蕨市(わらびし)は、埼玉県の南東部に位置する市。人口は約7万5千人。日本の全市町村の中で最も人口密度が高い市として知られる。
全国の市の中で最も面積が狭く、区町村を含めても8番目(区は特別区のみ)に狭い。人口密度は全国の市町村で最も高いが、東京23区全体(15,795 人/km²)より高くはなく、市区町村では15番目である(2024年4月1日現在)。なお、埼玉県内ではさいたま市浦和区に次いで人口密度が高い。2000年代前半時には東京都区部より高い時期もあった。地方自治体に関する日本一の一覧#面積も参照。
市域のほぼ全域が市街地で主に住宅地からなるが、江戸時代には蕨宿が置かれ、中山道の宿場町として非常に栄えていた。この地で1946年(昭和21年)から開催されている『青年祭』が現在全国各地で行われている成人式の基礎になった。また、蕨宿時代において、中山道沿いには旅籠や機織り職人が多く居住していたため、昭和26年(1951年)以降、旧暦の7月7日(8月7日)を含む休日には、「蕨機まつり」が開かれる。
日本の市町村を五十音順に並べると順番が最後になる市町村である。1954年(昭和29年)7月31日までは山形県飽海郡に存在した蕨岡村(現・遊佐町)が最後であった。
蕨市は比較的に家賃が安い、交通の便などが良いなどの理由から外国人居住者が増えており、近隣の川口市と同様にして、トルコ系クルド人や中国本土の中国人などが居住している。特に、トルコ系クルド人に対しては、「ワラビスタン」と呼ばれることが多い。
2024年には、JR京浜東北線蕨駅西口の再開発が着工された。2027年7月の竣工を目指して工事が行われている。
埼玉県の「中央地域」と呼ばれる県南東部京浜東北線沿線地域の市の一つ。北をさいたま市、西を戸田市、東を川口市に接する。市域は荒川低地に属し、平均海抜4.8メートル。おおむね平坦で、大きな山や川などはない。土地利用は主に住宅地や商業施設からなる。
蕨駅は川口市に近接する市東部に存在し、この周辺が蕨市街である。蕨駅東口の繁華街は川口市域と一体化する形で市街地が形成されている。
「蕨(わらび)」という地名がいつごろ生じたのかは不明であるが、文献上の初出は1352年8月17日(観応3年6月29日)付の「賀上家文献」で、「蕨郷上下」と記されている。蕨市役所付近には古来の日本住宅など多く残されており、旧中山道沿いに栄えた当時を偲ばせる建物も多い。
第二次世界大戦後は中小の工場が立ち並び繁栄した。一方で、工場の排煙などによる大気汚染も深刻化し、1970年には日本鋳鉄管の工場の排気装置が故障、そのまま工場を稼働し続けたため住民約100人がのどの痛みを訴えるなどの被害も出た。
2000年代に入ると市内にクルド人のコミュニティが生まれ、川口市とともに数百人規模となった。背景には以前から工場などに勤める外国人労働者が多い土地柄で、外国人への偏見が他地区に比べると少ないという土地柄があったことも一つと見られている。
1889年(明治22年)に蕨町として発足して以来、一度も市町村合併を経験していない。(境界変更はある。)同じ中山道沿いの都市である浦和市(現さいたま市)などとの合併構想が度々浮上していたものの実現していなかった。平成の大合併では川口市、旧鳩ヶ谷市との新設合併協議(武南市構想)が実施され、新市庁舎の位置や合併予定期日も決定していた。しかし、川口市が合併協議会で可決された「武南市」の市名に反発し、法定合併協議会から離脱、協議会は解散した。
蕨という名前は歴史が古く地名の由来は文献にも残されていないが、諸説伝わっているうちの主に2つの説が有力とされている。
蕨市では、全域で住居表示に関する法律に基づく住居表示が実施されている。
住居表示実施以前は下記のような町・大字があった(括弧内は現在の町名)。
大字蕨および大字塚越は範囲が広いため、通称の町名を使用していた。現在も町会名・バス停名に残るものもある。
その他町名には残っていないものもあるが、以下の耕作地名があった。
郵便番号は、市内全域が「335-00xx」である。
市東部を京浜東北線が北西から南東に斜めに縦断、市西部では国道17号が線路の1kmほど西方を平行して走っている。
また、「コンパクトシティわらび」を将来ビジョンとしており、市の面積が小さいことから、病院、公園、図書館、公民館等への市内各地からのアクセスが非常に良好である。ほとんどの生活に必要な施設へは、徒歩で向かうことが出来る。
市内を宇都宮線(東北本線)・高崎線・湘南新宿ラインが京浜東北線と並行して走っているが、駅はない。
地域によっては川口市の西川口駅や戸田市の埼京線戸田駅、北戸田駅が最寄り駅となる。
タクシーの営業区域は県南中央交通圏で、川口市・さいたま市・鴻巣市・上尾市・戸田市などと同じエリアとなっている。
主な商業施設
金融機関
本社を置く企業
高層建築物
なお、蕨駅西口再開発事業は2025年完成予定。
※その他は蕨市指定文化財一覧を参照。
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