第37回世界遺産委員会(だい37かいせかいいさんいいんかい)は、2013年6月16日から6月27日の間、カンボジアのプノンペンで開催された。会場は首相府の新館ピース・パレスである。文化遺産14件、自然遺産5件の計19件が新規に登録された結果、世界遺産リスト登録物件の総数は981件となった。
委員国は以下の通りである。地域区分はUNESCOに従っている。
物件名に * 印が付いているものは既に登録されている物件の拡大登録などを示す。太字は正式登録(既存物件の拡大などについては申請用件が承認)された物件。英語名とフランス語名は諮問機関の勧告文書に基づいており、登録時に名称が変更された場合にはその名称を説明文中で太字で示してある。
第37回世界遺産委員会の審議で新規に世界遺産保有国となったのは、カタール、フィジー、レソトの3か国である。この時点で、世界遺産条約を締約している190か国のうち、世界遺産を保有していない国は30か国となった。
危機にさらされている世界遺産(危機遺産)リストからは1件が除去され、7件が新規に記載された。その結果、危機遺産の総数は44件となっている。
東レンネル以外はすべてシリアの世界遺産であり、いずれもシリア内戦による保存状況の悪化が理由である。2013年時点での国別の危機遺産登録件数は、シリアの世界遺産が6件全て、コンゴ民主共和国の世界遺産が5件全て、コートジボワールの世界遺産とマリの世界遺産が各2件などとなっている。
なお、前年の第36回世界遺産委員会で、歴史地区周辺の海上道路建設を理由に危機遺産リスト登録の可能性があったにもかかわらず、パナマ政府の働きかけで危機遺産リスト登録が回避されたパナマ・ビエホとパナマ歴史地区は、今回の再審議でもパナマ政府の抵抗によって危機遺産リスト登録が見送られた。ただし、2015年までに資産価値と範囲の見直しに関する報告書が提出されることになっている。
以下の7件については、保有国の申請に基づき、登録名称が変更された。一部は日本語訳では変化がない場合もある。
タスマニア原生地域(オーストラリア)、朝鮮王陵(大韓民国)、ルアン・パバンの町(ラオス)、フィリピンのバロック様式教会群の一部(フィリピン)、サンクトペテルブルク歴史地区と関連建造物群(ロシア)について、登録範囲に関する軽微な変更が認められた。また、朝鮮王陵、アミアン大聖堂(フランス)、ブールジュ大聖堂(フランス)、アーヘン大聖堂(ドイツ)、国境防衛都市エルヴァスとその要塞群(ポルトガル)に関する緩衝地域の設定が認められた。
昨年の審議でラージャスターンの丘陵要塞群の登録が見送られた際に、諮問機関と推薦国の接触を禁じたルールを変更し、初めて諮問機関から助言者が派遣されることが決まったが、同物件はそのプロセスを経て登録された最初の例になった。同物件と大ヒマラヤ国立公園を推薦していたインド当局は、審議の際に推薦国が発言できないというルールの見直しを要求し、次回の委員会審議からは推薦国も発言する機会が設定されることになった。
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