『Gメン✪75』(ジーメンななじゅうご)は、1975年5月24日から1982年4月3日まで毎週土曜日21:00 - 21:54にTBSで放送されていた刑事ドラマ。全355話。
映像上の題名はGMEN✪75。
本作は国際警察の秘密捜査官グループが主役のキイハンターに端を発し、探偵学校の校長とその生徒たちが主役のアイフル大作戦、探偵社メンバーが主役のバーディー大作戦と続いたTBS系土曜夜9時枠・東映製作によるアクションドラマ路線の4作目に当たる。
キイハンター、アイフル大作戦、バーディー大作戦までの3作と違い、登場人物の葛藤や悲哀、緊張感に満ちた心理描写や、社会性を強調した重厚かつ先の読めない人間ドラマをコンセプトとしたハードボイルド刑事ドラマとして製作された。路線変更の中心となったのはキイハンター以降、TBS土曜夜9時枠のアクションドラマを手掛けてきた東映のプロデューサー・近藤照男であった。近藤はもともとシリアスで社会派のハードボイルド志向が高く、単なるアクションドラマではなく重厚かつ完成度の高いドラマ性を加味した作品を作ることを目指しており、キイハンターからバーディー大作戦までは本来近藤が求める路線ではなかった。キイハンターは当初半年間(26回)放映予定のはずが、爆発的なヒットを飛ばして5年間のロングランとなり、続くアイフル大作戦もキイハンターほどではないが安定した人気と視聴率を獲得した。しかし次のバーディー大作戦が視聴率的に苦戦していたことが転機となり、バーディー大作戦の問題点を含めて、次回作の方向性などについて、スタッフと議論を重ねたという。そればかりでなく、オイルショックに伴う1970年代中期の世情不安を反映した登場人物の苦悩や悲哀、重厚かつ陰惨な社会派の人間ドラマを求められるようになったことが、本作の企画に大きく影響し、当時の世相や状況も近藤をはじめとするスタッフを奮い立てる要因となった。事実、バーディー大作戦も終盤の頃になると前半のようなコミカルタッチなエピソードはほとんど無くなり、シリアスなエピソードが連作され、作風もGメンに近いものになっていった。「75」は放送当時1975年だったため付けられた。
企画書を書いた脚本家・高久進の証言では、バーディー大作戦』終了後に残されたTBSとの契約期間(1975年5月 - 9月までの19話分)を埋める目的で本作の企画は開始しており、高久は短期間での終了を逆手にとって当時愛読していたフレデリック・フォーサイス風の企画書や脚本を執筆したところ、予想外の高視聴率を得て1975年10月以降の延長が決まるほどの人気番組になった。1970年代後半には、同じTBS系列の8時だョ!全員集合の次番組として高視聴率を獲得し、また裏番組の大江戸捜査網(テレビ東京系列)と並んで土曜21時台を代表する番組となった。
警視庁本部から独立した特別潜入捜査班 Gメン(正式部署名は警視庁Gメン本部で黒木警視(後に警視正)を本部長として、5人から6人が所属している。Gメンとのパイプ役として、警視庁側に小田切警視、南雲警視や津村冴子警部補がいる)が国内犯罪から国際犯罪まで様々な事件を解決していくハードボイルドドラマである。
Gメン設立の発端は、アメリカのシンジケート・コーザ・ノストラが絡む密輸事件に警視庁の現職警部が絡んでいたこと。警察庁は自衛と対国民PRのため警察の中の警察ともいえるスペシャリスト捜査グループ設立を計画。密輸事件を解決した捜査一課の黒木警視をはじめとする警視庁捜査員に再度試練を与え、事件を解決できたことを持って正式発令とした。
一切の個人的感情を捨てて非情な捜査に命を懸けるGメンたちの宿命や、さまざまな凶悪犯罪に虐げられる力なき市民の悲劇を、陰惨かつ悲惨に描く。
潜入捜査に始まり、沖縄米軍基地問題、交通遺児、江川事件、安楽死、成田空港問題、200海里問題、ロッキード事件など世相を絡ませた社会派の話や、些細な偶然から転落した犯罪者の話などバラエティーに富んでいたが、次第に警察官が関与する犯罪を扱うことが多くなり、不当捜査・でっち上げなど警察署内の腐敗に挑むなど、警察の中の警察というカラーが強くなっていった。また、香港を根城に置く犯罪組織との対決を描いた香港カラテシリーズに代表される海外ロケ編やアクションを前面に押し出したハードアクションシリーズ、スカイアクションシリーズ、長野県の架空の町「黒谷町」を舞台としたホラー色の強い黒谷町シリーズなどがあり、視聴者を飽きさせないイベント性も効果的に打ち出していた。
Gメンの組織もデスクワークなど警察らしい日常要素はなく、取調べも地下室の射撃場という徹底ぶりであった。題名の75は番組が開始した1975年に因んだ。
陽炎が立ちこめる中、メンバーが滑走路を横一列に歩く構図と各人のアップを映したタイトルバック(なお、この“75番滑走路”は実際には存在しない。詳しくは滑走路#滑走路の命名法を参照)、バックに流れる菊池俊輔作曲の「Gメン'75のテーマ」(後述の通り後に変更)、そして芥川隆行による、ハードボイルド Gメン'75 熱い心を強い意志で包んだ人間たちのナレーションは視聴者に強烈な印象を与えた(市販のサントラにはこのナレーションは収録されていない)。
タイトルバックで有名なシーンは、当初は羽田空港での撮影が予定されていたが、撮影許可が下りなかったため、東京都品川区八潮5丁目の道路や海上自衛隊館山航空基地の滑走路で行われた。また丹波哲郎は「この撮影で一番多かったのは木更津だった」と話している。路上の白文字は、白く塗ったベニヤ板を並べることで作られていた。
なお、本作の新番組予告編では、次のようなこの時限りのナレーションが使われ、7人が75滑走路をオープニングとは異なる衣装で談笑しながら歩行するシーンにあわせ、レギュラー出演者がそれぞれのキャッチフレーズと共に紹介されていた。
このオープニングタイトルは、当時東映の社員監督だった小林義明が演出。以後、メンバーチェンジごとに新しくオープニング映像が撮影されるとともに、75滑走路のデザインも下記の通り順次変化している。
レギュラーの役名について、女性はフルネームがオープニングなどに表示されるが、男性は名字のみ表示される。そのため、一部の男性についてはフルネームが判明していない。
放映当時、日本コロムビアではアニメソングもドラマの主題歌も同じ学芸部が担当していた。
ビデオリサーチ調べ、関東地区。
2004年3月21日発売。
同年11月21日発売。
2005年5月21日発売。
2009年1月21日発売。
2009年6月21日発売。
2009年2月18日発売。
2020年11月11日発売(全5巻)。
第355話を除くソフト化作品全80話(2020年現在)を5巻に分けて全て収録した廉価版Blu-ray。
オリジナルフィルムからデジタルリマスターした初のDVD化作品274話分を含め全355話を完全収録。全355話を毎号3話ずつ収録した隔週刊行のDVDマガジン。
2021年5月18日創刊。全119号で完結の予定。
発行デアゴスティーニ・ジャパン。
1979年1月27日、第192話は、銀行強盗をテーマにした話「土曜日にネズミを殺せ!」を放送する予定であったが、前日に大阪市住吉区の三菱銀行北畠支店(現・三菱UFJ銀行北畠支店)で猟銃立てこもり事件(三菱銀行人質事件)が発生したため、急遽放送を休止し、同事件の報道特別番組(毎日放送制作)に差し替え、翌週の放送は第192話として「バラバラ殺人事件」に変更、「土曜日にネズミを殺せ!」は日を改めて、同年3月24日に第199話として放送された。
第273話「怪談・死霊の棲む家」は、津本陽の短編小説集『南海綺譚』に収録されている『魔物の時間』を原作としている。これは黒谷町シリーズの1作目であるが、シリーズはその後人気を博し、Gメン'82を含め全11作品を数えることになる。
原田の番組降板の理由は、原田自身によれば第5話撮影中の事故による腱鞘炎治療のためとしている。一方共演者の夏木陽介によれば、原田は藤田美保子よりアップが少ないことに不満を持っており、相談を受けた夏木が、近藤照男プロデューサーに直接話したらと答え、実際にそうしたところ、アップが増えるどころか「文句がある奴は要らない」と言ってすぐにクビになってしまったためとしている。他に、前述のとおり当番組は当初、短期間での終了が予定されており、延長決定後に原田との出演契約を結んでいなかった可能性もある。なお、藤木悠もある回での演技のことを巡って近藤と口論になり、夏木自身も後年ニューカレドニアロケ(213話・214話・219話)でのプライベートの席で近藤と口論になり最終的に降板話撮影も辞退し番組を降りたと明かしている。
原田演じる関屋警部補の後釜には、後に『特捜最前線』の紅林刑事役でレギュラーとなる横光克彦が予定されており、オープニング・エンディング用の映像も撮っていたが、直前になって取り止めとなった。これは、そのオープニングシーンの撮影時とは別のネクタイを締めて撮影現場に現れた横光に近藤プロデューサーが憤慨したことが理由で、ネクタイ事件と呼ばれているという。これによりメンバーが6人になったため、105話に若林が加入するまで、オープニング・エンディング映像は丹波が中心にならずバランスが悪かった。なお、Gメンを遅れネットしていた福島テレビが1983年に発行した『福島テレビ20年史』における当番組の写真は、横光が丹波や夏木らGメン一同と共に横に並んでいる写真が使用されている。
古田刑事を演じる谷村昌彦は、シリーズを通してGメン役、Gメンに所属しない刑事役、犯人役、被害者役のすべてを演じある意味唯一グランドスラムを達成した。
海外ロケの際には、深作欣二、佐藤純彌 監督・スタッフ陣もエキストラとして出演していたことがあった。これについて丹波は「深作は演技が一番下手だったな」と述懐している。
風間刑事を演じる藤川清彦の息子でUUUM所属のYouTuberのぎこちゃんは「Gメンの息子なのでGこ(ぎこ)ちゃん」だとしている。
番組スポンサーにトヨタ自動車が含まれていたことから、番組に使われる劇用車には基本的にトヨタのクラウン、ソアラ、マークII、クレスタ、チェイサー、セリカXX、コロナなどが用いられた(後継番組のザ・サスペンスやGメン'82も同様)。
『Gメン'75』終了の半年後、放送枠を土曜夜9時から日曜夜8時に移した続編。全17話。
前作のメインメンバーに篠田三郎、清水健太郎、三浦浩一の若手刑事を加えた編成となっていたが、清水は本作終了直後の1983年に大麻取締法違反で現行犯逮捕されている。
詳しくは「Gメン'82」を参照。
警視庁幹部として本庁に籍を置く黒木警視正。秘書役に江藤香子警部補。退職目前の古田刑事を慰労するためキャップ・唐沢警部以下Gメン全員でハワイへ向かった。ハワイ島で唐沢は、失踪した妻・冴子の姿を目撃する。そんなとき、Gメン一行が宿泊する豪華リゾートホテル内で殺人事件が発生した。
Gメンを名乗っているがかつてのGメンシリーズとは異なり、近藤照男プロデューサー制作の職業ドラマ「HOTEL」と2時間ドラマ「ロス警察シリーズ」を融合させたような作風であった。プロットはGメン’75第80話「暗闇の密室殺人」を流用。ロス疑惑事件で有名になったジミー佐古田がハワイ州警察捜査官役でゲスト出演していた。オープニングやエンディングには滑走路を歩くおなじみのタイトルバックもなく、音楽も劇伴も全く新しいものに変更されていた。唯一、Gメン’75シリーズの名残が感じられるのは、黒いソフト帽に黒スーツ姿の黒木警視正登場シーンのみ。フィルム撮影ではなくビデオ撮影であった。ロケ地は、アメリカ合衆国ハワイ州オアフ島、ハワイ島であるが、ドラマ展開の大半が豪華ホテル内での出来事を描写していた。
『変装の達人!警部・鬼沢平吉のファイルE』(それぞれに特技を持ちながらもミスを犯し警察の落ちこぼれとなった刑事を集めた、黒木警察庁長官直属の捜査班が舞台)の続編で、捜査班の名称を「Gメン」に変えて制作したもの。『Gメン'75』の本放送当時の雰囲気に極力近づける配慮がなされている。
特別捜査室の刑事と骨髄移植のドナーである犯人の逃走劇の最中、彼らを射殺せんとする県警本部の黒い影が浮き彫りとなる。
名テーマ曲「Gメン’75のテーマ」(作曲:菊池俊輔)と滑走路を横並びで歩くオープニングとエンディングタイトルバックが復活。エンディングテーマは「面影」が採用され、水森かおりが歌っている。劇伴も菊池俊輔バージョンのものをアレンジして使用。フィルム撮影ではなくビデオ撮影。山岳地帯と渓谷を舞台にヘリコプターを駆使したアクション編に仕上がっている。作品のプロットはGメン’75第46話「白バイ警官連続射殺事件」をベースに、手錠のままの脱走シーンは第二話「散歩する囚人護送車」、第194話「銀嶺を行く網走脱獄囚」のシーンを再現している。キャップ・鬼沢警部の荒唐無稽な変装シーンや結城警部補の特技のトランプ投げは、Gメン’75というよりは近藤照男の出世作「キイハンター」のイメージである。作品の根底に流れる警察内部の黒い影を暴くテーマは往年のGメン’75のテイストを踏襲していた。
前作の続編であり、『Gメン'75』の本放送当時の雰囲気にさらに近づく内容になった。北海道でロケーションが行われ、当時営業休止にて閉鎖中だったザ・ウィンザーホテル洞爺が舞台となった。
肉親の遺骨を北海道の地に埋葬するため、南米某国・ペリビア共和国から来日した黒木警察庁長官の旧友の命を狙うテロリストと特別捜査室との死闘がメイン。
前作同様、おなじみのテーマ曲、OP・EDタイトルバック、アイキャッチ、劇伴音楽が再現されている。劇伴音楽は「Gメン’75ミュージックファイル」(VAP)に収録されている当時の音源を交えていた。そして今回は、往年の作品テイストのもう一つの特徴である「スケールの大きい国際規模の犯罪」が再現されている。特筆すべき点は、黒木警察庁長官(丹波哲郎)とペリビア共和国大統領顧問・カルロス寺島が17年前、国際警察本部でともに麻薬組織を追ったという点。Gメン’75続編である「Gメン'82」(1983年3月13日終了)の最終回、全員でパリのインターポール本部(国際刑事警察機構)へ派遣されたと締めくくられているラストを継承している点である。
単発の関連番組として高嶋政伸主演の『五つの顔の変装刑事・右京警部補ファイルE』、小林稔侍主演の『変装の達人!警部・鬼沢平吉のファイルE』、坂口良子主演の『軽井沢夫人』がある。いずれも警察庁長官にまで登りつめた丹波扮する黒木が出演している。
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