福島第一原子力発電所事故の影響(ふくしまだいいちげんしりょくはつでんしょじこのえいきょう)では、2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震を端緒に発生した福島第一原子力発電所事故に起因する、放射性物質による環境・食品・人体への影響、社会的・経済的影響、住民の避難および風評被害について詳述する。
福島第一原子力発電所事故(以下「原子力発電所」は一般に「原発」という)により大気中に放出された放射性物質の量は、ヨウ素131と、ヨウ素131に換算したセシウム137の合計として、約90京(900ペタ)ベクレル(Bq) と推算されている。日本国内では食品・水道水、大気・海水・土壌等から事故由来の放射性物質が検出され、住民の避難、作付制限、飲料水・食品に対する暫定規制値の設定や出荷制限といった施策が採られた。原子炉の停止、放射性物質検出の情報、施策および施策への懐疑的見方は、風評被害、人体の健康に関する論争、市民活動、経済への影響など多岐にわたる影響を及ぼした。
本記事では、その影響度や規制内容が多岐にわたるため、全体として重要と思われるもののみを記載した。また、実際に行われた判断、措置、報道された主張を妥当性の如何にかかわらず記載した。よって読者は、本項目に記載された内容が影響や規制対象の全てではないこと、相対的ないし確定的なデータに基づかない判断および措置、客観性を欠く主張、矛盾をきたす表現を含むことに留意する必要がある。
2011年3月17日、厚生労働省は食品衛生法上の暫定規制値を発表し、規制値を上回る食品が販売されないよう対応することとして、各自治体に通知した。
内閣官房長官枝野幸男は、3月21日の記者会見で「今回の出荷制限の対象品目を摂取し続けたからといって、直ちに健康に影響を及ぼすものではありません」、「仮に日本人の平均摂取量で1年間摂取した場合の放射線量は牛乳でCTスキャン1回分、ホウレンソウでCTスキャン1回分の5分の1」と述べ、冷静な対応を求めた。
福島第一原発事故を含む大規模な原子力事故は、広範囲に放射性降下物による放射能汚染を生じさせる。
2011年3月23日、文部科学省は、福島第一原発から北西に約40km離れた福島県飯舘村で採取した土壌から、放射性ヨウ素が117万Bq/kg、セシウム137が16万3,000Bq/kg検出されたと発表した。チェルノブイリ原子力発電所事故では55万Bq/m²以上のセシウムが検出された地域は強制移住の対象となったが、京都大学原子炉実験所(現・京都大学複合原子力科学研究所)の今中哲二によると、飯舘村では約326万Bq/m²検出されている。
3月31日、国際原子力機関 (IAEA) は、福島第一原発の北西約40kmにある避難区域外の福島県飯舘村の土壌から、修正値で10倍の20MBq/m²のヨウ素131を検出したと発表した。
5月の東京都内各地の一日単位の平均値は、東京都健康安全センターが地上18mでおこなっている環境放射線量測定によると、0.068μSv/h〜0.062μSv/hであった。5月5日から5月25日まで日本共産党東京都議会議員団が地表1mで測定した結果では、同程度の濃度だった地域は大田区、杉並区、町田市など、都内全域で見るとごく限られた範囲であった。比較的高い地域は、青梅市・あきる野市・練馬区が0.09μSv/h台、江戸川区〜江東区の東京湾岸地域が0.1μSv/h台、最も高い地域が足立区〜葛飾区で0.2μSv/h台〜0.3μSv/h台であった。また、新宿区内約3.5kmという限られた範囲内の測定でも、0.066μSv/h〜0.116μSv/hと大きな開きがあり、狭い範囲でもバラつきがみられた。東京都の5月の調査によって、東京都大田区にある下水処理施設の汚泥の焼却灰から10,540Bq/kgの放射性セシウムが検出された。
日本政府の原子力規制委員会は事故後、福島県内の小学校などに放射線量計(モニタリングポスト)を約3000台設置し、年間6億円の維持費を支出している。放射性降下物の除染進展や線量計の耐用年数が近いことから、規制委は線量が比較的低い地域にある約2400台を撤去する方針を一時掲げたが、住民の反発が大きく、2019年に撤回した。
福島第一原発から遠く離れた地点でも、ホットスポットと呼ばれる点在する汚染地域が確認されている。
2011年3月21日、東京電力が福島第一原発南放水口付近の海水を調査した結果、安全基準値を大きく超える放射性物質が検出されたことが明らかとなった。22日には、原発から16km離れた地点の海水からも安全基準の16.4倍の放射性物質が検出された。
福島第一原発では汚染水が発生し続けており、敷地内に建設されたタンクで100万トン以上(2019年時点)が保管されている。多種の放射性物質が除去されているが、トリチウムは分離できないためである。国内外の他の原発では、トリチウムを含んだ水を海に流しているが、福島第一原発の汚染水については、漁業者などが海洋放出に反対している。全国漁業協同組合連合会は反対理由を、安心面で「事故を起こした炉心に触れた水は、他の原発の水と違う」と説明している。
2020年2月25日、政府の原子力災害対策本部は、福島県沖で漁獲される魚介類の出荷制限を全て解除した(最後まで規制対象だったのはエイの一種であるコモンカスベ)。
2023年8月、トリチウムを含んだ処理水が処理として海洋放出された。
2011年7月、福島県南相馬市で飼育されていた牛が(汚染された飼料によって)放射性セシウムに二次汚染され、その牛肉が検査を受けないまま出荷流通し、東京、神奈川、静岡など10都道府県に放射能に汚染されたまま消費されていた。東京・府中市内の食肉処理業者が仕入れた牛肉は3400ベクレル、静岡市内の食肉加工業者が購入した肩ロースは1998ベクレルの放射性セシウムが検出された。この問題で、放射線防護学が専門の野口邦和・日本大学専任講師は、妊婦や子供が1、2回食べたところで問題はないが、県は農家に対して飼料の管理を徹底するように指導すべきだとコメントした。
農林水産省は2011年4月、「避難区域」「計画的避難区域」「緊急時避難準備区域」を2011年度(平成23年度)の稲の作付制限区域に指定した。2011年10月12日に完了した福島県における作付け制限区域以外の米(玄米)の本調査では、放射性セシウム(セシウム134とセシウム137)が、全ての試料において1kgあたり500Bqの暫定規制値を下回った が、その後、この暫定規制値を超える米が相次いで検出された。再調査の結果、1kgあたり500Bqを超える米が検出された福島県内3市9地区には2012年1月4日、米の出荷制限がかけられ、2012年3月9日に発表された平成24年度の稲の作付制限区域にも、「警戒区域」「計画的避難区域」に、これら3市9地区が加えられた。また、1kgあたり100Bqを超える米が発生した地域については、基準を超えた米が流通しないことを担保に細かな区域設定のもと作付けができることとなった。
2020年、基準値超が2015年以降出ていないことから全量検査を縮小し抽出検査に移行した。
2023年時点で1500haが作付制限に指定されている。
2012年3月27日 『日本経済新聞』にて、停滞していた取引が2012年2月から外食産業中心に取引が徐々に回復して、契約率が7割を超えたことを報道した。なお、『日本経済新聞』では浜通り産の米についても「風評被害」と表現している。
福島第一原発の放射能水の放出による、茨城県北茨城市の沖合で2011年4月1日に採取されたイカナゴの稚魚(コウナゴ)から、4,080Bq/kgの放射性ヨウ素が検出され、北茨城市の近海では4月4日には526Bq/kgの放射性セシウムおよび1,700Bq/kgの放射性ヨウ素が検出された。当初、はさき漁協が3月下旬以降、茨城県に何度か魚の検査を行うよう要請したが、茨城県は検査をせず、漁協に要請を出してイカナゴ漁および出荷を自粛すると発表した。漁協は県担当者を呼び、検査しない理由を組合員に説明するよう求めた。県担当者は「県産の水産物から基準を超す放射性物質が出れば、今後に影響する。当分は様子を見た方がいい」と説明したという。茨城県日立市の河原子漁協は独自検査を当面見送る方針を示した。県からは「漁協単独の結果が出るたびに騒ぎになって、風評被害につながる」といった懸念が示されたという。これらの経緯について、水産庁幹部は4月5日、茨城県の魚介類検査への対応について「検査をやって公表してもマイナスになるだけだから、と言っている。めちゃくちゃだ」と苦言を呈していた。この幹部は、漁協が独自に行ってきた検査についても「ぜんぶ国の施設でやり直すべきだ」と不信感を露わにした。こうした不信が、今回の国の検査につながり、国が県沖の水産物検査に踏み切った形となった。7日午前、水産庁の依頼でサンプル捕獲にあたる漁船が那珂湊漁港(那珂湊市)を出港した後、茨城県漁政課の担当者は、事前に国との協議はなかったと語った。
2011年5月初旬に神奈川県の茶葉(生茶550Bq/kg〜570Bq/kg、荒茶約3,000Bq/kg)の放射性セシウムが検出され、加工食品の基準値の扱いについて、生産者の立場の農林水産省と消費者の立場の厚生労働省で、意見が分かれた。農林水産省は、お茶は薄めて飲むものであるし、生茶規制値が500Bq/kgで、乾燥された荒茶も500Bq/kgでは科学的ではないと主張した。厚生労働省は、数千Bq/kgの製茶が店頭販売されることは消費者が容認しないとして5月16日、茶の生産地がある14の都県に生茶と荒茶の放射線量の測定を命じた。しかし静岡県知事の川勝平太をはじめ殆どの自治体は荒茶の測定を拒否した。政府は6月2日、荒茶・生茶とも500Bq/kgを超えたものは原子力災害対策特別措置法に基づき出荷停止対象とする判断を下し、その後に茨城県全域、神奈川県6市町村、千葉県6市町、栃木県2市において、実際に出荷停止命令が出された。その後に静岡県は県内製茶工場ごとの測定を開始し、6月9日に県内茶工場の製茶から国の基準を超えるセシウムが検出され、業者に対し商品回収と出荷自粛を要請した。6月14日には別の2つの工場の製茶も基準を超えたと発表、同様の要請を行った。6月14日の記者会見で川勝知事は「風評被害はNHKや全国紙など報道の責任が大きい」と強く抗議した。6月17日にフランスのドゴール空港で静岡産の乾燥茶より1,038Bq/kgの放射性セシウムが検出され、当局により廃棄処分決定がなされた。これによりフランス当局は、静岡県産の全ての農産物を線量検査対象とすることを決定、欧州連合(EU)委員会にもこれをEU基準とするよう上申した。6月20日、JA静岡中央会とJA静岡経済連は地域農協向け説明会において、お茶の放射能被害について東京電力に損害賠償請求する方針を発表。風評被害分については現行法では賠償請求できないため、国に法改正を促すともコメント。
9月に入り厚生労働省は、千葉県産、埼玉県産(狭山茶を含む)からも、抜打ち検査や自主検査により基準超のセシウムが検出されたと発表した。
宮城県は2011年11月30日、県内のキノコ原木から国の指標値 (150Bq/kg) を超える最大2492Bq/kgの放射性セシウムが検出されたと発表した。
以下、一覧表にて示す。
厚生労働省によると、2012年4月1日からの新基準値適用以降、4月29日までに一般食品の新基準値 (100Bq/kg) を超えたことが判明したのは、岩手、宮城、山形、福島、茨城、栃木、群馬、千葉、神奈川の9県の計51品目333件、乳児用食品 (50Bq/kg)、牛乳 (50Bq/kg)、水 (10Bq/kg) の3分類で新基準値を超えたものは出ていない、とした。
東京電力は2012年8月21日、福島県南相馬市原町区の沖合で採取したアイナメから25,800Bq/kgの放射性セシウムを検出したと発表した。
福島県および近隣各県において、放射性物質による水道水の汚染が相次いだ。2011年3月17日に厚生労働省が策定した放射能の「暫定基準値」は飲料水の場合300Bq/kg以下、乳児の場合100Bq/kg以下である。大気中を漂う放射性物質が雨と共に地上に落下し水源に混入するとみられるため、厚生労働省は3月26日、全国の水道事業者に対し、降雨後の取水を一時中断するように通知した。その後放射能の数値は低下し、3月29日15時には福島県以外での飲用制限がなくなり、4月15日までは福島県飯舘村のみ乳児に対する飲用制限が成されていたが、5月10日にはそれも解除された。
2011年3月25日、世界保健機関(WHO)は日本における飲料水の安全性について、「ただちに危険を及ぼすものではないが、地域により事情は異なり、また変動するかも知れない。放射能の危険を減らすことを意図して、幼児に必要な水の摂取が歪められるべきでない」との見解を発表した。同日、日本小児科学会、日本周産期・新生児医学会、日本未熟児新生児学会も共同見解として、乳児の水分摂取を優先させるべきである旨を発表した。
2011年3月17日から20日にかけて南相馬市、いわき市などの水道水で暫定基準値、または乳児に対する暫定基準値を上回るヨウ素131を検出した。その後22 - 23日には多くの市町村で暫定基準値を下回った。比較的高いヨウ素131が検出された飯舘村も、4月1日からは摂取制限を解除。ただし前述の通り降雨時に濃度が上がる可能性があるため、乳児に関しては摂取を控えるように広報を続けた。その後1か月程度観察を続けたが基準値以上の放射性物質は検出されなかったとして、5月10日には全ての制限が解除された。
東京都葛飾区の金町浄水場で、2011年3月22日午前9時、水道水に210Bq/kgの放射性ヨウ素131が検出された。この給水範囲である東京都23区、武蔵野市、町田市、多摩市、稲城市、三鷹市では乳児の水道水摂取を控えるように呼びかけた。これを受け、東京都は1歳未満の乳児およそ8万人に、1人あたり550ミリリットルのミネラルウォーター3本を配布すると発表した。24日の検査分は79Bq/kgと、暫定基準値を下回ったと発表した。
千葉県、茨城県の一部浄水場においても、2011年3月23日頃から26日頃にかけて相当量のヨウ素131などが検出され、乳児の飲用を控えるよう呼びかけるなどの措置がとられた。
事故を受けて、2011年3月11日20時50分に、半径2km以内の住民に避難指示が出された。その後、事故が深刻化するにつれて避難指示範囲も拡大し、3月12日18時25分には半径20km以内に避難指示が出された。
避難指示対象地域の多くの住民は、自治体からの情報を聞いて避難を開始した。しかし初期(3月12日)には原発事故とは知らされず、なぜ避難するのか分からずに避難した住民が多かった。避難期間の見通しについての情報も全く無く、着の身着のまま逃げ、そのまま避難が長期化した。また、結果的に汚染地域へ避難してしまった住民も多かった。浪江町は20km圏の外側である津島地区へ、双葉町は川俣町へ避難を指示したが、これらの避難先は、後に高い放射線量が確認され、計画的避難区域に指定された。
3月15日11時には半径20kmから30km圏内に屋内退避が指示された。屋内退避指示は短期間の想定だったが、10日間も継続したため、30km圏内への物流が途絶えて住民の生活基盤が崩壊した。3月25日、屋内退避を指示されていた半径20kmから30km圏内の住民に、枝野幸男官房長官が自主避難を要請した。枝野長官は、避難区域の拡大は必要ないながらも、市民生活が困難になっているため自主避難を促すと説明した。しかし国会事故調はこれを、避難判断を住民に委ねるという政府の責任放棄だと批判した。
福島県双葉郡双葉町は3月19日に役場機能を埼玉県さいたま市に移し、避難住民のうち約1200人も数日中に移動した。さらにその後、同月の30日から31日にかけて、同県の加須市に再び移動した。また、避難指示を受けた福島県大熊町の双葉病院には3月14日時点で病状の重い患者146人が残されていたが、移動を余儀なくされ、14日と15日に自衛隊によって3回にわたる搬送が行われたが、21人が搬送中や搬送後に死亡している。避難指示の出た区域内では人影がなくなり、取り残された多くの家畜が衰弱したり死亡したりしている。ただ、身内の介護や家畜の世話などのために避難指示の出された地域に留まる住民もいて、避難するよう自衛隊や消防組織が説得にあたった。
第一原発の北西約40kmにあり、避難地域に指定されていなかった福島県飯舘村について、3月30日、国際原子力機関(IAEA)のフローリー事務次長はウィーンの本部で記者会見し、高い濃度の放射性物質が検出されたとして、住民に避難を勧告するよう日本政府に促した。IAEAの勧告に対し、枝野官房長官は3月31日、「直ちにそうしたもの(状況)ではない」「長期間そうした土壌の地域にいると、その蓄積で健康被害の可能性が生じる性質のものなので、しっかり把握し対処していかなければならない」と否定的見解を述べた。また、経済産業省原子力安全・保安院も独自に試算した数値を公表し、「避難の必要はない」とIAEAの勧告を明確に否定した。
ところが4月になって、政府は、飯舘村の全域と川俣町の一部、半径20km圏内を除く浪江町と葛尾村の全域、南相馬市の一部を「計画的避難区域」に指定し、約1か月かけて避難することになった。
事故の影響が長引いてくると、政府の対応も長期避難に備えたものに切り替わっていった。4月22日には、半径20km圏内が災害対策基本法に基づく警戒区域に設定され、民間人は強制的に退去させられ、立ち入りが禁止された。また、半径20kmから30km圏内のうち計画的避難区域でない地域の大半が、緊急時に屋内退避や避難ができるよう準備しておくことが求められる「緊急時避難準備区域」に指定され、屋内退避指示は解除された。避難者数は、2011年8月29日時点で、警戒区域で約7万8000人、計画的避難区域で約1万0010人、緊急時避難準備区域で約5万8510人、合計約14万6520人に達した。これらの区域内にある双葉町、大熊町、浪江町、富岡町、楢葉町、広野町、飯舘村、葛尾村、川内村が、3月から6月までに郡山市や二本松市などの外部へ役場機能を移した。5月10日からは警戒区域内の住民の一時帰宅が行われた。原発から3km以内へは一時帰宅できなかったが、8月26日から実施された。
政府はさらに、警戒区域や計画的避難区域外でも局地的に放射線量の高い地点があるとして、事故発生後1年の推定積算放射線量20mSv(3.2 Sv/h)を目安に「特定避難勧奨地点」を設定した。特定避難勧奨地点は、地区単位ではなく住居ごとに放射線量を測って指定され、避難することを選択すると支援が受けられる。2011年6月30日に福島県伊達市の113世帯、7月21日に福島県南相馬市の59世帯が指定された。しかし住民からは指定方法などに反発が上がり、地区単位で指定するよう要望した。その後、2012年12月14日に伊達市の特定避難勧奨地点を解除し、2014年12月28日に南相馬市の特定避難勧奨地点も解除された。これにより特定避難勧奨地点は全て解除された。
このような住民避難の実態が、2011年7月23日の『NHK特集』「飯舘村 〜人間と放射能の記録〜」 で放映された。この中では、村内の汚染が数十mSv/hに上ったことから避難に至る様子や、原子力委員会が、村内に汚染土壌の処分場を設置してはどうか、と提案している様子などが放映されている。
政府は福島第一原発が「冷温停止」した段階で警戒区域の縮小を検討するとしていたが、警戒区域の一部では高い放射線量が観測され、事故後1年間の積算放射線量の推計は最高で508.1mSv(大熊町小入野)となった。政府は放射線量に応じて避難区域を再編することを決め、2012年4月1日より、準備が出来た自治体から順次、警戒区域・計画的避難区域を「帰還困難区域」「居住制限区域」「避難指示解除準備区域」の3区域に再編した。帰還困難区域は年間積算放射線量が50mSv以上で、長期に渡って帰還が難しい地域。居住制限区域は年間20mSv~50mSvで、20mSv以下への除染を目指す地域。避難指示解除準備区域は年間20mSv以下の地域に対して指定された。再編された2013年8月時点での3区域の総面積は約1,150km2、避難対象者数は約8.1万人となった。除染が終わった地域は順次解除され、2023年5月時点での帰宅困難区域の総面積は約309km2、2023年9月時点での避難対象者数は約2.7万人となった。
このうち、避難指示解除準備区域・居住制限区域は宿泊は認められないなど一部制限はあるものの立ち入りは原則自由になっている。居住制限区域については、原則住民の日中のみの出入りに制限されている。帰還困難区域については、それまでの警戒区域同様、原則立ち入り禁止となっている。(避難指示解除準備区域・居住制限区域では2012年末から避難指示解除時まで大型連休・夏休み・年末年始などで特例宿泊を行っている他、それ以外の時期における一時帰宅については日中に限り、事前に対象の市町村役所(役場)に許可を得る必要がある)
なお、3区分の区域は賠償のほか税制面でも違いが生じる。例えば、警戒区域の避難者は不動産取得税等の特例減免があるが、警戒区域が解除されると、避難指示解除準備区域のみ解除3か月後に購入した者は課税される。これは帰還を促すための措置だが、5年間帰還できない避難指示解除準備区域の住民は他の区域と状況が変わらないため、減免するよう要求している。
政府は避難指示解除準備区域・居住制限区域の解除を目指して除染を進めた。2014年4月1日に田村市が避難区域では初めて避難指示を解除され、同年10月1日(一部は2016年6月14日)には川内村、2015年9月5日には楢葉町、2016年6月12日には葛尾村の大部分(帰還困難区域を除く)、同年7月12日には南相馬市、2017年3月31日には川俣町山木屋地区・浪江町中心部・飯舘村の大部分(いずれも帰還困難区域を除く)、同年4月1日には富岡町の大部分(帰還困難区域を除く)、2019年4月10日には大熊町の中屋敷・大川原地区が避難指示を解除。2020年3月4日には双葉町の一部も避難指示を解除され、これにより全ての避難指示解除準備区域・居住制限区域が解除された。6町村 の帰還困難区域では一部を除いて避難指示が続いている。
避難指示が解除されても、すぐに住民が戻っているわけではない。帰還した住民は、楢葉町では避難指示解除1年後の2016年9月2日時点で9.2%、葛尾村では避難指示解除8カ月後の2017年2月時点で9.9% にとどまった。地元に戻らない理由としては、「原発の安全性に不安」「医療環境に不安」などが、復興庁による住民への意向調査で多かった。
帰還困難区域については、政府は2016年8月、駅や役場周辺などに除染やインフラ整備を優先的に進める「復興拠点」を設け、5年後(2021年度末)を目処に避難指示を解除する方針を決めた。復興拠点以外の地域での解除時期は未定だが、政府は2021年8月、2020年代までに帰還希望者を対象に、全域での避難指示を解除を目指す方針を示している。その後、政府は2023年2月、特定復興再生拠点区域以外の帰還困難区域の一部については「特定帰還居住区域」とする方針を示している。このうち、双葉駅・大野駅・夜ノ森駅周辺の区域では常磐線全線開通前の2020年3月10日まで に避難指示を解除した。また特定復興再生拠点区域内においては、2022年6月12日に葛尾村の野行地区の一部で、6月30日には大熊町の一部で、8月30日には双葉町の一部で、2023年3月31日には浪江町の一部で、4月1日には富岡町の大半の地区で、5月1日には飯舘村の長泥地区の一部などでそれぞれ避難指示が解除された。
2011年3月17日から2012年3月末に至る間、厚生労働省は暫定規制値を定め、各自治体に対する通知によって、放射性物質を食品衛生法の規制対象として準用してきた。
以下、その数値基準と、WHO(世界保健機関)による水質ガイドラインとの比較を示す。
飲料水の暫定規制値はWHO(世界保健機関)が定める10Bq/Lの30倍であり、この違いを疑問視する見方もある。しかし、WHO、IAEA(国際原子力機関)とも、緊急時の最初の1年間の対応としては、WHO基準よりもIAEAの定める基準が優先されるとしている。IAEAは、2002年の資料において、緊急時の最初の1年間までは100Bq/Lを上限とする、としている。また、FAO(国際連合食糧農業機関)は、幼児の甲状腺に対する影響を考慮して上で、最初の1年間で400Bq/kgを上限としており、暫定規制値はこの1/4となっている。また、IORP(国際放射線防護委員会)の見解に基づけば、妊娠中に暫定規制値の上限値の水を、毎日1リットル飲み続けても、胎児、子供に影響が出ない計算となる。
厚生労働省は数値基準の見直しを行うとともに、2012年3月15日までに食品衛生法に基づく省令および告示の改正をし、新たな告示を加え、2012年4月1日から施行および適用することにより、食品衛生法に基づく規制として法体系を整備した。以下、その数値基準を示す。
原子力安全委員会は放射性物質を含む飲食物の摂取制限の指標値を2001年2月に示し、2010年12月に改訂した。改訂後の指標値の大意は、1年間の積算被曝線量の上限値をヨウ素の甲状腺での線量が50ミリシーベルト、セシウムの全身的線量が5ミリシーベルトとするものである。
また、厚生労働省は2002年3月、原子力関連テロや原子力事故を想定した「緊急時における食品放射能測定マニュアル」を作成し、5月に各地方公共団体に送付していた。
厚生労働省は福島第一原子力発電所事故による農産物および飲用水の放射性物質による汚染発生を受け、2010年12月に改訂された指標値を基に、原子力安全委員会に緊急時における食品および飲用水中の放射性物質の濃度の数値基準を策定させた。この策定における考え方としては、内部被曝に繋がる放射性物質の摂取源を 1.飲料水 2.牛乳・乳製品 3.野菜類 4.穀類 5.肉・卵・魚・その他 の5つの食品群に大別し、原子力安全委員会の指標値の上限であるヨウ素につき年間50ミリシーベルト、セシウムにつき年間5ミリシーベルトの実効線量を5つの食品群に均等に配分、各食品群について一般成人、乳児および成長期にある人の摂取量と、ある程度の余裕を考慮した上で、人体に与える放射線の実効線量の単位であるシーベルトによる指標値を、各食品群のキログラムあたりの放射線量(ベクレル単位)を規制・管理することで守ることができるように落とし込みを行ったものであった。その具体的数値は上記の通りである。厚生労働省はこの指標値を食品衛生法上の放射能に関する暫定規制値として各地方公共団体宛に通知するとともに、緊急時における食品放射能測定マニュアルを参照して食品を検査するよう指示した。
2012年4月1日から施行された新基準値においても、内部被曝に繋がる放射性物質の摂取源となる食品を食品群に分け、1年間の積算被曝線量の上限値を各食品群に均等に配分、一般成人、乳児および成長期にある人の摂取量と、余裕を考慮し、シーベルト単位の上限値をBq/kg の単位に落とし込むという方向性は変化していない。変化した点は、半減期が短く、時間が経つにつれ検出されなくなった放射性ヨウ素についての基準を廃止したこと、緊急時における1年間の積算被曝線量の上限値であるセシウムの年間全身的線量の5ミリシーベルトから、平時の上限値としての年間1ミリシーベルトに設定を変更したこと、野菜類、穀類、肉・卵・魚・その他を一つの食品群にまとめたこと、乳児が摂取する栄養源は特段偏りがあるため、新たに乳児用食品の項目を設けたことである。
福島第一原子力発電所事故以降、2011年3月17日から2012年3月末までは暫定規制値を通知に基づき食品衛生法の規制対象として準用してきた。2012年3月15日に食品衛生法の下位法令に当たる乳及び乳製品の成分規格等に関する省令および食品、添加物等の規格基準が改正され、乳及び乳製品の成分規格等に関する省令に基づきセシウム134およびセシウム137を規制の対象とする政令が新たに整備され、いずれも4月1日から施行・適用されることとなった。「通達」とも呼ばれる通知に法的根拠はないが、これらの下位法令は法(食品衛生法)の規定するところにより、その運用のために法と同じ拘束力と法的根拠を付与されているので、2012年4月1日以降の食品中の放射性物質は食品衛生法により規制されていることになる。
水道水においては、食品の規制値に合わせる形で目標値が変更されたが、厚生労働省のとっている手法は一貫して通知であり、地方自治法に基づく技術的助言としての位置づけも変わっていない。
福島県やその近県だけではなく、東京都内や、大阪府など西日本でも、子に弁当を持たせる事例が続発した。
大手の食品を扱うスーパーマーケットに、独自に放射線を測定し、販売を制限するところが出た。ただし、個々に対応が異なる。
主に、「日本国の基準を満たしている食品(現在:100ベクレル/kg以下)は、その量に関係なく、いくら食べても安全であり、これらを避ける事は風評被害に当たる」という主張の元に、その対策を日本政府が推進し、一部の企業が協力を行っている活動である。
農林水産省では、取組の拡大のため、大学や都道府県庁舎内の食堂・売店、医療施設、介護・福祉施設における被災地産食品の積極的な活用・販売するように協力を求めている。
2011年3月12日に1号機原子炉建屋に入室し、手動ベント弁を開操作してドライベントを実行した作業者の男性が、累積106.3mSvの急性被曝をし、急性被曝症状である吐き気とだるさを訴えて病院に搬送された。当時の炉心は、後日の東京電力発表によれば既に炉心溶融が進行していた可能性があり、また当時は施設内で人体貫通性(染色体破壊能力)が高い中性子線が検出されており、原子炉建屋内での本作業は命をも脅かされかねない危険な行為であったが、切迫した状況の中で、現地判断により、開所当時から手順書が整備されていなかったベント作業 を、既存の設計図や配管図など各書類を頼りに考案して即時行うしかなかったと見られている。大阪大学の宮崎慶次名誉教授は「炉心溶融後にベントを行えば、放射性物質の漏出が増える。もっと早い段階で行うのが定石だ」と着手も含めた対応の遅れを指摘した。
一方、3号機タービン建屋地下階で3月24日、同月14日の原子炉建屋の水素爆発により破損した、配電系統の再敷設工事を行っていた電工系企業の社員および下請け作業員が、現地にあった水溜りに一般的な靴を履いた状態で侵入し、これが高濃度放射能汚染水であったため、靴内浸水時に被曝した。
3月24日、作業員3名の自己申告により靴内浸水が発覚、ベータ線被曝が疑われた。3名は福島県立医科大学へ救急搬送され、除染処置を含む緊急治療を受け、翌日には千葉県にある放射線治療研究専門機関、放射線医学総合研究所へ移送された。
3月28日には、放射線医学総合研究所が記者会見を開き、25日から研究所に入院していた作業員3名が無事に退院したと発表した。3人とも被曝内容はベータ線熱傷(ベータ線は表皮から先へ貫通できず、重症へ至るのは負傷部位から放射性物質がしみこんでの内部被曝被害のみ。臨界現場付近と違い、福島第一原発の当時の汚染水(たまり水)はほぼヨウ素とセシウムの同位体つまりベータ線源が占めていた)であり、3名とも記者会見時点で健康状態に特に問題はなく、うち2人は足のくるぶし下に2Sv〜3Sv程度の高線量ベータ線被曝をしているが、会見時点では皮膚症状は全くなく、今後も被曝部位が赤みを帯びる程度であろうと診断されたため、しばらくは経過観察を行う予定であることが発表された(被曝症状は、相当期間が経過した頃に、徐々に、あるいは急に、発現することもあるため)。
2011年4月3日、官房長官枝野幸男は記者会見で、福島第一原発から30kmの周辺で、甲状腺の被曝調査を行った15歳以下の子ども946人について、問題となる値は見つからなかったことを明らかにした。政府の原子力災害現地対策本部(福島市)によると、調査は3月28〜30日に、福島県川俣町と飯舘村で保育園などを通じて検査を呼びかけ、のどの放射線量を測定した結果、対象者には20km圏内から避難してきた子ども7人も含まれていたが、最高値は毎時0.07μSvで、国の原子力安全委員会が示した基準値である同0.2μSvを全員下回っていた。3月26、27日には、いわき市で同様の調査を137人を対象に実施したが、こちらも基準値を上回った子どもはいなかった。
4月21日には、市民団体「母乳調査・母子支援ネットワーク」 が、3月下旬に福島県および関東地方で暮らす生活協同組合員の授乳婦9名の母乳を検査した結果、4人の母乳から6.4Bq/kg - 36.3Bq/kgのヨウ素131を検出したと発表した。これを受けて厚生労働省も福島県および関東地方にて同様の調査を行い、4月24- 25日に採取した23名の母乳から検出されたヨウ素131は検出限界以下から最大8.0Bq/kgに分布し、セシウム137は1人だけ検出されて2.4Bq/kg、セシウム134は全員が検出限界以下であったと発表した。
福島県が行っている県民健康調査で、2011年3月11日から7月11日までの4カ月の各個人の行動を基に、外部被曝線量の推計が行われている。それによると、2016年12月31日までに調査を終えた分で、放射線業務経験者以外で、10ミリシーベルト以上の被曝をしたのは112人で、最高値は25ミリシーベルトと推計されている。
2011年7月28日、政府の原子力被災者生活支援チームは放射線量が比較的高い福島県浪江町、飯舘村、川俣町山木屋地区の住民109人を対象に、福島県が6月27日 - 7月10日にホールボディカウンター (WBC) を使って全身から放出されるガンマ線を測定し内部被曝状況を調べた結果、計58人から微量のセシウム134やセシウム137が検出されたが、全員が1ミリシーベルト未満だったと発表し、内部被曝の程度は「相当に低い」とした。南相馬市における同様の調査では、1名の内部被曝が1ミリシーベルトをわずかに超えたが、他は0.1ミリシーベルト以下だった。
2021年3月、原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)は、福島第一原発事故での「放射線被曝を原因とする健康被害は認められないとする報告書を発表し、子どもの甲状腺がんの増加は、スクリーニング検査の精度の高さが影響したにすぎないとした。同委員会は「報告書は最新の知見やデータに基づいており、結論は堅固で将来も大きく変わるとは思われないと強調した。
事故直後より放射線医学などの専門家から一般に向けたコメントが発表されている。現在福島県において若年者の甲状腺の検査が行われている。
原子力関連施設から廃棄される放射性廃棄物のうち、放射能レベルが自然放射線量よりもさらに低く、健康影響が無視できるレベルは、ICRP、IAEA等の考え方を取り入れ、個人線量で年間約10μSvとされている。このような人体への影響を踏まえた放射線量の設定もある中、食品安全委員会は、生涯被曝100ミリシーベルト未満という答申を発表した。一方、年間100ミリシーベルトの被曝量で帰宅させてもよいのではないか、という意見も日本原子力技術協会に掲載されている。
長期間な低線量被ばくの健康影響を検討する政府の作業部会は、住民避難の基準として年間20mSvを容認している。
福島県浪江町は2012年度から事故が発生した時点の全町民に健康管理のための手帳を配布する。
福島県が行っている、事故当時18歳以下だった県民を対象にした甲状腺検査では、2017年2月20日までに185人が甲状腺がんの疑いと診断され、うち145人が甲状腺がんと確定している。福島県は、チェルノブイリ事故と比べて被曝線量が少ないことなどを根拠に、被曝と発がんの因果関係は考えにくいとしている。福島県立医科大学の研究によれば、2015年6月までに甲状腺検査を受けた対象者について、推計被曝量の高い地域と低い地域とでがんが見つかった割合に差はなく、被曝と発がんとの関連性は見られなかった。
福島県の県民健康調査検討委員会の評価部会も、福島県内の子供全てを対象とした二巡目の甲状腺検査(2014~2015年度)の結果について、甲状腺がんと被ばくとの関連を否定する中間報告を2019年6月3日公表した。ただし部会長は「未来永劫、放射線の影響がないと結論付けるものではない」とコメントし、継続調査が必要との考えを示した。
弘前大学の調査チームは、事故後1か月後の福島県の0歳から80歳代の住民65人の甲状腺を調べたところ、50人から放射性ヨウ素が検出され、被曝量は推計で最大87mSvとなったと2012年3月9日に発表した。
フランスのNGOのアクロは、事故を受けて日本各地で尿検査を行い、結果を公表している。
東北地方や関東地方の医療施設では、デジタルX線画像診断システム (Fuji Computed Radiography FCR) において、従来のX線撮影機のフィルムに相当するイメージング・プレート (IP) を長時間放置した後に画像化すると、ランダム配列の黒点が造影される事例が多く報告されている。この原因について、製造元の富士フイルムは、福島第一原発から放出された放射性物質がIPに付着するなどして、極めて高感度であるIPが胸部レントゲン検査の100万分の1程度の線量でも感受し、造影した結果であるとしており、IP表面の除染とデータ消去を推奨している。
東北地方太平洋沖地震及びそれにより発生した津波被害により、同事故で破損した福島第一を含む、多くの発電設備が被害を受けたため、東京電力の発電能力は大幅に低下し、需要を満たせなくなる可能性をはらむことになり、電力の使用状況によっては予期しない大規模停電が起こる可能性が出てきた。そのため、電車を運行する鉄道会社では大幅に運行本数を削減するなどして、電力不足に対応した。
また、福島第一原発からの放射性物質の飛散を懸念し、同発電所の周辺地域や同発電所に比較的近い関東地方、場合によっては日本からの退避を自国民に対し勧告する国もあった。東京の大使館業務を縮小したり、ドイツやオーストリアなどが一部業務を大阪などに一時移転したりする動きも見られた。
このような状況の中、余震や電力不足による混乱、放射性物質の拡散への懸念などを理由に、東京の社員や業務機能を西日本や第三国に退避する企業が増えた。ただし、その後に西日本、特に福井県の若狭湾岸に密集する原発に依存する地域でも電力不足の懸念が広まったため、東京に戻ったり海外移転を検討したりする関西企業も現れた。
また放射性物質による汚染の懸念から農産物から工業製品に至る日本製品が、海外の市場において隠避される傾向が垣間見られる地域も出てきた。輸出に際して、EU諸国をはじめ放射能の環境基準に敏感な地域などでは検査証明などの検査結果の明示が必要になるケースも出てきている。このことから東京港や横浜港、川崎港、神戸港など日本の主な港湾施設では事前にコンテナの放射線検査を実施するところもある他、検査施設への放射線量測定の依頼が増加している。また中華人民共和国では日本産の食品輸入が事実上差し止められるなど過剰な措置があるとし、日本政府が日本産食品の安全性についての働きかけを行った。
福島市の福島競馬場でも、芝コースやダートコースで除染を行うため一部の芝を張り替えたり、砂を入れ替えたりするなどの処置がされた。
海外ではそれまで人気の高かった日本産食材の売れ行きが落ちたり、客足の伸び悩みで日本食レストランが閉店するなどの影響があるとの報告もあった。
また事故直後、各国政府の退避勧告や、個人や各企業の自主的な敬遠指向などが影響し、外国人観光客の来日数が激減した が、震災後初めての大型連休となったゴールデンウィークには、安近短の傾向ではあるが徐々に国内の観光客数は連休中に回復の兆しを見せた。しかし福島県内でも福島第一原発から距離が遠く放射線量が小さめの会津地方 などでも観光業収益の落ち込みが激しい状態が続くなど、福島第一原発周辺地域では9月時点でもなお死活問題となっており、地域によって明暗分かれた格好となっている。
東京電力の電力不足を理由とした「輪番停電」と言われる停電が実行された。これにより、定期的な停電に備えた設備の設置や計画が必要とされたり、実際に停電とされなかった場合でも、瞬断が許されない常時電源供給が必要な工場は生産停止に追い込まれ、多大な出費と損害、さらには倒産が発生した。
日本の原子力発電所が停止し、原発事故の影響で再稼動できない状態に追い込まれたため、代替の火力発電に使う燃料となる石油や液化天然ガス (LNG) の輸入が急増、2011年、日本は31年ぶりに貿易赤字に転落した。2016年は原油の下落によって6年ぶりに貿易黒字に戻った。
日本経済研究センターは、2011年7月19日、今後10年間で20兆円の処理費用が掛かるとの試算結果を公表した。一方、日本国政府は事故処理には数十年必要との見通しを発表している。
警戒区域・帰還困難区域の指定に伴い、楢葉町から南相馬市小高区までの交通網(浜通り地方を南北に結ぶ常磐線・国道6号など)が寸断された。
東京電力は、避難指示対象の住民に対し、慰謝料や宅地・建物に対する賠償金などを支払っている。2023年6月までの賠償金の累計支払額は10兆5900億円となっている。
2016年12月時点では賠償に必要な額は最終的に7兆9000億円に達すると試算されていた。
2011年(平成23年)8月10日、原子力損害賠償支援機構法が公布、施行された。原子力損害の賠償に関する法律は第3条第1項に賠償責任は電気事業者にあるとしているが、原子力損害賠償支援機構法第2条には「国は、これまで原子力政策を推進してきたことに伴う社会的な責任を負っていることに鑑み、原子力損害賠償支援機構が前条の目的を達することができるよう、万全の措置を講ずるものとする。」と、国の責任が明記されている。同法第41条第1項において、損害賠償支援として、資金交付、株式の引受け、資金の貸付け、社債又は約束手形の取得及び債務保証を規定している。なお、民主党政権下では、原発事故に伴う長期避難者へ被災者生活再建支援法を適用するよう、野党の公明党や自民党が質疑し、日本弁護士連合会や浪江町など被災自治体が再三要望しているが、全て原子力損害の賠償に関する法律で賄うべきで、県は認めるべきでないと否定しており、国の不作為や無責任が問われている(『月刊政経東北』2013年6月号51~54頁参照)。
政府と福島県は、避難区域外から避難した人(自主避難者)に対し、仮設住宅・みなし仮設の提供を行なった。この無償提供は2017年(平成29年)3月31日で打ち切られた。
東京電力は、損害賠償金が不足するため、国の原子力損害賠償・廃炉等支援機構から2011年(平成23年)11月に8900億円、2012年(平成24年)2月に、6900億円の合計1兆5千8百億円追加支援の認定を受けている。また2012年(平成24年)3月に、3度目の追加資金支援を要請すると報道されている。
2012年5月2日、環境省は放射性廃棄物を一時保管する「仮置き場」設置に必要な土地の使用や住宅の庭木の伐採による個人財産の損失補償額の算定基準を策定した。
避難していた夫婦が政府の原子力損害賠償紛争解決センターを通じて東京電力に損害賠償を請求した裁判で、2012年2月27日、初の和解が成立した。東京電力は夫婦に避難費用や慰謝料として約1千万円と、住宅損害として1300万円の計2300万円を支払う事となった。
2012年5月7日、大阪府や兵庫県に避難している住民8世帯(25人)が、東京電力に対し損害賠償を求め、原子力損害賠償紛争解決センター (ADR) に和解の仲介の申立てを行った。
社員被災者を中心に和解案の拒否を東京電力が行い、被害の救済が遅れることになった。
一般の被災者と東電と雇用関係にあった被災者との間には対応に差があり、毎日新聞などでも雇用主である有利な立場を利用して東京電力が真摯に社員であった被災者と向き合わなかった旨が2度にわたって報道された(平成26年1月21日付毎日新聞朝刊31面)
その時期に依願退職者が多く出た。
2012年以降、被災者がそれぞれの避難先等で相次いで東京電力又は国の責任を問う集団訴訟を提起し、全国の裁判所で審理が進められている。言渡済みの判決は、下表のとおりである。
スリーマイル島原子力発電所事故(1979年3月28日)やチェルノブイリ原子力発電所事故(1986年4月26日)に伍する、史上最悪の原子力災害の一つであり、旧ソビエト連邦よりも格段に原発の安全策が講じられていると目されていた日本でこのような大惨事が発生したことは、各国のエネルギー政策に大きな影響を与えた。ドイツとイタリアは、脱原子力への方向を加速させた。
震災直後の各国で問題発言やデマなども流布した(東日本大震災関連の犯罪・問題行為参照)。
2011年4月15日、ロシア連邦の放射線に関する政府機関・医学生物学庁のウラジーミル・ウイバ長官は、東京都内の大使館において、同館敷地内で観測された放射線量が0.07μSv - 0.10μSvであり、これはモスクワの水準(0.17μSv - 0.20μSv)の約半分にとどまるとの調査結果を公表した。医学生物学庁から東京に派遣されたチームは大使館員や在日ロシア人の健康調査等を行った上で、「東京の放射線量は人体に悪影響はない」「現時点で放射能汚染はない」と述べ、これを受けてウイバ長官は「観光を目的とした渡航制限を解除」するようロシア外務省に勧告する意向を明らかにした。
食品から放射性物質が検出されたことにより、日本の食品、主として、東北・関東地方の農水産物および静岡のお茶について、諸外国が輸入規制の措置を取った。
2023年8月時点で、日本の一部都県の食品につき輸入を停止している国・地域は香港、中国、台湾、マカオ、韓国である。
2018年11月24日、台湾では日本の5県産食品(福島県、茨城県、栃木県、群馬県、千葉県)の禁輸継続について賛否を問う住民投票があり、賛成多数で「禁輸継続」となった。
日本の全てまたは一部の食品に証明書を求めている国・地域がフランス領ポリネシア、ロシア。
また、48の国と地域が事故後に何らかの制限や規制を行っていたが完全に解除した。
日本は、海産物の輸入禁止措置を解除しない韓国に対して、世界貿易機関(WTO)紛争処理小委員会に提訴。2018年2月22日、恣意的または不当な差別に当たるとして、措置を不当とする判断を得たが、韓国側は貿易機関の上級委員会へ提訴し、輸入規制を継続した。2019年4月12日上級委員会は韓国の措置を妥当と認め、日本側の敗訴で終わった。
福島第一原子力発電所事故を機に、以前から原子力業界の閉鎖性を指して使われてきた「原子力村」という語を、推進派と撤廃派の双方が再び使い出している。また、日本国内では東海村JCO臨界事故(1999年9月30日)以来12年ぶりに発生した大規模な原子力災害となり、世界的に見てもスリーマイル島原子力発電所事故(1979年3月28日)やチェルノブイリ原子力発電所事故(1986年4月26日)と列ぶ大規模な原発事故となったことから、日本国内でも推進派と撤廃派の双方が、原子力発電に関連した大衆運動を増やしている。
核爆撃と核実験の両方を被った「被爆国」が、原子力発電所事故による「被曝国」になってしまった事態は、マスコミや大衆運動で「ヒロシマ・ナガサキ・フクシマ」というように、福島原発事故を広島と長崎への原爆投下と列べる論調を増やす結果となった。しかし、日本を巻き込んだ原子力災害は、長崎への原爆投下(1945年8月9日)の次は、福島原発事故(2011年3月11日)ではなく、焼津の第五福竜丸が巻き込まれた水爆実験(1954年3月1日)である。また、日本で発生した軍事外の原子力災害は、原子力船むつの放射線漏洩事故(1974年9月1日)が最初である。
東京都目黒区の目黒区美術館では、2011年4月9日から5月29日まで、広島と長崎への原爆投下にまつわる絵画やポスター、建築物などを展示する「原爆を視る 1945-1970」を開催する予定であったが、この福島原発事故が起きたために中止になった。運営主体の目黒区芸術文化振興財団は「イメージ的に原発事故などを思い出させる面があり、時局柄、実施しない方がいい」と述べたが、被爆者らは「過剰反応だ」などと指摘。また、『はだしのゲン』の作者である漫画家・中沢啓治も、お役所的発想であると区の姿勢を批判した。
東京都渋谷区にある渋谷マークシティの京王井の頭線渋谷駅コンコースに設置している岡本太郎の壁画作品『明日の神話』に、2011年5月1日午前9時半頃、この事故を思わせる絵を描いたベニヤ板が貼り付けてあったことが判明し、同日夜に撤去された。この違法行為は、東京の芸術家集団「Chim↑Pom(チンポム)」のパフォーマンスであったことが、当人らによって同月18日に公表された。なお、岡本太郎記念館館長でもある平野暁臣は、「(このような時世にあって)悪戯と切り捨てられない」との見解を示し、経緯を静観した。
福島第一原子力発電所が立地する双葉町が原子力のPRとして設置した看板に自身が応募した標語が採用され、事故後は他県で避難生活を送る男性が、看板の前で標語の一部を訂正する写真をネット上に投稿する活動を行っている。
この事故は原発への危惧を生じさせ、デモ活動などの大衆運動が発生した。又、原発国民投票などの活動も呼びかけられた。このような原発事故が再び起きぬよう「フクシマを忘れるな」をスローガンに世界中で脱原発集会が起きた。
政治における動きとしては、小沢一郎を党首とした新党「国民の生活が第一」が発足し、「10年後を目途に全ての原発を廃止する」を基本政策課題として発表した。
茨城県東海村元村長の村上達也は、福島原発事故は「人類史上でチェルノブイリ原子力発電所事故に次ぐ放射能汚染による大規模な自然環境破壊であり、すべての生命への危害であった」とした。
原発に対する不安と再稼動について、東京新聞社の2012年3月の世論調査では「脱原発」支持8割 必要分だけ再開54%だった。
2012年6月15日の夜に、総理大臣官邸前に、1万1千人の市民が集まり、大飯原子力発電所再稼働の反対を叫ぶデモ活動を行ったと、『しんぶん赤旗』が報じている。CNNのサイトによるネット報道 (CNN iReport) では、この1万1千人のデモを報道するとともに、日本ではこのニュースが放送されていないとしている。また、翌週の2012年6月22日の夜には、官邸前に、多数の市民が大飯原発再稼働の反対デモに集まったと各種メディアが報じた。
このデモの参加者数は、『朝日新聞』の報道によれば、主催者発表で4万人、警察発表では1万人。『東京新聞』の報道によれば、主催者発表で4万5千人であったとされる。2012年6月29日の夜にも官邸前で反対デモが行われた。デモ参加者数は、主催者発表が約20万人、警察発表で約1万7千人。これ以後、ほぼ毎週金曜日に市民や団体数名による大規模なデモ集会が自発的に開催された。
16回目の2012年7月20日には、鳩山由紀夫が訪れた。
2012年7月16日「さようなら原発10万人集会」と銘打ったデモが、東京都渋谷区の代々木公園で開かれ、主催者発表で約17万人、警視庁関係者によると約7万五千人が参加した。
2012年7月5日、福島で被曝した可能性のある子供の健康回復を実現するために、沖縄の久米島で「沖縄・球美の里 - 福島の子ども保養プロジェクト」が始まった。福島の子供は無料で保養するが、その資金は市民の募金で賄われる。広河隆一、石井竜也、宮崎駿などが設立に積極的に加わる。「沖縄・球美の里 - 福島の子ども保養プロジェクト」の「姉妹プロジェクト」は日本各地で開設されていく。
この原発事故により、様々な分野で風評被害やデマが発生した。ここで取り扱う「風評被害」の中には、産業界や地元住民などに実際に発生している、または、発生の蓋然性が高いと予想される実害をも含む。本事故による社会的影響は、サプライチェーン(供給連鎖)など、放射性物質と直接的関係のない分野にまで及んでおり、本事故によって発生した実害の軽視に加担しないため、本節では「被災した産業等」のみにかかるものではなく、「実害を訴える人々」をも対象とした包括的な内容を記述する。この事故の影響により、2011年の新語・流行語大賞トップテンに「風評被害」が選出された。
放射性ヨウ素の体内摂取を阻止するための内服薬「安定ヨウ素剤」の代わりに、ヨウ素入りのうがい薬や昆布など海草類も有効であるとの情報はデマであると放射線医学総合研究所などが発表したが、その後はそれらには一定の効果があることがわかっている。山下俊一は”心配ならば、ヨウ素の量が多い、わかめ、昆布のスープを飲んでおけば、普通の人ができる甲状腺のブロックになる”と発言している。
中華人民共和国において「海水が放射能汚染されたので今後は安全な塩が入手できなくなる」というデマ情報が流れて、実際に塩の買い占めに発展したことが挙げられる。
また「震災や原発事故の被災地で強盗や性犯罪が多発」などといったデマもインターネット上に多発し、またそれ以降は便乗犯と思われる犯行も相次ぎ(原発作業員もTwitterで自宅に空き巣が入ったと報告)、送電網の断線や各地の原発停止などに起因して夜間停電の続く被災地域および高線量に起因する立入禁止区域の治安が悪化したため、警察が取締まり強化に乗り出す事態となった。
ネット上を中心に不安を煽る内容の怪文書が数多く拡散されている。ブラックバス釣り雑誌『Rod and Reel』2012年1月号が急性リンパ性白血病により亡くなった宮城県内に住む釣り師の追悼記事を掲載したところ、「死亡した釣り師は福島県の祖父の田舎を釣りで応援すると言って、福島原発30km圏内で野宿し、池や川で釣った魚を食べていた」という、雑誌には書かれていない虚偽情報がブログや2ちゃんねる、Twitterで広まり、釣り師の関係者達がネット上の反応に対して「反原発を訴えるのは勝手ですが、友達の死を捏造してまでやるヤツが腹立たしいです」等といった不快感を示した。
レスリング選手の長島和幸が急性白血病と診断されたと日本レスリング協会が発表した後、「福島県内にいたから発症した」とのデマがネット上で流布された。さらに「国公立医師会病院(実際には国公立の医師会病院は存在しない)の統計によると、今年の4月から10月にかけて、『白血病』と診断された患者数が、昨年の約7倍にのぼった」という新聞記事を装った書き込みが出回り、医師会に問い合わせが相次いだことから同会は公式ウェブサイトで「このような発表を行った事実はない」「現段階でそのようなデータについて確認できない」と否定した。
また枝野官房長官による「ただちに健康に影響はない」という発言のような、原発事故の影響が非常に微小であるとする楽観論についてフリージャーナリストの上杉隆は「安全デマ」だと主張している。
2011年5月初旬に、一般市民が、千葉県の柏、松戸、流山と、埼玉県の三郷の計4市で放射線を測定した結果、放射線量が高くなる「ホットスポット」を見つけたという情報とその測定値(東京大学-測定(3/21以降) 含む)を、インターネット上に記載した。『読売新聞』はこれを2011年5月16日朝刊において「チェーンメールで放射能のデマ拡散」「チェーンメールで放射線のデマ拡大」として掲載した。しかし、柏市の「県立柏の葉公園」では国の除染基準(毎時1マイクロシーベルト)を上回る空間放射線量が実際に検出されたことを、2012年2月16日、千葉県が発表した。
福島原発事故に関連し、トラックの運転手が無用の被曝を避けるため、浜通りや中通りの福島原発の周辺地域への物資輸送をためらい、例えば南相馬市(浜通り北部)やいわき市(浜通り南部)のような、福島原発からやや離れた(概ね40km)地域には、救援物資どころか一般物資すら届かないという孤立状況が生まれたり、「身体等に付着している放射性物質の持ち込み」を警戒して宿泊施設が避難者の受け入れを拒否したりする、児童が避難先の学校等で「放射能がうつる(感染する)」などといったいじめを受けるなどといった、風評被害および差別的対応が見られた。他にも、浜通りおよび近隣地域に点在するホットスポットを危険視する見方があるため、当該地域への人的役務の対価が高騰していることを悪用した人材派遣会社も現れた。具体的には、女川町(宮城県)へのトラック輸送役務契約と偽って派遣労働者に福島第一原発での瓦礫の撤去作業を行わせた等の事例があり、被災地外の人々への被害も出始めている。
韓国北西部の京畿道では、放射性物質を多く含む可能性を懸念して、事故後最初の降雨である2011年4月7日に学校の臨時休校措置が採られた。韓国政府機関は人体や環境に影響がないとして、教育当局に過敏にならないように配慮を求めた。臨時休校としなかったソウル特別市教育当局のウェブサイト上では、親たちからの不満が徐々に増えたが、授業を中止することはせずに、親たちに平静さを保つように呼びかけた。
農産物に関しては、2011年3月21日に食品衛生法上の暫定規制値を超えたとして一部の野菜に出荷停止措置がとられたが、翌22日には、出荷停止されていない茨城県産のチンゲンサイやレタスが小売業者から敬遠されて返品される、などといった被害も確認されている。菅直人総理は4月15日、福島県産のキュウリ、イチゴを自ら口にし、農作物の安全性をアピールした。その一方で、ジャーナリストの青木理と宮台真司は、「僕は福島の野菜は絶対に買いませんよ。」「(中略)政府の言うことを信じて福島の野菜を買うというのは、はっきり言ってアホでしょう。」と発言している。10月19日午前にテレビ放送された『とくダネ!』の中で、福島県の農家が米を捨てるためにJAあまくさの中古品の米袋に米を詰めるシーンがあったことから、2ちゃんねるやTwitterで「福島の農家がJA天草(熊本)の米袋に産地偽装してる」といった全く根拠のない解説が相次いで書き込まれ、このような意見のみを恣意的に集めたまとめサイトが問題となり、JAグループ熊本が「言われなき中傷」「悪意的ネット配信に対し、大変遺憾に感じ強く抗議します」と表明する事態が起きる等、農業の風評被害は全国に広がったる。
また、鋼材の輸出に関しても風評被害が出ているとの報告が、日本鉄鋼連盟からあった ほか、韓国では「日産・キューブが欲しいが放射能汚染が心配」と言う声があった。このほか、工業など多分野にわたる輸出製品が、取引先に表面線量の自主検査を依頼されるか、相手国で公的検査を受けるなどして打撃を受けた。
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