『空飛ぶタイヤ』(そらとぶタイヤ)は、池井戸潤の社会派小説。『月刊J-novel』に2005年4月号、2005年6月号から2006年9月号に連載され、2006年9月16日に単行本が、2008年8月1日にはジョイ・ノベルスコレクション版が実業之日本社より刊行された。第28回吉川英治文学新人賞、第136回直木三十五賞候補作。
2009年9月に、上下に分冊して講談社文庫版が刊行された。2010年には朝鮮語版が刊行された。2016年1月には実業之日本社文庫版が刊行された。
2009年にWOWOWの『ドラマW』でテレビドラマ化された。
2018年に長瀬智也主演で映画化。池井戸にとって初の映画化作品となる。
タイヤ脱落事故と大手自動車メーカーのリコール隠しをテーマにした作品。事故を起こした運送会社の社長である主人公が、自社の無実を証明すべく巨大企業の闇に挑む経済小説であり、2002年に発生した三菱自動車製大型トラックの脱輪による死傷事故、三菱自動車によるリコール隠し事件などを物語の下敷きとしている。本作の前にも経済をテーマにした作品を発表してきた池井戸潤だが、「まともに経済小説を書こうと思って書いたのは、これがはじめて」とのこと。
2009年には、WOWOWの連続ドラマW枠でテレビドラマ化された。自動車会社が有力スポンサーの地上波では、作品の性質上、制作は難しいと思われたが、有料放送のWOWOWでは、地上波のようにスポンサーの影響を受けることなく番組制作を行えるため、ドラマ化が実現する運びとなった。
作中で主人公が敵対する巨大企業「ホープ自動車」と同名の自動車会社・ホープ自動車(後に「株式会社ホープ」に改称)がかつて存在したが、一切無関係である。
父親の後を継ぎ中小運送会社「赤松運送」を経営する赤松徳郎は、ある日、自社のトラック(作中の車名は「ビューティフルドリーマー」だが、赤松は「悪夢を運んできやがった」と述べている)がタイヤ脱落事故を起こし、死傷者を出してしまったことを知る。事故原因を一方的に整備不良とされ、「容疑者」と決め付けられた赤松は、警察からの執拗な追及を受ける。さらには会社も信用を失い、倒産寸前の状態に追い込まれてしまう。
しかし赤松は、事故原因は整備不良ではなく、事故を起こした車両自体に欠陥があったのではないかと考える。自社の無実を信じる赤松は家族や社員たちのために、トラックの製造販売元である大手自動車会社「ホープ自動車」に潜む闇に戦いを挑む。
巨大企業グループ「ホープグループ」の中核企業の一つである大手銀行。経営不振に陥っているホープ自動車の再建を支援している。
ホープグループに属する大手自動車メーカー。元々はホープグループの中核企業である「ホープ重工」の一部門であり、劇中での時系列で30年前にホープ重工から独立したが、3年前にリコール隠し問題を起こしてブランドが失墜したことなど様々な要因が重なった結果、近年経営不振に陥っている。4輪駆動車の「バロック」や戦略小型車の「ジェット」、大型トラック「ビューティフルドリーマー」を製造販売している。
オーディオブック化されていて、高川裕也の朗読により、2018年にAudibleからデータ配信された。
『BE・LOVE』(講談社)2017年24号〜2018年3号・5〜9号・12号にかけて、大谷紀子の作画でコミカライズされた。
2009年3月29日から4月26日まで毎週日曜日22時 - 23時に、WOWOWの連続ドラマWで放送された。主演は仲村トオル。放送時間60分(初回のみ70分)、全5話。有料放送ではあるものの、初回のみ本放送・再放送共に無料で放送された。連続ドラマW枠での放送作品としては、『パンドラ』、『プリズナー』に引き続き第3作目となる。
2002年の三菱自動車工業(三菱ふそうトラック・バス)製大型トラックの脱輪による死傷事故、三菱自動車によるリコール隠しなどを物語の下敷きとしている。
2009年日本民間放送連盟賞において番組部門テレビドラマ番組最優秀賞、東京ドラマアウォード2009において連続ドラマ部門優秀賞、第26回ATP賞テレビグランプリ2009においてグランプリおよびドラマ部門最優秀賞を受賞した。
2018年6月15日公開。主演はTOKIOの長瀬智也。
Owlapps.net - since 2012 - Les chouettes applications du hibou