中野区(なかのく)は、東京都区部の西部に位置する特別区。面積は15.59平方キロメートルで、東京23区のうち14番目。隣接している区は、北から時計回りに練馬区、豊島区、新宿区、渋谷区、杉並区である。
旧東京府東多摩郡の東半にあたる。現在は東京都区部の西部にあり、地形的には武蔵野台地の一角である。
鉄道交通では多摩地域と東京都心・副都心を結ぶ位置にあり、JR中央線および相互直通運転する東京メトロ東西線のほか、西武新宿線、東京メトロ丸ノ内線と東西に鉄道が通っている。区役所や中野ブロードウェイ、中野サンモール商店街などがある中野駅周辺は繁華街となっているほか、さらに大きな繁華街である新宿とは鉄道・路線バスの両方で、池袋や渋谷とは路線バスで結ばれており、利便性が高い。
産業は、江戸時代には畑作を中心とする近郊農業と製粉、味噌・醤油醸造など食品工業が整備され、江戸町民の旺盛な食料消費を支える立場にあった。明治中期以降、都心からの転居者などにより人口が増加する。特に1923年の関東大震災以降は浅草から新井薬師周辺へ仏教寺院の移転が始まり、近隣の落合斎場(新宿区上落合)との相乗効果もあって葬祭関連の産業もみられる。第二次世界大戦前は東中野1丁目・2丁目界隈は帝国軍人の街として知られていた。
東京の人口増加に伴い、住宅地化も急速に進んだ。1960年代までに農地はほとんど姿を消した。明治以降、工場立地もある程度進んだが、企業城下町のような工業的発展はない。その他商業、オフィス街としての発展は戦後それなりにあったが、道路網が全般的に脆弱であるため、中野駅周辺は東京の都心や新宿・池袋の副都心地域、さらには都心隣接の旧下町エリアほどの大規模な商業地区化には至らなかった。近年は、新宿に近い中野坂上地区が再開発されて超高層ビルも建ち、コンピュータ・ソフトウェア関連など会社も進出し、中野坂上は「新宿副都心」と呼ばれている。中野駅周辺でも2012年には駅北西の警察学校跡地が再開発されて「中野四季の都市(なかのしきのまち)」が街びらきした。「囲町(かこいちょう)」「なかの新都心」などと呼ばれることがある。
中央線沿線地区を中心に専門学校が数多く存在する。また1950年代以降、多くの漫画家が住んだため、現在も漫画・アニメーション制作は、隣接する杉並区や練馬区、三鷹市などと並んで盛んであり、日本有数のアニメ制作会社の集積地である。
人口密度は20,479.15人/km2(2015年4月1日推計)で日本で第2位。なお、1位は東京都豊島区22,569.41人/km2。市では埼玉県蕨市13,986.69人/km2が最高。
上記のように道路都市基盤が脆弱であり、2012年4月1日時点、道路率は12.8%で23区中21位。狭幅員道路率は84.0%で23区中最下位である。また、一人当たりの公園面積率は2012年4月1日時点1.33%で、東京23区中22位である。南部を神田川が東流するほかは大きな川がなく、公園を含む緑地が少ない結果として人口密度が高くなっている。
区内全域にわたり戸建住宅や集合住宅が密集して広がっている。低層建築物がほとんどを占めているが、主要道路に面した地域には中層〜高層マンションが多い。区内には木造住宅密集地域(木密地域)が多く、また賃貸住宅の比率が高いため、人口の流動性が高い。建蔽率が高く、隣家との間隔が1m未満の場合であることも珍しくない。緊急車両の進入が困難な狭隘道路が網の目のように存在する。近年では道路拡張などが行われ、耐震構造の住宅も増加しつつあるが、ほとんどが木造住宅であることから、大地震の際には火災危険度が非常に高いとされる。そういった地域は家賃が安く交通が便利なことから、20〜30歳代の若年層の居住がきわめて多く、子供が少ない。
区の中心となる中野駅周辺には複合商業施設である中野ブロードウェイと丸井中野店のほか、中野サンモール商店街などが立地する。丸井は中野駅前が創業の地であり、現在も本社がある。その他、各所に個人経営が中心の商店街が存在する。
2005年に夜間人口(居住者)は310,392人であるが、昼間人口は285,636人で昼は夜の0.920倍の人口になる。都心区では夜に比べ昼の人口が極端に増えるが、住宅地が多くオフィス街が少ない中野区では昼は人口が減少する。
上記の通り、区内全域で住居表示が実施されている。以下は住居表示実施後の町名と、その直前の旧町名の一覧である。旧町名の後に「(全)」と注記したもの以外は当該旧町域の一部である。詳細は中野区の町名。
年代別人口構成がひょうたん型であり、高齢者と若者が多く、若者は出入りが多い。来るもの拒まず、去るもの追わずという雰囲気の中、沖縄出身者やアイヌ民族の文化が融合した祭や、コスプレ・アニメ文化などのサブカルを活かしたまちの賑わい創出イベントが行われたり、ミャンマー人のコミュニティ、ゲイ・タウンなどを包含し、多様性にあふれたダイバシティ・タウンである。
中野区は、練馬ナンバー(東京運輸支局)を割り当てられている。
中野区の出先機関。2011年7月19日に、従来の「地域センター」から「地域事務所」及び「区民活動センター」に再編。
区の行政機構の一部を分担し、「地域の区役所」的な機能を果たす。住民異動届の受付や証明書の発行、福祉サービスなどの受付、各種公金の収納などの窓口サービスを行う。以下の5ヵ所に設置。
地域住民による地域自治の活動の拠点として、地域活動の支援や集会室の貸し出しなどを行う。運営は、自治会などを中心とした地域別の運営委員会の協議を踏まえて区が定めている。以下の15ヵ所に設置。
※は地域事務所を併設
中野区内の図書館のうち、一般利用が可能な公立の施設は7箇所ある。
東日本旅客鉄道(JR東日本)
西武鉄道
東京地下鉄(東京メトロ)
東京都交通局
東京23区で唯一、区内に国道が通っていない。
中野通りは区内を南北に貫く骨格となる道路であるものの、幅員が15m程度となっており片側1車線の区間も多い。なお、道路そのものは計画幅員20mの都市計画道路である。
蓮華寺下交差点(新青梅街道交点)から中野五差路交差点(大久保通り交点)までは概ね4車線(片側2車線)だが、車線の幅が狭いほか駐停車の車両が多いため渋滞することも多い。また、1999年9月ごろまでは新井交差点(早稲田通り交点)に右折専用レーンが無かったが、のちに一部の交差点の拡張は行われているほか、中野駅北口周辺、中野五差路交差点、杉山公園交差点(青梅街道交点)など部分的な拡張事業が継続中である。このほか、西武新宿線では開かずの踏切問題も存在し、連続立体交差事業による解消が進められている。
出身者・居住歴・事業所のある人物を示す。
1960年代から1970年代にかけては、多くの著名人が「中野ブロードウェイマンション」に居住していた。
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