もち米(もちごめ、もちこめ、もちよね、もちまい、餅米、糯米)とは、コメの品種のうち、アミロースを全くあるいはほとんど含まず(糯性)、調理時に強い粘り気を示すもの。餅の原料になるほか、赤飯、おこわなどの料理に使われる。
米に含まれるデンプン分子には、粘りの元になるアミロペクチンと、粘りを生み出さないアミロースがあるが、もち米はアミロペクチンのみを含むため調理時に強い粘り気が生じる。そのためもち米は餅の原料になる。
もち米に対し、アミロースを含む粘り気が少ないコメをうるち米(粳米、うるちまい、うるごめ)、粳(うるち、うる)という。うるち米が主要部位の胚乳が淡い半透明であるのに対し、もち米の胚乳は白く不透明である。栄養学的には、もち米とうるち米との差はほとんどない。これは消化の過程でアミロペクチン・アミロースともに分解されてしまうためある。うるち米でも炊いた米をお湯に漬けてアミロースを抜くことで餅を作ることができる。
もち米は餅の原料になる他、赤飯やおこわ、飯蒸し、中華風のちまきなどの料理や、粉砕して白玉粉や道明寺粉などに加工した上であられや団子などの菓子の原料に用いられる。また、酒や酢の醸造原料としても用いられる。
主に日本、朝鮮半島、中国、台湾、フィリピン、タイ王国、ラオス、インドネシア、インド、ベトナム、ミャンマーなどで栽培されている。タイのイーサーン地方やラオスでは主食とされ、ラオスではコメの生産量割合の85%を占める。地域によってはハレの食材とされる。日本などではジャポニカ種(短粒種)のもち米が栽培されるのに対し、東南アジアではインディカ種(長粒種)のもち米が多く栽培される。また、果皮の黒い黒米のもち米もある。
日本においてのコメの生産量割合では全体の3% - 5%程度である。都道府県別の生産量は多い順に佐賀県、北海道、新潟県、熊本県、岩手県である(平成21年度調査)。
漢字の「糯」「餅」はどちらも訓読みでは「もち」であるが、本来「餅」はモチ性の穀粒などを蒸した上で搗くなどして作られた食物を指すのに対し、「糯」は作物の品種を指す。「糯」の一字でもち米を意味することもある。近年は「餅米」と表記されることもある。
イネ以外の植物でも、トウモロコシ、オオムギ、アワ、キビ、モロコシ、アマランサスなどには、糯性を持った品種がある。
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