羽後交通株式会社(うごこうつう)は、秋田県横手市に本社を置くバス会社。1916年(大正5年)創業。かつては横荘線・雄勝線という2つの鉄道路線を運行していたが、1970年代の鉄道路線廃止後はバス専業事業者となった。秋田県内では最大規模のバス事業者である。
秋田県横手地区と日本海沿岸を結び、旅客運送・貨物運送および地方開発事業を行うことを目的に、1915年(大正4年)1月13日に横手 - 本荘間の鉄道敷設免許を取得し、翌1916年(大正5年)10月24日に横荘鉄道株式会社として設立されたのが始まりである。社名は秋田県の律令国名「羽後」に由来する。
本社所在地は、秋田県横手市前郷二番町4番10号。最寄りバス停留所は「前郷二番町」または「横手バスターミナル」。
一般路線バスは秋田県南部を営業地域とし、大曲・横手・本荘・湯沢など、県南地区を広くカバーしている。また東京都・神奈川県への夜行高速バス、秋田県と東北地方の各県を結ぶ都市間高速バスを運行する。そのほか、大仙市(旧大曲市)・由利本荘市・湯沢市・横手市からコミュニティバスの運行を受託している。
貸切バスは秋田県・宮城県全域を営業エリアとしてきたが、2014年(平成26年)より岩手県雫石町・西和賀町、山形県最上町・山形県真室川町にも拡大した。
1977年(昭和52年)、JR横手駅東口の旧本社跡地に「羽後交通ビル」を建設し横手バスターミナルを開設、キーテナントとしてジャスコ横手店が入居し開業した。その後にジャスコ横手店は撤退し、後継テナントとして「マックスバリュ横手駅前店」が開店したものの、平鹿総合病院の移転などにより再開発事業が行われ、羽後交通ビルは解体された。跡地には再開発地区「よこてイースト」が開業、羽後交通ビル跡地には横手バスターミナルが移転新設された。
「よこてイースト」の一角には、羽後交通が建設した介護付き有料老人ホーム「さらさ横手」が立地する。「さらさ横手」は羽後交通が自主運営を目指し、日本地域福祉協会(JAWA)を研修先として定め、社員研修などを積極的に実施した。しかし、異業種から高齢者福祉施設の運営に参入することは障壁も大きいことから、羽後交通は自主運営を断念。研修先であったJAWAに施設を賃貸し、不動産運用を図ることとした。同施設は地下1階、地上3階の建物で全44室の個室を設け、2010年3月に開業した。
営業所のうち、車両所属のある営業所は「自動車営業所」、車両所属のない営業所は単に「営業所」と厳密には区別される。ただしバス停名など実用上は「自動車営業所」も単に「営業所」と省略される場合も見られる。
運賃は対キロ区間制の後払い方式。支払いには現金・回数券・定期券・QRコード決済のPayPay・ⅾ払い・メルぺイが全営業所で利用可能。小人運賃は大人の半額。障害者手帳(身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳)提示による乗車運賃・定期券運賃の割引、自治体発行の福祉乗車証による割引もある。
AkiCaやSuicaなどの交通系ICカードは導入されていない。
過去にキャッシュレス決済の導入検討のため日立製作所の協力を受け、2020年1月24日から同年3月31日まで、県内初となる専用アプリによるQRコード決済の実証実験を「イオン・イーストモール線」「横手・大曲線」の2路線で行った。
羽後交通が発行する回数乗車券は、普通回数券としては金種別のものがベースとなっており、11枚ないしは12枚綴り(12枚綴りは600円券以上の高額券面のみ)で、10枚分の金額となる。普通回数券とは別に、セット回数券の名称で、50円券8枚、40円券と30円券が各10枚の1100円相当分が1000円で販売されている。
運転免許証を返納し運転履歴証明書を有するなどの条件付きで販売する「とくとく回数券」は金種別回数券で、100円券12枚を1000円で販売する。ただし、湯沢発の秋田行き高速バスなど路線により利用できない場合がある。
湯沢市・横手市と秋田市を結ぶ高速秋田線(共同運行している秋田中央交通では高速湯沢線)が秋田市に乗り入れている関係で、秋田中央交通発行 の回数券(ふれあい乗車券は除く)が、秋田市へ乗り入れを行っている各路線で利用できる。
関東バスと共同運行
秋田県仙北市と東京都千代田区を結ぶ夜行高速バス。路線愛称「レイク&ポート」(英称lake&port)は、田沢湖と横浜港にちなむ。横手自動車営業所と大曲自動車営業所が交互に担当。
かつての横浜側の共同運行会社は相模鉄道(横浜営業所担当)。相鉄は2008年8月31日出発便をもって撤退。これにより相模鉄道は高速バス事業から完全撤退した。ただし実際には同年3月16日より羽後交通が相模鉄道担当分も運行していた。
翌2008年9月1日より、相模鉄道に代わって江ノ電バスが参入し(江ノ電バス藤沢が担当)、同年11月1日より鎌倉駅・藤沢駅への延伸が図られた。
2019年6月30日の運行をもって江ノ電バスは運行から撤退。羽後交通の単独運行となるとともに、鎌倉駅・藤沢駅への乗り入れも中止された。
2023年11月24日より、関東バスが参入し、同日より新宿駅西口への延伸が図られた。ただし、バスタ新宿へは乗り入れず新宿駅西口14番のりばを使用する。
田沢湖駅前 - 角館営業所 - 大曲バスターミナル - せんなん(道の駅美郷) - 横手バスターミナル - 東京駅(乗車は八重洲南口、降車は日本橋口) - 新宿駅西口
関東バスと共同運行
高頻度運転を行っている区間は、横手 - 十文字 - 湯沢間(湯沢・横手線)、横手 - 金沢 - 六郷 - 大曲間(横手・大曲線)、本荘 - 西目 - 仁賀保 - 象潟間(本荘・象潟線)といった基幹路線、JA秋田厚生連が各市に設置する総合病院とバス営業所やJR拠点駅を結ぶ路線などである。具体的には由利組合総合病院(由利本荘市)・雄勝中央病院(湯沢市)・平鹿総合病院(横手市)などで、これらの病院はかつては各市のJR拠点駅から程近い中心市街地に設置されていたが、敷地の狭さや老朽化を理由に相次いで郊外に移転・新築された。しかしこれらの路線もモータリゼーションの進展と過疎化に伴い徐々に減便されている。
観光スポットを結ぶ路線が多数を占めており、地元住民のほか観光客の利用も多い。
現行の一般路線の中では、唯一無二にして最上位の種別である。秋田市内発着便はすべて急行以上の種別をもつ。一時期、急行横手・秋田線や急行本荘・秋田空港線も存在したが、周知不足や利用者不足などにより廃止されている(後述)。
2024年4月1日ダイヤ改正版
地域間幹線系統として、国・秋田県・沿線市町の補助金を受ける。詳細は各路線のリンクを参照。
2024年4月1日ダイヤ改正版
※注意:同じ路線でも、発着地・経由地が異なる場合があり。詳細は各路線のリンクを参照。
2024年4月1日ダイヤ改正版
ふるさと村線、横手・イオンモール大曲線を除く全路線、お盆期間(8月10日~18日)と年末年始(12月28日~1月5日)は「日曜祝日 ダイヤ」での運行。
全路線、お盆期間(8月10日~18日)と年末年始(12月28日~1月5日)は「日曜祝日 ダイヤ」での運行。
全路線、お盆期間(8月10日~18日)と年末年始(12月28日~1月5日)は「日曜祝日 ダイヤ」での運行。
(出典:)
(△は一部廃止。無印は全線廃止。)
横手・平鹿地区
湯沢・雄勝地区
大仙・仙北地区
本荘・由利地区
羽後交通では、各自治体より下記のコミュニティバスの運行を受託している。
一般路線車は、運行エリアが豪雪地帯にあたることから、かつてはバリアフリー車両はワンステップバスは一定数導入されていたものの、ノンステップバスは自治体から受託するコミュニティバスを除き導入されていなかった。近年は首都圏などからの中古車移籍や自社発注により、ノンステップバスも導入されつつある。
一般路線車の塗装は小田急バスや立川バスに似たデザインだが、小田急バス・立川バスおよび小田急グループとの資本関係は一切ない。
中古車に関しては、かつては小田急バスからの移籍車が在籍していたが、現在は全車除籍済みで、都営バス・川崎鶴見臨港バス・大阪市営バス・京阪宇治交通・千葉交通などからの移籍車が在籍する。
(出典:) 関連会社の羽後交通興業が、田沢湖で遊覧船の運航、レストハウスの営業を行っている。
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