備後落合駅(びんごおちあいえき)は、広島県庄原市西城町八鳥にある、西日本旅客鉄道(JR西日本)の駅である。
当駅の所属線である芸備線と、当駅を終点とする木次線が接続する駅で、中国山地の山間部に位置する。1935年(昭和10年)に開業し、1937年(昭和12年)に木次線が乗り入れてからは備北地区の基幹駅の一つとして機関区宿泊所・保線分区・通信分区などが設置され、一時は200人超の職員が勤務し、準急/急行「ちどり」などの優等列車の機関車付け替え・分割併合・スイッチバックなどが行われていた。また、駅前には2軒の旅館・タクシー・食堂・理髪店などが進出し、「落合銀座」と呼ばれるほど盛況した。しかしその後は蒸気機関車から気動車への置き換えによって職員数が減少し、過疎化・道路網の発達により利用客も減少した。
平成に入ると当駅はワンマン列車のみの発着となった。利用者数が減少してからも3人の係員が常駐し、当駅で折り返す木次線列車の運行管理・出札業務に当たっていたが、1997年(平成9年)3月22日のダイヤ改正によって木次線(当駅 - 出雲坂根駅間)で運行される列車は庄原の列車集中制御所 (CTC) で自動制御できるようになったことで運行要員が必要なくなったため、同日から無人駅となった。2018年(平成30年)12月時点では列車の発着時を除き、利用客はほとんど見られない状態で、かつて駅前に多数並んでいた店舗もほとんどが廃業しているが、ターミナル駅としての遺構が残る「秘境駅」として鉄道ファンから注目を集めたことに加え、駅付近に在住する元国鉄機関士による駅構内や周辺の清掃・地元の鉄道ファンや観光協会の活動により、近年では利用者数が微増傾向にある。2020年代では、例え平日であっても14時台には30人を超える利用客で盛況になる。自家用車やバイクツーリングでの訪問客もいる。待合室では蒸気機関車やディーゼルカーの多数の写真が所狭しと展示されている。
かつては駅構内には機関車庫・転車台・給水塔・貯炭場が、駅に隣接して備後落合駐泊所があった。駅横の鉄道官舎・機関庫は2009年(平成21年)時点で既に撤去されているが、貯炭場・転車台は残されている。
中国統括本部の発足以前には、岡山支社・米子支社・広島支社の境界であったため、全ての列車が当駅で折り返す。三次方面からの列車は夜間滞泊が行われていたため、駅舎の一部が乗務員宿泊施設となっていたが、2021年(令和3年)10月2日をもって、夜間滞泊の対象となる列車(※当駅に21時前に到着する列車のこと)は備後庄原止まりとなり、翌朝この駅に回送する形になったため、この駅での夜間滞泊は無くなった。
木次線と芸備線の乗換駅であるが、定期列車は三次方面が1日5本、木次・新見方面は各3本(3方向で合計11本/日)と少なく、各方面同士の接続もあまり考慮されていない。
当駅を含めた前後の区間は豪雨・豪雪により不通となることがしばしばある。豪雨は三次方面に、豪雪は木次・新見方面に多く、特に雪は一度深い積雪になると春まで除雪されず、バス代行となることが多い。
駅周辺に「落合」という地名は存在しない。落合の名は、3方向から路線が合流する地となったことから名付けられた。
単式ホーム1面1線と島式ホーム1面2線、合計2面3線のホームを持つ地上駅。駅舎は木次線が使う単式ホーム側に設けられており、芸備線が使う島式ホームへは構内踏切で連絡している。開業当時は跨線橋があったが、太平洋戦争中に撤去された。 便所は男女共用の汲み取り式で新たに洋式の汲み取り式が設置された。
のりばは駅舎側から以下の通り。
1日平均の乗車人員は以下の通り。2011年以降、特記のないものは「国土数値情報 駅別乗降客数データ」による。
駅は山間部にあり、駅前から並走する国道183号線とは西城川の支流である
駅前には商店などはなく、空き家がある。かつては県道の坂道の途中には川側には美容室・新聞販売店・道後タクシーの営業所があったが、2019年10月の時点ではタクシーの営業所の建物のみが残る。タクシー営業所も無料の直通電話の設備があったが利用できない。坂道の終点であり小鳥原川を渡る橋の正面には、大きな木造2階建ての建物があるが、もともとは旅館であった。往時には深夜に到着する列車の乗り換え客が朝の列車が到着するまで仮眠を取るために使われるなど賑わったという。現在は宿泊営業はやめているが縁側にはタバコ販売の古いショーケースが置かれタバコなどを取り扱う商店として営業を続けている。
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