅をもくろむ。
第526話 軍隊を持たぬ国 / 2012年9月
アイスランドは独立時の協定で、独立以来軍隊を持つことがなかった。冷戦時は米軍が基地を置いていたが、2006年に米軍は撤退し、これでアイスランドは外敵に対して無防備状態になってしまう。中国の不動産王の陸がこれに目をつけ、中国共産党の意向も汲み、アイスランドに大規模な地上げを仕掛ける。アイスランドの0.3%の土地を買収し、ここに世界最大のテーマパークを建設する、と宣言する。しかし、これは表向きで、買収後には多数の中国人を移住させるとともに、中国の通貨や習慣も持ち込むことで、実質的な植民地化を目論んでいたのである。事態を察知したアイスランド内務省はこの買収を不許可とするが、陸は引き下がらない。今度はアルミ精錬工場の買収を試み、買収した工場と土地を橋頭堡に、移住計画を推し進めよう、というのである。そうして、緊張感が高まったところで、アイスランド首相から面会の場が設定される。しかし、これは罠であり、陸は結局、事故死に見せかけてゴルゴに暗殺され、中国の野望は潰える。アイスランドでは、もし他国からの侵略を受けた場合は国としてゴルゴを起用する、という秘密協定が政党間で口頭で交わされており、これが発動されたのであった。
第527話 ペルシャ湾危機 大統領選異聞 / 2012年11月
米国は大統領選が進行中で、現職の民主党のオズマと共和党候補のニームが舌戦を繰り広げていた。ニーム陣営は劣勢を跳ね返そうと、ユダヤ票の取り込みを狙って、「エルサレムはイスラエルの首都である」と明言しイスラエルやユダヤ系の支持を取り付ける。ニームはさらに踏み込んで、イランの核施設を空爆してはどうかと焚き付ける。この空爆によってタカ派的イメージを打ち出したいがためであった。結局、イスラエルはついに空爆を決断する。同じ頃、ゴルゴはイランのテヘランのバザールに現れた。ここで警官ともめて逮捕されてしまう。実はゴルゴはEU首脳からイランの核施設破壊を依頼されており、そのミッション遂行のためにわざと逮捕されたのであった。この逮捕の様子を、日本の毎日新聞の記者が目撃しており本社に連絡するが、本社の上司は、その男はあまりに危険なので深追いするな、と指示する。
このエピソードは毎日新聞とのタイアップが行われており、2012年11月7日付夕刊の1面右上の題字のすぐ下に掲載された広告に呼応する形で、翌日11月8日付朝刊の1面右上の題字のすぐ下に広告が掲載された。
第528話 苦いチョコレート / 2013年1月
アマダは、マリ共和国生まれだが、少年時代に誘拐同然にコートジボワールにつれて来られ、カカオ農園で児童労働者として働かされていた。しかし、ある時、脱走に成功し、まともな人生を歩むことが出来た。そのカカオ農園で児童たちを酷使していたのはヤヤという男であった。アマダは、ヤヤの狙撃をゴルゴに依頼する。
第529話 腐食鉄鋼 / 2013年2月
日本の鉄鋼業の大手、大日新鉄鋼と済川金属が合併を発表した。その裏で、大日新鉄鋼は問題をかかえていた。競争力にすぐれている方向性電磁鋼板は中国の追い上げを受け、自動車鋼板の技術も、いつまで優位を保てるかわからない。さらに、実は、40年前に出荷した素材に関して不正を行っており、その件が中国の担当部局に知れ、黙っている代わりにカンボジアで中日合弁事業を始めろ、と圧力をかけてくる。もしその事業を始めれば、今度は自動車鋼板の技術を中国にさらけだすことになってしまう。この圧力をかわすためには、40年前の不正を改めて糊塗するしかなかった。そのために、ゴルゴが起用され、つくば市の研究施設にある40年前の素材の破壊が依頼される。
第530話 獣の穴 / 2013年3月
公安の三輪は、甥の様子を見に浜松のマンションをたずねる。その甥の部屋の隣の部屋を使っている自称鈴木は、風貌からどうやらゴルゴではないかと思われた。三輪はその部屋を調べ始める。
第531話 寡黙なパートナー / 2013年4月
大手海運会社の貨物船の船員が、船に犬を乗せ、検疫を経ないまま北海道に上陸したが、その犬はどうやら狂犬病にかかっており、さらに犬から船員も狂犬病に感染した可能性があった。海運会社の上層部はこの不祥事を闇に葬るべく、ゴルゴと接触し、もし犬と船員が狂犬病に感染していたら、抹殺し、さらに埋めるよう依頼する。ゴルゴは元警察犬を使い、船員の追跡を始める。
第532話 震える修験者 / 2013年5月
CIAの情報分析部長、カムシンは作家のマンディ・ワシントンを訪ね、驚くべき動画を見せる。それは、日本でゴルゴが過酷な修験道の修行を行っている動画であった。そして、よく見ると、ゴルゴの右腕が震えているようである。どうやら、ゴルゴの持病が再発し、のみならず症状が悪化しこのままでは仕事をこなしていけないため、ゴルゴは修験者に弟子入りし、過酷な修行を経て、精神力によって右腕の不調を克服しようとしているようだった。ワシントンとカムシンは専門医にゴルゴの症状を伝え、専門医は、ギランバレー症候群をはじめ、遺伝性圧脆弱性ニューロパチー、急性間欠性ポルフィリン症、手根管症候群、血管迷走神経反射、本態性振戦などの病名があげるが細かな点でゴルゴの症状と一致せず、いずれも否定される。そして修行で絶食し、体力の衰えたゴルゴを、中国の特殊部隊が付け狙う。
第533話 DEATH POOL(デスプール) / 2013年6月
世界的な有名人を10人ピックアップし、その中で誰が最初に死ぬかを当てる不謹慎な賭け、それがデスプール。美術商のモーガンはこの賭けに負け、50万ドルを失う。モーガンは負けを取り返そうと、アフリカのある国の大統領の死に100万ドルを賭ける。ゴルゴがこの大統領の狙撃を請け負った、という極秘情報を得たためだったが、これはデスプールの参加者が流したガセネタだった……。
第534話 父という男 / 2013年7月
外科医の国分は、「第三者の精子提供で誕生した当人は、精子提供者がだれであるか知る権利がある」と主張する。一方、産科医の上松は「匿名のままであるべきだ」と主張していた。ところが国分は、父以外のだれかの精子で誕生した、しかもその提供者は上松かもしれない、と知る。国分はゴルゴに接触し、上松の小指の狙撃を依頼する。
第535話 森と湖の国の銃 / 2013年8月
フィンランドの漫画家のハロネンは、その日もいつものように自宅の2階でヘッドフォンをかけてマンガを描いていた。ところが、その間に、強盗が侵入し、1階に居た妻を銃で殺害し現金を強奪する。やがて犯人は逮捕され、終身刑の判決を受け収監された。ところが収監されて13年後に仮釈放され、さらに犯人は銃規制キャンペーンに加わるという。この展開を受け入れがたいハロネンはゴルゴに接触、犯人の暗殺を依頼する。
第536話 神の鉄槌 / 2013年9月
科学ジャーナリストの深沢は、「動く土木構造物」という題材で原稿を書くことになり、三重県の四日市港に取材に訪れる。鉄道橋の末長橋梁と道路橋の臨湾橋は珍しい可動橋で、興味深い構造物であった。ところが、その取材中に、ゴルゴをみかける。どうやらゴルゴは、菰野という男をマークしているようだ。菰野は、少し前まで国会議員の事務員だったが支援者に賄賂を求めて解雇されていた。菰野はそれを逆恨みし議員の裏情報を週刊誌に売ろうとしていた。そこで議員秘書は、ゴルゴを雇い、菰野を、だれがどうみても事故死に見せかけて殺してくれ、とゴルゴに依頼したのであった。
第537話 オクトパスの疑似餌 / 2013年10月
ニコラスは銀行のシステムのセキュリティの責任者であったが、サイバー攻撃を受け、さらに顧客情報の漏洩を防げなかった責任を問われ解雇される。そのニコラスの元に、フランスなまりの美人が接近し、手を組んでハッカーにリベンジしよう、と持ちかけてくる。どうやら女も同じハッカーに煮え湯を飲まされたようだった。ニコラスはこの提案に乗り、2人でハッカーの追跡を始める。どうやらハッカーは、自称「オクトパス」というロシア人と判明したが、ロシア政府にかくまわれていて手が出せない。女はゴルゴにオクトパスの暗殺を依頼する。
第538話 影に立つ世界遺産 / 2013年12月
ウマーン国からイギリスに留学していたターヒルは、ウマーンに帰国し、政策調査室に所属する。この部署で、ターヒルは、砂漠の城塞のカリペラ城を世界遺産に申請することを上層部に提案する。ところが、この地区には原油が埋蔵されていることがわかり、さらに、カリペラ城は爆弾によって破壊され、世界遺産への登録など到底不可能となった。どうやら城を爆破したのは、原油利権を狙う、同じ政策調査室のラビーブと思われた。もし世界遺産に指定されれば開発できなくなるために、爆破したとみられた。そのラビーブが、ターヒルの眼前で暗殺される。
第539話 奇跡を呼んだ少年 / 2014年1月
グレッグ少年は脳に腫瘍が発生し、その位置が困難で手術はできないと医師に告げられる。グレッグの気晴らしは、バードウォッチングだったが、その折、たまたま、ゴルゴの射撃のシーンを目撃してしまう。以来、グレッグは、ゴルゴに頭部を銃撃されるイメージを繰り返し抱いてしまう。
第540話 亡者と死臭の大地 / 2014年1月
アフリカの中央アフリカーナ国の中枢に、中国が接近していた。中国側は大統領のベアムに莫大な賄賂を提供し、かわりにベアムは中国にアフリカーナ国の農地を提供する。中国はこの農地を第一歩として、植民地化をもくろんでいた。この国では、政府軍と反政府ゲリラの闘争が続いていたが、政府と結託した中国の幹部は、反政府ゲリラに対して、繁殖させていたサシチョウバエを放つ。このハエはリーシュマニア症という感染症を媒介し、刺されるとすぐ治療薬を摂取しないと死に到る。そしてこの地を訪れていたゴルゴも、サシチョウバエに刺され、リーシュマニア症に感染してしまう。
第541話 PTSD / 2014年3月
ジョン・マーティンは22歳で軍に志願し、イラクに従軍する。しかし2ヵ月後、脚を狙撃され帰国する。ただ、この狙撃がトラウマとなってしまい、PTSDの諸症状に苦しめられ続けていた。一方、国防総省の幹部のエドワードは、PTSDに陥った帰還兵の実状を調べていた。PTSDに苦しむジョンを見てなんとかしてやりたい、と考え、ジョンが被弾した際の状況を再調査する。どうやら狙撃したのはゴルゴであり、しかも、ゴルゴに依頼したのは、ジョンの実母であると判明する。母親は、ジョンが戦場にいるのがいたたまれず、ゴルゴに脚を狙撃させ、負傷兵として帰国させたのであった。
第542話 黒白の演出 / 2014年4月
米国のある大都市で、市長選が迫っていた。現職市長のジェシカは選挙戦を有利に進めていたが、対立候補も追い上げてきていた。対立候補は、マフィアからの裏金を選挙資金に当てていることを突き止めたジェシカは、ゴルゴと接触、相手の資金源を断つため、マフィアのナンバー1を暗殺してくれ、と依頼する。ゴルゴはこの依頼を引き受けるが、宅配便で持ち込もうとした愛銃が届かない。宅配会社のトラックが乗り逃げされたという。しかたなくゴルゴは地元のガンショップで代替のM16を調達し、狙撃を行う。ところが、この狙撃事件の犯人として、マフィアのナンバー2が逮捕されてしまう。かつての事件でゴルゴを逮捕しそこなった所轄の刑事は、この事件の真犯人はゴルゴだと確信し、状況を解明しようと決意する。
第543話 13年蝉の夏 / 2014年6月
13年前、ミシシッピ州では、蝉が大発生していた。ゴルゴは議員を殺害し、また、ある人妻と関係を持つ。そして13年後、再びこの地で蝉が大発生。人妻は、ゴルゴと再会できるのではないかという予感にときめく。実はこの人妻は、夫を事故死に見せかけて殺していた。そして未亡人となった人妻の前にゴルゴが現れる。
第544話 欧州再生EU自動車戦争 / 2014年6月
2013年、ユーロ安を背景に、ドイツの大手自動車会社のDMは、絶好調で、また、ドイツも、EU諸国の中で、ひとり勝ち状態で天狗となっていた。そんな状況を他国や他の自動車メーカーは快く思わない。特に、フランスの自動車メーカー、ルドーの元会長のルメールは、ENAの出身でもあり、早い段階からドイツの強大化を見越しており、フランスの地盤沈下を食い止めようと、20年も前からドイツ抜きの秘密会合を組織していた。そして各国と歩調をあわせ、ドイツをEUから脱退に追い込もうとする。
第545話 白団回顧録 / 2014年8月
台湾で高齢の日本人男性が相次いで殺される。捜査当局の李は、日本の警視庁の芝田に共通点の探索を求める。実はこの三人は中野学校の出身で、芝田は三人の直属の上司、鶴岡をたずねる。鶴岡は1949年に妻を振り切り台湾に行き、以後消息を絶っていた。実は鶴岡は、台湾軍からの要請にこたえ、旧日本軍のさまざまなノウハウを伝授していた。そして、金門島の戦いに、83名もの旧日本兵が参加していた。この組織は白団と呼ばれた。被害者はこの白団のメンバーで、暗殺を企てたのは台湾の財閥の長老の王であった。一方、ゴルゴは、この王の暗殺を依頼されるが、王は警護の厳重な自宅にこもって外出しない。そのために、万漢全席の宴を用意し、王を誘い出す。
第546話 見知らぬBARで / 2014年9月
パイパーは組織の金を独り占めしバハマに逃亡したものの、組織の追っ手が迫る。パイパーには、不審な動きをする人間がみな組織の追っ手に思えてくる。そして嵐で延着したフェリーからはゴルゴが下船する。パイパーは、ゴルゴが組織が差し向けた殺し屋と確信し、対決を挑む。
第547話 大麻ビジネス / 2014年10月
2014年、アメリカ・コロラド州で大麻(マリファナ)の販売が解禁される。日本国内第21位の製薬会社、徳江薬品の副社長、徳江功一はいずれ日本でも大麻が解禁されるはずだと考え、参入を目指すが、これを嗅ぎつけたメキシコのマフィアが執拗な妨害工作を開始する。このまま放置すると次から次へと徳江薬品が食い物にされると考えた、徳江の部下である田村良輔がマフィアのボス、カルロスを始末するようゴルゴに依頼するが…。
第548話 最終通貨の攻防 / 2014年11月
オマハ政権は、財政赤字に苦しんでいた。そして、苦し紛れの策として1兆ドルのプラチナ硬貨を発行することを検討し、そのサンプルを作るが、カップルのテロリストに破壊される。このテロリスト2人は、英国のゴルデンシルト財閥の配下の破壊工作員だった。ゴルデンシルト財閥は、米国の独立戦争時に巧みに権力の中枢に食い込み、資金を提供していた。それをきっかけに実は現在のFRBをも支配していた。ところが、暗号通貨なるものが完成間近とうわさされており、これが普及すると、ゴルデンシルトの金融による支配は瓦解してしまうと思われた。一族の長老は、暗号通貨ディールコインの考案者サトル・タナカを暗殺するようカップルのテロリストに指令を下す。実は、サトル・タナカの正体は、最終暗号を考案した佐久シゲルの息子、元滋であった。元滋の命が危ないと知ったシゲルは、ゴルゴと接触する。
第549話 REPOSSESSION 航空機奪還作戦! / 2015年1月
ベネットは伝説的なレポ・マンであった。レポ・マンとは、ローンの未払いによる差し押さえをかわそうと乗り逃げされたビジネスジェットを奪還し、所有者(債権者)のもとに返還する仕事だ。ベネットは、闇の貿易商マリアーノのビジネスジェットを奪還しようとしていたが、相手も武装してベネットを待ち構えているようだった。そこでベネットはゴルゴと接触し、マリアーノ側の武装勢力を射殺してほしいと依頼するが、ビジネスジェットには傷ひとつつけずに奪還する、困難な条件がついていた。
第550話 運命の大国 / 2015年2月
曽安立は中国共産党の幹部で、順調に出世の階段を上がっていた。曽の義兄にあたる李は採炭や都市開発を手がける実業家であったが、非情のふるまいに恨みも買っていた。中国で景気が失速し、李の会社はピンチに陥る。曽は李に、人民元紙幣の原版のデータと紙質の仕様のデータを与え、偽札作りをほのめかす。さらに曽はゴルゴと接触し、偽札工場の守備を依頼する。
第551話 未遂案件 / 2015年3月
トーマス・ナッシュはアトランタでトラックの運転手をしていた。母は闘病中であり暮らしはかつかつだったが、恋人のカリーが心の支えだった。そんなナッシュのもとに、弁護士のバクスターが現れる。巨額の現金を見せ、「これは君のものだ、受け取ってくれ、ただし理由は聞くな」という。トーマス自身には心当たりがないため、母を問い詰める。母は重い口を開いて、「トーマスの父親は有名なミュージシャンなのだ」と打ち明ける。どうやら、そのつながりのカネらしいのだが……。
第552話 受難の帰日(きにち) / 2015年4月
東洋通信メキシコ支局の梶本は、高校の同窓会に出席するため5年ぶりに帰日した。ホテルでの同窓会のさなか、喫煙室で一服する梶本だったが、そこには他の会場の参加者もいた。その外国人二人に梶本は見覚えがあった。メキシコ経済省次官とメキシコの自動車メーカーの工場長である。二人のスペイン語での会話を盗み聞きした梶本は陰謀のにおいを感じ取り、取材をはじめる……。
第553話 アデン湾の餓鬼 / 2015年5月
ゴルゴは若い女を連れ、ソマリアのモガディシュに居た。若い女は少女時代に戦乱に巻き込まれ、フラッシュバックに苦しめられ、また記憶が欠落、混乱していた。女の養父は何とかしてやりたいと、ゴルゴを実質的にボディーガードとして雇い、女の育ったソマリアへ行き回復のために手を貸してほしいと依頼する。ソマリアは激しい内乱が続いており、二人はアルカイダ系のブジャヒリという組織につかまってしまい、しかもゴルゴは、爆弾の入った首輪を取り付けられてしまう。同じころ、ソマリア沖のアデン湾では、日本船籍のタンカーが、過激派組織アルジャババに乗っ取られる。海運会社の社長はゴルゴに依頼しようとコンタクトを試みる。
第554話 ビッグ・データ / 2015年6月
大手広告代理店の雷光は、データ・サイエンティストを雇うなどして、ビッグデータを活用した広告戦略を展開しようとしていた。雷光は、ワールド・アスリート・カップの東京誘致にも成功する。その過程で、日本のライバル国が、ゴルゴと接触しようとしていたと知り、雷光側は、ゴルゴに強い関心を抱き、ライフログを手に入れようとする。ゴルゴはそれを察して、雷光にわなを仕掛ける。
第555話 ロンメル将軍の財宝 / 2015年8月
ドイツの高級老人ホームに住むガンスがゴルゴによって暗殺された。ガンスはアウシュビッツ収容所の生き残りだという。余命いくばくもないガンスがなぜ暗殺されたのか、LfV(憲法擁護庁州局)が調査に乗り出す。調査にあたったボームはガンスの過去を洗い、ガンスはナチス親衛隊で、ユダヤ人に成りすまして生き延びたことをつかむ。ヒトラーは、ナチスを再興する、「フェンリル最終作戦」というプランを残しており、ガンスは、その作戦のための、「ロンメル将軍の財宝」の金庫番だったのだ。ガンスの死によって、フェンリル最終作戦が加速する。
第556話 地獄のダンサー / 2015年10月
ジェーン・ペトロビッチは、1995年ごろのボスニア紛争時代にスナイパーをつとめており、その腕前から地獄のダンサーとおそれられていた。セルビア軍のボルゴビッチ隊長は、部下や弟をジェーンに暗殺されていた。時は下って2014年、ジェーンは債券ディーラーとなっており、今は政情不安で暴落したウクライナ国債に資金を集中投下していた。一方、ボルゴビッチは傭兵としてウクライナの停戦監視団に参加していた。ボルゴビッチはジェーンがウクライナ国債を買い込み、自分が傭兵としてウクライナを守ることでジェーンの運用に間接的に貢献していることを知ってその状況にたえられず、ゴルゴと接触しジェーンの暗殺を依頼する。
第557話 33+G / 2015年11月
2010年8月、ゴルゴはチリのアタカマ州のコピアコ鉱山近くで狙撃を実行した。ターゲットは、この鉱山の所有者2人だった。ところが狙撃後、警備員に見つかり犬に追われ、ゴルゴは地上から鉱山の深部に向かうトラックに便乗して窮地を脱した。ところがトラックが坑道に入った直後、大規模な落盤に見舞われ、ゴルゴは鉱山の作業員33人とともに、地表から634メートルの地下にある避難所に閉じ込められてしまう。いずれ救援の手が差し伸べられると思われたが、ゴルゴも一緒に地上に戻れば、暗殺と結び付けられ、すぐ逮捕されてしまうだろう。のみならず、かつてゴルゴは、冷戦時代にCIAの依頼によりチリの大統領を狙撃しており、いわゆるチリ・クーデターの当事者だった。もしチリ当局がゴルゴの存在に気づけば、ゴルゴを容赦しないと思われた。それらのために、ゴルゴは救援の手が差し伸べられたあとも、あえて脱出を見送る。と同時に、ドミノタイルで暗号のメッセージを地上に送る。
第558話 ドローン革命 / 2016年1月
ある民間軍事会社が軍事用のドローンを開発、南アフリカでフィールドテストを始めた。多数のドローンが遠隔操作で一斉攻撃をかけ、想定どおりの能力を発揮してみせる。一方、その地域にあるマンションで、ゴルゴは仕事をしようとしていた。依頼人は人権派の白人でマンションの所有者、ターゲットはこのマンションを不法占拠している黒人で、世界初の民間軍事会社の創設者の一人だった。ゴルゴは仕事に成功するが、直後に殺人ドローンの群れに襲われる。
ゴルゴがにやけるように笑う場面がある。
第559話 置き去りの街 / 2016年2月
刑務所に居たマーロンは出所し、7年ぶりにマイアミのデート郡に戻ってきた。実はマーロンは無実で、兄のケビンの身代わりになり収監されたのであった。ところがその間にケビンは、マーロンの恋人だったリタと結婚していた。しかもケビンは、チンピラを雇い、マーロンを始末しようとしたが、マーロンは辛くも窮地を脱する。そして、この街に現れたゴルゴは、ケビンを暗殺する。
第560話 縄文の火 / 2016年3月
考古学者の但馬は、発掘した出土品を密売していた。それがばれそうになったのでゴルゴを雇う。
第561話 The Great Game / 2016年4月
舞台は中央アジアのリドキスタン。日本の首相の安川は、リドキスタンを訪問しマリコフ大統領と会談、豊富な地下資源を使って、化学繊維や肥料を生産し輸出することを提案し、日本主導の石油プラントの建設をもくろむ。一方、中国もリドキスタンを勢力下におこうと、上海黄華石油集団の社長の馬を送りこむ。馬は日本の石油プラントの計画を潰し、かわって中国によるプラント建設を約束させる。これら日中の進出に、もともとリドキスタンを支配下においていたロシアも座視してはいなかった。そんなさなか、イスラム過激派が蜂起し、大統領公邸を襲撃する。そのどさくさにまぎれて、ゴルゴはマリコフ大統領を暗殺する。なお、題名が似ている437話『ラストグレートゲーム』とは無関係。
第562話 Gの遺伝子 / 2016年5月
フランスの女子中学生、ファネット・ゴベール。中学生でありながら、スポーツ射撃にすばらしい才能をみせていた。ある夜、自宅に侵入してきた者を、競技用ライフルで狙撃する。
第563話 ラブバード / 2016年7月
あるカップルが居た。二人は、米国の別々の諜報機関に勤務していたが、めいめい、不審な情報をつかむ。それは、どちらもゴルゴに関してのものであった。ラブバードは鳥の品種。 
第564話 最終兵器小惑星爆弾 / 2016年8月
クリミアタタール人は、かつてスターリンによって、クリミアからチェリャビンスクに強制移住させられた。そうした状況下で育ったガウリ、ギレイ、サハロフ。ガウリはレアメタル確保のために宇宙の小惑星シバを捕捉して回収するプロジェクトを進めていた。しかしそれは表向きで、この小惑星をモスクワに落下させ少数民族への迫害の復讐をもくろんでいた。一方、ギレイは、レールガンの研究を進めていたが、ゴルゴによって暗殺される。ただ、レールガンの処分はゴルゴへの依頼には含まれておらず、射手の居ないレールガンが残された。シバはモスクワへの墜落コースを進むが、ヤルコフスキー効果で軌道がずれ、ギレイらが育ったチェリャビンスクへと墜落すると予測された。チェリャビンスクには大量の放射性物質が貯蔵されていた。
第565話 アームストロングの遺言 / 2016年10月
動画投稿サイトに、不可解な動画が投稿された。アポロ11号のニール・アームストロング船長の50年前のインタビューとされ、その中でアームストロングは「月面に降り立ったことはない」と語っていた。だが、この動画はアームストロングの証言を巧みに引き出して編集された捏造で、投稿したのはロシアの右翼政治家とその腰巾着の記者だった。しかし背後には黒幕がいると思われた。オマハ大統領の命を受け、ペンタゴンは黒幕の暗殺をゴルゴに依頼する。
第566話 カルミアの髪飾りの女 / 2016年11月
ミャンマーと思われる国が舞台。この国では非民主的な軍政が続き、国は混乱し貧しいままであった。曲折の末、2015年11月に初めて民主的な選挙が行われ、上下両院とも民選の議席は市民民主同盟がすべて独占したものの、総議席の4分の1は同国の憲法の規定により、軍人が自動的に議員となっていた。また、議員の互選により大統領が選出されるが、憲法の規定で、配偶者やその子どもが外国籍であると大統領に就くことができない。市民民主同盟のリーダーで、建国の父の娘でもあるワウンスンサーシーは英国人男性と結婚し、産まれた男子も英国籍であるため、このままでは大統領になれなかった。憲法改正には議会の4分の3を超える賛成が必要なので、軍人議員が反対し続ける限り憲法改正はできない。このため、ワウンスンサーシーは腹心の部下を大統領職に就かせ、さらに最高顧問というポストを新設し、自身がこの職に就いて実質的に最高権力者となる。そこへ、ある軍人議員がワウンサンスーシーに接触、自分たちのグループが造反するので憲法改正を行わないか、と持ち掛けてくる。
第567話 i-Construction アイ・コンストラクション / 2017年1月
米国在住の中国人、自称、洪東興は中国海軍の軍事情報を米国情報部に流していた。のみならず、米国の軍事情報も中国に流していた。これに気付いた米国情報部は、洪の身柄をおさえようとしたが、洪は日本へ逃走し、大きな屋敷に籠城してしまう。洪に手玉に取られていた中国情報部も黙っておらず、どうやらゴルゴに洪の暗殺を依頼したようだった。洪の屋敷は厳重に警備されており、外部からの狙撃は不可能に思われたが、ゴルゴは狙撃に成功する。この屋敷をマークしていた米国情報部員らには、ゴルゴがどこから狙撃したのかわからず戸惑う。サイエンスライターの深沢が登場。
第568話 G戦場のニンジャ / 2017年2月
既に廃れてはいるものの、実は現代にも忍者は居り、しかも世界各地に支部もあった。これらを束ねているのは見城幽斉という老人であった。見城の弟子の蛭田は、忍術をベースにした殺人技を極めようとし、見城は蛭田を破門にした。蛭田はブラジルに忍者道場を作ろうと画策しており、その資金にしようと、ベネズエラで日本人を誘拐し身代金を要求した。見城は忍者のプライドにかかわる、と判断し、ゴルゴに蛭田の暗殺を依頼する。蛭田らはアンデス山脈のマラカイボ湖近くに潜んでいることが判明したが、ここは世界一の雷多発地帯で、落雷を招くため銃はおろか、刀剣などの金属すら持ち込むのが極めて危険な場所であった。
第569話 国交回復の朝 / 2017年3月
2015年、米国はキューバと国交を回復した。しかし、キューバに対する経済制裁はとかれないままであった。
第570話 英雄は、風の中で眠る / 2017年4月
インドネシアでは違法ドラッグが蔓延していた。俗に「ナルコバ」と呼ばれる薬物で実は覚せい剤そのものであった。ナルコバを仕切っているのは、ジャワ7と呼ばれるボスたちで、このうちの一人、リマディ・グスマンは東ティモールに陣取っていた。東ティモールはかつてはインドネシアが支配していたが現在は独立したため、おおっぴらにリマディを取り締まることはできない。そこで軍の司令官ジャガドは、特殊部隊コパススを東ティモールに送り込む。同じころ、ゴルゴも東ティモールの海岸に漂着し、グスマンの手下に捕らえられてしまう。
第571話 フトゥーロ・デ・ボリビア / 2017年6月
題名は「ボリビアの未来」の意味。南米の貧しい国、ボリビア。政治や経済は終わりの見えない混乱が続いていた。あまりの貧しさに児童労働が合法化され、学校に行けない子どもも多かった。そんな中、17歳のハビエル・サンヒネスは、児童労働組合を立ち上げ、若きカリスマとなる。ボリビアでは高速道路建設をめぐって国論が二分されていた。ハビエルたちは建設に賛成で、賛成のデモを行い、結局、ハビエルと大統領と副大統領の三者での公開の会談が持たれることになる。その直前、副大統領はゴルゴと接触、ハビエルの暗殺を依頼する。中国から副大統領に情報がもたらされていて、ハビエルは子どもたちを「子ども兵士」として組織化し蜂起するだろう、と警告してきており、ハビエルの蜂起を不発に終わらせるためであった。しかし、普通に暗殺したのではハビエルは殉教者となり偶像化されるだろう。そこで殉死とならない形での暗殺をゴルゴに依頼する。そしてこれより前、実は、大統領もゴルゴに仕事を依頼していた。
第572話 麻薬地下鉄 / 2017年7月
米国大統領はマイアミに巣食うギャング団の幹部の狙撃をゴルゴに依頼する。
第573話 琉球の羊 / 2017年8月
波照間大学の准教授の比嘉良隆は沖縄の米軍基地反対闘争のリーダーであった。比嘉たちは、普天間基地の辺野古への移設に強く反対し、また土地を米軍に貸して当人たちは沖縄県外に住む軍用地主を糾弾していた。そんな折、米軍のオスプレイが空中給油中に墜落する。この事故は、実は反米感情をあおるため、比嘉がゴルゴを雇い狙撃させたものであった。事故から8か月後、再びゴルゴが沖縄に現れる。ゴルゴのターゲットは沖縄基地の総括責任者のマーチン大佐だったが、悪天候のため、段取りをつけていたルートでの愛銃を入手できず、逆にマーチンたちに追い詰められ窮地に陥る。一方、軍用地主たちは比嘉の言動に反発し、比嘉を暗殺しようとたくらむ。
第574話 涙も凍る / 2017年10月
川田の父は戦後シベリアに抑留され帰還した。ところが近年認知症になり、何かに怯え始める。
第575話 魔女の銃弾 / 2017年10月
フィリピンでは麻薬や覚せい剤が蔓延しており、売人や中毒者を取り締まるため自警団が組織されていた。その中でマニラ最大の自警団、トックハン自警団はフィリピン政府からの援助を受けて売人の撲滅を行っていたが、組織が腐敗し、取り締まりに便乗した無関係な殺人も横行していた。さらに、トックハン自警団のリーダー、タビジェが「大統領より偉大だ」と主張し始め、武装蜂起さえも起こしかねない事態に陥っていた。ところが、政府がトックハン自警団を援助していた手前、軍でも容易に潰せなくなったため、フィリピン政府はゴルゴにトックハン自警団の壊滅を依頼する。
第576話 夢の国 / 2017年11月
インドのムンバイでテーマパークが開園する。その式典の最中、そのテーマパークの人気キャラクターが狙撃される。
第577話 重慶の土龍(どりゅう) / 2017年12月
中国の重慶には意外な観光地があった。「816地下核工程」と呼ばれる施設で、1967年から、核ミサイルの発射施設として運用されていたのだが、現在は一部の機能を停止し、差しさわりない範囲で観光客に開放していた。そしてこの観光客の中にゴルゴが居た。この施設は現役の核ミサイル基地でもあるのだが、この中国の核ミサイル技術を発展させたのは、郭元仁というエンジニアであった。郭元仁は表向き、中国共産党に従い、ミサイルの開発を続けていたのであるが、私怨により、この基地の核ミサイルを上海に向け発射しようとしていた。これを察した郭元仁の弟の郭猛林がゴルゴを雇い、兄の行動を阻止してくれ、と依頼したのであった。ゴルゴは発射させまいと手を尽くすが、結局郭元仁によってサイロから発射される。しかし核ミサイルの初速は非常に遅く、ゴルゴはロケットランチャーで核ミサイルの噴出口を破壊し、ロケットは飛行できなくなり墜落してしまう。
第578話 洋上の偽り / 2018年2月
ゴルゴは、全米商工会議所の会頭のヘイグからの依頼を受けるため、ヘイグが乗船していた豪華クルーズ船のグレース号にヘリコプターでおもむいた。ヘイグは、全米愛国自衛協会の顧問のシアラーを暗殺してほしい、と依頼し、ゴルゴは引き受ける。ゴルゴはシアラーに銃口を向け発砲しようとするが、ゴルゴはシアラーの歩き方に違和感を抱き、その動画を歩容認証で分析させたところ、どうやら影武者だと判明する。さらに依頼者のヘイグが交通事故で死に、また、グレース号に乗船していたIT界の大物の動きが漏れていたことが判明する。これらのことから、ゴルゴは、グレース号の通信が傍受されていたのではないかと推測を立て、グレース号のオーナーが通信を分析してカネになる情報を関係者に売っていたのではないかと考える。
第579話 オーバーラン / 2018年3月
メキシコのベニート・フアレス国際空港に、日本から飛行してきた大日航空の旅客機が着陸するが、滑走路をオーバーランする。機体は着陸帯のエリアでなんとか止まり、緊急脱出スライドが展開されて乗客はここからみな降りる。ところが、ビジネスクラスのヤマモトという乗客が、スライドから出たあと、行方不明となっていることがわかる。さらに、調査の結果、主脚へのケーブルが破損したためにブレーキが利かなかったと判明するが、そのケーブルはまるで銃弾で破壊されたように見えた。実はこれはヤマモトがゴルゴに依頼したもので、ゴルゴにケーブルを狙撃させブレーキを利かなくさせてオーバーランさせることで、どさくさにまぎれて密入国するためのプランであった。こうして密入国したヤマモトは、妹と姪のかたきを討とうと、麻薬組織のボス、マルケスの家を訪れるが、マルケスは別のルートからの依頼を請け負ったゴルゴによって暗殺されていた。
第580話 ビルに立つ男 / 2018年4月
アリゾナ州のある都市。ビルの屋上に自殺志願者が陣取り、警察は自殺を思いとどまらせようと男をなだめる。それを迷惑そうに見ているのはゴルゴだった。
第581話 深海の盾・無音潜水艦 / 2018年5月
オーストラリア軍は、コリンズ級潜水艦を運用していたが、陳腐化しており、次世代の潜水艦導入を検討していた。後継候補として、ドイツの212A型潜水艦、フランスのスコルペヌ型潜水艦、日本の竜神型潜水艦が挙がるが、いずれを採用したとしても、オーストラリアでいままで潜水艦を製造していた造船会社のASIはメンツを失い、雇用にも影響することが危惧され、国防長官のレビンは難しい立場に立たされる。しかもレビンの娘は、マレーシアに陣取る海賊に拉致され、殺されていた。そこでレビンは、この三隻めいめいに、その国の特殊部隊を送り込ませて海賊退治を行わせ、成功した潜水艦を導入してはどうか、とアコット首相に提案し、了承される。まずドイツ艦が出向するが、艦内で流感に見舞われ撤退する。次にフランス艦が出向くが海賊側に撃退される。そしてゴルゴ13が搭乗した竜神がミッション遂行に向かう。
第582話 マルタの騎士(カヴァリエーレ) / 2018年7月
地中海の島国、マルタ共和国。この国も、リーマンショックの混乱が尾を引き、経済が低迷していた。そこで政府は、マルタの市民権を売りに出す。ゴルゴ13は、実は以前からマルタに隠れ家を持っていて、投資家を装っていた。その立場を使って、ゴルゴ13はこの市民権を買う。一方、マルタの首相の個人的な顧問のベンクリーは、自分と首相のために不正蓄財を行なっていた。この市民権販売でも、口利き料をせしめる。ところが、ドイツの新聞社に、大規模な情報リークが提供される。ナパーム文書と呼ばれることになるこのリークで、マルタでの裏金の動きなども暴露される。マルタで一番著名なジャーナリストで、「マルタの騎士」と呼ばれている女性記者、カナリア・ガイヤルドは、この文書を駆使して、政権の腐敗を暴こうとするが、ベンクリーらによって爆殺される。さらに、この文書で、マルタで、ひそかに地上げが行われていることも明らかになる。地上げを行なっているのは、マルタでの領土回復を切望する、領土のない国、マルタ騎士団国であった。
第583話 ホワイトハッカー / 2018年8月
日本の役所の情報システムはセキュリティがずさんで、いいようにクラッカーに情報を抜かれていた。財務事務次官の三島は状況の深刻さを憂い、情報セキュリティに精通した日系人のショーン・鍛冶屋を招聘し、各省庁のIT担当にレクチャーさせるが、担当者たちは状況を深刻に受け止めなかった。鍛冶屋は身に染みて思い知らせるしかない、と考え、クラッカーのように、情報を抜いたり市民の銀行口座から預金を抜いてみせたりして、セキュリティがいかに甘いかを思い知らせる。同じころ、ロシアのグループも日本の銀行にサイバー攻撃を加えていた。三島は、ロシアのグループを操り最大の利益を得ているものを暗殺してくれ、とゴルゴに依頼し、ゴルゴは遂行した。これらの一連の動きを見ていた鍛冶屋はゴルゴに直接接触し雇ってほしいと頼む。ゴルゴは不定期に使ってやろう、と返答する。
第584話 情報屋の弟子 / 2018年10月
マイアミのギャング組織のお抱えの殺し屋の変死が続く。マイアミの情報屋、ムニョスは、裏事情を探り始める。
第585話 地獄のホバートレース / 2018年10月
世界三大ヨットレースの一つ、「シドニー・ホバート・ヨットレース」が開幕しようとしていた。これはシドニーからタスマニア島のホバートを目指すもので、多数の参加者がスピードを競う。その開始前、港で小競り合いがあり、ゴルゴ13がこのレースに参加する艇のセーラーの腕を折る。そしてゴルゴ13はその艇にやってきて、腕を折った男の代わりに自分をメンバーに入れてくれ、と申し入れ、女性艇長のエリスはそれを受け入れる。レースがスタートするが、直後から天候が大幅に悪化する。トラブルが続発するが、ゴルゴ13の働きで持ちこたえ、艇はホバートを目指して進む。そしてゴール直前、ゴルゴ13は艇を後にする。
第586話 パンダ外交 / 2018年12月
他の近隣国に比べて経済発展が遅れているミャンマーでは、インフラ整備が喫緊の課題であった。このためのパートナーとして、インド、日本、中国が候補に挙がる。この 計画に食い込みたい中国は、友好関係の象徴として、パンダをレンタルしようとするが、ミャンマーの有力な女性予言者は、パンダを受け入れるな、と助言する。財務副大臣の秘書は、ゴルゴ13を雇い、この先、政権運営の邪魔になりそうなこの女預言者の暗殺を依頼する。彼女は、まもなく自分が死ぬことを予感する。
第587話 ゴルゴダの少女 / 2019年1月
「第562話 Gの遺伝子」の続編。フランスの女子学生、ファネット・ゴベール。モンマルトルの近くの不法地帯に入るが、シリア難民の少年に助けられる。その少年が危機に陥り、ゴベールは少年の行方を捜す。行きついた修道院に侵入するがそこにはゴルゴが居た。
第588話 ナイルの野望 / 2019年3月
米国で、メキシコ移民の娘バーバラ・ロペスは、インターネット上の小売業、「ナイル」を起業し、世界有数の大企業に育て上げた。バーバラは移民という異質な者たちが米国のダイナミズムを支えていると考えていた。おりしも、大統領のプラントは、メキシコとの国境に壁を築く、と公約しており、一部を実行に移し始める。バーバラは、この壁の地下を掘り、メキシコと行き来できるトンネルを作り、メキシコからの移民を迎え入れた。一方ビジネス面では、バーバラの野望はエスカレートし、日本最大のやまと銀行を傘下に持つ、「やまとHD」に対し、敵対的TOBを仕掛ける。
第589話 マークスマン選抜射手 / 2019年5月
「マークスマン」とは射撃の名手の意味。歩兵の中から選ばれる「選抜射手」をいう。主人公のマークスマンは、安全な場所から不意打ちで狙撃するスナイパーという人種を憎んでいた。戦場から離れて12年後、彼は、かつての上官に呼ばれ、「スナイパーに狙われている、守ってほしい」と頼まれ、引き受ける。しかしゴルゴ13は上官をあっさり狙撃し、さらに彼との遠距離ライフル戦となる。
第590話 カタールの剣 / 2019年5月
2017年、カタールは深刻な事態に陥った。当時、カタールはイランやトルコと親密な関係にあったが、反イランで結束する、サウジアラビア、バーレーン、UAE、エジプトなどが要求を突き付けてきたもので、2017年カタール外交危機と呼ばれる。イランやトルコとの外交関係の縮小やアルジャジーラの閉鎖を求めるもので、カタールとしては容易にのめるものではなかった。一方、カタールでは2022年のFIFAワールドカップ開催が決まっていたが、カタール代表は低迷しており、国内も盛り上がらないままだった。そこで王子のタミルは、看板選手イシュタルをゴルゴ13に狙撃させ、弔問外交を目論む。
第591話 運の悪い女 / 2019年7月
地方都市で、地元の国会議員が狙撃される。弾丸は議員の耳をかすめ、さらに、近くに居た旅館の女将に命中する。記者の室田はかつて保険の外交員で、大口の生命保険をこの女将に売り込んでいた。その際、女将は、自分の家系は短命だから、と話していたことを思い出す。室田は引っ掛かるものを感じ、女将と議員の関係を調べ始める。
第592話 複数弾同時着弾 / 2019年7月
ギリシャ軍の狙撃兵三名が選抜され、奇妙な訓練が始まった。三人が、同時に、2.1キロ離れた目標を同時に狙撃するのである。狙撃の標的は、ギリシャの極右政党の党首、財界の長老、外務官僚であった。三名は、200年前のギリシャ独立戦争の火付け役となった秘密組織、フィリキ・エテリアの創設者の末裔で、ギリシャのEU離脱など反動的な政策を目論んでいた。この目論見をつぶすため、政権は3人の抹殺を決意し、3人が会する場面で同時の暗殺を計画する。しかしこの計画は失敗し、同条件でゴルゴ13に引き継がれる。
第593話 AIメティス / 2019年9月
題名のメティスは予言能力があったというゼウスの妻の名に由来。中世から続くフォルカー家は、代々、武器商人であった。当主のフリッツは、表向き、人工知能を駆使したAIシステム「メティス」を提供する会社を経営する一方、裏では、AIを駆使した軍事システムも提供し、フリッツ自身もそのミッションに兵士として参加し、最前線でAIの指示通り行動して見せ、勝利していた。フリッツは幼いころ、実父がゴルゴ13に暗殺されるのを間近で見ていた。そして両者が相まみえることになる。フリッツはAIを信頼し、指示通りに行動するが、ゴルゴの狙撃はAIの上を行くものであった。
第594話 カリブ海の覇権 / 2019年11月
中米のキューバ。1959年のキューバ革命で共産主義を導入しソ連の支援を受ける一方、米国との関係は長く冷え込んでいた。しかし、オバマ政権時代に米国とはやや改善する。政権内では、革命前後の身勝手な米国の振る舞いを経験しいまだキューバ島に米軍基地を置く米国を嫌う長老らと、開かれた経済を模索する若い世代との間で駆け引きが続いていた。長老らは「仇敵の米国と連携するよりはまし」と考え、中国と急速に接近する。
第595話 楽園の女 / 2019年12月
ゴルゴ13は、タイの実業家の暗殺を依頼され、インド洋のセントール島に潜入する。
第596話 死者の手 / 2019年12月
1987年、米ソ間でINF全廃条約が締結された。これはペンタゴン総合評価局長のシャルールの功績であった。それから31年後の2018年、ロシアはINF全廃条約を無視し、極超音速ミサイルの開発し実戦配備する。米国の大統領プラントはこれに対抗するため、INF全廃条約を破棄を宣言し、米国も極超音速ミサイルの開発にのめりこむ。シャルールは、実際には使用されないよう、冷戦時代同様に「相互確証破壊」を成立させるよう進言し、ロシアの「死の手」と同様の自動報復システムを構築し、「シスル」と命名して運用を開始する。加えて、ゴルゴ13によってこの戦略が妨げられる可能性があるため、シャルールはゴルゴ13に対して自律型致死兵器システムを差し向け抹殺を目論む。
第597話 幻滅のアトランティス / 2020年2月
日本人のマグロ魚船船長の神崎は、彼の持ち船の神崎丸とともにブラジルに渡り、地元民と合弁で水産会社を始め、順調に業績を伸ばしていた。しかし、実は、現地のパートナーのサントスは神崎を裏切り、合弁会社を乗っ取ろうと画策していた。サントスは実はこれまでも日本人との合弁会社を食い物にしており、得た金で、コカインを米国に運ぶ潜水艇を造り、それで大口の輸送を行って一攫千金を狙っていた。ゴルゴ13は、依頼によりサントスを狙撃する。
第598話 モルドバの咆哮(さけび) / 2020年3月
モルドバに住むストゥルザは、ワインの醸造がなりわいで、かなりの資産があり、人望もあったが、末期ガンで余命いくばくもなかった。彼は、モルドバの行く末を案じていた。モルドバ東部には、沿ドニエストルという地域があり、ここはロシアが実効支配していた。ロシアはこの地の支配を譲る気はなく、このままでは、永遠にモルドバは沿ドニエルストルをめぐり、ロシアとの緊張が続くと思われた。そこで彼は自分の命を犠牲にして一計を案じた。ゴルゴ13を起用し、沿ドニエストル地域からロシアのAK-47でモルドバに居る彼を狙撃してほしいと依頼する。これによって、沿ドニエストルはモルドバとは世界観が異なり、モルドバは沿ドニエストルを割譲すべき、という方向に世論を誘導しようと狙う。
第599話 臆病者は誰か? / 2020年5月
素性不明のアーティスト、バーナビーは、三人組だった。バーナビーのメンバーのひとりが、ゴルゴ13に依頼する。
第600話 銀翼の花嫁 / 2020年7月
民間の航空会社スカイモービル社は無人航空システムを開発し、米軍はこれを採用する。スカイモービルの社員ミシェルは米軍へ出向し、某国の石油王を確保する作戦に携わる。米軍が突入すると石油王は暗殺されていた。

第601話 -

“話数 題名 / 発表年月 / 脚本協力 / ページ数”の順で記載(脚本協力者名とページ数は別冊ゴルゴに未収録のエピソードのみ記載。別冊ゴルゴの項には脚本協力者名とページ数が記載されている)

第601話 癒されぬ傷 / 2020年9月
1976年のアルゼンチンクーデター。大尉のキニョネスは左派組織の本部を襲い、左派グループのペニャの妻子を銃で殺害、ペニャはキニョネスに噛みついて反撃するがペニャも撃たれ、キニョネスは逃走した。1983年の民政移行後、ペニャは、妻子のかたきを討とうとキニョネスを探し続ける。そして、イタリアの製薬会社のセッピなる人物がキニョネスであると判明。ペニャはセッピとの面会を実現し、過去の罪を認めるよう迫るがセッピは拒否、二人は同時にピストルを相手に向ける。
第602話 地図無き悪霊の森 / 2020年10月
バシコルトスタン共和国のインゼル地区にゴルゴが現れた。この地域の山中で、ロシアが特殊な軍事研究を行っており、その研究の中心人物の暗殺を遂行するためであった。そのころ、この地域に住む大柄なある女は、妹を殺され、復讐を目論む。そのために仲間を募るのだが、ゴルゴはそれに便乗して、敵陣に乗り込む。この題材は、すでに「第447話カメレオン部隊」で扱われている。
第603話 パンドラの甕(かめ) / 2020年12月
ザンビアの奥地の村で、日本人の杜氏の高村は、現地のタロイモの酒の酵母を研究していた。同時期、スイスの大手製薬会社から派遣された、社員のルカも密命を帯びてこの村にいた。この村ではガン患者がおらず、それは、現地の酒の成分のせいでは、とも考えられたのであるが、ルカはこの酒を飲むと体調を崩し死んでしまう。酒に白人だけに有害な成分があるようだ、とわかり、中国も化学兵器に用いようとこの村に接近する。
第604話 RBGの悪夢 / 2021年1月
米国最高裁のリベラル派の判事、リタ・ベール・ガーランド、通称RBGに死が迫っていた。目前の大統領選は保守系現職からリベラル系新人へと政権交代が実現しそうであったがそこまで持ちそうになかった。米国では最高裁判事は終身制で、RBGに死が訪れると、残り任期わずかの現大統領は後任に保守系の判事を任命し、以後、最高裁の判断は保守寄りに傾くのは確実だった。RGBはなんとか阻止しようと考え、フィリバスターを仕掛けるよう指示する。
第605話 地球の裏側で / 2021年1月
米国サミットの2年前の2018年、オットーは、サミットの警備責任者に任命される。ここで心配の種はゴルゴの存在だった。ゴルゴに依頼があれば、どんな警備もかいくぐり、暗殺を実行するだろう。そこで、オットーは、ゴルゴのリスクを回避する策をひねり出す。サミット期間中に、米東海岸から一番遠いアジアで、ゴルゴの仕事をでっちあげ、それをゴルゴに実行させ、さらに実行犯はゴルゴであると地元警察に密告して動きを封じ、現地にくぎ付けにするものであった。
第606話 EASY JOB / 2021年3月
マフィアの2代目が、重要書類を運ぶことになる。ゴルゴにも少し似ている東洋系の大柄な男がお目付け役で同行する。移動中の2人を敵対組織が襲う。
第607話 アルマジロの春 / 2021年4月
テキサスの「アルマジロ警備保障」。ペーパーカンパニーで、社長のジョーは、かつての恋人の裏金作りを手伝い、その手間賃だけで漫然と暮らしていた。しかしその工作がばれ、雇われたゴルゴが元恋人の暗殺にやって来る。
第608話 ジグソー・コード / 2021年4月
インドの著名な薬理学者、ラジーブ・デサイに死が迫っていた。ラジーブの幼馴染みのマヘシュ・ナブデは、カナダへ渡り、禁止薬物の大麻の密売で稼ぎ、それをインドに送金しラジーブの学資に当て、また、貧困地域で学校を建設するなどしていた。しかし、カナダで大麻が合法化され、マヘシュの稼ぎ口がなくなってしまう。ラジーブは、マヘシュがカナダでもう一度荒稼ぎすることを願い、新タイプの合成麻薬の化学式を白地のジグソー・パズルに記述して伝えようともくろむ。
第609話 依頼なき狙撃 / 2021年6月
幾度もGとかかわったフリー記者の深沢達二。今回は、バスの自動運転の取材で門司に出向く。その取材後、関門海峡の対岸の下関で、元タレントで新党を立ち上げた人物が暗殺される。Gが門司側から狙撃したもので、深沢は事件を追う。ところが、この案件には、依頼者が居なさそうだとわかる。結局、深沢は全貌をつかむが、被害者の狂信的支持者に刺されてしまう。
第610話 覚悟がすべて / 2021年8月
英国は、主権の全面的回復のためにEU離脱を模索していたが、2021年1月に、ついに離脱を果たす。これで、英国内の世論はおさまったかというと、むしろこじれはじめる。スコットランド地域は、かねてから英国からの離脱を求める意見が強くなっていた。かつての名優のシェーン・コナリーは、急進独立派の旗頭であった。コナリーらは、英国の結束を優先する国家主義者のグループのリーダー、ウェンライトに揺さぶりをかけようとする。また、このエピソードでは、複数のシェイクスピアの名言が引用されている。
第611話 逆心のプラントアカデミー
種苗企業の社員、稲村は、パラグアイで、新種のハイブリッド米の大規模栽培を目指していたが、新型の紋枯菌に感染し、拡散防止のために全面焼却を余儀なくされる。この菌は中国系企業が故意に散布したものであった。稲村は、ロシアに出向き、バビロフ植物研究所を率いる植物学者のカザコフに支援を求める。
第612話 偶然の先に / 2021年12月
アラバマ州バーミンガム。Gは依頼に沿って黒人のニセ牧師を狙撃するが、その直後、Gは視界に落下する赤ん坊を見る。とっさに、直下の日よけを狙撃して展開し、赤ん坊はその上に落下し即死はまぬがれた。位置的に、赤ん坊を落とした老人に狙撃を目撃されたかもしれない、と懸念し、この老人の行為の意味を探り始める。
第613話 オープンダイアローグ / 2022年1月
女優のマリアの兄は、精神を病み、シャール医師にかかったが、オーバードーズの末に自殺した、マリアはシャールに対して復讐を企てる。
第614話 最終ウイルス / 2022年1月
中国とカザフスタンの国境に麻薬王の乗った旅客列車がやって来る。ゴルゴ13は麻薬王を暗殺するがゴルゴ13も深い傷を負い、最後尾の車両に逃げ込む。そこは、医師のテギンが居た。彼はゴルゴ13を追っ手からかくまい、手当てし逃がしてやる。その後ウイグル人のテギンは中国共産党に拉致される。テギンに恩義を感じたゴルゴ13は、テギンの意志を忖度したテロを実行する。
第615話 雉も鳴かずば / 2022年3月
2021年7月、ドイツは59年ぶりの豪雨災害に見舞われ、農夫のベームは、この豪雨による川の氾濫で妻子を亡くす。州から避難命令は出ず、のみならず、視察に来ていた知事らは不謹慎な言葉を発していた。それを聞いたベームは怒りを募らせ、知事らの暗殺を企てる。
第616話 レディ・フィンガー / 2022年4月
バナナに感染する新型のカビが世界的に蔓延し始める。しかし、パプアニューギニアの山中に、このカビの耐性を持つバナナ株があった。パプアニューギニア当局はゴルゴ13を起用し、この株の奪取を狙う者を始末させる。
第617話 データセンター奪取 / 2022年5月
ヨルダンは新米国で、そのヨルダンには米国企業によるコンテナ型データセンターが設置、運用されていた。ロシアは、巨大輸送ヘリによるコンテナ奪取を目論むがコンテナ底部はボルトで固定されていた。ロシアはゴルゴ13にボルトの破壊を依頼する。
第618話 鳥を見た / 2022年6月
刑事のチコは、コソ泥の捜査で高層ホテルを訪れていた。喫煙のために屋上に行くと、ローズという女が、バードウォッチングの最中だった。チコは一服すると屋上をあとにするが、その途中、Gとすれ違う。かつてチコは、Gを狙撃犯として一度はマークしたことがあったが取り逃がしていた。
第619話 超絶技巧ツィガーヌ / 2022年6月
トルコとフランスの関係がこじれていたさなか、Gがパリに現れる。当局は、ターゲットは、トルコの駐仏大使ではないかと考え、警備を強化する。
第620話 ラスト・ラフ / 2022年8月
通り名「ストラウブ」というヒットマンがある金持ちを狙っているという。その金持ちはGにストラウブ殺害を依頼する。
第621話 ベテランズ・デイ / 2022年8月 / 加久時丸 / 40+40
第622話 闇から闇へ / 2022年9月 / 氷室勲 / 40+40+40+40
第623話 藪の中のG / 2022年11月 / 氷室勲 / 40+40+40
第624話 +ワンショット / 2023年1月 / NUMBER8 / 40+40
第625話 アルプホルンが鳴る時 / 2023年2月 / 加久時丸 / 40+40+40
第626話 海を見ていた女 / 2023年3月 / ながいみちのり / 40
第627話 刃の裁き / 2023年4月 / 加久時丸 / 40+40
第628話 霧と薔薇の葬送 / 2023年5月 / 夏緑 / 40
第629話 逆転の先に / 2023年6月 / 加久時丸 / 40+40+40
第630話 死神は誰? / 2023年7月 / ながいみちのり / 40
第631話 ホンジュラスの兄弟 / 2023年8月 / 宮口幸治 / 40
第632話 利他と死 / 2023年8月 / 香川まさひと / 40+40
第633話 悪徳の彼方 / 2023年9月 / 静夢 / 40+40+40+40+40
第634話 ザンゲズール機械化回廊 / 2023年12月 / 夏緑 / 40+40+40+40
第635話 激突・トレーラージャック! / 2024年1月 / ながいみちのり / 40
第636話 ディープ・フェイクの亡霊 / 2024年2月 / 小倉永慈 / 40+

“話数 題名 / 発表年月 / 脚本協力 / ページ数”の順で記載(脚本協力者名とページ数は別冊ゴルゴに未収録のエピソードのみ記載。別冊ゴルゴの項には脚本協力者名とページ数が記載されている)

各エピソードのあらすじは、このサイトも参照にされたい。

増刊号掲載分

“増刊話数 題名 / 発表年月”の順で記載。

増刊1話 17人の渇き / 1971年1月
船で国外脱出を図るKGBスパイの正体究明と狙撃をMI6に依頼されたゴルゴ。しかし、その船にはスパイとは無関係の客が十数名乗っていた。
増刊2話 デスマスクの肖像 / 1971年6月
いまだに根強い人種偏見の残る米国南部地方。ルイジアナ州知事のエイブラハム・ゴードンは、ニューオーリンズを訪れていたゴルゴとひょんなことから偶然顔を合わせ驚愕する。KKK団の支持を受ける白人至上主義者のゴードンは、州知事選直前にライバルにスキャンダルを作り出すためにゴルゴに仕事を依頼した過去があったのだった。ゴルゴが自分をゆすりに来たのだとかんちがいしたゴードンは、人種差別主義者のテロを装ってゴルゴを殺そうとするが、一方で、ゴルゴの方も偶然からゴードンが依頼の事情をすべて話していなかったことを知る。
増刊3話 国際ダイヤモンド保安機構 / 1971年11月
世界で産出されるダイヤモンドのすべてを買い上げダイヤモンド市場を牛耳るデビス社には、独占体制を維持するためのIDSO(国際ダイヤモンド保安機構)という秘密組織があった。密輸組織の探索のためにIDSOが派遣した残忍で悪名高い暗殺者・クリューガー3兄弟は、組織の女幹部を手酷く拷問した末に誰にも顔を見せたことが無いという組織のボスの名前を白状させる。3兄弟が密輸組織のボスを狙い始めたことを知った執事はゴルゴに3兄弟の抹殺を依頼するが、ちょうど同じ頃なぜか兄弟達の元にゴルゴの顔写真が届けられていた。
増刊4話 誕生日に白豚を殺せ!! / 1972年2月
米国社会を揺るがした黒人暴動はここ数年なりを潜めたものの、人種間抗争が払拭されたわけではなかった。ゴルゴがコンタクトに応じて訪れたニューヨークの黒人居留区でも、マルコムXの誕生日に白人警官を殺すという過激な襲撃事件が目と鼻の先で発生した。依頼人の黒人神父から黒人解放運動の指導者の暗殺事件への復讐を依頼されたゴルゴは、犯人の正体を知るという黒人ベトナム帰還兵ジム・ホーキンスの下を尋ねる。
増刊5話 素晴らしきシカゴ / 1972年9月
かつて銀行強盗として名を馳せたマックス・ボイド。仮釈放で8年ぶりに古巣のシカゴに戻ってきた彼を待っていたのは、すっかり変わってしまったシカゴの町並みと元恋人のジニーが成金と結婚してフロリダへ行ってしまったという残酷な現実だった。ジニーを取り戻すことを決意したマックスは、資金調達のため銀行強盗に加わり、金を奪って逃走する。
増刊6話 デス・バレイ / 1972年10月
狙撃を終えたゴルゴはFBIに追われ、死の谷に入った。そこには、黄金を探しに出て行方不明になった兄を探している男がいた。2人はインディアンの村に泊まることとなった。
増刊7話 蝶を射つ!! / 1973年4月
アリゾナ州ノガリスの麻薬捜査犬に手を焼いていた麻薬密輸組織のボスとその側近は、ゴルゴに犬の駆除を依頼する。ゴルゴはフェロモンを利用して無数の蝶を犬に纏わり付かせて足止めし、仕留める。
増刊8話 英雄都市 / 1975年12月
英雄都市の一つ、レニングラードが舞台。アンドレイ・パブロヴィッチ・ボロコフは、第二次大戦中、ドイツ軍の捕虜になり、無理やりドイツ軍に協力させられ、戦後は西側に住んでいた。しかし齢を重ねたボロコフは望郷の念にたえられず、逮捕を覚悟でレニングラードの家族をたずねる。直後に、家族の誰かの密告により、ボロコフは戦犯として逮捕されてしまう。彼は、もし逮捕されたら自分を殺してくれ、とゴルゴに依頼していた。
増刊9話 皇帝と共に北へ向かう / 1978年4月
アメリカが南極・アムンゼン海岸の島にて極秘裡に開発していた致死性ウィルス・水死菌「φx176」。ゴルゴはバイオハザードが発生した可能性があるラボを全て焼き払いウィルスを回収して欲しいとの依頼を受け、南極に足を運ぶ。しかしラボの生き残りで発狂したコーニング博士は、ウィルスと周辺に生息するペンギンを使い、とんでもない陰謀を企んでいた。
増刊10話 アカプルコ散華の夜(ファイアー・ワーク) / 1978年8月
メキシコのアカプルコ。米国の億万長者の玉の輿になった元ヒッピーのメアリーは、久しぶりに夫と知り合ったホテルを訪れた。上流階級の暮らしにも飽きがきていたメアリーは、ホテルのプールサイドでたまたま再会したゴルゴを誘惑しようとする。金のない時は春を売ることもあったメアリーは、かつてゴルゴの相手をしたこともあった。が、ゴルゴの方ではどんなアプローチをしてもメアリーに全く関心を示さない。無視されることでかえって思いが高じてゆき、とうとうメアリーは思いきった行動に出る。
増刊11話 刑事よさらば / 1978年10月
深刻な治安の悪化が社会を覆う米国。ここシカゴでも、立て続けに発生する連続婦女暴行殺人事件が市民達を震撼させていた。捜査に当たっていたシカゴ市警の刑事・ボイルは、「病めるアメリカ」との言葉に相応しい凄惨な犯罪の数々に憔悴しきっていた。一本気で頑固な性格から職場でもうまくいかず、ボイルは刑事を辞めて恋人と2人でどこか静かな場所で穏やかに暮らしたいと夢想していた。そんな中、ボイルは新たに起こった暴行事件の現場検証の最中にゴルゴを目撃する。
増刊12話 B&Cクラブ会員死す / 1978年12月
ハンター団体「ブーン&クロケットクラブ」のメンバーは、ワニ狩りのためにフロリダに集まっていた。合法的な人間狩りがしたいという願望を持っていた彼らは、上院議員を殺害したゴルゴが自分達の近くに逃げ込んだことを知り、喜び勇んでゴルゴを仕留めようとする。
増刊13話 G線上の狙撃 / 1986年5月
ヴァイオリニスト・シンプソンはG線上のアリアを演奏中ヴァイオリンの弦が切れるアクシデントに見まわれ、パニックを起こし演奏ができなくなってしまう。その時のショックで人前で演奏できなくなったシンプソンはチャリティコンサートのソリストを降ろされてしまう。そして自分の代わりのソリストが共産主義者であるカミンスキーと知ったシンプソンは自分と同じように演奏中弦だけを切って欲しいとゴルゴに依頼する。
増刊14話 禍なすもの / 1986年9月
新型原子炉を搭載したソ連の偵察衛星が軌道修正を誤り、米モンタナ州の山中に落下した。ハイカーに扮したKGB局員達は原子炉の回収に成功するがケガを負ってしまい、手近にあった山荘を訪れる。が、そこはゴルゴの山荘であり中には休暇中のゴルゴがいた。やがて局員達を探していた国防総省の部隊が駆けつけ、山荘を取り囲む。局員達は動揺するが、ゴルゴは眉一つ動かさなかった。それもそのはず、山荘は窓はすべて防弾ガラス、ドアは鉄板、丸太の壁の中には鉄筋コンクリートが仕込まれ、地下には核シェルターまで備えられたこの上なくゴルゴの所有物に相応しい完全防備の山荘であったからだった。
増刊15話 メイティング・マテリアル / 1987年5月
壮年ボディー・ガードのロバート・ブレディのもとに、警護の仕事が入る。依頼人のハロルド・エマーソンは大のチェス好きで、チェスが巧いガードマンを1ヶ月間雇いたいというのだ。滞在先のコテージはニュージーランドの海岸にあり、波は荒く強い海風が吹き荒れ、周辺には何もない平原が広がるという、警備にはうってつけの場所であった。ある日、ハロルドは電話回線を介してチェスの対戦相手を探し、コンピューター通信によって彼らとの勝負を始める。その時、表の番犬が吠え始めたのを聞いて、ロバートは500メートル離れた所に立つ隣のコテージを双眼鏡で覗いた。そこに見えたのは、カミソリのように目付きの鋭い東洋人の姿だった。
増刊16話 汚れた重賞(グレートレース) / 1988年5月
王室所有の馬ハーディリーフに不正に薬物を投与して、自身所有の馬モーゼスワイルをダービーに勝たせようとするタタミール卿の計画を、ゴルゴは疾走するハーディリーフの肛門にホルモン系統薬を撃ち込んで阻止する。
増刊17話 幻のジゼル / 1988年8月
ボリショイ・バレエ団の至宝ナタリア・パブロワは、ソ連文化省の意向で、アメリカのバレエ団とパリで共演することになる。演目は「ジゼル」で、相方を務めるのは6年前にソ連から亡命したミハイル・レシオフスキーだった。かつて恋人だったミハイルは、パリへ出向いて来たことを好機としてナタリアにアメリカへの亡命を勧める。ナタリアは悩んだ末に亡命を決意する。
増刊18話 ワシントン秘密工作 大統領はお元気? / 1988年11月
CIAの秘密作戦部・DDOのコンピューター室から、NATO軍に関する機密書類、“レインボー・221”が盗まれた。犯人はコンピューター技師のハリー・ローゼンバーグで、贅沢好きな愛人のために金に困り、盗んだ情報を東側へ売ろうとしたのだ。DDOの部長であるウイリアムズは、責任を問われてCIAを辞職するが、その直後、情報を売るためのノウハウを持たないハリーから、報酬を折半するという条件で、ソ連と接触する仲介役を頼まれる。ウイリアムズは、自らの手で”レインボー・221”を取り戻し、事件に決着をつけるべく、友人であるゴルゴに依頼を行う。
増刊19話 インディアン・サマー / 1989年5月
ネバダとユタの州境にある小さなモーテル。盲目の老女マーサと娘のシンディが2人で切り盛りしているこの宿に、出稼ぎに出ていた息子のハンクがしばらくぶりに戻ってきた。ハンクとシンディは久しぶりの再会を喜ぶが、マーサはハンクの陽気な声に隠れて一つの足音がモーテルに忍び足で入っていくのを聞き逃さなかった。マーサは顔なじみの保安官がつい先刻教えてくれた2人組の強盗の話を思い起こす。シンディは気がつかなかったようだが、目が見えない代わりに聴覚が鋭いマーサにはそれですべての察しがついた。朝一番にモーテルに訪れた東洋人らしき客を、足音だけで只者でないと見抜いたように。
増刊20話 疫病神の道標 / 1989年8月
★一部単行本未収録。ハリウッドの人気俳優ハック・ロブソンの元を、三流ゴシップ誌の記者ブラドッグが訪れる。ロブソンが必死で隠していたある感染症の感染をどこからか聞きつけ、金を強請りに来たのだった。ロブソンは仕方なしに金を払うが、強請られた悔しさを押さえることはできず、ゴルゴを雇ってブラドッグの狙撃を依頼する。これでブラドックの口を封じることはできるものの、病魔に蝕まれていく将来を考えるとロブソンの気は鬱してゆくばかりだった。悩みに悩んだ末、ゴルゴの依頼遂行の時刻がやってくる。
増刊21話 公開処刑の日 / 1989年11月
モサドのスパイがイラク公安警察に捕まった。戦争が終わり、国外に向いていた不満分子の感情が再び政権へ向けられ始めていることを危惧していたフセイン大統領は、不満感情をイスラエルに向けさせるためこのスパイを公開の絞首刑にかけることにする。モサドのエージェント達は処刑阻止を命じられてバグダッドへ乗り込むが、その任務内容はフランスのテレビクルーに変装してカメラを構えていろというだけのものだった。一方そのころ、ゴルゴがイラクに入国したという情報が入りイラク警察を騒然とさせていた。
増刊22話 カリブの夢 / 1990年5月
キューバの革命戦士だったパブロは、かつて恋人を巡って対立した同志アベラの策謀によって現在はモスクワで拘禁されていた。KGBはキューバ革命の秘密資金の譲渡を条件に釈放を持ちかけるが、パブロは首を縦に振らない。しかし故国に残し、野球の才能を見込まれて現在はドミニカで訓練を受けている息子の危機には沈黙を通すことはできなかった。パブロの息子がアメリカ球界に行くことで革命時の悪行を喋られることを危惧したアベラは、彼を暗殺しようと画策していたのだった。パブロは秘密資金の譲渡と引き替えに、KGBにゴルゴとコンタクトをとることを要求する。
増刊23話 マイアミの奇跡(ミラクル) / 1990年8月
大企業のPFIコンツェルンの創業者、デビッド・ホーキンスは、若い妻グロリアもおり、世間が羨む暮らしをしていた。しかし、デビッドは、グロリアの浮気癖に気がついていた。今までの浮気の相手は大物であったためにデビッドは黙認したが、今回の浮気の相手は水上スキーの選手というこものであり、デビッドの自尊心は傷つく。そんなデビッドを見て、知人で元CIAのジェフは、デビッドに妙な提案をする。ただのナイフをデビッドに渡し、これを100万ドルで買い取り、そして奇跡を信じて待て、というのだった。
増刊24話 誇り高き葡萄酒(ワイン) / 1990年11月
世界最高峰のワイン「ロマネ・モン・リュイザン」のオーナーであるガイヤールは、日本人バイヤーの柳田が1800年ものをオークションで競り落とすだろうと予想する。そこで1905年ものを1800年ものと偽って出品し、柳田はガイヤールの予想通り偽の1800年ものを競り落とす。しかし、柳田はガイヤールが出品したものは実は偽物でないかと疑い始め、自らパーティーを主催し、フランスのトップクラスのソムリエらを招くことを計画する。
増刊25話 死仮面の館 / 1991年5月
閑静な森の奥に佇む古城。女主人のトルバンセンは、同居する甥の婚約者・ナディネに特別な信頼を寄せていた。ナディネには予知能力のような不思議な能力があり、これまで何度となくトルバンセンの身の回りに起こる出来事を言い当ててきたのである。とある日、ナディネは館に不吉な男が現れるという予知をする。ほどなくトウゴウと名乗る奇妙な男が館を訪れ、ナディネはあの男こそが件の男だとトルバンセンに耳打ちする。トウゴウは親しい伯爵から紹介を受けた客であり、トルバンセンは当惑する。
増刊26話 クロスアングル / 1991年8月
パパラッチカメラマンのビクター・ランスは、その日もスキャンダル写真をものにした。しかしランスはこの仕事に飽き飽きしており、懇意の編集者に、もう足を洗うつもりだ、と打ち明ける。そんなランスに編集長は、最後の大物が残っているだろう、ゴルゴ13の狙撃写真を撮れ、そうすれば、それ以上のスクープはありえないのだぞ、と焚き付ける。これでランスはその気になり、ゴルゴの狙撃を撮影しようと策を練る。直接撮影するのは無理だ、と判断し、ランスは、窓ガラスに反射したゴルゴの狙撃シーンを撮影しよう、と思いつく。
増刊27話 バスを待つ人々 / 1991年11月
米国の某所が舞台、バスの待合室内で、会話だけで進行する。長距離に乗るため、バスの待合所に、何人かの男女が集まってきた。そして、その中のひとりは、ゴルゴであった。他の者たちの話題は、もっぱら、先日、この町で発生した、レイプ殺人をめぐってだった。シャーリーという娘がレイプされ殺されたのだが、犯人はまだつかまっていない。警察が一番の容疑者とみなしたのが、バスを待つ者たちのなかの中年男性、スタンリーだった。実は、シャーリーの父親は、ゴルゴが頼りにするスペシャリストのひとりだったが、娘の死でまいっていた。ゴルゴは依頼遂行のためにチャーリーの父の力が必要であり、そのために、娘のレイプ殺人犯のあぶりだしに一役買ったのである。
増刊28話 クラウン夫妻の死 / 1992年2月
雲仙普賢岳大火砕流1年目の特集を担当することになったテレビ記者・伊東は『火砕流から車で逃げ切った男がいる』との話を聞いて取材を進めるとその男がゴルゴ13であること、そしてゴルゴと火砕流で死んだ火山学者、クラウン夫妻とアメリカ軍のつながりを悟る。
増刊29話 ジョーカーを砕く / 1992年5月
1991年、イスラエルでラミィキューブの第1回国際大会が開かれた。世界各国から代表者が大会に出席したが、それは秘密裏に各国が次期国連事務総長就任に対する賛意を表すための暗号になっていた。そんな中、台湾のビジネスマンを装ったゴルゴがイスラエルに入国する。ラミィキューブの大会の騒ぎに紛れて要人を暗殺するつもりではないかと危惧したイスラエル警察はゴルゴをマークし続ける。
増刊30話 邯鄲の夢 / 1992年8月
今なお中国大衆の間で高い人気を誇る毛沢東。地方では毛沢東の肖像画が家内安全・一族息災のお守りになるとまで信じられ、飛ぶように売れていた。肖像画ブームの影には、保守派の重鎮・老青文の存在があった。大衆の毛信仰を利用した老の企みは、肖像画を大量に流すことで北京政府の権威を失墜させようとすることにあり、老の企みを見抜いた中国政府はゴルゴにコンタクトをとり彼を北京に招く。が、ゴルゴに示された標的は、老青文ではなく毛の肖像画であった。
増刊31話 ウエストウッドに死す / 1992年11月
とある依頼をゴルゴに託し、それを遺言にするようにして息を引き取った老人・ウィンダム。警察が身寄りのない一人暮らしのアパートを検分すると、元FBIロス支局長アトキンスに宛てた書き損じの脅迫状が見つかった。教会で雑用をしていた一介の老人と、引退したFBI支局長の二人にいったいどんな繋がりがあるというのか。不可解な事件に担当刑事のクリアキンは首をひねるが、やがて捜査が進展するうちに二人の間をつなぐ一人の女性の存在が浮かび上がってきた。二人の老人をつなぐ意外な架け橋、それはかの大女優マリリン・モンローだった。
増刊32話 告発の鉄十字 / 1993年2月
★単行本未収録。ドイツの精神科医、ヘルムート・グローガーは、ゴルゴ13にスナイプを依頼した。ターゲットは、実父のハインツ・グローガーだが、ヘルムートはゴルゴ13に、「父の“影”を撃ってくれ」と依頼する。ハインツは隠居の身だったが、ハインツには一時的に記憶のない時間帯があり、その間、ハインツは、ハンスと名乗って、ネオナチグループのリーダーとして振舞っていたのだ。ハインツ自身の話によれば、戦時中、彼はV2ロケットの製造工場で働いていた。この工場でいざこざがあり、少尉のハンス・シュタイナーと撃ちあいになる。ハンスが発砲した弾丸は、ハインツの胸ポケットに入れていた鉄十字章に当たり、ハインツは死なないですんだ。一方、ハインツの弾丸でハンスは即死だったという。しかしヘルムートはもうひとつ納得できず、ドキュメントセンターに出向き父の過去を調べる。その資料によれば、ハンス・シュタイナーと撃ちあいになったのは曹長のブラウアーで、ブラウアーはこの際死亡、ハンス・シュタイナーは逃亡していた。そして、ハンスの顔写真は剥がされていた。その顔写真をはがしたのは、ハインツ・グローガーであり、その写真に写っているハンス・シュタイナーは、ハインツ・グローガー当人であった。ヘルムートは、ハンス・シュタイナー=ハインツ・グローガーが、解離性同一性障害を発症していると診断、ゴルゴ13に、ハンス・シュタイナーの人格だけを狙撃してほしい、という依頼なのであった。ある夜、ハンスの人格が現れ、アジトで演説を始める。そこにゴルゴ13は、戦時中の軍服を着て現れ、「曹長のブラウアーだ」と自称する。そしてゴルゴ13はハンスの胸の鉄十字章を狙って発砲、ハンスは失神する。気がついたときにはハンス・シュタイナーの人格は消滅し、ハインツ・グローガーの人格だけ残っていた。
増刊33話 CRAZY PARK / 1993年5月
富も地位も、すべてを手に入れた大富豪・ウィルキンス。刺激のない毎日にほとほと倦いた彼は、莫大な資金を投じて様々な仕掛けを施したテーマパーク状の施設を造り、そこにゴルゴを誘い込む。
増刊34話 血液サンプルG / 1993年8月
ゴルゴの宿泊するホテルから腸チフス患者が発生。ゴルゴは他の宿泊客共々血液検査を受けることになるが、自らの血液を採取した女医の異様に緊張した顔を見逃さなかった。ゴルゴの疑念通り、腸チフス患者の発生は仕組まれたものであり、その裏ではCIA局員の要請を受けた血液学者が、ゴルゴの血液の遺伝子情報を解析して彼の出生地を特定しようという企みが進行していた。
増刊35話 正義を行なう者(ジュスチセイロス) / 1993年11月
ブラジル・リオデジャネイロ。「ジュスチセイロス」と名乗るグループが、ストリートチルドレンを襲撃する事件が頻発していた。危険を予知する不思議な力を持つチルドレンのリーダー・カタリーナは、仲間達の復讐のため敵の懐に忍び込む。
増刊36話 アッシュ最良の日 / 1994年2月
うらぶれた裏町のアパートに住む自称「天才芸術家」のアッシュは、ガラクタを集めて前衛的なオブジェを作り続けていた。が、作品はサッパリ売れず、近所の子供達からもバカにされる始末。大家からも立ち退きを迫られていたが、アッシュは「いつか才能が認められる日が来るはず」と信じ、意固地になってアパートに居座り続けていた。そんな彼の元に突然ゴルゴが現れ、作品をひとつ残らず買い上げたいと申し出る。
増刊37話 雪上の悪魔 / 1994年5月
フィンランドの国境警備隊員・スキュレは、アルベールビルのバイアスロン競技で金メダルを取るほどのスキー・射撃の腕前に加えて、山の天候を読み、さらには人為的に雪崩を起こすなどの、人間離れした能力を持っていた。ある日、彼と部下たちは、ロシア国境へと向かって雪上を滑走する密入国者を発見する。崖のような急斜面を滑り降り、射撃の“間”を読んで弾丸を回避するその姿を見たスキュレは、かつて祖父を含む腕ききの猟師たちを返り討ちにしてきた、伝説のシベリア狼“灰色の悪魔(グレーデビル)”を想起する。
増刊38話 スナイパーストリート / 1994年8月
停戦合意がなされた後も泥沼の民族紛争の収まらないボスニア・ヘルツェゴビナ。クロアチア人の狙撃手・アンドリッチは、その狙撃技術とどんな相手を標的にしても怯まない非情さから、敵味方双方より畏怖されていた。しかし内実は、憎しみが憎しみを呼び憎悪の連鎖が包み込むボスニアの現状に懊悩し、そして卓抜した狙撃技術を持つ自身が停戦を妨げている原因の一つであることもよく理解していた。悩み抜いた果てに、アンドリッチはかつて親友だったセルビア人・シカティックに、とある手紙を出す。
増刊39話 潮流激る南沙 ―G資金異聞― / 1994年9月
南シナ海に浮かぶ南沙諸島。島とも呼べないような小さな岩礁の集まりだが、その海底には現在の世界の消費量の50年分とも100年分ともいわれる莫大な石油が眠っている。この島の領有についてはかねてより周辺6カ国が領有権を主張していたが、そこへ向こう4年以内に確立した領有権に対して巨額の開発資金が支給されるという噂が流れ、抗争が激化する。200億ドルにも及ぶ多額の開発資金「G資金」。
176話、180話『穀物戦争 蟷螂の斧』の藤堂伍一が再登場。
増刊40話 36000秒分の1秒 / 1994年11月
フランス一警備が厳重なサンテ刑務所の囚人を狙撃するには、囚人の独房から屋外へと続く通路を遮る扉が2枚同時に開いた一瞬を狙って発砲する必要がある。しかし、そのチャンスはわずか10時間に1回のみ。依頼を受けたゴルゴは長時間M16を構え続けるために筋弛緩剤を注射し、針の穴に糸を通すような可能性に賭けて36000秒分の1秒のチャンスを待ち続ける。
増刊41話 黒い通信 / 1995年2月
ゴルゴの元に次々と届く黒い封筒に包まれた手紙。謎の手紙の送り主は、ゴルゴの滞在先はおろか情報網までをも知り尽くしているようだった。送られて来る手紙の指示に従ってゴルゴが足を運んだ街は、かつてゴルゴが狙撃を行ったことのある街だった。手紙を送っていた少年はゴルゴが教会で射殺した男アルシオーネを警護していた刑事フランク・マードックの息子で、何度も外部からの狙撃の危険性を訴えても無視した主任刑事ケリーに事件の全責任を押しつけられ、不遇のまま死んだ父の無念を晴らすべく、わざとゴルゴに殺され自身の命とその先に続く筈だった未来を代償に差し出し遺言テープで依頼した。しがない刑事の息子には依頼料に足るお金は作れない、だからこそ! 今や警察署長に成り上がったケリーと証人として呼びされた市長の目の前で、少年の死を賭した依頼をゴルゴは遂行した。
増刊42話 アムールの制裁 / 1995年5月
元ソ連国防軍特殊部隊員のユーリ・マルコフは、ロシアマフィアが軍から横流しされたウラニウム235を東洋の小国に渡すため、テレビクルーをカモフラージュにして中国国境地帯に入った。マルコフ殺害とウラニウム235回収の依頼を受け、ゴルゴはアムール川奥地の森林地帯に入る。
増刊43話 50年目の亡霊 / 1995年8月
帝国物産会長・巽千太郎には秘められた過去があった。大戦時にソ連に弱みを握られてスパイになり、外務官僚だった地位を利用して機密情報をソ連に漏洩させていたのである。そんな醜悪な過去を暴き立てた手紙が、終戦より50年も経たある日、当時の部下だった堀内武から届けられた。手紙の末尾には巽の命を狙うとも書かれていたが、堀内は帰国後に事故にあってすでに死んだはずであった。巽の忠実な秘書・有木は、巽の暗殺を阻むためにゴルゴを雇うことを進言する。
増刊44話 GOD HAND 神の手 / 1995年9月
メキシコで、ゴルゴ13は、ポール・アンガスなる人物の狙撃を依頼される。アンガスは高額な治療料でイカサマ治療を行い、莫大な報酬を溜め込んでいた。依頼人の妻はアンガスに財産を貢いだ挙句に他界しており、その報復であった。しかし、アンガスは要塞といってもよいほど守りを固めたロッジにこもっている。遠距離狙撃は難しいとみたゴルゴ13は、別のアプローチを模索する。
増刊45話 未明の標的 / 1995年12月
ゴルゴはリバプールで仕事を請け負う。ボビーという若者がドラッグパーティーのさなかに殺されたという。依頼人はボビーの父親、ターゲットはボビーを殺したバイディアというインド人だった。バイディアが乗る飛行機をゴルゴはインドのバンガロール空港で待ち受けるが、その機は着陸したまま動きがなくなった。機内でハイジャックが発生し、犯人が篭城したのだった。インドの特殊部隊は突入を決断するのだが、ゴルゴはその特殊部隊の隊員を装って機内に突入、どさくさまぎれに、バイディアの暗殺に成功する。
増刊46話 乳白の闇 / 1996年2月
レーザー銃の光線は、風や重力の影響を受けることなく障害物がない限り確実に標的に向かって直進する。さらには光の速さで目標物まで到達し、銃声や硝煙の臭いを発することもない。そんなレーザー銃を用いて標的の網膜を焼き、幾人もの人間を葬ってきた狙撃手・タップスにゴルゴ抹殺の依頼が舞い込んできた。もはやライフルの時代は終わったのだと豪語するタップスは、彼が旧時代の象徴と見なすゴルゴを葬ることで新時代の到来を証明しようと意気込む。
増刊47話 老いた獅子 / 1996年5月
ゴルゴはクルド民族過激派から依頼を請け負う。ターゲットは、イラクのバビルライオン部隊の司令官、アマド。クルド人を何千人も殺したという。一方、この依頼に激しく戸惑うものがいた。過激派の中の長老格のゼバリ老師である。ゼバリは10年前にアマドと交錯したものの、油断してアマド側から銃撃を受けて、右腕を撃ち抜かれ不自由になっていた。ゼバリは自分がアマドをしとめたかったと仲間に愚痴るがゼバリにはやはり無理であった。しかしゼバリはあきらめず、依頼を受けたゴルゴにつきまとい、アマドは自分の獲物なのだとゴルゴに主張するがもちろんゴルゴは聞き入れない。そしてゴルゴはアマドを捕捉するのだが、ゴルゴが引き金を引くよりも先に、ゼバリはアマドを狙って発砲する。ゼバリの弾丸はアマドの肩を撃ちぬき、さらにその直後にゴルゴが発射した弾丸が、アマドの眉間を撃ち抜く。
増刊48話 フルマーク / 1996年8月
オリンピックが近づくアトランタで、女子ライフル射撃のアメリカ代表選手であるメアリージョーは、焦燥感に駆られていた。ライバル選手であるモニカが、新興勢力の銃器メーカー、ダーレン社が開発した新型ライフルを手に、フルマークを始めとする抜群のトレーニング成績を叩き出しているためだ。筋力トレーニングからメンタルリハーサルまで、全てをやりつくしたにもかかわらず彼女に及ばない苛立ちの中、メアリージョーは気分転換に故郷へと帰省する。しかし、帰省先の射撃場で、彼女は軍用銃・M16で十発連続のフルマークを叩き出したという東洋人の情報を聞きつける。自らの壁を乗り越えるためのヒントが欲しいメアリージョーは、男の後を追い始める。
増刊49話 禁じられた言葉 / 1996年11月
終戦から二十年も経た今頃になってベトナム戦争時の悪夢にうなされるようになったベトナム帰還兵のウィリー。ほとほと参ったウィリーは精神科を訪れるが、そこで戦時中に小隊の軍医だったトラヴィスとばったり再会する。トラヴィスは戦場ストレスを研究するために派遣されていた精神科医で、得意の催眠術を使ってウィリーのケガの痛みを和らげてくれたこともあったのだった。トラヴィスが診てくれるなら安心だとウィリーは喜ぶが、病院には戦友のカッツもいた。不可解なことに、カッツも全く同じ悪夢に悩されてトラヴィスの診察を受けているのだという。敵兵ではなく味方の米軍部隊に追い回されるという、ウィリーと同じ異様な夢に。
増刊50話 13階段の狙撃 / 1997年3月
悪辣な大統領の下、腐敗の澱の底に沈み続ける南米の某国。暴政に憤る将校たちはクーデターを計画していたが、いよいよ決行の日を決めた矢先、リーダーであった国防長官マティアスが秘密警察長官の姦計に遭って逮捕され、根も葉もない汚名を着せられ絞首刑を宣告されてしまう。息子のアロンソは父にかまわず計画を実行すべきと同志たちに願うが、しかし汚名を着せられた末の処刑には黙っていられず、ゴルゴに刑の執行直前にマティアスを狙撃し、執行に立ち会う秘密警察長官を殺害することを依頼する。ところがゴルゴは前者を断り、後者だけを請け負って去っていった。
増刊51話 PROFESSIONAL / 1997年5月
ハリウッド映画界で名バイプレーヤーとして名を馳せてきた老優レイスに、一世一代の主役が回ってきた。現在は静かに暮らす老境の元殺し屋が己のかつての生き方を取り戻すため妻を殺すという物語だったが、どうしても役柄がつかめない。役柄と同じ生活を実際にしてみるなど役作りに徹底してこだわってきたレイスは、ある晩とうとう眠っている愛妻のリサに拳銃を向けてみることまでしてみた。が、やはり演技はおぼつかなく、レイスは頭を抱える。寝床で密かに目を覚ましていたリサは、薄目を開けて苦悩するレイスを見つめていた。愛する夫を見つめる彼女の胸の底には、ある重大な決意があった。
増刊52話 HAPPY END / 1997年8月
CIAの腕利き工作員が活躍するアメリカの人気コミック「ゲーリー・ライトニング」。あまりにも長く続いたシリーズに作者のスヴェンソンはすっかり飽き飽きしていたが、絶大な人気を誇るために作者がやめたいと思っていても物語を終わらせることができない。ストーカーじみたマニアの存在にもうんざりしたスヴェンソンは、旅先で偶然出会ったゴルゴに狂言自殺の相談を持ちかける。
増刊53話 海底の豚 / 1997年11月
グレートバリアリーフ内で船舶事故が発生。現場に駆け付けた沿岸警備艇の隊員たちは、海面に投げ出された人々を襲う無数のホオジロザメと、海中でサメと戦う一人の男――ゴルゴ13を発見する。クルーザー上の標的を、スキューバダイビングによって水中から狙撃することに成功したゴルゴであったが、直後に暴走した同船が逃走用のクルーザーに激突、これを破壊してしまったのだ。海中では人間はのろまな豚も同然。次々に襲い来るサメの群れと、彼を捕まえるべく待ち構える警備隊に挟まれ、やがて身を守る武器を失い、空気ボンベの残量も底を突いた。
増刊54話 感謝の印 / 1998年5月
インドのカルカッタでテロ組織に資金提供しているシュリーという娘の抹殺依頼を受けたゴルゴは、その依頼が嘘であることに気づき、依頼者の司教を射殺する。その直後、バス事故に遭うが、マザー・テレジアに命を救われた。後にテレジア死去を知ったゴルゴは、100万$を教会に寄付する。
増刊55話 神の滴 / 1998年12月
市場に十本しか出回らなかったといわれる幻のワイン「シャトー・ラ・ミッション」の七八年ものの発見はワイン通達を沸き返らせたが、生みの親であるワイン職人ジャン・エミールにとっては凶報以外の何ものでもなかった。七八年ものは職人としての情熱をかけて作り上げた極上品だったが、敵対する職人の陰謀で三流ものの瓶を混ぜられてしまい、シャトーの面目を保つために泣く泣く回収したのだったが、よりにもよってその偽の瓶をエミールを快く思わない卸売業者に見つけられてしまったのである。
増刊56話 硝子の要塞 / 1999年3月
イギリスとアイルランドの間にある小さな人工島。周囲をガラスで囲まれた幻想的な佇まいを見せるこの島を、主のウォルトンは「不幸な女性の社会復帰のための保養施設」として造ったと称していたが、実際にはウォルトンはIRAの協力者であり、島はイングランド女性の臓器を密売するために建てられた施設であった。ゴルゴはIRAの資金源を断つためウォルトンの狙撃を依頼されるが、ウォルトンは四方を三重の防弾ガラスで覆われた「硝子の要塞」ともいえる島にこもって外へ出ることはない。
増刊57話 総統の揺りかご / 1999年6月
ベンチャー製薬企業社長ドッジはナチスに傾倒していた。ドイツ帝国総統アドルフ・ヒトラーが愛用したブラシを密かに入手、付着した毛根細胞からヒトラーのクローンを作成しようと画策し、ついにヒトラーのDNAの抽出に成功するのであった。その裏で製薬研究所副所長ヒンクルは、ゴルゴに接触し、自社の研究所をヒトラーの受精卵を諸共破壊するように依頼する。
増刊58話 一年半の蝶 / 1999年8月
欧米屈指の化学プラントグループの社長カールは、会長である父親の殺害をゴルゴに依頼する。会長は末期の癌に冒されており、余命は残り1年だという。1年を過ぎてもなお、会長が生存していれば、1年半後に狙撃を行うという条件を提示してきた。紆余曲折を経て、最終的に1年半後の狙撃依頼が成立する。会長が蝶の熱烈なコレクターであることを掴んだゴルゴは、社長の息子ネロに接触し、希少種である「アレキサンドラトリバネアゲハ」の人工孵化を依頼する。1年半後、ゴルゴは人工孵化に成功した『アレキサンドラトリバネアゲハ』をネロから買い上げた。
増刊59話 高度7000メートル / 1999年9月
米国行きの旅客機がハイジャックされ、その犯人は元海兵隊員で爆破のスペシャリストだった。偶然乗り合わせたゴルゴは犯人を殺害するが、機体が高度7000メートル以下に降下すると爆発する爆弾が仕掛けられていることを知る。ゴルゴは咄嗟に対応策を思いつき、機体主翼に取り付けられた爆弾の処理を行う。
増刊60話 原子養殖 / 1999年12月
インドとパキスタンが相次いで核実験を強行した。米・露・英・仏・中の5カ国による核の独占体制が揺さぶられる中、米国の核問題ロビイストのアレンシスが核実験が行われた近隣に位置するサウスパシフィック共和国を訪れる。名目は休暇ということであったが、実際のアレンシスの目的は同国の外務院副議長のロネッタ・ベリーと密かに会うためであった。2人の密会を知った米国人ジャーナリストのハルクはその意図を探ろうと取材を始めるが、その矢先に空港でゴルゴの姿を目撃する。
増刊61話 列島油濁包囲網 / 2000年3月
日本の石油会社の巨大タンカーがGPSを通じて乗っ取られてしまった。犯人は多額の金銭を要求し、要求に従わない場合はタンカーを座礁させ、満載されている重油を流出させることを通告してきた。FBIはアメリカ国防省内部の人間が犯行に関与していることを察知し、犯人の自宅に乗り込むが、犯人を射殺してしまう。その場にいた犯人の恋人はタンカーの機関部を暴走させるスイッチを入れてしまい、タンカーは数時間もすれば爆発する事態となる。重油流出事故を食い止めるため、在日米軍はゴルゴにある依頼を行う。
増刊62話 フロリダ・チェイス / 2000年6月
フロリダ州・マイアミにてキューバ外相補佐官と面会したゴルゴは、刑務所に収監された囚人ホセ・カンボスの抹殺を依頼される。所内での暴動を繰り返す凶悪犯である彼に対して、キューバ政府はフロリダへ移住した他の善良な同国民への評判を陥しめる存在と判断、これを排除するように要請したのだ。しかしその直後、カンボスは別の刑務所への護送中に共犯者の手引きによって逃亡、同じく彼らが用意していた現金輸送車に乗り込み、メキシコへと向かう。さらにこの輸送車は、銃弾はおろかバズーカ砲や高熱の炎も通用せず、タイヤへの攻撃も無力化するという、戦車にも匹敵する強度を持つ代物であった。
増刊63話 錆びた黄金 / 2000年8月
成人人口の5人に一人がエイズ感染者といわれる南アフリカ共和国。アメリカの製薬会社でエイズの研究を行っていたカレル教授は、本国に戻り廉価な治療薬を量産する計画を進めていた。しかしその折、米副大統領が治療薬の複製を規制する方針を立ち上げ、国内外で物議を醸す。これを受けて鉱山エネルギー省長官のサイモン・ロイドは、南アフリカの未来を救うという大義のもと、米副大統領の暗殺をゴルゴに依頼するべく動きだす。しかし、彼の周辺人物の多くは、アメリカの行動に義憤を覚えると同時に、軽薄で傲慢な性格のロイドに対する不信感を持ち、彼の選択が更なる混乱を南アフリカにもたらすのではないかと危機感を抱いていた。人々の不安をよそに、ゴルゴとロイド長官が接触する。
増刊64話 赤いトロフィー / 2000年10月
1999年5月に起こった米軍機によるベオグラードの中国大使館爆撃事件。米軍は誤爆だったと主張したが、直前に問題になっていた中国の核スパイ問題が影を落としているのではないかという推測は事件発生当時から存在した。直後には核スパイ問題に関するコックス報告書がまとめ上げられて対中批判はいよいよ高まったが、とはいうものの、ナスダック・バブル崩壊後は中国の巨大市場を意識せざるをえなくなり、米政界の対中強硬意見は尻すぼみになる。一方、中国側も米国との穏便な関係を望む人間がいることには変りはなかった。そんな中、空港で盗難被害にあった奇妙なトロフィーがニューヨーク市警に押収される。中心に赤いガラス筒をあしらった洒落たデザインのこのトロフィーには、件の米中関係にまつわるとある秘密が隠されていた。
増刊65話 炎の証言 / 2000年12月
雑誌記者のアルマンは、その日も記事を捏造しては誌面を埋めていた。アルマンの事務所にいるただ1人の部下がイブリンであったが、どうやら秘密をかかえているようであった。アルマンは、その秘密を偶然知る。イブリンは、以前、夫と子とともにカルト教団に属していたが、FBIと撃ち合いになり、イブリンだけ生き延びた。しかし、そのFBIの攻撃には不審な点があった。FBIは催涙ガスを教団に打ち込んだが、どうやらその催涙ガスは引火性のもので、それが爆発し、必要以上の死傷者が出た、というのが真相らしかった。アルマンは、この謎を暴けば、ピューリッツァー賞も夢ではない、と意気込む。
増刊66話 星条旗を撃つ / 2001年3月
僅差の大接戦となった2000年の米大統領選挙。集計作業に不備のあったフロリダ州パームビーチの投票所で票の再集計の最中、未集計だった票の束が発見される。ところがその票の束が高々と掲げられた瞬間、屋外から換気扇の隙間をぬって銃弾が撃ち込まれ、弾痕が穿たれたパンチカードの票の束は穴が潰れて無効票となってしまう。その超人的な狙撃技術に共和党と民主党の立会人達はゴルゴの仕業と直感するが、直後に現在投票所で起こっている騒ぎの真相を知っているという怪電話がかかってくる。ゴルゴを雇った騒動の黒幕は、ホワイトハウスに人生のすべてを捧げた一人の老人であった。
増刊67話 シリコンアイランド / 2001年6月
独断で動いたIRAの雇われハッカー達が、資金目当てに外資系IT企業に物理的なテロを仕掛けた。IT立国を目指すアイルランド大統領はハッカー達の掃討をゴルゴに依頼したものの、その大統領の依頼はハッカー達にネットを通して筒抜けになっていた。彼らをもてあますIRAのメンバーはゴルゴの恐ろしさを訴えるが、ハッカー達はITの力の前には敵ではないと嘲笑する。
増刊68話 タミルの虎 / 2001年8月
スリランカの大蔵大臣カナガシンガムは、ある日、家出し消息不明だった息子チャンドランが武装組織LTTE(タミル・イーラム解放のトラ)に参加していることを知り愕然とする。その後、息子から自爆テロを予告する電話がかかってきて、父を道連れに自爆するとすると話す。カナガシンガムはテロに断固とした態度を示したいが、息子を助けたい思いもあり、ゴルゴに警護を依頼する。
増刊69話 魔の海峡 / 2001年10月
マラッカ海峡を運航していた日本の海運会社・全日本海運のタンカーが海賊の襲撃を受け、青年船員の丹羽が殺害される。丹羽は社長の野口の親友の息子であり、野口は奇しくもかつて同じマラッカ海峡で消息不明になったこの親友の忘れ形見を実の子のように育ててきた。我が子のように面倒を見てきた若者を殺された憤りを押さえきれない野口は、ゴルゴにコンタクトをとって海賊の殲滅を依頼する。野口の依頼を受けたゴルゴはマラッカに飛び、仕事で使う高速艇を操縦できる腕利きの船員を雇う。が、「スズキ」と名乗るその日本人船員は、死んだ丹羽青年に面立ちがひどく似ていた。
増刊70話 ブーメランを持つ女 / 2001年12月
乗っていたセスナ機が事故で墜落してしまったゴルゴ。重傷を負ったゴルゴを助けたのは、人里離れた地で寂しく暮らす女。彼女はゴルゴに色目を使う。
増刊71話 三人の狙撃手 / 2002年3月
国連人権問題担当の女性幹部がゴルゴに仕事を依頼した。国連は、アフリカ大戦、とまで称されるコンゴ民主共和国の内戦を沈静化させたい、そのために新大統領と対抗勢力の話し合いを2週間後にセットした。この時まで、新大統領に対する不測の事態に備えてほしい、という依頼であった。
増刊72話 13恐怖症(トリスカイ・デカフォビア) / 2002年6月
元プロボクサーのトッドは、マフィアのボスのクレイグの手下となっていた。トッドは、極端なゲンかつぎで、黒猫や13という数字を忌み嫌っており、そのことが仲間の笑いの種になっていた。町中でゴルゴを見たトッドは、きっとゴルゴがクレイグを殺しに来たのだと考え、クレイグに身を隠すよう進言するが、まともにとりあってもらえない。
増刊73話 ピンヘッド・シュート / 2002年8月
新疆ウイグル自治区の教育部のウイグル人初の幹部となったアッシジの正体は、子供たちに共産主義を植え付けるために中国共産党から送られてきた男だった。これを防ぐため、ウイグル人の老人は完全な事故死に見せかけることを条件に、彼の狙撃をゴルゴに依頼。
増刊74話 未来予測射撃 / 2002年10月
「凄腕の狙撃手に狙われている」という偽の情報を買わせた男の制裁に臨んだゴルゴ。しかし男の頭を撃った瞬間、全く逆の方向から別の銃弾が飛んできて男の頭に命中した。銃弾を放ったのは件の狙撃手であり、男はその狙撃手にも「ゴルゴから狙われている」という偽の情報をつかませ、双方から金をせしめていたのだった。各々の制裁の現場に偶然居合わせたことで、図らずも二人のプロが対決することになる。ジョン・スミスという偽名を名乗るその狙撃手は、「未来予測射撃」ともいうべき見越し狙撃の天才であった。
増刊75話 最後の酒 / 2002年12月
長年ゴルゴの仕事の調査を請け負っていた調査員ジョイスが息を引き取った。今際の際に、ジョイスは後釜としてかつて旧ソ連の対テロ組織に在籍していたピーターを熱心にゴルゴに薦めた。「きっと化ける」ということだったが、しかしピーターはすでに現役を退いて長く、今はしがないポルノショップの親父に収まっている男だった。ゴルゴからの要請を受けたピーターは、好きな酒も断ってかつての勘を取り戻そうと気を引き締める。
増刊76話 ある女の視界(ファインダー) / 2003年3月
モータージャーナリストのフリーダは、有名カーデザイナー・ロッティの新車をなんとか公式発表前にスクープしようとしていた。だが公道でテスト走行中の新車を追い回している最中、相棒の運転ミスで車ごと川に転落してしまう。相棒は危うく溺死しそうになったが、たまたまその場に居合わせたゴルゴに救われ一命を取り留める。以来ゴルゴの姿が視界に焼きついてしまったフリーダは、どうにかゴルゴの素性を調べようと躍起になる。
増刊77話 1インチの錯覚 / 2003年6月
スイス銀行に貯蓄されている国際テロ組織「バグダリア」の秘密資金。その百桁を超える口座番号を知るのは、組織の金庫番ダリル・ラジェただ一人である。用心深く決して人前に姿を現そうとしないダリルだったが、近日中に行われるスイス銀行との契約には当人が立ち会わねばならない。組織壊滅を一気呵成に進めようとするCIAはこのチャンスにゴルゴに狙撃を依頼するが、ダリルには錯視を利用した視覚的なトリックを用いる奇妙な護衛がついていた。
増刊78話 サンクチュアリ / 2003年8月
オセアニアのナウトロ共和国。小国ながら天然資源グアノに恵まれたこの国はかつては国民1人当たりのGDPが世界最高を誇っていたが、近年ではそのグアノが枯渇して経済危機が到来し、外国から亡命者を呼び込むという政治的奇策に走っていた。ゴルゴはナウトロに亡命したサウン連邦の前副首席サヤ・タンの暗殺を依頼されたものの、サヤ・タンは整形手術で容姿を完全に変えてしまったようでその行方は全く捕捉できなかった。
増刊79話 荒んだ大地 / 2003年12月
タリバーン政権崩壊後も混乱の続くアフガニスタン。無医村で医療ボランティアに携わる日本人女医平松の下に東郷というボランティア志願の男が現れた。いまだに軍閥の暗躍する世情の中、男手もなく心細く過ごしていたところだったので平松は喜んだものの、ある日近隣のパシュトゥーン系軍閥の兵士達が医薬品を強奪しようと押しかけてくる。リーダーの将軍が悪性のマラリアに罹患したらしく、兵士達は往診に行ってもいいと言う東郷を連行する。東郷の身を案じた平松は危険を顧みずトラックを飛ばして軍閥の砦に乗り込む。
増刊80話 再発・ギランバレー症候群 / 2004年6月
フィリピンで営利目的に誘拐事件を繰り返している民兵組織の首領の狙撃を依頼されたゴルゴ。組織が立て籠もっている山の砦に潜入して難なく首領を仕留めたものの、首領の愛人が部隊の指揮を執ってゴルゴを追い詰めてゆく。ゴルゴは追っ手をかわしつつ逃走するが、折悪く右手が痺れる持病が再発してしまう。
増刊81話 欧亜の狭間 / 2004年8月
イラク政府に対する敵対勢力として米国とイラク戦争で共同戦線を張ったイラク内のクルド人勢力は、戦争終結後に米国の後ろ盾を得てイラク北部を占領した。クルド人が多数居住するトルコでも、その勢いを受けてクルド人独立を掲げるPKK(クルド労働者党)がトルコ政府に停戦協定の終了を突きつけてきた。トルコはEUへの加盟を悲願としており、何としてもテロ活動の活発化は避けたい。MIT(トルコ国家情報機構)はPKKの狙いがBTCパイプラインにあると睨むが、その背後にはクルド人の独立意識を利用しようと謀る黒幕の存在があった。
増刊82話 町が死にゆく時 / 2004年10月
モンタナ州のとある小さな田舎町。経済を支えていた金鉱が2年前に廃鉱になってしまったこの町は、以来過疎化が進んで寂れゆく一方だった。ところがある日、町にトランク一杯に金と宝石を詰め込んだ女が乗ったヘリが墜落してきた。直前には隣の群に住むハリウッドスターが狙撃されるという事件が起こっており、どうやら愛人が事件直後のどさくさに紛れて金品を持ち逃げしようとしたらしかった。町の住民達は金と宝石を懐に抱え込んでだんまりを決め込もうとする。
増刊83話 消滅海域 / 2004年12月
日本最南端の島、沖ノ鳥島。「島」という呼称に疑問符が付くほどの小さな岩礁であるものの、日本の南方の排他的経済水域を規定する重要な根拠であり、もしもこの小島がなくなれば日本は40万平方kmもの水域の領有権を失うことになる。中国海洋開発局局長の光家元は共産党本部に無断で沖ノ鳥島を消滅させる計画を立て、尖閣諸島で領海侵犯騒動が起きている隙に沖ノ鳥島に赴く。が、島の周囲では日本の新造深海掘削研究船「ちきゅう」号が航行していた。単なる試験航海に過ぎないと高をくくり、光は計画を実行に移そうとする。
増刊84話 生と死を分かつ川 / 2005年3月
ヨルダン川西岸のパレスチナ自治区において、イスラエルはヘリからの攻撃を繰り返していた。その攻撃は精緻であり、ターゲットのみをピンポイントで抹殺していた。次々と幹部が殺されていくため、アラブ独立派の長老は、イスラエルに内通している者が居ると考え、業を煮やしてゴルゴを起用する。その上で、おとりを用意し、イスラエルに攻撃するよう仕向ける。果たして、裏切り者は、実はグループの幹部で、彼はターゲットに対して地上からレーザーを照射し、イスラエルはその照射点をピンポイント攻撃していたのであった。ゴルゴはそれに気づき、すばやく裏切り者を抹殺した。
増刊85話 鶏は血を流す / 2005年6月
南アフリカ共和国は世界各国の紛争地域・危険地帯に傭兵を送り出す世界最大の傭兵供給国である。ナミビアとの国境近くのとある小さな村でも、村の食い扶持を稼ぐべく日々若者達に訓練を積ませていた。ある日、オランダの傭兵派遣会社からトウゴウという新しい教官が赴任してきた。優秀な傭兵だった父の後を継ごうと鍛錬に励んでいた少年・リコは、トウゴウの持つ気迫に圧倒され憧れを持つようになる。やがてアンゴラのダイヤ鉱山から警備の仕事が入り、リコはトウゴウに頼み込み選抜メンバーに加えてもらう。
増刊86話 プリンセスの涙 / 2005年8月
皇太子との離婚が決まった皇太子妃ダイアンが英国一の宝飾職人コルダーに注文したのは、涙の形をデザインしたダイヤのペンダントだった。自分の代わりにペンダントに泣いてもらいたい、という彼女の言葉にいたく同情したコルダーは腕によりをかけて作りあげるが、完成品が届く前にダイアンは自動車事故で亡くなってしまう。が、その後ペンダントはあろうことかダイアンから皇太子を奪った後妻のカメリア夫人が身につけるようになった。激怒したコルダーはゴルゴにコンタクトをとり、カメリアの首にかかったペンダントを狙撃で弾き飛ばすことを依頼する。
増刊87話 THE MOBS / 2005年10月
ボルティモア郊外のロックフォール大学では生物兵器に転用可能な細菌の培養実権が密かに進められていた。生物兵器の開発に反対する研究主任から暴走する部下の暗殺を依頼されたゴルゴは、研究所に潜入し見事標的を仕留める。が、この依頼の問題は標的を倒した後にあった。生物兵器開発の噂を聞きつけたデモ隊やマスコミが十重二十重に研究所を包囲しているのである。脱出が甚だ困難な仕事であったが、ゴルゴはネットの呼びかけで奇矯な扮装をして集まり、大騒ぎをして去って行くお騒がせ集団「MOBS」(モブス)に目をつける。
増刊88話 螺旋 / 2005年12月
スイスの高級時計ブランドの社長が殺害された。工房で時計を分解していたところを遠距離から狙撃されたもので完全にプロの狙撃手の犯行だったが、いったい誰がそのような依頼をさせたのか皆目わからなかった。唯一の手がかりは被害者の頭を撃ち抜くと同時に壊された腕時計だったが、元時計職人だった刑事のジャヌーが調べたところ、時計は部品の1つ1つが手作りで作られていた上に最高峰の技術「トゥールビヨン」まで使われた信じがたい程の高級品だった。
増刊89話 ONE SHOT / 2006年3月
舞台はシカゴ。中国系マフィアの依頼を引き受けたゴルゴは、ロシア系マフィアの幹部を抹殺。この組織のイワノフは報復しようとゴルゴに立ち向かうがゴルゴに返り討ちにされる。イワノフの兄でもある組織のボスは、是が非でもゴルゴを殺そうと奇策を立案した。そのために、粗暴犯と、ロシアなまりの少年、この2人を抱きこんで手駒とする。そして、粗暴犯がロシア系の財閥の一族の少年を誘拐した、というフィクションを用意し、ゴルゴに誘拐犯の抹殺と少年の解放を依頼する。ゴルゴが監禁現場に向かうと、凶悪犯は少年の左胸部に発砲、少年はそこから出血し、死んだように思われた。それを見て緊張を緩めたかのようなゴルゴに対して、少年が立ち上がり発砲しようとする。実は少年は内臓転位であり、心臓は右胸部にあった。しかし、ゴルゴは少年の左胸部からの出血が少ないことから、罠ではないかと気がついており、少年の眉間を撃つ。
増刊90話 伏兵 / 2006年6月
コロンビアでは、政府、反政府左翼ゲリラ、パラミリタレス(右派準軍事組織)が三つ巴の内戦を続けていた。左派のFARC(コロンビア革命軍)は、パラミリタレスの将軍を暗殺しようと、グルカ部隊出身の、バサンタ、アディカリ、というコンビのスナイパーを雇う。二人はアジトに接近していくが、その後方にゴルゴの姿があった。実は二人の師匠である老兵が今回の二人の任務に嫌な予感を覚え、ゴルゴを雇い、2人の後方でスタンバイしもし二人が成功するならそれでよし、もし失敗した場合は、ゴルゴに将軍を狙撃するよう依頼していたのだった。結局2人は失敗し、ゴルゴが標的を射殺する。
増刊91話 人形の家 / 2006年8月
ベネズエラのアンヘラ・ガルシアエネルギー石油大臣は、アンティーク・ドールのコレクターとしても有名で、先日も、ネットオークションで、ある人形を5万ドルで買ったという。しかし、この人形には、大変な秘密が隠されていた。人形の出品者の夫は元CIAのエージェントで、この人形の頭部に、CIA時代の知られてはならない記録を保存してあるメモリーチップを隠しておいたのだった。これがもし明るみに出れば大変なスキャンダルになるのだが、人形はベネズエラの政治家の手に落ちてしまい、回収は不可能に思われた。CIAの幹部はゴルゴ13に、人形の体内のメモリーの破壊を依頼する。
増刊92話 天使の一滴 / 2006年10月
テネシー州のナッシュビル。とあるバーで、バーテンダーのガルシアは客にその店で起こった不思議な事件を語って聞かせていた。その店で飲んでいた若者ホレイショは娼婦のドロシーの毒牙にかかり、高価なものをみついだあげくに、薬物中毒にされ、さらに、ドロシーのヒモが引き起こした殺人の容疑をかぶせられる。ホレイショは逮捕され収監されるが、獄中で自殺してしまう。ホレイショの父の上院議員は、ゴルゴを雇い、ドロシーとヒモの暗殺を依頼し、ゴルゴはそれを遂行する。その際ゴルゴは小技を弄し、このために狙撃地点がわからず事件は迷宮入りしてしまう。
増刊93話 双龍狙撃指令 / 2006年12月
片岡ファンドという投資ファンドが日本の大手メディアの株をひそかに買い進んでいた。この片岡ファンドの資金の出所は、葉という中国人であるが葉は中国政府の命で動いていた。しかも、このカネは、もともと日本がODAで支援した金品が元手だった。事態を重く見た外務省や防衛庁の官僚が動き、葉の暗殺をゴルゴ13に依頼する。葉は、ケイマンに資金をプールしていた。葉を始末しただけでは、この資金を使って、後任者が引き継ぐだけである。そこでゴルゴ13に、葉の暗殺と、ケイマンの隠しガネを出し入れするためのコードの抹消を、一弾で行ってほしい、と依頼する。
増刊94話 ドッグマンの鼻 / 2007年3月
タイのノイ社は、タイでドリンク剤を開発、販売しているメーカーだ。しかし、社長のソムーチャイは過去にオーストリアのエナジーオン社に煮え湯を飲まされていた。複雑な契約書をよく吟味しないままソムーチャイはサインしてしまい、欧米での販売権をエナジーオンにみすみす独占させてしまったのだ。捲土重来を期して、ソムーチャイは、甥で天才官能士のチャクラポンの能力を活用して、エナージオン社の商品を超えるドリンク剤を開発し、欧米で発売を目指す。それを察知したエナジーオン社の社長は、ゴルゴ13を起用し、チャクラポン殺害ではなく、嗅覚の麻痺を依頼する。
増刊95話 生き続ける遺体 / 2007年6月
モスクワのレーニン廟の地下施設から警備員数名が失踪するという事件が発生した。しかしその事件の真相はゴルゴが地下施設に侵入したというもので、失踪したとされていた警備員達は左遷されていただけに過ぎなかった。ゴルゴの真の狙いはレーニンの遺体の破壊ではなく、エンバーミング実験のため保存されていた遺体の1つを破壊することだった。歴史の闇に葬られた事件の真相を世間に公表しようと、一連の顛末を記事にしようとするロシア人記者が現れた。
増刊96話 復活・羅刹鳥 / 2007年8月
中国にて旧共産党要人を狙った連続殺人事件が発生した。どこからともなく飛来して標的の喉を斬りつけ殺害するという手口から、中国に伝わる伝説の怪鳥・羅刹鳥の仕業だという根拠の無い噂がネット上に広がる。しかし殺害された要人たちには共通点があり、新興宗教『金鵬来(こんぽうらい)』の信者弾圧に深く関わっていたのである。
増刊97話 夏の老人 / 2008年8月
夏のある日、一人暮らしの老人が急逝した。娘が遺品の整理をしていたところ、亡父のタンスから小さな謎の箱と通帳を発見する。亡父の口座には定期的に多額の金が振り込まれており、銀行に詳しく調べてもらうと、それらが海外からの送金によるものだと分かる。しかしそれ以上は詳細が分からず、引き続き遺品を整理している娘のもとに、ゴルゴが訪れてくる。
増刊98話 必殺の0.5秒 / 2008年10月
「ブレット」という異名を持つ狙撃手は元刑事であり、プロ同士の撃ち合いで無敗を誇っていた。相手の初弾を回避するという技能を有しており、それが無敗の由縁であった。クライアントからゴルゴ暗殺の依頼を受け、ニューメキシコ州の荒野でゴルゴと対峙する。
増刊99話 疑惑のペースメーカー / 2008年12月
CIAや国防総省は核兵器に関する情報を探っているスイスに懐疑の目を向けていた。ベン・クラハイムという人物がロシアで不審な行動を取っており、国防総省はスイス周辺にスパイを派遣していた。そしてスパイが入手した、クラハイムのレントゲン写真から謎のペースメーカーの存在が明らかになる。
増刊100話 獣の爪を折れ / 2009年6月
北京オリンピックを控え、二人の金メダル候補、エリックとアレンがトラックで練習に励んでいた。エリックの専属コーチと専用スパイク開発責任者の二人からアレンのスパイクのピンを狙撃し、アレンの金メダル獲得を妨害するように依頼されたゴルゴ。しかしその依頼とは別に専属コーチからある依頼を受けていた。
増刊101話 死への階(きざはし) / 2009年8月
かつての仲間の手紙からゴルゴに命を狙われていることを知ったマフィアのボス。自分自身の死がもはや避けられないと覚悟を決め、ゴルゴの狙撃を利用して組織が抱える後継者問題の解決を図る。
増刊102話 カリブの人喰い菌 / 2009年12月
カリブ海で消息を絶っていた高級クルーザーが発見されるが、全く人の気配がなかった。CDC(疾病管理予防センター)の医師を含めた湾岸警備隊の一行は防護服に身を包み、クルーザーに乗り込んだ。破壊された通信機や機関室には問題がないことが明らかになり、さらに医務室のベッドに残された痕跡から人食い菌ことビブリオ・バルニフィカスの感染があったことが断定される。
増刊103話 ジンネマンの1時間 / 2010年6月
米バージニア州のハイウェイで、標的である悪徳医師ジンネマンを待ち構えるゴルゴ。対向車線の車が交通事故を起こしてしまい、ジンネマンは仕方なく応急処置を施すが、運転していたのは臨月を迎えた妊婦であった。その様子をゴルゴはスコープ越しに見守っていた。
増刊104話 禁忌のスコープ / 2010年8月
カンボジア旅行の道中で日本人旅行者が偶然拾ったというライフルのスコープ。そのスコープをレンズに詳しい知人に見せたところ、ドイツ製の最高級品であり、各所にカスタマイズが施されていると言われる。さらにその知人の顔見知りであるアメリカ人に画面越しに見せたところ、そのスコープがM16のパーツであることが明らかになる。
増刊105話 消えた原稿 / 2010年12月
サンディエゴの新聞記者ニールは、後輩記者のケインから「マリンニューディール計画」と題された原稿を渡される。学生時代の友人で、議員秘書を務めているガセルとの酒の席でスピーチの原稿の話になり、件の原稿を見せたところ、ガセルは顔色を変えていた。執拗に原稿を買い取ろうとするガセルに対して、ニールはその原稿の著者が自分の後輩記者であることを明かし、原稿の返還を求める。
増刊106話 もうひとりのプロフェッショナル / 2011年12月
カナダのヌナブト準州の雪原で、テントを設営するゴルゴのもとへ一人の老ハンターがやって来た。その老人はゴルゴを写真家と判断し、その翌日もゴルゴのテントへやって来て、自分の身の上話や狩猟における持論を語り、自分の心境を吐露する。

●ビッグコミック増刊号への新作のゴルゴ13の掲載は106話まで。旧作の再掲載を経て、2021年からはスピンオフ作品が掲載されている。

単行本未収録作にかんして

ゴルゴ13の各エピソードは順次単行本(SPコミックス)に収録されて読むことができるが、以下の作品は単行本に未収録となっている。

  • 237話「幻の栽培」(1986年本誌7+8号):本誌でしか読めない。
  • 245話「スワップ 捕虜交換」(1986年本誌23+24号):本誌と「ビッグコミック増刊2007年10月号、12月号」と別冊175と増刊171と、改訂版リーダーズ・チョイスでしか読めない。
    • 「ビッグコミック増刊2007年10月号」で『「PLO=テロリスト」というイメージで描かれたことに対する抗議を受けたことが単行本未収録の原因となった』『「PLO」を架空の「パレスチナ解放武力同盟」に変更。』と説明。10月号、12月号で掲載。
  • 266話「バチカン・セット」(1988年本誌16+17号):本誌と改訂版リーダーズ・チョイスでしか読めない。
  • 増刊20話「疫病神の道標」(1989年8月増刊号):本誌と別冊88と増刊84とSP83とMFB97でしか読めない。SPコミックスコンパクトには未収録。
  • 増刊32話「告発の鉄十字」(1993年2月増刊号):本誌と別冊108でしか読めない。

掲載刊行物一覧

別冊ゴルゴ13シリーズ(別冊ゴルゴ)

第1集から第28集までは巻数表示が一切ない。

第29集から第167集までは裏表紙に〔29〕のように、第64集以降は裏表紙に加えて本の背に No.64 のように、第168集以降は本の背に加えて裏表紙に No.168 のように表示されている。

話数順の収録ではないため、「ビッグコミック」掲載時の「第n話」の部分は削除されている。

特段に表題作はない。

第1集 - 第62集

第63集 - 第74集

63巻以降は、乱丁落丁を防ぐための画稿ノンブルが入っている。Pはその画稿ノンブルによるページ数。

ページ数は必ずしも「増刊ゴルゴ」のページ数と一致しない。

これはエピソードによっては、ページがカットされたり、逆に、加筆されてページが増えていたりするためである。

第75集 - 第143集

No.75以降は、Tで始まる13桁の共通雑誌コードが振られている。

またNo.81から、発行年月日が西暦に変更されている。

第144集 - 第164集

No.144以降は、共通雑誌コードにかえて、13ケタ-5ケタからなる定期刊行物コードが表示されている。

13ケタの部分はJANコードで、この13ケタの数字で書店サイトや検索サイトで本を特定できる。

5ケタのアドオンコードの部分は本体価格を表している。

第165集 -

No.165以降は、脚本協力者の名が掲載されている。

増刊ゴルゴ13シリーズ(増刊ゴルゴ)

「巻数」の助数詞は統一されていない。助数詞は以下の通り。

  • 1=助数詞はない; 2〜59=第n集; 60〜80=VOL.n; 81〜最新=vol.n

話数順の収録ではないため、「ビッグコミック」掲載時の「第n話」の部分は削除されている。

特段に表題作はない。

第1集 - 第49集

第50集 - 第66集

50集以降は、乱丁落丁を防ぐための画稿ノンブルが入っている。Pはその画稿ノンブルによるページ数。

ページ数は必ずしも「別冊ゴルゴ」のページ数と一致しない。

これはエピソードによっては、ページがカットされたり、逆に、加筆されてページが増えていたりするためである。

第67集 - 第135集

VOL.67以降は、Tで始まる13桁の共通雑誌コードが振られている。

またVOL.68から、発行年月日が西暦に変更されている。

第136集 - 第154集

vol.136以降は、共通雑誌コードにかえて、13ケタ-5ケタからなる定期刊行物コードが表示されている。

13ケタの部分はJANコードで、この13ケタの数字で書店サイトや検索サイトで本を特定できる。

5ケタのアドオンコードの部分は本体価格を表している。

第155集 -

vol.155以降は、脚本協力者の名が掲載されている。

またvol.167まではビッグコミック6週掲載分のボリュームだったものが、vol.168以降は7週掲載分のボリュームになった。vol.199以降は8週掲載分のボリュームになった。

SPコミックス(SPゴルゴ)

太字は表題作。

第1巻 - 第32巻

第33巻 - 第108巻

第109巻 - 第153巻

第154巻 -

154巻以降は、脚本協力者の名が掲載されている。

SPコミックスコンパクト(文庫ゴルゴ)

太字は表題作。

第1巻 - 第50巻

第51巻 - 第100巻

第101巻 - 第150巻

第151巻 -

My First BIG版

扉に引用されている聖書は、特記のないものは旧約聖書。13節からの引用が多い。

巻数表示はない。

第1集 - 第99集

第100集 -

  • 100巻以後、箴言は省かれた。

SPコミックス ポケットエディション

  • 34巻以後は表紙に巻数が表示されている。

完結シリーズ、実質的に完結したシリーズの書誌情報

小学館文庫

1976〜1988年に刊行され、40巻で実質的に完結したシリーズ。

ISBNの右から2項目の下二桁がそのまま巻数となっている。初版段階では25巻まではISBNはなく、26巻以降は初版からISBNが付与されている。

小学館叢書

1988〜1989年に刊行され、6巻で完結したシリーズ。

BEST13 of ゴルゴ13 シリーズ

2002年、2003年、2008年、2018年と、現在までに4冊刊行された。

● リーダーズ・チョイス BEST13 of ゴルゴ13

「リーダーズ・チョイス BEST13 of ゴルゴ13」 さいとう・たかを 小学館 2002年1月13日初版第1刷発行 ISBN 4-09-179401-7

平成13年はゴルゴイヤーとして各種のイベントが行われた。その一環で、読者の人気投票を行い、上位13作を1巻にまとめたのが本書。厚さ1330ページ。

収録は以下の通り。()内の数字は、読者人気投票の順位。

  • AT PIN-HOLE!(13)
  • 白い巨人(12)
  • ミステリーの女王(11)
  • 36000秒分の1秒(10)
  • バイオニック・ソルジャー(9)
  • 海へ向かうエバ(8)
  • 沖縄シンドローム(7)
  • 毛沢東の遺言(6)
  • G線上の狙撃(5)
  • 病原体・レベル4(4)
  • 芹沢家殺人事件(3)
  • ビッグ・セイフ作戦(2)
  • 日本人・東研作(1)

● さいとう・たかをセレクション BEST13 of ゴルゴ13

「さいとう・たかをセレクション BEST13 of ゴルゴ13」 さいとう・たかを 小学館 2003年12月13日初版第1刷発行 ISBN 4-09-179403-3

著者自身が厳選した13作品を1巻にまとめたのが本書。厚さ1188ページ。

収録は以下の通り。

  • 死闘ダイヤ・カット・ダイヤ
  • 檻の中の眠り
  • 2万5千年の荒野
  • MOSCOW DOLL
  • すべて人民のもの
  • ルート95
  • マークのリクエスト
  • 落日の死影
  • 夜は消えず
  • ジェットストリーム
  • 駅馬車の通った町
  • 神に贈られし物
  • BEST BANK

● 各界著名人セレクション BEST13 of ゴルゴ13

「各界著名人セレクション BEST13 of ゴルゴ13」 さいとう・たかを 小学館 2008年4月2日初版第1刷発行 ISBN 978-4-09-179405-5

TVアニメ版ゴルゴ13のオンエアを記念し、各界著名人が選んだ13作品を1巻にまとめたのが本書。厚さ1362ページ。

収録は以下の通り。括弧内の人名は、そのエピソードを選んだ著名人。

  • 動作・24分の4(舘ひろし)
  • 銃殺人ひとり(秋本治)
  • 見えない翼(玉袋筋太郎)
  • 白龍昇り立つ(山野井泰史)
  • 穀物戦争蟷螂の斧汚れた金(福井晴敏)
  • ミステリーの女王・2(小川直也)
  • PKO(谷垣禎一)
  • 白夜は愛のうめき(富野由悠季)
  • バスク・空白の依頼(秋元康)
  • 五十年の孤独(佐藤優)
  • ロッフォードの野望(眞鍋かをり)
  • モスクワの記憶(高野孟)
  • テロスの咆哮(浦沢直樹)

● 改訂版リーダーズ・チョイス BEST13 of ゴルゴ13

「改訂版リーダーズ・チョイス BEST13 of ゴルゴ13」 さいとう・たかを 小学館 2018年1月31日初版第1刷発行 ISBN 978-4-09-179244-0

2018年に連載50周年を迎えたのを記念して刊行された。2015年、2016年に行われた読者の人気投票の上位13作を1巻にまとめたのが本書。厚さ1490ページ。

収録は以下の通り。()内の数字は読者人気投票の順位、続く人名は脚本家ないしは脚本協力者。

  • スワップ 捕虜交換(13)K・元美津
  • AT PIN-HOLE!(12)K・元美津
  • 血まみれのマハ(11)山田誠二
  • 海へ向かうエバ(10)沖吾郎
  • 1万キロの狙撃(9)横溝邦彦
  • 日本人・東研作(8)K・元美津
  • バチカン・セット(7)安達謙太郎
  • 芹沢家殺人事件(6)浜家幸雄
  • 病原体・レベル4(5)横溝邦彦
  • すべて人民のもの(4)ミハイル・L・ゴーツ
  • Gの遺伝子(3)夏緑
  • ビッグ・セイフ作戦(2)小池一雄
  • 2万5千年の荒野(1)きむらはじめ

小学館版アニメ化作品セレクション

2008〜2009年に刊行され、4巻で完結したシリーズ。2008年にアニメ化された際、アニメのオンエアと同時に発行されたシリーズ。

リイド社版アニメ・ベストセレクション

2009年に刊行され、10巻で完結したシリーズ。2008年にアニメ化された際、アニメのオンエアと同時に発行されたシリーズ。

巻数表示はない。

アニメ版は、全50作であった。以下のシリーズでは計48作が収録されている。「クロスアングル(13)」と「殺人劇の夜(34)」の2作が未収録となっている。

ALL TIME BEST シリーズ

2013年秋、ゴルゴ13の45周年記念でリイド社と小学館から刊行された。全4冊で、1970年代、1980年代、1990年代、2000年以降、と、発表時期を区切り、その年代の中での名作が収録されている。加えて「Gとわたくし」というコラムが掲載されている。2社から2冊ずつ刊行されたが、装丁は統一されている。MFBと同じ、B6のペーパーバック体裁で、リイド社分はSPコミックス、小学館刊行分はMFBの扱いとなっている。以下は年代順に配置した。

英語版

2006〜2008年に刊行され、13巻で実質的に完結したシリーズ。英語版でビズメディアより発刊された。一巻あたり200ページ程で、エピソードは二話ずつ収録。サイズは縦191mm×横128mm厚さ16mm。それぞれの巻の巻末には、研究本『THEゴルゴ学』より抜粋された記事が翻訳されている。

海外版では、版を左右反転して左開きとして発行することが多いが、このシリーズはその処理はせず、右開きのままである。セリフは英語に差し替えられ、さまざまなオノマトペも英語に描きなおされている。描き文字も、たとえば、発砲音は「BLAMMM」、自動車のエンジン音は「VVVVVBBRRRRRMMMM」などとなっている。

Collection James Bond 007

脚注

注釈

出典

外部リンク

  • さいとう・プロダクション公式サイト『ゴルゴ13』

Text submitted to CC-BY-SA license. Source: ゴルゴ13のエピソード一覧 by Wikipedia (Historical)



PEUGEOT 205