オレンジとレモン(原題:Oranges and Lemons)は、イギリスを中心とした英語圏の童謡であるマザー・グースの1篇で、「ロンドン橋落ちた」のように2人がアーチを作りその下を他の子供がくぐり抜ける遊び唄。
唄の概要
ロンドンの鐘づくしの唄で、イギリスでは特に好んで歌われていて、そのメロディーは長い間、BBC(英国放送協会)のインターバル・シグナルにも用いられていた。さまざまな版があり、多いものでは16の鐘が登場する唄があるが、6つの鐘が登場する唄が一般的である。
歌詞
(英語原詞・日本語訳)
起源についての説
唄の歌詞の意味やその成り立ちについて、斬首の処刑が公開されていた頃、死刑執行の合図に鐘が鳴らされていたことが、借金を返せずに首を切られるという詩に結び付いたという説がある。
唄に登場する教会
引用作品
最終節の首をチョン切るという歌詞のために、ミステリー小説・推理小説、同趣向の漫画作品や映画の題材とされる場合が多い。以下に年代順に引用例を挙げる。
- グラディス・ミッチェル著『Here Comes a Chopper』(1946年)
- 作品中、首を切り落とされた死体を扱っているのに合わせて、詩の最終節がタイトルに用いられている。
- ジョージ・オーウェル著『1984年』(1949年)
- 作品中に登場する人物が子供の頃に歌った童謡として最初の節と最終節を引用し、途中の歌詞は忘れてしまったと説明している。
- フレドリック・ブラウン著『手斧が首を切りにきた』(Here Comes a Candle)(1950年)
- 主人公は3歳半のとき、イギリス人のおじからこの童謡を教わり、それ以来ローソクを持った手がドアを開け手斧(ておの)でおそいかかられる夢にうなされるようになる。さらに6歳のとき、夢にうなされて目覚めて外に飛び出したところを警官に保護され、父親が出かけた映画館に連れられて行ったところ、そこで強盗をはたらいた父親が目の前で射殺されるところを目撃し、以後、ローソクの灯りと手斧がトラウマになる。
- 萩尾望都著『ポーの一族』(1972年 - 1976年)中の1篇「ピカデリー7時」(1975年)
- ロンドンのピカデリーサーカス近辺を舞台に殺人事件とその謎解きを扱ったミステリー風味の漫画作品。詩はロンドンらしさを演出するために引用されているもので、ストーリーには直接関係はない。また、上記の他の作品とは異なり最終節は引用されていない。
- アメリカ映画『クローゼット・ランド』(1991年)
- 逮捕された主人公の女性絵本作家に、尋問管が尋問するときに唄を不気味に口ずさみ、彼女に恐怖を与えていた。
- 藤田和日郎著『からくりサーカス』(1997年 - 2006年)
脚注
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