『ドラゴンボール改』(ドラゴンボールカイ、DRAGON BALL KAI)は、鳥山明の漫画作品『ドラゴンボール』を原作とする東映アニメーション制作のテレビアニメ。タイトルの「改」は鳥山明本人が命名したものである。企画の森下孝三によると「『ドラゴンボールZを改めて見てね』という願いが込められている」とのこと。
本作品は、1989年4月26日から1996年1月31日までフジテレビ系列で放送された『ドラゴンボールZ』(1989年 - 1996年放送)のデジタルリマスター再編集版である。ドラゴンボールシリーズとしては初のデジタルハイビジョン化作品として、フジテレビ系の日曜午前のアニメゾーン「ドリーム9」ほかにて放送された。
プロジェクトのきっかけは、データカードダスのクオリティを問題視した鳥嶋和彦がバンダイから販売されているドラゴンボール関連商品の監修を一時停止したことに起因する。問題に対応したバンダイの古澤圭亮は、問題の修正に時間がかかり(当時は)漫画・アニメ共に終了していることから宣伝も難しいため、修正までの時間つなぎと宣伝のためアニメの放送を提案した。また古澤は『Z』のアニメは原作に追いつかないように引き延ばしが多かった事を指摘し、再放送では無く引き延ばし部分をカットしたリマスター版のアイディアを出した。鳥嶋がこのアイディアを気に入り東映アニメーションの森下孝三に話したことでプロジェクトがスタートしたという。
原作者の鳥山明自らが監修に携わり、音楽は新規のものに差し替えられ、音声も全て再録された。放送当時では引退や既に故人となっている声優を中心に、多くのキャラクターの配役が変更され、元々の担当声優が現役で活動している場合でも新たな声優を起用することが多い。2009年発売の『ドラゴンボール レイジングブラスト』以降のゲームや、2013年公開の映画『ドラゴンボールZ 神と神』以降の新作アニメでも基本的に本作のキャスティングが踏襲されている。
古澤が指摘したように『Z』では放送内容が週刊連載中であった原作に追いつかないように、回想シーンを多く挿入したりアニメオリジナルエピソードを挿入するといった引き伸ばし措置が行われていたが、本作では原作が既に完結済みであるために原作の構成に近い無駄のないスピーディーな展開が可能となり、アニメオリジナルエピソードなどを大幅に省略し、演出のテンポを早めることで『Z』の2話から数話分の展開を1話でこなしている。また、『Z』には無かった要素として第1話での冒頭では悟空とフリーザの因縁を伝えるため、テレビスペシャル『ドラゴンボールZ たったひとりの最終決戦〜フリーザに挑んだZ戦士 孫悟空の父〜』の映像が使われている。これまでのテレビシリーズとは異なり、前回のあらすじはアバンタイトルで行われ、次回予告がエンディングの後に設けられている。
プロデューサーの小原康平は、人員・予算共に小規模のチームで番組を回すのは辛かったが、往年の演出家・アニメーターと接する機会を多く持てる企画だったと語っている。また、企画の森下孝三によると『Z』の再編集版であるためにファンが観てくれるか心配する声もあったが、想定以上の視聴者を増やすことができたという。当初の目的である宣伝効果についても、データカードダスの売り上げが改善するなど成功を収めた。
2009年4月5日から2011年3月27日まで放送。全98話(第98話は東日本大震災の影響により未放送)。テレビシリーズのレギュラー放送としては、『ドラゴンボールGT』が終了した1997年11月以来、11年5か月ぶりとなった。
2010年5月24日よりアメリカ・アニメ専門チャンネルの『ニックトゥーン』(Nicktoons)でも放送を開始。放送当初から9歳-14歳、12歳-17歳、9歳-14歳(男)、12歳-17歳(男)の4カテゴリで、第1話の視聴率が同局の開局以来の最高視聴率を記録する好調なスタートとなった。
セル編の後、「ドリーム9」枠では『トリコ』が約3年間放送。同作終了後、2014年4月6日に第2期として「魔人ブウ編」が放映開始。話数は上記の未放送話を含めて、第1期からの通しの数となっており、初回放送話を第99話としている。2015年4月5日より、解説放送を実施する。
魔人ブウ編は当初、日本国外のみで放送される予定であった。その後、2013年3月頃に英語版の吹き替え声優、音響監督も務めているクリストファー・サバトが「新たに(ブウ編)全66話のライセンスを取得した」と発言した。ただし、2014年4月16日に「東映アニメーション・ヨーロッパ支社」の公式HPで発表された話数は「全69話」と表記されていて食い違いがある。
2014年2月頃に、日本での放送決定が発表された。2014年4月末時点でのDVD・Blu-rayBOXの発売予定が第1巻から第4巻(第99話から第146話)だったが、実際には2015年4月以降も放送し、同年6月28日まで全5クール、全61話での放送が行われた。日本国外版は上記のとおり全61話より長いため、同じ話数であっても日本版と日本国外版ではストーリーの進行度が異なる所がある。
画面アスペクト比が16:9に変更され、第1期では映像の上下がカットされたり、第2期では4:3では見えなかった部分の拡大、またそれを利用したパン移動・回転などの演出が多用された。
音声面では、モノラル放送からステレオ放送となった。
台詞や表現については『Z』の放送開始から20年以上経過しなおかつ、放送時間が午前ということもあって『Z』で使われていた台詞や表現が別のものに差し替えられている。
2014年11月23日(魔人ブウ編の第131話)からは、フジテレビと同時ネットで放送している局のみデータ放送を開始。戦闘カードを引いて、敵にダメージを与えて倒すもの。視聴していくと、ドラゴンボールが1つずつ左から順に点灯していき、3分で7つ集まり、1回カードが引ける(プーアル、界王様、クリリン、ビーデルなど出現したキャラクターによって与えるダメージは異なる)。倒せなくてもひきわけ賞(参加賞)として応募は可能(プレゼントは異なる)。
第1期のBGMは、当初はオリジナルシリーズで主題歌やイメージソングに携わっていた山本健司による新規の曲を使用していたが、2011年3月9日、東映アニメーションは山本の曲の中に第三者の著作権に抵触するものが複数あったとして、差し替えるとともに事実関係の調査と対応策の協議に入ることを発表した。
これに伴い同年3月20日・27日の本放送では、山本の曲に代わって菊池俊輔が手がけた『Z』のBGMが使用され、オープニングや公式サイト上での音楽のクレジットも山本から菊池に変更された。以降、再放送およびオンデマンド動画配信においては、第1話からBGMを『Z』のものに差し替えたものを放送・配信している(挿入歌においては山本が担当したものは差し替えられているが、主題歌をアレンジしたアイキャッチや次回予告、および山本が担当していない挿入歌はそのまま使用されている)。人造人間・セル編のDVDは第6巻、Blu-rayはBOX3以降BGMを差し替えて発売された。
なお、盗作の指摘自体は2010年5月の時点で存在し、ニコニコ動画で検証動画が投稿されていた。
第2期では、2013年公開の映画『神と神』のBGMを手がけた住友紀人による新規の曲を使用。住友はその後、2018年公開の映画『ドラゴンボール超 ブロリー』までの新作アニメでも引き続き担当した。
太字の人物は『Z』と同一人物(改名、本作途中での交代を含む)が演じているキャラクター
『ドラゴンボール』までの登場キャラクター
『Z』以降の登場キャラクター
サイヤ人編・フリーザ編
人造人間編・セル編
魔人ブウ編
第2期エンディング「純情」・「GALAXY」・「Don't Let Me Down」はビクターエンタテインメントからのリリース。それ以外は日本コロムビア(第1期放送当時の商号は『コロムビアミュージックエンタテインメント』)からのリリース。
※すべて日本標準時
2009年9月18日より本編がDVDおよびBlu-ray Discが同時に発売中。BDは1巻のみ単巻で以降はBOXのみで発売。発売・販売はハピネット。なお、日本国外ではそれ以前に『ドラゴンボールZ』の劇場版のBlu-rayでの販売が行われている。
また、2010年10月2日から発売されている人造人間・セル編からは、巻数がサイヤ人編からの続き番号(巻数)とはならずにBlu-ray BOX1〜4とDVD第1巻〜第15巻とシーズンが分けられた(レンタルDVDのみシーズンに関係なく通し番号 全33巻・全97話+番外編)。
サイヤ人・フリーザ編、人造人間・セル編ともにBlu-ray DiscではTV放送でカットされた上下部分を含めたフル画面(フルHD内画角=ピラーボックス)で収録されている(DVDは16:9のまま)。
2014年9月2日からは、第2期となる魔人ブウ編がBOXのみで各BOX1から順次発売中。BD/DVDともに画角が16:9に統一されている。また、サイヤ人・フリーザ編、人造人間・セル編のセル専用BD・DVDについてはBD・DVDともにそれぞれを1BOXにまとめた形で前者は2014年12月2日から、後者は2015年1月6日から改めてリリースされている。
BD/DVDの仕様は次の通り。
なお、詳細は下部の外部リンクを参照のこと。
いずれもバンダイナムコゲームスから発売。
第1期ではアニメ雑誌などの情報では全98話と告知されていた。しかし最終話の直前に起こった東日本大震災に伴う報道特番の影響で3月13日の放送が急遽中止となった。
この影響から、本来の最終話となるはずだった98話が放送されず、結果的に97話がテレビ放送時の最終話として扱われた。なお、厳密に言うと後番組『トリコ』の放送開始(4月3日)が繰り下げられず、加えて本作の別時間枠での振り替え放送も行われなかったことによるものである(関連記事)。後年のアニマックスによる再放送も、この影響を考慮し第2期の魔人ブウ編(99話)に繋げられたが、後に98話も放送されるようになった。
98話は前述した人造人間・セル編「Blu-ray BOX4」および「DVD 15巻」にて、番外編として収録されている。
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