斎藤 慎太郎(さいとう しんたろう、1993年4月21日 - )は将棋棋士。第66期王座戦で王座を獲得。畠山鎮八段門下。棋士番号は286。奈良県奈良市出身。大阪府立桃谷高等学校卒業。愛称は「さいたろう」(後述)、「西の王子」。
羽生善治に関する漫画(くもん出版)を読んだことで将棋及び職業としてのプロ棋士に興味を持ち始める。
2004年9月、6級で奨励会に入会。順調に昇級・昇段を続ける。2008年1月、14歳で三段に昇段。三段リーグでは毎回のように昇段争いに加わりながら終盤に崩れて脱落していたが、8期目となる2011年度後期(第50回)で15勝3敗・1位の成績を修め、畠山鎮門下初のプロ四段となった。三段リーグ通算成績は95勝49敗・勝率.660で、同じ14歳三段・18歳四段昇段・8期在籍の佐藤天彦(94勝50敗・勝率.653)を上回る勝率である。また、三段時代から新人王戦と加古川青流戦にも参加していた。2012年5月25日、「斎藤慎太郎四段昇段祝賀会と十三(じゅうそう)棋道舘道場開席35周年記念祭」が盛大に行われた。
プロ初勝利は第43期新人王戦で、既に棋戦優勝経験がある菅井竜也から挙げた。順位戦には第71期(2012年度)より参加。当期はC級2組で9勝1敗(46人中3位)の好成績を修め、C級2組の1期抜けに成功。これに伴いプロ入りから1年に満たぬ間に五段へ昇段した。
2015年3月14日、電王戦FINALで第2回将棋電王トーナメント5位のAperyと二条城で対局。中盤以降優位に立ち、Aperyに勝利した。
2015年度に入り、自己最多の11連勝(2015年3月から年度をまたぎ14連勝)と好調で、4月23日、第28期竜王ランキング戦5組で決勝進出を決め、4組昇級が確定。前期6組3位での5組昇級と合わせて連続2回昇級となり、同日付で六段に昇段した。また、第41期棋王戦予選の決勝で村田顕弘に勝ち本戦に出場。そして、第74期(2015年度)順位戦C級1組では、9勝1敗・2位の成績でB級2組への昇級を決めた。この一年で将棋大賞の新人賞および勝率一位賞(40勝12敗・勝率.769)を受賞した。
2016年度は、前年度の成績優秀につき第66回(2016年度)NHK杯将棋トーナメントでシード(予選免除)となり、本戦トーナメントに初出場(前期の第65回NHK杯予選は決勝で、杉本昌隆に敗れている)。本戦1回戦では、師匠である畠山鎮が解説を務める放送で、平藤眞吾に勝利した。2回戦で順位戦A級・十八世名人資格保持者の森内俊之に勝利したが、3回戦で佐藤康光に敗北する。
第75期(2016年度)B級2組順位戦では、9勝1敗・1位の成績をあげB級1組への昇級と共にそれに伴う七段昇段を決めた。
第88期(2017年度)棋聖戦決勝トーナメントで森内俊之、木村一基・郷田真隆・糸谷哲郎を破り、羽生善治への挑戦権を獲得。自身初のタイトル戦となる羽生との五番勝負は1勝3敗に終わり、タイトル獲得はならなかった。
第66期(2018年度)王座戦挑戦者決定トーナメントで高見泰地・久保利明・藤井聡太・渡辺明を破り、中村太地への挑戦権を獲得。10月30日に王座戦5戦目で中村太地を破って3勝2敗とし、初タイトルを獲得。
第67期(2019年度)王座戦は、挑戦者の永瀬拓矢から0勝3敗のストレート負けに終わり、タイトルを失冠した。同年度の第32期竜王戦では、1組昇級を決めた。
2020年2月13日、第78期順位戦B級1組12回戦において、阿久津主税八段に勝利。同じく3敗で並んでいた行方尚史九段と千田翔太七段が敗れたことにより、2位となることが確定しA級への昇級を決め、同時に八段に昇段した。
A級1期目となる第79期順位戦は好成績で推移し、豊島将之に1敗を喫したものの最終結果は8勝1敗で渡辺明名人への挑戦権を獲得した。B級1組から直近の昇級者が挑戦者となるのは前期の渡辺に続き2期連続、A級1期目の棋士が挑戦者となるのは第75期の稲葉陽以来だった。自身初の2日制タイトル戦となった七番勝負では開幕局を劣勢からの逆転で制したものの、第2局から4連敗を喫し、1勝4敗で退けられた。
A級2期目の第80期順位戦でも開幕から8連勝し、最終局を待たずに渡辺名人への挑戦権を獲得した。最終局で糸谷哲郎に敗れたため、A級の最終結果は8勝1敗。名人戦七番勝負は1勝4敗と渡辺に退けられた。
A級4期目の第82期順位戦では、この期の挑戦者となる豊島将之(7勝2敗)に黒星を付けるも、斎藤自身は3勝6敗の成績でB級1組へ降級となった。
居飛車党でじっくりした将棋を好むと自身が公言している通り、持ち時間が長い棋戦で才能を発揮する傾向がある。電王戦での二つ名は「超光速の詰士」。
斎藤は10歳のときに畠山鎮に弟子入りしている。その際に弟子志願の手紙を出しており、「こんな幼い子供の師匠になる自信がない」と対応に窮した畠山が谷川浩司に相談したところ、「子供なりに考えて手紙を出したのだから、縁を大事にして引き受けたらいいよ」とアドバイスされ、畠山は弟子入りを引き受けることにしたという。
当初、畠山は指導対局を行わないつもりでいたが、斎藤の熱意に押される形で月に2、3回、1年に100局以上のペースでプロ入りまで8年続いたという。
2018年度の第77期順位戦では両者ともB級1組に所属することとなり、順位戦では24年ぶりとなる師弟対決が実現した。順位戦での師弟対決は、総当たりとなるB級1組以上でしか組まれない。結果は畠山の勝利に終わり、第78期順位戦での対戦でも畠山が勝利した。
2022年に放送された第1回ABEMA師弟トーナメントでは、チーム畠山としてタッグを組み、優勝を果たした。
「好きを通り越して愛している」と公言する程の詰将棋愛好家であり、奨励会員時代から詰将棋解答選手権に参加し、第6回(2009年)で3位・第7回で5位・第8回~第9回で連続優勝と、その手腕を発揮している。プロ入り内定直後に行われた第9回の優勝インタビューでは、「僕の成績というより、今年は作品群が素晴らしく、素晴らしい作品を解かせていただいて幸せ」と発言した。
第16回(2019年)詰将棋解答選手権では第2ラウンドにおいて、この大会で優勝した藤井聡太七段(当時)より5分早く解答したうえに出場者の中で唯一の満点を出し準優勝した。
また、作家としても月刊「詰将棋パラダイス」誌で複数回の入選、半期賞の受賞も果たしている。2022年には133手詰めの作品を発表した、これは煙詰にもなっている。
昇段規定は、将棋の段級 を参照。
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