和歌山市(わかやまし)は、和歌山県の北部に位置する都市。和歌山県の県庁所在地及び県内で人口が最多の市で、中核市に指定されている。
政令指定都市でないものの、人口密度は政令指定都市である仙台市や広島市などよりも高い。
県人口の約40%が暮らしている。中世には海南市の一部とともに「雑賀の里」と称された。江戸時代には徳川家の御三家の一つである紀伊徳川家が治める和歌山藩の城下町として栄え、「若山」とも表記された。戦前には、中心市街地のぶらくり丁商店街は大阪・ミナミと比肩する繁華街として栄華を極めたが、現在はシャッター商店街に衰退している。
紀の川の河口に位置し、中心市街地は左岸に形成されている。
瀬戸内海式気候である。
和歌山市の中心市街地には、城下町としての名残を留めた小さな町が点在し、町名に「○○丁」と「○○町」とが混在する。丁は「ちょう」と読んでかつての武家町を、町は「まち」と読み同じく町人町を表す(一部「町」でも「ちょう」と読む例あり)。
1985年(昭和60年)の国勢調査で40万1352人を記録して以降は減少傾向となっている。2021年(令和3年)の人口は約35万5000人。
和歌山市には42の地区があり、それぞれの地区には支所・連絡所が設置されている。和歌山市には、平成28年4月1日時点で1147の自治会があり、さらにこれが一定の地区ごとにまとまった42の連合自治会がある。また、42の連合自治会が10のブロックを構成し各ブロック内で複数の連合自治会が有機的につながり、住民自治が進められている。そこで、和歌山市における地域別計画において、この10ブロックに区分されている。
編入した町村の所属郡は、特記以外は全て海草郡。
当日有権者数:304,221人 最終投票率:44.11%
農業、漁業といった第一次産業も盛んである。
農業では稲作のほか、野菜栽培が行われている。全国屈指の生産量を誇る名産にショウガがある。中でも新生姜が有名で、河西地区、布引地区、小豆島地区で作られている。ハウス栽培が主流であり、産地ごとに出荷時期をずらし、出荷期間を長くする戦略をとっている。これらは大都市圏に出荷されているほか、近年はジンジャーエール、アイスクリーム、ジャムなどの特産品開発も進んでいる。そのほか、布引ダイコンとして知られるダイコン、ハクサイ、キャベツ、ピーマンなどの生産量も多い。
漁業は市北部の加太漁港と市南部の和歌浦、雑賀崎漁港が中心となっており、前者はタコやタイ、後者はシラスやハモ、クマエビ(アシアカエビ)などが水揚げされている。
南部の三葛と紀三井寺を中心とするニット産業は日本一で、丸編みニットは和歌山県が全国シェアの37%を占める。
近年、郊外化など消費変化による経済力の衰えと、大阪都市圏への交通網の整備などによるストロー現象による人口減少が大きな問題となっている。平成23年度の市の事業として、道路網の充実の他、経済・雇用情勢への対応として企業や起業家の誘致(ふるさと起業)、廃校になった学校を利用するなどして医療系や教育・保育系の大学、短大を新たに4校誘致。するなど、減少した人口の回帰や経済復興索を打ち出している。
市内消費経済として、和歌山市中心部に位置し、かつて泉南地方からも購買層を持っていたぶらくり丁商店街は、地元老舗百貨店「丸正」が自己破産となり、大丸、ビブレなど集客力の高い店舗が相次いで閉店。さらに、大阪都市圏への交通網の整備などによるストロー現象に加え、市内においては郊外型大型ショッピングセンター(主にオークワ系)の相次ぐ出店により、郊外化など人の流れに大きな変化が起き、いわゆるシャッター通りと化している。ぶらくり丁には2005年10月、大手量販店ドン・キホーテを、2007年11月には旧丸正跡地に複合施設「フォルテワジマ」を開設するなど、市は構造改革特別区域法を利用して規制緩和、人の流れの回帰に努めている。
市内のターミナル駅としてはJR西日本の和歌山駅と南海電鉄の和歌山市駅がある。しかし、行政機関や金融機関、商店などが集積する和歌山城や本町通りの周辺へは、いずれの駅からも徒歩10〜30分の距離があり、路線バスが補っている。かつては南海和歌山軌道線(路面電車)が和歌山駅・和歌山市駅から和歌山城付近を通り、国道42号を南下して和歌浦・海南駅まで伸びていたが、1971年(昭和46年)に廃止された。
和歌山市では、バス路線の廃止などによる交通不便地域住民の移動手段の確保を図るため、行政主体の運営ではなく、バスを必要とする地域住民が主体となって、計画・運行する乗合バス事業に市が上限を定め支援するバスを、地域コミュニティバスとして走らせている。
和歌山市では、交通不便地域の中でも、人口密度が低いため需要が少なく、地域バスが運行できない地域の住民が最寄りの駅やバス停まで移動するため、セダン型やワゴン型の一般のタクシー車両を利用して、運行ルート、停留所設置場所、運賃、ダイヤを設定し、利用者からの予約があった場合にのみ運行する予約型乗合タクシーを運行している。
主な観光地として和歌浦や徳川吉宗など紀伊徳川家で知られる和歌山城がある。和歌山市の売り込みの強化・ゆるキャラといったキャラクター展開など、観光面は平成23年度の和歌山市の3大中心事業として対外アピールを行っている。
注釈
出典
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