イフリート (EFREET) は、「ガンダムシリーズ」に登場する架空の兵器。有人操縦式の人型機動兵器「モビルスーツ (MS)」のひとつ。初出は、1995年発売のスーパーファミコン用ゲーム『機動戦士ガンダム CROSS DIMENSION 0079』。
作中の敵側勢力であるジオン公国軍の試作機で、高性能な陸戦型の機体。ゲームのオリジナル・ストーリーである「死にゆく者たちへの祈り」において、ウルフ・ガー隊隊長のヘンリー・ブーン大尉の乗機として登場する。
当記事では、ほかのゲームやアニメ作品などに登場するバリエーション機についても解説する。
メカニックデザインは大河原邦男が担当。
『機動戦士ガンダム CROSS DIMENSION 0079』のゲームデザイナーである神谷春輝によれば、デザインのイメージは侍とされる。また、カラー画稿では肩と脚の端が白く塗られているが、ゲーム画面では赤い。後年のゲームやカードで描かれる際はカラー画稿に準拠している。
ジオン公国軍地球侵攻部隊が独自に設計・開発したMS。型式番号からグフとドムの中間に位置する機体ともいわれる。大推力のスラスターを採用し、のちのゲルググをも凌駕する推力を有する。
生産数は8機のみで、量産はされていない。その理由としては、ジオン官僚が宇宙至上主義であったからというものと、カスタムメイド機であり、生産性や操作性が劣悪であったからというものがある。なお本機のほか、08の型式番号をもつ機体としてはYMS-08A 高機動型試作機が存在するが、機体としての関連性はない。
「死にゆく者たちへの祈り」では、試作機を改造した004号機がウルフ・ガー隊に配備され、連邦軍アルバトロス隊のピクシーと交戦する。なお同ゲームでは、ピクシーが勝利した場合と本機が勝利した場合の2つのエンディングがある。
ゲーム『機動戦士ガンダム サイドストーリーズ』のシナリオ「ミッシングリンク」では、5号機に当たるマルコシアス隊隊長ダグ・シュナイド大尉の専用機が登場する。シュナイドのパーソナル・カラーである紫に塗装され、左肩にマルコシアス隊の部隊章が描かれている。また、自機の戦闘スタイルに合わせ、試作格闘兵器のヒート・ランサーとグフカスタムの3連装ガトリング砲を装備する。キャリフォルニア・ベースから脱出する際にフレッド・リーバーのピクシーと機体を交換し、本機は彼の機体として一年戦争の終結を迎えることとなる。その後、十数年にわたり乗り手を転々としつつ継続して改修された後にリーバーのもとに戻り、イフリート・シュナイドと名付けられた(後述)。
ゲーム『機動戦士ガンダム バトルオペレーション Code Fairy』では、北米の秘匿部隊「ノイジー・フェアリー」に1機が配備される。近接戦闘が得意なアルマ・シュティルナー少尉のために用意されるが、ヘレナ・ヘーゲル曹長の要望で彼女の機体となり、急遽調整される。カラーリングは標準塗装を踏襲するが、各部スパイクは青く塗られている。その後、後述のイフリート・イェーガーに改修される。
スマートフォンゲームアプリ『機動戦士ガンダム U.C. ENGAGE』のイベント「0079 真紅の稲妻」内のムービーでは、一年戦争終結直前のキマイラ隊の巨大プラント船「ミナレット」に1機が搭載されているのが確認できる。
OVA『機動戦士ガンダム 第08MS小隊』ではノリス・パッカードの乗機として登場する予定だった。
また、テレビアニメ『∀ガンダム』の企画当初には本機が発掘されて登場する案があったが取り止めとなり、別機体ではあるがキャノン・イルフートの名称にこの経緯の名残が見て取れる。
ゲーム『機動戦士ガンダム外伝 THE BLUE DESTINY』に登場。
クルスト・モーゼス博士が地球連邦へ亡命する前に開発した機体であり、「EXAMシステム」を搭載した実験機となる。開発ベースには8機試作されていたイフリートの1機が使用された。冷却システムを含めた装置全体が大型で頭部に収まりきらなかったため、頭部自体を大型化して搭載している。元々イフリートが接近戦を想定していたことから機動性が高く、EXAMシステムによって運動性は飛躍的に向上している。また、多数のミサイル類を装備したことにより、攻撃力も高い。ボディユニットの冷却機関や機動性も増強されている。
ゲームでは、ニムバスが搭乗して地球連邦へ亡命したクルストを追撃するが、ブルーディスティニー1号機との死闘の末、擱座する。しかし、ニムバスは隙を突いて1号機の頭部をグレネードで破壊し、直後に当機も爆散する。小説版では、勝負を不利と判断したニムバスが本機を捨てて脱出した直後、自動操縦で1号機を妨害するも頭部をビームサーベルで貫かれて機能停止する。なお、敗因についてニムバスは「機体性能の差か」と述べている。漫画版では長期間に渡ってイフリート改を運用したことで、元々イフリートの脚部に深刻なダメージが蓄積されており、生産数の少ない機体である事から、修理用のパーツを揃えるのが困難な状況であり、ニムバスの卓越した操縦技術とメカニック達の技術でイフリートへの負担を最小限に留めて整備をしていたが、徐々に脚部が限界が近づいており、ブルーディスティニーとの戦闘中に脚部のダメージが限界まで達したため、敗北したとなっている。
たいち庸作画による漫画『ザ・ブルー・ディスティニー』に登場。メカニックデザインはプロモデラーのNAOKIが担当。
EXAMシステムの開発初期に使用された宇宙試験用のバリエーション機。
ベース機のイフリートは装備を換装することで宇宙戦にも対応可能であるが、当仕様はEXAM発動時の高速戦闘実験のためにさらに強化されている。両肩の装甲がゲルググに似た形状となり、2本の円筒プロペラントタンクを接続したバックパックと、すね側面に増設されたスラスター内蔵の増加装甲をもつ。両前腕には3連装式のランチャーが増設されている。
ゲーム『機動戦士ガンダム戦記』に登場。夜間戦闘用の機体であり、機体名称の「ナハト」はドイツ語で「夜」を意味する。メカニックデザインはカトキハジメ。
機体コンセプトは忍者で、ゲーム開発の早い段階で直刀とクナイを武器とすることが決まっていた。また腕部は機体コンセプトに沿って籠手風にデザインされている。
特殊なジャミング機能を搭載したステルス特化機で、ジオン公国軍のマ・クベ大佐が開発に関わっている。夜間戦闘に適した紫色のカラーリングが施され、熱探知対策のために胸部・バックパックの排熱口と股間部の補助スラスターを廃止、バックパックのメインスラスターには開閉可能な可動蓋が設けられている。機体の隠密性を活かすため熱探知を避けた実体刀剣型の兵装を装備し、高い白兵戦能力を有する。
アニメ版『機動戦士ガンダムUC』に登場。「シュナイド」とはドイツ語で「気骨」「勇気」を意味する。その後に発売されたゲーム『機動戦士ガンダム サイドストーリーズ』にて、かつて本機に搭乗していた搭乗者ダグ・シュナイドを由来に名付けられたと設定された。
一年戦争からラプラス戦争に至る十数年に渡って改修され続けてきた機体であり、肩部装甲や左前腕、臀部にクナイ状の投擲武器「ヒート・ダート」を装備している。通常のイフリートは両肩のアーマーにスパイクが装備されているが、本機はヒート・ダート用のマウントラッチとなっており、ヒート・ダートがスパイクのように装備される。ヒート・ダートは両肩と前後を合わせて8本、左手の籠手に4本、臀部に2本の計14本を装備する。たび重なる改修の結果、ジェネレーター出力は原型機の約2倍になっており、それによりアクチュエーターの駆動トルクを向上させ、高い瞬発力を得ている。ジェネレーターの強化に伴い、胸部インテークを排熱効率の高いものに換装している。塗装は、原型機の紫をそのまま引き継いでいる。
ゲーム『機動戦士ガンダム バトルオペレーション Code Fairy』に登場(型式番号:MS-08TX[NF])。メカニックデザインは瀧川虚至。
ヘレナ・ヘーゲル曹長の機体を、ミア・ブリンクマン技術少尉のプランをもとに改修した機体。ヘレナの新たな戦闘スタイルに合わせてあり、近接戦闘から狙撃までをおこなうことが可能となっている。さらに、オデッサで開発されていたイフリート・ナハトの技術が盛り込まれることである程度のステルス性をもち、移動を敵に察知されにくくなり、近接戦闘から狙撃までをおこなうことが可能となっている。また、ナハトと同じく脚部に高速移動用のスラスターが増設されている。右膝にはザクI・スナイパータイプと同様に伸縮式のニー・パッドが装着され、狙撃姿勢を支える。頭頂部ブレード・アンテナは廃され、右肩と左前腕部甲に小型のシールドが装備されている。
武装は弾種の切り替えが可能で対空迎撃も可能な専用の実弾狙撃ライフルが開発され、ほかに臀部にストックを廃したソードオフ・ショットガン、左腰にククリ形のヒート・ナイフ、左膝側面にチャフ・クラッカー2基を装備するが、装備が増えたことで機動性が多少犠牲となっている。また、第11話の待ち伏せ時のみザクI・スナイパータイプのビーム・スナイパー・ライフルを携行している。塗装は部隊カラーの薄紫と白を基調に、一部ダーク・グレーで塗り分けられており、左肩のスパイクは青で塗られている。
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