上島町(かみじまちょう)は、愛媛県の北部にある町。瀬戸内海の25島で構成され、海上で広島県の尾道市や福山市に接する県境の町でもある。
上島町は、瀬戸内海のほぼ中央、愛媛と広島の間に点在する芸予諸島の中でも愛媛県側では最も北東に位置している離島である。広島県尾道市の因島に近く、最も近い生名島の場合、その間はわずか300メートルであり、生活圏は因島側に属している。大島の東方に魚島、高井神島がある。
「かみじま」とは、古くからの当地域一帯の名称である。
藩政期には大三島及び今日の上島諸島のうち、生名島、岩城島は伊予松山藩の領地であった。松山藩では三津が浜を境として、それより上の地域、岩城、生名を上島、下を下島と呼んだ。これに由来するとするのが一説である。今日では、大三島が下島と呼ばれることはない。
※上浦町教育委員会(編)『上浦のこみち』(第三版、2004年(平成16年)3月)による。
中世に大山祇神社の寺社領であった三島七島(上島七島)を構成する島の一つ、上島(現在の伯方島や上島諸島を含んでいた。)に由来する説もある。
江戸時代には、松山藩と今治藩に分かれて統治されていた(温泉郡中島町等にもそうした例は見られる。)。東西の瀬戸内航路の要衝であり、西国の諸大名の参勤交代路にもなり、商業と廻船業で大いに賑わった。
古くは農業・水産業を主産業としてきたが、近くの因島(広島県)はじめとして造船業が盛んになると造船所で勤務する人が増え始めた。日立造船の造船所があり、この地域の造船業の中心地であった因島(現在は尾道市の一部)との結び付きを強め、ベッドタウン的な傾向を持つようになった。ところがオイルショックとそれに続く造船・海運業の不況により、離職者が相次ぎ「島が沈む」とまでいわれた。
そうした中、上島町を構成していた旧自治体はそれぞれの道を模索してきた。例えば、上島諸島の中で最大の総面積を持つ旧弓削町は、上島架橋構想の一つである弓削大橋の建設など、交通条件の改善に着手した。旧生名村では「スポーツ合宿村」を核とする基本構想を策定し、村民が一体となり観光・スポーツ立村実現に向け積極的に取り組んできた。また、旧岩城村においては、柑橘類を中心とした農業、水産業、造船業等の産業振興、観光振興に力を入れてきた。旧魚島村では、漁業振興のほか生活環境の整備に努めてきた。
現在は激変期を過ぎて落ち着きを取り戻した閑かな町である。過疎化と高齢化が著しい、瀬戸内しまなみ海道を北側に望む離島でもある。立地条件が足かせになっている。
合併協議では、上島地域が離島の集合体であることから合併後の姿の選択肢として次の四つが想定された。
当初、「しまなみ市構想」が模索されたが昭和の大合併でも両県が受理しなかった経緯があり、越県合併の高いハードルから断念せざるを得なかった。(なお、しまなみ市構想自体、瀬戸田町が新三原大橋の架橋を前提に三原市との合併を選択したため断念、その後紆余曲折を経て因島市、瀬戸田町ともに尾道市に編入された。)
その後、今治市との合併も検討されたが、因島の生活圏に属する特長を踏まえて地域の特性を保存しようということで、2002年8月9日に正式に今治市との合併断念を表明(残りの11町村は今治市に編入された。)。弓削町、魚島村、生名村、岩城村の4町村で合併することになった。
農林業、介護福祉事業に力を入れている。
2011年の製造業等出荷額(4人以上の事業所)は539億43百万円で、輸送用機械が最も高い割合を占め、次に金属工業が高い割合を占めている。
輸送用機械では岩城島に今治造船グループの岩城造船の本社・工場が立地しており、島の大きな産業となっている。金属では、船用部品やクレーン等の製造を行うイワキテックの本社・工場が立地するなど造船関連の産業も盛んに行われている。
今治市伯方町にある伯方警察署が管轄している。上島町には、弓削、生名、岩城、魚島に、それぞれ駐在所がある。
2006年6月から交通事故死亡事故ゼロを更新しており、2011年12月には「死亡事故ゼロ2000日」を達成し愛媛県から表彰されている。
離島のため、交通は海上交通に依存している。離島とはいえ、大きい島との距離は短く、また小さいとはいえシャトル運航されているフェリーもあり、これらが運航されている昼間に限れば極端な交通不便地ではない(魚島を除く)。なお、フェリーは広島県側としか接続されておらず、愛媛県の主要部分に自動車で直接渡る手段はない。ただし、隣接する愛媛県今治市へは高速艇が出ており、人員のみであれば直接行くこともできる。
島内道路がある。島間をつなぐ県道事業(ゆめしま海道)として、弓削島と佐島との間に弓削大橋が、また佐島と生名島の間に生名橋が、生名島と岩城島の間の岩城橋(2022年3月20日完成)が架かっている。将来的には岩城島からさらに伯方島へと橋をつなげていく構想(上島架橋構想)がある。
魚島を除き各島の港から、土生港(因島)、今治港などへの航路がある。
メイン航路は、今治 - 岩城 - 佐島 - 弓削の快速船航路(芸予汽船)で、大島、伯方島への寄航もある。このほか、生名島から因島への航路は二つの港から発着しており、メインの立石港からは町営フェリーが渡し舟感覚で土生との間を結んでいる(生名フェリー)。また、岩城島の北側・小漕港から対岸の生口島へのフェリー(三光汽船)がある。他に弓削島の上弓削地区からは、因島の家老渡へ日中30分間隔でフェリー(家老渡フェリー汽船)が運航している。
魚島・高井神島へは、土生港(因島)から弓削港(弓削島)を経由して町営船「ニューうおしま2」が往復している。
かつては土生港(因島)と長江港の間を長江フェリーが、土生港(因島)から長江港を経由して岩城港まで岩城汽船の快速船が運行されていたが、岩城橋の開通に伴い、2022年3月に廃止となった
※詳しい内容はそれぞれの島のページを参照のこと。 弓削島、佐島、岩城島、赤穂根島、津波島、生名島、魚島
同町全域において市外局番は以下の区分となっている。
自動車や軽自動車、二輪車などは松山市森松町に四国運輸局愛媛運輸支局があり、同町を愛媛ナンバーとして統括している。
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