高坂駅(たかさかえき)は、埼玉県東松山市大字高坂にある、東武鉄道東上本線の駅である。駅番号はTJ 28。
島式ホーム1面2線を持つ地上駅で、橋上駅舎を有している。改札階とホーム、西口・東口をそれぞれ連絡するエスカレーター・エレベーター、および空調付きホーム待合室が設置されている。かつては、売店は「ACCESSとーぶ」が改札階に出店していた。
駅舎の西口側は三角屋根の時計台が設けられた北欧風にイメージされたデザインで、駅西口通りもレンガ舗装でありレトロ調になっている。竣工時点ではこのようなデザインが重視された駅舎は珍しいものだったため、新聞やテレビ番組でも話題になり、さいたま建築景観賞や関東の駅百選に選定されている。
トイレは駅舎の改札内にあり、バリアフリー化された多機能トイレを併設しているほか、改札外には西口の駅前広場内に東松山市が「爽やかさん」という愛称名で設置している。
上下本線の外側に側線が各1本あり、本線の池袋方には下り線から上り線への渡り線が設置されており、運行障害時には川越市駅~森林公園駅間の中間で停まった列車の退避場所として本線も含めて使われるほか、川越工場出場車の試運転は川越市駅~当駅間で実施されていたことから折返し待機時用に乗務員乗降用デッキが設けられている。
2022年度の1日平均乗降人員は21,516人である。
近年の1日平均乗降人員および乗車人員の推移は下記の通り。
西口は1986年(昭和61年)に高坂駅西口土地区画整理事業によって開設され、現在では当駅の表玄関口となっている。
周辺地域には大規模新興住宅地、大東文化大学の東松山キャンパス、東京電機大学理工学部の埼玉鳩山キャンパス(鳩山町)、山村学園短期大学(鳩山町)、埼玉県こども動物自然公園などがあることから路線バスや大学スクールバスなどの発着が多く、駅前ロータリーにはペデストリアンデッキが設けられている。
周辺は都市景観100選に選定された隣接する「高坂ニュータウン」(URむさし緑園都市高坂地区)と一体となって整備が行われた、ゆったりとした街並みが広がる。駅前通りは幅の広い歩道にベンチが随所に配置され、高田博厚の彫刻作品32点が展示された「高坂彫刻プロムナード」となっており、千年谷公園・松風公園といった大きい公園を結ぶ、ひきのみち(緑道)へと続いている。
また、複数の大規模大学や短大の最寄り駅という性格柄、西口周辺はアパートや学生寮など学生・単身者物件を中心に発展したこともあり、学生人口の割合が高い地区になっている。西口にはタクシーが常駐している。
東口では、2018年12月に駅前ロータリーが完成した。周辺はかつて道路が狭い場所が多かったが、1994年(平成6年)から高坂駅東口第一土地区画整理事業が実施されている。駅周辺は高台に位置しているが東側は土地が低くなっており、境となる斜面は「七清水せせらぎ緑道」として整備されている。ここより東側は「うらら花高坂」(URむさし緑園都市高坂駅東口第二地区)の開発が行われ、駅前通りによって結ばれている。
東口側は駅前にある店舗は少ないが、駅から1kmほどの国道407号沿いには大型ショッピングモールや大型量販店などが並ぶ、ロードサイド型ショッピングゾーンとなっている。徒歩約12分、路線バス利用も可能である。
その他、宇宙航空研究開発機構地球観測センター(イベント開催時)、日立製作所中央研究所基礎研究サイト(旧:基礎研究所)などの送迎バスも発着している。
大東文化大学、東京電機大学は駅前広場にそれぞれスクールバス乗り場を持つが、乗降可能なスペースに制限があることから、朝の通学集中時間帯は両大学とも駅前からの発着便を設けずに、離れた場所にある各大学の専用発着所で発着している。高坂駅西口駅前広場改修工事の完了に伴い、大東文化大学の朝時間帯の乗り場は2014年(平成26年)3月27日から駅近くの発着所に変更される。
東松山市神戸地区で採掘される粘土の運搬を主目的としたセメント原料運搬専用路線で、1955年(昭和30年)10月に採掘場の所有者である日本セメント(現・太平洋セメント)によって「日本セメント(株)東松山専用鉄道」として開通した。その後は東松山鉱業所で採掘事業を行うグループ会社の秩父鉱業に移管され「秩父鉱業(株)東松山鉱業所専用線」となるが、採掘量の減少などからダンプカーでの輸送に切り替えられたため、1984年(昭和59年)7月31日に廃止された。区間は高坂駅 - 葛袋駅 - 高本駅で5.5kmの距離があり、採掘所は葛袋と高本の2か所にあったため中間に葛袋駅が設けられており、葛袋駅跡は当時の東松山市大字葛袋に所在し、これは現在のばんどう山第2公園(東松山市坂東山13)付近で、しまむら商品センターと佐川急便の間にある道に向かってカーブしながら留置線が設置されていた。高本駅跡は清澄ゴルフ倶楽部私有地内のコース管理課(東松山市大字神戸1723)の建物付近でその先にある池の向こうまで線路が延びていた。
路線の管理は全て東武鉄道が行っており、路線名は「東武鉄道高坂構外側線」(通称:東武鉄道高本線)である。開通当初は東武鉄道所属の蒸気機関車が使用されていたが、1959年(昭和34年)の東上線無煙化に合わせて全線電化され、電気機関車によって運行されていた。貨車は日本セメント時代は東武鉄道に車籍を有し東上線常備車となっていた日本セメント私有のホッパ車(ヲキ1形)が使用されていたが、秩父鉱業になると東武鉄道所有の無蓋車(トキ1形)が使用され、最盛期には1日6往復運行されていた。
高本駅周辺の採掘所は1980年代に閉鎖され、1993年(平成5年)に太平洋セメント系列の「清澄ゴルフ倶楽部」としてオープンした。葛袋駅周辺の採掘所は近年までダンプカーによる輸送が行われていたがセメント用粘土原料の使用量減退から2008年(平成20年)に閉鎖され、跡地は「東松山葛袋産業団地」として開発された。廃線跡として関越自動車道を跨ぐ専用線の橋(葛袋3号橋)などが残っていたが、葛袋3号橋は2013年(平成25年)6月に撤去された。
高坂駅構内にも当時、西側に3本の留置線が存在しており東上線と高坂構外側線の行き来する貨物列車の操車が行われていたが、駅舎改築時に構内の配線が大幅に変更されたため、現在の配線に当時の面影はほとんど残っていない。
廃線跡は太平洋セメントから東松山市に寄贈された。東松山市では2016年9月に廃線跡を遊歩道「まなびのみち」として2年がかりで整備する計画を立てている。2017年4月5日、高坂駅側の約3.1 km(化石と自然の体験館まで)が開通した。
なお、廃線跡に並行して鳩山町営路線バス(高坂駅 - 上熊井 - 越生駅)が運行されている。
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