『ゴルゴ13』(ゴルゴサーティーン)は、さいとう・たかを/さいとう・プロダクションによる日本の漫画。1968年11月から小学館『ビッグコミック』にて連載されている。超一流のスナイパーであるゴルゴ13の活躍を描く劇画である。
2021年7月には、リイド社より発売される単行本(SPコミックス)の刊行数が単一漫画シリーズとしては世界一となる「201巻」を数え、ギネス世界記録に認定された。同年7月時点でシリーズ累計発行部数は「3億部」を突破している。
連載継続中の漫画としては日本で3番目の長寿漫画である。また、現在までの連載期間は、日本で4番目の長さとなる。
主人公は本名不明であり、ゴルゴ13(英称:Golgo 13)のコードネームで呼ばれる超A級スナイパー。作中では「G」や「ゴルゴ」と呼ばれることもある。また偽名として「デューク東郷」を使うことが多い。狙撃だけではなく戦闘・破壊工作などでもほぼ100%の成功率を誇るため、国家・企業・秘密組織などが、特殊な依頼ルートを経由して接触、依頼を行う。依頼対象は個人である人間のみならず集団の排除、物品やあるいは事象の場合もある。ゴルゴ13は個人的ルールにそぐう場合にそれを請け負い、ひとたび請け負ったならいかなる困難があろうと完遂する。しかしそのルールを破ったものは、たとえ相手が誰であろうと制裁を受ける。現実の国際政治を反映しており、実在の政治家などの人物・事件、またはそれをモチーフにしたものが登場することもある。
ほとんどの話は一話完結であるが、場面ごとに複数の「PART」に分割されている。ゴルゴ13の「仕事」が中心となる話がほとんどであるが、話によってはゴルゴ13を追う者や追われる者、巻き込まれる者などからの視点の話もあり、ゴルゴ13自身がほとんど登場しないこともある。
劇画『ゴルゴ13』は、小学館『ビッグコミック』誌に連載されている。
1968年11月発売の1969年1月号に「第1話 ビッグ・セイフ作戦」が掲載され、2020年4月までは一度も休載せず 連載を続けていた。しかし、2019年の新型コロナウイルスの感染拡大を受け、作業時の3密(密閉、密集、密接)を避けるため2020年5月25日発売号より新作を休載すると発表した。休載から1か月半を経て、2020年7月10日発売号より新作の連載が再開された。なお、この休載は外因的なものだったので、さいとう・たかをの事情による休載は、彼が2021年9月24日に死去するまで1度もなかった。
毎回、40ページが掲載される。この項では便宜的に、この一度に掲載されるボリュームを1U(1ユニット、1度分の掲載量の意)と表現している。
連載において、一つのエピソードは、複数回の掲載にまたがることが多い。2Uのものは、それぞれ「第○○○話 前編/後編」と、3Uのものは、それぞれ「第○○○話 前編/中編/後編」と、4Uのものは、それぞれ「第○○○話 前編/中編①/中編②/後編」と表記されている。また、1Uのエピソードを「単発」、2Uのエピソードを「前後編」、3Uのエピソードを「三部作」とも呼ぶ。
掲載時の特徴として、次の点が挙げられる。
毎回1Uのボリュームで掲載されるが、周年などのイベント時には、過去に1Uの作品が2作同時に掲載されたこともある。また、2Uの長さの作品が一挙掲載されたこともある。
本誌のほか、かつては『ビッグコミック増刊号』にも、1Uの新作が掲載されていた。ゴルゴ13のエピソード一覧や「ゴルゴ学」などでは「増刊○○話」のように表記されている。しかし、2011年12月増刊号掲載の「増刊106話 もうひとりのプロフェッショナル」を最後に、増刊での『ゴルゴ13』の新作の掲載はなくなった(スピンオフを除く)。この増刊掲載の分は、本誌のエピソード数にはカウントされていない。増刊掲載の新作はのべ106話制作されたため、『ゴルゴ13』のリリースされた総エピソード数は、本誌の掲載エピソード数に106を加えた数字になる。
『ビッグコミック』に掲載されたエピソードは、2年ほど経た後に小学館から『ビッグコミック SPECIAL ISSUE 別冊 特集ゴルゴ13シリーズ』として発刊される。以下、「別冊ゴルゴ」と表記する。
発売日は、3・6・9・12月の13日、定価は税込み590円である。サイズはB6サイズで、B5の『ビッグコミック』誌の半分のサイズになる。平綴じでカバーはなく、ザラ紙に印刷されており、いわゆるペーパーバック体裁で、現在のいわゆるコンビニコミックの元祖である。
1970年1月1日に第1集が刊行され、最新刊は2023年12月13日発売の「第223集」、収録作は「最終ウイルス」「データセンター奪取」の2作、JAN 4910296790447-00536。この第223集という数字は、漫画としては最長巻数である。
第1集から第27集までは巻数表示が一切ない。第28集から第167集までは裏表紙に小さく〔28〕のように、第64集以降は裏表紙に加えて本の背に No.64 のように、第168集以降は本の背に加えて裏表紙に No.168 のように表示されている。1971年1月1日発行の第5集までは「ビッグコミック増刊」と称していた。
1巻に6U分(たとえば前後編が1話と三部作が1話と読み切りが1話、のように)収録される。1Uを40ページとすると、約240ページ相当という勘定になる。実際は、300ページほどのボリュームとなっており、この差は『ゴルゴ13』以外の他の作家の漫画分や広告、扉絵の再収録とうんちくコラムの分である。
以下のような特徴がある。
「別冊ゴルゴ」に収録されたエピソードは、約1年ほど経ってから小学館から『ビッグコミック増刊 ゴルゴ13総集編』として発刊される。以下、「増刊ゴルゴ」と表記する。
1973年1月15日に第1集が発行され、最新刊は2024年2月13日発売の第214集、「複数弾同時着弾」「カリブ海の覇権」「モルドバの咆哮」の3作が収録されている。JAN 4910296770340-00545。発売日は、2・5・8・11月の13日ごろ、税込み価格600円である。B5サイズのホッチキス中綴じで、『ビッグコミック』と同じ体裁、同じ画面サイズになる。カバーはなく、ザラ紙に印刷されており、増刷はされない。
巻数は「vol.214」のように表示されている。
1巻に8U分(たとえば単発が1話と前後編が2話と三部作が1話、のように)収録される。1Uを36ページとすると、約290ページ相当という勘定になる。
以下のような特徴がある。
「増刊ゴルゴ」に収録されたエピソードは、約1年ほど経ってからリイド社から『SPコミックス ゴルゴ13』として発刊される。以下、「SPゴルゴ」と表記する(リイド社は元々さいとう・プロの出版部門が源流で、SPはさいとう・プロの略)。
発売日は、4・7・9・12月の5日。サイズはいわゆる「おとなマンガ」のサイズで、小学館のビッグコミックスのサイズと同じである。
1973年6月21日に「第1集 ビッグ・セイフ作戦」 (ISBN 4-8458-0001-2) が刊行され、最新刊は2024年4月5日発売の「第212集 琉球の羊」 (ISBN 978-4-8458-6593-2)、収録作は、表題作と「涙も凍る」「魔女の銃弾」の計3作。
巻数は、背と表紙に「212」のように表示されている。
1巻に7U分(たとえば前後編が2話と三部作が1話、のように)収録される。1Uを36ページとすると、約250ページという勘定になる。
以下のような特徴がある。
装丁はマイナーチェンジが繰り返されている。初版の詳細な装丁は以下の通り。
また69巻の奥付発行日は「昭和64年1月8日」と、存在しない日になっている。
LPは最終ページの、Cはカバーの略。
そのSPコミックスのゴルゴ13が初版かどうかは、6巻から16巻と108巻以降は「初版」の表示があるのでわかる。
「SPゴルゴ」に収録されたエピソードは、約2年ほど経ってからリイド社から『SPコミックスコンパクト ゴルゴ13』として発刊される。以下、「文庫ゴルゴ」と表記する。
2002年9月30日に第1集「ビッグ・セイフ作戦」(ISBN 4-8458-2539-2)が発行され、最新刊は2024年2月末発売の第171集「見知らぬBARで」、収録作は、表題作と「亡者と死臭の大地」「欧州再生EU自動車戦争」の計3作、(ISBN 978-4-8458-3122-7)。発売日は、2・6・10月の月末最終日。文庫のサイズだが、リイド社は文庫とは呼ばず「コンパクト」と称している。
なお、1976年〜1988年に小学館の文庫からも文庫サイズで刊行されているが、このシリーズは「小学館文庫」の項を参照されたい。
巻数は、背に「171」のように表示されている。
1巻に6U分(たとえば読み切りが1話と前後編が1話と三部作が1話、のように)収録される。1Uを40ページとすると、約240ページ相当という勘定になる。
以下のような特徴がある。
「文庫ゴルゴ」に収録されたエピソードの一部は、小学館のコンビニコミックのMFB (My First BIG) のラインナップで『MFB ゴルゴ13』として発刊される。「MFBゴルゴ」と表記する。
1999年7月23日に第1集「VS NATO & VS ARMY」 (ISBN 4-09-109202-0) が発行され、最新刊は2024年3月第一金曜発行の第211集「ESPIONAGE~秘密警察~」、収録作は「東ドイツの残骸」「ハインリッヒの法則」の2作 (ISBN 978-4-09-804387-3) 。
発売日は、1・2・3・5・6・8・10・11月の第1金曜日。発行月がまちまちに見えるが、「SPゴルゴ」が発刊(4・7・9・12月の5日)されない月に発刊されるパターンとなっている。サイズはB6サイズで、B5の『ビッグコミック』の半分のサイズになる。平綴じでカバーは無くザラ紙に印刷されており、いわゆるペーパーバック体裁である。基本的には増刷はされないが、一部は増刷されたり、あるいは時間をおいてから「アンコール発売」などと銘打って再版されることもある。
巻数表示はないが、コンビニで購入した場合、レシートで巻数を知ることができる。アマゾンカタログでも確認できる号もある。また、その巻のテーマや題材が本の背と表紙に表記されている。英語2ワードのことが多い。たとえば、115集は「SILENT MEMORIES」となっている。
1巻に6U分(たとえば単発が1話と前後編が1話と三部作が1話、のように)収録される。1Uを42ページとすると、約250ページ相当という勘定になる。実際は、270ページほどのボリュームとなっており、この差は、追加されたコラムや広告の分である。
以下のような特徴がある。
「文庫ゴルゴ」に収録されたエピソードの一部は、リイド社のコンビニコミックの『ゴルゴ13 POCKET EDITION』として刊行される。以下、「ポケットゴルゴ」と表記する。
発売日は不定期。文庫のサイズだが、リイド社は「文庫」ではなく「ポケット」と称している。カバーはなくザラ紙に印刷されており、ペーパーバック体裁である。
2011年3月24日に第1集「番号預金口座」(ISBN 978-4-8458-4101-1)が刊行され、最新刊は2022年2月刊行のVOL.149「偽装依頼」(ISBN 978-4-8458-5850-7)、収録作は、表題作と「ギザの醜聞」「グアンタナモの地雷原」の計3作。
なお、2008年刊の「リイド社版アニメ・ベストセレクション」も「ゴルゴ13 POCKET EDITION」と銘打たれているが、そのシリーズは「リイド社版アニメ・ベストセレクション」の項を参照。
巻数は表紙に非常に小さく「VOL.149」のように表示されている。
1巻に7U分収録される。1Uを40ページとすると、約280ページ相当という勘定になる。
以下のような特徴がある。
2008年4月より、Yahoo!コミックにおいて、「The Archive Selection of ゴルゴ13」と題して、傑作選がウェブコミックで配信されている。
キンドル版もリリースされている。
大人向けの劇画作品を発表する場を求めていたさいとうは、1968年2月末の『ビッグコミック』の創刊号に『捜し屋禿鷹登場!!』で参加した。これに続いて、同年『ビッグコミック』誌上に発表した作品が『ゴルゴ13』であった。
さいとうは現代劇は苦手であり、『ゴルゴ13』を執筆したのは計算の上でのことである。どうせ現代劇にするなら極悪人にしよう、しかし主人公が嫌われてはまずいので、社会悪と言うことにしよう。それなら善悪の解釈は時代によって変わってくるのだから、と言った次第である。また、さいとうはゴルゴは「ヒーロー」ではないともしている。故に堂々としていないという。
やがて、それまでの漫画・劇画の主人公としてはあまりに異質なキャラクターが登場する物語が評判を呼ぶ。特に「依頼者との約束は必ず守る」という信条と、そのための超一流の技量を身に備えた男の中の男(として確立していった)ゴルゴ13の人気は高い。世界情勢や時事問題を巧みに取り込むことによって、冷戦終結で活躍の場を失うのではないかといわれた危惧をも乗り越え、同誌上において2020年5月の初の休載までの実に52年間、ただの一度も連載を休まないという快挙を成し遂げた。またあくまでこれは「仕事」であり、一般の社会人と同様に長期間続けて飽きるとか飽きないとかの話ではない、としている。
連載開始当時の1970年代における、劇画のスタイルを踏襲している。また、1ページ目に「超A級狙撃手(スナイパー)のスーパー・アクション!」のキャッチフレーズ(連載初期は「一匹狼の殺し屋を非情なタッチで描く快作!!」)、サブタイトルのタイポグラフィ、あるいはあくまで数話読み切りの漫画で、その集合体として「ゴルゴ13シリーズ」と呼んでいるなど、連載当初からの体裁も固守している。
さいとう・プロダクションでは制作は分業制を採っており、2020年時点で10名超のスタッフが関わっているが、ゴルゴの顔だけは作画スタッフが描きたがらず、さいとう自身が描いている(さいとうによれば「描かされている」)。さいとう曰く、ゴルゴの顔は誰でも描けるような造形であるはずなのだが、他の人物が描くとちょっと違うらしいとのことで、さいとうの知り合いの女性が言うには、さいとうが描く主人公には色気があるそうである。
本作では様々な国家や人物が登場し、体制に属する人間はゴルゴ13を使って敵対国に介入し目的を達成しようとすることが多い。
冷戦期は主に米ソが舞台または絡んだ話が中心となっていたが、冷戦後、特に2000年代に入ってからは中国を題材にした話が急増している。中国は冷戦中は(作中の立ち位置的には)善玉または単なる依頼人であったことが多かったが、2000年代に中国の台頭や反日デモの頻発化が顕著になると、標的側や、依頼人側に回ったとしてもゴルゴのルールに反し制裁を受ける、といった傾向が多くなっている。
作品にリアリティを出すため、さいとうは舞台となる街の描写、特に“街の匂い”にまで拘っていた。インターネットがない時代、特に当時日本では情報が少なかったアフリカの空港などの風景もリアルに描かれているが、資料が手元にない場合はまずその国の大使館に問い合わせ、それでも収集が難しい場合はその国に行くという一般人を探し出し、訪問ついでに作画に必要な風景を撮影してきてもらうなどして描いた。1986年以降に起こった歴史的な大事件では天安門事件やベルリンの壁崩壊などはほぼ全て描いている。
ゴルゴ13の中でも最大の謎とされるゴルゴの生い立ちに迫る『ルーツ編』は、2017年までに7回行われている。ルーツ編をやると売れるので編集から頼まれる部分もあるが、さいとう自身も楽しんで描いていると述べていた。ただ、さいとう自身はどのルーツが本当なのかは考えないようにしていると述べていた。
『ビッグコミック』での連載開始当初、さいとうは『ゴルゴ13』を10話で終了させる予定だった。殺し屋を主人公にしても、その殺しの手段を使い切ればネタ切れになってしまうだろうと考えていたためである。
さいとうは生前から『ゴルゴ13』の最終話はすでに考案していると述べていた。また「最終話は20代のころに考えたため、当時考えたコマ割りまで全て鮮明に覚えている」とも述べている。一部には執筆済みの原稿が金庫に隠されているという噂もあったが、本人は否定していた。また、「最終話の内容については自分以外に(当時の)キャップ(=作画チーフ)2人にしか教えていないが、その2人は既に亡くなってしまった」と述べ、結局は最終回の内容について知る者は、さいとう本人だけとなっていた。また「ゴルゴは書き始めたときは32歳だったので、ゴルゴは現在82歳…」と最終回の“ヒント”をゲストとして出演したテレビ番組の中で語っている。
さいとうプロでアシスタントを務めた漫画家の伊賀和洋も、さいとうが箝口令を敷いた上でアシスタント数名に対して最終回の構想を説明したことがあると証言している。その内容とは、狙撃を終えたゴルゴ13が道を歩いていたところ、偶然財布を狙ったコソ泥に刃物で刺されそのまま死ぬというものであった。当時、主人公がこのようなあっけない死に方をするという展開は斬新なものと考えられていた。しかし後年の1973年に、TVドラマ「太陽にほえろ!」第52話「13日金曜日マカロニ死す」で萩原健一演じるマカロニ刑事こと早見淳が事件解決後に小銭狙いの通り魔に刺されて死ぬというまったく同じ展開が描かれたことにより、さいとうはこの最終回を描くことを断念したという。ただし、伊賀は「さいとう先生は当然その後更にすごい最終回を構想したはず」と述べ、その後別の最終回の構想が作られた可能性を示唆している。
一方で長期連載に発展したことで、さいとうは「(連載が)ここまで長くなると、もう描き手のものじゃない、読者のものでもある」など、最終話が書かれることは事実上無いという発言を行うようになった。「いま最終回を描いてしまえば、もうゴルゴ13は描けなくなる」、連載50年を迎えたインタビューでも、「最終回は私の頭の中にあるけれど、私の一存では終われない。引き受けてくれる人がいれば後を託します。結末もちゃんと伝えてね」と語っている。
2021年9月24日にさいとうが死去し、存命中に最終回が執筆されることはなかった。しかし、さいとうは存命中から「自分抜きでも『ゴルゴ13』は続いていってほしい」という、『ビッグコミック』編集部から「分業体制の究極」と評される希望を持っており、さいとう・プロダクションの作画と脚本スタッフ、『ビッグコミック』編集部により連載は継続される。さいとう没後の作品は、「原作 さいとう・たかを / さいとうプロ作品」の作者表記で発表されている。
作者のさいとう・たかをによれば、連載当初のゴルゴ13の容姿のモデルは、映画版にも主演した高倉健。また、他人が後ろに立つと殴る習性は、さいとうの兄が映画館から出てきた時に「足を踏まれた」と後ろの人を殴ったエピソードが元となっている。連載開始当初はゴルゴ自身の台詞を多く記載していたが、「あまり喋らせるとボロが出るので」依頼人などゴルゴ以外の登場人物に喋らせることにした。ゴルゴの台詞は次第に減っていき(ふきだしは「…………」が多い)、寡黙なキャラクターが定着した。
「東郷」という姓は、中学時代の恩師である担任の教師の名前から拝借している。
本作品に登場している火器において、多くはリアリティーを求めるために、アメリカ・ラスベガスの銃器ツアー(旧デザートシューティングツアー、現ハワイ州)などにて実際に実弾発射など、火器それぞれの特性などを体験しての作品への採用をしている。
ゴルゴ13は日本において広く知られた漫画(劇画)キャラクターの一人であり、狙撃手の代名詞といっても過言ではない。その特徴的な風貌もあって、数多くの漫画の中でパロディ・キャラクターが登場している。お笑い番組でもしばしばパロディ化される。またCM・広告にも多数出演し、ゴルゴの強さの裏には数々の商品が関係していることが明らかになっている(例:「白い肉体」)。
テレビ番組『雨上がり決死隊のトーク番組アメトーーク!』(テレビ朝日)では、「ゴルゴ13芸人」という企画では、企画をプレゼンしたヒデ(ペナルティ)、その実現をプロデューサーに勧めた東野幸治のほか、ケンドーコバヤシ、山根良顕(アンガールズ)、チャド・マレーンが、ゴルゴ13に関するエピソードやシーンについて司会の雨上がり決死隊(解散)と共にトークを行った。
オートレースでは選手が自分の車両を保有し愛称をつけているが、土屋栄三は歴代の保有車に、順に「スーパーゴルゴ」「S・ゴルゴ」「ゴルゴ13」「Gサーティーン」と命名している。
競走馬にも『ゴルゴ13』に由来する馬がいる。
呉智英は『週刊宝石』に連載していた漫画の評論にて、「『穀物戦争 蟷螂の斧 汚れた金』はゴルゴ13が登場せずともトリックが成立し得るストーリーだが、『ゴルゴ13』の主役であるため登場させた」と指摘した。するとゴルゴファンから抗議が殺到し、呉は再反論するはめになった。一連のやりとりは、呉智英著『バカにつける薬』(ISBN 4-575-71075-X)のP104からP124『鹿を撃つ』に収録されている。この論争は『THE ゴルゴ学』内で竹熊健太郎が要約して触れている。
1997年8月に発表され、SPコミックス版第126巻、文庫106巻に収録されている『HAPPY END』では、破壊工作員のアクションヒーロー『ゲーリー・ライトニング』が活躍する人気コミック作品の作家が自らの連載に辟易するという、さいとう自身のセルフパロディ的なエピソードが描かれる。その作家はゴルゴへ依頼を行う会談の中で「何度やめようとしたか分からない」「周囲は許してくれなかった」「何度も作品の中で(ゲーリーを)殺してやろうと考えた」「(ゲーリーは)もうトシさえとりはしない!」と語った。後年、『ビッグコミック』誌上にて、同じく長期人気連載を持っていた『こちら葛飾区亀有公園前派出所』の秋本治と対談企画 が行われた際にこのエピソードが取り上げられると、さいとうは「ま、それ、本音ですね(笑)」とコメントしている。
作中で、ゴルゴ13は状況によって様々な銃を使い分ける。その中のM16(AR-15をベースとする米軍の制式目的ライフル)は、本来軍用小口径アサルトライフルであり、遠距離の狙撃に適した銃ではない。しかし、ゴルゴ13が使用しているM16は改良が施されており、あえてM16を狙撃銃としている理由について『デッド・アングル』で解説されることとなった。その後、『激突! AK-100 vs. M-16』で、ゴルゴはAK-47の開発者であるカラシニコフ(劇中名:カラジニフ)に、「自分は一人の軍隊である」と発言し、ゴルゴの体格に最も合い、狙撃銃、アサルトライフルとしての性能を高いレベルで両立できる銃としてM-16が最適であるために、ゴルゴがM-16を使用しているとカラジニフは解釈した。この際、ゴルゴはAK-100が50年先も名銃として残るだろうが、M-16にはそれまでの寿命はないとも彼に話したが、最終的にはカラジニフがゴルゴに抵抗したため殺害に及んでいる。また、ゴルゴはM16の開発者でもあるストーナー(劇中名ストーラ)にM16の欠点や改良点をアドバイスしたらしく、それを元にM16A2を開発したという設定になっている。
劇画家の小林源文によると、本作の連載開始前、当時モデルガンメーカーMGCの社員で、宣伝部所属だったイラストレーターの上田信に、さいとう・プロから「新連載の主役である殺し屋に持たせる銃は何がいいか?」と、それが狙撃に使うものであるという説明なしの質問があり、最新の軍用銃だったM16を勧めたのが採用の理由であったという。また、ゴルゴ13は狙撃手という印象が定着している(狙撃以外の方法での殺人は稀)が、初期の作品においては必ずしも狙撃を行わず、必要な場合のみ手段のひとつとして狙撃を行うオールマイティな殺し屋である。実際、過度にM16に固執しているわけではなく、超長距離からの精密な狙撃が必要な状況や仕事の内容(目的)によって、M16以外の銃を使用していることもある。
なお、さいとうたかを自身は国内外の様々なライフルからM16の多様性を評価し、ゴルゴ13の愛銃として採用したと専門誌『コンバットマガジン』(ワールドフォトプレス)(2009年4月号)で語っている。
リイド社SPコミックスコンパクト170巻まで(=本誌546話までとビッグコミック増刊掲載作すべて)に収録されたエピソードのうち、8本以上を書いている脚本家、およびそれ未満でも特筆性のある脚本家のリスト。括弧内数字は作品数。ただし、SPコンパクト版に未収録の作品、および脚本家の名が脱落している1作品(=コンパクト23巻の第94話「破局点」)はカウントしていない。また「502話 キメラの動力」は静夢と横溝邦彦の共著で、双方いずれにもカウントしている。
なお、さいとうは「(2008年現在で)実写版ゴルゴ13を撮るならば、ハンマー投げ選手の室伏広治しかいない」と語っている。
ゴルゴ13(1983年)
ゴルゴ13〜QUEEN BEE〜(1998年)
1971年3月29日から9月24日まで、TBSの平日23時30分から23時40分の10分枠で放送。早朝6時30分から15分枠で放送されたこともある。ABCも5分遅れでネットしていたが6月25日で打ち切り。
初のテレビアニメ化だが、原作のコマを基に描き起こした静止画と登場人物の声や効果音などを合わせる、いわゆる「スチールアニメ」で製作された。さいとう・プロダクション公式は「劇画ドラマ」と呼称している。
後年のアニメ特集やアニメ雑誌などで取り上げられることは少ない。2016年に放送されたテレビ番組『マツコ&有吉の怒り新党』では「(この時点では)映像は現存していない」と紹介。後年のストップモーション作品が本作と同じ手法で作られた作品として紹介された。
その後、フィルムが発見・復元され、デジタルリマスター化された映像の一部回(後述)が2023年12月にBS-TBSでセレクション放送された。この放送が好評であり、視聴に耐えうる分を何らかの形で全部公開してほしいという声が関係各位に多く寄せられた事から、2023年12月29日から翌2024年まで連続4ヶ月に渡って、先ほどの条件を満たした全40話(BSで放送した分も含まれる)が有料配信サイトにて公開されることとなった。
連載40周年を記念した作品で、初の「動画」でのテレビアニメ化となる。テレビ東京系列6局およびBSジャパン・一部の独立UHF局および地方局にて2008年4月11日(テレビ東京の場合)、4月13日にBSジャパンで放送を開始し、翌2009年3月27日で放送を終了した(基本情報はテンプレートおよび放送局の項を参照のこと)。
ゴルゴ13の特質を表す台詞などのうち「用件を聞こう」「俺の後ろに立つな。命が惜しければ」が選ばれ、キャッチフレーズやナレーションにも使われた。また、ゴルゴ役の声優に舘ひろしを起用している。また、本作以前の作品でゴルゴを担当した経験のある声優(津嘉山、玄田、小川)もゲストで出演している。逆に、本作でゲストキャラクターを演じた声優(若本規夫と大塚明夫)が後年、ゴルゴの声を担当している。
アニメが放送された2008年を舞台としているため、原作掲載時と比べ、時代にそぐわないものはカットされたり、現代に合うように変更されたりしている。キャラクターの回想シーンを除き、子供が犠牲になるシーンは別人に差し替えられているか、登場そのものが丸々カットされている。また、原作の特徴の一つ、現実の国際情勢や実在の事件に題材をとったジャーナリスティックな話は登場せず、エピソードの舞台となる国名や都市名さえ明記されないことが多い。またアニメオリジナル展開もあり、原作では匿名だったメインゲストキャラクターには全員名前が与えられている。
本アニメのゴルゴは、全編通して喫煙シーンがカットされている。連載初期のエピソードをアニメ化するにあたっては、作劇上必要なものを除きゴルゴのセリフがカットされている。一方でゴルゴのセリフが一切存在しないエピソードについては最低一言、喋るシーンが必ず加えられている。
DVDはバンダイビジュアルが発売し、2008年11月から全13巻でレンタルが開始され、11月に第1巻が、その後は毎月2巻リリースされた。情事の時に女性キャラクターが全裸になるシーンなどが多いため、こちらも劇場版と同様、R-15指定になっている。セルDVDは2009年6月26日から全4巻で発売された。第1巻は4枚組で14話、2巻以降は3枚組で12話収録とDVD-BOXに近い構成となっているが、1枚あたりの値段は約1500円から2100円程度だった。放送終了後に主題歌を歌ったGIZA studioの所属アーティストやグループが解散したり、芸能界から引退するなどと所在が分からなくなったことから、Blu-ray Discについては現状では販売されていない。ただし、海外版は発売されている。ネット配信については現在バンダイチャンネルなどで有料配信中。
ゴルゴ誕生45周年にあたる2013年には同年4月よりTOKYO MXで全話を翌2014年3月まで放送した。
SPコミックス200巻が発売された2021年は、6月から9月までファミリー劇場で放送された(その放送中に、201巻、202巻が発売された)。
レーベルは全てGIZA studio。
デイブは出ない回も多いので、本当の意味での主要キャラクターはゴルゴのみ。
※「巻数」のうち、I - IVは「小学館版 ゴルゴ13アニメ化作品セレクション」に収録されているエピソードの、収録巻数。
1990年、リイド社より 全10巻のVHSビデオとして発売された。これはアニメではなく、原作に着色したもの(ただし、吹き出しや擬音などはカットされている)を画面に映し出し、そこに声優が声を充てる、というもので、絵は動かないが、衝撃のシーンで左右に揺らすなどの効果を与える程度の演出が行われ、セリフ・効果音も入っている。2000年10月から12月ごろ、日曜日深夜に「観る漫画」というコンセプトでよみうりテレビで放送され、後にBS日テレやファミリー劇場でも放送された。なお、「3.アラスカ工作員」の話では「アラスカ工作員」+「「鎮魂歌に牙を」の前半分」で、「4.鎮魂歌に牙を」では「「鎮魂歌に牙を」の後半分」+「リオの葬送」、「5.ラ・カルナバル」は「ナチス鉤十字章は錆びず」+「ラ・カルナバル」で構成されている。
このシリーズは、2001年に新作が追加され、VHSのビデオカセット全5巻で再発売された。1巻に3エピソード分が収録されている。
(なお、ROOM No.909 は、こちらのシリーズでは未収録となっている)
2011年に小学館から全3巻の単行本が刊行された。時代背景を小説発表時と同時代にしていたり、原作にはなかったキャラクターの設定も付け加えられている。いずれも、船戸与一が外浦吾朗名義で脚本を執筆した作品を、自らノベライズしている。
1977年5月にNHK-FMにて『ステレオ劇画「ゴルゴ13」』として放送。1979年にフィリップス・レコードからLP盤として発売された(規格品番:22PG-1)。
追悼特番『ラジオハードボイルドシアターゴルゴ13』(2021年12月31日、ニッポン放送)
1994年に「VIRTUAL SOUND MOVIE ゴルゴ13」と銘打たれたドラマCDが発売される。原作ではなかったシーンも追加されている。ニッポン放送開局40周年の企画としてリリースされた。スピーカーの外側からも音が聞こえるような「Qサウンド」という録音方式が使われている。音楽はボブ佐久間、演出はニッポン放送の曽我部哲弥、ゴルゴ13の声は津嘉山正種、ナレーションは野際陽子、CD2枚組、詳細な解説つき。
収録は以下の4話。
公認本で原作のコマが引用されている本
いわゆる「謎本」に属する本であるため、原作のコマが引用されていない。
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