山陽自動車道(さんようじどうしゃどう、英語: SANYO EXPWY)は、兵庫県神戸市北区を起点に、岡山県、広島県を経由して山口県の下関市へと至る高速道路(高速自動車国道)。略称は山陽道(さんようどう)。
高速道路ナンバリングによる路線番号は、広島岩国道路・小郡道路・山口宇部道路(嘉川インターチェンジ (IC) - 宇部ジャンクション (JCT) 間)とともに「E2」が割り振られている。
1997年(平成9年)12月10日に全線開通した本線(神戸JCT - 山口JCT)のほかに木見支線(三木JCT - 神戸西IC)、倉敷早島支線(倉敷JCT - 早島IC)、宇部下関線(宇部JCT - 下関JCT)が開通している。本線はアジアハイウェイ1号線「AH1」の一部である。
山陽地方を東西に貫く高速道路であり、瀬戸内海沿いを走るが、全般的に海岸線よりやや内陸寄りを走っているため、海の見える区間は少ない。路線の大半は山陽新幹線と並行している。また全線が国道2号および旧山陽道の路線にほぼ沿って造られている(ただし神戸市 - 姫路市にかけては内陸部を通過しており、国道2号からやや離れている)。
山陽自動車道は先行して開通した中国自動車道に比べ計画〜着工の時期が10年以上も遅れたため、その間の道路建設技術の向上もあって急勾配や極端に半径の小さい急カーブは極力抑えられている。平地が比較的少ない山陽地方西部を中心に、山地部区間などでは高架橋や距離の長いトンネルが連続する。このような区間では建設費抑制の観点から、路肩部分の幅を1.25メートル (m) に抑えたため、良好な道路線形ではあっても最高速度が80 km/hに抑制されている(詳細は後述)。一方で、平野部の大半区間では低コストな盛土や切り通しで建設され、路肩幅が十分 (2.5 m) 確保されたこともあって、最高速度100 km/hで走行できる。そのため、最高速度が吹田JCT - 宝塚ICを除く全線で80 km/h以下に抑えられている中国道よりも走りやすく、山陽道の全線開通に伴い、利用車が中国道から山陽道に移行している。
廿日市JCTと大竹JCTの間は厳密には山陽道ではなく、山陽自動車道に並行する国道2号自動車専用道路の広島岩国道路であるが、山陽自動車道本線と一体的に運用されている。なお、広島岩国道路建設における裁判において、国はこの区間に山陽道を別路線として建設すると明言したが現時点で建設される予定はなく、計画は事実上消滅している。また、道路公団民営化の過程で全国路線網になり償還期限が30年以上延長されたにもかかわらず、距離料金単価は山陽道本線の1.6倍に据え置かれているため、沿線からは不満の声があがっている。
宇部下関線は2001年(平成13年)3月11日に開通した。全区間暫定2車線のため最高速度70 km/hに規制されている。これと同時に小郡道路(山口南IC - 嘉川IC、国道2号自動車専用道路・無料区間)と山口宇部道路(嘉川IC - 宇部JCT、主要地方道山口宇部線)が並行路線に指定され、国幹道法に基づく高規格幹線道路としての山陽自動車道のネットワークは完成した。しかし小郡道路・山口宇部道路でつながっている山口南IC - 宇部JCTは高速自動車国道の路線を指定する政令で指定されていない予定路線区間となっており、山陽道としての基本計画は出されていない。
2023年(令和5年)9月5日に播磨JCT - 赤穂ICの間にある尼子山トンネルで大型トラックが炎上し、脇を通り抜けようとしていた後続車がブレーキをかけるなどして車9台が絡む追突事故が相次いで発生し、最終的に23台が焼け鎮火に40時間を要する惨事となった(尼子山トンネル多重衝突炎上事故)。上下線の龍野西IC - 赤穂IC間で通行止となっていたが、同月11日に上り線(神戸方面)の通行止は解除された。しかし、下り線(岡山・広島方面)に関してはトンネルの損傷が甚大であり復旧までの見通しが立っておらず、播磨JCT - 赤穂IC(下り線)について長期通行止を余儀なくされていた。通行止に伴い迂回路となる国道2号(特に相生市・赤穂市内)の混雑が激しくなっていることから、NEXCO西日本では中国自動車道と播磨自動車道・岡山自動車道などを利用した広域迂回を呼び掛けていた。
同年内の12月15日、復旧作業完了に伴い播磨JCT - 赤穂IC(下り線)の通行止が102日ぶりに解除された。
国土開発幹線自動車道建設法に基づく、国土開発幹線自動車道(国幹道)としての山陽自動車道は以下のとおりとされている。
高速自動車国道の路線を指定する政令に基づく、高速自動車国道としての山陽自動車道は、以下の2路線からなる。
これらについて、営業中路線の道路名に区分すると以下のようになる。
また、上記の他に本州四国連絡道路への接続路線として以下の2つの支線が存在する。これらも営業上は「山陽自動車道」の道路名で案内される。
なお、木見支線の「木見」は、神戸西IC付近の地名である神戸市西区押部谷町木見に由来している。
さらに、吹田山口線と宇部下関線の間(山口市 - 宇部市)間を結ぶ、山陽自動車道に並行する自動車専用道路として
が存在する。
以下では、特記がない場合は道路名としての山陽自動車道の区間について述べる。
山陽自動車道は全区間を通して交通量が多いため、富海PA、周防灘PAを除くすべてのサービスエリア、パーキングエリアに売店があり、 SAは全て24時間営業。PAでも24時間営業を行っているエリア(コンビニを含む)が何ヶ所か存在する。
レストランは福山SA上り線、佐波川SAを除く全てのサービスエリアに設置されている。
ガソリンスタンドは全てのサービスエリアに設置されており、佐波川SA下り線以外は全て24時間営業。なお、給油所があるパーキングエリアはない。
2005年(平成17年)10月の道路公団民営化後は全区間が西日本高速道路の管轄となっており、備前ICを境に東側を関西支社が、西側を中国支社が管轄している。
24時間交通量(台) 道路交通センサス
(出典:「道路に関するデータ 道路・街路交通情勢調査(道路交通センサス)平成11年度調査結果」(兵庫県ホームページ)・「中国地方の平成17年度道路交通センサス断面交通量」(中国地方整備局ホームページ)・「平成22年度道路交通センサス」・「平成27年度全国道路・街路交通情勢調査」・「令和3年度全国道路・街路交通情勢調査」(国土交通省ホームページ)より一部データを抜粋して作成)
※平成17年度の岩国IC - 玖珂IC間は調査当時、土砂崩れにより長期通行止めだったためデータなし。
また、この関係で広島JCT - 山口JCTの区間を中心に大幅に交通量が少なくなっている。
24時間交通量(台) 道路交通センサス
(出典:「道路に関するデータ 道路・街路交通情勢調査(道路交通センサス)平成11年度調査結果」(兵庫県ホームページ)・「中国地方の平成17年度道路交通センサス断面交通量」(中国地方整備局ホームページ)・「平成22年度道路交通センサス」・「平成27年度全国道路街路交通情勢調査」・「令和3年度全国道路・街路交通情勢調査」(国土交通省ホームページ)より一部データを抜粋して作成)
24時間交通量(台) 道路交通センサス
(出典:「中国地方の平成17年度道路交通センサス断面交通量」(中国地方整備局ホームページ)・「平成22年度道路交通センサス」・「平成27年度全国道路・街路交通情勢調査」・「令和3年度全国道路・街路交通情勢調査」(国土交通省ホームページ)より一部データを抜粋して作成)
24時間交通量(台) 道路交通センサス
(出典:「中国地方の平成17年度道路交通センサス断面交通量」(中国地方整備局ホームページ)・「平成22年度道路交通センサス」・「平成27年度全国道路・街路交通情勢調査」・「令和3年度全国道路・街路交通情勢調査」(国土交通省ホームページ)より一部データを抜粋して作成)
2002年度 区間別日平均交通量
本線(神戸JCT - 廿日市JCT)
本線(大竹JCT - 山口JCT)
木見支線(三木JCT - 神戸西IC)
倉敷早島支線(倉敷JCT - 早島IC)
宇部下関線(宇部JCT - 下関JCT)
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