消防庁(しょうぼうちょう、英: Fire and Disaster Management Agency、略称: FDMA)は、日本の行政機関のひとつ。日本の消防活動を統括する総務省の外局である。
なお、「東京消防庁」は東京都の組織であり、消防庁とは全く別の組織である。東京消防庁との混同を避けるために「総務省消防庁」と呼ばれる場合も多く、公式HPでも「総務省消防庁」と表示している。
国家行政組織法第3条第2項及び消防組織法第2条に基づき設置され、日本の消防行政の企画・立案、各種法令・基準の策定など行う。職員は消防吏員ではなく官僚で、実働部隊を持たない。支援車等の消防車両や消防ヘリコプターを所有するが、実際の維持管理は貸与先の自治体が行なっている。消防庁は消防機関への直接的な指揮権はなく、助言や指導、調整等にとどまる(消防組織法第6条)。これは、日本の消防は市町村長の管理下にあり、市町村が消防の責任を負っているためである。そのため、消防庁長官又は都道府県知事は市町村消防へ助言・勧告・指導を行うにとどまり、市町村消防を管理する権限を持っていない(同法第36条・第37条・第38条)。ほか、都道府県レベルで消防本部を設置しているのは東京都のみである。
国民保護法の施行に伴い、消防庁には武力攻撃事態等における国民保護の国と地方公共団体との総合的な窓口としての役割が与えられた。
災害時の非常対応も行うが、2003年以前のアメリカ合衆国の連邦緊急事態管理庁のような非常災害時の公的機関に対する統括指揮権の掌握はできず、内閣危機管理監が首相官邸危機管理センターに設置する対策室や、最終的には内閣に設置される緊急災害対策本部などが指揮する。
2023年(令和5年)12月14日現在
官房は置かれていない。
消防庁職員は消防吏員ではなく、総務事務官または総務技官である。また、国民保護法の施行に伴い「国民保護・防災部防災課国民保護運用室長」には自衛官が出向している。旧自治省外局の時代は自治事務官・技官という身分であった。
消防庁の業務は主に全国消防制度の企画と立案、消防関連の研究、自治体消防の幹部消防吏員の教育程度であり、大規模災害のうちごく一部を除けば、消防活動や広域指揮の権限を有しておらず、それらは地方公共団体の消防機関が消防庁から完全に独立して行っている。
よって、地方公共団体の消防機関を指揮下に置く必要がないため、警察庁の管区警察局のような地方機関は置かれず、消防庁の組織の規模も警察庁に比べて小さい。警察における「警察官僚」のようなキャリア職員も存在せず、消防庁職員の身分も消防吏員ではなく総務事務官または総務技官であるため「消防官僚」という呼称は用いられない。
また、警察庁に所属する警察官僚が警視庁や道府県警察へ出向して幹部に就任するのに対して、消防の場合は消防庁に所属する総務官僚が各自治体消防へ出向するという人事は滅多になく、消防庁職員が各自治体の消防活動に介入することもない。消防吏員は全員が地方公務員であるため、警察官のように地方公務員と国家公務員が混在するような規定もなく、国の消防庁と自治体の消防機関は完全に独立している。
業務面でも、警察の場合は広域捜査や公安捜査、警備実施や全国交通取締り等の全国的警察活動は警察庁が全国に号令をかけて行うのが通例であるが、消防の場合、国の主導のもと全国的規模で行わなければならない業務は大規模災害など限定的である。
消防庁職員には消防吏員の階級及び階級章に準じた職名章が定められている。また、通常時はほとんどの場合私服(背広服)での勤務であるが、状況により消防吏員の物に準じたデザインの制服・制帽・活動服(作業服)・アポロキャップ・安全帽等を着用することもある。
警察庁の警察官に巡査・巡査長がいないのと同様、消防庁職員にも消防士長相当級以下の職員はいない。
総務省の該当の項を参照
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