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すべての若き野郎ども


すべての若き野郎ども


すべての若き野郎ども」(原題: All the Young Dudes)は、デヴィッド・ボウイがモット・ザ・フープルに提供した楽曲。1972年にシングル・ヒットした。ロック界のスタンダード・ナンバーの1つとして知られ、ロックの殿堂のスタッフや音楽評論家たちが選出した「ロックンロールを形作った楽曲」の500曲の中にも含まれている。

解説

モット・ザ・フープルにとって、CBSレコード移籍第1弾リリースとなったシングルである。イアン・ハンターがリード・ボーカルを担当。バンドは1969年にデビューして以来、シングル・ヒットに恵まれていなかったが、本作で初の全英シングルチャート入りを果たし、最高3位に達した。 またアメリカでも、シングルチャートで37位を記録しており、バンド唯一のアメリカでのヒットとなっている。

本作は、「ティーン(10代)の讃歌」や、「グラムロックの讃歌」であると考えられている。このグラムロック・バンドは異性愛者の集まりであるが、「ゲイ(同性愛者)の讃歌」とも考えられている。ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのルー・リードもそのように言っている。しかしボウイ自身はかつて、この歌は実際にはよりダークな黙示メッセージを伝えるものであると主張した。ボウイが『ローリング・ストーン』誌で応じたインタビューによると、アルバム『ジギー・スターダスト』収録の歌「5年間」(Five Years)でニュースキャスターが伝えていたニュースと同じニュースを若者たちは伝えている。そのニュースとは、地球滅亡まで5年しか残されていないという事実である。ボウイは次のように説明した。

この時期のヨーロッパは、冷戦下にありながらも一体化が進み、西ヨーロッパは石炭鉄鋼、経済、原子力の諸共同体を形成した。1971年に欧州評議会がベートーヴェン「歓喜の歌」を欧州の讃歌にするというリヒャルト・N. 栄次郎 "青山" クーデンホーフ=カレルギー伯爵(友愛をモットーにする政治活動家で「EUの父」)による提案の採択を決定し、1972年1月より欧州の讃歌が実施された。このような時代背景のもと、1972年3月、モット・ザ・フープルは解散の危機にあった。その危機に「すべての若き野郎ども」を提供したのがデヴィッド・ボウイである。その頃のデヴィッド・ボウイは各地の公演(ジギー・スターダスト・ツアー)でベートーヴェン「歓喜の歌」(Ode to joy)をオープニングに使用した。ボウイが公演で使用した「歓喜の歌」は、ジギー・スターダストの重要なファクターである映画『時計じかけのオレンジ』のサウンドトラック(音楽: ウォルター・カルロス)である。「すべての若き野郎ども」は「音楽の父」バッハが引き合いに出されることがあり、「G線上のアリア」(管弦楽組曲第3番)はその好例である。

「すべての若き野郎ども」提供前、ボウイは「サフラジェット・シティ」(Suffragette City)をモット・ザ・フープルにオファーしたが断られた。「すべての若き野郎ども」提供後、ボウイは新たに「ドライヴ・インの土曜日」(Drive-In Saturday)を提供するつもりがあったが、モット・ザ・フープルは「ホナルーチ・ブギ」がヒットしたため提供を断った。

1992年4月20日に行われたフレディ・マーキュリー追悼コンサートにおいて、クイーンのメンバー3人、デヴィッド・ボウイ、イアン・ハンター、ミック・ロンソン、デフ・レパードのジョー・エリオットとフィル・コリンのコラボレーションとして「すべての若き野郎ども」が演奏された。その模様は、映像作品『フレディ・マーキュリー追悼コンサート』で確認できる。また、ミック・ロンソンの遺作となったアルバム『ヘヴン・アンド・ハル』(1994年)にもジョー・エリオットのリミックスで同音源が収録された。

イアン・ハンターは、2001年にリンゴ・スター&ヒズ・オール・スター・バンドのツアーに参加した際にも「すべての若き野郎ども」を歌っており、その模様はライヴ・アルバム『King Biscuit Flower Hour Presents Ringo & His New All-Starr Band』(2002年発表)にも収録された。

モット・ザ・フープルの演奏による「すべての若き野郎ども」は、映画『JUNO/ジュノ』(2007年公開)で使用され、オリジナル・サウンドトラック・アルバムにも収録された。

ザ・クラッシュのアルバム『動乱(獣を野に放て)』には、アンサーソング「全ての若きパンクスども」が収録されている。

「日本の『すべての若き野郎ども』を作りたい」という吉井和哉の望みがあり、THE YELLOW MONKEYの「JAM」は制作された。それにより「JAM」は、C - EmonB - Am - ConG - F - G - C -Gというベースの下降が繰り返される。

歌詞の「boat race」は、顔(face)のスラング。「television man」は、日本語の翻訳例が「テレビの出演者」か「テレビの修理屋」の2通りある。テレビ出演者の場合「television man」という言い方は一般的ではないが、ニュースキャスターは「television newscaster」、アナウンサーは「television announcer」、コメンテーターは「television commentator」のように「television」の後に出演人物を表わす何らかの言葉が来る。修理屋と翻訳する場合「television repair man(repairman)」という英語が存在し、その省略あるいは適切な翻訳でない可能性もあるが、出演者か修理屋か、「television man」はどちらとも解釈できる曖昧さがある。

参加メンバー

  • イアン・ハンター
  • ミック・ラルフス
  • ヴァーデン・アレン
  • ピート・オヴァレンド・ワッツ
  • デイル・グリフィン

カバー

デヴィッド・ボウイによるセルフ・カバー

1973年のアルバム『アラジン・セイン』でのレコーディング・セッションでセルフ・カバーしたが、当時は発表されなかった。後に、1997年のベスト・アルバム『ザ・ベスト・オブ・デヴィッド・ボウイ 1969-1974』や、2003年の『アラジン・セイン』の30thアニバーサリー・エディションで聴けるようになった。

1973年のツアーではすでに披露しており、7月3日のロンドン公演での模様は、1983年のライヴ・アルバム『ジギー・スターダスト・ザ・モーション・ピクチャー』に収録されている。

1974年のツアーのライブ音源が、同年10月発売の『デヴィッド・ボウイ・ライブ』に収録されている。

モーガン・フィッシャーのプロデュースによる日本人アーティストたち

モット・ザ・フープルのキーボーディスト、モーガン・フィッシャーは、1996年に世界初のモット・ザ・フープルのトリビュート・アルバム(コンピレーション)『MOTH POET HOTEL A TRIBUTE TO MOTT THE HOOPLE』をプロデュースした。このアルバムの第1曲目が「すべての若き野郎ども」であり、モス・ポエト・オールスターズ(Moth Poet All Stars)がメドレー形式により歌う。モス・ポエト・オールスターズとはモーガン・フィッシャー、吉井和哉、甲本ヒロト、小暮 "SHÄKE" 武彦(レベッカ)、宮沢和史(THE BOOM)他によるボーカルメドレー参加者をいう。このトリビュート・アルバムにはザ・イエロー・モンキー、ザ・ハイロウズ、ザ・イージー・ウォーカーズ、ザ・プライベーツ、ヒートウェイヴ他多数の日本のロックミュージシャン他、クイーンのブライアン・メイが参加した(1996年6月5日に武道館で「すべての若き野郎ども」をデヴィッド・ボウイと共演した布袋寅泰の名は、このアルバムのどこにもない)。

ブルース・ディッキンソン (アイアン・メイデン) のソロ作品

ブルース・ディッキンソンは、アイアン・メイデン在籍時に発表された初のソロ・アルバム『タトゥード・ミリオネア』(1990年)で、この曲をカバーした。同アルバムからの第2弾シングルとしてもリリースされて、全英シングルチャートで5週に渡ってチャート・インを果たす。イントロが2回演奏されるところがモット・ザ・フープル盤と異なる。イントロのギターリフは、最初のコーラス後と終わりのコーラス中においても用いられる。

12インチ・シングルや12cmCDシングルには、AC/DCのカバー「シン・シティ」が追加収録された。

当時ストーム・ソーガソン監修のミュージックビデオ(モノクロ)が制作された。ディッキンソン率いる4人組がトライアンフのバイクにまたがって町中を走り周り、カフェバーに立ち寄るとディッキンソンは「すべての若き野郎ども」を演奏する自分たちの姿を放送するテレビをヒジで突き落とす。「All the young dudes — — —」のリフレインとともに町を練り歩き、人々は深刻な表情で4人を観察する。4人は中が埃だらけの建物に入って演奏し(東アジア系文字が書かれた垂れ幕がよれている)、最後に小さい男の子が潜水艦の模型を掲げる。このビデオは、後にディッキンソンのDVD『Anthology』(2006年)に収録された。シングル盤ジャケットの写真も(アルバム『タトゥード・ミリオネア』のような日本の入れ墨風ジャケットではなく)バイクが採用されている。

ディッキンソンは1987年にマリリオンの公演に参加して歌ったのが「すべての若き野郎ども」のカバーの最初の試みである。

その他

  • エンジェル - 『Live Without a Net』(1980年)
  • 本城未沙子 - 『DREAMER』(1984年)
    • 歌は日本語。冬杜花代子による翻訳(意訳)。
  • アダム・ボム - 『Fatal Attraction』(1985年)
  • レイジー - 『Happy Time』(1998年)
    • 歌は日本語。牧穂エミによる独自の日本語詞。
  • ザ・チャーチ - 『A Box of Birds』(1999年)
  • The F-Ups - 『The F-Ups』(2004年)
  • オジー・オズボーン - 『Under Cover』(2005年)
  • テスラ - 『Real to Reel, Vol. 2』(2007年)
  • 和久井光司&セルロイド・ヒーローズ - 『愛と性のクーデター』(2007年)
    • 歌は日本語。和久井光司による独自の日本語詞。
  • マシュー・スウィート&スザンナ・ホフス - 『Under the Covers Vol. 2』(2009年)
  • 布袋寅泰 - 『MODERN TIMES ROCK'N'ROLL』(2009年)
    • 歌は英語の原歌詞。演奏は布袋寅泰(ボーカル、ギター)、あらきゆうこ(ドラムス)、ナスノミツル(ベース)、Tommy Blaize(バッキング・ボーカル)、Derek Green(バッキング・ボーカル)、Hayley Sanderson(バッキング・ボーカル)、Madeline Bell(バッキング・ボーカル)、福富幸宏(プログラミング)。

脚注

注釈

出典注

参考文献

  • スローガン『デヴィッド・ボウイ・ファイル』シンコーミュージック・エンタテイメント、2006年。ISBN 4-401-61976-5。 
  • 『ロック&ポップス名曲徹底ガイド1970-74年編: 名曲240 決定盤CD816』音楽出版社、2006年。ISBN 9784861710186。https://books.google.co.jp/books?id=M_0KyHSyTC4C&redir_esc=y&hl=ja 
  • 500 Greatest Songs of All Time. Rolling Stone. (2004, 2010 update). 
  • Miller, Scott (2010). Music: What Happened?. Alameda, CA: 125 Records. ISBN 9780615381961. https://books.google.co.jp/books?id=Aduy1H1mUx0C&redir_esc=y&hl=ja 
  • Doggett, Peter (2011). The Man Who Sold The World: David Bowie And The 1970s. Random House. ISBN 9781409041399. https://books.google.co.jp/books?id=X7v7e3NRuSoC&redir_esc=y&hl=ja 
  • Goddard, Simon (2013). Ziggyology. Random House. ISBN 9781448118465. https://books.google.co.jp/books?id=di0FCHco8TkC&redir_esc=y&hl=ja 
  • Hendrikse, Wim (2013). David Bowie - The Man Who Changed the World. New Generation Publishing. ISBN 9780755250530. https://books.google.co.jp/books?id=gq9Vp45cGx4C&redir_esc=y&hl=ja 
  • Devereux, Eoin; Dillane, Aileen; Power, Martin J., eds (2015). David Bowie: Critical Perspectives. Routledge. ISBN 9781317754497. https://books.google.co.jp/books?id=UQ2UBwAAQBAJ&redir_esc=y&hl=ja 
  • Pegg, Nicholas (2016). The Complete David Bowie: New Edition: Expanded and Updated. London: Titan Books. ISBN 9781785655333. https://books.google.co.jp/books?id=LqFkDQAAQBAJ&redir_esc=y&hl=ja 
  • The Mott Archive: a mott the hoople website, http://www.mottarchive.com/ 
Collection James Bond 007

外部リンク

  • Mott The Hoople - All The Young Dudes (Live) - YouTube (MOTTTHEHOOPLEVEVO)
  • David Bowie - All the Young Dudes (Live at the Isle of Wight) - YouTube (DavidBowieVEVO)
  • 「すべての若き野郎ども」の歌詞 - メトロリリック

Text submitted to CC-BY-SA license. Source: すべての若き野郎ども by Wikipedia (Historical)



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