第33回世界遺産委員会(だい33かいせかいいさんいいんかい)は、2009年6月22日から6月30日にスペインのセビリアで開催された。セビリアは、1987年登録の世界遺産「セビリアの大聖堂、アルカサル、インディアス古文書館」を擁する都市であり、会場となったのは市内のセビリア会議・展示センターである。この世界遺産委員会では文化遺産11件、自然遺産2件が新規に登録されたが、ドレスデン・エルベ渓谷(ドイツ)が世界遺産リストから抹消されたため、世界遺産の総数は890件となった。
委員国は以下の通りである。地域区分はUNESCOに従っている。
世界遺産は新規に自然遺産2件、文化遺産11件が登録された。新たに世界遺産保有国となったのは、キルギス、カーボベルデ、ブルキナファソの3か国であり、世界遺産保有国は148か国となった。
見送られたり取り下げられた物件も含めて、以下で審議結果を見ていくが、物件名に * 印が付いているものは既に登録されている物件の拡大登録申請である。太字は正式登録(既存物件の拡大などについては申請用件が承認)された物件。英語名とフランス語名は諮問機関の勧告文書に基づいている。
ドイツの世界遺産の一つであったドレスデン・エルベ渓谷(2004年登録)が、世界遺産リストから抹消された。この物件は文化的景観が評価されていたが、第二次世界大戦以前から存在していた橋の建設計画の進展によって、景観が持つ「顕著な普遍的価値」が失われる可能性が出てきたため、2006年からは危機にさらされている世界遺産(危機遺産)リストに登録され、世界遺産リストからの抹消の可能性が委員会審議でもたびたび言及されてきた。しかし、地元では住民投票の結果なども踏まえて建設が始まり、工事の中止や撤回が望めなくなったことから、世界遺産委員会は世界遺産リストからの抹消を決議した。
抹消される物件は、オマーンの世界遺産の一つであったアラビアオリックスの保護区(1994年登録、2007年抹消)に続いて2件目であるが、文化遺産として、また当該国の要請によらない委員会の主体的判断としては、最初の事例であった。
景観関連では2008年に旋開橋の取り壊しが問題となった月の港ボルドー(フランス、2007年登録)について、保全状況のありかたが今回も議論になった。
危機にさらされている世界遺産(危機遺産)リストからは2件が除去され、3件が新規に記載された。その結果、危機遺産の総数は31件となっている。
前述のように、ドレスデン・エルベ渓谷は世界遺産リスト自体から抹消されたため、危機遺産リストからも除去された。ほか1件が状況の改善によって危機遺産リストから除去され、都合2件減ったが、3件が追加されたため、総数としては1件増加の31件となった。
以下の1件が当該国の要請に基づき名称変更された。
諮問機関である国際記念物遺跡会議(ICOMOS)が前年に採択した『文化の道に関する憲章』を正式に認証した。
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