道東自動車道(どうとうじどうしゃどう、英語: DOTO EXPWY)は、北海道千歳市の千歳恵庭ジャンクション (JCT) から、北海道釧路市の阿寒インターチェンジ (IC) 及び足寄郡足寄町の足寄ICに至る高速道路である。
略称は道東道(どうとうどう)、十勝地方の通行区間の愛称は「十勝スカイロード」。国土開発幹線自動車道及び高速自動車国道である北海道横断自動車道の一部である。
高速道路ナンバリングによる路線番号は、千歳恵庭JCT - 本別JCT - 阿寒IC間が「E38」が、本別JCT - 足寄IC間は「E61」が割り振られている。
道央道と接続する千歳市の千歳恵庭JCTを起点とし、中川郡本別町の本別JCTで分岐して、釧路市の阿寒ICと足寄郡足寄町の足寄ICをそれぞれ結ぶ。このうち、北海道横断自動車道黒松内北見線の一部に相当する本別JCT - 足寄IC間は、ドラぷらE-NEXCOドライブプラザのルート検索では「道東自動車道(端野支線)」と称されている。
夕張IC - 十勝清水IC間は急峻な日高山系に阻まれて建設工事が難航した。そのため先行開通した十勝区間は道内の他の高速道路と接続がない「飛び地状態」が長らく続き、交通量は低迷していた。しかし2011年(平成23年)10月29日の夕張IC - 占冠IC間の開通で既存の高速道路である道央道と直結されることとなり、飛び地状態が解消、交通量も大幅改善された。
その後も延伸を続け、2016年(平成28年)3月12日には阿寒ICまで開通して北海道の日本海側の大都市札幌市と太平洋岸の都市釧路市とが高速道路で一本に繋がった。更に釧路市の釧路西ICやその先の東端の町・根室方面へ延伸する計画となっている。後者は根室道路の温根沼IC - 根室IC(約7.1 km)が開通したが、残りは2019年度(平成31年度・令和元年度)に釧路外環状道路と根室道路の中間にあたる区間の一部が尾幌糸魚沢道路として事業化されたのみである。
1957年(昭和32年)に国土開発幹線自動車道の主要幹線道路とされたが、建設が遅れていた。
1995年(平成7年)10月30日に十勝清水IC - 池田IC間が先行開通。 あまり利用の見込めない十勝地方内だけの開通となり、本来の利用目的である札幌・道東圏の移動時間短縮などのメリットは全くといって良いほど得られなかった。事実、開通1カ月の1日の利用台数は1,080台程度と低迷し、当時の全国の高速道路ではワーストの営業係数を記録していた。マスコミや国会でも「不要な高速道路」の代表例として挙げられる始末で、一刻も早い札幌圏直結が望まれることとなった。
1999年(平成11年)10月7日に千歳恵庭ジャンクション - 夕張IC間が開通し、同区間の開通1カ月の1日の利用台数は2,500台程度と予想を上回った。
2007年(平成19年)10月21日にトマムIC - 十勝清水IC間が開通し、道内の高速自動車国道では初めて日高山系を横断した(これより5年前の2002年には、これより北に位置する大雪山系を横断する高規格幹線道路・旭川紋別自動車道の北大雪トンネルが開通している)。
2009年(平成21年)10月24日に占冠IC - トマムIC間が開通し、道東道へのアクセスが劇的に改善した。これにより、並行する国道38号・国道274号の難所として悪名高い狩勝峠や日勝峠を迂回できるようになったため、同区間の開通後は並行国道からの物流・交通の大幅なシフトが見られた。実際、2010年(平成22年)12月23日 - 2011年(平成23年)1月4日までの間の1日当たりの利用台数が14,716台と前年の2倍に伸びている。
2011年(平成23年)10月29日に夕張IC - 占冠IC間が開通し、高速自動車国道のみで札幌都市圏と帯広都市圏の往来が初めて可能になった。
2011年11月7日、NEXCO東日本は夕張IC - 占冠IC間開通後1週間の1日平均通行台数が6,500台で当初予想していた約2倍の数値であった事が発表される。また同区間開通により並行する日勝峠の通行台数が約5%減少したとした。12月2日には、NEXCO東日本と北海道開発局が開通から1ヶ月後(11月30日まで)の1日平均 5,200台と、予想の約1.6倍であると発表した。また、勾配の大きいトマムIC - 十勝清水IC間では、大型連休を中心に10 km以上の渋滞が札幌方面に発生し、2016年(平成28年)には28.5 kmに達したことから、道内屈指の渋滞箇所となっている。なお、千歳東IC - 追分町IC間も約1.6倍、トマムIC - 十勝清水IC間は約1.7倍となっている。一方、夕張市とむかわ町穂別の並行する国道274号は交通量が約60%以上減少し、開通前の半分以下になった。
2016年(平成28年)、台風10号の襲来により、狩勝峠・日勝峠を含む国道38号・国道274号、さらには鉄道のJR北海道石勝線・根室本線に大きな被害を受け、復旧の見込みが立たない中、道東道はいち早く復旧し、道央と道東を直結する唯一の交通路として、占冠IC - 十勝清水IC間内相互発着に限り、無料開放が行われた。
2022年(令和4年)、8月15日からの豪雨により、日勝峠で土砂崩れが発生し、災害通行止めとなったため、占冠IC - 十勝清水IC間の相互を流出入する場合に限り、迂回路として無料措置が取られた。
平成22年度において千歳恵庭JCT - 千歳東ICを除く区間では、高速道路無料化社会実験が行われていた。
2010年(平成22年)6月28日より無料化社会実験が実施され、2012年(平成24年)3月まで実施される予定となっていたが、2011年(平成23年)3月11日に発生した東日本大震災の復興費用確保のため、同年6月19日をもって凍結された。
対象区間は、千歳恵庭JCT - 夕張IC間、占冠IC -(本別JCT) - 本別IC間、本別JCT - 足寄IC間の3区間である。終日、全車種(ETC搭載車、非搭載車ともに対象)を対象とした。2011年(平成23年)10月に夕張IC - 占冠IC間が開通した後に、上記の社会実験区間に追加される予定であったが、東日本大震災の復興費用確保のため、一度も実施される事なく凍結されている。
6か所のSA・PAが設置されているが、いずれも常設売店はなく、トイレ以外の充実した休憩施設は存在しない。ガソリンスタンドも長らくの間設置されていなかったが、2013年(平成25年)7月13日、由仁PAにガソリンスタンドがオープンした。また、由仁PA、占冠PA、十勝平原SAでは期間限定で仮設売店が設置されることがある。
新直轄区間の白糠ICには白糠IC除雪ステーションがあるが、駐車場とトイレが一般に開放されているため、上下線併用のPAとしての機能を果たしている。ただし、自動販売機は設置されていない。
※ 全区間、対面通行(暫定2車線)
※ 全区間、対面通行(暫定2車線)
※道東自動車道のトンネルはすべて対面通行のため、上下線で共通。
千歳恵庭JCT - 十勝清水ICは対距離制。十勝清水IC - 本別IC・足寄ICは別料金。本別IC - 阿寒ICは新直轄方式のため無料。
途中通行止めとなり、一旦高速道路を降り再度乗り継いだ場合、通常は利用距離に応じ料金調整が行われるが、NEXCO東日本によると他の高速とは異なる料金体系のため、距離制であるにもかかわらず、調整前後で料金が変わらないという区間が存在する。
24時間交通量(台) 道路交通センサス
(出典:「平成22年度道路交通センサス」・「平成27年度全国道路・街路交通情勢調査」・「令和3年度全国道路・街路交通情勢調査」(国土交通省ホームページ)より一部データを抜粋して作成)
※白糠IC - 阿寒IC 2016年3月12日からの一週間調査平均 4,100
24時間交通量(台) 道路交通センサス
(出典:「平成22年度道路交通センサス」・「平成27年度全国道路・街路交通情勢調査」・「令和3年度全国道路・街路交通情勢調査」(国土交通省ホームページ)より一部データを抜粋して作成)
2012年(平成24年)11月10日に道央自動車道の森IC - 大沼公園IC間開通時、同区間の暫定2車線区間として初めて中央線にワイヤロープ式の防護柵が導入された後、道東自動車道の夕張IC - 占冠IC (5.0 km) にも試験的設置が行われた。これはかねてより国立研究開発法人土木研究所寒地土木研究所において、スウェーデンで採用されている同様の防護柵を参考に研究が積み重ねられ、全国の高速道路で試験的に導入された物の一つであるが、その後全国的に中央線ワイヤロープ防護柵の車両逸脱事故防止効果の高さが実証された事から、2018年(平成30年)6月15日に国土交通省が、全国の暫定対面2車線区間の高速道路全路線部分について中央線ワイヤロープ防護柵の設置を発表し、そのうち道東自動車道部分については、技術的に設置困難な橋梁・トンネル部分を除いて千歳恵庭JCT( - 本別JCT) - 本別IC・本別JCT - 足寄ICでの設置が予定されている。
また「防災・減災、国土強靭化のための3か年緊急対策」としてトマムIC - 十勝清水ICの一部(広内トンネル他)が、4車線化工事を行う候補区間としてあげられた。
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