『コンティニアム CPS特捜班』(原題:Continuum)は、カナダのSFアクションテレビドラマ。
バンクーバーを舞台に、2077年での処刑を逃れて2012年にタイムトラベルしたテロリスト・グループと、それに巻き込まれてタイムトラベルすることになった警護官との対決を描く。
製作は、Reunion Pictures Inc. 、 Boy Meets Girl Film Company 、 Shaw Media 、GK-TV。原案・製作総指揮・ショーランナー はサイモン・バリー。主演はレイチェル・ニコルズ。
カナダでは2012年5月27日に、Showcase局 で放送開始となった。第1シーズンは全10話。2012年8月25日、第2シーズン(全13話)の製作が発表され、2013年4月21日に放送開始となった。
2013年6月5日、第3シーズン継続が決まったことが正式発表された。同8月4日、第2シーズンの放送が完了した。そして、第3シーズンは2014年3月16日に放送開始となった。
2015年10月9日、6話からなる第4シーズンが放送されてシリーズは完結した。
イギリス、アメリカ合衆国、ベルギー、オーストラリアでも放送されており(#放送状況とエピソード一覧を参照)、合計50か国で放送されている。原案者サイモン・バリーは「(本作が多くの国で放送契約を取れた)理由の1つは、アメリカの番組のように見えるからだろう」、レギュラーキャストのビクター・ウェブスターは「5年か10年前までは、カナダの番組はカナダの番組でしかなかったが、今はかなり良くなっている」と、それぞれ述べている。
日本では2014年12月からAXNチャンネルにおいて『コンティニアムCPS特捜班』としてシーズン1が放送された。同チャンネルで2016年1月からシーズン2が放送開始された。
2077年、バンクーバー。その時代の北アメリカ連邦( the North American Union )は企業議会( the Corporate Congress)が政権を握る寡頭制ディストピア で、ハイテク監視システム の下に一見自由な生活を送る人々が住む警察国家 であった。都市警護局( City Protective Services 、略: CPS)の警護官たちは、目・耳・脳にサイバネティック・インプラントを備え、CPSネットワークに繋がっており、容疑者照合などを瞬時に行える。また、武器やスーツ(制服)にもハイテク機能が備わっている。
キーラ・キャメロン(レイチェル・ニコルズ)はCPSの有能な警護官であると同時に、夫と息子との家庭を築く献身的な妻・母でもあった。企業議会をターゲットとしたビル破壊などで数万人の犠牲者 を出したテロリスト・グループ(または自由の闘士)”Liber8” が、集団処刑の寸前にタイムトラベルで逃れる。そして、処刑現場に居合わせたキーラも巻き込まれ、2012年のバンクーバーにタイムトラベルしてしまう。
Liber8は、2012年の世界で次々と強盗やテロ事件を起こし、武器や資金を調達するかたわら、将来の要人の買収や革命家のスカウトを行う。その目的は、自分たちが生まれ育ったオーウェリアン社会 が訪れないよう、時間の流れを変えることである。一方、キーラは、愛する夫と息子がいる未来が消滅しないよう、Liber8の野望を阻止しようとする。
キーラはタイムトラベル後、CPSとは連絡不能になってしまうが、その代わりに回線に入ってくる声があった。アレック(エリック・ヌードセン)という、ハイテク好きの天才ティーンエイジャーである。アレックいわく、この回線は彼自身が作ったもので、まだ誰にも知られていないはずだという。彼は実は、2077年の世界における著名発明家で、サドテック社( Sadtech )のトップとして北米連邦の政権を握るアレック・サドラーその人(ウィリアム・B・デイヴィス)の若き日の姿であった。将来、CPSのネットワークとなるべき回線を通し、アレックはキーラの目や耳から入る情報を自宅のコンピュータで即座に受信・閲覧できる。同時に、アレックのコンピュータから情報やデータをキーラに送信することも可能である。
キーラはLiber8の手がかりを探し求める途中、バンクーバー警察署のカーロス・フォネグラ刑事(ビクター・ウェブスター)と知り合い、協力を得る。キーラは自分がタイムトラベラーだということを明かさず、当初はテロリスト集団を追ってきたポートランド署の刑事だと偽る。やがて、アレックが政府のコンピュータシステムに侵入して作り上げた”セクション6”( Section 6 )という、政府の秘密機関から派遣された対Liber8スペシャリストとして、バンクーバー警察に駐留する形になる。
物語が進むにつれ、Liber8のタイムトラベルを計画したのは2077年の老アレックで、キーラが巻き込まれたのも偶然ではなかったらしいということがわかってくる。また、Liber8とキーラ以外にも未来からやって来た者たちがいる可能性が示唆される。
そして、Liber8のメンバーたちの行動理念が次第に明らかになり、キーラ自身も現代の自然や温かみのある社会に慣れるにつれ、一体どちらが善でどちらが悪なのかが曖昧になってくる。
キーラは、自分の行動が夫や息子、もしかすると自分自身の誕生さえも阻止することに繋がるのではないかと悩みながらも、日々の決断を下さなければならない。
本作で描かれている未来技術は(タイムトラベル技術を除き)2012年時点の実世界ですでに考案済みのものばかりである。脚本スタッフ会議で出されたさまざまなアイデアについてインターネット検索してみたところ、どれもすでに誰かが研究・開発を始めていたという。また、『Popular Mechanics』『ポピュラーサイエンス』『Wired』といった雑誌も参考にされている。
なお、サイモン・バリーは、本作の未来世界をディストピアと思うかどうかは捉え方次第であり、例えば1930年代の人が2013年にタイムトラベルしたら、2013年をディストピアだと思うかもしれないと述べている。
第1シーズン第1話は2012年という設定。第2シーズン第1話は第1シーズン最終話の直後だが、第2シーズン第5話は2013年3月15日となっている。
本作におけるタイムトラベル設定について、劇中でいくつかの説が取り上げられたり、あるいは示唆されている。特に重要なのは、キーラとLiber8が本来存在していた2077年が、タイムトラベル後の2012年と同じ時間軸上にあるのかどうかという点である。
物語の序盤で、2012年のアレックは2つの可能性を挙げている。
第1シーズン第5話「A Test of Time」では、キーラの祖母、ケロッグの祖母、カガミの母という3人の先祖をめぐって親殺しのパラドックスが試されることになる。結局、ケロッグの祖母が命を落とすが、ケロッグは消滅しない。
第1シーズン第10話「Endtimes」(シーズン・フィナーレ)では、Liber8とキーラのタイムトラベルを仕組んだのは2077年の老アレックであり、タイムトラベル後の2012年に何が起きるのかを知っていたらしいと明かされる。
同話には、やはり2077年からタイムトラベルして来たという男ジェイソンが登場するが、彼が到着したのは2012年ではなく1992年だった。他の未来人たちがさまざまな時点に現れている可能性もあり、ジェイソンは彼らをフリーランサー( freelancers )と呼ぶ。ジェイソンによれば、たいていの技術革新にはフリーランサーが関与しているという。
やはり、第1シーズン終盤、カガミは「こちらの岸で小石を海に落としたら、向こう岸で津波が起きるか」と問う(バタフライ効果を参照)。
第2シーズン序盤では、アレックが未来の自分から受け取ったメッセージの中身をキーラに告げる。それによれば、アレックの使命は、自分の行動や発明が創り上げることになるはずの、企業が支配する社会を回避することにあるという。「僕があなたに協力することは、未来の自分の要望に反することになるのではないか」と悩むアレックに対し、キーラは「あなたがあたしをここに送った理由は何なの?」と問い返す。
なお、Liber8はタイムトラベルの着地点として、もっと後の時代(2072年頃)を想定していたのが跳躍し過ぎて2012年に到着した ことになっているが、カガミは現代で若アレックと会うことを老アレックから聞かされており、始めから老アレックにより仕組まれた計画だったことが明らかになっている。
サイモン・バリーによると、本作のタイムトラベル設定に関する”ルール”はすでに製作スタッフの間で打ち立てられており、物語の中でさらに探られていくことになるという。
第3シーズンでは歴史改変説の発展形としてフリーランサーグループから新たにツリー説が示される。現代を木の幹に例えて一つ一つの出来事によって未来が枝の様に分かれるというもので、第3シーズン以降では物語の進行がこの説に基づくものとなる。フリーランサーも交えてLiber8対キーラという枠組みを超えて複雑化し、時間軸の異なる未来からタイムトラベルしてきたブラッド・トンキンも登場する。若アレック・サドラーは自分自身のミスにより極めて複雑かつ微妙な状況下におかれ、その動向が未来を左右する事態に発展する。またブラッド・トンキンは25年後から現代にタイムトラベルした結果、少年時代の自分自身と出会うことになり、同じ時間に同一人物が二人存在する事態も発生する。ケロッグが祖母になるはずだったマディーが殺害されても消滅しないのはマディーが存在していたはずの別の時間軸からタイムトラベルした結果である。未来から見た過去は一律なのに対し、現代から見た未来は枝葉の様に分かれていて、例えキーラが2077年に戻ろうとしても何か行動を起こすたびに時間軸が変化するために同じ時間軸に戻れるとは限らず、フラッシュバックシーンでも様々な状況が展開される。さらにキーラを現代に送り込んだ老アレック・サドラーが第1シーズン終了時点での若アレックの同一時間軸上の存在かどうかも謎であり、キーラを現代に送り込んだのも若い時にキーラに会っていたからという訳ではなく送り込む直前まで老アレックはキーラと面識すらなかったらしいことも暗示される。
第4シーズンでは時間軸の異なる2039年からブラッド・トンキンの仲間の戦士達がタイムトラベルしてくる。しかし彼らの目的は現代の侵略による自分達の未来の構築が目的だったため、未来を守ろうとするキーラを含む2077年からの来訪者との死闘に発展し、ブラッドはキーラと仲間との間で苦悩する。
第1シーズン第10話で、キーラやLiber8以外の未来人の存在が示唆され、ジェイソンがフリーランサーという総称を用いた。第2シーズンでエシャー氏がキーラに明かしたところによると、フリーランサーは組織的な存在で、指の付け根にホクロ状の刺青が入っている。エシャー氏ことマーク・サドラーも元フリーランサーである。また、第2シーズン第10話のフラッシュバックでは、カーティス・チェンにも同じ印が見られる。主人公のキーラ自身も第3シーズン第1話で使命を帯びてフリーランサーとならざるをえなくなり、指の付け根に同じ印を持つようになる。
ウォーレンに率いられるフリーランサー・グループは、チェンを含む未来人の死体を盗み、蘇生させている。そしてフリーランサーとして現代に送り込んでいる。彼らはキーラのスーツの透明化機能などを打ち消す携帯装置を所持しているが、2077年にはそういう技術はまだなかったはずだということから、若アレックは「フリーランサーは2077年よりもっと未来から来たのだろう」と推測している。
ウォーレンによると、彼らの使命は、時空の歪を修復することらしい。実際に第2シーズン最終話の事件をきっかけに時空の歪が発生してしまい、第3シーズン以降の展開に繋がる。
尚、フリーランサーの背後にはトラベラーという時空の守護神の存在があり、稀に登場するがセリフは全くない。死から蘇ったチェンはトラベラーの忠実な僕として行動している。
Liber8たちが使用したタイムトラベル装置は手の平サイズの球形で、反物質エネルギーで起動するらしい。ウォーレンのグループとエシャー氏の両者が狙っている。ただしこの球形のタイムトラベル装置はそれ自体だけでタイムトラベルが可能な訳ではなく、巨大なエネルギー中で目的地へ向かう誘導装置として機能するらしい。
タイムトラベルは精神に悪影響を与えることがあるとされており、そのせいか、ジェイソンに精神異常の兆候が見られる。また、第2シーズン終盤ではルーカスが、死んだはずのカガミやチェンの幻覚を見るようになる。
原案者のサイモン・バリーは、番組がShowcase局に採用された経緯を次のように語った。
プロデューサーのトム・ロウによると、最初の企画書は8ページあったが、さまざまな変更が加えられた。例えば、主人公は男性よりも女性の方が感情移入しやすいだろうということで変更された。主人公が女性になったことにより、母親という要素が導入されるなど、番組そのものの可能性が広がった。その他、放送局側から細かい注文があったが、パイロット脚本が出来上がった後はスムーズに進んだ。
サイモン・バリーとパット・ウィリアムズに加え、 Reunion Pictures のトム・ロウが製作総指揮を担当することになった。また、ジェフ・キング(『ホワイトカラー』のプロデューサー)がサイモン・バリーに、ショーランナーとしてのノウハウを指導した。
第1話と第2話の監督は『24 -TWENTY FOUR-』のジョン・カサーが担当した。第2シーズンではアマンダ・タッピングも監督を務めている。
スタント・コーディネーターはキマニ・レイ・スミス が担当している。スミスは、撮影現場にあるもの(戦闘によって壊れた棚やガラスの破片など)を巧みに利用し、各俳優の得手不得手に応じて殺陣をコーディネートするため、脚本に細かい動きを書き込む必要がないという。
まず主人公キーラ役がレイチェル・ニコルズに決まり、彼女に合わせる形で他のキャスティングが行われた。ニコルズにとって、自分が最初にキャスティングされた作品は本作が初めてであり、自分の相方俳優との相性テスト を行ったのも初めてである。ニコルズはLiber8を演じる俳優たちとは相性テストを行わなかったが、撮影初日にキャスト全員と対面した際、「これほど凄いキャストが集まっている番組なら、成功しないわけがない」と思ったという。プロデューサーのトム・ロウも、ミスの無いキャスティングになったと述べている。ショーランナーのサイモン・バリーは、キャストの意見を積極的に取り入れるようにしており、各登場人物を演じる俳優がキャラクター作りに大きく貢献している。
撮影はバンクーバー地域で行われており、バンクーバー公共図書館、ヴィクトリー・スクエア、CBC放送センター、バンクーバー美術館、The Centre やダウンタウンの街並などが劇中で見られる。バンクーバーには、すでに未来的に見える場所が多いため、未来世界のシーンでもグリーンバック撮影を多用する必要がなく、実在の建物を撮影してからCG加工を行っている。
バンクーバー撮影作品の舞台設定はアメリカ合衆国の街であることが多いが、本作では撮影も舞台設定もバンクーバーとなっている。現地に長年住んでいるサイモン・バリーは、この物語の舞台がバンクーバーである必然性はないものの、バンクーバーの個性を表に出せることは良い付加価値だと述べている。ビクター・ウェブスターは、本作ではバンクーバーの名所や美しさを堂々と見せることができるだけでなく、『Xファイル』と同様に悪天候でさえも心情描写や雰囲気作りに役立っていると語る。カナダのファンの間でも「バンクーバーがニューヨークやシアトルのふりをしない、まるまるバンクーバーの番組が遂に登場した」と喜ばれている。
各エピソードの撮影は、7 - 8日間で行われている。製作側の意図で毎シーズンのエピソード数が10 - 13話程度に抑えてある。そのため、撮影期間が比較的短く、毎年1月から5月ないし6月までとなっている。カナダでの放送開始前に第1シーズン全10話の撮影を終了していた。第2シーズンの撮影は2013年1月下旬に始まり、同6月6日に終了した。
なお、本作同様に撮影も舞台設定もバンクーバーとなっているテレビドラマには、やはり2012年に放送開始となった『プライミーバル:ニューワールド』(『プライミーバル』のカナダ版スピンオフ)がある が、そちらは1シーズン限りで打ち切りとなった。
※第1シーズンの各エピソード英語タイトルには "time" が含まれている。
※第2シーズンの各エピソード英語タイトルには "second" が含まれている。
※第3シーズンの各エピソード英語タイトルには "minute" が含まれている。
※利用地域が限定されたり登録が必要な場合もあるので注意。
これらのサイトでは、予告編、名場面、舞台裏映像、インタビュー映像などが鑑賞可能。
レイチェル・ニコルズによると、カナダでの第1話の放送直後、評判がTwitterで山火事のように広がった。未放送であるはずのロシアやシンガポールを含む世界中のファンから応援のTwitterが届くという。カナダでの第2話の放送後、まだアメリカ合衆国では放送されていなかったにも関わらず、IMDbのベストテレビ番組リストの第3位に選ばれた。
Showcase局のあらゆる視聴率記録を塗り替え、カナダのスペシャルティ局番組 としても大ヒットだった だけでなく、違法ダウンロードが7週連続で世界一多い番組となった。ニコルズは「盗んだことに感謝するわけにはいかないけど、そういうことがあったという事実を誇りに思う」と語った。
『SciFiNow』誌の James Hoare は、レイチェル・ニコルズのキャラクターはバフィー・サマーズ、シドニー・ブリストウ、オリビア・ダナムといった、SFファンタジー分野における有能かつ規範的なアクションヒロインたちの仲間入りをしたと述べている。
『ニューヨーク・タイムズ』紙の Neil Genzlinger は、本作を「巧妙」( slick )と評した。
『デイリーニューズ』紙の David Hinckley は、本作は同じく警官がタイムトラベルするテレビドラマ『Life on Mars』よりも「賢い」( smart )として、3つ星を与えた。また、『Life on Mars』とは異なり、本作はケーブル番組であるため、『Life on Mars』の打ち切りを防ごうとした中核ファンと同程度の視聴者数が得られれば、じゅうぶん継続できるだろうと Hinckleyは見ている。
『エンターテインメント・ウィークリー』誌のケン・タッカーは、最初の2話までを見た時点で、本作を「サクっとした、クラッカー・ジャック番組」( a crisp, crackerjack series )だと評し、しっかりした脚本とレイチェル・ニコルズの「魂のこもった演技」( soulful performance )の組み合わせによって、説得力がある作品になっていると称賛した。また、Liber8の政治思想とキーラが守ろうとする未来像との間の確執にも好奇心をそそられると述べている。タッカーは、欠点になり得る可能性のある要素として、2点を挙げる。1つは、キーラが夫と息子を想って泣く描写で、主人公への感情移入は大切だが、あまり感傷的になり過ぎてはいけないと指摘。もう1つは、ハンサムで逞しいフォネグラ刑事との『キャッスル 〜ミステリー作家は事件がお好き』的な「付くか付かないか」関係が序盤ですでに芽生えているように見える点で、そういう展開は避けてほしいとしている。そしてタッカーは、アクション描写と登場人物たちの行動理念という焦点が維持される限り、本作を見続ける価値があると結んでいる。ちなみに、サイモン・バリーは、キーラとカーロスの恋愛は絶対にあり得ないとしている。
『デイリー・テレグラフ』紙の Alice Vincent は第1シーズン DVD のレビューにおいて、本作は犯罪ドラマとSFという組み合わせを上手く生かせずに型に嵌り過ぎており、キーラ・キャメロン役のレイチェル・ニコルズも退屈だ( uninspiring )として、2つ星を与えた。テロリスト/自由闘士の倫理的に曖昧な部分をもっと掘り下げれば面白くなるだろうが、第1シーズンを見る限りでは、アクション過剰でドラマに深みがなく、なんとなく繋がっている話がダラダラと続くだけだと酷評している。エリック・ヌードセン演じるアレック・サドラーのギーク的な説得力がせめてもの救いだが、キーラとの関係が十分に探られていないという。
『SciFiNow』誌の Michael Simpson は第1シーズン DVD のレビューにおいて、本作はバンクーバーの美しさをフル活用しているが、脚本は少々物足りないとして、3つ星を与えた。具体的には、タイムトラベル技術という仕掛けや社会的テーマを生かしきれておらず、プロシージュラル(”手続き”)・ドラマ にありがちな手法に頼り過ぎており、自由闘志を名乗る悪役たちは解放すべき民衆を躊躇無く殺す平面的な悪漢で精神病者だという問題点を挙げた。その一方で、展開の速さや登場人物への感情移入という点では評価できるとしている。そして、ウィリアム・B・デイヴィスが演じる老アレック・サドラーは『FRINGE/フリンジ』のウィリアム・ベルに似ているものの、彼が貢献している意欲的な第1シーズン・クライマックスから、第2シーズンではもっとレベルが高い物語が期待できそうだと結んだ。
『SFX』誌の Richard Edwards は第1シーズン DVD のレビューにおいて、このカナダの大ヒット番組はアメリカの最優秀番組に引けを取らないぐらい素晴しく、新鮮な知的さを備えたSF作品であり、ハイテク装置も魅力的で、「凄い」と感じさせる要素ともっともらしさの微妙なバランスがうまく取れていると評した。感情的描写が行き過ぎたり、”今週の事件”と未来世界のフラッシュバックが少々噛み合わないことがあったり、キーラのスーツの万能さが脚本陣にとっての抜け道になっている傾向も見られるが、第1シーズン終盤数話の展開はとても興味深く番組のレベルを押し上げるものであり、第2シーズンに大きな期待を持たせてくれるとして、3つ星半(3.5星)を与えた。
High-Def Digest の Aaron Peck は第1シーズン Blu-ray のレビューにおいて、本作は知的・明敏で、設定が深く考え抜かれており、未来技術も実用的で説得力があり、タイムパラドックスやバタフライ効果に関する少々の懸念を忘れて楽しめる番組だとして、本編に4つ星、Blu-rayに3つ星を与えた。
DVD Talk の Adam Tyner は第1シーズン Blu-ray のレビューにおいて、本作は連続SFアクションドラマと手軽なプロシージュラル・ドラマのバランスが完璧に取れた作品だと評し、4つ星を与えた。また、キーラの万能スーツの故障によってドラマ性を向上させたことで、脚本陣を高く評価している。そして、本作は機知に富んでいて、ユーモアもあり、エキサイティングで、かつ胸が張り裂けるような要素もあって中毒性に満ちているとし、できれば一気に全10話を見るべきだと結んでいる。
2013年、第15回レオ・アワード(対象は2012年の作品)において、最多16個のノミネートを受け、うち7個を受賞した。
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