西日本旅客鉄道株式会社(にしにほんりょかくてつどう、英: West Japan Railway Company)は西日本を中心として旅客鉄道等を運営する日本の鉄道事業者。1987年4月1日に、国鉄分割民営化に伴い日本国有鉄道(国鉄)から大阪・天王寺・福知山・岡山・米子・広島・金沢の各鉄道管理局と新幹線総局(山陽新幹線)・九州総局(新幹線部門)が管理していた鉄道事業および船舶事業を引き継いで発足した、JRグループの旅客鉄道会社の一つ。通称はJR西日本(ジェイアールにしにほん)、英語略称はJR West。コーポレートカラーは青色。本社は大阪府大阪市北区。東京証券取引所プライム市場の上場企業。日経平均株価およびTOPIX Large70の構成銘柄の一つ。
近畿圏をはじめ、北陸、中国地方、九州北部など2府16県 に鉄道路線網を持つ。災害対策基本法における指定公共機関である。
他のJRグループ各社や大手私鉄同様に、非鉄道事業として小売業や不動産開発、ホテル事業、建設工事業などもグループ会社を含めて展開している。非鉄道事業では、瀬戸内海でフェリーや旅客船を運航しているほか、鉄道営業エリア外の首都圏、中京圏などへも進出している。
なお、福岡県を地盤とする大手私鉄の西日本鉄道(西鉄)とは関連がない。
鉄道の営業エリアは山陽新幹線の全区間、北陸新幹線の上越妙高駅 - 敦賀駅間および、近畿圏、北陸、中国地方の大部分と信越地方、福岡県の一部の在来線であり、総営業キロ数は4,897.5 km、駅数は1,150駅、社員数22,715人(JR西日本単体) と日本の鉄道事業者では、それぞれ東日本旅客鉄道(JR東日本)に次いで多い。連結売上のうち鉄道などの運輸部門は約5割を占め、残りは流通業や不動産業などの非鉄道部門である。
JR西日本は自社の鉄道路線網を新幹線、近畿圏の在来線(アーバンネットワーク)、北陸や中国地方など近畿圏以外の在来線の3つに大別している。新幹線と近畿圏の在来線で、運輸収入の約9割を占める。
近畿圏のうち、日本の三大都市圏の一つに位置づけられる京阪神地区(関西エリア)の輸送では、「私鉄王国」と称されるように阪急電鉄、阪神電気鉄道(阪神電鉄)、近畿日本鉄道(近鉄)、南海電気鉄道(南海電鉄)、京阪電気鉄道(京阪電鉄)、山陽電気鉄道(山陽電鉄)など多くの私鉄が存在し、JR西日本はこれら関西私鉄各社と競合関係にある一方で、利用距離や目的地によって棲み分けがなされ、振替輸送やフリーきっぷなどの発売、私鉄各社でのICOCA・ICOCA定期券の発売などで協調関係にある。山陽新幹線における都市間輸送では航空機と競合関係にある。山手線を中心とする首都圏の在来線ネットワークを持つJR東日本や、ドル箱路線である東海道新幹線を擁する東海旅客鉄道(JR東海)と比較すると、京阪神地区は強力な私鉄路線が並行し、山陽新幹線に関しては東海道新幹線の半分ほどの需要しかなく、さらに中国・北陸地方には在来線に多数の赤字ローカル線を抱えていることから、JR本州3社の中では経営基盤は比較的弱いとされている。ただし北海道旅客鉄道(JR北海道)、四国旅客鉄道(JR四国)、九州旅客鉄道(JR九州)のいわゆる「三島会社」と比較すると売上規模も大きく、経営は安定している。
JR西日本では発足直後から、大阪駅を中心とする近畿圏(関西エリア)の近郊路線を「アーバンネットワーク」と称して運行系統ごとに路線愛称の設定、221系電車などのJR発足当時最新型の近郊車両の導入、東海道・山陽本線(琵琶湖線・JR京都線・JR神戸線)の複々線を最大限に利用した在来線列車の増発やスピードアップ、特にJR西日本の看板列車である新快速の運行本数・区間の拡大などに取り組み、沿線人口の多い関西エリアに重点的に投資を行うことで収益力を強化してきた。また「三都物語」キャンペーンを実施し、沿線ブランドの形成を図ってきた。
現状では、利用状況と収益性の観点から山陽新幹線や北陸本線の特急と近畿圏の路線(アーバンネットワーク)を中心に設備投資しており、近畿圏の路線と地方路線ではかなり差別化している(「車両」の節を参照)。広島地区の路線(広島シティネットワーク)では2015年に山陽本線などに227系電車が投入されるまで、1987年のJR発足から約30年間新車が投入されず、岡山地区などその他の中国地方の路線では未だに国鉄時代からの車両が大半を占めている。また、近畿圏であっても国鉄時代からのドル箱路線であり、さらに直接の競合路線が存在しないことから特段の差別化を必要としなかった大阪環状線に関しては、2013年に「大阪環状線改造プロジェクト」が開始されるまで、新車導入や駅への設備投資が私鉄各線との競争が激しかったJR神戸線やJR京都線などと比べるとかなり遅れることとなった。
2008年から2012年にかけての中期経営計画 においては、「持続的発展に向けた事業戦略の推進」として「山陽新幹線の輸送サービス」と「京阪神エリアにおける線区価値の向上」を重点分野として明確に打ち出す一方、10年から15年後を見据えた「長期的視点からの経営構想の構築」におけるローカル線にかかる取り組みとして「ローカル線の設備、システムのダウンサイジング」や「〈バス、デュアル・モード・ビークル (DMV) 等への輸送モードの転換も含めた〉地域にとって最適な形の輸送サービスの提供」を経営の方向性として打ち出している。2020年8月24日には、北陸地区にある140駅のうち無人駅を2030年度にかけて114へ増やす計画を発表した。赤字ローカル線への対応策は2010年4月5日の定例会見で、当時の社長の佐々木隆之が「大変重要な経営問題」との見解を示しており、同時に「赤字ローカル線の一部を廃止し、バスに転換する方向で検討」と発表している。2018年には広島県から島根県をかけて走る三江線 (108.1 km) が廃止となった。JR発足後、路線距離が100kmを超える鉄道路線の全線廃止は本州では初の事例である。また、2022年4月11日にJR西日本はローカル線の線区別収支を公表し、「地域のまちづくりや線区の特性・移動ニーズをふまえて、鉄道の上下分離等を含めた地域旅客運送サービスの確保に関する議論や検討を幅広く行いたい」としている。
昨今の労働力人口の減少からJR西日本は保線要員の不足という課題を抱えており、1日あたりの作業時間を増やして休日を確保しやすくするため、2021年春のダイヤ改正で大阪環状線など近畿圏で終電発着時刻を繰り上げ、列車運行本数を約50本削減した。
バスについては、ソフトバンクグループなどと連携して、自動運転BRTの開発に取り組む計画を表明している。
他のJR各社や大手私鉄と同様に、グループ内に多くの非鉄道事業を抱えている。主力である鉄道や同じ旅客輸送であるバス・船舶などの交通事業に加えて、大阪駅の大阪ステーションシティを始めとするターミナル駅での駅ビルを含む複合商業施設・ショッピングセンター (SC) やオフィスビルの開発・運営、関西や首都圏でのマンションなどの不動産開発、ホテル業、三越伊勢丹と共同でジェイアール西日本伊勢丹を設立して京都駅のジェイアール京都伊勢丹などで展開している百貨店事業や物販・飲食業などの小売業、他にもベンチャーキャピタルなどを営む多くのグループ企業を擁しており、経営指針として鉄道事業を基幹に非鉄道事業の強化・グループ内売上割合の増加を目指している。また、地方路線の沿線地域振興・魅力発信による交流人口・関係人口の拡大を目指し、魚介類の養殖や販売などの第一次産業にも参入している。
また、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、テレワークやワーケーションなどによる地方への移住に着目し、東京都に本社を置く不動産ベンチャー企業の「アドレス」と長崎市に本社を置く不動産ベンチャー企業「Kabuk Style」と提携し、移動手段となる同社エリアの新幹線利用を含む乗車券や駅レンタカーの利用料金をセットにした定住サブスクリプションサービス「JR西日本×住まいサブスク」サービスの実証実験を開始している。また、湖西線沿線の滋賀県高島市、山陰本線(嵯峨野線)沿線の京都府南丹市、福知山線(JR宝塚線)沿線の兵庫県丹波篠山市の3自治体と連携し、自治体からの支援金や特急列車に一定回数まで定額で乗車できるなどのサービスを組み合わせた「「JR西日本×沿線自治体」共同プロジェクト おためし地方暮らし」を実施している。
都市間広域輸送は主に山陽新幹線と北陸新幹線が担っており、在来線特急列車と京阪神地区での新快速ないし各種快速列車がそれを補完するような形態となっている。
山陽新幹線では「のぞみ」「ひかり」「こだま」が新大阪駅、新神戸駅、岡山駅、広島駅、小倉駅、博多駅の各都市間の輸送を担っており、「のぞみ」を中心に東海道新幹線への直通運転も行っている。また、一部の列車は博多南線へ乗り入れている。
加えて、新大阪駅と九州新幹線の鹿児島中央駅との間で直通運転も行っている。列車の種類が東海道新幹線と比べて多く、速達タイプの「のぞみ」「みずほ」、準速達タイプの「ひかり」「さくら」、各駅停車の「こだま」が運行されている。
東海道新幹線や九州新幹線と直通運転を行う列車については、それぞれ主に新大阪駅、博多駅で乗務員(運転士と車掌)の交代を行う。
リニア中央新幹線の大阪開業を見据え、九州方面との直通列車増発に向けた対策として線路容量に余裕のない新大阪駅に地下ホームを追加し、ここに北陸新幹線も乗り入れて直通運転する計画案が検討されている。
東京駅 - 敦賀駅間を結ぶ北陸新幹線のうち、上越妙高駅 - 敦賀駅間がJR西日本の管轄区間となっている。北陸新幹線では、速達タイプの「かがやき」、準速達タイプの「はくたか」、富山駅 - 敦賀駅間の区間列車である「つるぎ」が運行されている。なお、JR西日本の乗務員(運転士と車掌)は、富山駅 - 長野駅間無停車列車の場合は、北陸新幹線のうちJR東日本の管轄区間である長野駅まで越境乗務している。
大阪駅、新大阪駅、京都駅を拠点とした都市間輸送を行っている。大阪駅 - 敦賀駅間では特急「サンダーバード」を運行している。北近畿方面には、新大阪駅からは特急「こうのとり」「はまかぜ」、京都駅からは特急「はしだて」「まいづる」「きのさき」を運行している。京都駅発着の関西空港・南紀方面の特急「はるか」「くろしお」については、新大阪駅から梅田貨物線および大阪駅(うめきたエリア)地下ホームを経由し、大阪環状線に入って天王寺駅方面へ直通する。
京阪神や山陽地方と山陰地方を結ぶ陰陽連絡列車として、大阪駅発着の特急「はまかぜ」に加え、智頭急行線を経由する京都駅発着の特急「スーパーはくと」、岡山駅発着の「スーパーいなば」、伯備線を経由する岡山駅発着の特急「やくも」、山口線を経由する新山口駅発着の特急「スーパーおき」を運行している。山陰本線内の列車としては鳥取駅 - 米子駅・益田駅間に特急「スーパーまつかぜ」を運行している。
JR他社間では、JR東海エリアとの列車として、敦賀駅 - 名古屋駅間に特急「しらさぎ」、大阪駅 - 高山駅間に特急「ひだ」、紀伊勝浦駅 - 名古屋駅間に特急「南紀」、JR四国エリアとの列車として、岡山駅 - 松山駅間に特急「しおかぜ」、岡山駅 - 高知駅間に特急「南風」、岡山駅 - 徳島駅間に特急「うずしお」、夜行列車としてはJR東日本エリアからJR東海エリア、自社エリアを経由してJR四国エリアを結ぶ、東京駅 - 高松駅間の寝台特急「サンライズ瀬戸」、JR東日本からJR東海エリアを経て自社エリアの山陰地方を結ぶ東京駅 - 出雲市駅間の寝台特急「サンライズ出雲」がそれぞれ運行されている。
JR西日本の発足後、京阪神エリア(アーバンネットワーク)を中心にした体系に改められており、普通列車もそれに準じて運行されている。
京阪神地区の東海道・山陽本線では草津駅 - 西明石駅間の複々線を最大限に利用して新快速、快速、普通列車が増発・運行されている。新快速については網干駅や播州赤穂駅発着の列車は姫路駅までが各駅停車、快速についても複々線の西明石駅 - 京都駅(朝ラッシュ時以外は西明石駅 - 高槻駅)間を除いた区間が各駅停車となり、これらの各駅停車区間は普通列車として運行されている。また、天王寺駅からの関西国際空港アクセス列車として「関空快速」、都市間輸送においての快速では、奈良方面発着は「大和路快速」、和歌山方面発着列車は「紀州路快速」が運行され、さらに福知山線の快速列車として「丹波路快速」が、奈良線の快速列車として「みやこ路快速」が運行されている。
京阪神地区以外では、広島市、岡山市、松江市、米子市、金沢市、下関市といった主要都市近郊区間で普通列車を中心に運行している。
1995年1月17日に発生した阪神・淡路大震災では大きな被害を受けた。
在来線では本線上で列車が8本脱線したほか、東海道本線(JR神戸線)六甲道駅を中心に高架橋や柱に大きな被害を受け、新長田駅付近の盛土が崩壊して駅設備が壊滅した。新幹線では、始発列車の前に地震が発生したため脱線などの被害はなかったが、橋脚が大きく損壊したり、高架橋が崩落したりするなど大きな被害を受けた。
在来線は同年4月1日に、山陽新幹線は同年4月8日に全線復旧した。
2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)によって車両部品の調達にめどが立たず、列車の運転に影響が出た。電車の電動機(モーター)に使用している車両部品を製造するメーカーが被災して製造の見通しが立たず、最終加工工場も福島第一原子力発電所の避難区域内に位置しているため操業することができない事態が生じた。部品の調達ができず、使用できない車両が早くても2011年4月下旬に発生する恐れがあることから、2011年4月から間引き運転を実施すると発表した。
2011年4月2日から特急列車への増結中止および臨時列車の運転も取り止められ、金沢・和歌山・福知山・岡山・広島エリアでは普通列車の運転が一部取り止められた。その後、部品調達の見通しが立ったことから4月8日から通常ダイヤに戻し、京阪神地区での間引き運転は見送られることになった。
2013年8月、尼崎労働基準監督署は、最長で月254時間残業し、2012年10月に過労自殺した社員の男性について労災を認定した。なお、2013年10月に遺族がJR西日本に対し1億9千万円の損害賠償を求め、大阪地方裁判所に提訴し、約1億円の支払いが命じられた。
2017年12月11日、山陽新幹線と東海道新幹線を直通運行していたJR西日本所有車両による「のぞみ34号」の台車に亀裂が生じていることが名古屋駅で発見されるという重大インシデントが発生した。その後の一年間でJR西日本が実施・表明した安全向上策として、新幹線の安全運行を担う「走行管理班」を復活させ、保守・検査部門を拡充した。さらに振動などから異常を検知する装置の新幹線車両への取り付けを進めるとした。
2018年7月5日から8日にかけての平成30年7月豪雨により、中国地方を中心に多くの路線が被災した。最後まで復旧工事が行われていた芸備線の中三田駅 - 狩留家駅間が2019年10月23日に運転を再開し、被災路線全てが復旧した。
2023年1月24日-25日、大雪のため、琵琶湖線・JR京都線山科駅 - 高槻駅間で21か所にポイントの故障が発生し、同区間で新快速など列車15本が立ち往生。混雑した車内で一夜を過ごす事態となり、体調不良を訴えた乗客16人が救急搬送された。ポイント故障が多発した要因として、同社が提携していた気象会社のデータに基づき京都エリアの降雪量を「6時間で8センチ」と予測。融雪器を点火させる同社近畿統括本部基準の10センチに満たないために稼働させなかった。この結果、予想を上回る積雪量と気温の低下で降雪量の見積もりを誤る形となり、ポイントの凍結による故障が続発し「列車の駅間停車」(立ち往生)の続出に繋がる形となった。西大路駅に停車していた特急「サンダーバード」の車内では、係員の対応について、「ただいま降りていただく際には、恐れ入りますが自己責任でのご案内となります。JRによるホテルの案内はございません。お客様ご自身でこの後の行動をされる場合は降車のご案内があります」という案内に杜撰な対応だと不満をあらわにする乗客もいた。そのほか、山陽本線上郡駅の東約200メートルで停止していた列車の車掌が直接119番通報をし、乗客の避難誘導を行った。
JR西日本の後日の調査・検証では、当日は近畿総合指令所に輸送対策室は設置されていたものの、前出の気象予測のみに依存した事で災害対応に当たる「対策本部」の設置が必要ないと同社が当初判断していたことも判明しており、対策本部は「列車の駅間停車」が発生し始めた24日の22時25分にようやく設置される有様であり、指揮系統の混乱の一因となった。また、最終的な乗客の降車対応が完了したのは、翌25日明け方の5時30分(京都駅 - 山科駅間で立ち往生した上り普通1820M列車)となっており、車掌が運転再開見込みを案内できずお詫びと車内待機をお願いする放送を繰り返し、乗客に適切な対応を取れなかった件に関しては、指揮系統下にある管理職が個別対応に追われ、輸送対策室が対応能力を超える状況に至り、適切に情報の集約整理及び発信が行われなかったことが要因とされた。加えて多くの自治体からの支援があったものの、JR西側から自治体に支援を要請する余裕がなかった。乗客を車内に留めた要因としては「夜間と降積雪で足元が悪いこともあり」避難路となる階段の凍結などでリスクが大きいと判断したことにあった。
同年2月17日、JR西日本は国土交通省近畿運輸局に再発防止策をまとめた報告書を提出した。車内に長時間乗客が残され降車が遅れた件に関しては「事態の解消に時間を要すると認識せず、乗客が車内で待つリスクの見積もりが甘かった」と総括した。再発防止策として装置の稼働基準を「(気温が)0度以下かつ降雪が見込まれる場合」と修正。装置も遠隔操作が可能で、手動式に比べて迅速に対応できる「電気式」に更新する。駅間で立ち往生が起きた際は60分以内に降車の要否を判断することも盛り込んだ。今回の事態の引責として同日、長谷川一明社長ら幹部3人が役員報酬の5割を1カ月自主返上すること、同年3月1日付で近畿統括本部近畿総合指令所長が近畿統括本部付に異動(事実上の更迭)することを発表した。
今回の事態を受けて斉藤鉄夫国土交通大臣は2月17日付で、全国の鉄道事業者に再発防止に向けた対応を徹底するよう通達を出したと明らかにした。気象庁が「10年に1度」などの注意を呼びかける予報を出した場合、前倒しで対策本部を設置し、長時間の停車で車内環境が悪化する恐れがある場合には、一定時間を目安に希望者の降車を誘導することを求めた。宿泊施設を用意する自治体などとの協力強化、訓練実施も盛り込んだ。
2023年11月22日、特急はるかのトイレにカメラを設置したとして、車掌の男性を性的姿態撮影処罰法違反の疑いで逮捕、送検された。10月中旬に、大阪府内の同社施設の職員用トイレに同様のカメラが設置されているのを発見した職員が大阪府警に通報し、発覚した。
名称・所在地は公式サイトによる。
2006年6月22日まで山陽新幹線は並行する在来線と同じ支社に属していたが、同年6月23日付で広島新幹線運転所の検修部門と岡山新幹線運転所を、博多総合車両所所属とする組織変更が実施された。
2007年7月1日付で、新幹線の現業機関を統括する組織として新幹線管理本部を新設した。これまで各支社に分散していた車両管理や施設保守など駅業務を除く新幹線関係の業務を一元管理するとともに、新幹線固有の技術力の維持向上を図るのが狙い。これに伴い、福岡支社は同管理本部の地方機関と位置付けられ、山陽新幹線小倉駅および博多駅の運転や設備管理、サービスなど駅業務全般を行うほか、九州エリアにおける同社の対外的な窓口としての機能も担う。
さらに2018年6月1日付で、本社鉄道本部の各部署の新幹線部門を統合した上で新幹線管理本部を組み込み、本社鉄道本部の内部組織である新幹線鉄道事業本部へと改組した。
2022年10月に、新型コロナウィルス感染症流行による収支悪化に伴うコスト構造改革の取り組みとして、本社・支社の再編が行われた。具体的には、新幹線鉄道事業本部は本社鉄道本部下の新幹線本部と地方組織の山陽新幹線統括本部に分け、近畿エリアの和歌山支社、福知山支社を近畿統括本部に、中国エリアの広島支社、岡山支社、米子支社を中国統括本部にそれぞれ統合した。近畿統括本部、中国統括本部のいずれとも、支社内全ての部門を統合するのではなく、人事や総務といった部門を統合し、他は支社内に残した。 一方、瀬戸内市が「統合によって地域の声が届きにくくなる恐れもある。どんな影響が出てくるのか注視したい」と表明するなど沿線自治体からは、中国統括本部への統合による懸念の声が出ている。
京都・大阪・神戸の3つの支社が2010年12月に統合されて発足。2022年10月に和歌山・福知山支社も統合し、和歌山以外の各支社の名称変更。
岡山・米子・広島の3つの支社が2022年10月に統合されて発足。
山陽新幹線統括本部は2022年10月設置。
JR福知山線脱線事故を教訓に設立した同社の研究機関で、大阪支社庁舎内に研究所がある。ヒューマンファクターの視点を中心に、社内での様々な事故やトラブルの背景要因を分析し、安全の確保を一層の強化を図る目的により、2006年6月23日に設立した。人的ミスの要因や人間の心理に迫る「ヒューマンファクター研究室」、安全対策への評価手法や安全管理体制を研究する「安全マネジメント研究室」、ハードウエア面での改善を研究する「保安システム研究室」を開設し、大学や鉄道総合技術研究所(鉄道総研)など社外の研究機関、同業他社との連携により研究を行っている。
その研究成果は社外からも注目されており、社内用の教材の冊子が他社でも採用されたほか、マスコミでも度々取り上げられている。
駅業務は、他のJR各社と同様に直営駅(管理駅・被管理駅)と小規模駅を中心に業務委託・簡易委託とに分かれており、JR西日本では、業務委託駅と一部の簡易委託駅は子会社の株式会社JR西日本交通サービスや株式会社JR西日本中国交通サービス(宮島口駅のフェリー乗り場と宮島駅はJR西日本中国メンテック)に委託されている。また、地方自治体を通じて旧国鉄職員などに簡易委託されている駅もある。この場合、京阪神エリアと地方の一部の小規模駅にもマルス端末が設置され、直営駅同様にきっぷが購入できるようになっているが、払戻しやJR西日本インターネット予約「e5489」やJR東海・西日本エクスプレス予約のきっぷの受け取りに制限がある駅もある。これとは別に地方の小規模駅を中心にマルス端末が未設置の駅もあり、指定席を伴うきっぷについては、大阪指定席計画(指定席管理箇所)から中継発券を行い料金補充券にて手書き発券を行っている。また、今後、団塊世代の大量退職が懸念されることから、直営駅を中心にみどりの窓口営業時間の短縮、一部の駅では昼間時間帯を中心に窓口を一時休止または廃止し、代替処置として一時休止駅を中心に指定席券売機「みどりの券売機」の設置、みどりの窓口廃止駅には「みどりの券売機プラス」や「みどりの券売機」を導入して人件費を抑制している。
かつては、事業地域外の東京都内や愛知県名古屋市内のオフィスビルなどにも自社の営業窓口「TiS」が存在したが、グループの旅行会社である日本旅行に移管された。
2023年4月1日現在。
ラインカラーおよび路線記号は「日本の鉄道ラインカラー一覧」を参照。
JR西日本が直営していた鉄道連絡船。現在も運航しているJR系で唯一の国内航路。2009年4月1日にJR西日本宮島フェリーに移管。
JR北海道以外の全てのJR他社との境界駅がある。また、JR西日本はJRグループ各社の中で境界駅が最も多い。
本節内において、アーバンネットワーク内の路線名に関しては正式名称(愛称)の形式で表記する。
○印側の事業者が管轄している。
いずれも各社が自社線部分を管轄する共同使用駅である。
ダイヤ改正は3月に実施することが多く、他のJR各社に合わせて実施される。2000年代半ばまでは3月のほかに、地域単位で独自にダイヤ改正を実施することもあった。
JR西日本発足以降に同社の路線で運行されている、もしくはかつて運行されていた愛称付きの列車を挙げる(2024年3月16日改正時点。廃止列車は廃止時点)。種別が変更された列車は変更後のもので記載し、他社の車両による運行のものはその会社名も記載する。詳細は各列車の記事を参照。
2023年4月現在の保有車両数は6,485両で、内訳は次の通り。
山陽新幹線や京阪神発着の特急列車(北陸本線、紀勢本線、山陰地区)、近畿圏の在来線である「アーバンネットワーク」エリアでは列車の増発やスピードアップに対応した新型車両を積極的に導入している。山陽新幹線では500系電車を開発して日本国内初の300km/h営業運転を行い、東海道・山陽本線では、新快速・快速に221系電車が導入されて以降は、普通・快速用車両に積極的に新型車両が導入されてきた。在来線車両は、221系電車が新設計された際に打ち出された「明るく静かで快適な車両」または「明るく静かで快適な乗り心地」というコンセプトによって製造されている。このように、アーバンネットワークでの新車投入を優先したことから在来線特急列車の新造投入は1992年(681系)と、JR6社の中で最も遅い。
アーバンネットワーク以外の中国・北陸地域では、他社との競合路線があまりない上、厳しい経営環境を反映して、国鉄から承継した103系・201系・105系・113系・115系・457系の各電車やキハ40系気動車などの車両に40年から50年程度の使用を見据えた延命工事や観光列車化改造を施して使用している例が多い。JR西日本が投入した新製一般型車両で地元負担を伴わない(JR西日本独自の判断で導入した)車両は非電化ローカル線の体質改善用に1991年から1995年にかけて管内ほぼ全域に投入されたキハ120形気動車(89両)と、瀬戸大橋線の快速「マリンライナー」用として2003年に岡山地区に投入された223系5000番台(14両) の2系列103両にとどまっており、例えば広島市は人口100万人を超える政令指定都市であるにもかかわらず、広島地区(広島シティネットワーク)では国鉄民営化以降2015年に新型車両(227系)が投入されるまで国鉄時代からの車両で占められていた。同様に政令指定都市である岡山市がある岡山地区は快速「マリンライナー」を除き、ほぼ全て国鉄車両であるが、2023年から227系に置き換える予定であり、最後の国鉄型電車特急となった伯備線の「やくも」の381系も2024年春から273系に置き換える予定である。一般形気動車については約6割が国鉄時代に製造されたキハ40系列を占めており、先述のキハ120形を除くと、2000年から2003年にかけて山陰地区に投入されたキハ121・126系と2008年・2009年に姫新線向けに投入されたキハ122・127系の2例しかなく、JR東日本やJR九州と異なり、蓄電池式電車の導入計画もない。
2010年代以降はアーバンネットワークでの車両新造投入が一通り完了した一方で、他地区では車両の老朽化が著しくなったため、北陸地区の419系・475系・457系・415系置き換えを目的に配備された521系(2009年以降配備の2次車・3次車の98両、2020年以降配備の七尾線向け30両)、広島地区の115系置き換えを目的に配備された227系(2014年以降の5年間で276両投入)など、JR西日本の経営判断に基づく地方線区向けの新製車両も登場している。
また、京阪神地区でも一部で国鉄車両が残存しており、大和路線(関西本線)・奈良線・加古川線・播但線では2023年6月時点でも国鉄車両が運行されている。福知山線では2015年まで、大阪環状線・桜島線では2019年まで、阪和線では2020年3月、おおさか東線では2022年3月、草津線・湖西線では2023年4月まで国鉄車両が運行されていた。大和路線の国鉄車両201系は221系への置き換えにより2024年度までに運行を終了する予定である。
かつてはJR旅客6社で唯一、自社が保有する営業車両が他のJR旅客5社すべてに乗り入れている会社であったが、2015年に臨時寝台特急「トワイライトエクスプレス」が廃止されたため、JR北海道への乗り入れはなくなった。その他4社へはその後もJR西日本が保有する営業車両が乗り入れている。他社エリアの都道府県では、東海道新幹線および在来線で岐阜県、愛知県、静岡県、神奈川県、東京都に、在来線で香川県に、北陸・九州新幹線でさらに群馬県、埼玉県、佐賀県、熊本県、鹿児島県に乗り入れている。JR旅客6社の中で自社車両が乗り入れる他社エリアの都道府県の数はJR西日本が最も多い。
車両は大部分が近畿車輛と川崎重工業にて製造されており、一部に日本車輌製造、日立製作所、新潟トランシス 製が存在する。電車の制御装置は三菱電機、東芝製が大多数を占め、一部に日立製作所、東洋電機製造製のものが存在する。気動車のエンジンは小松製作所のSA6D125系・SA6D140系を標準としている。なお、JR西日本では電車の制御装置や台車には社内形式が存在するものの、ディーゼルエンジンに社内形式を付与していない。
また、他のJRグループと共同で車両開発することも多く、JR東海とは東海道・山陽新幹線用700系・N700系および寝台特急用の285系を、JR九州とは九州新幹線直通用のN700系を、JR東日本とは北陸新幹線用のW7系(E7系)をそれぞれ開発している。
マスター・コントローラーは221系以降、関西の私鉄・地下鉄と同様の横軸ツインレバー式を採用している。新幹線500系もこの方式を踏襲しており、新幹線電車では唯一の事例となっている。
221系以来、在来線車両の所属表記は妻面に記される(新幹線車両と同じ)のが通例であったが、521系3次車・227系以降は国鉄時代や他のJR旅客会社と同じように側面に記されるようになり、207系は体質改善工事で所属表記の位置を移動している。
2009年からは経費削減対策の一環として、それまで地域・路線ごとに異なっていた鋼製一般型車両の車体色を単色に変更しており、電車は瀬戸内地区が黄色、京都・北近畿地区が深緑色、和歌山地区が青緑色、北陸地区が青色、七尾線が茜色の単色にそれぞれ変更された。また、気動車は一部を除き全地域朱色5号で統一されており、JR発足後に登場したキハ120形200番台も朱色5号に塗装変更されている。
JR西日本管内の路線で高速化・電化事業を行う場合、受益者負担の一環として、高速化・電化に対応した新型車両の購入費用を地元自治体からの融資で導入しており、運用区間は原則負担した自治体内あるいは自治体の受益にかなう範囲内に限定されるなどの特徴がある。このような形で整備された車両には以下のものがある(※印の車両は自治体からJRへの無利子貸し付けにより整備された車両)。
さらに、既存車両の設備改善においても、延命措置に伴うリニューアル以上の設備改善を行う場合に同様のスキームを適用している事例がある(和歌山県内で走行する105系への車いす対応トイレの新設、広島・山口地区向け観光列車に使用するキハ47形7000番台の改造費用など)。これは、管内の自治体の間でJRに対する支援を積極的に行うか否かでサービス格差を生じさせる結果となり、さらには経営判断に基づき自社負担で新造車両を多く導入しているアーバンネットワークを含めてサービス格差が生じている。
地元自治体の負担で投入された車両はキハ122系・キハ127系気動車が最後であり、これ以降の新型車両はJR西日本の自己負担で導入されている。
JR西日本では1993年12月20日に、新世代の車体傾斜式車両として「WEST-21」構想を発表した。これは、1両の車体長を従来車の半分の10mに、車体の高さを50cm低くして、連接台車ながら車輪は1軸として蛇のようにクネクネと動く車両を開発し、最高速度を120km/hから130km/hへの向上を目指すというもので、6年後を目処に伯備線や紀勢本線で運転を開始するとしていた(タルゴも参照)。
その後、JR西日本からの「WEST-21」構想に関する動向の発表はなく、紀勢本線で「くろしお」に運用されている381系(自然振り子式車両)の置き換え用としては、低重心構造ながら車体傾斜機能をもたない287系が導入されることになり、上述の新世代車両の導入には至っていない。
JR西日本は、国鉄時代に開館された蒸気機関車 (SL) の動態保存施設である梅小路蒸気機関車館(現在の京都鉄道博物館)を引き継ぐとともに、山口線をはじめとして、自社内や走行可能な蒸気機関車を保有していないJR東海・四国での蒸気機関車保存運転や、蒸気機関車を復活させたJR各社の運転士(機関士)の養成も請け負っている。
JR西日本では、地域行事にあわせた臨時列車の設定や観光列車の運行、新駅開業、新車導入など地域のニーズに即したサービスを円滑に行うこと、地域の要望に沿った列車ダイヤ作成を目的に地方交通線を中心に鉄道部を設置している。1995年以降にはこの方針を幹線にも応用した地域鉄道部も設置している。各鉄道部・地域鉄道部によりその形態は様々に異なる。
なお、2004年以降は安全面に対する設備投資が抑制されてきたこと、いわゆる団塊世代の退職による技術力の低下が懸念されてきたことから、鉄道部制度の見直しに着手した。
大人普通旅客運賃(小児半額・10円未満の端数切り下げ)。2019年(令和元年)10月1日改定。
130円(小児は60円)
2020年度は データで見るJR西日本 より。それ以外は 大阪府統計年鑑、京都府統計年鑑、兵庫県統計書、広島県統計年鑑、岡山県統計年報 より。
は、右欄の乗車人員と比較して増()、減()を表す。
2010年度までは京都駅、新大阪駅、北新地駅など一部の駅を除いて全体的に減少傾向にあり、2000年度と比較しても乗車人員が減少している。特に鶴橋駅は減少傾向が顕著であり、10年間で乗車人員が2割以上減少した。
2015年度は全体的に増加傾向となり、上位10駅では全駅で5年前よりも増加している。京都駅はここ20年で増加傾向が続き、2015年度に乗車人員が20万人を超えた。岡山駅は2014年度に新今宮駅を上回ってベスト10入りを果たし、2015年度は高槻駅を上回った。
2020年度は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行の影響により、全駅で5年前を大きく下回る数値を記録した。
2021年度の1日平均の運輸取扱収入額は以下のとおりであった。
JR西日本グループの企業、グループ外だがJR西日本も出資している企業、関連団体は以下の通り。
2021年3月31日現在、JR西日本には5つの労働組合がある。下記表のカッコ内は略称。
組合員数が最大の労働組合は西日本旅客鉄道労働組合である。
各労働組合のうち、西日本旅客鉄道労働組合、国鉄労働組合西日本本部、JR西日本労働組合および全日本建設交運一般労働組合西日本鉄道本部は、会社との間で労働協約を締結している。
このほか、Jリーグ所属のガンバ大阪・セレッソ大阪・京都サンガF.C.・ファジアーノ岡山・ガイナーレ鳥取・サンフレッチェ広島F.C・レノファ山口FCにもオフィシャルパートナーとして出資している。かつてはアビスパ福岡にも出資していた。
1959年(昭和34年)に創設された大阪鉄道管理局音楽隊を前身とする、JR西日本と関連会社の社員、およびOB・OGで構成されるバンドである。国鉄分割民営化により解散したが、1987年(昭和62年)10月1日、現在の名称で再発足した。
西日本管内にとどまらず、他のJRグループ管内でもテレビCMを放送している。かつては、全国ネットの提供番組を含め、大規模に行われていたが、福知山線脱線事故後、長期にわたって広報活動を自粛したため、制作されながら一度も放映されなかったテレビCMも存在する。サウンドロゴは、発足時からのものを何度かアレンジして流していた。現在のサウンドロゴは、2005年の初めに作られた。福知山線脱線事故の影響で、その後一時省略されていたが、2014年秋頃からサウンドロゴが徐々に復活している。広告に使われる同社ロゴマークのうち、旅行関係の広告に使われるロゴは、通常のJRマークの下に「JR西日本」と入ったものではなく、JRマークが入っていない「JR西日本」だけのものもある。
九州新幹線開業後は、自社エリアでのCMは山陽・九州新幹線の利用促進を目的としたものが多くなり、DISCOVER WESTにみられるような自社エリアへの旅客誘致CMは首都圏や東海圏での放送が中心となっている(ただし、首都圏向けについては北陸新幹線開業後は2種を並行展開している)。
※印のものはテレビでは一度も放映されなかったもの。
2018年4月現在。テレビは関西地区ではスポンサークレジットを出していない。中国地区では下記以外の一社提供番組や複数社提供番組のスポンサーとなった際に、クレジットを出している。
過去
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