『クラシックミステリー 名曲探偵アマデウス』(クラシックミステリー めいきょくたんていアマデウス)は、2008年4月から2012年3月まで放送されたNHKの音楽バラエティ番組。
概要
番組の舞台は、大都会の片隅にある不思議な探偵事務所。クラシック音楽にまつわる悩みに答え、世に名高い名曲の謎を解き明かす。
毎回訪れる依頼人の悩みを解決する。解決の鍵はクラシック音楽の名曲に隠されており、曲の構成や背景などを紐解いてゆくことで番組が進行する。ドラマの途中に演奏家や音楽学者による解説が入り、番組の終盤には演奏の抜粋が流れ、復習ができるようになっている。
パイロット版
2008年2月、本放送に先立ち、ベートーヴェンの交響曲第7番を題材としたパイロット版(サブタイトルは、「“ベト7”はなぜロック少年を酔わすのか?」)が放送された。
所長は本放送と同じく天出臼夫役を筧利夫が演じているが、秘書は美空響役で中村ゆりが出演している。その他、調査依頼の会社員・斎藤洋一役で斎藤洋介、出前のラーメン店店員・炉璃井役でROLLYがそれぞれ出演、語りはクリス・ペプラーが担当した。
出演
登場人物
- 天出 臼夫():筧利夫
- 探偵事務所「アマデウス」所長。元天才指揮者であり、指揮者としてその将来を嘱望されていたが、ある事件をきっかけに指揮者から名曲探偵へと転身した。
- 20年以上前に他界した父も指揮者であり、また、現在はウィーンの天出邸で暮らしている母もピアニストという音楽一家に生まれ、誕生した際の産声が見事な音階であったため両親が驚き、「この子は天才モーツァルトの生まれ変わりに違いない」と考え、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトにあやかって「臼夫」と命名された。幼少期には、忙しい両親に代わって天出家の教育係である室家良子(演:江波杏子)から、マナーや語学(ドイツ語、フランス語、ラテン語、イタリア語、スワヒリ語)を学んでいる。高校生の頃にはプログレッシブ・ロックに傾倒し、友人達とロンドンのライブハウスを巡るようになるとクラシックの伝統を重んじる父と衝突するようになり、勘当同然に家を追い出されてしまう。その後は世界の民族音楽にも関心を示し、世界中の音楽を聴くために放浪の旅に出ていたが、トルコで聴いた軍楽隊の音楽によって自身の原点を思い出し、クラシック音楽の世界に戻って指揮者となった。名曲探偵となった後も、母や教育係である室家からは、もう一度指揮者としてクラシックの世界に戻ってほしいと懇願されたが、名曲探偵であることに誇りを持っており、そのことを拒んでいる(事件ファイル#79)。
- 指揮者を辞めるきっかけとなった「ある事件」についての詳細が語られることはなかったが、指揮者を辞めた後にモスクワにある名曲探偵の養成所へ入り、名曲探偵となった(事件ファイル#62)。
- 同じ大学の先輩であるディープ内藤には、自身の過去について何か弱みを握られているようであり、そのことで焦る場面もある。
- 依頼人に対して求婚紛いのことをしたり(事件ファイル#29など)、合コンをセッティングすると言われて依頼を引き受けてしまったり(事件ファイル#67)するなど、特に美しい女性に弱い一面がある。
- レコードの盤面を見ただけで、そのレコードが何の曲のレコードか当てられるという特技がある(事件ファイル#22)。
- ダンスの才能はあまり無いようで、忘年会で披露しようとしたムーンウォークを見た響から「バッタの後ろ歩き」と酷評された(事件ファイル#51)。
- 歌謡曲や将棋、お笑いなど、クラシック音楽以外のことにも造詣が深いが、「リアル・クローズ」を「リアル・ズロース」と言い間違えたりする(事件ファイル#16)など、ファッションや流行に関しては疎い一面もある。
- 響 カノン():黒川芽以
- 探偵事務所「アマデウス」助手。クラシック音楽には疎いが、音感だけは抜群。
- 天出のことは「所長」と呼び、天出からは「響君」と呼ばれている。自身の親代わりとなっている天出を慕っており、また、天出に対して恋愛感情のようなものを見せる場面もあるが、天出からは巧くはぐらかされている。
- 楽天家であり、特に食べ物のことになると途端に活き活きとするが、生まれてすぐに父親が家を出て行ってしまい、父親の顔を知らずに育ったこともあり、事件ファイル#83では亡くなった父親に対して侮蔑的な発言をした依頼人に対して思わず怒りの感情を見せるシーンもあった。
- また、思ったことをすぐ口にしてしまい、そのことで依頼人を怒らせたり傷付けてしまう場面もあり、天出から叱られることも多々ある。
- ディープ内藤():高橋ひとみ
- 売れない女流ミステリー作家。天出の大学時代の先輩であり、天出のことを「うすおちゃん」と呼び、天出からは「先輩」と呼ばれている。これまでに6回登場し、天出に仕事を依頼しては、その成果をネタに本を書いている。
- 天出の過去についてもよく知っているようで、ウィーンから帰国し、傷心で家に引きこもり状態となった天出に、「日本の音を取り戻させる」と称して半ば強制的にカラオケスナックに連れ出したり、「湖のほとりの別荘に籠って、愛情を育み、そして、歴史に残る愛の名作ミステリーを書くの!」と言って天出を3泊4日の旅へ連れ出そうとするなど、強引な面も多々見られる(事件ファイル#87)。
- 最後の登場回である事件ファイル#87のラストで、国際的に活躍する15歳年下の探偵とお互いに一目惚れで結ばれ、その彼と一緒に探偵小説を書くという趣旨のメールを天出に送り、そのまま旅立っていった。
- また、事件ファイル#55において、本名が内藤 うた子()であることが明かされた。
ナレーション
- 阪脩
- ナレーションであるため、基本的には声のみの出演であるが、事件ファイル#50と#90においては顔出し出演もしている。
解説等
- 野本由紀夫 - 玉川大学芸術学部教授。
- 基本的には解説パートのみでドラマパートには出演していないが、例外として事件ファイル#91では、オーケストラに極秘潜入した響と直接会話するシーンがある。
- 平野昭 - 静岡文化芸術大学教授。
- 室田尚子 - 音楽評論家。
- 安田和信 - 音楽評論家。
- 千住明 - 作曲家。
- 仲道郁代 - ピアニスト。
- 小山実稚恵 - ピアニスト。
- 野平一郎 - ピアニスト。
- 千住真理子 - ヴァイオリニスト。
- 鈴木雅明 - バッハ・コレギウム・ジャパン音楽監督。
放送時間
いずれも日本標準時。
- - 2010年3月
- BShi
- 日曜 20:00 - 20:44
- 火曜 8:00 - 8:44(「街道てくてく旅」放送中は15分遅れ)
- 土曜 12:00 - 12:44
- BS2
- 金曜 8:00 - 8:44
- 金曜 23:00 - 23:44
- NHK総合
- 2010年4月 - 2011年3月
- 太字は新たに変更される放送時間。
- BShi
- 月曜 19:00 - 19:44
- 火曜 8:00 - 8:44
- 木曜 0:00 - 0:44(水曜深夜)
- BS2
- 日曜 18:00 - 18:44
- 木曜 16:00 - 16:44
- 総合
- 2010年3月で終了(該当後枠は「ろーかる直送便」)
- 2011年4月 -
- BSプレミアム
- 土曜 13:00 - 13:44
- 火曜 17:00 - 17:44
- 2011年8月8日 - 8月11日(特集 オーケストラのすべて)
各話リスト
制作
スタッフ
- 演出/石澤義典、浮田哲、井上春生、角田誠二、田島櫻子、羽根井信英、永岩祐介、長尾可奈子
- 構成/木村仁、たむらようこ
- リサーチ/高橋みほ、宇津木瞳子
- デスク/小巻博美
- プロデューサー/大伴直子、長嶋甲兵
- チーフプロデューサー/山田治宗
- 制作統括/安井浩志、菊池正浩
脚注
外部リンク
- NHK クラシックミステリー 名曲探偵アマデウス - ウェイバックマシン(2012年1月27日アーカイブ分) - 番組公式サイト
- アマデウス・ブログ:NHKブログ - ウェイバックマシン(2011年1月13日アーカイブ分)
- 黒川芽以Presents May曲探偵ブログ!! - ウェイバックマシン(2008年7月27日アーカイブ分) - ココログ
- クラシックミステリー 名曲探偵アマデウス - NHK放送史
- 番組エピソード クラシック音楽が身近に…NHKの音楽番組-NHKアーカイブス
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