『ゲゲゲの女房』(ゲゲゲのにょうぼう)は、漫画家水木しげるの妻・武良布枝が著した自伝エッセイ。実業之日本社より2008年に単行本、2011年に文庫版が刊行された。
本書には「人生は……終わりよければ、すべてよし!!」との副題が付けられた。とあるインタビューで実業之日本社の社員と話した際に、武良布枝が口にした「終わりよければすべてよしです」という言葉に対し、それをタイトルに自伝を書かないかと持ちかけられたのが執筆のきっかけであった。
2010年にテレビドラマ放送と映画公開が相次いだこともあり、同年10月時点で50万部を突破した。2011年には文庫版が刊行された。
同書を原案に、2010年度上半期にNHK連続テレビ小説の82作品目としてテレビドラマ化され、2010年に映画化、さらに2011年に舞台化された。
2018年には『「その後」のゲゲゲの女房』が刊行された。ドラマ放送時の反響や、水木が死去した際のエピソードなどが書かれている。
NHK連続テレビ小説の82作品目として2010年3月29日から9月25日まで放送された。全156回。ドラマ撮影期間は2009年11月14日から2010年8月18日までである。
漫画家水木しげるの妻・武良布枝著『ゲゲゲの女房』を原案に、フィクションとして制作された。
連続テレビ小説は、本作から放送時間の変更を行い、後述する社会的反響や、本作以降の作品の視聴率が好調に転じたように分析されることなどから、連続テレビ小説の転換点とも位置付けられる。
1939年(昭和14年)のヒロイン少女期から始まり、1961年(昭和36年)、29歳の時39歳の貸本漫画家との結婚を転機に、その後の喜びも苦しみも共にする夫婦の軌跡が妻の視点で描かれた(1986年(昭和61年)まで)。さらに、様々なエピソードを通して家族の絆だけではなく周囲との心温まる交際、出会いと別れ、また単なる人情味あふれる話にしない漫画界などの厳しい現実、戦争の爪痕、紙芝居と貸本業の衰退など世相が複眼的に描かれた。このようにヒロインの半生記としてホームドラマのほか、サクセス・ストーリー、業界ドラマ(漫画)、昭和ノスタルジアの要素もある。ただし、サクセス・ストーリーは原案にそって窮乏生活が長く描かれており(第5週 - 第15週)、昭和ノスタルジアは「古き良き時代」で終わらせず、漫画への偏見や高度経済成長期の斜陽産業・貧困(取り残された人々)など、負の側面も含む。
物語の舞台は原案者夫妻が生活する東京都調布市がメインで、夫妻の出身地島根県安来市と鳥取県境港市がサブである。脚本は山本むつみが担当しており、山本が原案のドラマ化を希望した。音楽は窪田ミナが担当し、主題歌(テーマソング)は本作品のために書き下ろされたいきものがかり「ありがとう」が起用された。長身のヒロイン役に本作が連続テレビ小説初出演となる松下奈緒(身長174cm)が、その夫役に向井理(身長182cm)が起用された。ヒロインはオーディションを行わずに決められた。
オープニングやラストシーンなどで貧乏神(片桐仁)と水木作品に登場する妖怪(アニメーション)のように存在が実証されていないキャラクターを実写と合成させるなど、連続テレビ小説として表現上の新機軸が打ち出された。そのため、水木プロと東映アニメーションの著作クレジットが記載された。また、安来市に現存する原案者の生家について正確に図面を取ったほか、大正時代の帳面まで撮影するなど事前に綿密な調査が行われ、撮影用スタジオで生家がリアルに再現された。本作品を放送するにあたって以下の変更があった。なお、NHKの公式ホームページ「連続テレビ小説一覧」が開設されてから初めて、番組ホームページが独立して作られた。
島根県安来市大塚町の飯田家の三女・布美枝(ふみえ)は、小さい頃からおとなしく内気な性格で、背の高さにコンプレックスを持つ少女であった。何度かの縁談があったが「背の高さ」から良縁に恵まれず、29歳になった布美枝は、実家の酒屋で家事手伝いの日々を送っていたが、肩身の狭さも感じ始めていた。
ある日、鳥取県境港市の出身で、東京都調布市に住んでいる39歳の貸本漫画家・村井茂(ペンネーム・水木しげる)との縁談が持ち上がった。少し破天荒でマイペースな村井は、戦争で所属した部隊のうち、ただ一人の生還を果たしていたが、戦地で左腕を失っていた。
1961年(昭和36年)、見合いから5日後に結婚式を挙げて新婚生活が始まったものの、暮らしはとても貧しく先の見えない苦しいものであった。それでも貸本漫画を書きつづける茂のひたむきな姿勢に、心を打たれた布美枝は漫画のアシスタントも務めるなど、「何があっても、この人と一緒に生きよう」と決意する。
その後、出産・プロダクション立ち上げなどの数々の試練を乗りこえて、商業誌デビューをした水木は、「ゲゲゲの鬼太郎」「悪魔くん」「河童の三平」などの妖怪をモチーフにした人気作品を発表し、ついに漫画家として日の目をみた茂。結婚から5年、それらの大ヒットを境にして、2人の生活が激変していくのであった。
安来の飯田家は、家父長的な源兵衛に反発する者もいるが、直系家族として続いている。
境港の村井家は、飯田家と好対照であり、そのことが家風にも表れている。核になる夫妻は、前者の修平・絹代が「かかあ天下」で、後者の源兵衛・ミヤコが「亭主関白」である。修平は当時めずらしい大学卒で、東京で学生生活を楽しんだのに対し、父が他界した源兵衛は高等小学校を卒業して家業に従事。また村井家は、家業も大きな資産もないこともあり、子供3人が県外で生活し(最終的に東京に集まる)、結局のところ修平・絹代夫妻も境港を離れてしまう。なお特徴として、子供3人が両親につけたあだ名を使いつづけている。
初回視聴率は14.8%と過去最低を記録する(以下、ビデオリサーチ関東地区の数値)。その後視聴率は徐々に上昇し、6月12日放送で初めて20%を超え(関西地区は9月8日放送で20%を超え)、最終回に番組最高の23.6%を記録した(23.6%は2010年に放送された全ドラマの中で2番目に高い数値である)。週間平均視聴率が第1週15.5%・最終第26週21.5%、と最終週が第1週を6.0ポイント上回り、週間最高視聴率も第1週15.8%・最終週23.6%と最終週が第1週を7.8ポイント上回るなど視聴率は右肩上がりに推移した(#放送日程も参照のこと)。なお、関東地区においては、2007年度前期『どんど晴れ』(23.2%)以来の最終回視聴率20%超えとなり、それが2016年度前期『とと姉ちゃん』まで6年連続で続くこととなった。
放送期間平均視聴率は18.6%で前作に比べて5.1ポイント高く、その上昇幅は『ひまわり』(1996年度上半期)の放送後で最も大きい(2010年度末現在)。なお、7月12日(月) - 18日(日)の週から9月20日 - 26日の週までの11週中、8月23日 - 29日の1週 を除いた計10週でビデオリサーチの視聴率「総合」1位を占めた(うち7週は本作品以外に20%を超える番組がなかった)。
社会からの反響は大きく、放送終了後連続テレビ小説で初めてザテレビジョンドラマアカデミー賞最優秀作品賞を受賞し、ヒロインを演じた松下奈緒が第61回NHK紅白歌合戦の紅組司会に起用された。また、2010ユーキャン新語・流行語大賞の年間大賞に原案者の著作などから「ゲゲゲの〜」が、2011年第83回選抜高等学校野球大会の開会式入場行進曲に本作品の主題歌「ありがとう」(いきものがかり)が選ばれるなど、本作品は「空前のブームを巻き起こした」と評された。
2011年5月3日から台湾のテレビ局でも放送され、『JIN-仁-』などをおさえて日本ドラマ部門の視聴率1位になった。
2012年度からBSプレミアムで再放送が行われた。BSでの朝ドラ再放送は『都の風』以来4年ぶり。また同日に放送を開始した『梅ちゃん先生』(7時30分開始)が続けて放送された。また2013年1月19日から「ファミリー劇場」で土曜日 11時 - 13時に放送が行われた。
2015年12月1日、前日の水木しげるの訃報を受けて、総合で総集編の再放送を行うことが決定した。
松下奈緒と向井理はともに本作品でブレイクしたと報じられている。『日経エンタテインメント!』2011年1月号の「2010ヒット番付TOP50」では、松下が21位(女優の最高位)、向井が12位(男優の最高位)にランクされた。また、ニホンモニター社が発表した『2010年 タレントCM起用社数ランキング』によれば、松下・向井が共に昨年のランク外から躍進したと報じられている。
松下は7月22日に『第42回思い出のメロディー』(総合8月21日放送)で司会をつとめることと『第61回NHK紅白歌合戦』で司会の可能性があることを報じられ、11月3日に紅組の司会をつとめることが発表された。連続テレビ小説のヒロイン役が作品の放送年にNHK紅白歌合戦の紅組司会に起用されるのは、1992年度下半期『ひらり』の石田ひかり以来18年ぶり。向井は本番組放送終了後に初主演映画の撮影に入った他、「4-5本の主演企画のオファーが届いていた」と報じられている。
松下と向井は共に第35回エランドール賞新人賞を受賞。2人は各種のアンケート調査でも上位に入っており、『週刊文春』の「好きな男ランキング2010」で向井が2位(1位の福山雅治と8票差)にランクされた 他、10月14日付けのORICON STYLE調査による「理想の花嫁&花婿ランキング」で向井が花婿1位、松下が花嫁10位にランクされた。
以下のトークショーが開催された。
他局による再放送
いずれも2010年に総合で放送された。
出演:松下奈緒、武良布枝
総集編は撮影完了後に撮り下ろしたヒロイン夫妻のシーンや原案者・武良へのインタビュー(松下が聞き手を務めた)、さらに最終回には向井が「おまけ」と称したコメントを収録し、再構成したものが放送された。
2011年12月31日10時15分 - 13時40分にBSプレミアムで第1集 - 第3集が一挙に放送された。
また、2015年12月5日・12日・13日に水木しげる追悼として再放送された。
#概要で記した通り、60秒 - 2分強前後のアバンタイトルの後に当時多く流通していたヨーグルトのガラス瓶に入った5色の絵の具(これは実在の水木プロにあるものを再現したもので、番組のタイトル画像として使用)が映し出され、「ありがとう」がイントロ(前奏部)なしで始まるオープニング画面が映し出される。曲が流れている部分ではゲゲゲの鬼太郎を始めとする水木作品のキャラクターのアニメーションや、自転車を漕いでいるシーンが登場し、中には昭和30年代の紙芝居のシーン(子供が数十人居て後ろには鬼太郎が映っている)や単行本(単行本の左側には目玉おやじが映っている)、テレビの中には大阪万博(ねずみ男が寝転んで見ている)の映像が流された。
後述、総集編での出演者・スタッフのクレジットは、レギュラー版のカットイン・アウトではなく縦スクロール表示であった。
目玉おやじと、以下に示すような武良夫妻ゆかりの地の写真を併せた画像が使われた。
背景のカットは概ね1 - 2か月程度、季節に応じて切り替わった。
土曜日のエンディング前には、30秒程度の次週あらすじの予告が入った。
第25週(9月13日)から、次作『てっぱん』の告知が入った。
最終回は、「永遠のふるさと」と題し、安来の田園風景に大山(だいせん)を眺めるヒロイン夫妻の後ろ姿があった(映像合成)。
発売元:NHKエンタープライズ、販売元:東映・東映ビデオ
以下、2010年に放送された番組順に掲載。いずれも副音声での解説なし。
2010年11月20日公開。主演・吹石一恵、宮藤官九郎。監督・鈴木卓爾。
東宝の製作により水野美紀と渡辺徹の主演で舞台化され、2011年9月23日に鳥取県境港市の境港市民会館にて開幕し、11月までに東京・日比谷のシアタークリエなど全国16都市にて上演された。
Owlapps.net - since 2012 - Les chouettes applications du hibou