2017 ワールド・ベースボール・クラシック(英語: 2017 World Baseball Classic)は、ワールド・ベースボール・クラシック・インク(WBCI)主催により2017年に開催された世界野球ソフトボール連盟(WBSC)公認の世界選手権大会、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の第4回大会である。
大会概要
- 主催
- ワールド・ベースボール・クラシック・インク(WBCI)
- 日程
- グローバルパートナー
- ガンホー・オンライン・エンターテイメント
- ウブロ
- 日本通運
- 野村證券
- トラベルサポート
- 各ラウンド主催・スポンサー
- 主催:WBCI、読売新聞社
- 特別協賛:ガンホー・オンライン・エンターテイメント、日本通運、アサヒビール(冠協賛)
- 協賛:イオンフィナンシャルサービス、ENEOS、ウブロ、野村證券
- 公式プレイガイド:ローソンチケット
- 協力:ミズノ、ブルックス・ブラザーズ・ジャパン、JTB、ザバス
- ソウルラウンド
- マイアミラウンド
- ハリスコラウンド
- サンディエゴラウンド
- ロサンゼルスラウンド
大会ルール
参考
- 指名打者制(DH制)を採用
- ロースター
- 2017年2月6日までに、最終ロースターに含まれる28選手(投手13人以上、捕手2人以上)と監督1人、コーチ6人のリストを提出する。
- 予備投手登録が可能(後述)
- 投手の投球制限
- 第1ラウンドでは65球まで、第2ラウンドでは80球まで、準決勝と決勝は95球までを原則とする。
- 50球以上の投球である場合は中4日以上、30球以上である場合は中1日以上の登板間隔をあけること。
- ただし準決勝は第1試合も第2試合の日に行われたものとして扱う。
- 球数に関わらず2日連続で投球した場合は、登板間隔を中1日空けること。
- 日本語サイトでは「連投」としている訳が多いが、原文では「consecutive day」となっており試合の間隔が1日空いている場合は3試合連続で登板可能である。
- MLB球団の契約下にある選手は、強化試合にも投球数制限を適用し、49球あるいは個々に設定した投球数のどちらか少ないほうを上限とする。
- MLB球団の契約下にある投手以外の選手は、強化試合1試合、本大会1試合に登板することができる。
- 点数差によるコールドゲーム
- 第1・第2ラウンドは、7回以降で10点差以上、あるいは5回以降で15点差以上つけば、コールドゲームとする。
- 延長戦(タイブレーク)
- 延長11回からタイブレークを採用。ノーアウト1・2塁の段階という設定から試合を行い、打順は前回のイニングの続きからとし、前イニングの最後から数えて2名がそれぞれ1塁・2塁のランナーとする。
- ビデオ判定
- ファースト・セカンドラウンドは、本塁打のみビデオ判定を行う。
- 決勝ラウンドは、MLB公式戦におけるビデオ判定方式に従う。ただし、「チャレンジ」は行わない。
- ファースト・セカンドラウンドの順位決定方法(同じ勝率で終了した場合)
- 1位と2位が同率の場合は、直接対決で勝ったチーム
- 3チームが2勝1敗(1勝2敗)で同率の場合は、1位(最下位)チームを下記の優先順位で決定し、2位と3位はプレイオフを行う。
- 同率チームとの対戦で、守備1イニングあたりの失点数が少ない
- 同率チームとの対戦で、守備1イニングあたりの自責点数が少ない
- 同率チームとの対戦で、打率が高い
- WBCIによる抽選
- 各国のプロリーグの開幕が迫っている状況を考慮し、選手達が可能な限り早く所属球団に戻ってシーズンの準備ができるように3位決定戦は行われない。
2013年大会からのルール変更点
- 予備投手登録
- 最終ロースターに含まれる28選手と入れ替えが可能な10人の予備投手を登録することができる。次のラウンドに進出した際に2名まで入れ替え可。
- 上記28選手の中に予備登録投手を1人〜2人登録し、予備登録投手同士での入れ替えに限る。
- 予備登録投手は、一度、ほかの投手と入れ替わった場合、再登録することはできない。
- 敬遠のフォアボールを投手の投球数として数えない
- キャッチャーが立ち上がるなど明らかに敬遠とわかる動作をしたと主催者が判断し、実際に敬遠のフォアボールを与えた場合、この際に投げたボールを投手の投球数として数えない
- 2017年シーズンからMLBで、監督が意思を示すだけで(投手が1球も投げずに)敬遠が認められるようになったことに対応したもの
開催地
予選の進行
2017 ワールド・ベースボール・クラシック 予選(英語:2017 World Baseball Classic Qualifiers)は、2016年に開催された2017 WBCの予選大会である。前回大会各第1ラウンド最下位のブラジル、オーストラリア、スペイン、メキシコの4ヵ国はすでに予選出場国として決定している。今回、前回出場したタイと入れ替わり、パキスタンが新たに招待されることになった。
出場国・地域と日程
予選ラウンド
予選1組(シドニーラウンド)
- 会場:シドニー/ブラックタウン・インターナショナル・スポーツパーク
- 試合日時はオーストラリア東部夏時間(UTC+11)
予選2組(メヒカリラウンド)
- 会場:メヒカリ/エスタディオ・B'Air
- 試合日時はアメリカ西部夏時間(UTC-7)
予選3組(パナマシティラウンド)
- 会場:パナマシティ/ロッド・カルー・スタジアム
- 試合日時はアメリカ東部時間(UTC-5)
予選4組(ブルックリンラウンド)
- 会場:ブルックリン/MCUパーク
- 試合日時はアメリカ東部夏時間(UTC-4)
予選結果
大会の進行
出場国・地域と日程
予選を勝ち上がった初出場のコロンビアとイスラエル以外は第1回大会より4年連続の出場。
- 以下の情報はWBC公式サイト スコアボードより引用
第1ラウンド
A組(ソウルラウンド)
- 会場:ソウル/高尺スカイドーム
- 試合日時は韓国時間(UTC+9)
B組(東京ラウンド)
- 会場:東京/東京ドーム
- 試合日時は日本時間(UTC+9)
C組(マイアミラウンド)
- 会場:マイアミ/マーリンズ・パーク
- 試合日時はアメリカ東部夏時間(UTC-4)
D組(ハリスコラウンド)
- 会場:ハリスコ/エスタディオ・デ・ベイスボル・チャロス・デ・ハリスコ
- 試合日時はアメリカ中部夏時間(UTC-5)
第2ラウンド
E組(東京ラウンド)
- 会場:東京/東京ドーム
- 試合日時は日本時間(UTC+9)
F組(サンディエゴラウンド)
- 会場:サンディエゴ/ペトコ・パーク
- 試合日時はアメリカ太平洋夏時間(UTC-7)
準決勝・決勝(ロサンゼルスラウンド)
- 会場:ロサンゼルス/ドジャー・スタジアム
- 試合日時はアメリカ太平洋夏時間(UTC-7)
最終成績
成績右列は、WBSCによる順位。
表彰選手
2017年大会開催までの主な出来事
- 2013年
- 3月6日 - 韓国が高尺スカイドームで2017 WBC第1ラウンドの誘致を目指す動きがあることが報道された。
- 3月20日 - 2013WBCはドミニカ共和国が大会史上初の全勝優勝を果たして閉幕。第3回大会についてMLB機構のティム・ブロスナン副社長は「文句なしに、ホームラン級の大成功」と総括。また「世界的なイベントとして向上を続けており、バド・セリグコミッショナーは次回大会に向けて1000%のやる気だ」と、引き続き2017年に第4回大会を開催することを明言した。
- 2015年
- 9月17日 - 2017WBC予選の開催地、日程、招待国が発表された。前回出場したタイと入れ替わり、パキスタンが新たに招待されることになった。
- 2016年
- 2月11日 - 2017WBC予選シドニーラウンド開幕。
- 2月14日 - シドニーラウンドはオーストラリアが南アフリカを破り、本選進出。
- 3月17日 - 2017WBC予選メヒカリラウンドおよびパナマシティラウンド開幕。
- 3月20日 - メヒカリラウンドはメキシコがニカラグアを破り、本選進出。パナマシティラウンドはコロンビアがパナマを破り、本選進出。
- 5月16日 - 台湾の中華民国野球協会は、2017WBCの第1ラウンド招致から撤退することを発表した。理由として、同じく開催を目指す韓国との争いにおいて開催権利金が高騰(180万USドルが240万USドルに)したこと、2015年末に発表予定であった開催地が今もなお延期され続けていることで、スポンサー誘致に多大な影響が出たため、としている。
- 8月2日 - アジア地域で開催される開催地と組み合わせが発表された。
- 8月26日 - すべての開催地と組み合わせ、および対戦方式が発表された。第1、第2ラウンドともに総当たり方式リーグ戦となり、さらに、リーグ戦で3チームの勝敗が並んだ場合は「ボーナス“プレーオフ”ゲーム」として、ワンゲームプレーオフが開催されることになった。
- 9月22日 - 2017WBC予選ブルックリンラウンド開幕。
- 9月25日 - ブルックリンラウンドはイスラエルがイギリスを破り、本選進出。これにより出場国が出揃う。
- 11月10日 - 東京ラウンドの開催概要が発表された。また、直前に開催されるWBC強化試合の開催概要も発表された。
- 11月12日 - ソウルラウンドが東京ラウンドよりも1日早く開幕することになった影響で、ソウルラウンドをA組、東京ラウンドをB組と、組名称を変更することが発表された。
- 11月16日 - すべての開催地のスケジュールが発表された。また、D組の開催地名が“グアダラハラ”から“ハリスコ”に変更となった。
- 12月1日 - 各国代表出場選手の予備登録の提出期限を迎えた。
- 12月5日 - MLBは30名の各国・地域代表選出選手を先行発表した。
- 12月23日 - 先日のWBC廃止報道について、MLB機構のロブ・マンフレッドコミッショナーはスポーツネットの電話インタビューにおいて、「噂はナンセンス」であると否定した。「大会は第1回から黒字であり、また、お金のために開催していない」と語った。
- 2017年
- 1月6日 - 今大会から新ルールとして「予備投手枠」が設けられることが発表された。登録メンバー28人とは別に、10人まで予備投手を登録することができ、第1、第2ラウンド終了時に各2人まで入れ替えることができる。
- 2月7日 - 今大会で採用されるルールが発表された。
- 2月8日 - 全16チームの登録メンバー28人と予備投手が発表された。当日はMLBネットワークおよびMLBの無料動画サイトにおいて、1時間の特集番組が放送配信された。
- 2月16日 - MLB機構ロブ・マンフレッドコミッショナーは、フロリダのキャンプ地で行われたインタビューで、改めてWBC廃止報道を否定した。「この大会はまだ潜在的な可能性を秘めており、最高のスポーツイベントに成長させていく」と繰り返し強調した。MLB球団関係者が、所属選手の怪我リスクや、選手を手の届く範囲で管理できないことから、大会参加への圧力になっていることについては、「球団オーナーたちは全会一致でWBCをサポートしていくことで支持している」と語った。また、選手から批判される開催時期について、「早春の開催は欠点である」と認識しており、「開催時期の代替案を今後も協議していく」と語った。
- 2月23日 - 今大会のマーケティングパートナーが発表された。5大陸15ヵ国から多くの企業がグローバル、チーム、会場のパートナーとなった。大会全体のパートナーとなるグローバルパートナーには、ガンホー、ウブロ、日本通運、野村證券の4社が、また大会の移動サポートとしてデルタ航空が担当する。チームパートナーには23という記録的な数の企業がパートナーとなる。
- 3月6日 - 2017WBC開幕。
第4回大会の傾向と問題点
成長続くWBC 初の観客動員100万人突破
WBCIは今大会の観客動員数が前回比23%増の108万6720人であり、WBC史上初の100万人突破を達成したことを発表した。東京ドームで開催された第2ラウンドE組では、組別では史上最多の20万9072人、ペトコ・パークで開催された第2ラウンドF組のアメリカ合衆国対ドミニカ共和国戦では、アメリカ国内の第2ラウンド試合としては史上最多の4万3002人、ドジャー・スタジアムで開催された決勝戦では、1試合では今大会最多でWBC史上では2009年決勝戦に次ぐ5万1565人を集めた。2009年大会では7試合で4万人以上を動員したが、今大会はそれを上回る9試合で動員しており、毎回盛り上がっている東京ラウンドだけではなく、MLBのスター選手が名を連ねたアメリカ合衆国やドミニカ共和国が登場したマイアミラウンドやサンディエゴラウンド、地元メキシコが奮闘したハリスコラウンドでも多くの観衆を集め、熱い応援が繰り広げられた。
テレビ視聴率や関連商品の売り上げも過去最高となり、ファンからも好感触を得ている。MLB機構のロブ・マンフレッド・コミッショナーは「信じられない。毎回、このイベントは成長している。試合の内容、参加国、入場者数が上昇している。我々はこのイベントを前進させることに真剣に取り組んでいる。我々の国際的な戦略において重要なパートだ」と今大会の成功を歓迎するとともに、「選手が国を代表する貴重な大会。間違いなく次回大会も行う」と次回2021年大会の開催を明言した。
メキシコ敗退 “8回0/3”騒動
メキシコ開催の第1ラウンドD組4日目は、昼の試合でプエルトリコがイタリアに勝利したため、夜の試合でメキシコがベネズエラに勝利すると、イタリア、ベネズエラ、メキシコの3チームの勝敗が1勝2敗で並び、プレイオフ開催の可能性があった。この場合、当該3チームの対戦における失点率最下位はプレイオフに出場せず自動的に4位が確定するため、夜の試合はメキシコが勝利したとしても、失点率により3チームのプレイオフ進出が左右される状況であった。この日の前日、メキシコ側には「ベネズエラに2点差以上で勝利すればプレイオフに進出できる」と伝わっており、また当日のMLBネットワークでの中継においても同様に紹介されていた。そして試合はその2点差でメキシコがベネズエラに勝利し、選手や地元メキシコファンたちはプレイオフ進出に喜び、テレビ中継や大会公式メディアにおいても、明日のプレイオフは「イタリア対メキシコ」であることが紹介された。
しかし試合終了から約30分後に事態は急転、大会運営から「イタリアとベネズエラがプレイオフに進出」したことが発表された。原因は失点率計算におけるイニング数にあった。10日のメキシコ対イタリア戦において、メキシコは9回無死でイタリアにサヨナラ負けを喫していたが、この“9回無死”は公式記録上“8回0/3”となり、失点率計算上では“9回”ではなく“8回”として扱われるのである。これに関係者が気づかずに“9回”として失点率を計算してしまったがために、メキシコとベネズエラの順位が入れ替わるという騒動に発展してしまった(日本でこの試合を中継したJ SPORTSでは「3点差以上で勝利」と正しく紹介していたため、現地放送の紹介との違いに混乱する場面もあった)。これに対しメキシコはすぐに抗議。大会ルールには「イニング数には不完全なイニング(partial innings)も含める」と記載されており、この“9回無死”はイニング数に含まれるものである、と主張した。しかし大会運営はこれを認めることはなかった。不完全なイニングを認識する唯一の方法は守備機会により1アウトを記録することであり、投手の防御率など様々な記録もこれに基づいているため、異なる解釈を適用すると矛盾してしまい非論理的である、と説明した。
メキシコのE・ゴンザレス監督は試合後の記者会見で、試合前にコーチ陣と失点率についてミーティングを行い、大会運営にも5回ルール確認の電話をしたが明確な返事はなかった、と語った。「もし知っていたら我々は努力していた。裁判になれば、(メキシコ側に)有利な判決が下るだろう」、「物事を変えるのは、無礼だと思う。試合前の解釈が、多くを変えてしまった」と大会運営を強く批判した。チームの主将で過去のWBCに全て出場しているメジャーリーガーのA・ゴンザレス選手もツイッターで「なんてダメな大会なんだ!」と投稿。後日、記者の取材にも「WBCなんて二度と出場しない。あんな大会から去ることができて良かったよ。運営側は野球のワールドカップを目指しているようだが、あれではリトルリーグのワールドシリーズにも及ばない。MLB機構のお偉いさんにも言ってやったよ。“お前らのやっていることは矛盾だらけ。嘘ばかりだ”とね」と怒りが収まらない様子であった。
テレビ・ラジオ放送
本大会は世界で51のメディアと放送契約を結び、182の国と地域において放送される。
日本国内での放送
- 第1ラウンド
- 第2ラウンド
- 決勝ラウンド
日本国外での放送
アメリカ国内では、英語放送をMLBネットワークが、スペイン語放送をESPNデポルテスが独占放送権を獲得、放送する。またMLB.TVでネット配信される。
世界的な広告代理店であるMP & Silvaがアメリカ、プエルトリコ、日本を除く世界の全メディア配信権を獲得、各国地域に提供される。
脚注
注釈
出典
関連項目
- あの日、侍がいたグラウンド - 日本代表チームに焦点をあてたドキュメンタリー
外部リンク
- ワールド・ベースボール・クラシック公式サイト(英語)
- ワールド・ベースボール・クラシック公式サイト(日本語)
- 日本野球機構オフィシャルサイト(日本語) - 今大会では特に積極的な情報発信は行っていない。
- 野球日本代表 侍ジャパンオフィシャルサイト(日本語)
- 2017 World Baseball Classic By Baseball-Reference (英語)
. Source: