参議院比例区(さんぎいんひれいく)は、日本の参議院議員通常選挙の比例代表制で選出される選挙を区分するための通称である。
正式には「比例区」という名称の選挙区は存在しないが、前身の「全国区」のような名称がないために、マスコミや政党をはじめ広く一般的に使用されている。
概要
第12回参議院議員通常選挙まで行われていた全国区制の選挙では非常に選挙費用がかかるため金権選挙になること、知名度の高いタレント候補者や大きな組織を背景に選挙を戦う候補者に有利な選挙制度であること、候補者の過労死が相次いだことから、1983年(昭和58年)の第13回参議院議員通常選挙から厳正拘束名簿式の比例代表制が導入された。
2001年以降は参議院比例区で非拘束名簿式が採用され、有権者は「政党名」又は「候補者名」で投票可能となった。非拘束名簿式では、衆院選の比例制度とは異なり、当選順位は「個人名での得票数の多さ」で決まる(2019年参院選以降は特定枠という例外がある)。
全国で50の当選枠を狙う候補者にとっては、有権者からどれだけ多く「候補者名」での得票を集められるかが当落を大きく左右するため、全国的に見ても規模が大きい職能団体や業界団体などの利益団体の組織内候補や全国的な知名度が高い芸能人やスポーツ選手などの著名人(タレント候補)が当選しやすい制度である。
沿革
- 1983年(昭和58年)第13回参議院議員通常選挙 - 拘束名簿式での比例代表制を導入。
- 2001年(平成13年)第19回参議院議員通常選挙 - 非拘束名簿式に変更。
- 2019年(令和元年)第25回参議院議員通常選挙 - 政党が優先的に当選人となるべき候補者を特定枠として任意に指定できるようになり、従来の方式と拘束名簿式が混合する形となる。
定数
以下の定数は一回の選挙ごとの比例区の定数である。参議院の場合、3年ごとに半数を改選する制度となっているため、総議席数に占める比例区選出議員の定数は以下の定数の二倍となる。
- 1983年(昭和58年) - 1998年(平成10年): 50
- 2001年(平成13年) - 2016年(平成28年) : 48
- 2019年(令和元年) - 現在 :50
選挙結果
第26回(2022年)
- 熊野正士の辞職により宮崎勝が繰り上げ当選(2022年10月7日)。
- 水道橋博士の辞職により大島九州男が繰り上げ当選(2023年1月16日)。
- ガーシーの参議院議員除名処分により齊藤健一郎が繰り上げ当選(2023年3月24日)。
- 次点者
第25回(2019年)
- この選挙より非拘束名簿式(特定枠設置)に変更、定数2増
- 立花孝志の埼玉県選挙区補欠選挙立候補(落選)に伴う失職により浜田聡が繰り上げ当選(2019年10月23日)。
- 北村経夫の山口県選挙区補欠選挙立候補(当選)に伴う失職により比嘉奈津美が繰り上げ当選(2021年10月21日)。
- 宮本周司の石川県選挙区補欠選挙立候補(当選)に伴う失職により中田宏が繰り上げ当選(2022年4月15日)。
- 三木亨の徳島県知事選挙立候補(落選)に伴う辞職により辞職により田中昌史が繰り上げ当選(2023年1月18日)。
- 吉田忠智の大分県選挙区補欠選挙立候補(落選)に伴う辞職により大椿裕子が繰り上げ当選(2023年4月6日)。
- 室井邦彦の死去により藤巻健史が繰り上げ当選(2024年1月18日)。
- 須藤元気の東京15区補欠選挙立候補(落選)に伴う失職により市井紗耶香が繰り上げ当選(2024年4月26日)。
- 市井紗耶香の辞職により奥村政佳が繰り上げ当選(2024年5月13日)。
- 次点者
第24回(2016年)
- 長沢広明の辞職により竹内真二が繰り上げ当選(2017年10月13日)。
- 髙階恵美子の第49回衆議院議員総選挙立候補(当選)に伴う失職により竹内功が繰り上げ当選(2021年10月29日)。
- 藤末健三の辞職により田城郁が繰り上げ当選(2022年6月27日)。
第23回(2013年)
- 渡辺美知太郎が2019年4月12日に参議院議員を辞職したが、2014年11月にみんなの党が解党された際に比例名簿を取り下げたため、繰り上げ当選は行われず任期満了まで欠員となった。
第22回(2010年)
- 上野宏史の第46回衆議院議員総選挙立候補(当選)に伴う失職により真山勇一が繰り上げ当選(2012年12月14日)。
- 小熊慎司の第46回衆議院議員総選挙立候補(当選)に伴う失職により藤巻幸夫が繰り上げ当選(2012年12月14日)。
- 桜内文城の第46回衆議院議員総選挙立候補(当選)に伴う失職により山田太郎が繰り上げ当選(2012年12月14日)。
- 中村博彦の死去により堀内恒夫が繰り上げ当選(2013年8月6日)。
- 藤巻幸夫の死去により田中茂が繰り上げ当選(2013年8月6日)。
- 佐藤ゆかりの辞職により阿達雅志が繰り上げ当選(2014年12月4日)。
第21回(2007年)
- 山本孝史の死去により大石尚子が繰り上げ当選(2007年12月28日)。
- 遠山清彦の辞職により草川昭三が繰り上げ当選(2008年9月12日)。
- 青木愛の第45回衆議院議員総選挙立候補(当選)に伴う失職により広野允士が繰り上げ当選(2009年8月22日)。
- 田中康夫の第45回衆議院議員総選挙立候補(当選)に伴う失職により平山誠が繰り上げ当選(2009年8月31日)。
- 西岡武夫の死去によりはたともこが繰り上げ当選(2011年11月10日)。
- 大石尚子の死去により玉置一弥が繰り上げ当選(2012年1月17日)。
- 今野東の第46回衆議院議員総選挙立候補(落選)に伴う失職により樽井良和が繰り上げ当選(2012年12月14日)。
- 義家弘介の辞職により武見敬三が繰り上げ当選(2012年12月14日)。
- 室井邦彦の辞職により尾辻かな子が繰り上げ当選(2013年5月23日)。
- 大江康弘の辞職により山村明嗣が繰り上げ当選(2013年6月5日)。
第20回(2004年)
- 竹中平蔵の辞職により神取忍が繰り上げ当選(2006年10月4日)。
第19回(2001年)
- この選挙より非拘束名簿式に変更
- 高祖憲治の辞職により中島啓雄が繰り上げ当選(2001年4月23日)。
- 大橋巨泉の辞職によりツルネン・マルテイが繰り上げ当選(2002年2月8日)。
- 田嶋陽子の2003年神奈川県知事選挙に立候補(落選)に伴う失職により田英夫が繰り上げ当選(2002年4月8日)。
- 筆坂秀世の辞職により小林美恵子が繰り上げ当選(2002年7月7日)。
- 近藤剛の辞職により藤野公孝が繰り上げ当選(2002年11月26日)。
主要政党別得票数
拘束名簿式
非拘束名簿式
非拘束名簿式(特定枠設置)
脚注
注釈
出典
関連項目
- 全国区制
- 職能代表制
- 厳正拘束名簿式
- 非拘束名簿式
- 特定枠
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