『レッキングクルー』 (WRECKING CREW) は、任天堂より発売されたアクションパズルゲーム。1984年8月にアーケード版『VS.レッキングクルー』(VS. WRECKING CREW)が稼働された後、ファミリーコンピュータなどへ移植された。
1998年には本作の内容を大幅にリニューアルした『レッキングクルー'98』がスーパーファミコン向けに発売されている。
マリオとルイージがビルの解体屋となって、モンスターに注意しながら、決められた壁を壊していく活躍するアクション型のパズルゲームで、任天堂VS.システムを使用したアーケード版がオリジナルであり、ファミリーコンピュータ(以下ファミコン)版はその移植である。アーケード版が対戦を強く打ち出した内容(2人用は同時プレイ)なのに対し、ファミコン版は1人でのプレイを主眼とした内容(2人用は交互プレイ)となり、パズル性がかなり高められている。なお、本作のルイージは他作品のような白や緑色の服装ではなくマリオと同様に赤系統の配色になっており、アーケード版ではルイージの方がやや色が薄くピンク色に近い服装、逆にファミコン版ではルイージの方が濃い赤色の服装で肌が白くなっている。
アーケード版『VS.レッキングクルー』は日本国内で1984年8月に発売された。1985年6月18日にゲーム内容をアレンジしたファミコン用のロムカセット版『レッキングクルー』が発売。定価は5,500円。1989年2月3日にはファミコンロム版を移植したディスクシステム版も書き換え専用ソフトとして発売された。
1998年1月1日には、原作からゲーム内容を大幅にアレンジしたスーパーファミコン版『レッキングクルー'98』(WRECKING CREW'98)がニンテンドウパワーで書き換え開始。5月23日にはニンテンドウパワーと同内容のロムカセット版も発売された。移動して壁を壊すという要素は同じだが、対戦型のアクションパズルとなっている。
2004年5月21日にファミコンミニシリーズ第2弾の内の1本としてゲームボーイアドバンス版が発売。内容はほぼファミコン版の移植である。ハイスコアのセーブなどが可能で、さらに新機能としてデザインモードの作成で一斉に配置などができる便利機能が追加されている。
2008年2月5日からWiiのバーチャルコンソールでファミコン版が配信されている(500Wiiポイント)。ファミコンミニに搭載されてあったデザインモードの便利機能も搭載されており、周辺機器なしでデザインしたステージをセーブすることができるようになっている。
2011年にニンテンドー3DSを価格改定前に購入し、なおかつ1度でもニンテンドーeショップにアクセスしたユーザーに、アンバサダー・プログラムで先行版バーチャルコンソールにおけるファミリーコンピュータの無料配信10タイトルの1つとして配信された。2012年9月19日から一般配信もされておりWii版と同価格だが、デザインモードのセーブ機能は使用不可になっている。
2013年6月19日にWii U版バーチャルコンソールが配信開始。価格はWii版・3DS版と同じ(Wii版を購入済みなら、優待価格100円)、デザインモードのセーブ機能は使用可能である。
2020年5月1日にNintendo Switchのアーケードアーカイブスにてアーケード版が配信開始。
マリオ(2プレイヤーはルイージ)を操り、敵キャラクターをうまく回避・誘導しながら建物内の全ての壁やハシゴを解体するアクションゲーム。ダイナマイトを使用すれば、隣接する壁やハシゴにハンマー1回分のダメージを与え一気に壊せるが、壊す順番をよく考えないと制限時間にまにあわない。なお、アーケード版ではファミコン版と異なり、支柱やドラム缶がない、すべてのフロアに床が存在し、物理的に到達不可能な場所がない、などパズル的要素は希薄で、手詰まりは存在しない。
高次面になるとほぼ全面に壁が存在するようになり、さらに高次面になると次第に壁が硬くなり、壊すために叩かなければいけない回数が増える。敵に触れたり制限時間がなくなると1ミスとなり、マリオの残機がなくなるとゲームオーバー。規定得点を得ると残機が追加される。初期設定では50000点で1回で、初回のエクステンドと追加(エブリ)エクステンドをそれぞれ20000〜100000点orなしの8段階から設定可能。なお、敵に触れてミスした場合はその場復活だが、制限時間がなくなった場合は、その面の初期状態まで戻される。制限時間は、面クリア時にボーナス得点として加算される。
本作はプレイヤー(表)とパートナー(裏)に分かれて対戦する仕組みであり、1人プレイの場合は、コンピュータ(以下CPU)がパートナーを担当する。CPUはダイナマイトに隣接する壁や、プレイヤーのいる場所の壁を優先的に壊してきたり、扉を開けてモンスターをプレイヤー側に誘導したりと、プレイヤーの不利になるような行動を取るため、CPUの妨害を交わしながら解体していかなくてはならない。なお、CPUは敵に触れてもミスにならない。また、画面上には反対側にいる相手の動きが影として表示される。
プレイヤーとパートナーが向かい合っている状態で壁などを壊すか扉を開ける、またはパートナーのいる位置の壁に隣接するダイナマイトを壊すとパートナーは最下段まで落ちる。パートナーも同様の行動を取り、その場合はプレイヤーが最下段まで落とされる。なお、いずれもミスにはならない。
ダイナマイトで壁を連鎖させて壊すと高得点(800→1600→2400→以後3200点)。4面ごとにボーナスステージが存在し、ライバルのブラッキーより早く壁の中に隠されたコインを探し出すとボーナス点を獲得できる。一度目の破壊でコインを見つければ、さらに多くのボーナス点が獲得できる。隠れキャラクターは存在しない。
BGMがファミコン版と全く異なっており、音源化されていない貴重なサウンドとなっている。
対戦プレイを行うためには、純正VS筐体やタイトーのVSキック&ラン純正筐体、セガのバーサスシティなどの同様の対戦台用の筐体か、通常の筐体を2台用意する必要がある。純正でも、テーブルまたはミニアップライト筐体では1人用しかできない。
ファミコン版はアーケード版をさらに発展させたもので、各フェーズ(同作品ではPhaseで区分している)、15×8階の上下スクロールとなっており、全部で100フェーズ存在する。また、仕掛けとして支柱、ドラム缶などが追加され、パズルゲーム要素が強くなった。タイトル画面から自由にフェーズを選んでスタートすることが可能。
登場するのは、マリオブラザーズに登場した火の玉を除けば独自の敵キャラクターばかりである。一部のキャラクターは『大乱闘スマッシュブラザーズDX』のフィギュアで紹介されている。スパナゴンとナスビ仮面は昇降しているハシゴ壁を崩す、ダイナマイトの爆風に巻き込む、ブラッキーに叩かせる、後述のスーパーハンマーを使ってタイミングよく叩くなどで一定時間気絶させることが可能(ただし復活すると移動速度がアップする)。なお、アーケード版『VS.レッキングクルー』では、敵キャラクターはスパナやナスビのジャンクを被った地縛霊のような姿をしており、ドアをくぐることでその正体を現すような意匠となっていたが、ファミコン版では通常時にはその亡霊姿は見えないようになっている。
ファミコン版から登場。特定の条件を満たすと出現する。「文字」は出現させるだけで効果があり、その他のものは重なってハンマーを振ることで取得できる。
マリオ(2プレイヤーはルイージ)を操り、敵キャラクターを上手く回避・誘導しながら建物内の全ての壁やハシゴを解体するアクションパズルゲーム。2人プレイは1人ずつの交互プレイになっている。ダイナマイトを使用すれば壁やハシゴを一気に壊せるが、壊す順番をよく考えないと手詰まりになる。ボーナスステージはアーケード版と共通である。全100面の中から最初のステージを自由に選んでスタート可能。自作の面をエディットできるデザインモードも搭載されている。
ナスビ仮面、スパナゴン、ブラッキーなどの敵キャラクターや、豚、サンタクロース、招き猫、ゴールデンハンマーなどの隠れキャラクターが登場する。
ロムカセット版ではデザインモードで作成した面の保存にファミリーベーシックとデータレコーダが必要。
ゲーム内容はロムカートリッジ版と同様だが、特別な機器がなくてもデザインモードで作成した面の保存が可能になっている。
ゲーム誌『ファミリーコンピュータMagazine』の1991年5月10日号特別付録「ファミコンロムカセット オールカタログ」では、「爆弾で、壁を一気に壊すことをおぼえるとやみつきになることうけあい。100面は、ものすごくむずかしい」、「隠された名作パズル」と紹介されている。
ニュースサイト「Game Watch」の鴫原盛之は、2021年に寄せたレビュー記事の中で、Nintendo Switch Onlineで配信されているファミリーコンピュータ版について、一見すると画面構成が地味なうえ、クリアには頭を使う必要があるものの、あらゆるものを壊せるゴールデンハンマーによってさらなる楽しさを見いだせたと評価しており、36年前の作品とは思えないほど古臭さがまったくなかったとしている。
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